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特開2024-157232電源システム及び電源制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157232
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電源システム及び電源制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241030BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241030BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02J7/00 L
H02M3/155 H
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071474
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】久保 俊一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5H730AA15
5H730AS17
5H730BB27
5H730DD03
5H730EE13
5H770AA09
5H770BA01
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA07Z
5H770JA17W
5H770JA17Y
5H770JA18W
5H770QA27
(57)【要約】
【課題】簡素な回路構成で、単相充電器を利用することができる電源システム及び電源制御プログラムを提供すること。
【解決手段】単相充電器42に接続可能な電源システム100は、正極側電源経路H1と、負極側電源経路L1と、整流部材15と、を備える。整流部材15は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2とが直列に接続されて構成され、負極側電源経路L1から正極側電源経路H1へ電流が流れることを許可する一方、正極側電源経路H1から負極側電源経路L1へ電流が流れることを制限する。単相充電器42が有する2つの接続端子のうち、第1の接続端子は、交流端子Tac1を介してモータ11の電機子巻線11a~11cの中性点に電気的に接続可能とされ、第2の接続端子は、交流端子Tac2を介して第1ダイオードD1と第2ダイオードD2との間に電気的に接続可能とされる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池(21)と、インバータ(12)と、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータ(11)とを備え、単相充電器(42)に接続可能な電源システム(100)において、
前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間に設けられる正極側電源経路(H1)と、
前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間に設けられる負極側電源経路(L1)と、
第1整流器(D1,Dp,Dp1)と第2整流器(D2,Dn,Dn1)とが直列に接続されて構成され、前記負極側電源経路から前記正極側電源経路へ電流が流れることを許可する一方、前記正極側電源経路から前記負極側電源経路へ電流が流れることを制限する整流部材(15,115)と、を備え、
前記単相充電器が有する2つの接続端子のうち、第1の接続端子は、前記モータの電機子巻線の中性点に電気的に接続可能とされ、第2の接続端子は、前記第1整流器と前記第2整流器との間に電気的に接続可能とされる電源システム。
【請求項2】
前記インバータを制御する電源制御装置(50)を備え、
前記電源制御装置は、前記インバータを制御することにより、前記単相充電器から入力された交流電流を直流電流に変換し、前記蓄電池に入力して充電する請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記正極側電源経路に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記負極側電源経路に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部と出力部とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、
前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体(23)と、備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記単相充電器が接続されている場合、前記単相充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記第1整流器及び前記第2整流器は、それぞれ半導体スイッチと当該半導体スイッチに対して逆並列に接続されたダイオードから構成されている請求項1~3のうちいずれか1項に記載の電源システム。
【請求項5】
前記電機子巻線に対向配置される界磁巻線(301)と、
前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間に設けられ、前記界磁巻線に流れる界磁電流の向きを制御する界磁巻線回路(302)と、を備え、
前記単相充電器の前記第2の接続端子は、前記界磁巻線回路に含まれている前記整流部材に電気的に接続可能とされている請求項1~3のうちいずれか1項に記載の電源システム。
【請求項6】
前記正極側電源経路に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記負極側電源経路に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチよりも前記インバータの側において、前記正極側電源経路及び前記負極側電源経路に接続される電圧変換回路(222)と、
前記電圧変換回路を介して前記正極側電源経路及び前記負極側電源経路に接続されている補助蓄電池(121)と、
前記インバータ及び前記電圧変換回路を制御する電源制御装置(50)と、を備え、
前記電源制御装置は、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記単相充電器が接続されている場合、前記単相充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記補助蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する一方、
前記単相充電器が接続されてない場合であって、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオンされている場合、前記補助蓄電池から出力された電圧を変換して、前記蓄電池に入力して充電するように前記電圧変換回路を制御する請求項1に記載の電源システム。
【請求項7】
蓄電池(21)と、インバータ(12)と、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータ(11)とを備え、単相充電器に接続可能な電源システム(100)の電源制御装置(50)が実施する電源制御プログラムにおいて、
前記電源システムは、
前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間に設けられる正極側電源経路(H1)と、
前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間に設けられる負極側電源経路(L1)と、
第1整流器と第2整流器とが直列に接続されて構成され、前記負極側電源経路から前記正極側電源経路へ電流が流れることを許可する整流部材(15)と、を備え、
前記単相充電器が有する2つの接続端子のうち、第1の接続端子は、前記モータの電機子巻線の中性点に電気的に接続可能とされ、第2の接続端子は、前記第1整流器と前記第2整流器との間に電気的に接続可能とされ、
前記電源制御装置に、前記単相充電器から入力された交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御する処理を実施させる電源制御プログラム。
【請求項8】
前記電源システムは、
前記正極側電源経路に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記負極側電源経路に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチよりも前記インバータの側において、前記正極側電源経路及び前記負極側電源経路に接続される電圧変換回路(222)と、
前記電圧変換回路を介して前記正極側電源経路及び前記負極側電源経路に接続されている補助蓄電池と(121)、を備え、
前記電源制御装置に、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記単相充電器が接続されている場合、前記単相充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記補助蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する第1処理と、
前記単相充電器が接続されてない場合であって、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオンされている場合、前記補助蓄電池から出力された電圧を変換して、前記蓄電池に入力し充電するように前記電圧変換回路を制御する第2処理と、を実施させる請求項7に記載の電源制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源システム及び電源制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを駆動させるインバータを構成するレグの一部を、バッテリ充電用のDC/AC変換回路の一部として流用し、装置全体を小型化しているものが知られている。このような装置としては、例えば、特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5874990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現在、車両バッテリを充電する充電器には、大電力を要するが高速充電可能な3相充電器と、高速充電できないが一般家庭においても設置容易な単相充電器が存在する。今後、車両用の充電器として、3相充電器が増加する見込みはあるものの、単相充電器も利用される可能性は高い。特に3相充電器が近くに存在しない場合に、単相充電器に利用される可能性が高い。その一方で、3相充電器が主に利用される可能性が高いことから、単相充電器を利用可能にするためだけに、装置の構成を複雑化することは望ましくない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、簡素な回路構成で、単相充電器を利用することができる電源システム及び電源制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、蓄電池と、インバータと、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータとを備え、単相充電器に接続可能な電源システムにおいて、前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間に設けられる正極側電源経路と、前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間に設けられる負極側電源経路と、第1整流器と第2整流器とが直列に接続されて構成され、前記負極側電源経路から前記正極側電源経路へ電流が流れることを許可する一方、前記正極側電源経路から前記負極側電源経路へ電流が流れることを制限する整流部材と、を備え、前記単相充電器が有する2つの接続端子のうち、第1の接続端子は、前記モータの電機子巻線の中性点に電気的に接続可能とされ、第2の接続端子は、前記第1整流器と前記第2整流器との間に電気的に接続可能とされる。
【0007】
これにより、整流部材を加えるだけという、簡素な構成で単相充電器を利用することができる。
【0008】
第2の手段は、電池と、インバータと、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータとを備え、単相充電器に接続可能な電源システムの電源制御装置が実施する電源制御プログラムにおいて、前記電源システムは、前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間に設けられる正極側電源経路と、前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間に設けられる負極側電源経路と、第1整流器と第2整流器とが直列に接続されて構成され、前記負極側電源経路から前記正極側電源経路へ電流が流れることを許可する整流部材と、を備え、前記単相充電器が有する2つの接続端子のうち、第1の接続端子は、前記モータの電機子巻線の中性点に電気的に接続可能とされ、第2の接続端子は、前記第1整流器と前記第2整流器との間に電気的に接続可能とされ、前記電源制御装置に、前記単相充電器から入力された交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御する処理を実施させる。
【0009】
これにより、整流部材を加えるだけという、簡素な構成で単相充電器を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の電源システムの構成図。
図2】電池パックの筐体を示す模式図。
図3】充電処理の手順を示すフローチャート。
図4】第2実施形態の電源システムの構成図。
図5】第2実施形態の充電処理の手順を示すフローチャート。
図6】変形例の電源システムの構成図。
図7】変形例の電源システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、複数の実施形態及び変形例を説明する。複数の実施形態及び変形例の相互間において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分及び/又は関連付けられる部分には同一の参照符号、又は百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分及び/又は関連付けられる部分については、他の実施形態や変形例の説明を参照することができる。
【0012】
<第1実施形態>
以下、本開示に係る電源システムを具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の電源システム100は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載される。
【0013】
図1に示すように、電源システム100は、駆動ユニット10と、電源装置としての電池パック20と、電源制御装置としての制御装置50と、を備える。駆動ユニット10は、正極側電源経路H1及び負極側電源経路L1を介して、電池パック20に接続されており、電池パック20から電力が供給される。また、駆動ユニット10は、外部充電器としての単相充電器42と接続可能に構成されており、単相充電器42から供給される電力は、駆動ユニット10を介して電池パック20に供給可能とされている。以下、各構成について詳しく説明する。
【0014】
まず、駆動ユニット10について説明する。駆動ユニット10には、モータ11と、インバータ12とが含まれる。モータ11は、3相の同期機であり、星形結線されたU,V,W相の電機子巻線11a~11cと、図示しないロータとを備えている。各相の電機子巻線11a~11cは、電気角で120°ずつずれて配置されている。モータ11は、例えば永久磁石型同期機である。ロータは、車両の駆動輪と動力伝達可能になっている。このため、モータ11は、車両を走行させるトルクの発生源となる。
【0015】
インバータ12は、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの直列接続体(以下、レグと示す)を3相分備えており、これらが並列に接続されている3相フルブリッジインバータである。上アームスイッチSWHには、フリーホイールダイオードである上アームダイオードDHが逆並列(逆極性)に接続され、下アームスイッチSWLには、フリーホイールダイオードである下アームダイオードDLが逆並列に接続されている。本実施形態において、各スイッチSWH,SWLは半導体スイッチ素子であり、例えば、IGBTであるが、MOSFETであってもよい。
【0016】
インバータ12は、平滑コンデンサ13を備えている。平滑コンデンサ13の高電位側端子は、正極側電源経路H1に接続されている。平滑コンデンサ13の低電位側端子は、負極側電源経路L1に接続されている。なお、平滑コンデンサ13は、インバータ12の外部に設けられていてもよい。
【0017】
各相において、上アームスイッチSWHの低電位側端子であるエミッタと、下アームスイッチSWLの高電位側端子であるコレクタとの接続点には、バスバー等の導電部材14を介して、電機子巻線11a~11cの第1端が接続されている。そして、各相の電機子巻線11a~11cの第2端同士は、中性点で接続されている。
【0018】
各相の上アームスイッチSWHのコレクタは、正極側電源経路H1に接続されている。各相の下アームスイッチSWLのエミッタは、負極側電源経路L1が接続されている。これにより、インバータ12は、正極側電源経路H1及び負極側電源経路L1を介して電池パック20に接続される。
【0019】
ところで、この駆動ユニット10は、外部充電器である単相充電器42に接続可能に構成されている。詳しく説明すると、各相の電機子巻線11a~11cの中性点は、電源システム100の交流端子Tac1に接続されている。
【0020】
また、駆動ユニット10の内部において、正極側電源経路H1と負極側電源経路L1との間には、2つのダイオードD1,D2が直列接続された整流部材15が設けられている。整流部材15を構成する第1ダイオードD1のカソードは、正極側電源経路H1に接続され、第1ダイオードD1のアノードは、第2ダイオードD2のカソードに接続されている。そして、第2ダイオードD2のアノードは、負極側電源経路L1に接続されている。これにより、ダイオードD1,D2は、負極側電源経路L1から正極側電源経路H1へ電流が流れることを許可する一方、正極側電源経路H1から負極側電源経路L1へ電流が流れることを制限する。第1ダイオードD1が第1整流器に相当し、第2ダイオードD2が第2整流器に相当する。第1ダイオードD1と第2ダイオードD2との間の接続点P1は、電源システム100の交流端子Tac2に接続されている。この交流端子Tac1,Tac2は、外部充電器としての単相充電器42(単相交流電源)に接続可能である。
【0021】
なお、中性点と交流端子Tac1との間の電気経路、及び接続点P1と交流端子Tac2との間の電気経路には、それぞれ通電及び通電遮断を切り替える充電器側リレースイッチSW1,SW2が設けられている。本実施形態において、充電器側リレースイッチSW1,SW2は、機械式のリレーである。充電器側リレースイッチSW1,SW2は、オフされると双方向の電流の流通を阻止し、オンされると双方向の電流の流通を許容する。なお、充電器側リレースイッチSW1,SW2は、機械式のリレーに限らず、例えば半導体スイッチング素子であってもよい。
【0022】
電池パック20は、蓄電池21と、DCDCコンバータ22(絶縁型の電圧変換回路)と、正極側電源経路H1に設けられた正極側のメインスイッチSMRH(第1スイッチ)と、負極側電源経路L1に設けられた負極側のメインスイッチSMRL(第2スイッチ)と、それらを収容する筐体23と、を備える。
【0023】
蓄電池21は、モータ11のロータを回転駆動させるための電力供給源となる。蓄電池21は、単電池である電池セルの直列接続体として構成された組電池である。蓄電池21の正極端子は正極側電源経路H1に接続され、負極端子は、負極側電源経路L1に接続されている。組電池を構成する各電池セルの端子間電圧(例えば定格電圧)は、例えば互いに同じに設定されている。電池セルは、例えば、リチウムイオン電池等の2次電池である。
【0024】
正極側のメインスイッチSMRHは、蓄電池21とインバータ12との間を接続する正極側電源経路H1の通電及び通電遮断を切り替えるスイッチである。同様に、負極側のメインスイッチSMRLは、蓄電池21とインバータ12との間を接続する負極側電源経路L1の通電及び通電遮断を切り替えるスイッチである。
【0025】
本実施形態において、メインスイッチSMRH,SMRLは、機械式のリレーである。メインスイッチSMRH,SMRLは、オフされると双方向の電流の流通を阻止し、オンされると双方向の電流の流通を許容する。なお、正極側のメインスイッチSMRH、負極側のメインスイッチSMRLは、機械式のリレーに限らず、例えば半導体スイッチング素子であってもよい。
【0026】
DCDCコンバータ22は、1次側回路31と、2次側回路32と、トランス33と、を備える。1次側回路31及び2次側回路32のうち一方が、入力部であり、他方が出力部である。なお、DCDCコンバータ22は、その役割により、入力部と出力部が適宜入れ替わる。
【0027】
トランス33は、1次側巻線34と、コア35と、コア35を介して1次側巻線34と磁気結合する2次側巻線36とを備えている。また、トランス33の1次側巻線34には1次側回路31が接続され、トランス33の2次側巻線36には2次側回路32が接続されている。
【0028】
1次側回路31は、単相フルブリッジ回路であり、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの直列接続体(レグ)を2つ備えており、これらが並列に接続されて構成されている。上アームスイッチSWHには、フリーホイールダイオードである上アームダイオードDHが逆並列(逆極性)に接続され、下アームスイッチSWLには、フリーホイールダイオードである下アームダイオードDLが逆並列に接続されている。本実施形態において、各スイッチSWH,SWLは半導体スイッチ素子であり、IGBTであっても、MOSFETであってもよい。
【0029】
1次側巻線34の両端のうち第1端は、1次側回路31を構成する2つのレグのうち第1のレグに接続されており、残りの第2端は、1次側回路31を構成する2つのレグのうち残りの第2のレグに接続されている。より詳しくは、各レグにおいて、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの間の接続点には、1次側巻線34の端部がそれぞれ接続されている。なお、2次側回路32も、1次側回路31と同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。
【0030】
そして、1次側回路31を構成する各上アームスイッチSWHのコレクタ(高電位側端子)は、高電位側電気経路H11を介して、正極側のメインスイッチSMRHとインバータ12の間における正極側電源経路H1に接続されている。また、2次側回路32を構成する各上アームスイッチSWHのコレクタ(高電位側端子)は、高電位側電気経路H12を介して、正極側のメインスイッチSMRHと蓄電池21の正極端子の間における正極側電源経路H1に接続されている。
【0031】
すなわち、正極側のメインスイッチSMRHの両端のうち第1端側には、1次側回路31の高電位側電気経路H11が接続され、メインスイッチSMRHの両端のうち残りの第2端側には、2次側回路32の高電位側電気経路H12が接続されている。
【0032】
同様に、1次側回路31を構成する各下アームスイッチSWLのエミッタ(低電位側端子)は、低電位側電気経路L11を介して、負極側のメインスイッチSMRLとインバータ12の間における負極側電源経路L1に接続されている。また、2次側回路32を構成する各下アームスイッチSWLのエミッタ(低電位側端子)は、低電位側電気経路L12を介して、負極側のメインスイッチSMRLと蓄電池21の負極端子の間における負極側電源経路L1に接続されている。
【0033】
すなわち、負極側のメインスイッチSMRLの両端のうち第1端側には、1次側回路31の低電位側電気経路L11が接続され、メインスイッチSMRLの両端のうち残りの第2端側には、2次側回路32の低電位側電気経路L12が接続されている。
【0034】
次に、電池パック20の筐体23について説明する。図1及び図2に示すように、筐体23は、蓄電池21と、DCDCコンバータ22と、メインスイッチSMRH,SMRLと、正極側電源経路H1の少なくとも一部と、負極側電源経路L1の少なくとも一部と、を収容可能に構成されている。筐体23は、外部から接触不能に収容物を収容していることが望ましいが、一部が露出しても構わない。筐体23の材質は、アルミなどの金属製でもよいし、樹脂製であってもよい。また、図2に示すように、車体の一部(図2ではフロア23a)を、筐体23の開口部を塞ぐ蓋部材として活用してもよい。
【0035】
次に制御装置50について説明する。制御装置50は、電池パック20、つまり、筐体23の内部に収容されていてもよいし、外部に配置されていてもよい。電源システム100の制御装置50は、マイコンを主体として構成され、マイコンは、CPUを備えている。マイコンが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。
【0036】
例えば、マイコンがハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコンは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する図2等に示す処理のプログラム(電源制御プログラム)が含まれる。プログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えばOTA(Over The Air)等、インターネット等の通信ネットワークを介して更新可能である。
【0037】
制御装置50は、図示しない各種センサ(電圧センサ、電流センサ、回転角度センサなど)の検出値に基づいて、モータ11の制御量を指令値にフィードバック制御すべく、インバータ12を構成する各スイッチSWH,SWLのスイッチング制御を行う。制御量は例えばトルクである。各相において、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとは交互にオンされる。このフィードバック制御により、ロータの回転動力が駆動輪に伝達され、車両が走行する。
【0038】
また、制御装置50は、単相充電器42が接続された場合、蓄電池21の電池状態に基づいて、充電制御に係る充電処理を実施する。充電処理は、車両停止中、蓄電池21の蓄電状態(SOC:State Of Charge)が閾値以下の場合、所定周期ごとに実行される。詳しくは、図3に示すように、制御装置50は、メインスイッチSMRH,SMRLがオフされているとき、単相充電器42が接続されているか否かを判定する(ステップS101)。この判定結果が否定の場合、充電処理を終了する。
【0039】
一方、制御装置50は、ステップS101の判定結果が肯定の場合、充電器側リレースイッチSW1,SW2をオンし、単相充電器42からの電力を変換させるようにインバータ12の各スイッチSWH,SWLを制御する(ステップS102)。具体的には、制御装置50は、インバータ12の各スイッチSWH,SWLを制御して、交流電流を直流電流に変換する。その際、制御装置50は、モータ11の電機子巻線11a~11c、インバータ12を構成するレグ、ダイオードD1,D2及び平滑コンデンサ13を力率改善回路(PFC(power factor correction)回路)として利用し、力率を1.0に近づけるように、あるいは高周波成分を少なくするように交流電流を直流電流に変換する。
【0040】
ステップS102とともに、制御装置50は、インバータ12により変換された電力を蓄電池21に入力して充電するようにDCDCコンバータ22を制御する(ステップS103)。より詳しくは、制御装置50は、DCDCコンバータ22を動作させて、駆動ユニット10から電源経路H1,L1を介して入力した直流電流の電圧を適切に変換し、蓄電池21に入力して充電する。充電終了後、充電処理を終了する。
【0041】
上記構成によれば、以下のような効果を奏する。
【0042】
単相充電器42が有する2つの接続端子のうち、第1の接続端子は、交流端子Tac1を介してモータ11の電機子巻線11a~11cの中性点に電気的に接続可能とされ、第2の接続端子は、交流端子Tac3を介して第1ダイオードD1と第2ダイオードD2との間に電気的に接続可能とされている。これにより、制御装置50は、モータ11の電機子巻線11a~11c、インバータ12を構成するレグ、ダイオードD1,D2及び平滑コンデンサ13を利用して、単相充電器42からの交流電流を直流電流に変換することができる。また、その際、制御装置50は、モータ11の電機子巻線11a~11c、インバータ12を構成するレグ、ダイオードD1,D2及び平滑コンデンサ13を力率改善回路として利用し、力率を1.0に近づけるように、あるいは高周波成分を少なくするように交流電流を直流電流に変換することができる。
【0043】
このように、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2とを直列接続した整流部材15を設けるという簡素な構成で、力率改善回路やAC/DCコンバータといった回路を用意しなくても、力率を調整し、電流を変換することができる。
【0044】
正極側のメインスイッチSMRHの両端のうち第1端は、1次側回路31の高電位側電気経路H11に接続され、第2端は、2次側回路32の高電位側電気経路H12に接続されている。また、負極側のメインスイッチSMRLの両端のうち第1端は、1次側回路31の低電位側電気経路L11に接続され、第2端は、2次側回路32の低電位側電気経路L12に接続されている。
【0045】
このため、メインスイッチSMRH,SMRLをオフしたまま、すなわち、絶縁したままインバータ12により変換された直流電流の電圧をDCDCコンバータ22により変換して、蓄電池21を充電できる。したがって、筐体23の外に配置される電源経路H1,L1と蓄電池21との間の通電を遮断するためのメインスイッチSMRH,SMRLを、DCDCコンバータ22を利用する際に蓄電池21とインバータ12との間の通電を遮断するために流用できる。このため、スイッチを削減することができ、装置を簡素化し、小型化することができる。
【0046】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態の電源システム200では、図4に示すように、蓄電池21とは別に、補助電池としての補機用蓄電池121を備える。補機用蓄電池121は、一般的に、蓄電池21よりも低圧のバッテリであり、例えば鉛蓄電池等の2次電池である。補機用蓄電池121は、通常、モータ11に電力を供給するためには使用されず、補機(エアコンやライトなど)に電力を供給するために用いられる。
【0047】
また、電源システム200は、補機用蓄電池121に接続されるDCDCコンバータ222を備えており、補機用蓄電池121は、DCDCコンバータ222を介して電源経路H1,L1に接続されている。詳しく説明すると、DCDCコンバータ222は、第1実施形態のDCDCコンバータ22と同様に、絶縁型の電圧変換回路であり、DCDCコンバータ222の2次側回路232の高電位側電気経路H112は、正極側電源経路H1に接続されている。より詳しくは、当該高電位側電気経路H112は、正極側のメインスイッチSMRHとインバータ12との間において、正極側電源経路H1に接続されている。
【0048】
同様に、DCDCコンバータ222の2次側回路232の低電位側電気経路L112は、負極側電源経路L1に接続されている。より詳しくは、当該低電位側電気経路L112は、負極側のメインスイッチSMRLとインバータ12との間において、負極側電源経路L1に接続されている。
【0049】
一方、DCDCコンバータ222の1次側回路231の高電位側電気経路H111は、補機用蓄電池121の正極端子に接続され、低電位側電気経路L111は、補機用蓄電池121の負極端子に接続されている。DCDCコンバータ222の構成(1次側回路231、2次側回路232、及びトランス33)は、第1実施形態のDCDCコンバータ22の構成(1次側回路31、2次側回路32、及びトランス33)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
ところで、第2実施形態の電源システム200は、第1実施形態のようなDCDCコンバータ22を適切に利用できない場合を想定した構成となっている。適切に利用できない場合とは、例えば、故障などによりDCDCコンバータ22を利用できない場合や、そもそも電源システム200に第1実施形態のようなDCDCコンバータ22が設けられていない場合等が含まれる。第2実施形態の電源システム200では、この場合、単相充電器42によって一旦補機用蓄電池121を充電し、その後、補機用蓄電池121から蓄電池21に電力を供給して、充電している。
【0051】
第2実施形態の充電処理について図5に基づいて詳しく説明する。充電処理は、車両停止中、蓄電池21の蓄電状態(SOC:State Of Charge)が閾値以下の場合、所定周期ごとに実行される。
【0052】
制御装置50は、メインスイッチSMRH,SMRLがオフされているとき、単相充電器42が接続されているか否かを判定する(ステップS201)。この判定結果が否定の場合、充電処理を終了する。
【0053】
一方、制御装置50は、ステップS201の判定結果が肯定の場合、補機用蓄電池121のSOCが所定値以上であるか否かを判定する(ステップS202)。所定値は、補機用蓄電池121から蓄電池21に電力を供給しても十分な値であることを示す値が設定される。
【0054】
この判定結果が否定の場合、制御装置50は、充電器側リレースイッチSW1,SW2をオンし、単相充電器42からの電力を変換させるようにインバータ12の各スイッチSWH,SWLを制御する(ステップS203)。具体的には、制御装置50は、交流電流を直流電流に変換する。その際、制御装置50は、モータ11の電機子巻線11a~11c、インバータ12を構成するレグ、ダイオードD1,D2及び平滑コンデンサ13を力率改善回路として利用し、力率を1.0に近づけるように、あるいは高周波成分を少なくするように交流電流を直流電流に変換する。
【0055】
ステップS203の処理とともに、制御装置50は、インバータ12により変換された電力を補機用蓄電池121に入力して充電するようにDCDCコンバータ222を制御する(ステップS204)。より詳しくは、制御装置50は、DCDCコンバータ222を動作させて、駆動ユニット10から電源経路H1,L1を介して入力した直流電流の電圧を適切に変換し、補機用蓄電池121に入力して充電する。これらのステップS203,S204の処理が、第1処理に相当する。充電してから所定時間経過後、制御装置50は、ステップS202の処理を実施する。
【0056】
一方、ステップS202の判定結果が肯定の場合(補機用蓄電池121のSOCが所定値以上である場合)、制御装置50は、充電器側リレースイッチSW1,SW2をオフして、メインスイッチSMRH,SMRLをオンする(ステップS205)。
【0057】
その後、制御装置50は、DCDCコンバータ222を制御することによって、補機用蓄電池121からの直流電流の電圧を適切に変換し、蓄電池21に入力して充電する(ステップS206)。充電終了後、充電処理を終了する。ステップS206の処理が、第2処理に相当する。なお、ステップS206の処理中、補機用蓄電池121のSOCが予め決められた下限値以下となった場合、再び単相充電器42によって補機用蓄電池121を充電してもよい。つまり、ステップS203に移行してもよい。
【0058】
上記構成によれば、以下のような効果を奏する。
【0059】
電源システム200では、単相充電器42から入力した電力を、一旦補機用蓄電池121に充電し、その後、補機用蓄電池121からの直流電流の電圧をDCDCコンバータ222によって変換して蓄電池21に入力し、充電する。これにより、第1実施形態のようなDCDCコンバータ22を適切に利用できない場合であっても、単相充電器42を利用して、蓄電池21を充電することができる。
【0060】
(変形例)
上記実施形態の電源システム100,200の構成の一部を変更してもよい。以下、変形例を示す。
【0061】
・上記実施形態の整流部材15は、第1整流器と第2整流器とが直列に接続されて構成され、負極側電源経路L1から正極側電源経路H1へ電流が流れることを許可する一方、正極側電源経路H1から負極側電源経路L1へ電流が流れることを制限するものであれば、任意にその構成を変更してもよい。
【0062】
・上記実施形態の第1整流器と第2整流器を、例えば、図6に示すように、それぞれ半導体スイッチと当該半導体スイッチに対して逆並列に接続されたダイオードから構成してもよい。すなわち、上アームダイオードDpが逆並列に接続された上アームスイッチSpと、下アームダイオードDnが逆並列に接続された下アームスイッチSnとの直列接続体であるレグ115を、整流部材としてもよい。このレグ115は、インバータ12と並列となるように、電源経路H1,L1に接続される。また、交流端子Tac2は、上アームダイオードDpと下アームダイオードDnとの接続点に接続されている。
【0063】
図6のように構成した場合、単相充電器42から蓄電池21を充電することができるともに、レグ115及びインバータ12によって、蓄電池21からの出力電力を交流電流に変換して、交流端子Tac1,Tac2に接続された外部機器に供給することもできる。
【0064】
・上記実施形態の整流部材15として、巻線界磁型同期電動機のモータにおける界磁巻線回路に含まれる整流部材を流用してもよい。これについて詳しく説明する。図7に示す電源システムは、巻線界磁型同期電動機のモータ111を備える。モータ111は、モータ111の電機子巻線111a~111cに対向配置される界磁巻線301と、界磁巻線301に流れる界磁電流の向きを制御する界磁巻線回路302を備える。
【0065】
界磁巻線回路302は、上アームダイオードDp1が逆並列に接続された上アームスイッチSp1に、下アームダイオードDn1が直列に接続された第1の直列接続体と、上アームダイオードDp2に、下アームダイオードDn2が逆並列に接続された下アームスイッチSn2が直列に接続された第2の直列接続体と、を有する。なお、上アームダイオードDp1,Dp2のアノードは、それぞれ下アームダイオードDn1,Dn2のカソードに接続されている。
【0066】
この界磁巻線回路302は、インバータ12に対して並列となるように、正極側電源経路H1及び負極側電源経路L1に接続されている。すなわち、界磁巻線回路302の第1の直列接続体と、第2の直列接続体は、正極側電源経路H1と負極側電源経路L1の間において、並列に接続されている。その際、上アームダイオードDp1,Dp2のカソードは、正極側電源経路H1に接続され、下アームダイオードDn1,Dn2のアノードは、負極側電源経路L1に接続されている。
【0067】
また、界磁巻線301の第1端は、上アームダイオードDp1と下アームダイオードDn1との間の接続点P31に接続され、第2端は、上アームダイオードDp2と下アームダイオードDn2との間の接続点P32に接続されている。
【0068】
交流端子Tac2は、上アームダイオードDp1と下アームダイオードDn1との間の接続点P31に接続されている。つまり、界磁巻線301の第1端と、上アームダイオードDp1と下アームダイオードDn1との間の接続点P31との間の電気経路に接続されている。なお、交流端子Tac2は、上アームダイオードDp2と下アームダイオードDn2との間の接続点P32に接続されていてもよい。
【0069】
そして、制御装置50は、界磁巻線回路302の上アームスイッチSp1と下アームスイッチSn2のオンオフ制御可能に構成されており、これらのオンオフ制御を行うことにより、界磁電流の向きを制御するように構成されている。また、蓄電池21(又は補機用蓄電池121)を充電する際、制御装置50は、界磁巻線回路302及びインバータ12を制御することによって、単相充電器42からの直流電流を交流電流に変換して、蓄電池21に充電するようになっている。
【0070】
・上記第1実施形態において、DCDCコンバータ22を設けなくてもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0071】
以下、上述した各実施形態から抽出される特徴的な構成を記載する。
[構成1]
蓄電池(21)と、インバータ(12)と、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータ(11)とを備え、単相充電器(42)に接続可能な電源システム(100)において、
前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間に設けられる正極側電源経路(H1)と、
前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間に設けられる負極側電源経路(L1)と、
第1整流器(D1,Dp,Dp1)と第2整流器(D2,Dn,Dn1)とが直列に接続されて構成され、前記負極側電源経路から前記正極側電源経路へ電流が流れることを許可する一方、前記正極側電源経路から前記負極側電源経路へ電流が流れることを制限する整流部材(15,115)と、を備え、
前記単相充電器が有する2つの接続端子のうち、第1の接続端子は、前記モータの電機子巻線の中性点に電気的に接続可能とされ、第2の接続端子は、前記第1整流器と前記第2整流器との間に電気的に接続可能とされる電源システム。
[構成2]
前記インバータを制御する電源制御装置(50)を備え、
前記電源制御装置は、前記インバータを制御することにより、前記単相充電器から入力された交流電流を直流電流に変換し、前記蓄電池に入力して充電する構成1に記載の電源システム。
[構成3]
前記正極側電源経路に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記負極側電源経路に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
入力部と出力部とが電気的に絶縁された絶縁型の電圧変換回路(22)と、
前記蓄電池、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記電圧変換回路を収容する筐体(23)と、備え、
前記第1スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の高電位側電気経路が接続され、前記第1スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の高電位側電気経路が接続され、
前記第2スイッチの両端のうち第1端側には、前記入力部の低電位側電気経路が接続され、前記第2スイッチの両端のうち残りの第2端側には、前記出力部の低電位側電気経路が接続され、
前記電源制御装置は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記単相充電器が接続されている場合、前記単相充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する構成2に記載の電源システム。
[構成4]
前記第1整流器及び前記第2整流器は、それぞれ半導体スイッチと当該半導体スイッチに対して逆並列に接続されたダイオードから構成されている構成1~3のうちいずれかに記載の電源システム。
[構成5]
前記電機子巻線に対向配置される界磁巻線(301)と、
前記正極側電源経路と前記負極側電源経路との間に設けられ、前記界磁巻線に流れる界磁電流の向きを制御する界磁巻線回路(302)と、を備え、
前記単相充電器の前記第2の接続端子は、前記界磁巻線回路に含まれている前記整流部材に電気的に接続可能とされている構成1~4のうちいずれかに記載の電源システム。
[構成6]
前記正極側電源経路に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記負極側電源経路に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチよりも前記インバータの側において、前記正極側電源経路及び前記負極側電源経路に接続される電圧変換回路(222)と、
前記電圧変換回路を介して前記正極側電源経路及び前記負極側電源経路に接続されている補助蓄電池(121)と、
前記インバータ及び前記電圧変換回路を制御する電源制御装置(50)と、を備え、
前記電源制御装置は、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記単相充電器が接続されている場合、前記単相充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記補助蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する一方、
前記単相充電器が接続されてない場合であって、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオンされている場合、前記補助蓄電池から出力された電圧を変換して、前記蓄電池に入力して充電するように前記電圧変換回路を制御する構成1~5のうちいずれかに記載の電源システム。
[構成7]
蓄電池(21)と、インバータ(12)と、前記インバータを介して前記蓄電池に接続されるモータ(11)とを備え、単相充電器に接続可能な電源システム(100)の電源制御装置(50)が実施する電源制御プログラムにおいて、
前記電源システムは、
前記蓄電池の正極端子と前記インバータの高電位側端子との間に設けられる正極側電源経路(H1)と、
前記蓄電池の負極端子と前記インバータの低電位側端子との間に設けられる負極側電源経路(L1)と、
第1整流器と第2整流器とが直列に接続されて構成され、前記負極側電源経路から前記正極側電源経路へ電流が流れることを許可する整流部材(15)と、を備え、
前記単相充電器が有する2つの接続端子のうち、第1の接続端子は、前記モータの電機子巻線の中性点に電気的に接続可能とされ、第2の接続端子は、前記第1整流器と前記第2整流器との間に電気的に接続可能とされ、
前記電源制御装置に、前記単相充電器から入力された交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御する処理を実施させる電源制御プログラム。
[構成8]
前記電源システムは、
前記正極側電源経路に設けられる第1スイッチ(SMRH)と、
前記負極側電源経路に設けられる第2スイッチ(SMRL)と、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチよりも前記インバータの側において、前記正極側電源経路及び前記負極側電源経路に接続される電圧変換回路(222)と、
前記電圧変換回路を介して前記正極側電源経路及び前記負極側電源経路に接続されている補助蓄電池と(121)、を備え、
前記電源制御装置に、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオフされ、前記単相充電器が接続されている場合、前記単相充電器からの交流電流を直流電流に変換させるように前記インバータを制御するとともに、前記インバータによって変換された直流電流の電圧を変換して前記補助蓄電池を充電するように前記電圧変換回路を制御する第1処理と、
前記単相充電器が接続されてない場合であって、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチがオンされている場合、前記補助蓄電池から出力された電圧を変換して、前記蓄電池に入力し充電するように前記電圧変換回路を制御する第2処理と、を実施させる構成7に記載の電源制御プログラム。
【符号の説明】
【0072】
10…駆動ユニット、11…モータ、12…インバータ、13…平滑コンデンサ、15…整流部材、20…電池パック、21…蓄電池、22,222…DCDCコンバータ(電圧変換回路)、23…筐体、50…制御装置(電源制御装置)、100,200…電源システム、121…補機用蓄電池(補助蓄電池)、SMRH…正極側のメインスイッチ(第1スイッチ)、SMRL…負極側のメインスイッチ(第2スイッチ)、H1…正極側電源経路、L1…負極側電源経路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7