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  • 特開-支持装置および支持方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157270
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】支持装置および支持方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241030BHJP
   B65C 9/40 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65C9/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071528
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩二
【テーマコード(参考)】
3E095
5F131
【Fターム(参考)】
3E095AA01
3E095BA03
3E095CA01
3E095DA03
3E095DA22
3E095DA35
3E095DA48
3E095DA82
3E095EA24
3E095EA40
3E095FA25
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA53
5F131CA12
5F131EC32
5F131EC62
5F131EC63
5F131EC64
(57)【要約】
【課題】処理対象物に対する処理に支障をきたすことを極力防止することができる支持装置および支持方法を提供する。
【解決手段】支持装置EAは、処理対象物WKに所定の処理を施す際に当該処理対象物WKを支持する支持手段10と、支持手段10で支持した処理対象物WKに施した所定の処理の処理回数積算値EnTおよび、所定の処理を施す間に費やした処理時間積算値EhTの少なくとも一方を記憶する記憶手段20とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物に所定の処理を施す際に当該処理対象物を支持する支持手段と、
前記支持手段で支持した前記処理対象物に施した前記所定の処理の処理回数積算値および、前記所定の処理を施す間に費やした処理時間積算値の少なくとも一方を記憶する記憶手段とを備えていることを特徴とする支持装置。
【請求項2】
前記所定の処理を施した処理回数および処理時間の少なくとも一方を前記記憶手段に送信する通信手段を備え、
前記通信手段は、前記所定の処理に応じた所定の係数を前記処理回数および前記処理時間の少なくとも一方に乗じる演算を行い、演算後の前記処理回数および前記処理時間の少なくとも一方を前記記憶手段に送信することを特徴とする請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
処理対象物に所定の処理を施す際に当該処理対象物を支持する支持工程と、
前記支持工程で支持した前記処理対象物に施した前記所定の処理の処理回数積算値および、前記所定の処理を施す間に費やした処理時間積算値の少なくとも一方を記憶する記憶工程とを実施することを特徴とする支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持装置および支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
処理対象物に所定の処理を施す際に当該処理対象物を支持する支持装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-63908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された粘着テープ貼付け剥離装置で使用される基板支持テーブル6(支持装置の支持手段)は、長期に亘って粘着テープT(接着シート)の貼付け(所定の処理)が行われると、支持手段の支持面に接着シートの接着剤が付着したり、支持面に凹凸等が形成されたりする劣化が起こり、基板W(処理対象物)に対する処理に支障をきたすという不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、処理対象物に対する処理に支障をきたすことを極力防止することができる支持装置および支持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支持手段で支持した処理対象物に施した所定の処理の処理回数積算値および、所定の処理を施す間に費やした処理時間積算値の少なくとも一方を記憶するため、支持手段が長期に亘って使用されることが抑制され、処理対象物に対する処理に支障をきたすことを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)、(B)は、本発明の一実施形態に係る支持装置を備えた処理装置の説明図。(C)は、支持装置を備えた処理装置の他の例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1(A)の手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1(A)中手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
支持装置EAは、処理対象物WKに所定の処理を施す際に当該処理対象物WKを支持する支持工程を実施する支持手段10と、支持手段10で支持した処理対象物WKに施した所定の処理の処理回数積算値EnTおよび、所定の処理を施す間に費やした処理時間積算値EhTの両方を記憶する記憶工程を実施する記憶手段20と、所定の処理を施した処理回数Enおよび処理時間Ehの両方を記憶手段20に送信する通信工程を実施する通信手段30とを備えている。
本実施形態の場合、支持装置EAは、処理対象物WKに所定の処理を施す処理装置としてのシート貼付装置40に組み込まれて使用されるようになっており、所定の処理は、処理対象物WKに接着シートASを貼付するシート貼付処理のことである。
また、本実施形態でいう処理回数Enは、処理対象物WKに1枚の接着シートASを貼付したシート貼付回数のことであり、この処理回数Enを積算した値が処理回数積算値EnTである。
さらに、本実施形態でいう処理時間Ehは、処理対象物WKに1枚の接着シートASを貼付する際に費やしたシート貼付時間のことであり、この処理時間Ehを積算した値が処理時間積算値EhTである。
【0011】
支持手段10は、処理対象物WKを支持可能な支持面11Aを有する支持部材としての支持テーブル11を備えている。
支持テーブル11は、例えば、支持面11Aにフッ素樹脂コーティングやシリコンコーティング等のコーティング処理や、ブラスト加工やエッチング加工等による粗面処理等の接着シートASが接着し難くなる表面処理や、樹脂やゴム等による処理対象物WKの接地面を保護するライニング処理等が施されており、それら表面処理やライニング処理は、長期に亘って使用されると、例えば、接着シートASの接着剤が付着したり、部分的に欠落して凹凸等が形成されたりする劣化が起こり、処理対象物WKに対するシート貼付処理に悪影響を及ぼす場合があるものとなっている。
【0012】
記憶手段20は、支持テーブル11に支持されたRFID(Radio Frequency Identification)タグや集積回路等の記憶機器21によって構成されている。
【0013】
通信手段30は、図1(B)に示すように、シート貼付装置40から処理回数Enおよび処理時間Ehを受信可能とされ、シート貼付処理に応じた所定の係数を処理回数Enおよび処理時間Ehの両方に乗じる演算を行い、演算後の処理回数Enおよび処理時間Ehの両方を記憶手段20に送信するようになっている。すなわち、通信手段30は、シート貼付装置40から送信された処理回数Enおよび処理時間Ehに対して所定の係数(シート貼付処理の場合、所定の係数は1.0)を乗じて演算値を求めるコンピュータやシーケンサ等の演算機器31と、当該演算機器31によって求められた演算後の処理回数Enおよび処理時間Ehを記憶手段20に送信する電波信号通信機器や電気信号通信機器等の送受信機器32とを備えている。
なお、通信手段30は、処理回数積算値EnTおよび処理時間積算値EhTを記憶手段20から受信可能に設けられ、それら処理回数積算値EnTおよび処理時間積算値EhTの少なくとも一方が所定値を超過しているか否かを演算機器31で対比し、超過していると判断すると、スピーカや表示器等の図示しない警告手段や、シート貼付装置40等の処理装置に異常信号ESを送信するようになっている。
【0014】
シート貼付装置40は、当該シート貼付装置40を構成する構成物を直接的または間接的に支持するベースプレート41と、接着シートASが帯状の剥離シートRLに仮着された原反RSを支持する支持ローラ42と、原反RSを案内するガイドローラ43と、剥離縁44Aで剥離シートRLを折り返し、当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段としての剥離板44と、処理対象物WKに接着シートASを押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ45と、駆動機器としての回動モータ46Aの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ46Bとで剥離シートRLを挟み込む駆動ローラ46と、図示しない駆動機器の出力軸に支持され、シート貼付装置40の自動運転が行われている間、ピンチローラ46Bとの間に存在する剥離シートRLに常に所定の張力を付与し、当該剥離シートRLを回収する回収手段としての回収ローラ47と、駆動機器としてのリニアモータ48Aのスライダ48Bに支持され、支持手段10を保持して移動可能な移動テーブル48と、当該シート貼付装置40の各種動作を制御するコンピュータやシーケンサ等の貼付装置制御手段49とを備えている。
貼付装置制御手段49は、処理対象物WKに1枚の接着シートASを貼付することを1単位とした処理の回数を処理回数Enとするとともに、処理対象物WKに1枚の接着シートASを貼付する間に費やされた時間を計測して処理時間Ehとし、処理対象物WKに1枚の接着シートASを貼付する度に、処理回数Enおよび処理時間Ehを通信手段30に送信するようになっている。
移動テーブル48は、支持手段10を着脱可能に設けられ、保持した支持手段10の支持面11Aに吸着保持力を付与する減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)が接続されている。
【0015】
以上のシート貼付装置40に組み込まれた支持装置EAの動作を説明する。
先ず、図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート貼付装置40に対し、当該シート貼付装置40の使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように支持テーブル11および原反RSをセットした後、操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。すると、シート貼付装置40が回動モータ46Aを駆動し、原反RSを繰り出し、図1(A)に示すように、剥離板44の剥離縁44Aによって折り返された剥離シートRLの折返し部で、先頭の接着シートASの繰出方向先端部が当該剥離シートRLから所定長さ剥離されると、回動モータ46Aの駆動を停止する。次いで、使用者または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、支持面11A上に処理対象物WKを載置すると、シート貼付装置40が図示しない減圧手段を駆動し、支持面11Aでの処理対象物WKの吸着保持を開始するとともに、貼付装置制御手段49を介して処理時間Ehの計測を開始する。その後、シート貼付装置40がリニアモータ48Aを駆動し、支持テーブル11を左方へ移動させ、処理対象物WKが所定の位置に到達すると、当該シート貼付装置40が回動モータ46Aを駆動し、処理対象物WKの移動速度に合わせて原反RSを繰り出す。これにより、接着シートASは、剥離シートRLの折返し部で当該剥離シートRLから剥離され、図1(A)中二点鎖線で示すように、押圧ローラ45によって処理対象物WKに押圧されて貼付される。次に、先頭の接着シートAS全体が処理対象物WKに貼付されて一体物UPが形成され、当該先頭の接着シートASに続く次の接着シートASの繰出方向先端部が、剥離シートRLの折返し部で当該剥離シートRLから所定長さ剥離されると、シート貼付装置40が回動モータ46Aの駆動を停止する。そして、一体物UPが押圧ローラ45の左方所定位置に到達すると、シート貼付装置40がリニアモータ48Aの駆動を停止するとともに、貼付装置制御手段49を介して処理時間Ehの計測を停止する。次いで、シート貼付装置40が図示しない減圧手段の駆動を停止し、支持面11Aでの処理対象物WKの吸着保持を解除した後、使用者または図示しない搬送手段が一体物UPを次工程に搬送すると、シート貼付装置40がリニアモータ48Aを駆動し、支持テーブル11を初期位置に復帰させる。その後、シート貼付装置40が貼付装置制御手段49を介して処理回数Enおよび処理時間Ehを通信手段30に送信する。
【0016】
次に、通信手段30が処理回数Enおよび処理時間Ehを受信すると、当該通信手段30が演算機器31を駆動し、処理回数Enに所定の係数1.0を乗じる演算を行うとともに、処理時間Ehに所定の係数1.0を乗じる演算を行い、演算後の処理回数Enおよび処理時間Ehを、送受信機器32を介して記憶手段20に送信する。そして、送受信機器32から送信された演算後の処理回数Enおよび処理時間Ehを記憶手段20が受信すると、当該記憶手段20は、既に記憶している処理回数積算値EnTに今回受信した演算後の処理回数Enを積算し、新たな処理回数積算値EnTとして記憶するとともに、既に記憶している処理時間積算値EhTに今回受信した演算後の処理時間Ehを積算し、新たな処理時間積算値EhTとして記憶する。次いで、記憶手段20は、新たな処理回数積算値EnTおよび新たな処理時間積算値EhTを記憶すると、それら新たな処理回数積算値EnTおよび新たな処理時間積算値EhTを通信手段30に送信する。その後、通信手段30が新たな処理回数積算値EnTおよび新たな処理時間積算値EhTを受信し、それら新たな処理回数積算値EnTおよび新たな処理時間積算値EhTの両方が所定の値を超過していないことを当該通信手段30が認識すると、以降上記同様の動作が繰り返される。一方、新たな処理回数積算値EnTおよび新たな処理時間積算値EhTの少なくとも一方が所定の値を超過していることを通信手段30が認識すると、当該通信手段30が図示しない警告手段やシート貼付装置40に異常信号ESを送信する。次に、図示しない警告手段やシート貼付装置40が、異常信号ESを受信すると、警告手段が音や光等の警告シグナルを発したり、シート貼付装置40が動作停止を行ったりすることで、支持手段10の交換が必要であることを使用者に知らせる。このようにして支持手段10の交換が必要であることを使用者が認識すると、当該使用者は、新たな支持手段10を移動テーブル48にセットし、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0017】
以上のような実施形態によれば、支持手段10で支持した処理対象物WKに所定の処理を施した処理回数積算値EnTおよび、所定の処理を施す間に費やした処理時間積算値EhTの両方を記憶するため、支持手段10が長期に亘って使用されることが抑制され、処理対象物WKに対する処理に支障をきたすことを極力防止することができる。
【0018】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
また、本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、支持手段は、処理対象物に所定の処理を施す際に当該処理対象物を支持可能ものであればどんなものでもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0019】
例えば、支持装置EAは、所定の処理を施す処理装置としてシート貼付装置40と同じ構成であって、押圧ローラ45の押圧力がシート貼付装置40の押圧ローラ45の押圧力よりも大きい別のシート貼付装置に採用された場合、別のシート貼付装置に組み込まれた支持手段10の劣化速度は、シート貼付装置40に組み込まれた場合の支持手段10の劣化速度よりも早くなることから、通信手段30にて演算値を求める際の所定の係数を1.0以上の例えば1.3や2.0等に設定することができる。逆に、別のシート貼付装置の押圧ローラ45の押圧力がシート貼付装置40の押圧ローラ45の押圧力よりも小さい場合、別のシート貼付装置に組み込まれた支持手段10の劣化速度は、シート貼付装置40に組み込まれた場合の支持手段10の劣化速度よりも遅くなることから、所定の係数を1.0以下の例えば0.5や0.1等に設定することができる。
また、支持装置EAは、上記実施形態で示したシート貼付装置40と異なる他の処理装置として、例えば、所定の処理として処理対象物WKを研削する図1(C)に示すような研削装置50に組み込まれて使用されてもよい。
このような研削装置50は、駆動機器としての回動モータ51と、その出力軸51Aに支持された砥石やブレード等の研削部材52と、駆動機器としてのXYテーブル53Aのスライダ53Bに支持され、支持手段10を保持してX軸方向とY軸方向との2方向へ移動可能な移動テーブル53と、当該研削装置50の各種動作を制御するコンピュータやシーケンサ等の研削装置制御手段54とを備えている。
研削装置制御手段54は、1つの処理対象物WKを所定の厚みにまで研削することを1単位とした処理の回数を処理回数Enとするとともに、1つの処理対象物WKを所定の厚みにまで研削する間に費やされた時間を計測して処理時間Ehとし、1つの処理対象物WKを所定の厚みにまで研削する度に、処理回数Enおよび処理時間Ehを通信手段30に送信するようになっている。なお、この場合の所定の処理は、処理対象物WKを所定の厚みにまで研削する研削処理のことである。
そして、このような研削装置50に組み込まれて使用される支持装置EAは、当該研削装置50に組み込まれた支持手段10の劣化速度が、シート貼付装置40に組み込まれた支持手段10の劣化速度よりも早くなる場合は、所定の係数を1.0以上の例えば1.1や3.0に設定することができるし、逆に、研削装置50に組み込まれた支持手段10の劣化速度が、シート貼付装置40に組み込まれた支持手段10の劣化速度より遅くなる場合は、所定の係数を1.0以下の例えば0.3や2.6に設定することができる。
【0020】
支持手段10は、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で処理対象物WKを保持する支持テーブル11が採用されてもよいし、処理対象物WKの保持ができない支持テーブル11が採用されてもよいし、支持面11Aで処理対象物WKのみを支持したり、処理対象物WKおよび接着シートASを支持したり、その他のものを支持したりしてもよいし、複数の支持部材で構成されてもよく、この場合、記憶手段20は、複数の支持部材のうち少なくとも1つに設けられればよい。
支持テーブル11は、支持面11Aに、例えば、非粘着処理、めっき処理、塗装、積層、粗面処理、ブラスト処理、鏡面処理等、どのような処理が施されていてもよいし、何の処理も施されていなくてもよいし、処理対象物WKの種類、大きさ、形状またはや接着シートASの種類、処理装置の種類等に応じて複数種のものが用意され、それら複数種の中から適格なものが選択的に使用されてもよい。
【0021】
記憶手段20は、支持手段10で支持した処理対象物WKに所定の処理を施した処理回数積算値EnTのみを記憶する記憶工程を実施するものでもよいし、支持手段10で支持した処理対象物WKに所定の処理を施す間に費やした処理時間積算値EhTのみを記憶する記憶工程を実施するものでもよいし、記憶機器21として、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等どのようなものが採用されてもよいし、特定の処理装置での処理回数Enおよび処理時間Ehの少なくとも一方のみを記憶する1体の記憶機器21が1つだけまたは複数備わっていてもよいし、例えば、シート貼付装置40での処理回数Enおよび処理時間Ehの少なくとも一方を記憶する第1記憶部と、他の装置での処理回数Enおよび処理時間Ehの少なくとも一方をさらに記憶する第2記憶部とを備えた1体の記憶機器21が1つだけまたは複数備わっていてもよいし、処理回数Enのみを通信手段30から受信してもよいし、処理時間Ehのみを通信手段30から受信してもよいし、処理回数積算値EnTのみを通信手段30に送信してもよいし、処理時間積算値EhTのみを通信手段30に送信してもよいし、処理回数Enおよび処理時間Ehの両方を通信手段30から受信しなくてもよいし、処理回数積算値EnTおよび処理時間積算値EhTの両方を通信手段30に送信しなくてもよいし、通信手段30に対して送信または受信を行う媒体は、電波、音波、電気、磁力等どのような媒体でもよいし、支持テーブル11の上面や下面等、どこに設けられていてもよいし、支持テーブル11に着脱自在に設けられていてもよいし、演算機器31が行う演算と同等の演算が可能な演算機能が備わっていてもよく、この場合、通信手段30に演算機器31が備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0022】
通信手段30は、例えば、接着シートASの種類に応じて所定の係数を設定してもよいし、支持面11Aに施されている表面処理に応じて所定の係数を設定してもよいし、支持装置EAが使用される処理装置の特性条件や、処理装置の支持手段10に対する攻撃性の条件や、支持装置EAが使用される環境の温度や圧力等の雰囲気条件や、処理対象物WKの形状や硬さ等の処理対象物WKの条件等の諸条件によって、所定の係数の値を適宜変更したり、使用者の経験値によって、所定の係数の値を適宜変更したりしてもよいし、シート貼付装置40以外のものを所定の係数の基準としてもよいし、所定の係数の基準となるものを設けなくてもよいし、処理装置によって支持手段10の劣化速度が異なっていても、同じ値の所定の係数を乗じたり、所定の定数を乗じなくしたりしてもよいし、1つまたは同種の処理装置における処理回数Enに乗じる係数と処理時間Ehに乗じる係数とを同じ値に設定したりし、異なる値に設定したりしてもよいし、演算機器31で演算を行うことなく処理回数Enおよび処理時間Ehの少なくとも一方を記憶手段20に送信してもよいし、演算機器31が備わっていなくてもよいし、処理装置から送信された信号を所定期間蓄積しておき、所定のタイミングで処理回数Enおよび処理時間Ehの少なくとも一方を記憶手段20に送信してもよいし、記憶手段20、処理装置および図示しない警告装置に対して送信または受信を行う媒体は、電波、音波、電気、磁力等どのような媒体でもよいし、記憶手段20から受信した際に処理回数積算値EnTや処理時間積算値EhTと対比する所定の値は、予め通信手段30が記憶していてもよいし、使用者が任意の値を通信手段30に記憶させてもよいし、処理回数Enのみを処理装置から受信したり、処理回数Enのみを記憶手段20に送信したりしてもよいし、処理時間Ehのみを処理装置から受信したり、処理時間Ehのみを記憶手段20に送信したりしてもよいし、処理回数Enのみを記憶手段20に送信してもよいし、処理時間Ehのみを記憶手段20に送信してもよいし、処理回数Enおよび処理時間Ehの両方を記憶手段20に送信しなくてもよいし、処理回数積算値EnTのみを記憶手段20から受信してもよいし、処理時間積算値EhTのみを記憶手段20から受信してもよいし、処理回数積算値EnTおよび処理時間積算値EhTの両方を記憶手段20から受信しなくてもよいし、警告手段や処理装置等に異常信号ESを送信しなくてもよいし、本発明の支持装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、支持装置EAに備わっていない場合、例えば、処理装置やその他の装置に備わっていてもよい。
【0023】
シート貼付装置40は、帯状の剥離シートRLに仮着された帯状の接着シート基材に閉ループ状または短寸幅方向全体の切込が形成されることで、その切込で仕切られた所定の領域が接着シートASとされた原反RSから当該接着シートASを剥離して貼付してもよいし、帯状の剥離シートRLに帯状の接着シート基材が仮着された帯状接着シート原反を採用し、当該帯状接着シート原反を繰り出す途中で、接着シート基材に閉ループ状または短寸幅方向全体の切込を切断手段としての切断刃で形成し、その切込で仕切られた所定の領域が接着シートASとされた原反RSから当該接着シートASを剥離して貼付してもよいし、帯状の剥離シートRLに帯状の接着シートASが仮着された原反RSから当該帯状の接着シートASを剥離して貼付してもよいし、巻回されることなく、例えばファンフォールド折りにされた原反RSから当該接着シートASを剥離して貼付してもよいし、押圧ローラ45に代えて駆動機器としての直動モータの出力軸に支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸着保持が可能な保持部材で接着シートASを保持し、当該保持部材で保持した接着シートASを処理対象物WKに押圧して貼付する構成の押圧手段を採用してもよいし、巻回することなく、例えばファンフォールド折りにしたり、シュレッダ等で切り刻んだり、無造作に集積したりして剥離シートRLを回収する回収手段を採用してもよいし、回収手段を採用しなくてもよいし、剥離シートRLに仮着されていない接着シートASを繰り出して貼付してもよい。
シート貼付装置40や研削装置50は、支持テーブル11を移動させずにまたは移動させつつ、剥離板44、押圧ローラ45、駆動ローラ46等を移動させて処理対象物WKに接着シートASを貼付したり、回動モータ51および研削部材52を移動させて処理対象物WKを研削したりしてもよいし、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で支持テーブル11を保持する移動テーブル48、53が採用されてもよいし、天地反転して配置したり横置きに配置したりして、処理対象物WKの下面や側面等に接着シートASを貼付したり、処理対象物WKの下面や側面を研削したりするように構成してもよいし、支持テーブル11の種類や型式、接着シートASまたは処理対象物WKの種類、および押圧ローラ45による接着シートASの押圧力または研削部材52による処理対象物WKの押圧力等の情報を入力する入力手段が備わっていてもよいし、例えば、リニアモータ48AまたはXYテーブル53Aに代えて多関節ロボットを採用し、当該多関節ロボットの先端アームで支持テーブル11を保持して移動可能な構成としてもよいし、処理時間Ehの計測を開始するタイミングを、支持面11Aでの処理対象物WKの吸着保持を開始するタイミングよりも早いタイミング(例えば、図示しない搬送手段が、支持面11A上に処理対象物WKを載置したタイミング)としたり、遅いタイミング(例えば、処理対象物WKが所定の位置に到達し、シート貼付装置40が回動モータ46Aを駆動または研削装置50が回動モータ51を駆動したタイミング)としたりしてもよいし、処理時間Ehの計測を停止するタイミングを、支持テーブル11が初期位置に復帰するタイミングよりも早いタイミング(例えば、接着シートAS全体が処理対象物WKに貼付されて一体物UPが形成されたタイミングや、処理対象物WKの研削が完了したタイミング)としたり、遅いタイミング(例えば、一体物UPまたは研削された処理対象物WKが次工程に搬送されて支持テーブル11が初期位置に復帰したタイミング)としたりしてもよいし、移動テーブル48、53に支持手段10が保持された時点から、当該移動テーブル48、53から取り外されるまでの間、常に処理時間Ehの計測を行っていてもよく、所定の処理を施す間に費やした処理時間Ehの計測期間は、使用者が任意に決定することができる。
【0024】
処理装置は、上記のシート貼付装置40や研削装置50の他、例えば、研磨装置、エネルギー線照射装置、サンドブラスト装置、印刷装置、塗装装置、切断装置等、どのような装置でもよく、所定の処理も研磨処理、エネルギー線照射処理、サンドブラスト処理、印刷処理、塗装処理、切断処理等、どのような処理でもよいし、例えば、自動運転が開始されてから当該自動運転が停止されるまでの自動運転期間に行った処理回数Enおよび自動運転期間に行った処理時間Ehの少なくとも一方を記憶しておき、当該自動運転期間が完了した時点で、記憶している処理回数Enおよび処理時間Ehの少なくとも一方を30に送信してもよいし、処理回数Enのみを通信手段30に送信してもよいし、処理時間Ehのみを通信手段30に送信してもよいし、処理回数Enおよび処理時間Ehの両方を通信手段30に送信しなくてもよいし、通信手段30から異常信号ESを受信しなくてもよいし、通信手段30に対して送信または受信を行う媒体は、電波、音波、電気、磁力等どのような媒体でもよいし、処理回数Enや処理時間Ehの通信手段30への送信や処理時間Ehの計測を行わなくてもよく、処理装置以外の他の装置が処理回数Enや処理時間Ehの通信手段30への送信や処理時間Ehの計測を行ってもよいし、本発明の支持装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0025】
支持装置EAは、支持手段10の交換が必要となった場合、支持手段10のみを交換したり、支持手段10と記憶手段20とを交換したり、支持手段10と記憶手段20と通信手段30とを交換したり、支持手段10と通信手段30とを交換したりしてもよい。
【0026】
本発明における接着シートASおよび処理対象物WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートASおよび処理対象物WKは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、接着シートASは、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートASが採用された場合は、当該接着シートASを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シートASは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層とが積層された2層のもの、基材と接着剤層との間に1または複数の中間層が積層された3層または3層以上のもの、基材の上面に1または複数のカバー層が積層された3層または3層以上のもの、基材、中間層またはカバー層が剥離可能に設けられたもの、接着剤層のみからなる単層の両面接着シート、1または複数の中間層の両最外面に接着剤層が積層された両面接着シート等、どのようなものでもよい。さらに、処理対象物WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASは、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0027】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた所謂多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等が単体で採用されてもよいし、それら電動機器やアクチュエータ等が直接的又は間接的に組み合わされたものが採用されてもよいし、それら電動機器やアクチュエータ等の出力部に対するトルク制御や速度制御等が可能なものや不能なものが採用されてもよい。
【0028】
前記実施形態において、何らかの物体(以下「物体A」という)および当該物体Aに対して移動する物体(以下「物体B」という)すなわち、相対移動する物体Aおよび物体Bは、移動することのない物体Aに対して物体Bが移動してもよいし、移動することのない物体Bに対して物体Aが移動してもよいし、物体Aおよび物体Bの両方が移動してもよいく、移動によって達成される結果が同じであれば、物体Aおよび物体Bの何れが移動してもよいし、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ブラシ状部材の他、大気やガス等の気体の吹き付けによるものを採用してもよいし、押圧するものをゴム、樹脂、スポンジ等の変形可能な部材で構成してもよいし、金属や硝子等の変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
EA…支持装置
10…支持手段
20…記憶手段
30…通信手段
Eh…処理時間
EhT…処理時間積算値
En…処理回数
EnT…処理回数積算値
WK…処理対象物
図1