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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157236
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20241030BHJP
   G08B 5/00 20060101ALI20241030BHJP
   B61B 1/02 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B61L25/02 Z
G08B5/00 Q
B61B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071479
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宣行
【テーマコード(参考)】
3D101
5C083
5H161
【Fターム(参考)】
3D101AA03
3D101AA05
3D101AA26
3D101AC04
5C083AA02
5C083BB06
5C083BB10
5C083CC13
5C083DD12
5C083EE02
5C083EE10
5C083JJ59
5H161AA01
5H161GG03
5H161GG13
5H161GG16
5H161GG22
(57)【要約】
【課題】乗客に列車Tの車両に関する情報を提供し、乗客に対する利便性を向上することができる表示装置100を提供する。
【解決手段】車両Vを有する列車Tに関する情報を表示する表示装置100であって、表示部11と制御装置12とを備える。表示部11は、駅において前記列車Tの前記車両VのドアDに向かい合って設置されるホームドア1と前記ホームドア1が収納される戸袋2との少なくとも一方に配置される。制御装置12は、前記ホームドア1に対応する前記車両に関する情報を表示するように、前記表示部11を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を有する列車に関する情報を表示する表示装置であって、
駅において前記列車の前記車両のドアに向かい合って設置されるホームドアと前記ホームドアが収納される戸袋との少なくとも一方に配置される表示部と、
前記ホームドアに対応する前記車両に関する情報を表示するように、前記表示部を制御する制御装置と
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記車両内における人の存在を検知し、前記人の存在を示す人の存在情報を出力する検知装置をさらに備え、
前記列車が前記駅に到着する前に、前記制御装置は前記ホームドアに対応する前記車両の前記人の存在情報を表示するように、前記表示部を制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記検知装置により出力された前記人の存在情報を送信する送信装置と、
前記送信装置により送信された前記人の存在情報を受信する受信装置と
をさらに備え、
前記制御装置は、前記検知装置、前記送信装置および前記受信装置を制御する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記人の存在情報から前記駅に到着する前の前記車両内に存在する人の数を算出し、
前記人の数から前記車両内の混雑率を算出して、
前記混雑率を表示するように、前記表示部を制御する、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記車両の内部施設の情報を表示するように、前記表示部を制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記車両の内部施設の情報は、女性専用車両、グリーン車、弱冷房車、優先座席、指定席、車いすスペースおよびトイレに関する情報の少なくとも一つを含む、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記ホームドアは、左右方向に分割して開閉する分割式のホームドアであって、
前記表示部は、前記分割式のホームドアにおいて分割されたホームドアと、前記分割されたホームドアに対応して分割された戸袋との少なくとも一方についての左右それぞれに配置される、請求項5または請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記分割されたホームドアのそれぞれに対応した前記車両の内部施設の情報を表示するように、前記表示部を制御する、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記ホームドアは、左右方向に分割して開閉する分割式のホームドアであって、
前記表示部は、前記分割式のホームドアにおいて分割されたホームドアと、前記分割されたホームドアに対応して分割された戸袋との少なくとも一方についての左右それぞれに配置され、
前記検知装置は、前記分割されたホームドアのうち一方のホームドアに対応する前記車両の所定領域における前記人の存在と、他方のホームドアに対応する前記車両の所定領域における前記人の存在を検知し、
前記制御装置は、
前記一方のホームドアに対応する前記車両の前記所定領域における前記混雑率を表示するように、前記一方の表示部を制御し、
前記他方のホームドアに対応する前記車両の前記所定領域における前記混雑率を表示するように、前記他方の表示部を制御する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項10】
前記駅における前記ホームドアの前で前記列車の到着を待つ待機人の存在を検知し、前記待機人の存在を示す待機人の存在情報を出力する待機人検知装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記待機人検知装置により出力された前記待機人の存在情報を表示するように、前記表示部を制御する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記駅における前記ホームドアの前で前記列車の到着を待つ待機人の存在を検知し、前記待機人の存在を示す待機人の存在情報を出力する待機人検知装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記待機人の存在情報から前記待機人の数を算出し、
前記人の数および前記待機人の数から前記車両内の前記混雑率を算出し、
前記混雑率を表示するように、前記表示部を制御する、請求項4に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、列車の駅等においては、安全性の観点からホームドア設備が設置されている。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、ホームドア装置の開閉ドアの透明体領域に列車の到来や危険警告等の接近の情報などを表示するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-202717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、例えば優先座席の位置に関する情報など、乗客が今から乗車しようとしている列車の、車両に関する具体的な情報は提供されていない。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、乗客に列車の車両に関する情報を提供し、乗客に対する利便性を向上することができる表示装置を提供する、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面によれば、表示装置は、車両を有する列車に関する情報を表示するものであって、駅において前記列車の前記車両のドアに向かい合って設置されるホームドアと前記ホームドアが収納される戸袋との少なくとも一方に配置される表示部と、前記ホームドアに対応する前記車両に関する情報を表示するように、前記表示部を制御する制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、乗客は、列車が到着する前に、今から乗車しようとする列車の車両に関する情報を、把握することができる。よって、本開示は、乗客に対する利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】表示装置が備える制御装置における混雑率の算出処理を説明するフロー図である。
図3A】表示装置が備える表示部における車両の混雑状況の表示形態例(撮影画像)を説明する図である。
図3B】表示装置が備える表示部における車両の混雑状況の表示形態例(混雑度合)を説明する図である。
図3C】表示装置が備える表示部における車両の混雑状況の表示形態例(混雑率)を説明する図である。
図4A】表示部における車両情報の表示形態の例(女性専用車両)を説明する図である。
図4B】表示部における車両情報の表示形態の例(優先座席)を説明する図である。
図4C】表示部における車両情報の表示形態の例(対応する車両無し)を説明する図である。
図5A】表示部の配置形態の例(ホームドアに配置)を説明する図である。
図5B】表示部の配置形態の例(戸袋に配置)を説明する図である。
図5C】表示部の配置形態の例(ホームドアおよび戸袋に配置)を説明する図である。
図6】分割式のホームドアを備える表示装置の構成を示すブロック図である。
図7A】分割式のホームドアの表示部における車両に関する情報の表示形態の例(内部施設の情報)を説明する図である。
図7B】分割式のホームドアの表示部における車両に関する情報の表示形態の例(混雑状況)を説明する図である。
図7C】分割式のホームドアの表示部における車両に関する情報の表示形態の例(混雑度合)を説明する図である。
図8】待機人の混雑状況を表示可能な表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中、同一または相当部分については、同一の参照符号を付すことで、説明を繰り返さない。
【0011】
まず、図1を参照して、本開示の実施形態に係る表示装置100の基本的な構成について説明する。図1は、表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0012】
表示装置100は、車両を有する列車に関する情報を表示する。図1より、表示装置100は、表示部11と、制御装置12とを備える。表示部11は、乗客が今から列車Tに乗車しようとする駅(以下、当駅と称する)において設置されるホームドア1に配置される。表示部11は、当駅において列車Tの到着を待つ乗客に、情報を表示する。図1は、当駅に設けられた表示部11と、手前の駅に設けられた表示部11とを、ともに示す。これらの表示部11、11は同様の構成である。
【0013】
ホームドア1は、ホームと線路を仕切る衝立状の設備の一部を開閉させる扉であり、駅に到着した列車Tの車両Vが備えるそれぞれのドアDに向かい合った位置に設置される。ホームドア1は、車両VのドアDと連動して開閉し、乗客が乗降するとき以外は閉じた状態を保つ。
【0014】
ホームドア1が開くとき、ホームドア1は、衝立状の設備の一部に配置される戸袋2に収納される。表示部11は、ホームドア1以外にも、戸袋2(のホーム側)に配置されても良いし、ホームドア1と戸袋2の両方に配置されても良い。
【0015】
表示部11は、典型的には、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどである。
【0016】
表示部11は、本実施形態では2つのディスプレイを有しているが、表示させる情報は一つである。すなわち、表示部11は、2つのディスプレイを用いて一つの情報を表示する。したがって、左右いずれかのディスプレイのみで構成されても良い。
【0017】
制御装置12は、車両に関する情報を表示するように各駅の表示部11を制御する。車両に関する情報は、詳しくは後述するが、例えば優先座席の位置や乗客の混雑状況などに関する情報である。
【0018】
なお、制御装置12は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサー、通信部および記憶部を含む(不図示)。記憶部は、記憶装置を含み、記憶装置は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、および、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。制御装置12のプロセッサーは、記憶部の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、表示部11を制御する。
【0019】
制御装置12は、車両に関する情報をホームドア1の位置と関連付けて一覧にした車両情報テーブル12aを有する。具体的には、車両情報テーブル12aは、列車T毎の車両Vの構成、車両Vの内部施設に関する情報などの車両に関する情報を、各車両Vにおける各ホームドア1の位置と関連付けて一覧にしたものである。また、車両情報テーブル12aは、列車Tの運行情報と紐づいている。運行情報は、例えば鉄道事業者によって管理される運行情報データベース20などにより提供される。
【0020】
制御装置12は、当駅の表示部11に表示させる車両に関する情報を車両情報テーブル12aから取得する。具体的には、制御装置12は、当駅の表示部11に情報を表示する対象の列車Tを運行情報から特定し、特定した列車Tおよびホームドア1の位置に対応する車両に関する情報を車両情報テーブル12a上で検索して、取得する。そして、取得した情報を表示するように当駅の表示部11を制御する。
【0021】
なお、制御装置12は、車両に関する情報を、装置外に設けられ、運行情報などとも紐づいた統合的なデータベースなどから取得するように構成されても良い。
【0022】
以上のとおり、表示部11は、駅において列車Tの車両VのドアDに向かい合って設置されるホームドア1とホームドア1が収納される戸袋2との少なくとも一方に配置される。制御装置12は、ホームドア1に対応する車両に関する情報を表示するように、表示部11を制御する。
【0023】
したがって、表示装置100は、列車Tが当駅に到着する前に、列車Tの車両に関する情報を、乗客にとって分かり易いように提供する。その結果、表示装置100は、乗客に対する利便性を向上できる。
【0024】
同じく図1を参照して、表示部11に車両Vにおける乗客の状況を表示するための、表示装置100の構成について説明する。図1より、表示装置100は、検知装置13をさらに備える。
【0025】
検知装置13は、車両Vの混雑している程度を把握するために、当駅より1つ手前の駅(以下、手前の駅と称する)に到着した列車Tの車両Vにおける人の存在を検知する。
【0026】
検知装置13は、カメラ、赤外線センサ、超音波センサなどの非接触式のセンサを用いて構成されても良いし、例えば列車Tの車両V内における座席、床などにロードセルなどの接触式センサを配置して構成されても良い。
【0027】
検知装置13は、本実施形態では、カメラであり、手前の駅で、ホームに到着した車両Vにおける乗客の状況を撮影可能なように、ホーム上に配置される。なお、検知装置13は、後述するように車両V内に配置されても良い。または、検知装置13は、戸袋2上に配置されても良い。
【0028】
また、検知装置13は、本実施形態では、列車Tの車両Vにおける一対のドアD毎に対応して配置される。そして、検知装置13は、ドアD毎に車両Vにおける乗客の状況、すなわち乗客が存在している状況を撮影し、撮影した状況を、人の存在情報として出力する。
【0029】
制御装置12は、検知装置13が出力した人の存在情報を取得する。そして、制御装置12は、当駅における表示部11を制御し、表示部11が配置されているホームドア1に対応する車両Vについての人の存在情報を、表示部11に表示させる。
【0030】
このとき制御装置12は、列車Tが手前の駅を発車した後、列車Tが当駅に到着する前に、表示部11に人の存在情報を表示させる。また、制御装置12は、当駅において列車Tが発車するまで表示部11に人の存在情報を表示させる。
【0031】
したがって、乗客は、列車Tが到着する前に、列車Tの車両Vの混雑状況を直感的に把握することができる。その結果、乗客は、自発的に混雑を回避するように行動することができる。
【0032】
同じく図1を参照して、人の存在情報の送受信を行うための、表示装置100の構成について説明する。図1より、表示装置100は、送信装置14と、受信装置15とをさらに備える。
【0033】
送信装置14は、手前の駅において検知装置13により出力された人の存在情報を送信する。送信装置14により送信された人の存在情報を、受信装置15が受信する。送信装置14および受信装置15は、具体的にはインターネットや電波などを介して情報を送信および受信する電気通信装置である。
【0034】
制御装置12は、検出装置を制御して、手前の駅で検知した人の存在情報を出力させる。また、送信装置14を制御して、検知装置13が出力した人の存在情報を送信させる。さらに、受信装置15を制御して、送信装置14が送信した人の存在情報を受信させる。
【0035】
したがって、表示装置100は、人の存在情報を、手前の駅と当駅との間で通信することができる。その結果、乗客は、列車Tが到着する前に、列車Tにおける車両Vの混雑状況を把握することができる。
【0036】
次に、図2を参照して、人の存在情報を定量化した混雑率を算出するための手順について説明する。図2は、制御装置12における混雑率の算出処理を説明するためのフロー図である。
【0037】
まず、制御装置12は、受信装置15から人の存在情報を受信する(ステップS11)。人の存在情報は、具体的には、乗客が乗降している状況を撮影した動画データである。次に、制御装置12は、人の存在情報を画像解析し、車両Vから降車する乗客の人数(以下、降車人数と称する)と、車両Vに乗車する乗客の人数(以下、乗車人数と称する)を算出する(ステップS12)。
【0038】
具体的には、制御装置12は、例えばCNN(Convolutional Neural Network)を利用した物体検出モデルなどを用いて、乗客の存在を時系列で検出し、乗客の動きを把握して算出する。
【0039】
次に、制御装置12は、算出した乗車人数および降車人数を、制御装置12が備える解析結果テーブル12bに登録する(ステップS13)。解析結果テーブル12bは、各駅における乗車人数および降車人数の解析結果が登録されている。
【0040】
そして、制御装置12は、解析結果テーブル12bに登録されているデータから、手前の駅における車両Vの乗客の人数(以下、単に「人の数」と称する)を算出する(ステップS14)。
【0041】
具体的には、図2に示すように、始発駅からk番目の駅をS(k)、手前の駅をS(n)、車両Vにおける乗車人数をNi(k)、降車人数をNo(k)とすると、人の数は、始発駅から手前の駅までの乗車人数の和(Ni(1)+Ni(2)+・・・Ni(n))から2つ目の駅から手前の駅までの降車人数の和(No(2)+・・・No(n))を差し引いた値である。勿論、車両VのドアDが複数ある場合は、複数のドアD毎に算出した値の総数を求めて算出する。
【0042】
そして、制御装置12は、算出した人の数から混雑率を算出する(ステップS15)。具体的には、混雑の程度を比率として表すために、人の数を車両Vの定員数で除する。車両Vの定員数は、典型的には鉄道事業者によって定められる数を用いる。例えば、定員数は、通常の運行に支障のない定員数を示したサービス上の定員数であっても良いし、車両Vの構造または運転上、それ以上乗ると危険だという保安上の定員数であっても良い。制御装置12は、算出した混雑率を表示部11に送信し(ステップS16)、処理は終了する。
【0043】
以上のとおり、制御装置12は、人の存在情報から駅に到着する前の車両V内に存在する人の数を算出し、人の数から車両V内の混雑率を算出して、混雑率を表示するように、表示部11を制御する。したがって、乗客は、列車Tが到着する前に、列車Tにおける車両Vの混雑状況を具体的に把握することができる。その結果、乗客は、より自発的に混雑を回避するように行動することができる。
【0044】
以上、表示部11に人の存在情報を表示させる構成について説明した。具体的に図3を参照して、人の存在情報の表示形態の例について説明する。図3Aは、検知装置13が手前の駅で撮影した車両Vの混雑状況の画像を表示させている。図3Bは、同じく検知装置13が手前の駅で撮影した車両Vの混雑状況を、例えば簡易的な画像解析を行い、混雑度合として3段階で表示させている。図3Cは、混雑率を表示させている。
【0045】
次に、表示部11に車両Vの内部施設の情報を表示させる構成について説明する。
【0046】
上述した車両情報テーブル12aには、車両に関する情報が登録される。具体的には、車両Vの構成に関する情報(例えば、列車Tの何両目が女性専用車両であるといった情報)および、車両Vの内部施設に関する情報(例えば優先座席の位置についての情報)がホームドア1の位置と関連付けて登録されている。
【0047】
制御装置12は、車両情報テーブル12aから表示部11に表示させる車両Vの内部施設に関する情報を取得する。具体的には、制御装置12は、表示する対象の列車Tを運行情報から特定し、特定した列車Tおよびホームドア1の位置に対応する車両の内部施設に関する情報を車両情報テーブル12a上で検索して、取得する。そして、取得した情報を表示するように表示部11を制御する。
【0048】
図4に表示部11に車両Vの内部施設の情報を表示させた例を表示する。図4Aは、表示部11が配置されたホームドア1に対応した車両V(以下、対応する車両と称する)が、女性専用車両であることを表示し、図4Bは、対応する車両におけるホームドア1付近に優先座席があることを表示し、図4Cは、対応する車両が無いことを表示する。
【0049】
勿論、制御装置12は、表示部11を制御して、上述した内部施設の情報を複数含めて表示させるように構成されても良い。
【0050】
したがって、列車Tが到着する前に、乗客は、今から到着する列車Tの車両Vの内部施設の位置を把握することができる。その結果、表示装置100は、乗客(特に交通弱者)の内部施設を探す負担を軽減できる。
【0051】
車両Vの内部施設の情報としては、具体的には、図4で例示したものを含めて、女性専用車両、グリーン車、弱冷房車、優先座席、指定席、車いすスペースおよびトイレに関する情報の少なくとも一つを含む。
【0052】
したがって、車両Vの内部施設の情報に、乗客の種々の利用に応じた情報が含まれる。その結果、表示装置100は、乗客に対する利便性を向上できる。
【0053】
以下、図5を参照して、ホームドアが分割式のホームドア1L、1Rである場合に、ホームドア1L、1Rの左右それぞれに表示部11L、11Rを配置し、各表示部11L、11Rに独立した情報を表示させることができる、表示装置100の構成について説明する。図5は、分割式のホームドア1L、1Rにおける表示部11L、11Rの配置形態を説明する図である。
【0054】
図5に示すように、表示部11L、11Rを左右それぞれに配置し、各表示部11L、11Rに独立した情報を表示させるためには、表示部11L、11Rは、分割式のホームドア1L、1Rの左右それぞれに配置されても良いし(図5A)、分割された戸袋2L、2Rの左右それぞれに配置されても良いし(図5B)、または、ホームドア1L、1Rと戸袋2L、2Rの左右それぞれに配置されても良い(図5C)。
【0055】
したがって、ホームドア1L、1Rの左右それぞれに表示部11が配置される。その結果、乗客は、詳細に列車Tの車両に関する情報を把握することができる。
【0056】
以下、図6を参照して、ホームドア1L、1Rの左右それぞれに配置した表示部11L、11Rにそれぞれ車両に関する独立した情報を表示させるための、表示装置100の構成について説明する。図6は、分割式のホームドア1L、1Rを備える表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0057】
図6において、制御装置12は、左右それぞれに配置された表示部11L、11Rをそれぞれ制御する。制御装置12が備える車両情報テーブル12aは、車両Vの内部施設に関する情報を、左右それぞれのホームドア1L、1Rの位置と関連付けて登録されている。
【0058】
制御装置12は、車両情報テーブル12aから左右それぞれの表示部11L、11Rに表示させる車両Vの内部施設の情報を取得する。具体的には、制御装置12は、表示する対象の列車Tを運行情報から特定し、特定した列車Tおよび左右それぞれのホームドア1L、1Rの位置に対応する車両の内部施設の情報を車両情報テーブル12a上で検索して、取得する。そして、取得した情報を表示するように各表示部11を制御する。
【0059】
したがって、ホームドア1L、1Rの左右それぞれの表示部11L、11Rに車両Vの内部施設の情報が表示される。その結果、表示装置100は、乗客の内部施設を探す負担を一層軽減できる。
【0060】
同じく図6を参照して、分割式のホームドア1L、1Rの左右それぞれに配置した表示部11L、11Rに人の存在情報を表示させるための構成について説明する。
【0061】
図6において、検知装置13L、13Rは、左右それぞれのホームドア1L、1Rに対応する、車両V内における所定の領域A1、A2を検知可能なように配置される。検知装置13L、13Rは、それぞれの所定の領域A1、A2における人の存在を検知し、それぞれの人の存在情報を出力する。なお、図6における実施形態では、検知装置13L、13Rは、車両V内に配置される。
【0062】
制御装置12は、取得した人の存在情報から、各領域A1、A2における混雑率を算出する。具体的には、図2で説明したように、制御装置12が、画像解析(ステップS12)、人の数の算出(ステップS14)および混雑率の算出(ステップS15)を行う。但し、本実施形態では、検知装置13L、13Rは車両V内に配置されるため、画像解析(ステップS12)は、乗客が乗車した後の乗客の状況を撮影した撮影データを解析する。そして、混雑率の算出(ステップS15)は、対応する各領域A1、A2における定員数を用いて行う。
【0063】
制御装置12は、各表示部11L、11Rを制御して、各所定の領域A1、A2における混雑率を各表示部11L、11Rに表示させる。
【0064】
以上のとおり、制御装置12は、ホームドア1L、1Rのうちの一方に対応する車両の所定領域における混雑率を表示するように、表示部11L、11Rのうちの一方を制御し、ホームドア1L、1Rのうちの他方に対応する車両の所定領域における混雑率を表示するように、表示部11L、11Rのうちの他方を制御する。
【0065】
したがって、乗客は、列車Tにおける車両Vの混雑状況を、詳細に把握することができる。その結果、乗客は、混雑を回避して列車Tに乗車することができる。
【0066】
以上、ホームドアが分割式のホームドア1L、1Rである場合に、車両に関する情報を表示部11L、11Rに表示させる構成について説明した。具体的に図7を参照して、分割式のホームドア1L、1Rの表示部11L、11Rにおける車両に関する情報の表示形態の他の例について説明する。図7Aは、左右のホームドア1L、1Rに対応する車両の内部施設の情報を表示させている。図7Bは、左右のホームドア1L、1Rに対応する所定領域における車両Vの混雑状況を表示させている。図7Cは、混雑状況を、混雑度合として3段階で表示させている。
【0067】
次に、図8を参照して、表示部11に待機人の存在情報を表示させる表示装置100の構成について説明する。図8は、待機人の存在情報を表示可能な表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0068】
図8より、表示装置100は、待機人検知装置16をさらに備える。待機人検知装置16は、当駅において、ホームドア1の前で列車Tの到着を待つ待機人の状況を検知し、検知した待機人の状況を待機人の存在情報として出力する。本実施形態では、ホーム上で列車Tを待機している人の状況が撮影できるように、検知装置13が配置される。そして、待機人検知装置16により出力された待機人の存在情報は、送信装置14を介して、受信装置15により受信される。制御装置12は、表示部11を制御して、待機人の存在情報を表示部11に表示させる。
【0069】
したがって、乗客は、列車Tの混雑状況と、列車Tを待機している人の混雑状況とを両方把握することができる。その結果、乗客は、当駅で人が乗車した後の列車Tの混雑状況を詳細に把握することができる。
【0070】
次に、待機人の状況を考慮した混雑率を算出して、表示部11に表示させることができる表示装置100の構成について説明する。制御装置12は、表示部11を制御して、待機人検知装置16が検知して出力した待機人の存在情報を例えば上述した画像解析などにより解析して待機人の数を定量的に算出する。
【0071】
そして、制御装置12は、人の数(手前の駅における車両Vの乗客の人数)に当駅での待機人の数を加えて人の数を補正する。そして、補正した人の数を上述した車両Vの定員数で除することで、予想混雑率を算出し、表示部に表示させる。または、制御装置12は、図8に示すように、予想混雑率と待機人の数とを表示部11に表示させるように構成されても良い。
【0072】
以上のとおり、制御装置12は、待機人の存在情報から待機人の数を算出し、人の数および待機人の数から車両V内の混雑率を算出し、算出した混雑率を表示するように、表示部11を制御する。
【0073】
したがって、乗客は、列車Tの混雑状況と、列車Tを待機している人の状況とを定量的に把握することができる。その結果、乗客は、当駅で人が乗車した後の列車Tの混雑状況を一層詳細に把握することができる。
【0074】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態を説明した。但し、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
T 列車
V 車両
D ドア
1 ホームドア
2 戸袋
11 表示部
12 制御装置
12a 車両情報テーブル
12b 解析結果テーブル
13 検知装置
14 送信装置
15 受信装置
16 待機人検知装置
20 運行情報データベース
100 表示装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8