(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157272
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】什器組立ユニット及び什器組立方法
(51)【国際特許分類】
A47B 47/02 20060101AFI20241030BHJP
A47B 47/04 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A47B47/02
A47B47/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071530
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000157278
【氏名又は名称】丸五ゴム工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】397001628
【氏名又は名称】東洋事務器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅也
(72)【発明者】
【氏名】中野 将之
(72)【発明者】
【氏名】古城 絢史
【テーマコード(参考)】
3B054
【Fターム(参考)】
3B054AA01
3B054BA04
3B054BA09
3B054BA15
3B054BB03
3B054BB08
3B054BB14
3B054CA03
3B054CA10
3B054EA02
3B054EA03
3B054EA04
(57)【要約】
【課題】
基本立体形状からさらに小さく分解できるようにし、コンパクトな状態で保管や輸送等できるようにしながらも、基本立体形状に組み立て直す際の手間を軽減することや、基本立体形状に組み立てたときの強度を高く維持することもできる什器組立ユニットを提供する。
【解決手段】
什器組立ユニット10を、上面を構成する上枠部材11と、下面を構成する下枠部材12と、側面を構成する複数の横枠部材13とを備えたものとし、上枠部材11、下枠部材12及び複数の横枠部材13におけるそれぞれの枠辺部を重ねて互いに連結することによって、什器として使用可能な多角柱状のユニットとなるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を構成する上枠部材と、
下面を構成する下枠部材と、
側面を構成する複数の横枠部材と
を備え、
上枠部材、下枠部材及び複数の横枠部材におけるそれぞれの枠辺部を重ねて互いに連結することによって、什器として使用可能な多角柱状のユニットとなる
ことを特徴とする什器組立ユニット。
【請求項2】
上枠部材、下枠部材及び複数の横枠部材のそれぞれの枠辺部における互いに重なる箇所に、連結用凸部及び連結用凹部からなる篏合構造が設けられ、
連結用凸部を連結用凹部に篏合することによって、前記枠辺部を互いに連結できるようにした請求項1記載の什器組立ユニット。
【請求項3】
上枠部材と下枠部材とが、同一形態の同一寸法とされ、
複数の横枠部材の全てが、同一形態の同一寸法とされた
請求項2記載の什器組立ユニット。
【請求項4】
横枠部材の枠辺部における、隣の横枠部材の枠辺部に重なる面が、傾斜された請求項3記載の什器組立ユニット。
【請求項5】
横枠部材の枠辺部における、上枠部材又は下枠部材の枠辺部に重なる面、及び、
上枠部材及び下枠部材における、横枠部材の枠辺部に重なる面に、
上枠部材及び下枠部材を横枠部材に接近させると、横枠部材を内方に案内するガイド部が設けられた
請求項4記載の什器組立ユニット。
【請求項6】
上枠部材と横枠部材との境界部、及び、下枠部材と横枠部材との境界部に、
その什器組立ユニットを他のユニットに連結する連結具を取り付けるための連結具取付用凹部が設けられた
請求項5記載の什器組立ユニット。
【請求項7】
請求項1~6いずれか記載の什器組立ユニットを用いて什器を組み立てる什器組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器として使用可能な什器組立ユニットと、この什器組立ユニットを用いて什器を組み立てる什器組立方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
棚等の什器を組み立てるために用いる什器組立ユニットとして、
図1に示すものが知られている。この什器組立ユニット10は、立方体状等の基本的な立体形状(以下において、「基本立体形状」と呼ぶことがある。)を為す三次元枠体となっている。基本立体形状を為す複数個の什器組立ユニット10を、上下方向に重ねたり、左右方向に並べたりして、隣り合う什器組立ユニット10を互いに連結することで、棚やテーブル等、多種類の什器を組み立てることができる。非特許文献1にも、この種の什器組立ユニットを組み立てた棚やテーブル等の什器が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Anthom DESIGN HOUS、“Grid system”[2023年4月1日検索]、インターネット、<URL:https://anthomdesignhouse.com/pages/grid-system>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の什器組立ユニットは、立方体状等の基本立体形状が最小単位となっており、それ以上分解することができなかった。このため、什器組立ユニットを保管や輸送等する際に、場所をとるという問題があった。この点、
図1に示す立方体状の什器組立ユニット10を、12本の枠辺部に分解できるようにすれば、コンパクトな状態にすることができる。しかし、その場合には、
図1に示す基本立体形状まで組み立てるのに手間を要するようになるし、基本立体形状に組み立てた後の什器組立ユニット10の強度が低下するおそれもある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、基本立体形状からさらに小さく分解できるようにし、コンパクトな状態で保管や輸送等できるようにしながらも、基本立体形状に組み立て直す際の手間を軽減することや、基本立体形状に組み立てたときの強度を高く維持することもできる什器組立ユニットを提供するものである。また、この什器組立ユニットを用いて什器を組み立てる什器組立方法を提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、
上面を構成する上枠部材と、
下面を構成する下枠部材と、
側面を構成する複数の横枠部材と
を備え、
上枠部材、下枠部材及び複数の横枠部材におけるそれぞれの枠辺部を重ねて互いに連結することによって、什器として使用可能な多角柱状(基本立体形状)のユニットとなる
ことを特徴とする什器組立ユニット
を提供することによって解決される。
【0007】
基本立体形状を為す三次元枠体の場合、その基本立体形状がN角柱(Nは3以上の整数。)であるときには、枠辺部の本数は、少なくとも3×N本となり、1つの什器組立ユニットを構成するパーツ数は、3×N個以上となる。これに対し、本発明の什器組立ユニットでは、N角柱(基本立体形状)から枠辺部ごとに分解するのではなく、各面部ごとに分解(上枠部材(上面部)と、下枠部材(下面部)と、N個の横枠部材(側面部)とに分解)するようになっている。このため、基本立体形状がN角柱(多角柱)でありながら、1つの什器組立ユニットを構成するパーツ数を、N+2個に抑えることも可能となっている。このように、パーツ数を抑えることで、基本立体形状に組み立て直す際の手間を軽減することができる。
【0008】
また、什器組立ユニットを構成する各パーツ(上枠部材、下枠部材及び横枠部材)は、平面的な形態を有している。具体的には、上枠部材は、基本立体形状(N角柱)の上面を構成する各枠辺部(N本の枠辺部)が一体的に形成された多角形状(N角形状)を為す二次元枠体となり、下枠部材は、基本立体形状(N角柱)の下面を構成する各枠辺部(N本の枠辺部)が一体的に形成された多角形状(N角形状)を為す二次元枠体となり、それぞれの横枠部材は、基本立体形状(N角柱)の各側面を構成する各枠辺部(4本の枠辺部)が一体的に形成された四角形状を為す二次元枠体となる。このため、各パーツに分解した什器組立ユニットをコンパクトにして保管や運搬等することが可能である。
【0009】
さらに、本発明の什器組立ユニットは、基本立体形状に組み立てたときの強度を高く維持できるという利点も有している。すなわち、上枠部材を構成する各枠辺部が一体的に形成されており、下枠部材を構成する各枠辺部が一体的に形成されており、それぞれの横枠部材を構成する各枠辺部が一体的に形成されており、それぞれのパーツ(上枠部材、下枠部材及び横枠部材)の形態が変化しにくくなっている。加えて、基本立体形状に組み立てた後には、上枠部材の枠辺部と横枠部材の枠辺部とが互いに重なり合った状態となり、下枠部材の枠辺部と横枠部材の枠辺部とが互いに重なり合った状態となり、隣り合う横枠部材の枠辺部同士が互いに重なり合った状態となることで、重なり合った枠辺部同士が互いに補強しあった状態となる。このため、組み立てた後の什器組立ユニットに荷重を加えても、基本立体形状から変形しにくくなっている。
【0010】
本発明の什器組立ユニットにおいて、上枠部材の枠辺部と横枠部材の枠辺部とを連結する構造や、下枠部材の枠辺部と横枠部材の枠辺部とを連結する構造や、隣り合う横枠部材の枠辺部同士を連結する構造は、特に限定されないが、以下の篏合構造を採用することが好ましい。すなわち、上枠部材、下枠部材及び複数の横枠部材のそれぞれの枠辺部における互いに重なる箇所に、連結用凸部及び連結用凹部からなる篏合構造を設け、連結用凸部を連結用凹部に篏合することによって、前記枠辺部を互いに連結できるようにすることが好ましい。これにより、ボルトやビス等を用いることなく、各パーツ(上枠部材、下枠部材及び横枠部材)を連結することが可能になり、基本立体形状に組み立てる際の手間をさらに軽減することができる。
【0011】
本発明の什器組立ユニットにおいては、各パーツ(上枠部材、下枠部材及び複数の横枠部材)をできるだけ共有化することが好ましい。というのも、上枠部材の形態と、下枠部材の形態と、それぞれの横枠部材の形態とが全て異なっていると、どのパーツをどの場所に配置すれば基本立体形状になるのかについて、頭を悩ませるようになるからである。このため、上枠部材と下枠部材とを、同一形態の同一寸法とし、複数の横枠部材の全てを、同一形態の同一寸法とすることが好ましい。このように、各パーツ(上枠部材、下枠部材及び複数の横枠部材)の形態を2種類に集約することで、頭を悩ませることなく、それらのパーツを基本立体形状に組み立てることが可能となる。
【0012】
本発明の什器組立ユニットにおいては、横枠部材の枠辺部における、隣の横枠部材の枠辺部に重なる面を傾斜させることが好ましい。というのも、基本立体形状に組み立てる際には、複数の横枠部材を環状配置するところ、上記の構成を採用することによって、複数の横枠部材を互いに位置決めして綺麗に環状配置しやすくなるからである。
【0013】
本発明の什器組立ユニットにおいては、
横枠部材の枠辺部における、上枠部材又は下枠部材の枠辺部に重なる面、及び、
上枠部材及び下枠部材における、横枠部材の枠辺部に重なる面に、
上枠部材及び下枠部材を横枠部材に接近させると、横枠部材を内方に案内するガイド部を設けることも好ましい。
というのも、上枠部材と横枠部材との連結や、下枠部材と横枠部材との連結や、隣り合う横枠部材同士の連結に、上記の篏合構造を採用しただけだと、基本立体形状に組み立てた後の什器組立ユニットがバラバラになるおそれがあるところ、上記のガイド部を設けることによって、横枠部材に対して上枠部材や下枠部材を取り付けると、複数の横枠部材が互いに近づくようになるため、基本立体形状に組み立てた後の什器組立ユニットがバラバラになりにくくなるからである。
【0014】
本発明の什器組立ユニットにおいては、上枠部材と横枠部材との境界部、及び、下枠部材と横枠部材との境界部に、その什器組立ユニットを他のユニットに連結する連結具を取り付けるための連結具取付用凹部を設けることが好ましい。これにより、一の什器組立ユニットと他の什器組立ユニットとを連結する連結具を外から見えない状態に隠すことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によって、基本立体形状からさらに小さく分解できるようにし、コンパクトな状態で保管や輸送等できるようにしながらも、基本立体形状に組み立て直す際の手間を軽減することや、基本立体形状に組み立てたときの強度を高く維持することもできる什器組立ユニットを提供することが可能になる。また、この什器組立ユニットを用いて什器を組み立てる什器組立方法を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来の什器組立ユニットを示した斜視図である。
【
図2】第一実施形態の什器組立ユニットを基本立体形状に組み立てた状態を示した斜視図である。
【
図3】第一実施形態の什器組立ユニットを分解した状態を示した斜視図である。
【
図4】第一実施形態の什器組立ユニットにおける上枠部材及び下枠部材の具体的な形態を示した斜視図である。
【
図5】第一実施形態の什器組立ユニットにおける横枠部材の具体的な形態を示した斜視図である。
【
図6】第一実施形態の什器組立ユニットにおいて、横枠部材を環状配置して互いに連結している様子を、什器組立ユニットの中心線L(
図2)に垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。
【
図7】第一実施形態の什器組立ユニットにおいて、環状配置した横枠部材を互いに連結した後の状態を、什器組立ユニットの中心線L(
図2)に垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。
【
図8】第一実施形態の什器組立ユニットにおける上枠部材を横枠部材に連結している様子を示した斜視図である。
【
図9】第一実施形態の什器組立ユニットにおいて、環状配置した横枠部材の上側に上枠部材を連結している様子を、什器組立ユニットの中心線L(
図2)を含む平面で切断した状態を示した断面図である。
【
図10】第一実施形態の什器組立ユニットにおいて、環状配置した横枠部材の上側に上枠部材を連結した後の状態を、什器組立ユニットの中心線L(
図2)を含む平面で切断した状態を示した断面図である。
【
図11】第一実施形態の什器組立ユニットにおいて、横枠部材の連結具取付用凹部に連結具を取り付けた状態を示した斜視図である。
【
図12】第一実施形態の什器組立ユニットを連結して棚を組み立てた状態を示した斜視図である。
【
図13】第一実施形態の什器組立ユニットに天板ユニットを取り付けてテーブルを組み立てた状態を示した斜視図である。
【
図14】第一実施形態の什器組立ユニットに扉ユニットを取り付けて収納ボックスを組み立てた状態を示した斜視図である。
【
図15】第二実施形態の什器組立ユニットを基本立体形状に組み立てた状態を示した斜視図である。
【
図16】第二実施形態の什器組立ユニットにおける横枠部材を示した斜視図である。
【
図17】第二実施形態の什器組立ユニットに座面ユニットを取り付けて椅子を組み立てた状態を示した斜視図である。
【
図18】第二実施形態の什器組立ユニットを連結してその上側に床板ユニットを取り付けてステージを組み立てた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の什器組立ユニットについて、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、2つの実施形態(第一実施形態及び第二実施形態)を例に挙げて、本発明の什器組立ユニットを説明する。しかし、以下で述べる構成は、飽くまで好適な実施形態であり、本発明の什器組立ユニットの技術的範囲は、これらの実施形態に限定されない。本発明の什器組立ユニットには、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0018】
1.第一実施形態の什器組立ユニット
まず、第一実施形態の什器組立ユニットについて説明する。
図2は、第一実施形態の什器組立ユニット10を基本立体形状に組み立てた状態を示した斜視図である。
図3は、第一実施形態の什器組立ユニット10を分解した状態を示した斜視図である。
【0019】
第一実施形態の什器組立ユニット10は、
図2及び
図3に示すように、上枠部材11と、下枠部材12と、複数の横枠部材13とで構成されている。上枠部材11は、基本立体形状の上面を構成するためのものとなっており、下枠部材12は、基本立体形状の下面を構成するためのものとなっており、複数の横枠部材13は、それぞれ、基本立体形状の各側面を構成するためのものとなっている。上枠部材11、下枠部材12及び下枠部材13は、それぞれ、複数本の枠辺部を一体的に形成した二次元枠体となっている。このような二次元枠体は、合成樹脂を射出成形することや、金属材料を鋳造又は鍛造することや、金属製の角材を溶接することや、金属製の板材を打ち抜き加工又は切削加工することによって、製造することができる。
【0020】
上枠部材11、下枠部材12及び横枠部材13の形態や、横枠部材13の数は、什器組立ユニット10の基本立体形状に応じて適宜決定される。第二実施形態の什器組立ユニット10においては、
図2に示すように、立方体が基本立体形状となるようにしている。立方体の各面はいずれも正方形を為す。このため、上枠部材11、下枠部材12及び横枠部材13は、いずれも正方形(正方枠状)としている。また、立方体の側面の数は4つとなるため、横枠部材13の数は4つとなっている。この他、三角柱を基本立体形状とする場合には、上枠部材11及び下枠部材12を三角形として、3つの横枠部材13を長方形とすればよいし、六角柱を基本立体形状とする場合には、上枠部材11及び下枠部材12を六角形として、6つの横枠部材13を長方形とすればよい。
【0021】
上枠部材11、下枠部材12及び6つの横枠部材13は、
図3に示すように、それぞれの枠辺部を重ねて互いに連結することによって、立方体状(基本立体形状)の三次元枠体を為す。上枠部材11、下枠部材12及び横枠部材13は、それぞれ、4本の枠辺部で構成されているところ、その4本の枠辺部は、一体的に形成されているため、上枠部材11、下枠部材12及び横枠部材13の形態が安定する。加えて、基本立体形状に組み立てた後には、上枠部材11の枠辺部と横枠部材13の枠辺部とが重なり合い、下枠部材12の枠辺部と横枠部材13の枠辺部とが重なり合い、隣り合う横枠部材13の枠辺部同士が重なり合うため、それらの枠辺部が互いに補強しあった状態となる。このため、組み立てた後の什器組立ユニット10に荷重を加えても、基本立体形状から変形しにくく、優れた強度を発揮できるようになっている。
【0022】
上枠部材11、下枠部材12及び4つの横枠部材13の全てが正方形状を為す第一実施形態の什器組立ユニット10では、それらの具体的な形態に差を設けることなく、上枠部材11、下枠部材12及び4つの横枠部材13の形態を1種類に集約することも可能である。しかし、完全に同一の形態を有する6つの部材(上枠部材11、下枠部材12及び4つの横枠部材13)を、バラバラになりにくい状態でまとまり良く組み付けることは、難しい。このため、第一実施形態の什器組立ユニット10では、それら6つの部材の形態を、2種類に集約している。
【0023】
具体的には、上枠部材11及び下枠部材12を、
図4に示す形態で共通とし、4つの横枠部材13を、
図5に示す形態で共通としている。
図4は、第一実施形態の什器組立ユニット10における上枠部材11及び下枠部材12の具体的な形態を示した斜視図であり、
図5は、第一実施形態の什器組立ユニット10における横枠部材13の具体的な形態を示した斜視図である。
図4の上枠部材11及び下枠部材12と、
図5の横枠部材13とは、正方形状の二次元枠体であるという点では共通しているが、枠辺部に設けられた詳細な構造が異なっている。
【0024】
すなわち、上枠部材11及び下枠部材12は、
図4に示すように、4本の枠辺部で構成されているところ、それぞれの枠辺部における、横枠部材13に連結される側の面(
図4における上向き面。以下、「横枠部材連結面」と呼ぶことがある。)には、段差(上枠部材11及び下枠部材12の外周側が高くなり、内周側が低くなる段差)が設けられており、その段差部分に傾斜面α
1が設けられている。この傾斜面α
1は、4本の枠辺部に沿って環状に設けられている。また、4本の枠辺部それぞれの横枠部材連結面には、嵌合用凹部α
2と、連結具取付用凹部α
3と、貫通孔α
4とが設けられている。嵌合用凹部α
2は、上記の段差部分の上段部分に設けられており、上枠部材11及び下枠部材12の角部を含め、各枠辺部を等分する点に1つずつ設けられている。また、連結具取付用凹部α
3は、上記の段差部分の上段部分を切り欠いた状態で設けられており、隣り合う嵌合用凹部α
2の中間位置に1つずつ設けられている。貫通孔α
4は、それぞれの連結具取付用凹部α
3に重なる箇所に1つずつ設けられている。上枠部材11及び下枠部材12のそれぞれを構成する4本の枠辺部に形態の差はなく、上枠部材11及び下枠部材12は、
図4中の点C
1回りに90°の回転対称性を有している。
【0025】
これに対し、
図5に示す横枠部材13は、同図中の点C
2回りに180°の回転対称性を有しているものの、90°の回転対称を有さない形態となっている。具体的には、上枠部材11又は下枠部材12に連結される枠辺部(同図における上側又は下側の枠辺部)と、隣の横枠部材13に連結される枠辺部(同図における左側又は右側の枠辺部)とが、異なる形態となっている。
【0026】
すなわち、
図5における上側の枠辺部(以下、横枠部材13における当該枠辺部を「上側の枠辺部」と呼ぶことがある。)の外周面と、同図における下側の枠辺部(以下、横枠部材13における当該枠辺部を「下側の枠辺部」と呼ぶことがある。)の外周面には、段差が設けられており、その段差部分に傾斜面β
1が設けられている。この傾斜面β
1は、上側の枠辺部と下側の枠辺部とに沿って直線状に設けられている。また、上側の枠辺部及び下側の枠辺部における上記の段差部分の下段部分には、嵌合用凸部β
2と、連結具取付用凹部β
3と、貫通孔β
4とが設けられている。嵌合用凸部β
2は、上記の段差部分の下段部分に設けられており、上側の枠辺部及び下側の枠辺部の両端を含め、それらの枠辺部を等分する点に1つずつ設けられている。また、連結具取付用凹部β
3は、上記の段差部分の上段部分を切り欠いた状態で設けられており、隣り合う嵌合用凸部β
2の中間位置に1つずつ設けられている。この連結具取付用凹部β
3は、横枠部材13に上枠部材11又は下枠部材12を連結した際に、上枠部材11又は下枠部材12の連結具取付用凹部α
3と連続した状態となる。貫通孔β
4は、それぞれの連結具取付用凹部β
3に重なる箇所に1つずつ設けられている。
【0027】
また、
図5における左側の枠辺部(以下、横枠部材13における当該枠辺部を「左側の枠辺部」と呼ぶことがある。)の外周面と、同図における右側の枠辺部(以下、横枠部材13における当該枠辺部を「右側の枠辺部」と呼ぶことがある。)の外周面は、その略全体が略45°の傾斜面β
5となっている。この傾斜面β
5を、その隣に配される他の横枠部材13の傾斜面β
5に重ね合わせることで、それらの横枠部材13が90°の角度を為すように位置決めされるようになっている。この傾斜面β
5には、篏合用凹部β
6と篏合用凸部β
7とが、一定間隔で交互に設けられている。
【0028】
第一実施形態の什器組立ユニット10を組み立てる際には、まず、
図6及び
図7に示すように、環状配置した4つの横枠部材13を互いに連結するところ、一の横枠部材13における嵌合用凹部β
6には、その隣に連結される他の横枠部材13における嵌合用凸部β
7が嵌合するようになっている。
図6は、第一実施形態の什器組立ユニット10において、横枠部材13を環状配置して互いに連結している様子を、什器組立ユニット10の中心線L(
図2)に垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。
図7は、第一実施形態の什器組立ユニット10において、環状配置した横枠部材13を互いに連結した後の状態を、什器組立ユニットの中心線L(
図2)に垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。このように、横枠部材13同士の連結に、嵌合用凹部β
6及び嵌合用凸部β
7による嵌合構造を採用することによって、ボルト等を用いることなく、横枠部材13同士を強固に連結することができる。
【0029】
環状配置された横枠部材13を互いに連結すると、続いて、その横枠部材13に対して上枠部材11及び下枠部材12を連結する。
図8は、第一実施形態の什器組立ユニット10における上枠部材11を横枠部材13に連結している様子を示した斜視図である。
図9は、第一実施形態の什器組立ユニット10において、環状配置した横枠部材13の上側に上枠部材11を連結している様子を、什器組立ユニット10の中心線L(
図2)を含む平面で切断した状態を示した断面図である。
図10は、第一実施形態の什器組立ユニット10において、環状配置した横枠部材13の上側に上枠部材11を連結した後の状態を、什器組立ユニット10の中心線L(
図2)を含む平面で切断した状態を示した断面図である。
【0030】
既に述べたように、上枠部材11及び下側部材12には、嵌合用凹部α
2(
図4)を設けており、横枠部材13には、嵌合用凸部β
2(
図5)を設けているところ、
図9及び
図10に示すように、横枠部材13に対して上枠部材11を連結する際には、嵌合用凹部α
2に嵌合用凸部β
2が嵌合する。横枠部材13に対して下側部材12を連結する際も同様である。このように、上枠部材11と横枠部材12との連結や、下枠部材12と横枠部材13との連結に、嵌合用凹部α
2及び嵌合用凸部β
2による嵌合構造を採用することによって、ボルト等を用いることなく、それらの部材を強固に連結することができる。
【0031】
また、既に述べたように、上枠部材11及び下枠部材12には、傾斜面α
1(
図4)を設けており、横枠部材13には、傾斜面β
1(
図5)を設けているところ、
図9及び
図10に示すように、横枠部材13に対して上枠部材11を連結する際には、上枠部材11の傾斜面α
1に対して横枠部材13の傾斜面β
1が接触することによって、横枠部材13が傾斜面α
1で案内され、それぞれの横枠部材13が内方(中心線Lに近づく向き)に案内される。換言すると、傾斜面α
1及び傾斜面β
1は、横枠部材13を内方に案内する「ガイド部」として機能する。横枠部材13に対して下側部材12を連結する際も同様である。これにより、横枠部材13に対して上枠部材11又は下枠部材12を連結する際に、上枠部材11又は下枠部材12によって横枠部材13を外側から締め付けることができる。おこのため、嵌合用凹部β
6と嵌合用凸部β
7との嵌合が深くなり、横枠部材13同士がより強固に連結された状態となる。
【0032】
さらに、既に述べたように、上枠部材11及び下枠部材12には、連結具取付用凹部α
3(
図4)を設け、横枠部材13には、連結具取付用凹部β
3を設けたところ、横枠部材13に対して上枠部材11又は下枠部材12を連結した際には、連結具取付用凹部α
3と連結具取付用凹部β
3とが連続した状態となるようになっている。このときの、連結具取付用凹部α
3及び連結具取付用凹部β
3には、その什器組立ユニット10を他のユニットに連結する連結具を取り付けることができる。
【0033】
図11に、第一実施形態の什器組立ユニット10において、横枠部材13の連結具取付用凹部β
3に連結具20を取り付けた状態を示した斜視図を示す。
図11における紙面手前側には、上枠部材11乃至は下枠部材12が連結されるところ、連結具20の状態を分かりやすくするため、上枠部材11乃至は下枠部材12の図示を省略している。このように、上枠部材11又は下枠部材12と横枠部材13との境界部に設けた連結具取付用凹部α
3及び連結具取付用凹部β
3に連結具20を嵌め込むことで、連結具20を外から見えにくくすることができる。この連結具20は、一対の貫通孔21,22を有する板状部材となっているところ、一方の貫通孔21は、上枠部材11又は下枠部材12の貫通孔α
4(
図4)及び横枠部材13の貫通孔β
4(
図5)に重なるように配置される。これらの貫通孔21、貫通孔α
4及び貫通孔β
4に共通のボルト等を挿通することによって、連結具20を什器組立ユニット10に強固に固定することができる。連結具20における他方の貫通孔22には、ボルト等を介して他のユニット(図示省略)が連結される。
【0034】
以上で説明した第一実施形態の什器組立ユニット10は、各種の什器を組み立てる際に用いることができる。
図12~15に、第一実施形態の什器組立ユニット10の什器の組立例を示す。
図12は、複数の什器組立ユニット10を積み重ねた状態で連結して、棚を組み立てた状態を示した斜視図である。
図13は、什器組立ユニット10に天板ユニット30を取り付けて、テーブルを組み立てた状態を示した斜視図である。
図14は、什器組立ユニット10に扉ユニット40及び閉塞板ユニット50を取り付けて、開閉式の収納ボックスを組み立てた状態を示した斜視図である。
図14の開閉式収納ボックスの場合、扉ユニット50に連結する連結具20(
図11)には、ヒンジ機構が設けられる。
【0035】
2.第二実施形態の什器組立ユニット
続いて、第二実施形態の什器組立ユニット10について説明する。第二実施形態の什器組立ユニット10については、主に、第一実施形態の什器組立ユニット10と異なる構成に絞って説明する。第二実施形態の什器組立ユニット10で特に言及しない構成は、第一実施形態の什器組立ユニット10で述べたものと同様の構成を採用することができる。
図15は、第二実施形態の什器組立ユニット10を基本立体形状に組み立てた状態を示した斜視図である。
図16は、第二実施形態の什器組立ユニット10における横枠部材13を示した斜視図である。
【0036】
第一実施形態の什器組立ユニット10では、横枠部材13として、
図13に示す形態のもの(4本の枠辺部のみで構成したもの)を用いていたのに対し、第二実施形態の什器組立ユニット10では、横枠部材13として、
図14に示す形態のものを用いている。第二実施形態の什器組立ユニット10において、横枠部材13は、基本立体形状の側面の外縁に沿って配される4本の枠辺部13aに加えて、補強枠部13a及び補強枠部13bが組み込まれている。補強枠部13aは、上側の枠辺部13aの中点と、下側の枠辺部13aの中点とを結ぶように、縦方向に配置されており、補強枠部13bは、横枠部材13の対角を結ぶように、斜めに配置されている。このように、補強枠部13aや補強枠部13bを追加することによって、組み立てた後の什器組立ユニット10の強度をより高めることができる。
【0037】
この第二実施形態の什器組立ユニット10も、各種の什器を組み立てる際に用いることができる。
図17及び
図18に、第二実施形態の什器組立ユニット10を用いた什器の組立例を示す。
図17は、什器組立ユニット10に座面ユニット60を取り付けて、椅子を組み立てた状態を示した斜視図である。
図18は、什器組立ユニット10を水平方向(前後方向及び左右方向)に連結して、その上側に床板ユニット70を取り付けて、ステージを組み立てた状態を示した斜視図である。このほか、ベッド等を組み立てることもできる。椅子やステージやベッド等の什器は、その上に人が載るため、大きな荷重が掛かるところ、その什器のベースとなる部分に第二実施形態の什器組立ユニット10を用いることによって、そのような大きな荷重にも十分に耐えることが可能になる。
【0038】
3.まとめ
以上で述べたように、本発明の什器組立ユニット10は、使用する什器組立ユニット10の数や、什器組立ユニット10に連結するユニットの種類等を切り替えることによって、様々な什器を組み立てることができる。このため、什器を設置する空間のレイアウトを変える場合等にも、柔軟に対応することができる。また、本発明の什器組立ユニット10は、基本立体形状(
図2)から、さらに小さく分解することができる。具体的には、基本立体形状(
図2)から、上枠部材11(
図4)と、下枠部材12(
図4)と、横枠部材13(
図5)となる状態まで分解することができる。分解した後の上枠部材11と下枠部材12と横枠部材13は、いずれも平面状を為しているため、積み重ねた状態とすることができる。このため、什器組立ユニット10を保管や運搬する際に、場所をとらないようコンパクトにすることができる。
【0039】
また、基本立体形状からさらに小さく分解可能であるといっても、上枠部材11と下枠部材12と横枠部材13までしか分解できないようにしたことによって、什器組立ユニット10を構成するパーツ数が抑えられている。このため、上枠部材11と下枠部材12と横枠部材13とを基本立体形状に組み立て直す際の手間を軽減することができる。その手間は、上述した第一実施形態の什器組立ユニット10のように、上枠部材11、下枠部材12及び横枠部材13の形態を集約することで、さらに軽減することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 什器組立ユニット
11 上枠部材
12 下枠部材
13 横枠部材
13a 枠辺部
13b 補強枠部(縦)
13c 枠辺部(斜め)
20 連結具
30 天板ユニット
40 扉ユニット
50 閉塞板ユニット
60 座面ユニット
70 床板ユニット
α1 傾斜面
α2 嵌合用凹部
α3 連結具取付用凹部
α4 貫通孔
β1 傾斜面
β2 嵌合用凸部
β3 連結具取付用凹部
β4 貫通孔
β5 傾斜面
β6 嵌合用凹部
β7 嵌合用凸部