(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157231
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電源装置、電源制御装置、及び電源制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241030BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241030BHJP
B60L 1/00 20060101ALN20241030BHJP
B60L 50/60 20190101ALN20241030BHJP
B60L 53/14 20190101ALN20241030BHJP
B60L 53/20 20190101ALN20241030BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 L
H02J1/00 309R
H02J7/00 303C
H02J7/00 S
B60L1/00 L
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071473
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋平
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G165BB05
5G165EA02
5G165GA02
5G165HA17
5G165MA01
5G165MA02
5G165NA01
5G165NA10
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA11
5G503DA07
5G503DA08
5G503FA06
5G503FA17
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BC05
5H125DD02
5H125FF03
5H125FF11
(57)【要約】
【課題】装置全体を小型化するための電源装置、電源制御装置、及び電源制御プログラムを提供すること。
【解決手段】電池パック20は、正極側電源経路H1に設けられるメインスイッチSMRHと、負極側電源経路に設けられるメインスイッチSMRLと、1次側回路31と2次側回路32とが電気的に絶縁されたDCDCコンバータ22と、それらを収容する筐体23と、を備える。メインスイッチSMRHの第1端側には、1次側回路31の高電位側電気経路H11が接続され、第2端側には、2次側回路32の高電位側電気経路H12が接続されている。メインスイッチSMRLの第1端側には、1次側回路31の低電位側電気経路L11が接続され、第2端側には、2次側回路32の低電位側電気経路L12が接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池(21)を備え、インバータ(12)を介してモータ(11)に接続される電源装置(20)において、
前記蓄電池の正極端子に接続される正極側電源経路(H1)に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記蓄電池の負極端子に接続される負極側電源経路(L1)に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部(31,32)と出力部(31,32)とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、
前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体(23)と、を備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続される電源装置。
【請求項2】
前記インバータ、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記電圧変換回路を制御する電源制御装置(50)を備え、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記インバータを介して外部充電器(40,41,42)が接続されている場合、前記外部充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間には、平滑コンデンサ(13)が設けられており、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフからオンに切り替える前に、前記蓄電池から出力された電力を、前記電圧変換回路を介して前記平滑コンデンサに入力して充電する請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電源制御装置は、前記平滑コンデンサを充電する場合、前記平滑コンデンサに入力する電流量が漸増するように、前記電圧変換回路を制御する請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
蓄電池(21)と、インバータ(12)と、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータ(11)とを備える電源システム(100)の電源制御装置(50)において、
前記電源システムは、
前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間の正極側電源経路(H1)に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間の負極側電源経路(L1)に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部(31,32)と出力部(31,32)とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、を備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、
前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間には、平滑コンデンサ(13)が設けられており、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフからオンに切り替える前に、前記蓄電池から出力された電力を、前記電圧変換回路を介して前記平滑コンデンサに入力して充電する電源制御装置。
【請求項6】
前記電源制御装置は、前記平滑コンデンサを充電する場合、前記平滑コンデンサに入力する電流量が漸増するように、前記電圧変換回路を制御する請求項5に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記電源システムは、前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体(23)を備え、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記インバータを介して外部充電器(40,41,42)が接続されている場合、前記外部充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する請求項5又は6に記載の電源制御装置。
【請求項8】
蓄電池(21)を備え、インバータ(12)を介してモータ(11)に接続される電源装置(20)と、前記インバータに接続され、前記電源装置と前記インバータを制御する電源制御装置(50)が実施する電源制御プログラムであって、
前記電源装置は、
前記蓄電池の正極端子に接続される正極側電源経路(H1)に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記蓄電池の負極端子に接続される負極側電源経路(L1)に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部(31,32)と出力部(31,32)とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、
前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体(23)と、を備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、
前記電源制御装置に、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記インバータを介して外部充電器(40,41,42)が接続されている場合、前記外部充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御する処理と、
前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する処理と、を実施させる電源制御プログラム。
【請求項9】
蓄電池(21)と、インバータ(12)と、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータ(11)とを備える電源システム(100)の電源制御装置(50)が実施する電源制御プログラムであって、
前記電源システムは、
前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間の正極側電源経路(H1)に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間の負極側電源経路(L1)に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部(31,32)と出力部(31,32)とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、を備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、
前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間には、平滑コンデンサ(13)が設けられており、
前記電源制御装置に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフからオンに切り替える前に、前記蓄電池から出力された電力を、前記電圧変換回路を介して前記平滑コンデンサに入力して充電させる電源制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置、電源制御装置、及び電源制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを駆動させるインバータを構成するレグの一部を、バッテリ充電用のDC/AC変換回路の一部として流用し、装置全体を小型化しているものが知られている。このような装置としては、例えば、特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような装置の小型化について、さらなる工夫の余地があることがわかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、装置全体を小型化するための電源装置、電源制御装置、及び電源制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、蓄電池を備え、インバータを介してモータに接続される電源装置において、前記蓄電池の正極端子に接続される正極側電源経路に設けられる第1スイッチと、前記蓄電池の負極端子に接続される負極側電源経路に設けられる第2スイッチと、入力部と出力部とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路と、前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体と、を備え、前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続される。
【0007】
上記構成によれば、筐体外に配置される電源経路と蓄電池との間の通電を遮断するための第1スイッチ及び第2スイッチを、電圧変換回路を利用する際、蓄電池とインバータとの間の通電を遮断する際に利用する。このため、スイッチを削減することができ、装置を簡素化し、小型化することができる。
【0008】
第2の手段は、蓄電池と、インバータと、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータとを備える電源システムの電源制御装置において、前記電源システムは、前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間の正極側電源経路に設けられる第1スイッチと、前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間の負極側電源経路に設けられる第2スイッチと、入力部と出力部とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路と、を備え、前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間には、平滑コンデンサが設けられており、前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフからオンに切り替える前に、前記蓄電池から出力された電力を、前記電圧変換回路を介して前記平滑コンデンサに入力して充電する。
【0009】
これにより、第1スイッチ又は第2スイッチに対してプリチャージ回路を並列に接続する必要がなくなる。このため、装置を簡素化し、小型化することができる。
【0010】
第3の手段は、蓄電池を備え、インバータを介してモータに接続される電源装置と、前記インバータに接続され、前記電源装置と前記インバータを制御する電源制御装置が実施する電源制御プログラムであって、前記電源装置は、前記蓄電池の正極端子に接続される正極側電源経路に設けられる第1スイッチと、前記蓄電池の負極端子に接続される負極側電源経路に設けられる第2スイッチと、入力部と出力部とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路と、前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体と、を備え、前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、前記電源制御装置に、記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記インバータを介して外部充電器が接続されている場合、前記外部充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御する処理と、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する処理と、を実施させる。
【0011】
上記構成によれば、筐体外に配置される電源経路と蓄電池との間の通電を遮断するための第1スイッチ及び第2スイッチを、電圧変換回路を利用する際、蓄電池とインバータとの間の通電を遮断する際に利用する。このため、スイッチを削減することができ、装置を簡素化し、小型化することができる。
【0012】
第4の手段は、蓄電池と、インバータと、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータとを備える電源システムの電源制御装置が実施する電源制御プログラムであって、前記電源システムは、前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間の正極側電源経路に設けられる第1スイッチと、前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間の負極側電源経路に設けられる第2スイッチと、入力部と出力部とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路と、を備え、前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間には、平滑コンデンサが設けられており、前記電源制御装置に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフからオンに切り替える前に、前記蓄電池から出力された電力を、前記電圧変換回路を介して前記平滑コンデンサに入力して充電させる。
【0013】
これにより、第1スイッチ又は第2スイッチに対してプリチャージ回路を並列に接続する必要がなくなる。このため、装置を簡素化し、小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図6】プリチャージ処理の手順を示すフローチャート。
【
図7】電位差や電流量の変化を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、複数の実施形態及び変形例を説明する。複数の実施形態及び変形例の相互間において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分及び/又は関連付けられる部分には同一の参照符号、又は百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分及び/又は関連付けられる部分については、他の実施形態や変形例の説明を参照することができる。
【0016】
(第1実施形態)
以下、本開示に係る電源システムを具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の電源システム100は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載される。
【0017】
図1に示すように、電源システム100は、駆動ユニット10と、電源装置としての電池パック20と、電源制御装置としての制御装置50と、を備える。駆動ユニット10は、正極側電源経路H1及び負極側電源経路L1を介して、電池パック20に接続されており、電池パック20から電力が供給される。また、駆動ユニット10は、外部充電器40と接続可能に構成されており、外部充電器40から供給される電力は、駆動ユニット10を介して電池パック20に供給可能とされている。以下、各構成について詳しく説明する。
【0018】
まず、駆動ユニット10について説明する。駆動ユニット10には、モータ11と、インバータ12とが含まれる。モータ11は、3相の同期機であり、星形結線されたU,V,W相の電機子巻線11a~11cと、図示しないロータとを備えている。各相の電機子巻線11a~11cは、電気角で120°ずつずれて配置されている。モータ11は、例えば永久磁石同期機である。ロータは、車両の駆動輪と動力伝達可能になっている。このため、モータ11は、車両を走行させるトルクの発生源となる。
【0019】
インバータ12は、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの直列接続体(以下、レグと示す)を3相分備えており、これらが並列に接続されている3相フルブリッジインバータである。上アームスイッチSWHには、フリーホイールダイオードである上アームダイオードDHが逆並列(逆極性)に接続され、下アームスイッチSWLには、フリーホイールダイオードである下アームダイオードDLが逆並列に接続されている。本実施形態において、各スイッチSWH,SWLは半導体スイッチ素子であり、例えば、IGBTであるが、MOSFETであってもよい。
【0020】
インバータ12は、平滑コンデンサ13を備えている。平滑コンデンサ13の高電位側端子は、正極側電源経路H1に接続されている。平滑コンデンサ13の低電位側端子は、負極側電源経路L1に接続されている。なお、平滑コンデンサ13は、インバータ12の外部に設けられていてもよい。
【0021】
各相において、上アームスイッチSWHの低電位側端子であるエミッタと、下アームスイッチSWLの高電位側端子であるコレクタとの接続点には、バスバー等の導電部材14を介して、電機子巻線11a~11cの第1端が接続されている。
【0022】
そして、各相の電機子巻線11a~11cの第2端同士は、中性点で接続可能に構成されている。より詳しくは、電機子巻線11aの第2端は、リレースイッチ15aを介して、電機子巻線11bの第2端に接続されており、電機子巻線11bの第2端は、リレースイッチ15bを介して、電機子巻線11cの第2端に接続されている。このため、リレースイッチ15a,15bをオンオフすることにより、電機子巻線11a~11cの第2端同士の間における通電及び通電遮断を切り替えることができる。そして、リレースイッチ15a,15bをオンすることにより、電機子巻線11a~11cの第2端同士を、中性点で接続することとなる。
【0023】
また、各相の電機子巻線11a~11cの第2端は、電源システム100の交流端子Tac1~Tac3にそれぞれ接続されている。なお、交流端子Tac1~Tac3は、
図1に示すように、外部充電器40としての3相交流電源(3相充電器41)に接続可能である。また、交流端子Tac1~Tac3のうち交流端子Tac1,Tac3は、外部充電器40としての単相交流電源(単相充電器42)に接続可能である。
【0024】
各相の上アームスイッチSWHのコレクタは、正極側電源経路H1に接続されている。各相の下アームスイッチSWLのエミッタは、負極側電源経路L1が接続されている。これにより、インバータ12は、正極側電源経路H1及び負極側電源経路L1を介して電池パック20に接続される。
【0025】
電池パック20は、蓄電池21と、絶縁型の電圧変換回路としてのDCDCコンバータ22と、正極側電源経路H1に設けられた正極側のメインスイッチSMRHと、負極側電源経路L1に設けられた負極側のメインスイッチSMRLと、それらを収容する筐体23と、を備える。
【0026】
蓄電池21は、モータ11のロータを回転駆動させるための電力供給源となる。蓄電池21は、単電池である電池セルの直列接続体として構成された組電池である。蓄電池21の正極端子は正極側電源経路H1に接続され、負極端子は、負極側電源経路L1に接続されている。組電池を構成する各電池セルの端子間電圧(例えば定格電圧)は、例えば互いに同じに設定されている。電池セルは、例えば、リチウムイオン電池等の2次電池である。
【0027】
正極側のメインスイッチSMRHは、蓄電池21とインバータ12との間を接続する正極側電源経路H1の通電及び通電遮断を切り替えるスイッチである。同様に、負極側のメインスイッチSMRLは、蓄電池21とインバータ12との間を接続する負極側電源経路L1の通電及び通電遮断を切り替えるスイッチである。
【0028】
本実施形態において、メインスイッチSMRH,SMRLは、機械式のリレーである。メインスイッチSMRH,SMRLは、オフされると双方向の電流の流通を阻止し、オンされると双方向の電流の流通を許容する。なお、正極側のメインスイッチSMRH、負極側のメインスイッチSMRLは、機械式のリレーに限らず、例えば半導体スイッチング素子であってもよい。
【0029】
DCDCコンバータ22は、1次側回路31と、2次側回路32と、トランス33と、を備える。1次側回路31及び2次側回路32のうち一方が、入力部であり、他方が出力部である。なお、DCDCコンバータ22は、その役割により、入力部と出力部が適宜入れ替わる。
【0030】
トランス33は、1次側巻線34と、コア35と、コア35を介して1次側巻線34と磁気結合する2次側巻線36とを備えている。また、トランス33の1次側巻線34には1次側回路31が接続され、トランス33の2次側巻線36には2次側回路32が接続されている。
【0031】
1次側回路31は、単相フルブリッジ回路であり、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの直列接続体(レグ)を2つ備えており、これらが並列に接続されて構成されている。上アームスイッチSWHには、フリーホイールダイオードである上アームダイオードDHが逆並列(逆極性)に接続され、下アームスイッチSWLには、フリーホイールダイオードである下アームダイオードDLが逆並列に接続されている。本実施形態において、各スイッチSWH,SWLは半導体スイッチ素子であり、IGBTであっても、MOSFETであってもよい。
【0032】
1次側巻線34の両端のうち第1端は、1次側回路31を構成する2つのレグのうち第1のレグに接続されており、残りの第2端は、1次側回路31を構成する2つのレグのうち残りの第2のレグに接続されている。より詳しくは、各レグにおいて、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの間の接続点には、1次側巻線34の端部がそれぞれ接続されている。なお、2次側回路32も、1次側回路31と同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。
【0033】
そして、1次側回路31を構成する各上アームスイッチSWHのコレクタ(高電位側端子)は、高電位側電気経路H11を介して、正極側のメインスイッチSMRHとインバータ12の間における正極側電源経路H1に接続されている。また、2次側回路32を構成する各上アームスイッチSWHのコレクタ(高電位側端子)は、高電位側電気経路H12を介して、正極側のメインスイッチSMRHと蓄電池21の正極端子の間における正極側電源経路H1に接続されている。
【0034】
すなわち、正極側のメインスイッチSMRHの両端のうち第1端側には、1次側回路31の高電位側電気経路H11が接続され、メインスイッチSMRHの両端のうち残りの第2端側には、2次側回路32の高電位側電気経路H12が接続されている。
【0035】
同様に、1次側回路31を構成する各下アームスイッチSWLのエミッタ(低電位側端子)は、低電位側電気経路L11を介して、負極側のメインスイッチSMRLとインバータ12の間における負極側電源経路L1に接続されている。また、2次側回路32を構成する各下アームスイッチSWLのエミッタ(低電位側端子)は、低電位側電気経路L12を介して、負極側のメインスイッチSMRLと蓄電池21の負極端子の間における負極側電源経路L1に接続されている。
【0036】
すなわち、負極側のメインスイッチSMRLの両端のうち第1端側には、1次側回路31の低電位側電気経路L11が接続され、メインスイッチSMRLの両端のうち残りの第2端側には、2次側回路32の低電位側電気経路L12が接続されている。
【0037】
次に、電池パック20の筐体23について説明する。
図1及び
図2に示すように、筐体23は、蓄電池21と、DCDCコンバータ22と、メインスイッチSMRH,SMRLと、正極側電源経路H1の少なくとも一部と、負極側電源経路L1の少なくとも一部と、を収容可能に構成されている。筐体23は、外部から接触不能に収容物を収容していることが望ましいが、一部が露出しても構わない。筐体23の材質は、アルミなどの金属製でもよいし、樹脂製であってもよい。また、
図2に示すように、車体の一部(
図2ではフロア23a)を、筐体23の開口部を塞ぐ蓋部材として活用してもよい。
【0038】
次に制御装置50について説明する。制御装置50は、電池パック20、つまり、筐体23の内部に収容されていてもよいし、外部に配置されていてもよい。電源システム100の制御装置50は、マイコンを主体として構成され、マイコンは、CPUを備えている。マイコンが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。
【0039】
例えば、マイコンがハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコンは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する
図2等に示す処理のプログラムが含まれる。プログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えばOTA(Over The Air)等、インターネット等の通信ネットワークを介して更新可能である。
【0040】
制御装置50は、図示しない各種センサ(電圧センサ、電流センサ、回転角度センサなど)の検出値に基づいて、モータ11の制御量を指令値にフィードバック制御すべく、インバータ12を構成する各スイッチSWH,SWLのスイッチング制御を行う。制御量は例えばトルクである。各相において、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとは交互にオンされる。このフィードバック制御により、ロータの回転動力が駆動輪に伝達され、車両が走行する。
【0041】
また、制御装置50は、外部充電器40が接続された場合、蓄電池21の電池状態に基づいて、充電制御に係る充電処理を実施する。充電処理は、車両停止中、蓄電池21の蓄電状態(SOC:State Of Charge)が閾値以下の場合、所定周期ごとに実行される。詳しくは、
図3に示すように、制御装置50は、メインスイッチSMRH,SMRLがオフされているとき、外部充電器40が接続されたか否かを判定する(ステップS101)。この判定結果が否定の場合、充電処理を終了する。
【0042】
一方、制御装置50は、ステップS101の判定結果が肯定の場合、外部充電器40からの電力を変換させるようにインバータ12の各スイッチSWH,SWLを制御する(ステップS102)。具体的には、制御装置50は、交流電流を直流電流に変換する。その際、制御装置50は、モータ11の電機子巻線11a~11c、インバータ12を構成するレグ及び平滑コンデンサ13を力率改善回路(PFC(power factor correction)回路)として利用し、力率を1.0に近づけるように、あるいは高周波成分を少なくするように交流電流を直流電流に変換する。
【0043】
ステップS102とともに、制御装置50は、DCDCコンバータ22を介して、変換された電力を蓄電池21に入力して充電するようにDCDCコンバータ22を制御する(ステップS103)。より詳しくは、制御装置50は、DCDCコンバータ22によって、駆動ユニット10から電源経路H1,L1を介して入力した直流電流の電圧を適切に変換し、蓄電池21に入力して充電する。
【0044】
上記構成によれば、以下のような効果を奏する。
【0045】
正極側のメインスイッチSMRHの両端のうち第1端は、1次側回路31の高電位側電気経路H11に接続され、第2端は、2次側回路32の高電位側電気経路H12に接続されている。また、負極側のメインスイッチSMRLの両端のうち第1端は、1次側回路31の低電位側電気経路L11に接続され、第2端は、2次側回路32の低電位側電気経路L12に接続されている。
【0046】
このため、メインスイッチSMRH,SMRLをオフしたまま、すなわち、絶縁したままインバータ12により変換された直流電流の電圧をDCDCコンバータ22により変換して、蓄電池21を充電できる。したがって、筐体23の外に配置される電源経路H1,L1と蓄電池21との間の通電を遮断するためのメインスイッチSMRH,SMRLを、DCDCコンバータ22を利用する際に蓄電池21とインバータ12との間の通電を遮断するために利用できる。
【0047】
これについて比較例を示して詳しく説明する。
図4に示す比較例は、駆動ユニット10の中にDCDCコンバータを収容している例であって、インバータ12の一部を1次側回路に流用しているものである。詳しくは、電源経路H1,L1に対してレグ71を設けて、このレグ71と、インバータ12を構成する複数のレグのうちいずれか1つのレグとによって、1次側回路を構成している。このように構成した場合、電池パック20と2次側回路32との間を繋ぐために電気経路H12,L12が一部、電池パック20及び駆動ユニット10の外部に配置されることとなる。このため、安全上、電池パック20内の電気経路H12,L12に、リレースイッチSW1,SW2を配置する必要が生じる。
【0048】
このため、電源システム100では、
図4に示す比較例に比較して、リレースイッチSW1,SW2を削減することができる。また、電源システム100では、電池パック20と駆動ユニット10との間において電気経路H12,L12を繋ぐためのワイヤハーネスなどを設ける必要がなくなる。
【0049】
次に、
図5に示す比較例との比較について説明する。
図5に示す比較例は、
図4に示す比較例と同様に、駆動ユニット10の中にDCDCコンバータを収容している例であって、インバータ12の一部を1次側回路に流用しているものである。ただし、
図5に示す比較例は、
図4に示す比較例とは異なり、2次側回路32に接続される電気経路H12,L12を、駆動ユニット10内において、電源経路H1,L1と接続している。これに伴い、
図5の比較例では、電池パック20と駆動ユニット10との間を繋ぐためのワイヤハーネスを設ける必要がなくなるものの、DCDCコンバータ22の絶縁を維持するために、駆動ユニット10内の電源経路H1,L1において、新たなリレースイッチSW3,SW4を設ける必要が生じている。
【0050】
一方、電源システム100では、電池パック20内にDCDCコンバータ22を収容している。このため、電源システム100では、筐体23の外に配置される電源経路H1,L1と蓄電池21との間の通電を遮断するためのメインスイッチSMRH,SMRLを、DCDCコンバータ22を利用する際、蓄電池21とインバータ12との間の通電を遮断するために流用することができる。したがって、電源システム100では、
図5に示す比較例に比較して、リレースイッチSW3,SW4を削減することができる。
【0051】
以上により、電源システム100では、スイッチやワイヤハーネスなどを削減することができ、装置を簡素化し、小型化することができる。
【0052】
また、インバータ12をPFC回路やAC/DCコンバータの代わりとして流用するため、回路構成を簡素化して、小型化することができる。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態の制御装置50は、メインスイッチSMRH,SMRLをオフからオンに切り替える前に、蓄電池21から出力された電力を、DCDCコンバータ22を介して平滑コンデンサ13に入力して充電させる。これにより、突入電流の発生を抑制している。
【0054】
このプリチャージ処理について
図6を参照して詳しく説明する。制御装置50は、メインスイッチSMRH,SMRLをオフからオンに切り替えることが決定された場合、プリチャージ処理を実施する。メインスイッチSMRH,SMRLをオフからオンに切り替えるタイミングは、例えば、イグニッションスイッチがオンされたタイミングや、始動スイッチ又はパワースイッチがオンされたタイミングである。
【0055】
プリチャージ処理を開始すると、
図6に示すように、制御装置50は、メインスイッチSMRH,SMRLをオフにしたまま、DCDCコンバータ22を動作させて、蓄電池21の電力を平滑コンデンサ13に電力を転送する(ステップS201)。このステップS201において、制御装置50は、
図7に示すように、DCDCコンバータ22を間欠的に動作させ、平滑コンデンサ13が徐々に充電されるようにしている。また、その際、制御装置50は、
図7に示すように、DCDCコンバータ22の動作時間が徐々に長くなるようにして、平滑コンデンサ13へ入力される電流量が漸増するようにしている。
【0056】
ステップS201に係る処理を所定時間実施した後、制御装置50は、メインスイッチSMRHの第1端側と第2端側との電位差を図示しない電圧センサなどから取得し、電位差が閾値以下となったか否かを判定する(ステップS202)。この判定結果が否定の場合、制御装置50は、再びステップS201の処理を実施する。一方、この判定結果が肯定の場合、制御装置50は、メインスイッチSMRH,SMRLをオフからオンに切り替える(ステップS203)。
【0057】
上記構成によれば、以下のような効果を奏する。
【0058】
制御装置50は、メインスイッチSMRH,SMRLをオフからオンに切り替える前に、蓄電池21から出力された電力を、DCDCコンバータ22を介して平滑コンデンサ13に入力して充電させる。これにより、突入電流の発生を抑制している。よって、メインスイッチSMRH,SMRLにプリチャージ回路を並列に接続しなくても、突入電流を抑制することができ、回路構成を簡素化、小型化することができる。
【0059】
制御装置50は、平滑コンデンサ13を充電する場合、
図7に示すように、DCDCコンバータ22を間欠的に動作させ、平滑コンデンサ13を徐々に充電する。これにより、突入電流を確実に抑制できる。また、制御装置50は、平滑コンデンサ13を充電する場合、DCDCコンバータ22の動作時間が徐々に長くなるようにして、平滑コンデンサ13に入力する電流量が漸増するように、DCDCコンバータ22を制御する。これにより、突入電流を抑制しつつ、充電時間を短縮することができる。
【0060】
(変形例)
上記電源システム100の回路構成の一部を変更してもよい。以下、変形例について説明する。
【0061】
・
図8に示すように、電池パック20のインターフェース部付近に、フィルタなどノイズ対策回路300を設けてもよい。
【0062】
・外部充電器40として、単相充電器42のみを利用する場合、
図9に示すように、中性点を接続するためのリレースイッチ15a,15bのうちいずれか一方を削除してもよい。なお、
図9においてノイズ対策回路300は設けなくてもよい。
【0063】
・モータ11の電機子巻線11a~11cをリアクトルとして流用したが、
図10(a)に示すように、電機子巻線11a~11cの代わりのリアクトル111a~111cをそれぞれ設け、モータ11を流用しなくてもよい。この場合、インバータ12とリアクトル111a~111cとの間の通電及び通電遮断を切り替えるスイッチSW21~23を設ける必要がある。また、電機子巻線11b,11cの第1端と、インバータ12との間の通電及び通電遮断を切り替えるスイッチSW24~SW25を設ける必要がある。なお、外部充電器40として、単相充電器42のみを利用する場合、
図10(b)に示すような構成にしてもよい。このように充電専用のリアクトル111a~111cを設けることにより、損失やノイズを少なくすることができる。なお、
図10においてノイズ対策回路300は設けなくてもよい。
【0064】
・外部充電器40として、単相充電器42のみを利用する場合、
図11に示すような回路構成としてもよい。電機子巻線11cとインバータ12との間に、スイッチSW25を設け、スイッチSW25とインバータ12との間の接続点P10と、交流端子Tac3とを接続する。接続点P10と交流端子Tac3との間の電気経路には、スイッチSW23及びリアクトル111cが設けられている。また、モータ11の電機子巻線11a~11cの中性点には、交流端子Tac1が接続されている。中性点と交流端子Tac1との間の電気経路には、スイッチSW24が設けられている。なお、
図11においてノイズ対策回路300は設けなくてもよい。
【0065】
・DCDCコンバータ22を利用した平滑コンデンサ13のプリチャージの実施のみを目的とした場合、
図12~
図14に示す回路構成を採用してもよい。これらの構成にすれば、プリチャージ回路の削減することができる。
【0066】
図12では、駆動ユニット10にDCDCコンバータ22を搭載し、DCDCコンバータ22の1次側回路31に、PFC回路212及びリアクトル211a~211cを介して交流端子Tac1~Tac3を接続している。なお、
図12においてノイズ対策回路300は設けなくてもよい。
【0067】
図13では、電池パック20に収容されたDCDCコンバータ22の1次側回路31に、PFC回路212及びリアクトル211a~211cを介して交流端子Tac1~Tac3を接続している。なお、
図13においてノイズ対策回路300は設けなくてもよい。
【0068】
図14では、電池パック20及び駆動ユニット10とは別のオンボードチャージャ500にDCDCコンバータ22を搭載し、DCDCコンバータ22の1次側回路31に、PFC回路212及びリアクトル211a~211cを介して交流端子Tac1~Tac3を接続している。なお、
図13においてノイズ対策回路300は設けなくてもよい。
【0069】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0070】
以下、上述した各実施形態から抽出される特徴的な構成を記載する。
[構成1]
蓄電池(21)を備え、インバータ(12)を介してモータ(11)に接続される電源装置(20)において、
前記蓄電池の正極端子に接続される正極側電源経路(H1)に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記蓄電池の負極端子に接続される負極側電源経路(L1)に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部(31,32)と出力部(31,32)とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、
前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体(23)と、を備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続される電源装置。
[構成2]
前記インバータ、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記電圧変換回路を制御する電源制御装置(50)を備え、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記インバータを介して外部充電器(40,41,42)が接続されている場合、前記外部充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する構成1に記載の電源装置。
[構成3]
前記インバータ、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記電圧変換回路を制御する電源制御装置(50)を備え、
前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間には、平滑コンデンサ(13)が設けられており、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフからオンに切り替える前に、前記蓄電池から出力された電力を、前記電圧変換回路を介して前記平滑コンデンサに入力して充電する構成1又は2に記載の電源装置。
[構成4]
前記電源制御装置は、前記平滑コンデンサを充電する場合、前記平滑コンデンサに入力する電流量が漸増するように、前記電圧変換回路を制御する構成3に記載の電源装置。
[構成5]
蓄電池(21)と、インバータ(12)と、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータ(11)とを備える電源システム(100)の電源制御装置(50)において、
前記電源システムは、
前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間の正極側電源経路(H1)に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間の負極側電源経路(L1)に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部(31,32)と出力部(31,32)とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、を備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、
前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間には、平滑コンデンサ(13)が設けられており、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフからオンに切り替える前に、前記蓄電池から出力された電力を、前記電圧変換回路を介して前記平滑コンデンサに入力して充電する電源制御装置。
[構成6]
前記電源制御装置は、前記平滑コンデンサを充電する場合、前記平滑コンデンサに入力する電流量が漸増するように、前記電圧変換回路を制御する構成5に記載の電源制御装置。
[構成7]
前記電源システムは、前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体(23)を備え、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記インバータを介して外部充電器(40,41,42)が接続されている場合、前記外部充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する構成5又は6に記載の電源制御装置。
[構成8]
蓄電池(21)を備え、インバータ(12)を介してモータ(11)に接続される電源装置(20)と、前記インバータに接続され、前記電源装置と前記インバータを制御する電源制御装置(50)が実施する電源制御プログラムであって、
前記電源装置は、
前記蓄電池の正極端子に接続される正極側電源経路(H1)に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記蓄電池の負極端子に接続される負極側電源経路(L1)に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部(31,32)と出力部(31,32)とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、
前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体(23)と、を備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、
前記電源制御装置に、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記インバータを介して外部充電器(40,41,42)が接続されている場合、前記外部充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御する処理と、
前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する処理と、を実施させる電源制御プログラム。
[構成9]
蓄電池(21)と、インバータ(12)と、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータ(11)とを備える電源システム(100)の電源制御装置(50)が実施する電源制御プログラムであって、
前記電源システムは、
前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間の正極側電源経路(H1)に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間の負極側電源経路(L1)に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部(31,32)と出力部(31,32)とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、を備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、
前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間には、平滑コンデンサ(13)が設けられており、
前記電源制御装置に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフからオンに切り替える前に、前記蓄電池から出力された電力を、前記電圧変換回路を介して前記平滑コンデンサに入力して充電させる電源制御プログラム。
【符号の説明】
【0071】
11…モータ、12…インバータ、13…平滑コンデンサ、20…電池パック(電源装置)、21…蓄電池、22…DCDCコンバータ(電圧変換回路)、23…筐体、31…1次側回路、32…2次側回路、40…外部充電器、50…制御装置(電源制御装置)、100…電源システム、SMRH…正極側のメインスイッチ(第1スイッチ)、H1…正極側電源経路、H11…1次側回路の高電位側電気経路、H12…2次側回路の高電位側電気経路、SMRL…負極側のメインスイッチ(第2スイッチ)、L1…負極側電源経路、L11…1次側回路の低電位側電気経路、L12…2次側回路の低電位側電気経路。