(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157249
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】空気清浄装置及び空気清浄方法
(51)【国際特許分類】
B03C 3/10 20060101AFI20241030BHJP
B03C 3/28 20060101ALI20241030BHJP
B03C 3/40 20060101ALI20241030BHJP
B03C 3/41 20060101ALI20241030BHJP
B03C 3/74 20060101ALI20241030BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20241030BHJP
F24F 1/0353 20190101ALI20241030BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20241030BHJP
F24F 8/192 20210101ALI20241030BHJP
F24F 8/26 20210101ALI20241030BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20241030BHJP
F24F 1/028 20190101ALI20241030BHJP
【FI】
B03C3/10 Z
B03C3/28
B03C3/40 A
B03C3/41 H
B03C3/74 Z
A61L9/16 Z
A61L9/16 F
B03C3/41 A
F24F1/0353
F24F8/108 120
F24F8/192
F24F8/26
F24F8/80 300
F24F1/028
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071501
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】北林 功一
(72)【発明者】
【氏名】水野 彰
【テーマコード(参考)】
3L049
3L051
4C180
4D054
【Fターム(参考)】
3L049BB08
3L049BD01
3L051BC01
4C180AA07
4C180AA16
4C180DD03
4C180DD09
4C180DD11
4C180DD12
4C180EA17X
4C180HH02
4C180HH05
4D054AA13
4D054BA01
4D054BB03
4D054BB08
4D054BB09
4D054BB26
4D054BC01
4D054BC16
4D054BC28
4D054BC31
4D054DA11
4D054DA20
4D054EA11
(57)【要約】
【課題】放電部に空気中の汚れが吸着し難く、異常放電の発生を抑制し、放電を安定化させる。
【解決手段】
本発明は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により空気中の粒子を帯電させ捕集する空気清浄装置1であって、接地される導電性のファン8と、高電圧が印加される導電性を有し、前記ファンとの間でコロナ放電を発生させる放電用電極25と、放電用電極25を支持する支持体24,51と、を備え、放電用電極25は、空気の流通方向に沿うようにファン8から一定の間隔を介して設けられ、先端部が空気の流通方向の下流側に向くように配置されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧の印加によって発生するコロナ放電により空気中の粒子を帯電させ捕集する空気清浄装置であって、
接地される導電性のファンと、
高電圧が印加される導電性を有し、前記ファンとの間でコロナ放電を発生させる放電用電極と、
該放電用電極を支持する支持体と、
を備え、
前記放電用電極は、空気の流通方向に沿うように前記ファンから一定の間隔を介して設けられ、先端部が空気の流通方向の下流側に向くように配置されていることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記ファンは複数の羽根部を備え、該羽根部は、前記放電用電極から一定の間隔を介して該放電用電極の周囲を囲むように配置されている請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記ファンの前記各羽根部の内周側先端部と前記放電用電極とは一定間隔を介して配置されている請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記放電用電極は、前記ファンの前記羽根部間の中心位置に配置されている請求項3に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記放電用電極の先端部は、前記羽根部の厚さ方向の中心位置に対応するように配置されている請求項4に記載の空気清浄装置。
【請求項6】
前記放電用電極は、導電性繊維の線電極を束ねてブラシ状に形成されている請求項1~5のいずれかの請求項に記載の空気清浄装置。
【請求項7】
前記支持体は、空気の流通方向を遮る方向に配置される第1部材と、空気の流通方向に沿う方向に配置される第2部材と、を備え、
前記第1部材は、前記ファンより空気の流通方向上流側で支持され、前記第2部材は、前記第1部材から前記ファンに向かって延出し、該第2部材の空気の流通方向下流側の端部に前記放電用電極が設けられている請求項1~5のいずれかの請求項に記載の空気清浄装置。
【請求項8】
前記ファンの空気の流通方向上流側には、吸気口から流入する空気を該ファンに誘導する吸気管が設けられ、前記支持体の第1部材は該吸気管を貫通して設けられ、該第1部材が該吸気管を貫通する箇所には、絶縁体が設けられている請求項7に記載の空気清浄装置。
【請求項9】
前記支持体は、筒状に形成される第3部材を備え、該第3部材の空気の流通方向下流側の端部に複数の前記放電用電極が一定の間隔を空けて配置されている請求項7に記載の空気清浄装置。
【請求項10】
前記第3部材は円筒状に形成され、前記ファンは複数の羽根部を備え、前記第3部材に設けられた前記複数の放電用電極と前記複数の羽根部とは互いに対応した位置に同心円状に配置されている請求項9に記載の空気清浄装置。
【請求項11】
前記支持体は、空気の流通方向を遮る方向に配置される第1部材と、空気の流通方向に沿う方向に配置される第2部材と、を備え、前記第1部材と前記第2部材と前記第3部材は、一体に形成されている請求項10に記載の空気清浄装置。
【請求項12】
前記ファンの流通方向下流側には、エレクトレットフィルタがファンと離間するように 配置されている請求項1~5のいずれかの請求項に記載の空気清浄装置。
【請求項13】
前記ファンは、シロッコファンである請求項1~5のいずれかの請求項に記載の空気清浄装置。
【請求項14】
高電圧の印加によって発生するコロナ放電により空気中の粒子を帯電させ捕集する空気清浄方法であって、
ファンを回転させて室内空間の粒子を吸引する吸引工程と、
放電用電極と前記ファンの羽根部との間に高電圧を印加して該ファンの羽根部の表面に粒子を捕集させる捕集工程と、
前記ファンの羽根部に捕集された粒子を不活化させる不活化工程と、
高電圧の印加を停止し、前記吸引工程の時の前記ファンの回転数よりも回転数を上昇させて、該ファンの表面に捕集させた粒子を脱離させる清掃工程と、
を含むことを特徴とする空気清浄方法。
【請求項15】
前記清掃工程は、室内に人が不在であることを検出したときに行われる請求項14に記載の空気清浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により、空気中のウィルス・菌を含むエアロゾル粒子を帯電させて捕集し、空気を清浄化させる空気清浄装置及び空気清浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中には、塵や埃、ウィルス・菌を含むエアロゾル粒子(以下、「空気中の粒子」又は単に「粒子」と称する。)が混在し、浮遊している場合があり、従来、それらの空気中の粒子を帯電させて捕集し、空気を清浄化させる技術が公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、荷電捕集部に格納されたファンがハウジング内に収容され、ファンの内部に複数の突起を備えた放電部が収容された電気集塵器が開示されている。この電気集塵器では、汚染空気中の微粒子が除去されて清浄空気に転換され、荷電捕集部によって荷電された微粒子は、荷電捕集部の内壁やターボファンの周面に吸着し、捕集されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の電気集塵器では、放電部としての複数の突起に空気中の汚れが吸着しやすいという問題がある。さらに、突起に汚れなどが吸着すると、異常放電(スパーク)が発生しやすくなり、放電が安定しないので耐久性に問題が生じる恐れがある。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、ファンの内部に収容された放電部に空気中の汚れが吸着し難く、異常放電(スパーク)の発生を抑制し、放電を安定化させ、優れた耐久性を実現することのできる空気清浄装置、及び空気清浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明の第1の空気清浄装置は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により空気中の粒子を帯電させ捕集する空気清浄装置であって、接地される導電性のファンと、高電圧が印加される導電性を有し、前記ファンとの間でコロナ放電を発生させる放電用電極と、該放電用電極を支持する支持体と、を備え、前記放電用電極は、空気の流通方向に沿うように前記ファンから一定の間隔を介して設けられ、先端部が空気の流通方向の下流側に向くように配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の空気清浄装置によれば、簡素な構造で荷電部の機能を備えたファンを実現することができると共に、装置の小型化を実現することができる。また、放電用電極を空気の流通方向に沿うように設けると共にその先端部を下流側に向けて配置することにより、放電用電極の先端部に汚れが吸着し難く、異常放電 (スパーク)の発生を抑制し、放電の安定化を図ることができる。
【0009】
本発明の第2の空気清浄装置は、上記した第1の空気清浄装置において、前記ファンは複数の羽根部を備え、該羽根部は、前記放電用電極から一定の間隔を介して該放電用電極の周囲を囲むように配置されているのが好ましい。
【0010】
本発明の第2の空気清浄装置によれば、ファンの複数の羽根部が放電用電極の周囲を囲むように配置されているので、ファンの内部に流入する空気中の粒子を確実に帯電させることができる。
【0011】
本発明の第3の空気清浄装置は、上記した第2の空気清浄装置において、前記ファンの前記各羽根部の内周側先端部と前記放電用電極とは一定間隔を介して配置されているのが好ましい。
【0012】
本発明の第3の空気清浄装置によれば、ファンの羽根部の内周側先端部は、放電用電極との離間距離が最も近いため、安定した帯電エリアを生成し、ファンの内部に流入する空気中の粒子を確実に帯電させることができる。
【0013】
本発明の第4の空気清浄装置は、上記した第3の空気清浄装置において、前記放電用電極は、前記ファンの前記羽根部間の中心位置に配置されているのが好ましい。
【0014】
本発明の第4の空気清浄装置によれば、複数枚の羽根部と放電用電極との間で生成される電界(電気力線)を均一且つ安定的に生成することができる。
【0015】
本発明の第5の空気清浄装置は、上記した第4の空気清浄装置において、前記放電用電極の先端部は、前記羽根部の厚さ方向の中心位置に対応するように配置されているのが好ましい。
【0016】
本発明の第5の空気清浄装置によれば、羽根部の厚さ方向の中心位置に放電用電極の先端部を配置したことで、羽根部の厚さを十分に活用して羽根部の厚さ方向全体に放電することができるため、羽根部の厚さ方向に十分に広がる円錐状の安定した放電エリアを生成することができる。
【0017】
本発明の第6の空気清浄装置は、上記した第1~第5のいずれかの空気清浄装置において、前記放電用電極は、導電性繊維の線電極を束ねてブラシ状に形成されているのが好ましい。
【0018】
本発明の第6の空気清浄装置によれば、ブラシ状の放電用電極は、低電圧で強電界のコロナ放電を発生させることができると共に、例え放電している線電極が汚れにより放電できなくなったとしても、交番作用により別の線電極が放電を開始するので、優れた耐久性を実現することができる。
【0019】
本発明の第7の空気清浄装置は、上記した第1~第5のいずれかの空気清浄装置において、前記支持体は、空気の流通方向を遮る方向に配置される第1部材と、空気の流通方向に沿う方向に配置される第2部材と、を備え、前記第1部材は、前記ファンより空気の流通方向上流側で支持され、前記第2部材は、前記第1部材から前記ファンに向かって延出し、該第2部材の空気の流通方向下流側の端部に前記放電用電極が設けられているのが好ましい。
【0020】
本発明の第7の空気清浄装置によれば、支持体は第1部材と第2部材の比較的簡素な構造で、流通する気流に影響を与え難い構造を実現することができる。また、放電用電極の先端部を下流側に向けて配置することにより、放電用電極の先端部に汚れが吸着し難く、異常放電 (スパーク)の発生を抑制し、放電の安定化を図ることができる。
【0021】
本発明の第8の空気清浄装置は、上記した第7の空気清浄装置において、前記ファンの空気の流通方向上流側には、吸気口から流入する空気を該ファンに誘導する吸気管が設けられ、前記支持体の第1部材は該吸気管を貫通して設けられ、該第1部材が該吸気管を貫通する箇所には、絶縁体が設けられているのが好ましい。
【0022】
本発明の第8の空気清浄装置によれば、支持体の第一部材は吸気管に貫通して設けられているので、装置の小型化を図ることができる。 また、第1部材が吸気管を貫通する箇所に絶縁体が設けられているので、高電圧が印加される支持体から吸気管を電気的に絶縁させることができると共に、吸気口から流入した空気が吸気管の外部に漏出することを防止することができる。
【0023】
本発明の第9の空気清浄装置は、上記した第7の空気清浄装置において、前記支持体が、筒状に形成される第3部材を備え、該第3部材の空気の流通方向下流側の端部に複数の前記放電用電極が一定の間隔を空けて配置されているのが好ましい。
【0024】
本発明の第9の空気清浄装置によれば、流通する空気量が多くなりファンのサイズが大きくなった場合でも、第3部材の放電用電極により各羽根部に対して放電エリアを生成することができるため、安定した帯電(荷電)性能を維持することが できる。
【0025】
本発明の第10の空気清浄装置は、上記した第9の空気清浄装置において、前記第3部材は円筒状に形成され、前記ファンは複数の羽根部を備え、前記第3部材に設けられた前記複数の放電用電極と前記複数の羽根部とは互いに対応した位置に同心円状に配置されているのが好ましい。
【0026】
本発明の第10の空気清浄装置によれば、それぞれの羽根部に対して生成される放電エリアを均一することができ、粒子を安定的に帯電させることができる。
【0027】
本発明の第11の空気清浄装置は、上記した第10の空気清浄装置において、前記支持体が、空気の流通方向を遮る方向に配置される第1部材と、空気の流通方向に沿う方向に配置される第2部材と、を備え、前記第1部材と前記第2部材と前記第3部材は、一体に形成されているのが好ましい。
【0028】
本発明の第11の空気清浄装置によれば、給電箇所を1か所にすることで、部品点数を減らして、経済性を高めることができる。 また、吸気口の中心付近から吸気管を経由してファンの中心付近に流入した空気中の粒子は、第2部材に設けられた中央の放電用電極に帯電された後、さらに第3部材に設けられた複数の放電用電極に帯電されるため、帯電効率(荷電効率)を向上させることができる。
【0029】
本発明の第12の空気清浄装置は、上記した第1~第5のいずれかの空気清浄装置において、前記ファンの流通方向下流側に、エレクトレットフィルタがファンと離間するように 配置されているのが好ましい。
【0030】
本発明の第12の空気清浄装置によれば、エレクトレットフィルタは、帯電された粒子を捕集するのに最適であるから、捕集効率をさらに高めること ができる。
【0031】
本発明の第13の空気清浄装置は、上記した第1~第5のいずれかの空気清浄装置において、前記ファンは、シロッコファンであるのが好ましい。
【0032】
本発明の第13の空気清浄装置によれば、シロッコファンは、軸流ファンに比べて静圧が高く、風量も大きいので、ファンを小型化することができ、装置の小型化を実現することができる。
【0033】
本発明の第1の空気清浄方法は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により空気中の粒子を帯電させ捕集する空気清浄方法であって、ファンを回転させて室内空間の粒子を吸引する吸引工程と、放電用電極と前記ファンの羽根部との間に高電圧を印加して該ファンの羽根部の表面に粒子を捕集させる捕集工程と、前記ファンの羽根部に捕集された粒子を不活化させる不活化工程と、高電圧の印加を停止し、前記吸引工程の時の前記ファンの回転数よりも回転数を上昇させて、該ファンの表面に捕集させた粒子を脱離させる清掃工程と、を含むことを特徴とする。
【0034】
本発明の第1の空気清浄方法によれば、吸引工程のファンの回転数よりも上昇させて、ファンの羽根部の表面に捕集させた粒子を効率よく脱離させることで、ファンの羽根部の表面を清掃(クリーニング)することができ、高い性能(荷電効率及び集塵効率)を継続的に維持することができる。
【0035】
本発明の第2の空気清浄方法は、上記した第1の空気清浄方法において、前記清掃工程は、室内に人が不在であることを検出したときに行われるのが好ましい。
【0036】
本発明の第2の空気清浄方法によれば、室内に人が不在であることを検出した時に清掃工程を行うことで、人の存在時に行なわれる空気清浄装置の稼働を妨げることがないため、空気清浄装置の稼働に影響を及ぼすことなく、ファンの羽根部の表面を清掃(クリーニング)することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、装置の小型化を図ることができると共に、放電用電極の先端部に汚れが吸着し難く、異常放電(スパーク)の発生を抑制し、放電の安定化を図ることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄装置を斜め上方から示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る空気清浄装置を側方から示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る空気清浄装置(本体と天板を省略)を斜め上方から示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る空気清浄装置の放電用電極の帯電エリアを上方から示す平面図である。
【
図5】別の実施例の放電部を備えた本発明の実施形態に係る空気清浄装置の内部を斜め上方から透視して示す斜視図である。
【
図6】別の実施例の放電部を備えた本発明の実施形態に係る空気清浄装置を側方から示す断面図である。
【
図7】別の実施例の放電部を備えた本発明の実施形態の空気清浄装置(本体と天板を省略)を斜め上方から示す斜視図である。
【
図8】別の実施例の放電部の支持体を斜め下方から示す斜視図である。
【
図9】別の実施例の放電部の帯電エリアを上方から示す平面図である。
【
図10】本発明の実施形態の空気清浄装置の動作を制御する機器を示すブロック図である。
【
図11】本発明の実施形態の空気清浄装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態の空気清浄装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「流通方向」とは、空気が流れる方向を指す。また、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、空気の流通方向における「上流」および「下流」並びにこれらに類する概念を指す。
【0040】
まず、
図1~
図4を参照して、本発明の実施形態に係る空気清浄装置1の構成について説明する。
図1は空気清浄装置1を斜め上方から示す斜視図、
図2は空気清浄装置1を側方から示す断面図、
図3は空気清浄装置1(本体と天板を省略)を斜め上方から示す斜視図、
図4は空気清浄装置1の放電用電極の帯電エリアを上方から示す平面図である。
【0041】
<装置本体>
空気清浄装置1は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により空気中の粒子を帯電させ捕集する装置であって、
図1に示すように、扁平な円柱形状を有する装置本体2を備えている。装置本体2の上面には、円形の吸気口3が装置本体2と同心状に設けられ、吸気口3には、異物混入防止用のスリット4が間隔を空けて複数本配置されている。また、装置本体2の側面には、円周状に間隔を空けて複数の矩形の排気口5が配置されている。吸気口3及び排気口5の開口面積は、空気の風速等が適正値になるように適宜設定される。
【0042】
なお、本実施形態において、吸気口3は上方に配置されているが、上下を反対にして下方に配置して装置本体2を天井面などに取り付けても良い。また、排気口5は、装置本体2の側面の全周囲に清浄空気が排出されるように、側面の全周に亘って一定の間隔を空けて配置されているが、これに限定されるものではなく、例えば、装置本体2の側面から2方向又は4方向に清浄空気が排出されるように配置されても良い。
【0043】
装置本体2の内部には、上下に対向するように配置される天板6及びベース板7と、天板6とベース板7の間に支持されるファン8と、天板6とベース板7の外周を覆うように円筒状に設けられるフィルタ9と、高電圧が印加される放電部10と、が設けられている。
【0044】
<天板>
天板6は、円形状を成しており、装置本体2と同心状に配置されている、天板6の中央には、吸気口3に対応する位置に開口部11が形成されている。この開口部11は、後述するファン8の開口16に対応する位置に設けられ、開口部11の縁部は、ファン8側に空気が流入しやすいようにR状に折曲されている。天板6の中央下側には、矩形状の吸気管12が固定されている。吸気管12の上面には吸気口3に対応する位置に開口が形成され、吸気管12の下面には後述するファン8の開口16に対応する位置に開口が形成されている。
【0045】
<ベース板>
ベース板7は、天板6と同じ円形状を成しており、天板6に対向して配置されている。ベース板は、装置本体2の内部に設けられた4本の支柱13によって装置本体2に支持され、天板6とベース板7は、周方向に一定の間隔を空けて配置された6か所の支柱14によって互いに連結されている。
【0046】
<ファン>
放電部10(放電用電極25)によって帯電された粒子が捕集(吸着)される接地部(
接地電極)としてのファン8は、シロッコファンであることが好ましい。ファン8は、周方向に多数(図示では20枚)の羽根部(ブレード)15を備えており、ファン8の中央には円柱形状の開口16が形成されている。ファン8は天板6とベース板7の間に設けられ、装置本体2と同心状に配置されている。ファン8の羽根部15の表面には、吸着した粒子を離脱させやすくするために、予めフッ素やテフロン(登録商標)等のコーティング処理を施しても良い。また、
図3等に示された羽根部15は、平面視において直線的に形成されているが、湾曲形状を有していても良い。
【0047】
ファン8のモータ17は、フランジ53を介してベース板7の下方に固定されている。 モータシャフト18は、下方からベース板7を貫通してファン8の底板19に留め具20により固定されている。モータ17は、モータシャフト18とモータ17の筐体21に導通がある構造を有しており、羽根部15、底板19、モータシャフト18、モータ17の筐体21、及び装置本体2が電気的に接続されて、電気的にアース接地されている。 なお、ファン8全体がアース接地されていても良いが、少なくとも、羽根部15と底板19が導電性を備えていれば良い。例えば、底板19またはモータシャフト18にアースブラ
シ(図示省略)を設けて、アース接地されていても良い。また、複合材料で 形成した羽根部15を備えたファンでも良いし、更には羽根部15の最も内周側の一部(先端部)のみが導電性を備えていて良い。
【0048】
なお、ファン8は、シロッコファンに限定されず、例えば、中央に空気が流入可能な空間を有して周囲に空気が流出可能な構成を有するターボファン等、シロッコファン以外のファンでも使用可能である。
【0049】
<フィルタ>
フィルタ9は、エレクトレットフィルタを使用するのが好ましい。フィルタ9は、上部と下部に内側に屈曲する係止部22,23を備えており、フィルタ9の断面はコの字状に形成されている。なお、エレクトレットフィルタには、抗ウィルス効果を有する白金ナノ粒子を担持させても良い。また、フィルタ9は、不織布フィルタ等のエレクトレットフィルタ以外のフィルタを使用しても良いが、例えば、不織布フィルタを使用した場合、エレクトレットフィルタより圧力損失が高い為、ファン8のサイズが大きくなる恐れがある。
【0050】
また、
図1~
図3から分かるように、フィルタ9は、側面視で、ファン8の外周から大きく離間するように配置されているが、ファン8とフィルタ9との離間距離を大きく取ることにより、フィルタ9の面積を大きく取ることができ、フィルタ内の通過風速を低下させることができるため、捕集性能の向上を図ることができる。
【0051】
さらに、フィルタ9は、天板6とベース板7の外周を覆うように円筒状に形成されているが、この形状に限定されるものではない。例えば、装置本体2の排気口5の設置場所を限定して、排気口5に対応した箇所に、平板状のフィルタ9を配置しても良い。すなわち、ファン8から排出された空気が、フィルタ9を通過することで、帯電された粒子が捕集され、清浄空気が排気口5から排出されるように構成されていれば良い。
【0052】
<放電部>
放電部10は、高電圧が印加される支持体24と、該支持体24に支持される1本の放電用電極25と、を備えている。支持体24は、側面視でT字形状を有し、導電性を備えている。支持体24は、空気の流通方向を遮る方向に配置される第1部材である水平部26と空気の流通方向に沿う方向に配置される第2部材である垂直部27とが一体に成形されて構成されている。
【0053】
水平部26は、ファン8より空気の流通方向上流側において水平に配置され、水平部26の左右両端は、絶縁碍子28を介して天板6の上方に支持されている。また、水平部26は、2箇所で吸気管12を貫通しており、水平部26が吸気管12を貫通する箇所には、それぞれ、絶縁ブッシュ29が取り付けられている。このように絶縁ブッシュ29を取り付けることにより、高電圧が印加される支持体24と接地される吸気管12とを絶縁することができると共に、吸気口3から吸気管12に流入した空気が吸気管12の外に漏出するのを防止することができる。
【0054】
垂直部27は、水平部26の中央からファン8の開口16の中心部に向かって下方に延出し、垂直部27の下端部に放電用電極25が取り付けられている。放電用電極25は、空気の流通方向(
図2の破線の矢印方向)に沿って下流側に配置されているため、空気中の粒子が直接に接触し難く、汚れ難い。
【0055】
放電用電極25は、複数の繊維状の線電極30を束ねてブラシ状に形成された束状部31を備えている。1つの放電用電極25は、例えば、約100本の線電極30が束ねられることで形成されている。なお、放電用電極25は、直径5~25μmの線電極30を10~200本束ねて形成されていても良い。
【0056】
線電極30は、直径12μmの非磁性のステンレス繊維で形成されており、ステンレスは、流通性と経済性と耐食性に優れた、18%のCrと8%のNiを含むSUS304を使用している。なお、線電極30は、非磁性のステンレスであれば、例えば、18%のCrと12%のNiにモリブデン(Mo)を添加したSUS316等、他の材質を使用しても良い。このように線電極30に非磁性のステンレス繊維を使用することにより、線電極30が束状部31から離間しやすく、放電性能を高めるこができる。例えば、磁性を備えたフェライト系では、線電極が束状部より離間し難いため、束状部との電界干渉による影響が大きく、強電界のコロナ放電を発生させることが難しい。
【0057】
放電用電極25に印加される電圧は、4~6kVの範囲であり、放電用電極の長さは、3~7mmの範囲に設定されているので、安定して放電することができる。また、放電用電極25には直流でマイナスの高電圧が印加されている。このように直流方式を採用することで、他の方式(交流、パルス) に比べて、比較的簡単な構成とすることができると共に、マイナス荷電方式を採用することで、プラス荷電方式に比べて、同じ空間( 隙間)でも放電用電極に放電電流を多く流すことができる。さらに、プラス荷電方式に比べて、放電安定性(異常放電しにくい特性)を向上させることができる。
【0058】
図4に良く示されているように、放電用電極25は、平面視で、ファン8の開口16の中心部に配置されている。また、
図2に良く示されているように、放電用電極25は、フ
ァン8の内部の開口16に収容され、その先端部が、側面視で、ファン8の羽根部15の厚さ方向の長さ(L)の中央位置(1/2L)に位置するように配置されている。これにより、帯電エリアEAは、放電用電極25とファン8の底板19との間、及び放電用電極25とファン8の羽根部15の内面側先端部との間で生成される。
【0059】
<放電部の別の実施例>
次に、
図5~
図9を参照して、別の実施例の放電部50を備えた本発明の実施形態に係る空気清浄装置について説明する。
図5は別の実施例の放電部を備えた空気清浄装置の内部を斜め上方から透視して示す斜視図、
図6は別の実施例の放電部を備えた空気清浄装置を側方から示す断面図、
図7は別の実施例の放電部を備えた空気清浄装置(本体と天板を省略)を斜め上方から示す斜視図、
図8は別の実施例の放電部の支持体を斜め下方から示す斜視図、
図9は別の実施例の放電部の帯電エリアを上方から示す平面図である。なお、
図5~
図9において、放電部以外の構成は、上記した本発明の実施形態に係る空気清浄装置1の基本的な構成と同様であるため、
図5~
図9において同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0060】
空気清浄装置1によって広い室内の空気を清浄化するために、より多くの風量が必要となる場合、ファン8のサイズを大きくする必要がある。以下に説明する別の実施例の放電部50は、そのような場合に上記した放電部10に代えて使用することができる。
【0061】
別の実施例の放電部50は、高電圧が印加される支持体51と、該支持体51に支持される複数の放電用電極25と、を備えている。支持体51は、導電性を備えており、上記した第1部材である水平部26と第2部材である垂直部27に加えて、第3部材である筒状部52を備えている。支持体51の筒状部52は第1部材である水平部26及び第2部材である垂直部27と一体に成形されている。垂直部27は、水平部26の中央からファン8の開口16の中心部に向かって下方に延出し、垂直部27の下端部に放電用電極25が取り付けられている。
【0062】
筒状部52は、垂直部27を中心とした円筒状に形成され、空気の流通方向下流側である下端部に複数の放電用電極25が周方向に一定の間隔を空けて配置されている。例えば、
図9に良く示されているように、筒状部52の下端部に取り付けられた複数(図示では10本)の放電用電極25とファン8の複数(図示では20枚)の羽根部15とは、各放電用電極25の先端部と羽根部15の内周側の先端部とがそれぞれ所定の間隔を保つように、2枚の羽根部15に対して1本の放電用電極25が互いに対応した位置に同心円状に配置されている。
【0063】
このように垂直部27の下端部及び筒状部52の下端部に取り付けられた放電用電極25は、いずれも、空気の流通方向(
図6の破線の矢印方向)に沿って、各先端部が空気の流通方向の下流側に向くように配置されているため、空気中の粒子が直接に接触し難く、汚れ難い。
【0064】
[空気清浄装置による空気清浄方法]
次に、
図1~
図9に加えて
図10~
図12を参照しつつ、本発明の実施形態に係る空気清浄装置1による空気清浄方法について説明する。
図10は空気清浄装置1の動作を制御する機器を示すブロック図、
図11は空気清浄装置1の動作を示すフローチャート、
図12は空気清浄装置1の動作を示すタイムチャートである。
【0065】
図10に示されているように、本実施形態の空気清浄装置1は、メモリ61とCPU62を有する制御部60にインターフェイス63を介して、表示部64、操作部65、ファン回転検知部66、人体検知センサ67、モータ駆動部68、高電圧電源部69などが接続される。表示部64は空気清浄装置1の操作状態を表示し、操作部65は運転スイッチや入力キー等を有し、ファン回転検知部66は、例えばエンコーダであり、ファン8が回転しているか、停止しているかを検知する。
【0066】
人体検出センサ67は、公知の赤外線を使用した人感センサであり、例えば、該人感センサ (赤外線センサ)は、人体から発生する赤外線を計測し、これによりエリア内の人体数、人体位置、人体移動を検出する。人体が停止している状態でも検知が可能で、滞在時間も計測することができる。人体検出センサは、装置本体2に取り付けても良いし、装置本体2が設置された室内に設置されても良い。
【0067】
モータ駆動部68はファン8のモータ17を制御する。高電圧電源部69は、高電圧生成部70、極性切替部71を備えており、交流電源72を高圧トランスで昇圧した後、倍圧部で交流電流を直流に変換すると共にさらに昇圧して数kVの高電圧を生成できるように構成されている。また、高電圧電源部69は、放電用電極25に印加する高電圧の出力を制御するための出力制御部としても機能する。
【0068】
図11のS1~S3及び
図12に示されているように、操作部65(
図10参照)の運転スイッチがONにされて空気清浄装置1が運転モードに入ると、ファン8が回転し、エリア内において発生した粒子を含んだ空気がファン8による吸引力によって吸気口3から装置本体2内に吸い込まれる(
図2及び
図6において空気の流れを示す破線の矢印参照)。そしてこの時、
図2~
図4に示す放電部10の場合には支持体24を介して、また、
図5~
図9に示す放電部50の場合には支持体51を介して、それぞれ、高電圧電源部69(
図10参照)によって放電用電極25に高電圧が印加される。
【0069】
放電用電極25に高電圧が印加されていない状態では、放電用電極25の束状部31は先端が外側に拡がっていないが、放電用電極25に高電圧が印加されると、束状部31の外周部分に配置されている数本の線電極32の先端部が、束状部31とのクーロン力(F=qE q:粒子がもつ電荷、E:電界)により反発してクーロン力が線電極30の剛性に勝ることで、束状部31から離間して接地電極側である羽根部15側及びファン8の底板19側に曲がる。そして、束状部31から離間した線電極30は強電界となり、線電極30の先端部と羽根部15及び底板19との間で、コロナ放電が発生する。なお、この時、束状部31から離間した線電極30の先端部が汚れると、その代わりに新たな線電極30が束状部31から離間して放電を開始するため、継続して放電を行うことができる。
【0070】
上記したコロナ放電の発生により、
図2~
図4に示す放電部10の場合には、1本の放電用電極25と複数の羽根部15の内周側の各先端部との間、及び該1本の放電用電極25とファン8の底板19との間に、それぞれ、円錐形状の帯電エリアEAが形成される。また、
図5~
図9に示す放電部50の場合には、垂直部27の下端部の1本の放電用電極25とファン8の底板19との間、筒状部52の下端部の複数の放電用電極25と複数の羽根部15の内周側の各先端部との間、及び筒状部52の下端部の複数の放電用電極25とファン8の底板19との間に、それぞれ、円錐形状の帯電エリアEAが形成される。
【0071】
上記したように空気清浄装置1の運転モードにおいて装置本体2内に吸い込まれた粒子を含んだ空気は、吸気管12を通ってファン8の開口16において帯電エリアEAを通過することで粒子が帯電される。この時、粒子を含んだ空気は、
図5~
図9に示す放電部50の場合、ファン8の中央に配置された垂直部27の下端部の1本の放電用電極25に帯電された後、さらに筒状部52の下端部の複数の放電用電極25に帯電されるため、
図2~
図4に示す放電部10の場合と比較して、帯電効率(荷電効率)を一層向上させることができる。
【0072】
その後、放電用電極25により帯電された粒子は、ファン8の羽根部15に吸着する。ファン8の羽根部15を含むファン8の表面には、コロナ放電によって荷電された粒子がクーロン力を利用して吸着されて捕集される。すなわち、回転するファン8自体が、粒子を電気的に捕集する捕集手段として機能することになる。これにより、放電用電極25に近接して設けられ、電気的に絶縁された状態にあるファン8に帯電(荷電)された粒子がクーロン力によってさらに捕集されやすくなり、捕集(集塵)の効率が高くなる。
【0073】
そして、羽根部15に吸着された粒子は、静電気的に凝集して一定以上の大きさになると再飛散し、フィルタ9により捕集される。また、羽根部15には吸着されず、帯電のみされた粒子は、フィルタ9内で帯電状態を維持しており、後に捕集される粒子と引き合いフィルタ9内で凝集して肥大化するため、フィルタ9により捕集される。
【0074】
次に、
図11のS4~S7及び
図12に示されているように、操作部65(
図10参照)の運転スイッチがOFFにされて空気清浄装置1が停止され、且つ、人体検出センサ67がOFF(すなわち、人体を検出していない状態)になると、不活化モード(殺菌モード)に移行する。
【0075】
図11のS8~S9及び
図12に示されているように、不活性モードでは、オゾンをより多く生成させるために、極性をマイナスからプラスに変更してストリーマ放電を行う。なお、通常の運転時には、定電圧制御(例えば-4~-6KV)をしているが、極性を変えてストリーマ放電を行う場合のみ、電圧を上昇させている(例えば、+10KV)。また、この時、より多くのオゾンを生成するために、極性をマイナスからプラスに変更すると共に、電源を直流(DC)から交流重畳(AC+DC)に切替制御しても良い。
【0076】
なお、他の実施例としては、装置本体2内に紫外線照射装置(図示省略)を設けて、紫外線による殺菌を行っても良い。紫外線照射の場合には、装置本体2の吸気口3及び排気口5からの紫外線漏れを防止するためのシャッター(図示省略)を吸気口3及び排気口5に設けても良い。
【0077】
更に他の実施例としては、ストリーマ放電と紫外線を併用しても良い。この場合、放電部10,50によるストリーマ放電と紫外線による照射により、ウィルス・菌及び空気中の粒子をオゾンと紫外線とによって相乗的に不活化させて死滅させることができる。この場合、オゾンと紫外線ランプを併用することで、相互にその長所を持って殺菌作用を補完し合うことができる。すなわち、オゾンは、紫外線の到達できない範囲外でも、充満して殺菌することができる。また、広範囲に又は狭範囲で集中的に紫外線を照射することで、照射されたエリアで確実に殺菌することができる。
【0078】
次に、
図11のS10に示されているように、所定時間が経過したと制御部60が判断すると、清掃モードに移行する。
図11のS11~S12及び
図12に示されているように、清掃モードでは、高電圧の印加が停止され、ファン8の回転数が運転モード時のファン8の回転数よりも高く設定される。このようにファン8の回転数を高くすることで、ファン8の表面に吸着している粒子をファン8の表面から脱落(離脱)させやすくすることができる。その後、
図11のS13~S14及び
図12に示されているように、所定時間が経過したと制御部60が判断すると、清掃モードは終了する。
【0079】
以上のようにファン8の羽根部15の表面には帯電された粒子の一部が吸着されて捕集され、上記した清掃モードにおいて羽根部15の表面に捕集された粒子は羽根部15の表面から吹き飛ばされ、フィルタ9により捕集される。そして、粒子を除去された空気は排気口5を通って装置本体2の外部に排気される。
【0080】
なお、上記した実施形態の説明は、本発明に係る空気清浄装置及び空気清浄方法の一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、空気中のウィルス・菌を含むエアロゾル粒子を帯電させて捕集し、空気を清浄化させる家庭用や業務用の空気清浄装置及び空気清浄方法に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 空気清浄装置
8 ファン
9 フィルタ(エレクトレットフィルタ)
12 吸気管
15 羽根部
24 支持体
25 放電用電極
26 水平部(第1部材)
27 垂直部(第2部材)
30 線電極
51 支持体
52 筒状部(第3部材)