IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

特開2024-157255操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置
<>
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図1
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図2
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図3
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図4
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図5
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図6
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図7
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図8
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図9
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図10
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図11
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図12
  • 特開-操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157255
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071509
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】沼倉 幸二
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB29
3D333CB44
3D333CD08
3D333CD20
3D333CD21
3D333CE06
3D333CE07
3D333CE53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】正確にステアリングホイールの中立位置にメカストッパ機構の各部品を組付けることができる操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置を提供する。
【解決手段】操舵操作入力部材の操作回転量を規制するメカストッパ機構5は、回転軸部材18と、回転軸部材の回転方向によって異なる位置で回転を規制する第1ストッパ面17a1と第2ストッパ面17a2とを有する突出部17aが設けられるハウジング17と、回転軸部材に取り付けられ、回転軸部材が一方向に回転した際に、突出部の第1ストッパ面に当接する第1ストッパ面と、一方向とは反対方向に回転した際に、突出部の第2ストッパ面に当接する第2ストッパ面19a2とを備えるストッパ部を有するストッパ部材19aとを備え、ストッパ部材は、操舵操作入力部材の操作回転量が規制されない回転軸部材の回転範囲における中立位置で、回転軸部材に取り付け可能な位置決め部19cを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられる操舵操作入力部材に操舵反力を付与する反力アクチュエータと、前記操舵操作入力部材の操作回転量を規制するメカストッパ機構と、を備える操舵操作入力装置であって、
前記メカストッパ機構は、
前記操舵操作入力部材から回転力が伝達されて回転する回転軸部材と、
前記回転軸部材を回転可能に支持し、前記回転軸部材の回転方向によって異なる位置で回転を規制する第1ストッパ面と第2ストッパ面とを有する突出部が設けられるハウジングと、
前記回転軸部材に取り付けられ、前記回転軸部材が一方向に回転した際に、前記突出部の第1ストッパ面に当接する第1ストッパ面と、前記一方向とは反対方向に回転した際に、前記突出部の第2ストッパ面に当接する第2ストッパ面とを備えるストッパ部を有するストッパ部材と、を備え、
前記ストッパ部材は、前記操舵操作入力部材の操作回転量が規制されない前記回転軸部材の回転範囲における中立位置で、前記回転軸部材に取り付け可能な位置決め部を有する、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操舵操作入力装置であって、
前記位置決め部は、前記ストッパ部材を前記回転軸部材の軸方向に対して垂直な断面で見たとき、前記ストッパ部材のストッパ部の第1ストッパ面側と第2ストッパ面側とで、非対称に形成される非対称形状部からなる、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操舵操作入力装置であって、
前記ストッパ部材は、前記操舵操作入力部材の操作回転範囲を大きくするために複数からなり、
前記非対称形状部は、前記回転軸部材の径方向外方から内方に向かって切り欠く切り欠き部からなり、
前記切り欠き部は、複数からなる夫々のストッパ部材を前記回転軸部材の軸方向に対して垂直な断面で見たとき、前記夫々のストッパ部材のストッパ部からの周方向において異なる位置に形成される、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の操舵操作入力装置であって、
前記ストッパ部材は、2個からなり、
一方のストッパ部材は、前記回転軸部材と一体回転し、他方のストッパ部材は、前記回転軸部材に回転可能に支持されており、
前記他方のストッパ部材のストッパ部は、前記第1ストッパ面と第2ストッパ面とを備えている、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の操舵操作入力装置であって、
前記切り欠き部は、前記ストッパ部材を前記回転軸部材に組み付ける際、組み付け治具に当接させる、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項6】
請求項5に記載の操舵操作入力装置であって、
前記組み付け治具は、前記回転軸部材の軸方向に伸びる円柱形状からなり、
前記ハウジングには、前記組み付け治具の一端部と当接する凹み部を有する、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項7】
請求項3に記載の操舵操作入力装置であって、
前記切り欠き部には、グリスが保持される、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項8】
車両に取り付けられる操舵操作入力部材に操舵反力を付与する反力アクチュエータと、前記操舵操作入力部材の操作回転量を規制するメカストッパ機構と、を備える操舵操作入力装置を有するステアバイワイヤ式の操舵装置であって、
前記メカストッパ機構は、
前記操舵操作入力部材から回転力が伝達されて回転する回転軸部材と、
前記回転軸部材を回転可能に支持し、前記回転軸部材の回転方向によって異なる位置で回転を規制する第1ストッパ面と第2ストッパ面とを有する突出部が設けられるハウジングと、
前記回転軸部材に取り付けられ、前記回転軸部材が一方向に回転した際に、前記突出部の第1ストッパ面に当接する第1ストッパ面と、前記一方向とは反対方向に回転した際に、前記突出部の第2ストッパ面に当接する第2ストッパ面とを備えるストッパ部を有するストッパ部材と、を備え、
前記ストッパ部材は、前記操舵操作入力部材の操作回転量が規制されない前記回転軸部材の回転範囲における中立位置で、前記回転軸部材に取り付け可能な位置決め部を有する、
ことを特徴とするステアバイワイヤ式の操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライバが操作するステアリングホイールの回転量を所定回転以内に規制するメカストッパ機構を備えるステアバイワイヤ式の操舵装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2019/239800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のメカストッパ機構にあっては、正確にステアリングホイールの中立位置に各部品を組付けできないおそれがある。
本発明の目的の一つは、正確にステアリングホイールの中立位置にメカストッパ機構の各部品を組付けることができる操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態における操舵操作入力装置は、車両に取り付けられる操舵操作入力部材に操舵反力を付与する反力アクチュエータと、操舵操作入力部材の操作回転量を規制するメカストッパ機構とを備え、メカストッパ機構は、操舵操作入力部材から回転力が伝達されて回転する回転軸部材と、回転軸部材を回転可能に支持し、回転軸部材の回転方向によって異なる位置で回転を規制する第1ストッパ面と第2ストッパ面とを有する突出部が設けられるハウジングと、回転軸部材に取り付けられ、回転軸部材が一方向に回転した際に、突出部の第1ストッパ面に当接する第1ストッパ面と、一方向とは反対方向に回転した際に、突出部の第2ストッパ面に当接する第2ストッパ面とを備えるストッパ部を有するストッパ部材とを備え、ストッパ部材は、操舵操作入力部材の操作回転量が規制されない回転軸部材の回転範囲における中立位置で、回転軸部材に取り付け可能な位置決め部を有する。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明の好ましい態様によれば、正確にステアリングホイールの中立位置にメカストッパ機構の各部品を組付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の操舵装置のシステム構成図である。
図2】実施形態1のメカストッパ機構の概略を示す分解斜視図である。
図3】実施形態1のメカストッパ機構の組付け状態の概略を示す斜視図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】実施形態1のメカストッパ機構のステアリングホイールが反時計回り方向に回転したときの動作説明図である。
図6】実施形態1のメカストッパ機構のステアリングホイールが時計回り方向に回転したときの動作説明図である。
図7】実施形態2のメカストッパ機構を示す断面図である。
図8】実施形態3のメカストッパ機構の組付け状態の概略を示す斜視図である。
図9図8のB-B断面図である。
図10】実施形態4のメカストッパ機構のストッパ部材の断面図である。
図11】実施形態5のメカストッパ機構の概略を示す分解斜視図である。
図12】実施形態5のメカストッパ機構のステアリングホイールが反時計回り方向に回転したときの動作説明図である。
図13】実施形態5のメカストッパ機構のステアリングホイールが時計回り方向に回転したときの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[実施形態1]
(操舵装置の全体構成)
図1は、実施形態1の操舵装置のシステム構成図である。
【0009】
操舵装置1は、ドライバにより操作され、回転中心軸P回りに回転するステアリングホイール(操舵操作入力装置)6と操舵輪16を操舵する操舵機構3とが機械的に切り離された、いわゆるステアバイワイヤ式の操舵装置である。
操舵装置1は、操舵操作入力装置2、操舵機構3、制御装置4を有する。
操舵操作入力装置2は、ハウジング17に回転可能に支持された操舵軸(回転軸部材)18に接続するステアリングホイール6と、操舵軸18の中央部に設けられた第1舵角センサ7、第2舵角センサ8と、操舵軸18に設けられたメカストッパ機構5および操舵軸18に電動モータ回転軸9aが接続する第1電動モータ(反力アクチュエータ)9と、電動モータ回転センサ10を有する。
ステアリングホイール6は、ドライバの操舵操作に応じて回転する。第1舵角センサ7は、ステアリングホイール6に接続する操舵軸18の回転量を検出し、検出した回転量に応じた第1操舵操作量信号を、制御装置4へ出力する。
第2舵角センサ8は、ステアリングホイール6に接続する操舵軸18の回転量を検出し、検出した回転量に応じた第2操舵操作量信号を、制御装置4へ出力する。
第1電動モータ9は、ドライバのステアリングホイール6の操舵操作に対し操舵負荷を増大させる力(操舵反力)を発生させる反力アクチュエータである。
電動モータ回転角センサ10は、第1電動モータ9の回転位置を検出し、検出した回転位置に応じた第1モータ回転角信号を制御装置4へ出力する。
ステアリングホイール6とストッパ機構5との間に、第1舵角センサ7、第2舵角センサ8を配置するようにした。
よって、舵角検出に対し、信頼性を向上することができる。
なお、制御装置4には、これ以外に外部センサ15から種々の検出信号が入力されている。
【0010】
操舵機構3は、ラックバー11、タイロッド12、ラックバー位置センサ13、および第2電動モータ14を有する。
ラックバー11は、車幅方向に移動可能であり、移動量に応じてタイロッド12を介して操舵輪16を操舵する。
ラックバー位置センサ13は、ラックバー11の位置を検出し、検出した位置に応じた操舵量信号を、制御装置4へ出力する。
操舵輪16の操舵角は、ラックバー11の位置に応じて一意に決まるため、操舵量信号は、操舵輪16の操舵角に関する信号である。
第2電動モータ14は、制御装置4からの操舵アクチュエータ駆動信号に基づき、ラックバー11を介して操舵輪16を操舵させる力を発生させる操舵アクチュエータである。
【0011】
制御装置4は、第1操舵操作量信号または第2操舵操作量信号に基づいて第1電動モータ9を駆動制御する。
なお、制御装置4は、第1舵角センサ7および第2舵角センサ8の失陥時、第1モータ回転角信号に基づき、ステアリングホイール6の回転量に関する信号を生成し、生成した信号に基づいて第1電動モータ9を駆動制御する。
また、制御装置4は、操舵量信号に基づいて第2電動モータ14を駆動制御する。
なお、制御装置4は、操舵装置1に対して一つの例を示したが、操舵入力機構2と操舵機構3のそれぞれに設けられてもよい。この場合、それぞれの制御装置は、第1操舵操作量信号または第2操舵操作量信号と、操舵量信号とを双方に共有し、第1電動モータ9と第2電動モータ14を制御する。
【0012】
(メカストッパ機構の全体構成)
図2は、実施形態1のメカストッパ機構の概略を示す分解斜視図であり、図3は、実施形態1のメカストッパ機構の組付け状態の概略を示す斜視図であり、図4は、図3のA-A断面図である。
【0013】
メカストッパ機構5は、ハウジング17に回転可能に支持され、ステアリングホイール6に一端が接続する操舵軸18に接続され、第1ストッパ面19a1と第2ストッパ面19a2を有するストッパ部19a、雌セレーション部19b、ステアリングホイール6の操作回転量が規制されない操舵軸18の回転範囲における中立位置で操舵軸18に取り付け可能な円形状の切り欠き部(位置決め部、非対称形状部)19cを備えるストッパ部材19と、ハウジングの一部170に形成された内方向に突出する第1ストッパ面17a1と第2ストッパ面17a2を有する突出部17aから構成されている。
これにより、正確にステアリングホイール6の中立位置にメカストッパ機構5のストッパ部材19を組み付けることができるとともに、組み付け状態の検査の容易化を図ることができる。
ステアリングホイール6に一端が接続する操舵軸18の他端には、雄セレーション部18aとボルト部18bが形成されている。
ストッパ部材19は、雌セレーション部19bが操舵軸18の雄セレーション部18aに挿入され、操舵軸18のボルト部18bに螺合する固定ナット20により操舵軸に固定され、操舵軸18と一体的に回転するようになっている。
なお、組み付け時には、一端部がハウジング17に設けられた凹み部17bに当接し、位置決めされた円柱の組み付け治具23が、ストッパ部材19の切り欠き部19cに当接するようになっている。
これにより、組み付け治具23のハウジング17に対する位置を正確にすることができ、ストッパ部材19をより正確に中立位置に配置することができる。
さらに、固定ナット20の締結時の締結トルクを組み付け治具23およびハウジング17が受けることで、ストッパ部材19を別の治具で掴むことなく、締結トルクを受けることができる。
また、ストッパ部材19の切り欠き部19cは、ストッパ部材19のストッパ部19aの第2ストッパ面19a2側にのみ形成されている。
すなわち、ストッパ部材19を操舵軸18の軸方向に対して垂直な断面で見たとき、回転中心軸Pおよびストッパ部材19の中心を通る仮想中心線L1に対し、ストッパ部材19は、ストッパ部19aの第1ストッパ面19a1側と第2ストッパ面19a2側とで、非対称に形成されている。
これにより、ストッパ部材19を正確に組み付けることができ、表裏を逆にした誤組み付けを確実に防止することができる。
【0014】
(メカストッパ機構の動作)
図5は、実施形態1のメカストッパ機構のステアリングホイールが反時計回り方向に回転したときの動作説明図であり、図6は、実施形態1のメカストッパ機構のステアリングホイールが時計回り方向に回転したときの動作説明図である。
【0015】
図5に示すように、左の図は中立位置を示し、右の図はステアリングホイール6と一体回転する操舵軸18が中立位置から反時計回りに約150°回転したときの位置を示している。
すなわち、右の図は、中立位置からステアリングホイール6が反時計回りに回転し、ストッパ部材19のストッパ部19aの第1ストッパ面19a1が突出部17aの第1ストッパ面17a1に当接し、メカストッパ機構5が作動し、機械的にロックされ回転ができない状態を示している。
また、図6に示すように、左の図は中立位置を示し、右の図はステアリングホイール6と一体回転する操舵軸18が中立位置から時計回りに約150°回転したときの位置を示している。
すなわち、右の図は、中立位置からステアリングホイール6が時計回りに回転し、ストッパ部材19のストッパ部19aの第2ストッパ面19a2が突出部17aの第2ストッパ面17a2に当接し、メカストッパ機構5が作動し、機械的にロックされ回転ができない状態を示している。
このため、実施形態1のステアバイワイヤ式の操舵装置1では。ステアリングホイール6は、反時計回り、時計回りにそれぞれ150°しか回転しないようになっている。
すなわち、実施形態1のステアバイワイヤ式の操舵装置1は、ステアリングホイール6を車両停車時には反時計回り、時計回りにそれぞれ約150°回転させることにより、操舵輪16はフル操舵状態となり、車速が上昇するに従いステアリングホイール6の回転量に対する操舵輪16の操舵量が小さくなるように設定している。
すなわち、ドライバのステアリングホイール6の操舵操作量を少なくすることで、ドライバの操舵操作を楽にすることができる。
【0016】
次に、作用効果を説明する。
実施形態1の操舵操作入力装置およびステアバイワイヤ式の操舵装置にあっては、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0017】
(1)メカストッパ機構5は、ハウジング17に回転可能に支持され、ステアリングホイール6に一端が接続する操舵軸18に接続され、第1ストッパ面19a1と第2ストッパ面19a2を有するストッパ部19a、雌セレーション部19b、ステアリングホイール6の操作回転量が規制されない操舵軸18の回転範囲における中立位置で操舵軸18に取り付け可能な切り欠き部19cを備えるストッパ部材19と、ハウジングの一部170に形成された内方向に突出する第1ストッパ面17a1と第2ストッパ面17a2を有する突出部17aから構成するようにした。
よって、正確にステアリングホイール6の中立位置にメカストッパ機構5のストッパ部材19を組付けることができるとともに、組み付け状態の検査の容易化を図ることができる。
【0018】
(2)組み付け時には、一端部がハウジング17に設けられた凹み部17bに当接し、位置決めされた組み付け治具23が、ストッパ部材19の切り欠き部19cに当接するようにした。
よって、組み付け治具23のハウジング17に対する位置を正確にすることができ、ストッパ部材19をより正確に中立位置に配置することができる。
【0019】
(3)固定ナット20の締結時の締結トルクを組み付け治具23およびハウジング17が受けるようにした。
よって、ストッパ部材19を別の治具で掴むことなく、締結トルクを受けることができる。
【0020】
(4)ストッパ部材19の切り欠き部19cは、ストッパ部材19のストッパ部19aの第2ストッパ面19a2側にのみ形成するようにし、ストッパ部材19を操舵軸18の軸方向に対して垂直な断面で見たとき、回転中心軸Pおよびストッパ部材19の中心を通る仮想中心線L1に対し、ストッパ部材19は、ストッパ部19aの第1ストッパ面19a1側と第2ストッパ面19a2側とで、非対称に形成するようにした。
よって、ストッパ部材19を正確に組み付けることができ、表裏を逆にした誤組み付けを確実に防止することができる。
【0021】
[実施形態2]
図7は実施形態2のメカストッパ機構を示す断面図である。
【0022】
実施形態1に加え、実施形態2では、ストッパ部材19の切り欠き部19cにグリスを充填し保持するようにしている。
その他の構成は、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
よって、実施形態2では、実施形態1の作用効果に加え、グリスの保持性が向上し、耐久によるフリクション特性の低下を抑制することができるという作用効果を奏する。
【0023】
[実施形態3]
図8は、実施形態3のメカストッパ機構の組付け状態の概略を示す斜視図であり、図9は、図8のB-B断面図である。
【0024】
実施形態1に加え、実施形態3では、ストッパ部19aの第1ストッパ面19a1と第2ストッパ面19a2にゴム等の弾性体21を貼り付けている。
その他の構成は、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
よって、実施形態3では、実施形態1の作用効果に加え、ストッパ部材19のストッパ部19aの第1ストッパ面19a1の突出部17aの第1ストッパ面17a1への当接時およびストッパ部材19のストッパ部19aの第2ストッパ面19a2の突出部17aの第2ストッパ面17a2への当接時の衝突の緩衝を行い、打音の抑制を行うことができる。
【0025】
[実施形態4]
図10は、実施形態4のメカストッパ機構のストッパ部材の断面図である。
【0026】
実施形態1に加え、実施形態4では、ストッパ部材19の雌セレーション部19bの操舵軸18への挿入側にテーパ19dを設けるようにしている。
その他の構成は、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
よって、実施形態4では、実施形態1の作用効果に加え、ストッパ部材19の操舵軸18への挿入性を向上することができる。
【0027】
[実施形態5]
図11は、実施形態5のメカストッパ機構の概略を示す分解斜視図である。
【0028】
(メカストッパ機構の全体構成)
メカストッパ機構5は、ハウジング17に回転可能に支持され、ステアリングホイール6に一端が接続する操舵軸18に接続され、第1ストッパ面190a1と第2ストッパ面190a2を有するストッパ部190a、雌セレーション部190b、切り欠き部190cを備える第1ストッパ部材190と、第1ストッパ面191a1と第2ストッパ面191a2を有するストッパ部191a、すべり軸受部191b、切り欠き部191cを備える第2ストッパ部材191と、ハウジングの一部170に形成された内方向に突出する第1ストッパ面17a1と第2ストッパ面17a2を有する突出部17aから構成されている。
なお、両切り欠き部190c、191cは、第1、2のストッパ部材190、191を操舵軸18の軸方向に対して垂直な断面で見たとき、回転中心軸Pおよびストッパ部材19の中心を通る仮想中心線L1に対し、第1、2のストッパ部材190、191のストッパ部190a、191aからの周方向において異なる位置に形成されている。
これにより、第1、2のストッパ部材190、191を中立位置に正しい向きに並べて組み立てることができる。
ステアリングホイール6に一端が接続する操舵軸18の他端には、雄セレーション部18aとボルト部18bと円筒部18cが形成されている。
第2ストッパ部材191は、すべり軸受部191bが操舵軸18の円筒部18cに挿入され、操舵軸18により回転可能に支持されている。
第1ストッパ部材190は、雌セレーション部190bが操舵軸18の雄セレーション部18aに挿入され、操舵軸18のボルト部18bに螺合する固定ナット20により操舵軸に固定され、操舵軸18と一体的に回転するようになっている。
その他の構成は、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
【0029】
(メカストッパ機構の動作)
図12は、実施形態5のメカストッパ機構のステアリングホイールが反時計回り方向に回転したときの動作説明図であり、図13は、実施形態5のメカストッパ機構のステアリングホイールが時計回り方向に回転したときの動作説明図である。
【0030】
図12に示すように、一番左の図は中立位置を示し、次の図はステアリングホイール6と一体回転する操舵軸18が中立位置から反時計回りに約90°回転したときの位置を示し、次の図はステアリングホイール6と一体回転する操舵軸18が中立位置から反時計回りに約270°回転したときの位置を示し、一番右の図はステアリングホイール6と一体回転する操舵軸18が中立位置から反時計回りに約320°回転したときの位置を示している。
すなわち、第1ストッパ部材190のストッパ部190aの第1ストッパ面190a1が第2ストッパ部材191のストッパ部191aの第2ストッパ面191a2に当接している中立位置からステアリングホイール6が反時計回りに回転すると、第1ストッパ部材190のストッパ部190aの第1ストッパ面190a1が第2ストッパ部材191のストッパ部191aの第2ストッパ面191a2に当接しているので、第1ストッパ部材190が第2ストッパ部材191を反時計方向に一体的に回転させる。
さらに、ステアリングホイール6が反時計回りに回転すると、反時計回りに約320°回転した位置で、第2ストッパ部材191のストッパ部191aの第1ストッパ面191a1が突出部17aの第1ストッパ面17a1に当接し、メカストッパ機構5が作動し、機械的にロックされ回転ができない状態となる。
【0031】
図13に示すように、一番左の図は中立位置を示し、次の図はステアリングホイール6と一体回転する操舵軸18が中立位置から時計回りに約90°回転したときの位置を示し、次の図はステアリングホイール6と一体回転する操舵軸18が中立位置から時計回りに約270°回転したときの位置を示し、一番右の図はステアリングホイール6と一体回転する操舵軸18が中立位置から時計回りに約320°回転したときの位置を示している。
すなわち、第1ストッパ部材190のストッパ部190aの第1ストッパ面190a1が第2ストッパ部材191のストッパ部191aの第2ストッパ面191a2に当接している中立位置からステアリングホイール6が時計回りに回転すると、第1ストッパ部材190のストッパ部190aの第1ストッパ面190a1が第2ストッパ部材191のストッパ部191aの第2ストッパ面191a2から離間して、第1ストッパ部材190のみが時計方向に回転する。
さらに、ステアリングホイール6が時計回りに回転すると、時計回りに約320°回転した位置で、第1ストッパ部材190のストッパ部190aの第2ストッパ面190a2が第2ストッパ部材191のストッパ部191aの第1ストッパ面191a1に当接し、第2ストッパ部材191のストッパ部191aの第2ストッパ面191a2は、突出部17aの第2ストッパ面17a2に当接しているので、メカストッパ機構5が作動し、機械的にロックされ回転ができない状態となる。
【0032】
実施形態1に加えて、実施形態5では、操舵軸18と一体的に回転する第1ストッパ部材190と、操舵軸18により回転可能に支持され第1ストッパ部材190で回転する第2ストッパ部材191との2個のストッパ部材を使用している。
よって、実施形態5では、実施形態1の作用効果に加え、ステアリングホイール6の回転角を大きくすることができ、ステアリングホイール6が反時計回り、時計回りに、それぞれ2回転(720°)するコンベンショナルな操舵装置に慣れたドライバの感覚に近づけることができる。
また、両切り欠き部190c、191cは、第1、2のストッパ部材190、191を操舵軸18の軸方向に対して垂直な断面で見たとき、第1、2のストッパ部材190、191のストッパ部190a、191aからの周方向において異なる位置に形成するようにしている。
よって、第1、2のストッパ部材190、191を中立位置に正しい向きに並べて組み立てることができる。
なお、実施形態5では、ステアリングホイール6が反時計回り、時計回りに、それぞれ320°回転可能にしていますが、よりコンベンショナルな操舵装置に近づけるためには、第1ストッパ部材190と第2ストッパ部材191との間に、操舵軸18により回転可能に支持されるストッパ部材を増加させることにより、対応可能である。
【0033】
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施形態1では、位置決め部は切り欠き部としているが、マーキングによる目印、打刻によるディンプルにて行ってもよい。
また、実施形態1では、切り欠き部を円形状、組み付け治具を円柱としているが、それぞれ、多角形状の切り欠き部、角柱の組み付け治具としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 操舵装置、2 操舵入力装置、5 メカストッパ機構、6 ステアリングホイール(操舵操作入力部材)、9 第1電動モータ(反力アクチュエータ)、17 ハウジング、17a 突出部、17b 凹み部、18 操舵軸(回転軸部材)、19 ストッパ部材、19a ストッパ部、19a1 第1ストッパ面、19a2 第2ストッパ面、19c 切り欠き部(位置決め部、非対称形状部)、22 グリス、23 組み付け治具、190 第1ストッパ部材、190a ストッパ部、190c 切り欠き部(位置決め部、非対称形状部)、191 第2ストッパ部材、191a ストッパ部、191a1 第1ストッパ面、191a2 第2ストッパ面、191c 切り欠き部(位置決め部、非対称形状部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13