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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157269
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】車両用ベントダクト及び車両
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/26 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B60H1/26 611A
B60H1/26 621Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071527
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】杉江 信二
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA35
3L211BA52
3L211DA17
3L211DA96
(57)【要約】
【課題】製造が容易な車両用ベントダクトを提供する。
【解決手段】車両用ベントダクト20は、通気路24を有するダクト本体22と、通気路24を開閉する開閉弁26とを備えている。また、車両用ベントダクト20は、ダクト本体22の外周に形成されたフランジ部30を備えている。更に、車両用ベントダクト20は、車体における隔壁パネル16とフランジ部30との間をシールするシール部32を備えている。シール部32は、フランジ部30と同じ合成樹脂材料で、フランジ部30に連続して設けられている。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気路を有するダクト本体と、前記通気路を開閉する開閉弁とを備える車両用ベントダクトであって、
前記ダクト本体の外周に形成されたフランジ部と、
前記フランジ部と同じ合成樹脂材料で前記フランジ部に連続して設けられ、車体と前記フランジ部との間をシールするシール部と、を備える
ことを特徴とする車両用ベントダクト。
【請求項2】
前記ダクト本体は、前記フランジ部よりも前記開閉弁が開く側に配置された車体係止部を備える請求項1に記載の車両用ベントダクト。
【請求項3】
車室前側の隔壁パネルに請求項1又は請求項2に記載の車両用ベントダクトを有する
ことを特徴とする車両。
【請求項4】
前記シール部は、前記隔壁パネルにおける車室側に当接している請求項3に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用ベントダクト及び車両用ベントダクトを有する車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、車室内の空気を換気するための排気口として、クォーターベントダクトと呼ばれるダクトが設けられている(例えば特許文献1参照)。クォーターベントダクトは、通気路を有する筒状のダクト本体と、ゴムなどの可撓性を有する材料で形成されて、通気路を開閉可能な開閉弁とを備えている。クォーターベントダクトは、ダクト本体を車体に形成された孔に嵌め合わせて、ダクト本体のフランジ部に設けられたシール部を車体に押し当てることで、シール部によって車体との間を封止するようになっている。開閉弁は、ダクト本体において通気路の上側を画成する上壁部に接合されて通気路に垂れ下がっており、車両内外の気圧差により、通気路を塞ぐ閉じ姿勢から車両外向きへのみ開くようになっている。そして、クォーターベントダクトは、開閉弁が車両外向きへ開放することで車室内からの空気の排出を許容する一方で、自重で閉じ姿勢となる開閉弁により車両外側から埃や水などが車室側へ入り込むのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-226255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クォーターベントダクトにおいて、ダクト本体とシール部とが別々の材料であると、ダクト本体にシール部を取り付けたり、二色成形などの複雑な成形方法によってダクト本体及びシール部を製造したりするなど、製造の手間がかかる。また、クォーターベントダクトを廃棄する場合、ダクト本体からシール部を取り外して分別する必要があり、廃棄にも手間がかかる。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、製造や廃棄の手間を省くことができる車両用ベントダクト及び車両用ベントダクトを備えた車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用ベントダクトの第1態様は、
通気路を有するダクト本体と、前記通気路を開閉する開閉弁とを備える車両用ベントダクトであって、
前記ダクト本体の外周に形成されたフランジ部と、
前記フランジ部と同じ合成樹脂材料で前記フランジ部に連続して設けられ、車体と前記フランジ部との間をシールするシール部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
本発明に係る車両用ベントダクトの第2態様は、前記第1態様において、
前記ダクト本体は、前記フランジ部よりも前記開閉弁が開く側に配置された車体係止部を備えていてもよい。
【0008】
本発明に係る車両の第1態様は、
車室前側の隔壁パネルに、前記第1態様又は前記第2態様の車両用ベントダクトを有することを要旨とする。
【0009】
本発明に係る車両の第2態様は、前記車両の第1態様において、
前記シール部は、前記隔壁パネルにおける車室側に当接していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両用ベントダクトによれば、製造や廃棄の手間を省くことができる。
本発明に係る車両によれば、車両用ベントダクトの製造や廃棄の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の車両用ベントダクトが設置された車両を示す概略図である。
図2】本発明の実施例に係る車両用ベントダクトを示す概略斜視図である。
図3】実施例の車両用ベントダクトを示す正面図である。
図4】実施例の車両用ベントダクトを示す背面図である。
図5】実施例の車両用ベントダクトを示す縦断面図である。なお、車両用ベントダクトを隔壁パネルに取り付けた状態である。
図6】隔壁パネルに対する車両用ベントダクトの取り付けを示す説明図である。
図7】車体係止部の変更例を示す車両用ベントダクトの縦断面図である。なお、車両用ベントダクトを隔壁パネルに取り付けた状態である。
図8】車体係止部の緩衝部の形状例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る車両用ベントダクト及び車両用ベントダクトを有する車両につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0013】
図1に示すように、実施例に係る車両10は、車室12と、車室12の前側に設けられた装置スペース14とを仕切る隔壁パネル16を有している。実施例の装置スペース14には、モーターなどの駆動機構やその他の装置が設置されており、装置スペース14と車両10の外側との間で図示しない開口を介して空気が流通するようになっている。なお、装置スペース14にエンジンが設置された車両であってもよいが、実施例の車両10は、装置スペース14にエンジン以外の装置が設置された二次電池式電気自動車(Battery Electric Vehicle:BEV)である。実施例の隔壁パネル16は、車体を構成する部材であり、図1に示すように車室12に設置されるインストルメントパネル18の前側に配置されている。また、隔壁パネル16には、前後に貫通する取付開口16aが設けられている。そして、車両10は、隔壁パネル16に設置された車両用ベントダクト20を備え、車両用ベントダクト20を介して車室12側から装置スペース14側に空気が流通可能である。このように、車両10は、車室12の空気を車両用ベントダクト20及び装置スペース14を通して車両10の外側に排出可能である。
【0014】
図2図5に示すように、実施例に係る車両用ベントダクト20は、通気路24を有するダクト本体22と、通気路24を開閉する開閉弁26とを備えている。車両用ベントダクト20は、ダクト本体22における通気路24の内側(実施例では車両10の後側)が車室12に繋がる空間に通じており、通気路24を介して内側から外側(実施例では車両10の前側)に空気が流通可能になっている。以下の車両用ベントダクト20の説明では、隔壁パネル16への取り付け状態で上下前後左右を指称する。実施例の説明において、開閉弁26の開き側が、車両10の前側になると共に通気路24における空気流通方向下流側となる。また、開閉弁26の閉じ側が、車室12側で、車両10の後側になると共に通気路24における空気流通方向上流側となる。
【0015】
ダクト本体22は、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などで構成された比較的硬質の樹脂成形品である。図2図4に示すように、実施例のダクト本体22は、上下左右の壁部によって横長略矩形の開口形状の通気路24を有する筒形に形成されている。また、ダクト本体22には、上壁部と下壁部との間に延在して通気路24を左右に区切る板状の区画壁部28(図4参照)が、横方向に離間して複数設けられている。ダクト本体22は、左右の壁部の内側、下側の壁部の前面及び区画壁部28の前面によって形成された受け面を有し、上から下に向かうにつれて前側へ傾く受け面によって、閉じ姿勢の開閉弁26が受け止められる。
【0016】
図2図4に示すように、車両用ベントダクト20は、ダクト本体22の外周に形成されたフランジ部30を備えている。実施例のフランジ部30は、ダクト本体22の車室12側(通気路24における空気流通方向上流側、開閉弁26の閉じ側)である後端に設けられている。また、フランジ部30は、ダクト本体22の外面から外側に突出して形成され、更に、フランジ部30は、ダクト本体22の外面全周に亘って形成されている。そして、ダクト本体22を取付開口16aに嵌めた際に、フランジ部30が隔壁パネル16における取付開口16aの開口縁に対向配置される(図5参照)。
【0017】
図5に示すように、車両用ベントダクト20は、車体を構成する隔壁パネル16とフランジ部30の間をシールするシール部32を備えている。シール部32は、フランジ部30と同じ合成樹脂材料でフランジ部30に連続して設けられている。ダクト本体22は、通気路24を形成する壁部、フランジ部30及びシール部32が同じ合成樹脂材料で構成された一体成形品であり、例えばフランジ部30がポリプロピレンであれば、シール部32もポリプロピレンで構成される。シール部32は、フランジ部30から前側(通気路24における空気流通方向下流側、開閉弁26の開き側)に延びており、ダクト本体22を取付開口16aに嵌めた際に、シール部32が隔壁パネル16の後面(車室12側)に当接する。実施例のシール部32は、フランジ部30から突出するにつれて、ダクト本体22の壁部外面から離れるように開いている。シール部32は、フランジ部30の先端部に設けられている。また、シール部32は、フランジ部30の一部範囲に互いに間をあけて断続的に設けてもよいが、実施例のシール部32は、ダクト本体22の全周を囲んで連続的に設けられている。
【0018】
シール部32は、曲げ変形可能な可撓性を有している。また、シール部32は、曲げた状態から戻ろうとする弾力性を有しているとよい。図5に示すように、シール部32は、フランジ部30に繋がる根元と比べて先端側の板厚が薄く形成されている。実施例のシール部32の板厚は、根元側から先端側に向かうにつれて薄くなっている。シール部32は、フランジ部30よりも板厚が薄い部分を設けることでフランジ部30よりも曲がり易くなっている。
【0019】
図2図3及び図5に示すように、ダクト本体22は、フランジ部30よりも前側(通気路24における空気流通方向下流側、開閉弁26の開き側)に配置された車体係止部34を備えている。ダクト本体22を取付開口16aに嵌めた際に、車体係止部34が隔壁パネル16における取付開口16aの開口縁に引っ掛かる。車体係止部34は、ダクト本体22の外面から突出した後に後側(通気路24における空気流通方向上流側、開閉弁26の閉じ側)に向けて屈曲する鉤形状に形成されている(図5参照)。車体係止部34における後側に向く先端面が、隔壁パネル16に当たる。車体係止部34の先端部は、ダクト本体22の外面に対して近づくように変形可能である。実施例において、車体係止部34が、ダクト本体22における上下の壁部外面に設けられている(図3参照)。また、上下の壁部のそれぞれにおいて、複数の車体係止部34が、左右方向に間隔をあけて配置されている。
【0020】
図2図3及び図5に示すように、ダクト本体22は、壁部外面から突出する板状の車体当接部36を備えている。ダクト本体22を取付開口16aに嵌めた際に、車体当接部36が取付開口16aに嵌まるようになっている。車体当接部36は、後端がフランジ部30に繋がっており、前端部が傾斜面になっている(図5参照)。実施例において、車体当接部36が、ダクト本体22における上下の壁部外面に設けられている。また、上下の壁部のそれぞれにおいて、複数の車体当接部36が、左右方向に間隔をあけて配置されている(図3参照)。なお、車体係止部34と車体当接部36とが、前後方向において重ならないように配置されている(図2参照)。
【0021】
開閉弁26は、薄い板状体であって、オレフィン系エラストマー(TPO)やスチレン系エラストマー等のエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンゴム等のゴム系材料など、可撓性を有する材料で構成されている。また、開閉弁26は、曲げた状態から戻ろうとする弾力性を有している。図5に示すように、開閉弁26の上端部は、ダクト本体22における上側の壁部後端部から下方へ張り出した弁取付部22aに固定されている。開閉弁26は、上端部がダクト本体22に固定されているだけで、弁取付部22aから通気路24に吊り下がる本体部分に、閉じ姿勢に向けて自重が作用するようになっている。
【0022】
車両用ベントダクト20において、開閉弁26が通気路24に吊り下がり、自重による開閉弁26の後側への変位がダクト本体22の受け面で規制されて、開閉弁26で通気路24を塞ぐ閉じ姿勢になる(図5実線参照)。車両用ベントダクト20は、自重で閉じ姿勢となった開閉弁26によって、通気路24を塞いで装置スペース14側からの埃や水などの異物の侵入を防止する。また、車両用ベントダクト20は、ドアを閉じたときなどの車室12内外の気圧差により開閉弁26が前向きへ変位することで通気路24を開放し、車室12側から装置スペース14側へ向けた空気の流通を許容する(図5二点鎖線参照)。
【0023】
車両用ベントダクト20の車体への取り付けについて説明する。隔壁パネル16の取付開口16aに対して、後側(車室12側)からダクト本体22を差し込み(図1及び図6参照)、車体係止部34を取付開口16aとの当接によりダクト本体22の壁部外面側へ変形させながら、車体係止部34を取付開口16aに通す。車体係止部34が取付開口16aを後側から前側へ通って隔壁パネル16の前側に出ると、自身の弾力性により車体係止部34が開いて、隔壁パネル16における取付開口16aの開口縁前側(装置スペース14側)に配置される(図5参照)。また、シール部32が、隔壁パネル16の後面(車室12側)に当接し、車体係止部34とシール部32によって隔壁パネル16を前後から挟んで、車両用ベントダクト20が隔壁パネル16に取り付けられる。このとき、車体当接部36が取付開口16aの内側に嵌まって、車両用ベントダクト20の上下移動が規制される。
【0024】
車両用ベントダクト20は、シール部32がフランジ部30と同じ合成樹脂材料でフランジ部30に連続して設ける構成であることで、フランジ部30と一緒にシール部32を成形することができる。これにより、ダクト本体22を製造する際に、第1の型でフランジ部30を成形した後に第2の型でシール部32を成形する二色成形などの複雑な成形方法を用いる必要がなく、製造の手間を省いて、シール部32を有するダクト本体22を簡単に製造することができ、車両用ベントダクト20のコストを低減できる。しかも、シール部32をフランジ部30と一体に形成することで、シール部32を精度よく配置することができる。また、シール部32をフランジ部30に後付けする手間もかからないことから、製造の手間を省いて、シール部32を有するダクト本体22を簡単に製造することができ、車両用ベントダクト20のコストを低減できる。更に、シール部32が搬送時や車体への取り付け時などにダクト本体22から外れたり、位置ずれすることもなく、車両用ベントダクト20の取り扱い性を向上できる。車両用ベントダクト20は、シール部32がフランジ部30と同じ合成樹脂材料であることから、廃棄時にシール部32とダクト本体22とを分別する必要がなくなり、車両用ベントダクト20の廃棄時の手間を省いて、廃棄コストを低減できる。
【0025】
特に、シール部32をフランジ部30と同じポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂製とすると、オレフィン系エラストマー(TPO)よりも流動性が良いことから、シール部32を薄く形成しても、欠肉などの成形不良の発生を抑えることができる。また、シール部32が、ダクト本体22と同様の耐久性を有する材料で構成されることから、シール部32の劣化を防止して、車両用ベントダクト20を長期間に亘って保持できる。
【0026】
ダクト本体22が、フランジ部30よりも前側(開閉弁26が開く側)に配置された車体係止部34を備える構成であることから、ダクト本体22を取付開口16aの後側(開閉弁26が閉じる側)から前側(開閉弁26が開く側)に通して、車両用ベントダクト20を隔壁パネル16に設置することができる。このように、車両用ベントダクト20は、車室12側から車体に取り付けることができるので、従来のように車両10の外側から取り付ける場合と異なる場所に、車両用ベントダクト20を設置することができる。
【0027】
前述した車両10は、車室12前側の隔壁パネル16に車両用ベントダクト20を有している。車室12前側の隔壁パネル16は、車体の内部に配置され、車両10の外面から遠い位置にある。そして、隔壁パネル16は、車両10の外側からの雨などの水に濡れることが基本的にないところにあることから、シール部32に対して水の浸入を確実に防止するまでのシール性が求められず、シール部32の形状や材料選択の自由度を向上できる。特に隔壁パネル16の車室12側は、外側からの水で濡れる可能性が低い。そして、シール部32を比較的硬く設定することが可能となり、搬送時などにおいてシール部32が他のものと当たることで、取り付け前に変形してしまうことなどを回避できる。シール部32を比較的硬く設定することで、車両用ベントダクト20の隔壁パネル16に対する保持力が強くなり、車両用ベントダクト20をシール部32によってガタつきなく保持できる。車両用ベントダクト20を隔壁パネル16に設置すると、車体の外板に外側から付けた車両用ベントダクトと比較して埃等の異物や排ガスの侵入を抑えることができる。車両用ベントダクト20を隔壁パネル16に設置すると、車室12と近くなり、ドアの開閉などの車室12の圧力変化に応じて、タイミングよく開閉弁26を開閉することができる。車両用ベントダクト20を隔壁パネル16に設置すると、リアバンパーなどの車両外装部材の内側に設置する場合よりも、スペースを確保することができ、開閉弁26を円滑に開閉できるストロークを設定できる。また、スペースを確保できることから、車両用ベントダクト20又は車両用ベントダクトの周りに吸音材などの吸音構造や、脱臭剤などの消臭構造を配置することが可能となる。
【0028】
車両10において、シール部32が隔壁パネル16の後面(車室12側)に当接するように車両用ベントダクト20が設置されている。装置スペース14側と比べてスペースが広い車室12側から車両用ベントダクト20を取り付けできるので、取り付け作業を行い易い。また、車両10において、開閉弁26が前後方向に開閉する構成であるから、車両10のコーナーリング時などの横向きに力がかかっても開閉弁26の開閉を抑えることができ、開閉弁26の意図しない開閉に伴うばたつき音の発生を防止できる。
【0029】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例及び以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)車両用ベントダクトは、車室前の隔壁パネルに設置することが好ましいが、例えばリアバンパーの内側など、他の場所に設置してもよい。
(2)車体係止部の形状は、実施例のような鉤状に限らず、突起形状など、その他の形状であってもよい。
【0030】
(3)実施例は、車体係止部全体をダクト本体と同じ合成樹脂材料で構成したが、これに限らず、図7図8に示すように、車体係止部34の先端に緩衝部40を設けてもよい。緩衝部40は、ダクト本体22と異なる合成樹脂材料であり、例えば、ダクト本体22よりも柔軟性や弾力性などを有しているとよい。緩衝部40としては、例えば、ポリウレタンフォームなどの発泡体、オレフィン系エラストマー(TPO)やスチレン系エラストマー等のエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンゴム等のゴム系材料などを用いることができる。緩衝部40は、図7のように車体係止部34を延長した形状であってもよいが、図8(a)の緩衝部40のように、ダクト本体22と反対側の面が前側(開閉弁26の開き側)から後側(開閉弁26の閉じ側)に向かうにつれてダクト本体22側に傾く先細り形状や、図8(b)の緩衝部40のように、ダクト本体22と反対側の面が車体係止部34よりも凹む形状などであってもよい。図8に示す緩衝部40の形状であれば、車体係止部34を取付開口16aに通す際に緩衝部40を隔壁パネル16の前側に通し易くなる。
【符号の説明】
【0031】
10 車両,12 車室,16 隔壁パネル,20 車両用ベントダクト,
22 ダクト本体,24 通気路,26 開閉弁,30 フランジ部,
32 シール部,34 車体係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8