(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157247
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】外観選別装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/10 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B07C5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071497
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】香川 啓太
(72)【発明者】
【氏名】石田 昂平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大地
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AD06
3F079BA06
3F079CA23
3F079CA41
3F079CB25
3F079CB30
3F079CC04
3F079DA02
3F079EA16
(57)【要約】
【課題】搬送テーブル上にワークを残留させない外観選別装置を提供する。
【解決手段】部品Wを載置した状態で回転する円盤状の搬送テーブル11と、回転する搬送テーブル11上の部品Wの搬送される円環状の経路17上に設けられ、搬送される部品Wを撮像するカメラ21と、円環状の経路17以外の領域で搬送テーブル11を走査するセンサ31と、を備える、外観選別装置10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を載置した状態で回転する円盤状の搬送テーブルと、
回転する前記搬送テーブル上の前記部品の搬送される円環状の経路上に設けられ、搬送される前記部品を撮像するカメラと、
前記円環状の経路以外の領域で前記搬送テーブルを走査するセンサと、を備える、外観選別装置。
【請求項2】
前記センサに連結され、前記センサを前記搬送テーブルの径方向へ移動するアクチュエータを更に備える、請求項1に記載の外観選別装置。
【請求項3】
前記センサは、前記アクチュエータによって前記径方向へ移動されることで、前記搬送テーブル上の複数の円環状の領域を走査する、請求項2に記載の外観選別装置。
【請求項4】
前記センサで走査する領域は、前記カメラで走査する円環状の領域の内側である、請求項1又は2に記載の外観選別装置。
【請求項5】
前記センサは、イメージセンサである、請求項1又は2に記載の外観選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送テーブル上に6面体形状のワークを整列し、搬送テーブル上のワークをカメラで撮像してその外観を検査する装置が記載されている。また、特許文献1の段落0075には、ワークの排出手段として、搬送テーブルの内周側から圧縮空気を噴出して、ワークを搬送テーブルの外周側に飛ばして収納箱に導くことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この排出方法は機械的な手段ではないため、圧縮空気のノズルに付着した異物等により、圧縮空気の噴出経路が変化し、確実にワークを噴出できずに、例えば搬送テーブルの中央部等にワークが排出されてしまうことがある。また、例えば、作業者の袖についていたワークが搬送テーブルの中央部等に落ちてしまうことも考えられる。搬送テーブルの中央部は、ワークの搬送経路から外れているため、このようなワークは、ロットが交換されたとしても搬送テーブル上に残留し続けてしまう。その結果、このようなワークが設備トラブル時等に搬送経路に戻され、そのままロットに混入するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、搬送テーブル上にワークを残留させない外観選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の外観選別装置は、部品を載置した状態で回転する円盤状の搬送テーブルと、回転する上記搬送テーブル上の上記部品の搬送される円環状の経路上に設けられ、搬送される上記部品を撮像するカメラと、上記円環状の経路以外の領域で上記搬送テーブルを走査するセンサと、を備える、外観選別装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送テーブル上にワークを残留させない外観選別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る外観選別装置の一例を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す外観選別装置において外観検査部のカメラ及びワーク残留物検査部のセンサのそれぞれの走査領域を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の外観選別装置について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る外観選別装置の一例を模式的に示す平面図である。
【0011】
図1に示す外観選別装置10は、選別対象の部品であるワークWの外観を検査し、その検査結果に基づいてワークWを選別するものであり、搬送テーブル11、ホッパ12、ボールフィーダ13、リニアフィーダ14、整列ガイド15、複数の外観検査部20、ワーク排出部16、及び、ワーク残留物検査部30を備えている。
【0012】
ワークWは、ここではコンデンサやインダクタ等の直方体状(6面体形状)のチップ部品であるが、外観選別装置10による選別対象の部品の種類や形状は特に限定されない。
【0013】
搬送テーブル11は、透明な円盤状である。ガラス製(ガラステーブル)であることが好ましいが、透明なポリカーボネート等の樹脂製であってもいい。搬送テーブル11は、円盤の中心Oを軸として水平面内で回転可能に構成されており、ワークWを載置した状態で回転する。搬送テーブル11は、ワークWを間欠搬送していてもいい。
【0014】
ホッパ12は、ワークWが投入されており、ボールフィーダ13に取り付けられたセンサ(図示せず)の検出結果に基づいてボールフィーダ13上に滞留しているワークの量を判断する。そして、その判断結果に基づいてボールフィーダ13へワークWを一定量投入する。ボールフィーダ13に取り付けられるセンサとしては、例えば、光学センサ等を用い、光学センサをワークWに反応するように設定し、光学センサが一定時間反応しない場合にワークWの投入量が少ないという判断にする。
【0015】
ホッパ12に蓋(図示せず)を設けて、蓋が開閉することでワークWをボールフィーダ13に投入してもいいし、ホッパ12に圧電素子(図示せず)を接続して、圧電素子によりワークWをボールフィーダ13へ搬送してもいい。
【0016】
ボールフィーダ13は、圧電素子等により振動が与えられ、後述するリニアフィーダ14へワークWを搬送する。ボールフィーダ13には、上記のようにセンサが設けられており、センサの反応によりワークWの量を把握している。
【0017】
リニアフィーダ14には、圧電素子(図示せず)が接続されており、圧電素子により与えられた振動によりワークWを搬送テーブル11へ搬送する。リニアフィーダ14と搬送テーブル11とは互いに非接触であり、リニアフィーダ14は、一定の間隔をあけて搬送テーブル11の上方に配置されている。ワークWはリニアフィーダ14から押し出され、搬送テーブル11上に載置される。
【0018】
リニアフィーダ14の圧電素子の振動や、搬送テーブル11の回転速度を調整することで等間隔でワークWが搬送テーブル11に並ぶことになる。
【0019】
整列ガイド15は、搬送テーブル11と離間して配置されているが、ワークWと干渉し、ワークWの姿勢が一定になるように配置されている。
【0020】
整列ガイド15の前後に、図示しないが、ワークWに反応するセンサを配置してもいい。このセンサによりワークWの搬送テーブル11への供給量を決定してもいい。
【0021】
各外観検査部20は、イメージセンサ等のカメラ21により構成される。カメラ21は、回転する搬送テーブル11上に載置されたワークWが搬送される円環状の経路(ワークの搬送経路)17上に設けられている。各外観検査部20のカメラ21は、搬送されるワークWの異なる面を撮像する。また、各外観検査部20には光源(図示せず)も同様に配置されている。光源としては例えばリング照明等が用いられている。各外観検査部20からの画像データがPC(図示せず)に転送され、PCによりワークWの良品又は不良品の判別がなされ、これらの結果を基にワークWを排出する。このように、ワークWが搬送される円環状の経路17とは、ワークWの外観検査用のカメラ21によって走査される円環状の領域に相当するものであり、通常では円盤状の搬送テーブル11の最外周部に位置する。
【0022】
ワーク排出部16には、圧縮空気を吹き出すノズル(図示せず)が搬送テーブル11の内周側から外周側に向けて配置され、圧縮空気によりワークWを搬送テーブル11外に吹き飛ばす。搬送テーブル11外には吹き飛ばされたワークWを受け止める収納箱(BIN、図示せず)が用意されており、判別結果によりワークWが選別されて排出される。
【0023】
上述のように、リニアフィーダ14から搬送テーブル11上に供給されたワークWは、搬送テーブル11が回転することで円環状に搬送され、ワークWの搬送経路17は円環状となる。ただし、外観検査部20による検査結果に基づいて、通常では、搬送テーブル11上を一周する前にワーク排出部16にて搬送テーブル11上から排出される。すなわち、ワーク排出部16にて搬送テーブル11上から正常に排出されたワークWの軌道は、円弧状になる。しかしながら、ワーク排出部16は、圧縮空気によりワークWを吹き飛ばすため、ワーク排出部16によって排出されずにワーク排出部16を通過するワークW1が発生し得る。そのようなワークW1の軌道は、円環状になる。また、収納箱に収容されずにワークWの搬送経路17以外の領域(例えば搬送テーブル11の中央部)に残留するワークW2が発生し得る。この残留したワークW2の軌道も円環状となる。
【0024】
そのようなワークW2を発見するためにワーク残留物検査部30が設けられている。ワーク残留物検査部30は二つの部位からなる。一つはセンサ31であり、ワークW2に反応するように設定されている。一つはセンサ31に連結されたアクチュエータ32である。
【0025】
センサ31により搬送テーブル11上を走査する。センサ31は、ワークWが搬送される円環状の経路17以外の領域上に配置されており、当該領域を搬送テーブル11の上方から走査する。このようにセンサ31によりワークWの円環状の搬送経路17以外の領域で搬送テーブル11を走査することで、ワークWの搬送経路17以外の領域に残留したワークW2を検出することができる。したがって、搬送テーブル11上にワークWを残留させないようにすることができる。ここで、センサ31は、ワークWの搬送経路17の内側(搬送テーブル11の中心Oに近い側)を走査することが好ましい。
【0026】
また、センサ31は、搬送テーブル11を回転させることで搬送テーブル11を円環状に走査することが可能となる。これにより、円盤状の搬送テーブル11上の領域を効率的に走査することができる。
【0027】
センサ31としては、カメラ、ラインセンサ等のイメージセンサが好適である。イメージセンサの解像度は、508dpi以上、1270dpi以下であることが好ましく、1270dpi以上、2540dpi以下であることがより好ましい。
【0028】
アクチュエータ32は、搬送テーブル11の径方向にセンサ31を移動させる。これにより、搬送テーブル11の所望の領域をセンサ31により走査することができる。より詳細には、アクチュエータ32は、直線的な運動が可能なように構成されており、搬送テーブル11の中心Oから搬送テーブル11外に向かって配置されている。アクチュエータ32を動作させることで、センサ31は搬送テーブル11の径方向に移動する。センサ31は、搬送テーブル11の外周側に向かう方向に移動することも、反対に搬送テーブル11の内周側に向かう方向に移動することも可能である。
【0029】
図2は、
図1に示す外観選別装置において外観検査部のカメラ及びワーク残留物検査部のセンサのそれぞれの走査領域を模式的に示す図である。
【0030】
図2に示すように、センサ31は、アクチュエータ32によって搬送テーブル11の径方向へ移動されることで、搬送テーブル11上の複数の円環状の領域33を走査する。これにより、センサ31としてある程度の解像度を備えた安価な通常のイメージセンサを用いたとしても、円盤状の搬送テーブル11全体を漏れなく撮像することができる。他方、そのような通常のイメージセンサでは搬送テーブル11全体を撮像しても、解像度が足りないため、ワークW2をとらえきれないおそれがある。
【0031】
より詳細には、アクチュエータ32による搬送テーブル11の径方向におけるセンサ31の位置の移動と、センサ31を固定した状態でのセンサ31による走査とを繰り返すことによって、複数の円環状の領域33を走査する。複数の円環状の領域33は、中心が同一である(円盤状の搬送テーブル11の中心Oと一致する)が、半径が互いに異なっている。円環状の各領域33の幅は、通常では同一の幅である。すなわち、センサ31としてのイメージセンサの1周ごとの撮像領域の幅は、通常では同一の幅である。なお、ここで、「幅」とは搬送テーブル11の径方向における長さを意味する。
【0032】
図2とは異なり、アクチュエータ32でセンサ31を移動させつつ、搬送テーブル11を回転させることで、搬送テーブル11を渦巻(スパイラル)状に走査してもいい。
【0033】
いずれの場合も、1周ごとのセンサ31の走査範囲は互いに重複していてもよい。すなわち、
図2に示した場合では、隣り合う円環状の領域33は、互いに重なり合っていてもよい。
【0034】
図2に示すように、センサ31で走査する領域(イメージセンサで撮像される領域)は、外観検査部20のカメラ21で走査する円環状の領域22の内側であることが好ましい。これにより、外観検査部20のカメラ21では検出できない残留ワークW2をセンサ31で効率的に検出することができる。
【0035】
ただし、センサ31で走査する領域は、外観検査部20のカメラ21で走査する領域22を含んでいてもいい。すなわち、センサ31としてのイメージセンサは、外観検査部20のカメラ21で撮像される領域の少なくとも一部を撮像してもよい。例えば、
図2に示した最も外側の円環状の領域34は、カメラ21で走査する円環状の領域22と重なり合っていてもよい。
【0036】
ここでワークW2が残留していた場合、外観選別装置10に接続されたアラームをならす等の方法により作業者へ連絡し、ワークW2を除去してもらう。残留したワークW2の位置を外観選別装置10に接続されたディスプレイ(図示せず)に映してもよい。また、アクチュエータ32にエアノズル(図示せず)を取り付けて、エアノズルにより残留したワークW2を吹き飛ばしてもいい。或いはエアノズルにより残留したワークW2を吸引してもいい。作業者によりワークW2が除去、又は、エアノズルによりワークW2が除去された場合、再度、搬送テーブル11上を走査して、残留ワークW2の有無を確認する。
【0037】
以上により、搬送テーブル11上にワークWが残留することなくロットを交換でき、ロット内への混入を防止することができる。
【0038】
なお、ワーク排出部16により排出されずにワークWの搬送経路17上に残ったワークW1については、外観検査部20のカメラ21により検出することができる。
【0039】
本明細書には、以下の内容が開示されている。
【0040】
<1>
部品を載置した状態で回転する円盤状の搬送テーブルと、
回転する前記搬送テーブル上の前記部品の搬送される円環状の経路上に設けられ、搬送される前記部品を撮像するカメラと、
前記円環状の経路以外の領域で前記搬送テーブルを走査するセンサと、を備える、外観選別装置。
【0041】
<2>
前記センサに連結され、前記センサを前記搬送テーブルの径方向へ移動するアクチュエータを更に備える、<1>に記載の外観選別装置。
【0042】
<3>
前記センサは、前記アクチュエータによって前記径方向へ移動されることで、前記搬送テーブル上の複数の円環状の領域を走査する、<2>に記載の外観選別装置。
【0043】
<4>
前記センサで走査する領域は、前記カメラで走査する円環状の領域の内側である、<1>から<3>のいずれか1つに記載の外観選別装置。
【0044】
<5>
前記センサは、イメージセンサである、<1>から<4>のいずれか1つに記載の外観選別装置。
【符号の説明】
【0045】
10 外観選別装置
11 搬送テーブル
12 ホッパ
13 ボールフィーダ
14 リニアフィーダ
15 整列ガイド
16 ワーク排出部
17 ワークが搬送される円環状の経路(ワークの搬送経路)
20 外観検査部
21 カメラ
22 外観検査部のカメラで走査する円環状の領域
30 ワーク残留物検査部
31 センサ
32 アクチュエータ
33 センサで走査する円環状の領域
34 センサで走査する最も外側の円環状の領域
W、W1、W2 ワーク(部品)
O 搬送テーブルの中心