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特開2024-157256画像形成装置、情報処理装置及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157256
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】画像形成装置、情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241030BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241030BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20241030BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20241030BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
G06F3/12 334
H04N1/00 127B
H04N1/00 002
B41J5/30 C
G03G15/01 S
G03G15/01 Z
G03G15/01 R
G03G21/00 376
G06F3/12 310
G06F3/12 344
G06F3/12 378
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071510
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 友紀
【テーマコード(参考)】
2C187
2H270
2H300
5C062
【Fターム(参考)】
2C187AC06
2C187AD07
2C187AF03
2C187AG01
2C187BF10
2C187BF41
2C187BG05
2C187BG06
2C187BG07
2C187GA01
2H270KA04
2H270LA90
2H270PA49
2H270PA83
2H270QB13
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EB05
2H300EJ01
2H300EJ09
2H300EJ10
2H300EJ49
2H300FF14
2H300FF15
2H300FF20
2H300GG16
2H300GG45
2H300SS12
2H300TT03
2H300TT04
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC58
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】 画像形成データに含まれる色材の情報によらず、ユーザが意図しない色材を用いた画像形成を検出することができる。
【解決手段】 本発明は、画像形成装置に関する。そして、本発明の画像形成装置は、使用可能な色材の種類の数が同時に収容可能な色材の数よりも多い画像形成手段と、描画データを画像形成手段が収容可能な色材の数含む画像形成データに基づいて画像形成制御処理を行う画像形成制御手段と、画像形成データに含まれる描画データを解析してユーザ意図色を推定する推定手段と、画像形成手段が収容している色材の色である収容色の情報を取得する色情報取得手段と、推定手段の推定結果と色情報取得手段が取得した情報とが一致するか否かを判定する判定処理を行い判定処理に応じた所定の処理を行う判定手段とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に使用可能な色材の種類の数が、同時に収容可能な色材の数よりも多い画像形成手段と、
1色の色材を用いた画像を描画するための描画データを前記画像形成手段が収容可能な色材の数含む画像形成データに基づいて、前記画像形成手段を制御し、媒体に画像形成させる画像形成制御処理を行う画像形成制御手段と、
前記画像形成データに含まれる前記描画データを解析して、ユーザが前記画像形成データの画像形成に用いる色材として意図した色であるユーザ意図色を推定する推定手段と、
前記画像形成手段が収容している色材の色である収容色の情報を取得する色情報取得手段と、
前記推定手段の推定結果と、前記色情報取得手段が取得した情報とが一致するか否かを判定する判定処理を行い、前記判定処理に応じた所定の処理を行う判定手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、黒色の色材について特色の色材に置き換えて収容可能であり、
前記画像形成制御手段は、前記画像形成手段に前記特色の色材が搭載されている場合には、前記画像形成手段を制御して、前記画像形成データに含まれている黒色の前記描画データに基づいて前記特色の画像を前記媒体に画像形成させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記推定手段は、前記黒色の前記描画データに基づき画像形成される第1の領域と、黒色以外の色の前記描画データに基づき画像形成される第2の領域とを抽出し、前記第1の領域と前記第2の領域で重複部分がある場合には前記ユーザ意図色を前記特色とし、前記第1の領域と前記第2の領域で重複部分が無い場合には前記ユーザ意図色を黒色とし、
前記色情報取得手段は、前記画像形成手段に黒色の色材が収容されている場合には前記収容色を黒色とし、前記画像形成手段に前記特色の色材が収容されている場合には前記収容色を前記特色とする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記推定手段の推定結果と、前記色情報取得手段が取得した情報とが一致しない場合、所定の報知処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記推定手段の推定結果と、前記色情報取得手段が取得した情報とが一致しない場合、前記判定手段は、前記画像形成制御手段による前記画像形成制御処理を開始させないように制御し、その後所定の操作入力があった場合に前記画像形成制御手段による前記画像形成制御処理を開始させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成に使用可能な色材の種類の数が、同時に収容可能な色材の数よりも多い画像形成手段を備える画像形成装置に、1色の色材を用いた画像を描画するための描画データを前記画像形成手段が収容可能な色材の数含む画像形成データを供給して、前記画像形成装置に前記画像形成データに基づく画像を媒体に画像形成させる情報処理装置において、
前記画像形成データに含まれる前記描画データを解析して、ユーザが前記画像形成データの画像形成に用いる色材として意図した色であるユーザ意図色を推定する推定手段と、
前記画像形成手段が収容している色材の色である収容色の情報を取得する色情報取得手段と、
前記推定手段の推定結果と、前記色情報取得手段が取得した情報とが一致するか否かを判定する判定処理を行い、前記判定処理に応じた所定の処理を行う判定手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
画像形成に使用可能な色材の種類の数が、同時に収容可能な色材の数よりも多い画像形成手段を備える画像形成装置に、1色の色材を用いた画像を描画するための描画データを前記画像形成手段が収容可能な色材の数含む画像形成データを供給して、前記画像形成装置に前記画像形成データに基づく画像を媒体に画像形成させる情報処理装置に搭載されたコンピュータを、
前記画像形成データに含まれる前記描画データを解析して、ユーザが前記画像形成データの画像形成に用いる色材として意図した色であるユーザ意図色を推定する推定手段と、
前記画像形成手段が収容している色材の色である収容色の情報を取得する色情報取得手段と、
前記推定手段の推定結果と、前記色情報取得手段が取得した情報とが一致するか否かを判定する判定処理を行い、前記判定処理に応じた所定の処理を行う判定手段として機能させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、情報処理装置及び情報処理プログラムに関し、例えば、画像形成に使用可能な色材の種類の数が収容可能な色材の数よりも多い画像形成装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成に使用可能な色材の種類の数が収容可能な色材の数よりも多い画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載された装置が挙げられる。
【0003】
画像形成に使用可能な色材の種類の数が収容可能な色材の数よりも多い画像形成装置としては、例えば、通常の画像形成で用いられるシアン(以下、単に「C」とも表す)、マゼンタ(以下、単に「M」とも表す)、イエロー(以下、単に「Y」とも表す)及びブラック(以下、単に「K」とも表す)(以下これらを総称して「通常色」と呼ぶ)の色材に加えて、ホワイト(ホワイト、以下、単に「W」とも表す)やクリア(透明)といった下地等に用いられる特殊な色(以下、これらを総称「特色」と呼ぶ)の色材で画像形成可能な装置が挙げられる。
【0004】
特許文献1に記載された画像形成装置では、通常色4種類と特殊色5種類(計9種類)の色材で画像形成可能であるが、同時に収容可能な色材(色材の容器)の数がそれよりも少ない4つであるため、9種類のうち最大4種類の色材を選択して収容することが可能となっている。そのため、特許文献1に記載された画像形成装置では、供給される画像形成データに、特色まで含めて画像形成に必要な色材の種類の情報が含まれており、それらの情報と自装置に収容されている色材の種類とが一致しない場合に、ユーザへの警告等を行うことで、無駄な画像形成(ユーザが意図しない色材を用いた画像形成)を抑止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-103478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、供給される画像形成データに収容可能な全ての色材の情報が含まれていることが前提となるので、容易に自装置に収容されている色材との比較が可能であるが、画像形成データに収容可能な全ての色材の情報が含まれない場合は、上記のような比較ができないため、ユーザが意図しない色材を用いた画像形成を抑止することができないおそれがあるという問題があった。
【0007】
上記のような問題に鑑みて、画像形成データに含まれる色材の情報によらず、ユーザが意図しない色材を用いた画像形成を検出することができる画像形成装置、情報処理装置及び情報処理プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明の画像形成装置は、画像形成に使用可能な色材の種類の数が、同時に収容可能な色材の数よりも多い画像形成手段と、1色の色材を用いた画像を描画するための描画データを前記画像形成手段が収容可能な色材の数含む画像形成データに基づいて、前記画像形成手段を制御し、媒体に画像形成させる画像形成制御処理を行う画像形成制御手段と、前記画像形成データに含まれる前記描画データを解析して、ユーザが前記画像形成データの画像形成に用いる色材として意図した色であるユーザ意図色を推定する推定手段と、前記画像形成手段が収容している色材の色である収容色の情報を取得する色情報取得手段と、前記推定手段の推定結果と、前記色情報取得手段が取得した情報とが一致するか否かを判定する判定処理を行い、前記判定処理に応じた所定の処理を行う判定手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0009】
第2の本発明の情報処理装置は、画像形成に使用可能な色材の種類の数が、同時に収容可能な色材の数よりも多い画像形成手段を備える画像形成装置に、1色の色材を用いた画像を描画するための描画データを前記画像形成手段が収容可能な色材の数含む画像形成データを供給して、前記画像形成装置に前記画像形成データに基づく画像を媒体に画像形成させる情報処理装置において、前記画像形成データに含まれる前記描画データを解析して、ユーザが前記画像形成データの画像形成に用いる色材として意図した色であるユーザ意図色を推定する推定手段と、前記画像形成手段が収容している色材の色である収容色の情報を取得する色情報取得手段と、前記推定手段の推定結果と、前記色情報取得手段が取得した情報とが一致するか否かを判定する判定処理を行い、前記判定処理に応じた所定の処理を行う判定手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【0010】
第3の本発明の情報処理プログラムは、画像形成に使用可能な色材の種類の数が、同時に収容可能な色材の数よりも多い画像形成手段を備える画像形成装置に、1色の色材を用いた画像を描画するための描画データを前記画像形成手段が収容可能な色材の数含む画像形成データを供給して、前記画像形成装置に前記画像形成データに基づく画像を媒体に画像形成させる情報処理装置に搭載されたコンピュータを、前記画像形成データに含まれる前記描画データを解析して、ユーザが前記画像形成データの画像形成に用いる色材として意図した色であるユーザ意図色を推定する推定手段と、前記画像形成手段が収容している色材の色である収容色の情報を取得する色情報取得手段と、前記推定手段の推定結果と、前記色情報取得手段が取得した情報とが一致するか否かを判定する判定処理を行い、前記判定処理に応じた所定の処理を行う判定手段として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成データに含まれる色材の情報によらず、ユーザが意図しない色材を用いた画像形成を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係るPCとプリンタの機能的構成について示したブロック図である。
図2】第1の実施形態に関係する各装置の接続構成について示した図である。
図3】第1の実施形態に係るPCのハードウェア構成の例について示したブロック図である。
図4】第1の実施形態に係るプリンタのハードウェア構成の例について示したブロック図である。
図5】第1の実施形態に係るPC及びプリンタによる印刷動作について示したフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る報知部により出力される報知内容の例について示した図である。
図7】第1の実施形態に係るプリンタにおいて、印刷媒体にCMYW印刷が成された場合の例について示した図である。
図8】第1の実施形態に係るビットマップ解析部によるユーザ意図色判定処理の詳細について示したフローチャートである。
図9】第2の実施形態に係る情報処理装置の機能的構成の例について示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による第1の実施形態の画像形成装置を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用した例について示している。
【0014】
(A-1)第1の実施形態の構成
図2は、この実施形態に関係する各装置の接続構成について示した図である。
【0015】
なお、以下の説明では、実施形態の特徴的な部分を中心に説明し、既知の一般的な部分に関しては説明を省略している部分が存在する。
【0016】
図2では、PC10にプリンタ20が接続された構成について示している。PC10とプリンタ20との間の接続構成については限定されないものであり、有線・無線を問わず種々の接続構成とすることができる。PC10とプリンタ20との間は、通信ケーブル(例えば、USBケーブル等)で接続するようにしてもよいし、種々のネットワーク(例えば、有線LAN/無線LANを用いたIPネットワーク)により接続するようにしてもよい。
【0017】
PC10は、ユーザの操作に応じて、プリンタ20へ印刷内容が所定の形式で記述されたデータ(以下、単に「印刷データ」とも呼ぶ)を送信する情報処理装置である。プリンタ20は、PC10から供給される印刷データを印刷(画像形成)する画像形成装置である。
【0018】
プリンタ20は、印刷のためのトナー(色材;現像剤)として、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、ホワイト(W)の5色に対応するが、同時に収容(収容)可能な色材は4色までとなっているものとする。つまり、プリンタ20は、4色の通常色(CMYK)と、1色の特色(W)に対応しているが、同時に収容可能なトナーは4色までであるため、ユーザによりCMYKWから選択された4つまでのトナーが収容されることになる。この実施形態では、説明を簡易とするため、プリンタ20に収容されるトナーの組み合わせは、「CMYK」あるいは「CMYW」のいずれかの組み合わせであるものとして説明する。
【0019】
図3は、PC10のハードウェア構成の例について示したブロック図である。
【0020】
次に、図3を用いて、PC10のハードウェア構成について説明する。PC10は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータにプログラムをインストールすることにより構成するようにしてもよい。
【0021】
図3に示すPC10は、ハードウェア的な構成要素として、コンピュータ13、入出力部14及び通信部15を有している。
【0022】
入出力部14は、ユーザインタフェースの機能を担うハードウェアであり、種々のユーザインタフェースを構成するデバイスで構成することができる。例えば、入出力部14は、ユーザからの入力を受け付けるデバイス(例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク等の入力デバイス)やユーザへ出力するデバイス(例えば、ディスプレイ/モニタ、スピーカ等の出力デバイス)等で構成される。
【0023】
通信部15は、プリンタ20と通信するためのネットワークインタフェースであり、PC10との接続構成に応じた通信メディアにより構成される。通信部15としては、例えば、USBインタフェース、有線LANインタフェース、無線LANインタフェース、種々の無線インタフェース(例えば、Bluetooth(登録商標)等)により構成することができる。
【0024】
図3に示すコンピュータ13は、プロセッサ131、一次記憶部132、及び二次記憶部133を有しているが、コンピュータ13としては種々の構成のコンピュータを適用することができる。
【0025】
一次記憶部132は、プロセッサ131の作業用メモリ(ワークメモリ)として機能する記憶手段であり、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発メモリを適用することができる。二次記憶部133は、OS(Operating System)やプログラムデータ等の種々のデータを記録する記憶手段であり、例えば、FLASH(登録商標)メモリやHDD等の不揮発メモリを適用することができる。この実施形態のコンピュータ13では、プロセッサ131が起動する際、二次記憶部133に記録されたOSやプログラム(実施形態に係る情報処理プログラムを含む)を読み込み、一次記憶部132上に展開して実行する。なお、コンピュータ13の具体的な構成は図3の構成に限定されないものであり、種々の構成を適用することができる。例えば、一次記憶部132が不揮発メモリ(例えば、FLASHメモリ等)であれば、二次記憶部133については除外した構成としてもよい。
【0026】
図4は、プリンタ20のハードウェア構成の例について示した図(プリンタ20の側断面を簡略化して示した図)である。
【0027】
図4に示すプリンタ20は、給紙トレイ201、給紙ローラ202、搬送ローラ203、転写ベルト204、転写部材としての4つの転写ローラ205(205-1~205-4)、レジストローラ206、定着装置207、4つのイメージドラムユニット(以下、「IDユニット」と呼ぶ)208(208-1~208-4)、排出ローラ209、操作表示部210、制御部211及び通信部212を有している。
【0028】
プリンタ20では、給紙トレイ201、給紙ローラ202、搬送ローラ203、転写ベルト204、転写ローラ205-1~205-4、レジストローラ206、定着装置207、IDユニット208-1~208-4及び排出ローラ209等を含む構成により印刷媒体PM(媒体;印刷用紙)に印刷(画像形成)する印刷手段213(画像形成手段)が構成されている。この実施形態の印刷手段213では、最大4つのIDユニット208(色材)を同時に収容可能であるものとするが、印刷手段213に収容可能なIDユニット208の数(色材の数)は限定されないものである。
【0029】
制御部211は、プリンタ20全体の制御機能を担っている。制御部211は、全てハードウェア(例えば、専用チップ)により構成するようにしてもよいし一部又は全部をソフトウェア(コンピュータプログラム)により構成するようにしてもよい。制御部211としては、例えば、図3に示されるようなコンピュータ13にプログラムをインストールすることにより構成するようにしてもよい。
【0030】
通信部212は、PC10と通信するためのネットワークインタフェースであり、PC10との接続構成に応じた通信メディアにより構成される。
【0031】
給紙トレイ201は、印刷媒体PMを収容するものであり、収容している印刷媒体PMを1枚ずつ繰り出す給紙機構である。以下では、給紙トレイ201を起点として印刷媒体PMが搬送される経路を「媒体搬送路」と呼び、媒体搬送路において印刷媒体PMが搬送される方向を「媒体搬送方向」と呼ぶものとする。
【0032】
媒体搬送路では、上流側から順に給紙ローラ202、搬送ローラ203、レジストローラ206、転写ベルト204、定着装置207及び排出ローラ209が配置されている。給紙ローラ202は給紙トレイ201に収容されている印刷媒体PMを1枚ずつ媒体搬送路に繰り出す。搬送ローラ203は、給紙ローラ202により繰り出された印刷媒体PMをさらに下流側に搬送する。レジストローラ206は、給紙トレイ201から搬送された印刷媒体PMをさらに下流側に搬送する。転写ベルト204は、IDユニット208-1~208-4で形成されたトナー画像を印刷媒体PMに転写するため印刷媒体PMを搬送する。転写ベルト204は、IDユニット208-1~208-4と転写ローラ205-1~205-4の間に配置されている。定着装置207は、印刷媒体PM上に転写されたトナー画像を印刷媒体PM上に定着させるものである。トナー画像が定着された印刷媒体PMは、排出ローラ209により搬送されて排出される。
【0033】
IDユニット208-1~208-4は、それぞれ搭載されたトナー(YMCKWのいずれかの色材)を用いて、転写ベルト204により搬送された印刷媒体PMに対してトナー画像(現像剤像)を移して印刷媒体PM上に画像を記録する。IDユニット208-1~208-4は、それぞれ転写ベルト204による媒体搬送路に沿って配置されている。この実施形態では、図4に示す通り、媒体搬送路の上流側からIDユニット208-1~208-4の順序で配置されているものとする。この実施形態では、説明を簡易とするため、IDユニット208-1にはイエロー(Y)のトナーが搭載され、IDユニット208-2にはマゼンタ(M)のトナーが搭載され、IDユニット208-3にはシアン(C)のトナーが搭載され、IDユニット208-4にはブラック(K)又はホワイト(W)のいずれかのトナーが搭載されるものとして説明する。つまり、この実施形態では、IDユニット208-4についてだけは、搭載されるトナーの色が固定されておらず、ユーザの意図によりブラック(K)又はホワイト(W)のいずれかのトナーが搭載されたIDユニットと交換される場合があるものとする。なお、当然のことではあるが、各IDユニット208に搭載するトナーの色は、ユーザにより任意の組合せとすることができる。例えば、IDユニット208-4にブラック(K)のトナーが搭載されている場合には、媒体搬送路を流れる印刷媒体にはYMCKの順にトナー画像が転写されることになり、IDユニット208-4にホワイト(W)のトナーが搭載されている場合には、媒体搬送路を流れる印刷媒体にはYMCWの順にトナー画像が転写されることになる。なお、IDユニット208-1~208-4の並び順は特に限定されるものではない。
【0034】
なお、以下では、プリンタ20に搭載される各IDユニット208の画像(各トナーの画像)をそれぞれ「CH」(チャンネル)とも呼ぶものとする。プリンタ20は、最大で4つのIDユニット208を収容可能であるので最大で4CHに対応した装置であると言える。つまり、この実施形態のプリンタ20ではCMYの3CHについては固定されているが4CH目が、ユーザの意図によりK又はWのいずれかとなるものとして説明する。
【0035】
なお、以下では、プリンタ20において、CMYKのトナーを用いた印刷(通常色のみを用いた印刷)を行うことを単に「CMYK印刷」と呼び、CMYWのトナーを用いた印刷(特色を用いた印刷)を行うことを「CMYW印刷」と呼ぶものとする。
【0036】
操作表示部210は、ユーザへの情報出力やユーザからの操作入力を受け付けるためのユーザインタフェース(例えば、メニュー操作のインタフェース)の機能を担うデバイスである。この実施形態において、操作表示部210には、ユーザへ情報出力するためのディスプレイ210aと、ユーザからの操作入力を受け付けるためのキーを備えたキーボード210bが配置されているものとするが、操作表示部210を構成する具体的なデバイスについては限定されないものである。
【0037】
図1は、PC10とプリンタ20の機能的構成について示したブロック図である。
【0038】
まず、PC10の機能的構成について説明する。
【0039】
図1に示すように、PC10は、機能的にアプリケーション11及びプリンタドライバ12を有している。
【0040】
アプリケーション11及びプリンタドライバ12は、それぞれコンピュータ13上で動作するソフトウェア(プログラム)である。
【0041】
アプリケーション11は、ユーザの操作(入出力部14を介した操作)に応じて所定の形式のデータ(以下、「アプリケーションデータ」と呼ぶ)の作成・表示・編集・印刷する機能に対応するソフトウェアである。アプリケーション11は、ユーザの操作に応じて、プリンタドライバ12(プリンタ20に対応するプリンタドライバ)を介して、プリンタ20に印刷実行をさせる。ここで、アプリケーションデータは、CMYKのそれぞれの色(CH)に対応する画像データを含む形式であるものとする。アプリケーションデータの具体的な形式は限定されないものであるが、例えば、TIFF(Tag Image File Format)等の種々の形式のデータが挙げられる。
【0042】
プリンタドライバ12は、アプリケーション11から供給されたアプリケーションデータをプリンタ20が解釈可能なプリンタ記述言語形式のデータ(以下、「印刷データ」と呼ぶ)に変換し、プリンタ20へ送信するソフトウェアである。上記の通り、アプリケーションデータにはCMYKのそれぞれの色(CH)に対応する画像データが含まれるので、印刷データにもCMYKのそれぞれの色(CH)に対応する画像データ(描画データ)が含まれることになる。
【0043】
ここで、プリンタ20は、上記の通りCMYKあるいはCMYWどちらかのトナーの組合せで印刷が可能だが、どちらの印刷を行う場合でも(ユーザの意図がK又はWのどちらであっても)、アプリケーションデータ/印刷データ上では区別なくCMYKの4色のCHの画像データで記述されるものとする。そして、この実施形態では、プリンタ20は、いずれかのIDユニット208にホワイト(W)のトナーが搭載されている場合(CMYW印刷の場合)には、印刷データに含まれるKの画像データを、Wの画像データとみなして印刷するものとする。第1の実施形態では、以上のようにアプリケーションデータの構造とプリンタ20の処理を上記のようにすることで、ホワイト(W)のような特色を使ったCMYW印刷においても、特色を特別なデータ構造で記述しなくて良いという利点(つまり、一般的なデータ形式をそのまま利用できるという利便性)がある。
【0044】
次に、プリンタ20の機能的構成について図1を用いて説明する。
【0045】
プリンタ20は、機能的には印刷データ受信部311、ビットマップ作成部312、ビットマップ解析部313、色情報取得部314、色一致判断部315、報知部316、2値化部317及び印刷部318を有している。この実施形態のプリンタ20において、これらの要素は、制御部211(コンピュータプログラム)により構成されているものとする。
【0046】
印刷データ受信部311は、プリンタドライバ12により送信された印刷データを受信する。
【0047】
ビットマップ作成部312は、印刷データ受信部311により受信した印刷データに含まれるCMYKの描画データから各色(各CH)のビットマップデータ(計4つのビットマップデータ)を作成する。
【0048】
ビットマップ解析部313は、ビットマップ作成部312が作成したCMYKの4つのビットマップデータを取得して解析し、それらのビットマップデータに基づいて、供給された印刷データ(印刷データの元となるアプリケーションデータ)が、ユーザによりCMYK印刷が意図されたものか若しくはCMYW印刷が意図されたものかを推定(判定)する処理(以下、「ユーザ意図色判定処理」と呼ぶ)を行う。言い換えると、ビットマップ解析部313が行うユーザ意図色判定処理は、印刷データに示されるCMYKのうちKについて、通常色であるKを意図したもの(CMYK印刷を意図したもの)であるのか、特色であるWを意図したもの(CMYW印刷を意図したもの)であるのかを判定する処理であるとも言える。以下では、印刷データ(印刷データの元となるアプリケーションデータ)において、ユーザが意図した色材の色(例えば、Kの画像データに対してユーザが意図した色)を「ユーザ意図色」と呼ぶものとする。例えば、CMYK印刷が意図された印刷データにおいて、Kの画像データに対応するユーザ意図色は「K」となる。また、例えば、CMYW印刷が意図された印刷データにおいてWの画像データに対応するユーザ意図色は「W」となる。
【0049】
この実施形態において、ビットマップ解析部313は、ユーザ意図色判定処理の結果として、Kの画像データに対応するユーザ意図色(「K」若しくは「W」)を示した情報(以下、「第1の色情報」と呼ぶ)を取得するものとする。
【0050】
色情報取得部314は、印刷手段213(IDユニット208-1~208-4)で収容されているトナー色の情報を取得する処理(以下、「収容色取得処理」と呼ぶ)を行う。具体的には、色情報取得部314は、収容色取得処理により、印刷手段213にK又はWのいずれのトナー色が収容されているかの情報(以下、「第2の色情報」と呼ぶ)を取得する。プリンタ20において、各IDユニット208に収容されるトナーの色の情報について管理する具体的な方式については限定されないものであり、種々の方式を適用することができるため、詳細な説明については省略する。この実施形態では、K又はWのトナーが収容されるのはIDユニット208-4であるため、色情報取得部314は、IDユニット208-4に収容されているトナーの色の情報を第2の色情報として取得する処理を行うものとする。なお、K又はWのトナーがIDユニット208-1~208-4のいずれに収容されるか定まっていない前提とする場合、色情報取得部314は、IDユニット208-1~208-4のそれぞれについて収容されているトナーの色を確認し、K又はWのいずれのトナー色が収容されているかを確認するようにしてもよい。
【0051】
色一致判断部315は、ビットマップ解析部313がユーザ意図色判定処理の結果取得した第1の色情報と、色情報取得部314が収容色取得処理の結果取得した第2の色情報とが一致するか否かを判断する処理(以下、「色一致判断処理」と呼ぶ)を行う。第1の色情報と第2の色情報が一致する場合は、印刷手段213にはユーザの意図した色のトナーが収容されており、第1の色情報と第2の色情報が不一致の場合には、印刷手段213にはユーザの意図しない色のトナーが収容されていることになる。色一致判断部315は、色一致判断処理の結果として、第1の色情報と第2の色情報とが一致することを示す「一致」又は、第1の色情報と第2の色情報とが一致しない(異なる)ことを示す「不一致」のいずれかを出力するものとする。
【0052】
2値化部317は、ビットマップデータをプリンタ20が印刷可能な2値データに変換する。
【0053】
印刷部318は、2値化部317から供給された2値データに基づいて印刷媒体PMに印刷するように、印刷手段213(図4に示すIDユニット208-1~208-4等を含むハードウェア構成)を制御する処理(以下、「印刷制御処理」又は「画像形成制御処理」と呼ぶ)を行う。印刷部318は、2値化部317により供給された各色版の2値データを、それぞれ対応するIDユニット208-1~208-4に供給して印刷媒体PMにトナー画像を転写させる。このとき、印刷部318は、IDユニット208-4にホワイト(W)のトナーが搭載されていた場合でも、ブラック(K)の2値データを供給する。また、印刷部318は、IDユニット208-4にブラック(K)のトナーが搭載されていた場合には、そのままIDユニット208-4にブラック(K)の2値データを供給する。これらの処理により、印刷部318は、結果として印刷手段213に対してCMYK印刷又はCMYW印刷を制御することになる。
【0054】
報知部316は、色一致判断部315の判断結果に応じて所定の処理を行う。報知部316は、例えば、色一致判断部315の判断結果が不一致の場合は、ユーザに対して所定の報知処理を行うようにしてもよい。例えば、報知部316は、色一致判断部315が不一致と判断した場合は、操作表示部210(ディスプレイ210a)を介してユーザに所定のメッセージ等を表示出力するようにしてもよい。また、報知部316は、色一致判断部315が不一致と判断した場合は、印刷部318による印刷制御処理を中止させ、ユーザから所定の入力操作(操作表示部210のキーボード210bを介した入力操作)に応じて、印刷の続行又はキャンセルを受け付けるようにしてもよい。そして、報知部316は、印刷部318による印刷制御処理を中断させた後、ユーザから印刷の続行の操作(例えば、キーボード210b上の所定のキー操作)が行われた場合には印刷部318を制御して印刷制御処理を再開(開始)させるようにしてもよい。なお、報知部316は、色一致判断部315の判断結果が一致の場合には特に報知処理や印刷停止の制御等は行わない。
【0055】
以上のように第1の実施形態では、印刷部318は、印刷制御処理(画像形成制御処理)を行う印刷制御手段(画像形成制御手段)の機能を担っている。また、ビットマップ解析部313は、ユーザ意図色判定処理によりユーザ意図色(第1の色情報)を推定する推定手段の機能を担っている。さらに、色情報取得部314は、収容色取得処理により収容色(第2の色情報)を取得する色情報取得手段の機能を担っている。さらにまた、色一致判断部315及び報知部316は、色一致判断処理を行いその結果に応じて所定の処理を行う判定手段の機能を担っている。
【0056】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係るPC10及びプリンタ20の動作について説明する。
【0057】
図5は、PC10及びプリンタ20による印刷動作について示したフローチャートである。図5において、ステップS101~S104はPC10(アプリケーション11、プリンタドライバ12)側の動作(処理)を示しており、ステップS105~S113はプリンタ20(制御部211)側の動作を示している。
【0058】
まず、PC10において、ユーザの操作により、アプリケーション11が起動し、所定のアプリケーションデータについて印刷実行を受け付けたものとする。このとき、アプリケーション11が、ユーザから、印刷に関する設定の入力の操作を受け付けたものとする(S101)。
【0059】
アプリケーション11において、印刷に関する設定は種々受け付けることができる。ここでは、アプリケーション11は、印刷に使用するプリンタを選択するためのプリンタドライバの選択を受け付け、プリンタドライバ12(プリンタ20)が選択されたものとする(S102)。このとき、プリンタドライバ12は、ユーザから種々の印刷効果をもたらす印刷設定を受け付けることができる。アプリケーション11やプリンタドライバ12において、設定を受け付ける処理や操作画面については種々の構成を適用することができるため、ここでは詳細説明については省略する。なお、ここで、アプリケーションデータは、CMYKの4色(4CH)のそれぞれに対応する画像データを有し、各画像データは面積率0%から100%の実数値で直接指定する形式で構成されているものとする。
【0060】
次に、プリンタドライバ12では、アプリケーションデータが、プリンタ20で解釈可能なプリンタ記述言語形式の印刷データに変換される(S103)。
【0061】
次に、印刷データが、プリンタドライバ12によりプリンタ20へ送信される(S104)。以後のステップの動作は、プリンタ20で行われる処理である。
【0062】
プリンタ20では、印刷データ受信部311により印刷データが受信される。そして、ビットマップ作成部312が、印刷データに含まれるCMYKの描画データから各色版に対応する4つのビットマップデータを作成する(S105)。なお、ここでは、ビットマップデータは1画素当たり8bitで256階調のデータであるものとする。
【0063】
次に、2値化部317が、ビットマップデータを2値化して2値データに変換する(S106)。ここでは、2値データは1画素当たり1bit、2階調のデータであるものとする。2値化部317による2値化処理の具体的方式については限定されないものであり、種々の組織的ディザ法等を用いるようにしてもよい。
【0064】
次に、ビットマップ解析部313が、CMYKの4つのビットマップデータを解析してユーザ意図色判定処理を行い、その結果として第1の色情報(K又はW)を取得する(S107)。ビットマップ解析部313が行うユーザ意図色判定処理の詳細については後述する。
【0065】
また、このとき、色情報取得部314が、収容色取得処理により、IDユニット208-4に格納されているトナーの色の情報(第2の色情報)を取得する処理を行う(S108)。
【0066】
次に、色一致判断部315が、ユーザ意図色判定処理により取得された第1の色情報と、収容色取得処理により取得した第2の色情報を比較し、一致又は不一致を判断する色一致判断処理を行う(S109)。プリンタ20(制御部211)は、第1の色情報と第2の色情報とが一致する場合後述するステップS113から動作し、そうでない場合は後述するステップS110から動作する。
【0067】
第1の色情報と第2の色情報とが一致しない場合、プリンタ20(制御部211)では、報知部316により、操作表示部210からユーザへ所定の報知処理が行われる(S110)。
【0068】
図6は、報知部316により操作表示部210(ディスプレイ210a)を介して出力される報知内容の例について示した図である。
【0069】
図6では、操作表示部210(ディスプレイ210a)に、報知内容として「Wトナー印刷を意図した画像データのようですが装置にはKトナーがセットされています。印刷を続行しますか?OK/キャンセル」というメッセージ(文字列)が表示された例について示している。図6に示す報知内容は、第1の色情報がWであり第2の色情報がKだった場合のメッセージとなっている。逆に、第1の色情報がKであり第2の色情報がWだった場合、操作表示部210(ディスプレイ210a)には「Kトナー印刷を意図した画像データのようですが装置にはWトナーがセットされています。印刷を続行しますか?OK/キャンセル」というメッセージが表示されることになる。つまり、操作表示部210(ディスプレイ210a)に表示される表示内容には、少なくとも第1の色情報を示す文字(例えば、図6では「W」(文字C1))と第2の色情報を示す文字(例えば、図6では「K」(色文字C2))とが含まれていることが望ましい。また、報知内容には、ユーザに対して報知内容に対応する入力を要求するメッセージが含まれているものとする。図6に示す報知内容には、「OK/キャンセル」というメッセージにより、ユーザに印刷の続行(OK)又は中止(キャンセル)のいずれかの入力を要求するメッセージが含まれている。
【0070】
次に、報知部316は、操作表示部210を介して、報知内容に対応する指示について入力受付する処理を行う(S111)。ここでは、報知部316は、操作表示部210を介して、ユーザから印刷を続行するか否かの指示について入力受付する処理を行うものとする。上記の通り、報知部316による報知内容にはユーザに印刷の続行(OK)又は中止(キャンセル)のいずれかの入力を要求するメッセージが含まれているため、報知部316はユーザから印刷の続行(OK)又は中止(キャンセル)に対応する入力(操作表示部210へのキーボード210bへの入力)があるまで待機する。ここでは、操作表示部210のキーボード210bには、OK及びキャンセルに対応するキーが配置されているものとする。つまり、報知部316は、キーボード210bでOKに対応するキーが押下されると印刷続行の入力を受け付けたと判断し、キーボード210bでキャンセルに対応するキーが押下されると印刷中止の入力を受けたと判断する。ここでは、プリンタ20(制御部211)は、印刷続行の入力を受けた場合には後述するステップS113から動作し、印刷中止の入力を受けた場合には後述するステップS112から動作する。
【0071】
ステップS111で印刷中止の入力を受け付けたと判断された場合、プリンタ20(制御部211)の印刷部318による印刷制御処理を中止(キャンセル)し(S112)、処理を終了する。
【0072】
一方、ステップS111で印刷続行の入力を受け付けたと判断された場合又はステップS109で色一致判断処理の結果が一致だった場合、印刷部318は、ステップS106にて2値化したCMYKの各色に対応する2値データに基づいて印刷手段213を制御して印刷媒体PMに印刷させる(S113)。このとき、印刷手段213は、2値データのうち値が0の画素はトナーを印刷せず値が1の画素はトナーを印刷する。
【0073】
次に、ビットマップ解析部313によるユーザ意図色判定処理(上述のステップS107の処理)の詳細について説明する。
【0074】
ビットマップ解析部313は、ビットマップデータがCMYW印刷特有の画像データ構造となっているかを確認することでユーザ意図色判定処理を行う。通常、ホワイト(W)トナーを用いた印刷は、例えば、印刷媒体PMが色付きであった場合に、その色を遮蔽し、下地(白地の下地)を形成する目的で利用される。また、例えば、印刷媒体が透明であった場合に、ホワイト(W)トナー以外の色のトナー画像の上からホワイト(W)トナーで覆うことで、印刷媒体の裏側からホワイト(W)トナー以外の色のトナー画像を見た場合、ホワイト(W)トナーが下地(ホワイトの下地)を形成することになる。
【0075】
したがって、CMYW印刷を意図する場合ユーザは、面積率100%ブラック(K)である一定以上の大きさの画像領域(以下、「第1の画像領域」と呼ぶ)を配置し、第1の画像領域と同じかそれより狭い領域(以下、「第2の画像領域」と呼ぶ)に対して、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれか1色あるいは2色を使用して印刷する結果となるようにアプリケーションデータを構成する。なお、プリンタ20において、CMYW印刷が行われる場合、印刷媒体PMにおいて第1の画像領域は面積率100%ホワイト(W)の領域となる。
【0076】
つまり、CMYW印刷が意図されたアプリケーションデータ(印刷データ)では、下地となるホワイト(W)により印刷される第1の画像領域と重複するように、通常色(例えば、CMYのうち1又は2色)により印刷される第2の画像領域が配置されるという特有のデータ構造が存在することになる。仮に、CMYW印刷が意図されたアプリケーションデータ(印刷データ)について、CMYK印刷を行うと、第1の画像領域全体をブラック(K)で印刷することになるため、第2の画像領域も含めてほぼ黒色の画像にしかならない。そのため、CMYK印刷が意図されたアプリケーションデータ(印刷データ)では、通常ブラック(K)のトナーで印刷される領域と、その他の色のトナーで印刷される領域は重複させない。
【0077】
なお、色付きの印刷媒体PMの下地としてホワイト(W)トナーが利用される場合、ホワイト(W)トナー(特色)によるトナー画像の転写を、その他の色(CMY)のトナー画像よりも先に行う必要があるので、ホワイト(W)トナーのIDユニット208は媒体搬送路の最上流側(この実施形態では、IDユニット208-1の位置)に配置することが望ましい。また、透明の印刷媒体PMの下地としてホワイト(W)トナーが利用される場合、ホワイト(W)トナー(特色)によるトナー画像の転写を、その他の色(CMY)のトナー画像よりも後に行う必要があるので、ホワイト(W)トナーのIDユニット208は媒体搬送路の最下流側(この実施形態では、IDユニット208-4の位置)に配置することが望ましい。
【0078】
図7は、印刷媒体PMにCMYW印刷が成された場合の例について示した図である。
【0079】
図7では、第1の画像領域AG1の周囲を点線(破線)で図示し、第2の画像領域AG2の周囲を2点鎖線で図示している。図7では、第1の画像領域AG1に重なるように、第1の画像領域AG1よりも狭い第2の画像領域AG2が配置されている。言い換えると、図7では、第2の画像領域AG2の全ての領域は第1の画像領域AG1と重なった状態となっている。
【0080】
例えば、図7において、印刷媒体PMが色付き(白以外)であった場合には、印刷媒体PMの色が第1の画像領域AG1のホワイト(W)トナーにより遮蔽され、下地(ホワイトの下地)を形成した上で、同領域に印刷媒体PMの色とは異なる色を再現できる。また、例えば、図7において、印刷媒体PMが透明であった場合には、印刷媒体PCの裏側から見た場合第2の画像領域AG2の画像(CMYのうち1以上のトナーによる画像)の下地(ホワイトの下地)として、第1の画像領域AG1のホワイト(W)トナーが配置された状態となる。
【0081】
図8は、ビットマップ解析部313によるユーザ意図色判定処理(上述のステップS107の処理)の詳細について示したフローチャートである。
【0082】
まず、ビットマップ解析部313は、ステップS105にてビットマップ作成部312が作成したCMYKの4つのビットマップデータを解析する(S201)。ここでは、ビットマップデータは1画素当たり8bit、256階調のデータであるものとする。ここで、ビットマップ解析部313は、ビットマップデータが面積率100%ブラック(K)である一定以上の大きさの画像領域を持つか否かを判定するために、K版のビットマップデータを閾値255で2値化(0と1の2階調に変換)する。K版のビットマップデータに対する2値化の閾値は面積率100%の領域を抽出するために255としたがこれに限らず任意の値でも良い。そして、ビットマップ解析部313は、2値化したK版のビットマップデータに対して、画素値が1となっている領域(例えば、画素値0の画素に囲まれた画素値1の画素が連結された領域)を検出して、検出した領域ごとにラベル(識別子;識別番号)を付与するラベリング処理を行う。例えば、ビットマップ解析部313は、ラベリング処理により、画素値1の値を持つ画素に対して、同じ連結成分を構成する画素に同じ番号(ラベル)を付け、異なる連結成分を構成する画素に異なるラベルを付与する。ラベリング処理の具体的な手法(アルゴリズム)については種々のラベリング手法を適用することができるので詳しい説明を省略する。ここでは、ビットマップ解析部313は、2値化したK版のビットマップデータからN個の領域X(X1~XN)(画素値1の領域;Nは1以上の整数)が検出されたものとする。そして、ここでは、領域Xiを構成する画素数はAiであるものとする。ビットマップ解析部313は、領域X1~XNのそれぞれについて画素数A1~ANを計数して保持する。
【0083】
ビットマップ解析部313は、ステップS201にて計数した領域X1~XNの画素数A1~ANに対して閾値aより大きいものがあるか否かを検査し、閾値aより大きい画素数の領域Xの有無を確認する(S202)。ここでは、閾値aは、100(10×10画素の領域に相当)であるものとするが、閾値aには任意の値を設定することができる。ビットマップ解析部313は、閾値aよりも画素数の多い領域Xが検出された場合は後述するステップS203から動作し、そうでない場合には後述するステップS206から動作する。ここでは、画素数が閾値aよりも多い領域Xを領域Y(Y1~YM)(MはN以下の整数)と表すものとする。つまりビットマップ解析部313は、領域Y1~YMに対して新たに1~Mの識別番号を付与して管理するものとする。
【0084】
次に、ビットマップ解析部313は、CMY版のビットマップデータを閾値1で2値化(0と1の2階調に変換)して解析する(S203)。CMY版のビットマップデータに対する2値化の閾値は面積率0%より大きい値を持つ画素を抽出するために1としてもよいが、これに限らず任意の値としてもよい。そして、ビットマップ解析部313は、領域Y1~YMごとに、CMY版の2値化したビットマップデータで対応する領域の画素の画素値を検査し、CMYのうち1色あるいは2色が画素値1の値となるという条件に該当する画素(以下、「該当画素」とも呼ぶ)の数を計数する。ここでは、領域Yjを構成する該当画素の数はBjであるものとする。ビットマップ解析部313は、領域Y1~YMのそれぞれについて該当画素数B1~BMを計数して保持する。
【0085】
ビットマップ解析部313は、ステップS203にて計数した領域Y1~YNの該当画素数B1~BNに対して閾値bより大きいものがあるか否かを検査し、閾値bより大きい画素数の領域Yの有無を確認する(S204)。ここでは、閾値bは、閾値aと同様に100であるものとするが、閾値bには任意の値を設定することができる。ビットマップ解析部313は、閾値bよりも該当画素数の多い領域Yが検出された場合は後述するステップS205から動作し、そうでない場合には後述するステップS206から動作する。
【0086】
上記のステップS204で閾値bよりも該当画素数の多い領域Yが検出された場合、ビットマップ解析部313は、供給されたビットマップデータがCMYW印刷を意図したものだと判定し、第1の色情報(ユーザ意図色判定処理の結果)として「W」を出力して(S205)処理を終了する。
【0087】
上記のステップS202で閾値aよりも画素数の多い領域Xが検出されなかった場合、又は上記のステップS204で閾値bよりも該当画素数の多い領域Yが検出されなかった場合は、供給されたビットマップデータがCMYK印刷を意図したものだと判定し、第1の色情報(ユーザ意図色判定処理の結果)として「K」を出力して(S206)処理を終了する。
【0088】
ここでは、ビットマップ解析部313の具体的な処理の一例として図8のフローチャートの処理を示したが、印刷データから、図7のような配置関係となるデータ構造(CMYW印刷特有のデータ構造)を検出することができれば他の処理を適用するようにしてもよい。
【0089】
(A-3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0090】
第1の実施形態のプリンタ20(制御部211、報知部316)は、ユーザ意図色判定処理により得られる第1の色情報と、収容色取得処理により得られる第2の色情報とを比較することで、印刷データでユーザにより意図されたトナーの色(第1の色情報)と収容しているトナーの色(第2の色情報)が一致しているか否かを判定する色一致判断処理を行う。そして、プリンタ20(制御部211、報知部316)は、色一致判断処理により、ユーザ意図色判定処理の結果(第1の色情報)と収容色取得処理の結果(第2の色情報)が一致する場合には、印刷データについてユーザの意図した色のトナーが収容されていると判断し、そうでない場合には印刷データについてユーザの意図したトナーが収容されていないと判断することができる。つまり、第1の実施形態のプリンタ20では、アプリケーションデータ/印刷データに特にホワイト(W)の色情報が含まれていなくても、色一致判断処理を行うことができる。
【0091】
第1の実施形態において、プリンタ20(制御部211、報知部316)は、色一致判断処理により、印刷データについてユーザの意図した色のトナーが収容されていると判断できる場合は、そのまま印刷データに基づく印刷を続行し、そうでない場合には印刷データに基づく印刷を中止してユーザに報知する処理を行う。プリンタ20(制御部211、報知部316)は、印刷データに基づく印刷を中止する場合、ユーザの操作に応じて印刷の再開(開始)又は印刷のキャンセル(印刷を再開しない)をする。これにより、第1の実施形態のプリンタ20では、無駄な印刷等を抑制することができる。
【0092】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による情報処理装置及び情報処理プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の情報処理装置及び情報処理プログラムをPCに適用した例について説明する。
【0093】
(B-1)第2の実施形態の構成及び動作
図9は、第2の実施形態に係るPC10Aの機能的構成について示したブロック図である。
【0094】
以下では、第2の実施形態において第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0095】
図9に示すように、PC10Aでは、プリンタドライバ12がプリンタドライバ12Aに置き換わっている点で第1の実施形態と異なっている。第2の実施形態のPC10Aのハードウェア構成は、第1の実施形態と同様に図3を用いて示すことができる。
【0096】
第1の実施形態では、プリンタ20(制御部211)が、色一致判断処理(ユーザ意図色判定処理及び収容色取得処理及を含む)を行うが、第2の実施形態では、これらの処理をPC10A側で行う構成となっている。つまり、第2の実施形態では、プリンタドライバ12Aに、色一致判断処理等を行うプログラム(この実施形態の情報処理プログラム)が含まれている。
【0097】
図9に示すように、プリンタドライバ12Aは、印刷データ処理部121、ビットマップ作成部122、ビットマップ解析部123、ID色情報取得部124、色一致判断部125及び報知部126を有している。
【0098】
印刷データ処理部121は、プリンタドライバとしての本来的な機能を担っている。つまり、印刷データ処理部121は第1の実施形態におけるプリンタドライバ12に対応する機能に対応した構成要素である。例えば、印刷データ処理部121は、アプリケーション11の制御に従って、アプリケーションデータに基づく印刷データを生成して外部のプリンタ20(プリンタ20に限らずその他のプリンタとしてもよい)に送信する。
【0099】
ビットマップ作成部122、ビットマップ解析部123、ID色情報取得部124、色一致判断部125及び報知部126は、それぞれ第1の実施形態のビットマップ作成部312、ビットマップ解析部313、色情報取得部314、色一致判断部315及び報知部316に対応する構成要素である。
【0100】
第2の実施形態のビットマップ作成部122は、印刷データ処理部121から印刷データの供給を受ける点で第1の実施形態と異なっている。
【0101】
報知部126は、色一致判断処理により、印刷データについてユーザの意図した色のトナーが収容されていないと判断する場合、ユーザに対して所定の報知処理を行い、ユーザからの操作入力に応じて印刷データ送信の実行又は中止(キャンセル)の処理を行うようにしてもよい。したがって、印刷データ処理部121は、報知部126による色一致判断処理が完了するまでの間、プリンタ20への印刷データの送信を待つようにしてもよい。
【0102】
また、報知部126は、色一致判断処理により、印刷データについてユーザの意図した色のトナーが収容されていると判断する場合、印刷データ処理部121によるプリンタ20への印刷データの送信を妨げない。
【0103】
(B-2)第2の実施形態の効果
第2の実施形態では、PC10A側で色一致判断処理等を行っているので、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0104】
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0105】
(C-1)上記の実施形態では、ビットマップ解析部313はルールベースのアルゴリズム(例えば、図8のフローチャートの処理)によりユーザ意図色判定処理(ビットマップデータがCMYK印刷を意図したものか、あるいはCMYW印刷を意図したものかを判定する処理)を行うが、種々の機械学習やディープラーニング等により獲得した判定器(学習モデル)を用いて判定処理(すなわち、AIを用いた判定処理)するようにしてもよい。例えば、教師データとしてCMYW印刷を意図したビットマップデータとCMYKを意図したビットマップデータとを用意して学習器に機械学習させることで、入力されたビットマップデータに基づいてユーザ意図色判定処理可能な判定器(学習モデル)を獲得することができる。
【0106】
(C-2)上記の各実施形態のプリンタ20、20Aでは、下地となる特色としてホワイト(W)を適用したが、その他の下地となる特色のトナーに置き換えるようにしてもよい。例えば、ホワイト(W)をクリア(透明)、銀色、金色等のその他の特色のトナーに置き換えるようにしてもよい。
【0107】
(C-3)第1の実施形態のプリンタ20の報知部316は、プリンタ20自体が備える操作表示部210から報知等を行うが、PC10を介してユーザへの報知及びユーザからの操作入力の受付を行うようにしてもよい。例えば、報知部316は、PC10のプリンタドライバ12を介して、ユーザへのエラーメッセージの表示出力やユーザからの操作入力の受付を行うようにしてもよい。PC10のプリンタドライバ12を介して、ユーザへのエラーメッセージの表示出力やユーザからの操作入力の受付を行う処理については、第2の実施形態と同様の処理としてもよい。
【0108】
(C-4)第1の実施形態のプリンタ20におけるユーザ意図色判定処理(図8のフローチャートの処理)において、閾値bを用いた判定処理(ステップS204の処理)については省略するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10、10A…PC(情報処理装置)、11…アプリケーション、12、12A…プリンタドライバ、121…印刷データ処理部、122…ビットマップ作成部、123…ビットマップ解析部、124…ID色情報取得部、125…色一致判断部、126…報知部、131…プロセッサ、132…一次記憶部、133…二次記憶部、20…プリンタ(画像形成装置)、201…給紙トレイ、202…給紙ローラ、203…搬送ローラ、204…転写ベルト、205、205-1~205-4…転写ローラ、206…レジストローラ、207…定着装置、208、208-1~208-4…IDユニット、209…排出ローラ、210…操作表示部、210a…ディスプレイ、210b…キーボード、211…制御部、212…通信部、213…印刷手段、255…閾値、311…印刷データ受信部、312…ビットマップ作成部、313…ビットマップ解析部、314…色情報取得部、314…色情報取得部、315…色一致判断部、316…報知部、318…印刷部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9