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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157250
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電動弁及び冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20241030BHJP
   F16K 51/00 20060101ALI20241030BHJP
   F25B 41/35 20210101ALI20241030BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F16K51/00 A
F25B41/35
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071503
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 大樹
【テーマコード(参考)】
3H062
3H066
【Fターム(参考)】
3H062AA07
3H062AA15
3H062BB26
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE07
3H062FF38
3H062FF39
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
3H066AA04
3H066BA38
(57)【要約】
【課題】摩耗粉混入抑制手段を備えることにより、弁部における噛み込みや、摩耗粉による他の機器への悪影響を解消し、信頼性を向上させ得る電動弁及びこれを用いた冷凍サイクルシステムを提供することである。
【解決手段】電動弁100aであって、弁体20Aを有する回転子部と、流路室13及び径方向に延在する弁ポート11aを有する弁本体10Aと、摩耗粉混入抑制手段と、を備え、弁本体10Aは、弁体20Aを円周方向にガイドするガイド部11dと、流路室13と直接連通する第2ポート2aと、を有し、弁部20aは、開口部15cを介して、流路室13に連通し軸線L方向に沿って延在する流路部15と、を有し、摩耗粉混入抑制手段は、他端側滞留部RP1と、軸線L方向からみて、開口部15cの回転軌跡を示す仮想円C1よりも外側に配置される第2ポート2aと、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に弁部が設けられる弁体、及び、前記弁体と一体的に回転するロータを有する回転子部と、
前記弁部を収容する流路室、前記弁部と径方向に対向する弁座、及び、前記流路室と連通可能に径方向に延在する弁ポートを有する弁本体と、
前記弁本体と接続し、前記回転子部の収容空間を画定するケースと、
前記弁体と前記弁本体との摺動により生じる摩耗粉が、流体経路に混入することを抑制する摩耗粉混入抑制手段と、
を備え、
前記弁本体は、軸線に沿って設ける前記弁体を、軸線方向に支持し、円周方向にガイドするガイド部と、前記弁ポートと直接連通する第1ポートと、前記流路室と直接連通する第2ポートと、を有し、
前記弁部は、前記弁ポートを塞ぐシール部と、前記弁ポートと連通可能であり、軸線方向に沿って延在する流路部と、を有し、
前記ロータの回転により、前記弁ポートと前記流路部との連通状態を変化させ、前記弁ポートを流れる流体の流量を制御するものであり、
前記摩耗粉混入抑制手段は、
前記流路部の他端部を、前記弁ポートに対して、軸線方向の他端側に配置することにより形成される他端側滞留部と、
前記流路部の一端部を、前記弁ポートに対して、軸線方向の一端側に配置するとともに、前記流路部の一端部を、開口部を介して、前記流路室に連通させ、軸線方向からみて、前記開口部の回転軌跡を示す仮想円よりも外側に配置される前記第2ポートと、
を有することを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記ガイド部は、他端側に底部を有する、有底円筒形状に形成されたガイド部材からなり、
前記弁体、及び、前記ガイド部の外周面は、互いに摺動可能に係合される摺動部を有することを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記開口部は、前記流路部の一端部で、前記弁部を径方向外側に貫通し、前記流路室と連通し、弁開状態において、前記開口部は、軸線に対して、前記第2ポートの反対側の径方向外側を向くことを特徴とする請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記弁体、及び、前記ガイド部の内周面は、互いに摺動可能に係合される摺動部を有し、
前記摩耗粉混入抑制手段は、
前記弁体の一端部を、前記第2ポートに対して、軸線方向の他端側に配置することにより形成される一端側滞留部を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項5】
前記流路部は、軸線方向から見て、略扇形形状であることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項6】
前記流路部は、軸線方向から見て、軸線に対して、偏心した半円形状であることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項7】
前記弁ポートは、軸線と直交する方向から見て、前記流路部に対する開口面積が、弁閉状態から弁開状態へと向かう方向に、漸増する形状を有することを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項8】
前記回転子部は、突起部を有し、
前記弁本体は、弁閉状態及び弁開状態において、前記突起部に当接するストッパ部を有することを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項9】
前記弁体と前記弁本体との摺動により摩耗粉が発生することを抑制する摩耗粉発生抑制手段と、をさらに備え、
前記摩耗粉発生抑制手段は、
前記ケースに対して、当接した状態で、回転可能に配置されるばね受け部と、前記ばね受け部と前記弁体との間に挟持され、前記弁体を一端側に付勢する弾性部材と、を備える支持部材と、
前記弁体と前記ガイド部との軸線方向の当接面と、
を有し、
前記支持部材により、前記弁体の前記当接面を、前記ガイド部の前記当接面に押し付けることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項10】
前記弁体と前記弁本体との摺動により摩耗粉が発生することを抑制する摩耗粉発生抑制手段と、をさらに備え、
前記摩耗粉発生抑制手段は、
前記弁体と前記ガイド部との間の径方向に形成される環状径方向隙間を、有することを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項11】
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1~10のいずれか一項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩耗粉混入抑制手段を備える電動弁及びこれを用いた冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電動弁は、回転運動を直線運動に変換するねじ送り部を有する駆動部と、この直線運動により、軸線方向に移動する弁体とガイド部との間に生じる摺動部と、を有している。これにより、駆動部(特に、ねじ送り部)及び摺動部において発生した摩耗粉が、流体経路に混入し、弁部の噛み込みや損傷などにより、弁閉時における、弁漏れが発生するおそれがあった(以下、「従来の問題点1(弁部の噛み込み)」という)。また、電動弁が、冷凍サイクルシステムに用いられている場合には、発生した摩耗粉が、流体経路へと循環する場合には、冷凍サイクルシステムを構成する他の機器の故障の原因となるおそれがあった(以下、「従来の問題点2(摩耗粉による他の機器への悪影響)」という)。
【0003】
ここで、特許文献1には、図11(a)に示すように、電動弁(以下、「従来の電動弁」という)1100であって、弁本体1110と、弁体1120と、ステッピングモータ1130と、を備えるものが記載されている。この弁本体1110は、一対の弁ポート1111a、弁座1111b、及び、円筒形状のガイド部1111cを有するとともに、第1継手管1101及び第2継手管1102が接続される。また、弁体1120は、弁部1120a、ガイド部1111cの外周側に摺動可能に係合される有底円筒部1120b、及び、一対の円形開口1120fを有する。さらに、ステッピングモータ1130は、弁体1120と一体的に回転するマグネットロータ1132を有する。
【0004】
これにより、特許文献1では、有底円筒部1120bを、ガイド部1111cに対して、回転方向のみに移動可能とする構成を採用することにより、ねじ送り部を省略し、駆動部における摩耗粉の発生を抑制するものが記載されている。
【0005】
また、特許文献1では、図11(b)に示すように、弁開状態において、弁本体1110の一対の弁ポート1111aと、弁部1120aの一対の円形開口1120fとの中心位置を同一直線上に、完全に一致させることにより、弁部1120aが受ける差圧による力(図中の左右方向の力)は、互いにキャンセルされるため、有底円筒部1120bとガイド部1111cとの摺動部における摩耗粉AP(図11(a)参照)の発生を抑制するものが記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1においても、摺動部における摩耗粉APの発生を、完全に防ぐことはできないため、弁開状態において、摺動部で発生した摩耗粉APは、近接する流体経路へと容易に落下及び混入され得るため、依然として、従来の問題点1及び2(弁部における噛み込み、摩耗粉による他の機器への悪影響)を解消することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9-4743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、摩耗粉混入抑制手段を備えることにより、弁部における噛み込みや、摩耗粉による他の機器への悪影響を解消し、信頼性を向上させ得る電動弁及びこれを用いた冷凍サイクルシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、一端側に弁部が設けられる弁体、及び、前記弁体と一体的に回転するロータを有する回転子部と、前記弁部を収容する流路室、前記弁部と径方向に対向する弁座、及び、前記流路室と連通可能に径方向に延在する弁ポートを有する弁本体と、前記弁本体と接続し、前記回転子部の収容空間を画定するケースと、前記弁体と前記弁本体との摺動により生じる摩耗粉が、流体経路に混入することを抑制する摩耗粉混入抑制手段と、を備え、前記弁本体は、軸線に沿って設ける前記弁体を、軸線方向に支持し、円周方向にガイドするガイド部と、前記弁ポートと直接連通する第1ポートと、前記流路室と直接連通する第2ポートと、を有し、前記弁部は、前記弁ポートを塞ぐシール部と、前記弁ポートと連通可能であり、軸線方向に沿って延在する流路部と、を有し、前記ロータの回転により、前記弁ポートと前記流路部との連通状態を変化させ、前記弁ポートを流れる流体の流量を制御するものであり、前記摩耗粉混入抑制手段は、前記流路部の他端部を、前記弁ポートに対して、軸線方向の他端側に配置することにより形成される他端側滞留部と、前記流路部の一端部を、前記弁ポートに対して、軸線方向の一端側に配置するとともに、前記流路部の一端部を、開口部を介して、前記流路室に連通させ、軸線方向からみて、前記開口部の回転軌跡を示す仮想円よりも外側に配置される前記第2ポートと、を有する電動弁である。
【0010】
また、上記電動弁であって、前記ガイド部は、他端側に底部を有する、有底円筒形状に形成されたガイド部材からなり、前記弁体、及び、前記ガイド部の外周面は、互いに摺動可能に係合される摺動部を有するものとしてもよい。
【0011】
また、上記電動弁であって、前記開口部は、前記流路部の一端部で、前記弁部を径方向外側に貫通し、前記流路室と連通し、弁開状態において、前記開口部は、軸線に対して、前記第2ポートの反対側の径方向外側を向くものとしてもよい。
【0012】
また、上記電動弁であって、前記弁体、及び、前記ガイド部の内周面は、互いに摺動可能に係合される摺動部を有し、前記摩耗粉混入抑制手段は、前記弁体の一端部を、前記第2ポートに対して、軸線方向の他端側に配置することにより形成される一端側滞留部を、さらに有するものとしてもよい。
【0013】
また、上記電動弁であって、前記流路部は、軸線方向から見て、略扇形形状であるものとしてもよい。
【0014】
また、上記電動弁であって、前記流路部は、軸線方向から見て、軸線に対して、偏心した半円形状であるものとしてもよい。
【0015】
また、上記電動弁であって、前記弁ポートは、軸線と直交する方向から見て、前記流路部に対する開口面積が、弁閉状態から弁開状態へと向かう方向に、漸増する形状を有するものとしてもよい。
【0016】
また、上記電動弁であって、前記回転子部は、突起部を有し、前記弁本体は、弁閉状態及び弁開状態において、前記突起部に当接するストッパ部を有するものとしてもよい。
【0017】
また、上記電動弁であって、前記弁体と前記弁本体との摺動により摩耗粉が発生することを抑制する摩耗粉発生抑制手段と、をさらに備え、前記摩耗粉発生抑制手段は、前記ケースに対して、当接した状態で、回転可能に配置されるばね受け部と、前記ばね受け部と前記弁体との間に挟持され、前記弁体を一端側に付勢する弾性部材と、を備える支持部材と、前記弁体と前記ガイド部との軸線方向の当接面と、を有し、前記支持部材により、前記弁体の前記当接面を、前記ガイド部の前記当接面に押し付けるものとしてもよい。
【0018】
また、上記電動弁であって、前記弁体と前記弁本体との摺動により摩耗粉が発生することを抑制する摩耗粉発生抑制手段と、をさらに備え、前記摩耗粉発生抑制手段は、前記弁体と前記ガイド部との間の径方向に形成される環状径方向隙間を、有するものとしてもよい。
【0019】
また、冷凍サイクルシステムであって、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含み、上記電動弁が、前記膨張弁として用いられているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、摩耗粉混入抑制手段を備えることにより、弁部における噛み込みや、摩耗粉による他の機器への悪影響を解消し、信頼性を向上させ得る電動弁及びこれを用いた冷凍サイクルシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電動弁を示す断面図であり、(a)は、電動弁の縦断面図、(b)は、(a)のIb-Ib断面拡大図を、それぞれ表す。
図2図1に示される弁体とガイド部材との摺動部における部分拡大図であり、(a)は、図1に示される破線IIaで囲まれた領域、(b)は、図1に示される破線IIbで囲まれた領域の拡大図を、それぞれ表す。
図3図1に示される電動弁の弁開状態及び弁閉状態の説明図であり、(a)は、弁開状態における主要部拡大図、(b)は、(a)に示されるIIIb-IIIb線に沿った断面図、(c)は、(a)に示される破線IIIcで囲まれた領域の拡大図、(d)は、弁閉状態における主要部拡大図、(e)は、(d)に示されるIIIe-IIIe線に沿った断面図を、それぞれ表す。
図4】第1の実施形態の流路部変形例1及び2の説明図であり、(a)は、流路部変形例1における図3(b)に対応する断面図、(b)は、流路部変形例1における図3(e)に対応する断面図、(c)は、流路部変形例2における(a)に対応する断面図、(d)は、流路部変形例2における(b)に対応する断面図を、それぞれ表す。
図5】第1の実施形態の流路部変形例3の説明図であり、(a)は、図3(a)に対応する断面図、(b)は、(a)に示される破線Vbで囲まれた領域の拡大図を、それぞれ表す。
図6】第1の実施形態の弁ポート変形例の説明図であり、(a)は、(c)に示される矢印VIa方向から見たガイド部材の矢視図、(b)は、(a)に示されるVIb-VIb線に沿った断面図、(c)は、図3(a)に対応する断面図、(d)は、(c)に示されるVId-VId線に沿った断面図、(e)は、図3(d)に対応する断面図、(f)は、(e)に示されるVIf-VIf線に沿った断面図を、それぞれ表す。
図7】第1の実施形態のストッパ部変形例1及び2の説明図であり、(a)は、ストッパ部変形例1における図3(a)に対応する断面図、(b)は、(a)に示されるVIIb-VIIb線に沿った断面図、(c)は、ストッパ部変形例2における(a)に対応する断面図、(d)は、(c)に示されるVIId-VIId線に沿った断面図を、それぞれ表す。
図8】本発明の第2の実施形態に係る電動弁を示す断面図であり、(a)は、電動弁の縦断面図、(b)は、(a)のVIIIb-VIIIb断面拡大図、(c)は、(a)に示される破線VIIIcで囲まれた領域の拡大図を、それぞれ表す。
図9】第2の実施形態の流路部変形例1及び2の説明図であり、(a)は、流路部変形例1における図8(b)に対応する弁部のみの断面図、(b)は、流路部変形例2における(a)に対応する断面図を、それぞれ表す。
図10】本発明の冷凍サイクルシステムを示す図である。
図11】従来技術に係る電動弁を示す断面図であり、(a)は、電動弁の縦断面図、(b)は、(a)のXIb-XIb断面拡大図を、それぞれ表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図1から図10を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
【0023】
<用語について>
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「左」、「右」、「上」、「下」とは、図1(a)、図2図3(a),(c),(d)、図5図6(c),(e)、図7(a),(c)、図8(a),(c)に示される方向を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「一端」及び「他端」とは、図面における「下端」及び「上端」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「摩耗粉混入抑制手段」とは、「流体経路に摩耗粉が混入することを抑制する手段」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「摩耗粉発生抑制手段」とは、「摺動部における摩耗粉の発生自体を抑制する手段」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「滞留部」とは、「流体経路から流体的に分離される領域」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「速度境界層」とは、「粘性のある流体が、物体の周りを流れたときに、粘性の働きによって物体近傍に形成される速度が比較的小さい領域」を示す。
【0024】
(第1の実施形態)
<電動弁の構成について>
図1及び図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係る電動弁100aについて説明する。電動弁100aは、弁本体10A、弁体20A、ステッピングモータ30A、支持部材(他端側支持手段)40から主に構成される。以下、電動弁100aのそれぞれの構成を順に説明する。
【0025】
ここで、詳細は後述するが、第1の実施形態における電動弁100aは、第1の摩耗粉混入抑制手段(他端側滞留部)及び第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)を採用することにより、弁開状態及び弁閉状態のいずれにおいても、従来の問題点1及び2(弁部における噛み込み、摩耗粉による他の機器への悪影響)を解消し、信頼性を向上させることができる。また、第1の実施形態における電動弁100aは、第1の摩耗粉発生抑制手段(他端側支持手段)及び/又は第2の摩耗粉発生抑制手段(環状径方向隙間)を採用することにより、摺動部における摩耗粉APの発生自体を効果的に抑制し、信頼性をさらに向上させることができる。
【0026】
弁本体10Aは、例えば、ステンレスなどの金属を材料とするものであり、流路室13の一部を画定する椀状部材10と、軸線L上に沿って延在する略円筒形状を有し、椀状部材10の底面側に固定接続されるガイド部材11と、を備える。
【0027】
椀状部材10には、冷媒などの流体経路としての第1継手管1及び第2継手管2が、底面側に接続される。この第1継手管1は、ガイド部材11の一端部に当接され、第1ポート1a、ガイド部材11の内部流路14及び弁ポート11a(詳細は後述する)のそれぞれを介して、流路室13に連通される。また、第2継手管2は、第2ポート2aを介して、流路室13に直接連通される。第1継手管1及び第2継手管2は、例えば、銅やステンレスなどを材料として構成されており、椀状部材10に、ろう付け等により固着されている。また、図1(b)に示すように、椀状部材10には、軸線L方向から見て、軸線Lに対して、第2継手管2の反対側に位置するとともに、流路室13内に向けて隆起する隆起部(ストッパ部)10aが形成される。
【0028】
ガイド部材11は、軸線L方向の略中央から一端側及び他端側で、構造が大きく異なる。まず、ガイド部材11における軸線L方向の略中央から一端側は、有底円筒形状を有しており、軸線L方向に延在する内部流路14と、図2(a)に示すように、内部流路14の他端側で、ガイド部材11を径方向に貫通する弁ポート11aと、弁ポート11aの周囲に形成される環状の弁座11b(図2(a)参照)と、を有する。次に、ガイド部材11における軸線L方向の略中央から他端側は、中実形状を有しており、ガイド部材11の他端部には、平坦な形状を有する支持部(当接面)11eが形成される。ここで、弁ポート11aは、図3(b),(e)に示すように、軸線L方向から見て、軸線Lに対して、第2ポート2aの反対側に位置する。第1の実施形態において、軸線と直交する方向から見た、弁ポート11aの形状は、円形状であるが、これに限らず、例えば、矩形形状や、楕円形状や、任意の非対称形状など、様々な形状を採用することができる。
【0029】
第1の実施形態においては、椀状部材10とガイド部材11とを別体とするものであったが、これに限らず、例えば、図11(a)に示される従来の電動弁のように、椀状部材10とガイド部材11とを一体に形成するものであってもよい。
【0030】
弁体20Aは、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂系材料からなり、軸線Lに沿って延在する部材である。この弁体20Aは、一端側に弁部20aが形成される。また、弁体20Aの内側には、軸線Lに沿って一端側へと延在する一端側有底円筒部20bと、軸線Lに沿って他端側へと延在する他端側有底円筒部20cと、を備える。さらに、弁体20Aの外周側には、弁部20aの径方向外側に突出し、弁体20Aが回転する際に、椀状部材10の隆起部10aと当接し得る突起部20eと、詳細は後述するが、マグネットロータ32が嵌合及び当接される段部20dと、止め輪17を保持する環状溝20fと、を備える。
【0031】
一端側有底円筒部20bには、円周方向にガイドするガイド部材11が、径方向に僅かな隙間を有した状態で挿入される。ここで、詳細は後述するが、図2(b)に示すように、一端側有底円筒部20b、及び、ガイド部11dの外周面は、互いに摺動可能に係合される摺動部を有する。これにより、弁体20Aの回転状態の安定性を高めることができる。また、一端側有底円筒部20bにおいて、ガイド部材11の支持部11eと当接する他端部(当接面)20baは、支持部11eと対応する平坦な形状を有する。この一端側有底円筒部20bには、詳細は後述するが、ガイド部材11の弁座11bと環状に摺接するシール部20aaと、軸線L方向から見て、略扇形形状を有し、軸線L方向の一端側に延在し開口する流路部15と、を有する。なお、第1の実施形態において、ガイド部材11の支持部11eの形状を平坦としたが、これに限らず、例えば、半球面形状や凸形状としてもよい。これにより、ガイド部材11の支持部11eと、弁体20Aの他端部20baとの接触面積が極めて小さくなり、摺動抵抗が低減されることにより、弁体20Aが回転し易くなる。
【0032】
他端側有底円筒部20cには、弁体20Aを一端側に付勢する支持部材40が収容される。
【0033】
よって、弁部20aが、ガイド部材11に対して回転することにより、弁部20aの流路部15と、ガイド部材11の弁ポート11aとの連通状態を、弁開状態(図3(a),(b)参照)から弁閉状態(図3(d),(e)参照)(あるいは最小開度)の間で変化させ、流量の調節を行う。この際、図3(b),(e)に示すように、弁部20aの突起部20eが、ストッパ部として機能する隆起部10aに突き当たり、弁部20aの回転が規制されるとともに、マグネットロータ32の回転も規制される。よって、弁部20aが弁開状態となる位置又は弁閉状態(あるいは最小開度)となる位置を超えて移動されることが規制されるため、再現性のある安定かつ確実な位置決めができる。
【0034】
ステッピングモータ30Aは、ケース31と、マグネットロータ32と、ステータコイル33と、を備える。
【0035】
ケース31は、例えば、ステンレスなどの金属を材料として、上方の端部が塞がれた略円筒形状に形成され、弁体20A及びマグネットロータ32を収容する収容空間16を画定する。ケース31の下方の開口側の端部は、椀状部材10の上端部に溶接等によって気密に固定される。
【0036】
マグネットロータ32は、外周部を多極に着磁された円筒状のマグネット部34と、マグネット部34の内周側にスポークを介して接続されるハブ35と、を一体に備える。マグネットロータ32は、ハブ35の一端部を、段部20dに当接させるとともに、ハブ35の他端部を、止め輪17により軸線L方向に付勢させるように挟持することにより、弁体20Aに固定される。これにより、回転子部は、マグネットロータ32及び弁体20Aを一体的に有し、ケース31内に軸線Lを中心に回転可能に設けられる。
【0037】
ステータコイル33は、ケース31の外周面に配設されており、ステータコイル33にパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ32が回転される。
【0038】
このように、マグネットロータ32が回転されると、このマグネットロータ32とともに弁部20aが弁ポート11aに対して回転し、流路部15と弁ポート11aとの開度を変化させ、第1継手管1から第2継手管2へ(又は第2継手管2から第1継手管1へ)流れる流体の流量が制御される。
【0039】
支持部材40は、ケース31に対して、当接した状態で、回転可能に配置されるばね受け部41と、ばね受け部41と弁体20Aとの間に挟持され、弁体20Aを一端側に付勢する付勢ばね(弾性部材)42と、を備える。
【0040】
<電動弁の動作について>
図3を用いて、電動弁100aの動作を説明する。ここでは、電動弁100aが用いられる対象を冷媒回路として説明するが、これに限らない。また、電動弁100aにおいて、第1継手管1は、高圧(一次側圧力)側に接続され、第2継手管2は、低圧(二次側圧力)側に接続される場合(図3(a),(c)中の実線)について説明する。なお、これとは反対方向に流れる、第2継手管2が高圧側に接続され、第1継手管1が低圧側に接続される場合(図3(a),(c)中の破線)にも、同様の説明ができることから、ここでは省略する。
【0041】
まず、図3(b)に示すように、弁部20aが、マグネットロータ32により、反時計回り(矢印方向)に回転されることにより、弁部20aの突起部20eが、椀状部材10の隆起部10aに突き当たり、弁部20aの回転が規制されるとともに、マグネットロータ32の回転も規制される。この際、流路部15が弁ポート11aと対向する位置となるため、弁開状態となる。よって、流体は、図3(a)における実線矢印で示すように、高圧側の第1ポート1aから低圧側の第2ポート2aへと流れる。なお、流体経路において、圧力損失を生じさせないために、弁ポート11a前後における、流路部15と内部流路14の流路面積は、弁ポート11aの流路面積より大きくなるように設定される。
【0042】
次に、図3(e)に示すように、弁部20aが、マグネットロータ32により、時計回り(矢印方向)に回転されることにより、弁部20aの突起部20eが、椀状部材10の隆起部10aに突き当たり、弁部20aの回転が規制されるとともに、マグネットロータ32の回転も規制される。この際、流路部15が弁座11bと対向するとともに、弁ポート11aがシール部20aaと対向する位置となるため、弁閉状態となる。よって、図3(d)で示すように、高圧側の第1ポート1aから低圧側の第2ポート2aへの流路が閉じられる。
【0043】
第1の実施形態における流路部15は、軸線L方向から見て、略扇形形状を有する。よって、第1の実施形態における電動弁100aでは、流路部15が、弁ポート11aに対して回転し、弁開状態(図3(b)参照)及び弁閉状態(図3(e)参照)の一方から他方に遷移すると、遷移直後に、流路面積が急激に減少又は増加するため、例えば、開閉弁として用いることができる。
【0044】
<摩耗粉混入抑制手段について>
第1の実施形態において、弁体20Aの一端側有底円筒部20bとガイド部材11との摺動部において、摩耗粉AP(図3(c)参照)が発生するため、これに対して何ら対策を講じない場合には、発生した摩耗粉が、流体経路に混入し、従来の問題点1及び2(弁部における噛み込み、摩耗粉による他の機器への悪影響)が生じるおそれがあった。そこで、第1の実施形態では、流体経路に摩耗粉が混入しないように、2つの摩耗粉混入抑制手段を同時に採用するものであり、これにより、弁部における噛み込みや、摩耗粉による他の機器への悪影響を解消し、電動弁100aの信頼性を向上させることができる。以下に、第1の実施形態における摩耗粉混入抑制手段について具体的に説明する。
【0045】
<第1の摩耗粉混入抑制手段(他端側滞留部)について>
図3(c)を用いて、第1の摩耗粉混入抑制手段を説明する。弁開状態における流体は、図3(a)の実線矢印に示すように、第1ポート1aから、内部流路14、弁ポート11a、流路部15、及び、流路室13を順に介して、第2ポート2aへと流れる。ここで、流路部15の一端部15aを、弁ポート11aに対して、軸線L方向の一端側に配置するとともに、流路部15の他端部15bを、弁ポート11aに対して、軸線L方向の他端側に配置する。これにより、流路部15は、軸線L方向に延在する領域を有するため、弁ポート11aからの流れ方向が、水平方向から垂直方向へと急激に変化する。これにより、流路部15の他端部15bには、第1の摩耗粉混入抑制手段として、流体経路(図3(c)の実線矢印参照)から流体的に分離される他端側滞留部RP1(図3(c)のコの字状太線参照)が形成される。この他端側滞留部RP1には、流体経路における弁ポート11aの他端側の内壁から剥離した剥離せん断層が、時計回りに定常的に回転し続けることにより、旋回軸Saを中心とする旋回渦SV(図3(c)の円形状の実線矢印参照)が発生する。なお、第2継手管2が高圧側に接続され、第1継手管1が低圧側に接続される場合、他端側滞留部RP1には、反時計回りに定常的に回転する旋回渦SV(図3(c)の円形状の破線矢印参照)が発生する。
【0046】
第1の実施形態では、弁体20Aとガイド部材11との摺動部は、図3(c)に示される1か所で、流体経路と近接している。よって、この摺動部において発生した摩耗粉APが流体経路へと排出されるおそれがあるが、摺動部と流体経路との間には、旋回渦SVが形成される他端側滞留部RP1が存在する。この旋回渦SVは、周囲の流体にはたらく遠心力を有しているため、摺動部から他端側滞留部RP1への摩耗粉APの排出を抑制することができる。加えて、仮に、摩耗粉APが、他端側滞留部RP1へと排出されたとしても、摩耗粉APは、直ちに、他端側滞留部RP1の壁面近傍の速度境界層内に拘束されるため、摩耗粉APが、流体経路に混入されることを防止することができる。
【0047】
一方、弁閉状態においては、第1ポート1aから第2ポート2aへの流体の流れが遮断されることにより、他端側滞留部RP1に形成されていた旋回渦SVは、徐々に渦中心を一端側に移動させながら、渦度を減少させるとともに、他端側滞留部RP1の壁面近傍に形成されていた速度境界層の厚さも減少し、最終的には消滅する。これにより、摺動部から他端側滞留部RP1への排出が抑制されていた摩耗粉APや、速度境界層に拘束されていた摩耗粉APは、消滅する旋回渦SVの一端側への移動や、摩耗粉APの自重などにより、摩耗粉堆積領域X(図3(a),(c),(d)中のX印参照)へと堆積される。なお、この堆積された摩耗粉APは、次回の弁開状態には、摩耗粉堆積領域Xにおける速度境界層内に拘束されるため、流体経路に混入されることを防止することができる。
【0048】
<第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)について>
図3(c)に示すように、流路部15の一端部15aは、開口部15cを介して、流路室13と連通している。また、第2の摩耗粉混入抑制手段として、図3(e)に示すように、第2ポート2aは、軸線L方向からみて、開口部15cの回転軌跡を示す仮想円C1(図中の円形形状の破線)、つまり、旋回渦SVの消滅に伴い、摩耗粉APが堆積し得る領域よりも外側に配置される。これにより、弁閉状態では、弁部20aが反時計回りに回転する際(又は停止した位置にある際)、流体経路に近接する1か所の摺動部において発生した摩耗粉APは、軸線L方向に、直接対向配置する摩耗粉堆積領域Xへと堆積される一方、摩耗粉APは、第2ポート2aに堆積されることはない。このため、次回の弁開状態において、流体経路の一部を形成する第2ポート2aを介して、摩耗粉APが、流体経路に混入されることを確実に防止することができる。
【0049】
第1の実施形態における電動弁100aは、第1の摩耗粉混入抑制手段(他端側滞留部)及び第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)を採用するものである。これにより、第1の実施形態では、弁開状態において、流体経路に近接する1か所の摺動部と流体経路との間に位置する他端側滞留部RP1には、旋回渦SVが形成され、また、弁閉状態において、第2ポート2aは、旋回渦SVの消滅に伴い、摩耗粉APが堆積し得る領域よりも外側に配置されるため、摩耗粉APが、流体経路に混入することを確実に抑制することができる。したがって、第1の実施形態における電動弁100aは、従来の問題点1及び2(弁部における噛み込み、摩耗粉による他の機器への悪影響)を解消し、信頼性を向上させることができる。加えて、仮に、冷媒サイクルシステムを構成する他の機器から、異物が流入し、弁体20Aとガイド部材11との摺動部へと流れ込もうとしても、摺動部と流体経路との間には、旋回渦SVが形成されており、異物が、直接、摺動部に衝突しないため、摺動部の作動性と耐久性を向上させることができる。
【0050】
<摩耗粉発生抑制手段について>
ここで、発明者のさらなる研究により、第1及び第2の摩耗粉混入抑制手段を採用した場合でも、弁体20Aの一端側有底円筒部20bと、ガイド部材11との摺動部において、摩耗粉AP(図3(c)参照)が依然として発生するため、この摩耗粉APの発生自体に、何ら対策を講じない場合には、僅かながらでも摩耗粉APが、流体経路に混入する懸念があった(以下、「懸念事項(摺動部における摩耗粉の発生)」という)。そこで、第1の実施形態では、摺動部における摩耗粉の発生自体を抑制するように、様々な摩耗粉発生抑制手段を採用するものであり、これにより、懸念事項(摺動部における摩耗粉の発生)を解消し、電動弁100aの信頼性をさらに向上させることができる。以下に、第1の実施形態における摩耗粉発生抑制手段について具体的に説明する。
【0051】
<第1の摩耗粉発生抑制手段(他端側支持手段)について>
第1の摩耗粉発生抑制手段として、図1(a)及び図2(b)に示すように、支持部材40により、一端側有底円筒部20bの他端部20baを、ガイド部材11の支持部11eに押し付ける。この際、振動などによる弁体20Aの揺動を抑制することができる。この結果、弁体20Aの一端側有底円筒部20bと、ガイド部材11との摺動部における摩耗粉AP(図3(c)参照)の発生自体を効果的に抑制することができる。
【0052】
<第2の摩耗粉発生抑制手段(環状径方向隙間)について>
図2(b)に示すように、ガイド部材11の外周面には、複数の環状の縮径部11c及び複数の環状のガイド部11dが交互に形成される。これにより、第2の摩耗粉発生抑制手段として、一端側有底円筒部20bと、環状の縮径部11cとの間に、環状径方向隙間を有する。この環状径方向隙間を有する場合は、環状径方向隙間を有さない場合と比べ、一端側有底円筒部20bと、環状のガイド部11dとの接触面積、つまり、摺動抵抗を極めて小さくできるため、摺動部における摩耗粉APの発生自体を効果的に抑制することができる。また、仮に、摺動部において摩耗粉APが発生したとしても、環状径方向隙間は、摩耗粉APを取り込み、流体経路に混入されることを抑制するように、フェールセーフとして機能する。加えて、複数の環状のガイド部11dは、少なくとも、一端側有底円筒部20bの一端側に対応する位置、及び、一端側有底円筒部20bの他端側に対応する位置に設けられることから、環状径方向隙間を有さない場合と同程度に、弁体20Aの軸線Lに対する傾きを抑制することができる。
【0053】
第1の実施形態においては、環状の縮径部11c及び環状のガイド部11dが、それぞれ2つ形成されるものを例示したが、これに限らず、例えば、図2(b)における他端側の環状の縮径部11cを無くした環状の縮径部11cは1つ以上、及び、環状のガイド部11dは2つ以上形成されるものであってもよい。
【0054】
第1の実施形態における電動弁100aは、第1の摩耗粉発生抑制手段(他端側支持手段)及び/又は第2の摩耗粉発生抑制手段(環状径方向隙間)を採用することにより、支持部材40により、弁体20Aを軸線Lに対する傾きを抑制した状態で付勢でき、及び/又は、環状径方向隙間により、摺動部における摺動抵抗を極めて小さくできるため、摺動部における摩耗粉APの発生自体を効果的に抑制し、信頼性をさらに向上させることができる。
【0055】
(第1の実施形態の流路部変形例1~3)
図4及び図5を用いて、第1の実施形態の流路部変形例1~3について説明する。第1の実施形態の流路部変形例1~3は、弁部20a’,20a’’,20a’’’における流路部15’,15’’,15’’’の形状について、第1の実施形態の弁部20aの流路部15と相違するが、その他の基本構成は第1の実施形態と同一である。ここで、同一構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
(第1の実施形態の流路部変形例1)
図4(a)及び図4(b)を用いて、第1の実施形態の流路部変形例1における、弁部20a’の流路部15’を説明する。この流路部15’は、軸線L方向から見て、軸線Lに対して、偏心した半円形状を有する点で、第1の実施形態の流路部15と相違するが、その他の構成は、第1の実施形態の流路部15と同一である。
【0057】
流路部15’が、弁ポート11aに対して回転し、弁開状態(図4(a)参照)及び弁閉状態(図4(b)参照)の一方から他方に遷移すると、流路面積が漸減的又は漸増的に変化する。よって、第1の実施形態の流路部変形例1における電動弁100a’では、マグネットロータ32の回転角度により、細かな流量制御が可能となるため、例えば、流量調整弁として用いることができる。
【0058】
<第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)について>
第2の摩耗粉混入抑制手段として、図4(b)に示すように、第2ポート2aは、軸線L方向からみて、開口部15c’の回転軌跡を示す仮想円C2(図中の円形形状の破線)よりも外側に配置されるため、第1の実施形態と同様に、摩耗粉APが、流体経路に混入されることを確実に防止することができる。
【0059】
(第1の実施形態の流路部変形例2)
図4(c)及び図4(d)を用いて、第1の実施形態の流路部変形例2における、弁部20a’’の流路部15’’を説明する。この流路部15’’は、第1の実施形態の流路部15に、第1の実施形態の流路部変形例1の流路部15’を組み合わせた形状を有する点で、第1の実施形態の流路部15と相違するが、その他の構成は、第1の実施形態の流路部15と同一である。
【0060】
具体的には、流路部15’’は、軸線L方向から見て、略扇形形状と、軸線Lに対して、偏心した半円形状とを組み合わせた形状を有する。よって、第1の実施形態の流路部変形例2における電動弁100a’’では、流路部15’’が、弁ポート11aに対して回転し、弁開状態(図4(c)参照)及び弁閉状態(図4(d)参照)の一方から他方に遷移すると、遷移直後に、流路面積が急激に減少し、その後、流路面積が漸減的に変化する、又は、流路面積が漸増的に変化し、その後、流路面積が急激に増加するように、流路面積の急激な変化及び漸次的な変化の組み合わせによる流量制御が可能となるため、例えば、流量調整弁の機能を付加した開閉弁として用いることができる。
【0061】
<第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)について>
第2の摩耗粉混入抑制手段として、図4(d)に示すように、第2ポート2aは、軸線L方向からみて、開口部15c’’の回転軌跡を示す仮想円C3(図中の円形形状の破線)よりも外側に配置されるため、第1の実施形態と同様に、摩耗粉APが、流体経路に混入されることを確実に防止することができる。
【0062】
(第1の実施形態の流路部変形例3)
図5を用いて、第1の実施形態の流路部変形例3における、弁部20a’’’の流路部15’’’を説明する。この流路部15’’’は、径方向外側を向く開口部15c’’’を有する点で、第1の実施形態の流路部15と相違するが、その他の構成は、第1の実施形態の流路部15と同一である。
【0063】
具体的には、流路部15’’’の一端部15a’’’で、弁部20a’’’を径方向外側に貫通し、流路室13と連通する開口部15c’’’を有し、弁開状態において、開口部15c’’’は、軸線Lに対して、第2ポート2aの反対側の径方向外側を向く。
【0064】
<第1の摩耗粉混入抑制手段(他端側滞留部)について>
図5(b)を用いて、第1の摩耗粉混入抑制手段を説明する。流路部15’’’の他端部15bには、第1の実施形態と同様に、弁開状態において、旋回軸Saを中心とする旋回渦SVが発生する他端側滞留部RP1(図5(b)のコの字状太線参照)が形成される。
【0065】
弁開状態において、摺動部において発生した摩耗粉APは、摺動部と流体経路との間に、旋回渦SVが形成される他端側滞留部RP1が存在するため、旋回渦SVが形成されて、摺動部からの他端側滞留部RP1への摩耗粉APの排出や、流体経路への摩耗粉APの混入を抑制することができる。
【0066】
弁閉状態においては、摺動部から端側滞留部RP1への排出や、流体経路への混入を抑制されていた摩耗粉APは、消滅する旋回渦SVの一端側への移動や、摩耗粉APの自重などにより、流路部15’’’の一端部15a’’’に向かって、移動するとともに、弁部20a’’’の回転による遠心力により、径方向外側、つまり、開口部15c’’’へとゆっくりと移動される。その結果、摩耗粉APは、図5(b)に示すように、開口部15c’’’の出口から落下し、開口部15c’’’の出口の垂直方向に位置する摩耗粉堆積領域Xに堆積される。
【0067】
第1の実施形態の流路部変形例3における電動弁100bでは、開口部15c’’’が、弁開状態において、軸線Lに対して、第2ポート2aの反対側の径方向外側を向いている。これにより、第2ポート2aを介する流体経路と摩耗粉堆積領域Xとを流体的に完全に分離することができるため、摩耗粉APが、流体経路に混入されることをより確実に防止することができる。
【0068】
<第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)について>
第2の摩耗粉混入抑制手段として、図示は省略するが、第2ポート2aは、軸線L方向からみて、開口部15c’’’の回転軌跡を示す仮想円(弁部20a’’’の外周面を参照)よりも外側に配置されるため、第1の実施形態と同様に、摩耗粉APが、流体経路に混入されることを確実に防止することができる。
【0069】
(第1の実施形態の弁ポート変形例)
図6を用いて、第1の実施形態の弁ポート変形例について説明する。第1の実施形態の弁ポート変形例は、ガイド部材11’における弁ポート11a’の形状について、第1の実施形態のガイド部材11における弁ポート11aと相違するが、その他の基本構成は第1の実施形態と同一である。ここで、同一構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、第1の実施形態の流路部変形例1における電動弁100a’では、流量調整弁として用いるため、流路部15’の形状を工夫するものであるが、第1の実施形態の弁ポート変形例における電動弁100cでは、これに代え、弁ポート11a’の形状を工夫するものである。
【0070】
ガイド部材11’は、図6(c)に示すように、軸線L方向の他端側から一端側に開口する有底円筒形状を有しており、軸線L方向に延在する内部流路14と、内部流路14の略中央で、ガイド部材11’を径方向に貫通する弁ポート11a’と、弁ポート11a’の周囲に形成される弁座11b’(図6(d),(f)参照)と、を有する。また、図6(a)に示すように、ガイド部材11’の他端側における外周面には、複数の環状の縮径部11c’及び複数の環状のガイド部11d’が交互に形成され、一端側有底円筒部20bと、環状の縮径部11c’との間には、実施形態1と同様に、第2の摩耗粉発生抑制手段である環状径方向隙間を有する。
【0071】
第1の実施形態の弁ポート変形例では、ガイド部材11’を、プレス加工により成形するものを示すが、これに限らず、例えば、切削加工、鋳造加工、鍛造加工などにより成形するものであってもよい。
【0072】
ここで、弁ポート11a’は、軸線Lと直交する方向から見て、流路部15に対する開口面積が、弁閉状態から弁開状態へと向かう方向に、漸増する形状を有する。これにより、第1の実施形態の弁ポート変形例では、第1の実施形態の流路部変形例1のように、樹脂成形品からなる弁部20a’の流路部15’における形状を工夫するのではなく、プレス加工品かなるガイド部材11’の弁ポート11a’における形状を工夫することにより、第1の実施形態の流路部変形例1と同様に、流量調整弁として採用できることに加え、低コスト化を図ることができる。
【0073】
(第1の実施形態のストッパ部変形例1及び2)
図7を用いて、第1の実施形態のストッパ部変形例1及び2について説明する。第1の実施形態のストッパ部変形例1及び2は、第2継手管(ストッパ部)2’,2’’の接続様態について、第1の実施形態における第2継手管2と相違するが、その他の基本構成は第1の実施形態と同一である。ここで、同一構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、第1の実施形態における電動弁100aでは、隆起部10aを弁部20aのストッパ部とするものであるが、第1の実施形態のストッパ部変形例1及び2における電動弁100d,100eでは、これに代え、第2継手管2’,2’’の接続様態を工夫することにより、隆起部10aを省略するものである。
【0074】
(第1の実施形態のストッパ部変形例1)
図7(a)及び図7(b)を用いて、第1の実施形態のストッパ部変形例1における第2継手管2’の接続様態を説明する。この第2継手管2’の接続様態は、第2継手管2’が、弁部20aのストッパ部として機能する位置に、軸線L方向に延在する第2継手管2’を配置する点で、第1の実施形態と相違するが、その他の構成は、第1の実施形態と同一である。
【0075】
具体的には、第2継手管2’は、図7(a)に示すように、軸線Lと直交する方向から見て、突起部20eと重なる位置に配置されるとともに、図7(b)に示すように、軸線L方向から見て、回転する突起部20eと干渉する位置に配置される。この第2継手管2’が、回転する突起部20eと当接することにより、所望の回転角度に規制されるため、再現性のある安定かつ確実な位置決めができる。このように、第2継手管2’が、弁部20aのストッパ部として機能するため、隆起部10aを省略することができ、低コスト化を図ることができる。
【0076】
<第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)について>
第2の摩耗粉混入抑制手段として、図7(b)に示すように、第2ポート2a’は、軸線L方向からみて、開口部15cの回転軌跡を示す仮想円C1よりも外側に配置されるため、第1の実施形態と同様に、摩耗粉APが、流体経路に混入されることを確実に防止することができる。
【0077】
(第1の実施形態のストッパ部変形例2)
図7(c)及び図7(d)を用いて、第1の実施形態のストッパ部変形例2における第2継手管2’’の接続様態を説明する。この第2継手管2’’の接続様態は、第2継手管2’’が、弁部20aのストッパ部として機能する位置に、軸線Lと直交する方向に延在する第2継手管2’’を配置する点で、第1の実施形態と相違するが、その他の構成は、第1の実施形態と同一である。
【0078】
具体的には、第2継手管2’’は、図7(c)に示すように、軸線Lと直交する方向から見て、突起部20eと重なる位置に配置されるとともに、図7(d)に示すように、軸線L方向から見て、回転する突起部20eと干渉する位置に配置される。この第2継手管2’’が、回転する突起部20eと当接することにより、所望の回転角度に規制されるため、再現性のある安定かつ確実な位置決めができる。このように、第2継手管2’’が、弁部20aのストッパ部として機能するため、隆起部10aを省略することができ、低コスト化を図ることができる。
【0079】
<第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)について>
第2の摩耗粉混入抑制手段として、図7(d)に示すように、第2ポート2a’’は、軸線L方向からみて、開口部15cの回転軌跡を示す仮想円C1よりも外側に配置されるため、第1の実施形態と同様に、摩耗粉APが、流体経路に混入されることを確実に防止することができる。
【0080】
(第2の実施形態)
図8を用いて、第2の実施形態に係る電動弁100fについて説明する。第2の実施形態に係る電動弁100fは、主に、弁体20B及びガイド部11Bca,11Bcbの径方向の配置や、第1継手管1B及び第2継手管2Bの接続様態について、第1の実施形態の電動弁100aと相違するが、その他の基本構成は第1の実施形態と略同一である。ここで、同一構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0081】
<電動弁の構成について>
図8に示すように、電動弁100fは、弁本体10B、弁体20B、ステッピングモータ30B、支持部材(他端側支持手段)40から主に構成される。以下、電動弁100fのそれぞれの構成を順に説明する。なお、支持部材40は、第1の実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0082】
ここで、詳細は後述するが、第2の実施形態における電動弁100fは、第1の実施形態と同様に、第1の摩耗粉混入抑制手段(他端側滞留部)及び第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)を採用することに加え、第1の摩耗粉混入抑制手段(一端側滞留部)をさらに採用することにより、弁開状態及び弁閉状態のいずれにおいても、従来の問題点1及び2(弁部における噛み込み、摩耗粉による他の機器への悪影響)を解消し、信頼性を向上させることができる。また、第2の実施形態における電動弁100fは、第1の実施形態と同様に、第1の摩耗粉発生抑制手段(他端側支持手段)及び/又は第2の摩耗粉発生抑制手段(環状径方向隙間)を採用することにより、摺動部における摩耗粉APの発生自体を効果的に抑制し、信頼性をさらに向上させることができる。
【0083】
弁本体10Bは、例えば、ステンレスや黄銅などの金属を材料とするものであり、下蓋12を含み、軸線Lに沿って他端側に開口する挿通孔を有する。この挿通孔には、他端側から一端側に向かって、大径ガイド部11Bcb、小径ガイド部11Bca、摩耗粉堆積領域X、がそれぞれ設けられる。この小径ガイド部11Bcaは、大径ガイド部11Bcbより内径が小さく設定され、一端側の内側領域には、流路室13が画定される。また、摩耗粉堆積領域Xは、流路室13より内径が大きく設定される。なお、第2の実施形態において、摩耗粉堆積領域Xの内径は、流路室13の内径より大きく設定したが、これに限らず、流路室13と同一径としてもよい。
【0084】
弁本体10Bは、流路室13から径方向の一方(図8(a)の右方)へと連続して同心上に貫通する弁ポート11Ba及び第1ポート1Baを有し、この第1ポート1Baには、第1継手管1Bが接続される。また、弁本体10Bは、弁ポート11Baより一端側に位置し、流路室13から径方向の他方(図8(a)の左方)へと貫通する第2ポート2Baを有し、この第2ポート2Baには、第2継手管2Bが接続される。なお、小径ガイド部11Bcaにおける弁ポート11Baを取り囲む環状領域には、弁座11Bbが設けられる。さらに、弁本体10Bの他端部には、平坦な形状を有する環状の支持部(当接面)11Beが形成される。下蓋12は、円板部12aと、円板部12aの内周の一部を他端側に折り曲げる折り曲げ部(ストッパ部)12bと、を備える。第2の実施形態において、軸線と直交する方向から見た、弁ポート11Baの形状は、円形状であるが、これに限らず、例えば、矩形形状や、楕円形状や、任意の非対称形状など、様々な形状を採用することができる。
【0085】
弁体20Bは、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂系材料からなり、軸線Lに沿って延在する部材である。この弁体20Bの一端側は、弁本体10Bの挿通孔に挿入されており、一端側から他端側に向かって順に、弁部20Ba、小径ガイド軸部20Bg、大径ガイド軸部20Bhが、階段状に順次拡径して形成される。この弁部20Baには、詳細は後述するが、軸線L方向から見て、略扇形形状を有し、軸線L方向の一端側に延在し開口する流路部15Bを有する。また、小径ガイド軸部20Bg及び大径ガイド軸部20Bhは、それぞれ、弁本体10Bの小径ガイド部11Bca及び大径ガイド部11Bcbに摺接可能に配置される。これにより、第2の実施形態の弁体20Bは、第1の実施形態の弁体20Aと比べ、径方向の大きさを比較的小さくし、軽量化を図ることができるため、ステッピングモータ30Bにおける省エネ化を向上させることができる。さらに、弁体20Bの他端側には、弁本体10Bの環状の支持部11Beと対応する平坦な形状を有する環状の一端側段部(当接面)20Bi、マグネットロータ32Bの固定部35Bに固定される他端側段部20Bj、軸線Lに沿って他端側へと延在し開口する他端側有底円筒部20Bcと、を備える。この他端側有底円筒部20Bcには、弁体20Bを一端側に付勢する支持部材40が収容される。
【0086】
よって、弁部20Baが、小径ガイド部11Bcaに対して回転することにより、弁部20Baの流路部15Bと、小径ガイド部11Bcaの弁ポート11Baとの連通状態を、弁開状態(図8(a),(b)参照)から弁閉状態(不図示)(あるいは最小開度)の間で変化させ、流量の調節を行う。この際、詳細は後述するが、図8(a)に示すように、マグネットロータ32Bの突起部32Baが、ストッパ部として機能する下蓋12の折り曲げ部12bに突き当たり、弁部20Baの回転が規制されるとともに、マグネットロータ32Bの回転も規制される。よって、弁部20Baが弁開状態となる位置又は弁閉状態(あるいは最小開度)となる位置を超えて移動されることが規制されるため、再現性のある安定かつ確実な位置決めができる。
【0087】
ステッピングモータ30Bは、ケース31Bと、マグネットロータ32Bと、ステータコイル33Bと、を備える。なお、ステータコイル33Bは、第1の実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0088】
ケース31Bは、例えば、ステンレスなどの金属を材料として、上方の端部が塞がれた略円筒形状に形成され、弁体20B及びマグネットロータ32Bを収容する収容空間16を画定する。ケース31Bの下方の開口側の端部は、下蓋12の円板部12aにおける外周側に溶接等によって気密に固定される。
【0089】
マグネットロータ32Bは、円筒状のマグネット部34Bと、マグネット部34Bの内周側に接続される円筒形状の固定部35Bと、を一体に備える。マグネットロータ32Bの固定部35Bの内側には、弁体20Bが軸線L方向の一端側に向けて嵌挿され、弁体20Bの他端側段部20Bjが、固定部35Bの他端部に当接した後、溶着等により、回転子部であるマグネットロータ32B及び弁体20Bは一体的に固定される。これにより、回転子部は、ケース31B内に軸線Lを中心に回転可能に設けられる。また、マグネットロータ32Bは、一端側に向けて突出する突起部32Baを備える。
【0090】
このように、マグネットロータ32Bが回転されると、このマグネットロータ32Bとともに弁部20Baが弁ポート11Baに対して回転し、流路部15Bと弁ポート11Baとの開度を変化させ、第1継手管1Bから第2継手管2Bへ(又は第2継手管2Bから第1継手管1Bへ)流れる流体の流量が制御される。
【0091】
<電動弁の動作について>
図8を用いて、電動弁100fの動作を説明する。ここでは、電動弁100fが用いられる対象を冷媒回路として説明するが、これに限らない。また、電動弁100fにおいて、第1継手管1Bは、高圧(一次側圧力)側に接続され、第2継手管2Bは、低圧(二次側圧力)側に接続される場合(図8(a),(c)中の実線)について説明する。なお、これとは反対方向に流れる、第2継手管2Bが高圧側に接続され、第1継手管1Bが低圧側に接続される場合(図8(a),(c)中の破線)にも、同様の説明ができることから、ここでは省略する。
【0092】
まず、弁部20Baが、マグネットロータ32Bにより、反時計回りに回転されることにより、マグネットロータ32Bの突起部32Baが、弁本体10Bに固定された下蓋12の折り曲げ部12bに突き当たり、マグネットロータ32Bの回転が規制されるとともに、弁部20Baの回転も規制される。この際、図8(b)に示すように、流路部15Bが弁ポート11Baと対向する位置となるため、弁開状態となる。よって、流体は、図8(a)における実線矢印で示すように、高圧側の第1ポート1Baから低圧側の第2ポート2Baへと流れる。なお、流体経路において、圧力損失を生じさせないために、弁ポート11Ba前後における、流路部15Bと第1ポート1Baの流路面積は、弁ポート11Baの流路面積より大きくなるように設定される。
【0093】
次に、図示は省略するが、弁部20Baが、マグネットロータ32Bにより、時計回りに回転されることにより、マグネットロータ32Bの突起部32Baが、弁本体10Bに固定された下蓋12の折り曲げ部12bに突き当たり、マグネットロータ32Bの回転が規制されるとともに、弁部20Baの回転も規制される。この際、流路部15Bが弁座11Bbと対向するとともに、弁ポート11Baがシール部20Baaと対向する位置となるため、弁閉状態となる。よって、高圧側の第1ポート1Baから低圧側の第2ポート2Baへの流路が閉じられる。
【0094】
第2の実施形態の流路部15Bは、図8(b)に示すように、軸線L方向から見て、略扇形形状を有する。よって、第2の実施形態における電動弁100fでは、流路部15Bが、弁ポート11Baに対して回転し、弁開状態(図8(b)参照)及び弁閉状態(不図示)の一方から他方に遷移すると、遷移直後に、流路面積が急激に減少又は増加するため、例えば、開閉弁として用いることができる。
【0095】
<摩耗粉混入抑制手段について>
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、第1の摩耗粉混入抑制手段(他端側滞留部)及び第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)を採用することに加え、第1’の摩耗粉混入抑制手段(一端側滞留部)をさらに採用することにより、従来の問題点1及び2(弁部における噛み込み、摩耗粉による他の機器への悪影響)を解消し、信頼性を向上させることができる。以下に、第2の実施形態における摩耗粉混入抑制手段について具体的に説明する。
【0096】
<第1の摩耗粉混入抑制手段(他端側滞留部)について>
図8(c)を用いて、第1の摩耗粉混入抑制手段を説明する。弁開状態における流体は、実線矢印に示すように、第1ポート1Baから、弁ポート11Ba、流路部15B、及び、流路室13を順に介して、第2ポート2Baへと流れる。ここで、流路部15Bの一端部15Baを、弁ポート11Baに対して、軸線L方向の一端側に配置するとともに、流路部15Bの他端部15Bbを、弁ポート11Baに対して、軸線L方向の他端側に配置する。これにより、流路部15Bの他端部15Bbには、第1の摩耗粉混入抑制手段(他端側滞留部)として、流体経路(図8(c)の実線矢印参照)から流体的に分離される他端側滞留部RP1(図8(c)のコの字状太線参照)が形成される。この他端側滞留部RP1には、旋回軸Sa1を中心とする旋回渦SV1(図8(c)の楕円形状の実線矢印参照)が発生する。なお、第2継手管2Bが高圧側に接続され、第1継手管1Bが低圧側に接続される場合、他端側滞留部RP1には、反時計回りに定常的に回転する旋回渦SV1(図8(c)の楕円形状の破線矢印参照)が発生する。
【0097】
<第1’の摩耗粉混入抑制手段(一端側滞留部)について>
また、弁部20Baの一端部を、第2ポート2Baに対して、軸線L方向の他端側に配置する。これにより、弁部20Baの一端部、及び、この弁部20Baの一端部に隣接する小径ガイド部11Bcaの内壁には、第1’の摩耗粉混入抑制手段(一端側滞留部)として、流体経路(図8(c)の実線矢印参照)から流体的に分離される一端側滞留部RP2(図8(c)のLの字状太線参照)が形成される。この一端側滞留部RP2には、旋回軸Sa2を中心とする旋回渦SV2(図8(c)の楕円形状の実線矢印参照)が発生する。なお、第2継手管2Bが高圧側に接続され、第1継手管1Bが低圧側に接続される場合、一端側滞留部RP2には、反時計回りに定常的に回転する旋回渦SV2(図8(c)の楕円形状の破線矢印参照)が発生する。
【0098】
第2の実施形態では、小径ガイド軸部20Bgと小径ガイド部11Bcaとの摺動部は、図8(c)に示される2か所で、流体経路と近接している。よって、この2か所の摺動部において発生した摩耗粉AP1,AP2が流体経路へとそれぞれ排出されるおそれがある。しかしながら、この2か所の摺動部と流体経路との間には、旋回渦SV1,SV2が形成される他端側滞留部RP1及び一端側滞留部RP2が存在する。この旋回渦SV1,SV2は、周囲の流体にはたらく遠心力を有しているため、摺動部から他端側滞留部RP1及び一端側滞留部RP2への摩耗粉AP1,AP2の排出を抑制することができる。加えて、仮に、摩耗粉AP1,AP2が、他端側滞留部RP1及び一端側滞留部RP2へと排出されたとしても、摩耗粉AP1,AP2は、直ちに、他端側滞留部RP1及び一端側滞留部RP2の壁面近傍の速度境界層内に拘束されるため、摩耗粉AP1,AP2が、流体経路に混入されることを防止することができる。
【0099】
一方、弁閉状態においては、第1ポート1Baから第2ポート2Baへの流体の流れが遮断されることにより、他端側滞留部RP1及び一端側滞留部RP2に形成されていた旋回渦SV1,SV2は、徐々に渦中心を一端側に移動させながら、渦度を減少させるとともに、他端側滞留部RP1及び一端側滞留部RP2の壁面近傍に形成されていた速度境界層の厚さも減少し、最終的には消滅する。これにより、摺動部から他端側滞留部RP1及び一端側滞留部RP2への排出が抑制されていた摩耗粉AP1,AP2や、速度境界層に拘束されていた摩耗粉AP1,AP2は、消滅する旋回渦SV1,SV2の一端側への移動や、摩耗粉AP1,AP2の自重などにより、摩耗粉堆積領域X(図8(a),(c)中のX印参照)へと堆積される。なお、摩耗粉堆積領域Xは、流体経路(図8(c)の実線矢印参照)から流体的に分離されるため、摩耗粉堆積領域Xに堆積された摩耗粉AP1,AP2は、次回の弁開状態には、流体経路に混入されることを防止することができる。
【0100】
<第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)について>
図8(b),(c)に示すように、流路部15Bの一端部15Baは、開口部15Bcを介して、流路室13と連通している。また、第2の摩耗粉混入抑制手段として、図8(b)に示すように、第2ポート2Baは、軸線L方向からみて、開口部15Bcの回転軌跡を示す仮想円(図中の環状の弁座11Bb)、つまり、旋回渦SV1,SV2の消滅に伴い、摩耗粉AP1,AP2が堆積し得る領域よりも外側に配置される。これにより、弁閉状態では、弁部20Baが反時計回りに回転する際(又は停止した位置にある際)、2か所の摺動部において発生した摩耗粉AP1,AP2は、軸線L方向に、直接対向配置する摩耗粉堆積領域Xへと堆積される一方、摩耗粉AP1,AP2は、第2ポート2Baに堆積されることはない。このため、次回の弁開状態において、流体経路の一部を形成する第2ポート2Baを介して、摩耗粉AP1,AP2が、流体経路に混入されることを確実に防止することができる。
【0101】
第2の実施形態における電動弁100fは、第1の摩耗粉混入抑制手段(他端側滞留部)、第1’の摩耗粉混入抑制手段(一端側滞留部)及び第2の摩耗粉混入抑制手段(流路部の開口部から離間する第2ポート)を採用するものである。これにより、第2の実施形態では、弁開状態において、流体経路に近接する2か所の摺動部と流体経路との間に位置する他端側滞留部RP1及び一端側滞留部RP2には、旋回渦SV1,SV2が形成され、また、弁閉状態において、第2ポート2Baは、旋回渦SV1,SV2の消滅に伴い、摩耗粉AP1,AP2が堆積し得る領域よりも外側に配置されるため、摩耗粉AP1,AP2が、流体経路に混入することを確実に抑制することができる。したがって、第2の実施形態における電動弁100fは、第1の実施形態における電動弁100aと同様に、従来の問題点1及び2(弁部における噛み込み、摩耗粉による他の機器への悪影響)を解消し、信頼性を向上させることができる。加えて、仮に、冷媒サイクルシステムを構成する他の機器から、異物が流入し、小径ガイド軸部20Bgと小径ガイド部11Bcaとの摺動部へと流れ込もうとしても、摺動部と流体経路との間には、旋回渦SV1,SV2が形成されており、異物が、直接、摺動部に衝突しないため、摺動部の作動性と耐久性を向上させることができる。
【0102】
<摩耗粉発生抑制手段について>
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、第1の摩耗粉発生抑制手段(他端側支持手段)及び/又は、第2の摩耗粉発生抑制手段(環状径方向隙間)を採用することにより、懸念事項(摺動部における摩耗粉の発生)を解消し、電動弁100fの信頼性をさらに向上させることができる。以下に、第2の実施形態における摩耗粉発生抑制手段について具体的に説明する。
【0103】
<第1の摩耗粉発生抑制手段(他端側支持手段)について>
第1の摩耗粉発生抑制手段として、図8(a)に示すように、支持部材40により、弁体20Bの環状の一端側段部20Biを、弁本体10Bの環状の支持部11Beに押し付ける。この際、弁体20Bの環状の一端側段部20Bi及び弁本体10Bの環状の支持部11Beが、互いに平坦な形状を有することにより、弁体20Bの軸線Lに対する傾きを抑制することができる。この結果、弁体20Bの小径ガイド軸部20Bg及び大径ガイド軸部20Bhと、弁本体10Bの小径ガイド部11Bca及び大径ガイド部11Bcbとのそれぞれの摺動部における摩耗粉AP1,AP2(図8(c)参照)の発生自体を効果的に抑制することができる。
【0104】
<第2の摩耗粉発生抑制手段(環状径方向隙間)について>
図8(a)に示すように、弁本体10Bの小径ガイド部11Bca及び大径ガイド部11Bcbは、それぞれ、弁体20Aの小径ガイド軸部20Bg及び大径ガイド軸部20Bhに摺接可能に配置される。ここで、第2の摩耗粉発生抑制手段として、大径ガイド部11Bcbの一端側と、小径ガイド軸部20Bgの他端側との間に、環状径方向隙間を有する。この環状径方向隙間を有する場合は、環状径方向隙間を有さない場合と比べ、小径ガイド軸部20Bg及び大径ガイド軸部20Bhと、小径ガイド部11Bca及び大径ガイド部11Bcbとの接触面積、つまり、摺動抵抗を極めて小さくできるため、摺動部における摩耗粉AP1,AP2の発生自体を効果的に抑制することができる。また、仮に、摺動部において摩耗粉AP1,AP2が発生したとしても、環状径方向隙間は、摩耗粉AP1,AP2を取り込み、流体経路に混入されることを抑制するように、フェールセーフとして機能する。加えて、小径ガイド軸部20Bg及び大径ガイド軸部20Bhと、小径ガイド部11Bca及び大径ガイド部11Bcbとによるそれぞれの摺動部は、環状径方向隙間を介して、軸線L方向に離間した位置に設けられることから、環状径方向隙間を有さない場合と同程度に、弁体20Bの軸線Lに対する傾きを抑制することができる。
【0105】
第2の実施形態における電動弁100fは、第1の摩耗粉発生抑制手段(他端側支持手段)及び/又は第2の摩耗粉発生抑制手段(環状径方向隙間)を採用することにより、支持部材40により、弁体20Bを軸線Lに対する傾きを抑制した状態で付勢でき、及び/又は、環状径方向隙間により、摺動部における摺動抵抗を極めて小さくできるため、摺動部における摩耗粉AP1,AP2の発生自体を効果的に抑制し、信頼性をさらに向上させることができる。
【0106】
(第2の実施形態の流路部変形例1及び2)
図9を用いて、第2の実施形態の流路部変形例1及び2について説明する。第2の実施形態の流路部変形例1及び2は、弁部20Ba’,20Ba’’における流路部15B’,15B’’の形状について、第2の実施形態の弁部20Baの流路部15Bと相違するが、その他の基本構成は第2の実施形態と同一である。ここで、同一構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0107】
(第2の実施形態の流路部変形例1)
図9(a)を用いて、第2の実施形態の流路部変形例1における、弁部20Ba’の流路部15B’を説明する。この流路部15B’は、軸線L方向から見て、軸線Lに対して、偏心した半円形状を有する点で、第2の実施形態の流路部15Bと相違するが、その他の構成は、第2の実施形態の流路部15Bと同一である。
【0108】
流路部15B’が、弁ポート11Baに対して回転し、弁開状態及び弁閉状態の一方から他方に遷移すると、流路面積が漸減的又は漸増的に変化する。よって、第2の実施形態の流路部変形例1における電動弁100f’では、マグネットロータ32Bの回転角度により、細かな流量制御が可能となるため、例えば、流量調整弁として用いることができる。
【0109】
(第2の実施形態の流路部変形例2)
図9(b)を用いて、第2の実施形態の流路部変形例2における、弁部20Ba’’の流路部15B’’を説明する。この流路部15B’’は、第2の実施形態の流路部15Bに、第2の実施形態の流路部変形例1の流路部15B’を組み合わせた形状を有する点で、第2の実施形態の流路部15Bと相違するが、その他の構成は、第2の実施形態の流路部15Bと同一である。
【0110】
具体的には、流路部15B’’は、軸線L方向から見て、略扇形形状と、軸線Lに対して、偏心した半円形状とを組み合わせた形状を有する。よって、第2の実施形態の流路部変形例2における電動弁100f’’では、流路部15B’’が、弁ポート11Baに対して回転し、弁開状態及び弁閉状態の一方から他方に遷移すると、遷移直後に、流路面積が急激に減少し、その後、流路面積が漸減的に変化する、又は、流路面積が漸増的に変化し、その後、流路面積が急激に増加するように、流路面積の急激な変化及び漸次的な変化の組み合わせることにより流量制御が可能となるため、例えば、流量調整弁の機能を付加した開閉弁として用いることができる。
【0111】
<冷凍サイクルシステムについて>
図10を用いて、本発明の冷凍サイクルシステムを説明する。冷凍サイクルシステムは、第1から2の実施形態の電動弁100a~100f’’を用いた膨張弁100と、室外ユニットに搭載された室外熱交換器200と、室内ユニットに搭載された室内熱交換器300と、四方弁を構成する流路切換弁400と、圧縮機500と、を備える。ここで、膨張弁100、室外熱交換器200、室内熱交換器300、流路切換弁400、及び、圧縮機500は、それぞれ導管によって接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。なお、アキュムレータ、圧力センサ、温度センサ等は図示を省略している。
【0112】
冷凍サイクルの流路は、流路切換弁400により冷房運転時の流路と暖房運転時の流路の2通りに切換えられる。冷房運転時(図中の実線矢印参照)には、圧縮機500で圧縮された冷媒は、流路切換弁400から室外熱交換器200、膨張弁100、室内熱交換器300、流路切換弁400、そして、圧縮機500の順に循環され、室外熱交換器200が凝縮器として機能し、室内熱交換器300は蒸発器として機能する。
【0113】
一方、暖房運転時(図中の破線矢印参照)には、圧縮機500で圧縮された冷媒は、流路切換弁400から室内熱交換器300、膨張弁100、室外熱交換器200、流路切換弁400、そして、圧縮機500の順に循環され、室内熱交換器300が凝縮器として機能し、室外熱交換器200が蒸発器として機能する。よって、膨張弁100は、冷房運転時に室外熱交換器200から流入する液冷媒、又は、暖房運転時に室内熱交換器300から流入する液冷媒を、それぞれ減圧膨張し、さらにその冷媒の流量を制御することができる。
【0114】
なお、本発明は、第1から2の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、第1から2の実施形態では、家庭用エアコン等の空気調和機に用いられる電動弁100a~100f’’を例示したが、本発明の電動弁は、家庭用エアコンに限らず、業務用エアコンであってもよいし、空気調和機に限らず、各種の冷凍機等にも適用可能である。
【0115】
<その他>
本実施形態の電動弁100a~100f’’は、例示する冷凍サイクルだけでなく、あらゆる流体装置及び流体回路に適用可能であることは言うまでもない。また、本発明は、上述した各形態や、各実施形態、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【符号の説明】
【0116】
100a,100a’,100a’’,100b,100c,100d,100e,100f,100f’,100f’’ 電動弁
1,1B 第1継手管
1a,1Ba 第1ポート
2,2’,2’’,2B 第2継手管
2a,2a’,2a’’,2Ba 第2ポート
10A,10B 弁本体
10,10’,10’’ 椀状部材
10a 隆起部(ストッパ部)
11,11’ ガイド部材
11a,11a’,11Ba 弁ポート
11b,11b’,11Bb 弁座
11c,11c’ 縮径部
11d,11d’ ガイド部
11e,11Be 支持部(当接面)
11Bca 小径ガイド部
11Bcb 大径ガイド部
12 下蓋
12a 円板部
12b 折り曲げ部(ストッパ部)
13 流路室
14 内部流路
15,15’,15’’,15’’’,15B,15B’,15B’’ 流路部
15a,15a’’’,15Ba 一端部
15b,15Bb 他端部
15c,15c’,15c’’,15c’’’,15Bc 開口部
16 収容空間
17 止め輪
20A,20B 弁体
20a,20a’,20a’’,20a’’’,20Ba,20Ba’,20Ba’’ 弁部
20aa,20Baa シール部
20b 一端側有底円筒部
20ba 他端部(当接面)
20c,20Bc 他端側有底円筒部
20d 段部
20e 突起部
20f 環状溝
20Bg 小径ガイド軸部
20Bh 大径ガイド軸部
20Bi 一端側段部(当接面)
20Bj 他端側段部
30A,30B ステッピングモータ
31,31B ケース
32,32B マグネットロータ
32Ba 突起部
33,33B ステータコイル
34,34B マグネット部
35 ハブ
35B 固定部
40 支持部材(他端側支持手段)
41 ばね受け部
42 付勢ばね(弾性部材)
100 膨張弁
200 室外熱交換器
300 室内熱交換器
400 流路切換弁
500 圧縮機

AP,AP1,AP2 摩耗粉
C1,C2,C3 仮想円
L 軸線
RP1 他端側滞留部(摩耗粉混入抑制手段)
RP2 一端側滞留部(摩耗粉混入抑制手段)
Sa,Sa1,Sa2 旋回軸
SV,SV1,SV2 旋回渦
X 摩耗粉堆積領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11