(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157258
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
A47F 5/11 20060101AFI20241030BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20241030BHJP
B65D 25/22 20060101ALI20241030BHJP
B65D 75/56 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A47F5/11
A47F5/00 D
B65D25/22 B
B65D75/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071512
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】594068974
【氏名又は名称】テンタック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽一郎
【テーマコード(参考)】
3B118
3E062
3E067
【Fターム(参考)】
3B118FA03
3B118GA02
3B118GA12
3E062AA20
3E062AC02
3E062AC05
3E062GA01
3E062GB01
3E062GC04
3E067BA09A
3E067BA15A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067EA04
3E067EE15
3E067EE16
3E067EE38
3E067FC02
(57)【要約】
【課題】耐久性を向上した包装容器を提供する。
【解決手段】スリット部4と差込部5とが形成された一枚のシート材を折り畳んで、前記差込部5を前記スリット部4に差し込んで組み立てられる包装容器1であって、上下方向zに沿って延設されていて商品が保持される本体部分2と、この本体部分2の上端に形成されたフック部分3とを備えていて、前記スリット部4が、上下方向zに直交する水平方向xに対して所定の角度θで傾く状態で形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリット部と差込部とが形成された一枚のシート材を折り畳んで、前記差込部を前記スリット部に差し込んで組み立てられる包装容器であって、
上下方向に沿って延設されていて商品が保持される本体部分と、この本体部分の上端に形成されたフック部分とを備えていて、
前記スリット部が、上下方向に直交する水平方向に対して所定の角度で傾く状態で形成されることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記スリット部が、水平方向に対して0°より大きく90°より小さい角度で傾く状態で形成される請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記スリット部が、水平方向に対して30°以上60°以下の角度で傾く状態で形成される請求項1に記載の包装容器。
【請求項4】
前記シート材が、第一フック部分および正面部を有する第一部材と、第二フック部分および背面部を有する第二部材とで構成されていて、
前記フック部分が前記第一フック部分と前記第二フック部分とで構成され、前記本体部分が前記正面部と前記背面部とで構成され、
上下方向が、前記第二フック部分の中心と前記背面部の中心とを結ぶ直線の方向で定義される請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記フック部分が、折り線部を介して互いに接続される第一フック部分および第二フック部分と、前記第一フック部分に形成されて前記折り線部に到達する第一開口部と、前記第二フック部分に形成されて前記折り線部に到達して前記第一開口部に連通する第二開口部とを有していて、
前記折り線部を中心に折り畳まれて重なる前記第一フック部分と前記第二フック部分とにより前記フック部分が構成される請求項1~4のいずれかに記載の包装容器。
【請求項6】
前記フック部分が、前記第一フック部分または前記第二フック部分の少なくとも一方に折り線部を介して接続される第三フック部分と、この第三フック部分に形成される第三開口部とを有していて、
折り畳まれて重なる前記第一フック部分および前記第二フック部分の間に挟まれる前記第三フック部分と、前記第一フック部分と、前記第二フック部分とにより前記フック部分が構成される請求項5に記載の包装容器。
【請求項7】
前記第一フック部分と前記第二フック部分との境界となる折り線部の水平方向に対する角度が、前記スリット部の水平方向に対する角度と略同一である請求項5に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器から商品を懸吊するための包装容器に関するものであり、詳しくは耐久性を向上した包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
什器から商品を懸吊するための包装容器が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、商品である巻テープを什器から懸吊するための包装容器の構成が開示されている。この包装容器は、水平方向に形成された切込に突片が挿入されて組み立てられる。
【0003】
什器と商品との間に配置される包装容器には上下方向の引張力が発生する。この引張力の方向は、切込から突片を引き抜く方向と一致する方向である。そのため商品の重さにより切込から突片が引き抜かれて包装容器が崩れる不具合が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国実公昭62-004538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は耐久性を向上した包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための包装容器は、スリット部と差込部とが形成された一枚のシート材を折り畳んで、前記差込部を前記スリット部に差し込んで組み立てられる包装容器であって、上下方向に沿って延設されていて商品が保持される本体部分と、この本体部分の上端に形成されたフック部分とを備えていて、前記スリット部が、上下方向に直交する水平方向に対して所定の角度で傾く状態で形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、包装容器に発生する引張力の方向である上下方向に対して、スリット部から差込部を引き抜く方向が交差する方向となる。そのため商品の重さによりスリット部から差込部が引き抜かれて包装容器が崩れる不具合を回避できる。包装容器の耐久性を向上するには有利である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図1の包装容器の展開状態を例示する説明図である。
【
図4】
図3のシート材を部位ごとに分割した状態を例示する説明図である。
【
図5】
図2のフック部分を拡大して例示する説明図である。
【
図7】
図6の包装容器の展開状態を例示す説明図である。
【
図9】
図8の包装容器の展開状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、包装容器を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中では上下方向を矢印z、上下方向zに直交する方向の一つである幅方向を矢印x、上下方向zおよび幅方向xに直交する厚さ方向を矢印yで示している。
【0010】
図1および
図2に例示するように包装容器1は、上下方向zに沿って延設されていて商品が保持される本体部分2と、この本体部分2の上端部に形成されるフック部分3とを備えている。包装容器1は、スリット部4と差込部5が形成された一枚のシート材で構成される。シート材が折り畳まれて、スリット部4に差込部5が差し込まれることで包装容器1が組み立てられる。
【0011】
フック部分3は什器に懸吊するための開口部6を有している。開口部6は、幅方向xにおいてフック部分3の側方となる縁部7に到達する構成を有している。開口部6の開口端は縁部7に形成されているとも言える。包装容器1は、本体部分2に商品を固定されて、フック部分3を什器に懸吊されて使用される。什器と商品との間に包装容器1が配置される状態で、商品は陳列される。
【0012】
図3に例示するように包装容器1は、一枚のシート材で構成される。以下、
図1および
図2に例示する包装容器1を組立状態、
図3に例示する包装容器1を展開状態ということがある。シート材は、例えば紙や合成樹脂で構成される。シート材は複数の折り線部8を有している。
図3では説明のため山折りの折り線部8を一点鎖線、谷折りの折り線部8を破線で示している。
【0013】
図4に例示するようにシート材は、第一部材aと第二部材bと第三部材cの三つの部材で構成されている。この実施形態では第一部材aは、第一フック部分3aと、天井部9aと、正面部10aと、差込部5とで構成されている。第一フック部分3a等の第一部材aを構成する各部材は、折り線部8を境界として区別されている。
図4では説明のため各部材の境界となる折り線部8を実線で示している。この天井部9aは必須の構成要件ではない。天井部9aと正面部10aが一体となり正面部10aを構成してもよい。この場合、天井部9aと正面部10aとの境界となる折り線部8は形成されない。
【0014】
第二部材bは、第二フック部分3bと、背面部10bとで構成されている。第二フック部分3bと背面部10bとの境界は折り線部8を有していない。シート材を折り畳んだ際に、第一フック部分3aと重なる範囲が第二フック部分3bとなる。
図4では説明のため第一フック部分3aおよび第二フック部分3bの範囲に斜線を付してある。
【0015】
第一部材aと第二部材bとは、第一フック部分3aおよび第二フック部分3bの境界となる折り線部8を介して接続されている。またこの実施形態では第一フック部分3aに折り線部8を介して第三部材cが接続されている。展開状態において第三部材cは、第一フック部分3aを中心として天井部9aが接続される側と反対側となる位置に接続される。第三部材cは第三フック部分3cで構成される。この第三部材cは必須の構成要件ではない。
【0016】
第一部材aと第二部材bとは上下方向zに平行となる折り線部8を介して接続されている。この折り線部8は、上下方向zと平行となる状態に限定されず、上下方向zに対して所定の角度で傾いていてもよい。第一部材aと第三部材cとは上下方向zに直交する水平方向に平行となる折り線部8を介して接続されている。この折り線部8は組立状態の包装容器1の幅方向xと平行となる。この折り線部8は、幅方向xと平行となる状態に限定されず、幅方向xに対して所定の角度で傾いていてもよい。
【0017】
図3に例示するようにフック部分3は、折り線部8を介して両側に形成される第一フック部分3aと第二フック部分3bと、第一フック部分3aに形成されて折り線部8に到達する第一開口部6aと、第二フック部分3bに形成されて前述の折り線部8に到達する第二開口部6bとを有している。第一開口部6aと第二開口部6bとは連通している。展開状態のシート材においては、第一開口部6aと第二開口部6bとが、一つの閉じた開口部6を形成している。第三フック部分3cは第三開口部6cを有している。
【0018】
第一部材aにおける本体部分2は、天井部9aおよび正面部10aで構成される。第一フック部分3aと天井部9aとの間の折り線部8、および天井部9aと正面部10aとの間に折り線部8は、いずれも組立状態の包装容器1の幅方向xに平行となる折り線部8で構成されている。上記の折り線部8の延在方向は、幅方向xに平行となる状態に限定されない。幅方向xに対して上記の折り線部8が所定の角度で傾いていてもよい。
【0019】
第二部材bにおける本体部分2は、背面部10bで構成される。商品は厚さ方向yにおいて正面部10aと背面部10bとに挟まれる状態で包装容器1に保持される。商品が例えば靴下等の衣料品の場合は、正面部10aと背面部10bとの間に配置されるとともに、正面部10aおよび背面部10bに形成されるピン穴11に紐状体を貫通させることで、商品は包装容器1に固定される。紐状体は、例えばナイロン製のタグや綿糸で構成される。紐状体は、包装容器1および商品の両方を貫通する状態で、包装容器1に固定される。
【0020】
図3および
図4に例示するようにこの実施形態では、第二部材bの第二フック部分3bと背面部10bとを跨ぐ状態でスリット部4が形成される。スリット部4は、上下方向zに直交する水平方向に対して所定の角度θで傾く状態で形成される。この実施形態では例えば幅方向xなどの水平方向に対して反時計回りに角度θ=33°で傾く状態でスリット部4が形成されている。なおスリット部4の方向は、スリット部4の両端を結ぶ直線の方向で定義される。以下、角度の方向である時計回りおよび反時計回りは、組立状態の包装容器1の厚さ方向yにおいて背面部10bから正面部10aに向かって見通したときの方向を言う。
【0021】
水平方向に対するスリット部4の角度θは、0°<θの範囲であれば良い。スリット部4の角度θは望ましくは0°<θ<90°の範囲、更に望ましくは30°<θ<60°の範囲に設定されるとよい。角度θは、水平方向(例えば幅方向x)から反時計回りまたは時計回りの角度として定義される。
【0022】
組立状態の包装容器1における上下方向zとは、本体部分2を下方としてフック部分3を上方としたときの上下方向zをいう。商品を什器に懸吊したときに、包装容器1は上下方向zに沿って懸吊される状態となる。正面部10aまたは背面部10bが長方形に形成される場合は、正面部10a等の幅方向xにおける両端となる縁部12の延在方向が、包装容器1における上下方向zとなる。
【0023】
正面部10aおよび背面部10bが円形や三角形や多角形など長方形以外の形状である場合は、商品が固定されていない包装容器1を什器から懸吊したときの姿勢において、鉛直方向と平行となる方向を包装容器1の上下方向zと定義してもよい。包装容器1がピン穴11を有する場合は、商品が固定されていない包装容器1を什器から懸吊したときに、開口部6において什器と接触している点と、ピン穴11とを結ぶ直線の方向を上下方向zと定義してもよい。また組立状態の包装容器1において、第二フック部分3bの中心と、背面部10bの中心とを結ぶ直線の方向を上下方向zと定義してもよい。ここで第二フック部分3bの中心とは、第二開口部6bが形成される前の第二フック部分3bにおける重心の位置を言う。また背面部10bの中心とは、背面部10bにおける重心の位置を言う。
【0024】
水平方向とは、上下方向zに直交する方向を言う。水平方向のうち、正面部10aまたは背面部10bを構成する平面と平行となる方向を幅方向x、上下方向zおよび幅方向xと直交する方向を厚さ方向yと言う。
【0025】
図3および
図4に例示するようにこの実施形態では差込部5は、第一フック部分3aを中心として第二フック部分3bが接続される側と反対側となる位置に接続される。差込部5は、第一フック部分3aから側方である幅方向xに突設される。差込部5の先端が正面部10aのある下方に向かって傾く状態で、差込部5は形成されている。第一フック部分3aと差込部5との間の折り線部8は、組立状態の包装容器1の上下方向zに平行となる折り線部8で構成されている。この折り線部8の延在方向は、上下方向zに平行となる状態に限定されない。上下方向zに対して上記の折り線部8が所定の角度で傾いていてもよい。
【0026】
次にシート材を折り畳んで包装容器1を組み立てる方法を説明する。
図3に例示される第一フック部分3aと第三フック部分3cとの間の折り線部8を例えば山折りとなる状態に折り曲げる。第一フック部分3aと第三フック部分3cとが重なる状態となる。次に第一フック部分3aと第二フック部分3bとの間の折り線部8を山折りとなる状態に折り曲げて、第一フック部分3aと第二フック部分3bとが重なる状態とする。第一フック部分3aと第二フック部分3bとの間に、第三フック部分3cが挟まれてフック部分3が形成される。このとき第一開口部6aと第二開口部6bと第三開口部6cとは重なり一つの開口部6を形成する。この開口部6は
図1に例示するように包装容器1の幅方向xにおいて側方に向かって開口する状態となる。つまり開口部6の開口端が、幅方向xにおいて包装容器1の側方に位置する。
【0027】
図3に例示される第一フック部分3aと差込部5との間の折り線部8を山折りとなる状態に折り曲げて、差込部5をスリット部4に挿入する。第一フック部分3aと天井部9aとの間の折り線部8を谷折りとなる状態に折り曲げて、天井部9aを引き起こす。この天井部9aと正面部10aとの間の折り線部8を山折りとなる状態に折り曲げて、正面部10aが背面部10bと略平行となる状態とする。
【0028】
正面部10aと背面部10bとの間に靴下等の商品を配置する。ピン穴11からナイロン製のタグを打ち込み、包装容器1に商品を固定する。その後、包装容器1のフック部分3を什器に引っ掛けることで、商品が陳列される。
【0029】
図1に例示するように商品の重さにより包装容器1に発生する引張力F1は上下方向zに沿って発生する。包装容器1は、什器と商品により上向きおよび下向きの力を受ける。スリット部4から差込部5を引き抜く方向f2は、包装容器1に発生する引張力F1と交差する方向となる。そのため包装容器1に発生する引張力F1が、スリット部4から差込部5を引き抜く方向f2に作用し難い。商品の重さの影響をスリット部4および差込部5が受けにくい状態となる。差込部5が引き抜かれて、包装容器1が崩れる不具合を回避できる。
【0030】
またスリット部4を延設方向に沿って引き伸ばす方向f3は、包装容器1に発生する引張力F1と交差する方向となる。そのため包装容器1に発生する引張力F1が、スリット部4を引き伸ばす方向f3に作用し難い。スリット部4が引き伸ばされて、差込部5が抜けやすくなる不具合を回避するには有利である。
【0031】
包装容器1は、差込部5を引き抜く方向f2およびスリット部4を引き伸ばす方向f3のいずれも、商品の重さにより発生する引張力F1の方向に対して交差する方向となり、平行な方向とならない。この構成により包装容器1が崩れにくくなるため、包装容器1の耐久性を向上するには有利である。
【0032】
包装容器1に保持される商品の重心が幅方向xにおいていずれか一方に偏っている場合は、什器に陳列した際に鉛直方向に対して包装容器1が傾くことがある。包装容器1が傾くことで、包装容器1に発生する引張力F1の方向が上下方向zと平行とならない場合がある。このような場合であっても、水平方向に対するスリット部4の角度θが例えば30°<θ<60°の範囲に設定されていれば、包装容器1に発生する引張力F1の方向と差込部5を引き抜く方向f2とが交差する状態を維持しやすくなる。また引張力F1の方向とスリット部4を引き伸ばす方向f3とが交差する状態を維持しやすくなる。包装容器1の耐久性を向上するには有利である。
【0033】
図5に例示するようにフック部分3において、開口部6の開口端が形成される縁部7が折り線部8で構成される。縁部7において第一フック部分3aと第二フック部分3bとが連続してつながっている。縁部7において、第一フック部分3aと第二フック部分3bとが分離して、開くことを防止できる。フック部分3の耐久性を向上できる。
図5では説明のため第三部材cを有さない場合のフック部分3を示している。
【0034】
図1に例示するようにスリット部4の少なくとも一部は、第二フック部分3bに形成される。また差込部5は第一フック部分3aの側方に突設される。スリット部4および差込部5の少なくとも一部がフック部分3に形成されるため、第一フック部分3aおよび第二フック部分3bがスリット部4および差込部5により強固に固定される。そのため第一フック部分3aおよび第二フック部分3b等が重なっている状態を維持しやすくなる。フック部分3の耐久性を向上できる。スリット部4等がフック部分3に形成されるため、第一フック部分3aおよび第二フック部分3b等を接着剤等で互いに固定しなくても、フック部分3が開くことを防止できる。包装容器1は、シート材どうしが接着剤等で固定される構成を有していてもよい。
【0035】
フック部分3は、第一フック部分3aと第二フック部分3bと第三フック部分3cとのシート材が三枚重ねとなるため、強度を向上できる。
【0036】
フック部分3は三枚重ねに限定されない。四枚以上のシート材が重なる構成でもよい。フック部分3の耐久性を向上するには有利である。フック部分3は、第一フック部分3aと第二フック部分3bの二枚重ねで構成されてもよい。シート材の材料としての強度が比較的高い場合や、包装容器1に保持される商品が比較的軽い場合は、フック部分3は二枚重ねでも強度が十分となることがある。このようなときはフック部分3を二枚重ねで構成できる。包装容器1を組み立てる際の工数の抑制や、包装容器1に必要なシート材の量を抑制できる。
【0037】
本体部分2の構成は、正面部10aおよび背面部10bが商品を挟み込んで固定する構成に限定されない。本体部分2が、正面部10aと背面部10bとの下端どうしを接続する底部を有していてもよい。この場合、底部の上方に商品が配置される。本体部分2が、底部に加えて、正面部10aおよび背面部10bの側方どうしを接続する側壁部を有していてもよい。この場合、正面部10a等に六方を囲まれる空間に商品が収容される。包装容器1が底部または側壁部を備える場合は、ピン穴11が正面部10a等に形成されなくてもよい。
【0038】
スリット部4が第一フック部分3aに形成されて、差込部5が第二フック部分3bの側方に突設される構成でもよい。第一部材aおよび第二部材bのいずれか一方にスリット部4が形成されて、他方に差込部5が形成されていればよい。
【0039】
図6および
図7に例示するように、水平方向(幅方向x)に対して角度θ=90°となる状態でスリット部4が形成されてもよい。
【0040】
この実施形態ではスリット部4は、第三部材cに形成される。第三部材cの第三フック部分3cと中間部10cとを跨ぐ状態でスリット部4が形成される。第三フック部分3cは、第三部材cにおいて組立状態のとき第一フック部分3aと重なる範囲である。中間部10cは、第三部材cのうち第三フック部分3cを除いた範囲である。中間部10cには商品を固定するためのピン穴11が形成されていない。
【0041】
第三フック部分3cは、第一フック部分3aを中心として第二フック部分3bが接続される側と反対側となる位置に接続される。第一部材aと第二部材bとは、第一フック部分3aと第二フック部分3bとの境界となる折り線部8を介して接続されている。第一部材aと第三部材cとは、第一フック部分3aと第三フック部分3cとの境界となる折り線部8を介して接続されている。第一部材aおよび第二部材bおよび第三部材cをそれぞれ接続する折り線部8は、上下方向zに平行となる。
【0042】
差込部5は、第二部材bに形成される。第二部材bの第二フック部分3bと背面部10bとを跨ぐ範囲で、差込部5は第二部材bの側方に突設される。この実施形態では、差込部5を含めた第二フック部分3bの面積が第一フック部分3aの面積よりも小さくなる状態に、差込部5が形成されている。
【0043】
図6に例示するように、商品の重さにより包装容器1に発生する引張力F1は上下方向zに沿って発生する。スリット部4から差込部5を引き抜く方向f2は、包装容器1に発生する引張力F1と交差する方向となる。そのため包装容器1に発生する引張力F1が、スリット部4から差込部5を引き抜く方向f2に作用し難い。包装容器1の耐久性を向上するには有利である。
【0044】
図6に例示するように包装容器1に発生する引張力F1の方向が、スリット部4を引き伸ばす力F3の方向f3と平行になる。そのため
図1に例示する実施形態と比べると、包装容器1が崩れやすくなる可能性はある。一方でこの実施形態ではスリット部4が第三部材cに形成されるため、商品の重さがスリット部4に与える影響は大幅に抑制される。
【0045】
図7に例示するようにスリット部4が形成される第三部材cは、商品を保持する正面部10aおよび背面部10bと直接接続される状態ではない。第三部材cに発生する下向きの力は、第三フック部分3cと第一フック部分3aとの境界となる折り線部8から生じるのみである。そのためスリット部4を引き伸ばす方向f3の力はスリット部4にほとんど発生しない。包装容器1の耐久性を向上するには有利である。
【0046】
この実施形態では、第一フック部分3aと第二フック部分3bとの境界となる折り線部8の水平方向に対する角度φが、スリット部4の水平方向に対する角度θと略同一となっている。具体的には水平方向に対するスリット部4の角度θ=90°に対して、水平方向に対する上記の折り線部8の角度φ=90°で同一となっている。角度θと角度φとが略同一となるとは、θ―φ=±5°となる範囲を言う。ここで角度θおよび角度φは組立状態の包装容器1における水平方向(幅方向x)を基準としている。
【0047】
フック部分3の折り線部8の方向とスリット部4の方向とが一致する。シート材を折り畳む過程で差込部5をスリット部4に差し込みやすくなるため、シート材に余計な折り目や曲げ等が発生し難い状態となる。シート材に余計な折り目等が発生して、シート材の耐久性が低下する不具合を回避できる。
【0048】
また折り線部8の方向とスリット部4の方向とが一致するため、包装容器1が組み立てやすくなる。包装容器1を精度良く組み立てられるため、包装容器1の耐久性を向上するには有利である。
【0049】
スリット部4は第一部材aまたは第二部材bに形成されてもよい。商品の重さによりスリット部4が引き伸ばされて、差込部5が抜けやすくなる可能性があるため、
図1に例示する実施形態に比べると包装容器1が崩れやすくなる可能性はある。商品が比較的軽い場合などは、差込部5が抜ける可能性を低減できるため、上記構成の利用価値はある。
【0050】
図8および
図9に例示するように、第一フック部分3aと第二フック部分3bとの境界となる折り線部8が、水平方向(幅方向x)および上下方向zに対して所定の角度で傾く状態に形成されてもよい。
図8に例示するようにこの実施形態では反時計回りに角度φ=45°となる状態でこの折り線部8が形成されている。
図9に例示するように第一フック部分3aと第三フック部分3bとの境界となる折り線部8が、水平方向(幅方向x)に対して角度φ1で傾く状態に形成されてもよい。この実施形態では時計回りに角度φ1=45°となる状態でこの折り線部8が形成されている。第一フック部分3aを中心として、一方側に第二フック部分3bが接続されて、他方側に第三フック部分3cが接続される。
【0051】
図8に例示するように第三部材cに形成されるスリット部4は、水平方向(幅方向x)に対して角度θで傾く状態で形成されている。この実施形態では時計回りに角度θ=45°となる状態でスリット部4が形成されている。
図9に例示するように第三フック部分3cと中間部10cとを跨ぐ状態でスリット部4が形成される。
【0052】
図9に例示するように差込部5は、第二部材bの第二フック部分3bと背面部10bとを跨ぐ状態で形成される。差込部5は、背面部10bの幅方向xの両側に形成される一対の縁部12の間に形成される。差込部5は、第二部材bから幅方向xに突設される構成ではない点で、前述の実施形態とは構成が異なる。
【0053】
スリット部4が形成される第三部材cに対して、差込部5を形成される第二部材bの方が商品の重さにより発生する下向きの力を大きく受ける。そのため第三部材cに対して第二部材bの方が下向きに引っ張られる状態となる。この力はスリット部4に差込部5を差し込む方向に働くため、スリット部4から差込部5が引き抜かれることを抑制できる。包装容器1の耐久性を向上するには有利である。
【0054】
図8に例示するように第一フック部分3aと第二フック部分3bとの境界となる折り線部8の角度φと、スリット部4の角度θとは、その方向(時計回り又は反時計回り)および大きさ(θ=φ=45°)のいずれも一致している。この構成により包装容器1は組み立て易くなる。包装容器1を精度良く組み立てられるため、包装容器1の耐久性を向上するには有利である。角度φと角度θとの大きさは完全に一致する構成に限定されない。角度φと角度θとは同一の方向であり且つ大きさが略同一であれば、包装容器1は組み立てやすくなる。ここで角度の大きさが略同一とは、θ―φ=±5°の範囲を言う。
【0055】
図10に例示するように本体部分2が、一方の縁部12から他方の縁部12に至る水平部13を有していてもよい。この実施形態では水平部13は二つの部材で構成されていて、正面部10aの一方の縁部12と他方の縁部12とにそれぞれ接続されている。水平部13を構成する二つの部材にはそれぞれ切り欠き14が形成されている。
図10に例示する実施形態は、水平部13の構成以外は、
図9に例示する包装容器1と同様の構成を有している。
【0056】
正面部10aと水平部13との境界となる折り線部8を山折りとなる状態に折り曲げて、一方の切り欠き14に他方の切り欠き14を係合することで水平部13が構成される。組立状態では水平部13は正面部10aと背面部10bとの間に配置される。この水平部13から懸吊される状態で商品が配置される。水平部13から懸吊される商品は、厚さ方向yにおいて正面部10aと背面部10bとの間に配置される。水平部13を有する包装容器1は、ピン穴11を有さなくてもよい。また包装容器1が、水平部13およびピン穴11の両方を有していてもよい。水平部13に懸吊される商品が、ピン穴11を貫通するナイロン製のタグ等でさらに固定されてもよい。
【0057】
水平部13は、背面部10bに接続される構成であってもよい。包装容器1は、正面部10aに接続される水平部13と、背面部10bに接続される水平部13との二つの水平部13を備える構成であってもよい。また水平部13は、正面部10aに接続される一方の部材と、背面部10bに接続される他方の部材とで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 包装容器
2 本体部分
3 フック部分
3a 第一フック部分
3b 第二フック部分
3c 第三フック部分
4 スリット部
5 差込部
6 開口部
6a 第一開口部
6b 第二開口部
6c 第三開口部
7 縁部(フック部分)
8 折り線部
9a 天井部
10a 正面部
10b 背面部
11 ピン穴
12 縁部(本体部分)
13 水平部
14 切り欠き
a 第一部材
b 第二部材
c 第三部材
F1 包装容器に発生する引張力
f2 差込部を引き抜く方向
f3 スリット部を引き伸ばす方向
θ (水平方向に対するスリット部の)角度
φ、φ1 (水平方向に対する折り線部の)角度
x 幅方向
y 厚さ方向
z 上下方向