(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157280
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電力供給システム及びスイッチング回路
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20241030BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20241030BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02J50/20
H02J7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071551
(22)【出願日】2023-04-25
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/完全ワイヤレス社会実現を目指したワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】平川 昂
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】中本 悠太
(72)【発明者】
【氏名】太田 喜元
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165EA02
5G165EA03
5G165EA04
5G165FA01
5G165GA06
5G165GA07
5G165JA04
5G165JA09
5G165MA10
5G503AA06
5G503AA08
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】対象装置に電力を供給するシステム全体の給電電力を増大させることができる力供給システムを提供する。
【解決手段】電力供給システムは、環境発電装置と無線電力伝送の受電装置とを含む複数の直流電力源と、スイッチング回路とを備える。スイッチング回路は、複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部とを有し、複数の入力部と複数の出力部との間の接続状態を切り替える。一又は複数の無線電力伝送の受電装置と、一又は複数の環境発電装置とを含んでもよい。複数の直流電力源は、一又は複数の光発電装置を含んでもよい。環境発電装置は、熱発電装置、振動発電装置及び電波発電装置の少なくとも一つであってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給システムであって、
環境発電装置と無線電力伝送のビームを受信して直流電力を出力可能な受電装置とを含む複数の直流電力源と、
前記複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部とを有し、前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態を切り替えるスイッチング回路と、
を備える、ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
請求項1の電力供給システムにおいて、
前記複数の直流電力源は、一又は複数の無線電力伝送の受電装置と、一又は複数の光発電装置と、一又は複数の環境発電装置と、を含む、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
請求項1の電力供給システムにおいて、
前記環境発電装置は、熱発電装置、振動発電装置及び電波発電装置の少なくとも一つである、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項4】
請求項1、2又は3の電力供給システムにおいて、
前記スイッチング回路における前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態の切り替えを制御する第1制御部を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項5】
請求項1、2又は3の電力供給システムにおいて、
前記スイッチング回路の複数の出力部に接続された複数の直流制御回路を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項6】
請求項5の電力供給システムにおいて、
前記直流制御回路は、MPPT(最大電力点追従)制御回路、DC-DC変換回路及び整流回路の少なくとも1つの回路を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項7】
請求項5の電力供給システムにおいて、
前記直流制御回路を制御する第2制御部を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項8】
請求項1、2又は3の電力供給システムにおいて、
前記スイッチング回路、前記複数の出力回路又はその両方に直流電力を供給するシステムバッテリーを備え、
前記スイッチング回路の前記複数の出力部は、前記システムバッテリーに直流電流を出力する出力部を含む、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項9】
スイッチング回路であって、
複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、
複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部と、を備え、
前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態を切り替える、
ことを特徴とするスイッチング回路。
【請求項10】
請求項9のスイッチング回路において、
前記複数の直流電力源のプラス出力端子が接続される複数のプラス入力部と、
前記複数の直流電力源のマイナス出力端子が接続される複数のマイナス入力部と、
複数のプラス出力部と、
複数のマイナス出力部と、
前記複数のプラス入力部及び前記複数のマイナス入力部と前記複数のプラス出力部及び前記複数のマイナス出力部との間に設けられ、前記複数の直流電力源と前記複数のプラス出力部及び前記複数のマイナス出力部との間の接続状態を切り替えるようにオン・オフ制御可能な複数のスイッチを有する接続回路部と、
を備える、ことを特徴とするスイッチング回路。
【請求項11】
請求項10のスイッチング回路において、
前記接続回路部は、
前記複数の直流電力源のプラス出力端子に個別接続される複数の第1接続線と、
前記複数の直流電力源のマイナス出力端子に個別接続される複数の第2接続線と、
前記複数の第1接続線と前記複数のプラス出力部との間に個別配置されたオン・オフ制御可能な複数の第1スイッチと、
前記複数の第2接続線と前記複数のマイナス出力部との間に個別配置されたオン・オフ制御可能な複数の第2スイッチと、
前記複数の第1接続線及び前記複数の第2接続線の複数の組み合わせのうち前記直流電力源が互いに異なる組み合わせの前記第1接続線と前記第2接続線との間に配置されたオン・オフ制御可能な複数の第3スイッチと、
を有する、
ことを特徴とするスイッチング回路。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかのスイッチング回路において、
複数層の回路で構成されている、
ことを特徴とするスイッチング回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送の受電装置を含む電力供給システム及び電力供給システムに使用可能なスイッチング回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信システムの基地局や無線LANアクセスポイント装置等の通信中継装置に接続して通信する端末装置として、内蔵電池から供給される電力を主に利用する携帯型の端末装置がある。この端末装置では、内蔵電池の残量が少なくなったときに内蔵電池を充電する煩雑な作業が必要である。また、内蔵電池ではなく有線接続の電源ラインから供給される電力を利用する端末装置は、そのような電源ラインを利用可能な場所での使用に制限される。このように基地局などの通信中継装置に接続して通信を行う様々な端末装置への給電をまかなうことができるような給電インフラが未整備である。
【0003】
特に、第5世代及びその後の次世代の通信システムでは、基地局や無線LANアクセスポイント装置等の通信中継装置に接続して通信する端末装置(例えば、ユーザ装置、IoTデバイス等)が急増してくるのが予想され、膨大なトラフィックを捌く通信インフラの整備が進められている。しかしながら、上記通信を行う膨大な数の端末装置への給電をまかなうことができる給電インフラは未整備のままである。また、上記通信の機能を有していない多数のセンサなどのIoTデバイスへの給電をまかなうことができる給電インフラも未整備のままである。
【0004】
従来、環境から微小なエネルギーを取得して発電し、センサ等の給電対象に給電することができる環境発電装置が知られている。例えば、引用文献1には、AM電波、FM電波、TV電波および無線LAN電波を受信し、受信した各電波から電気を発生する電波発電装置と、外部から力を受けることにより振動する振動電気変換素子を有し、振動電気変換素子の振動を用いて発電を行う振動発電装置と、熱電素子部を有し、熱電素子部に発生する熱起電力を用いて発電を行う熱電発電装置とを備えた環境発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
環境発電装置は環境から微小なエネルギーを取得して発電した電力を供給できるが、環境発電装置だけでは、端末装置やセンサなどの給電対象に供給できる給電電力が不足する、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電力供給システムは、環境発電装置と無線電力伝送のビームを受信して直流電力を出力可能な受電装置とを含む複数の直流電力源と、前記複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部とを有し、前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態を切り替えるスイッチング回路と、を備える。
【0008】
前記電力供給システムにおいて、前記複数の直流電力源は、一又は複数の無線電力伝送の受電装置と、一又は複数の光発電装置と、一又は複数の環境発電装置と、を含んでもよい。
【0009】
前記電力供給システムにおいて、前記環境発電装置は、熱発電装置、振動発電装置及び電波発電装置の少なくとも一つであってもよい。
【0010】
前記電力供給システムにおいて、前記スイッチング回路における前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態の切り替えを制御する第1制御部を備えてもよい。ここで、前記第1制御部は、サーバ、管理装置、センター装置等の外部装置から制御情報を受信し、前記制御情報に基づいて、前記スイッチング回路における前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態の切り替えを制御してもよい。
【0011】
前記電力供給システムにおいて、前記スイッチング回路の複数の出力部に接続された複数の直流制御回路を備えてもよい。ここで、前記直流制御回路は、MPPT(最大電力点追従)制御回路、DC-DC変換回路及び整流回路の少なくとも1つの回路を有してもよい。また、前記電力供給システムは、前記直流制御回路を制御する第2制御部を備えてもよい。前記第2制御部は、サーバ、管理装置、センター装置等の外部装置から制御情報を受信し、前記制御情報に基づいて、前記直流制御回路を制御してもよい。
【0012】
前記電力供給システムにおいて、前記スイッチング回路、前記複数の出力回路又はその両方に直流電力を供給するシステムバッテリーを備えてもよく、前記スイッチング回路の前記複数の出力部は、前記システムバッテリーに直流電流を出力する出力部を含んでもよい。
【0013】
本発明の他の態様に係るスイッチング回路は、複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部と、を備え、前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態を切り替える。
【0014】
前記スイッチング回路において、前記複数の直流電力源のプラス出力端子が接続される複数のプラス入力部と、前記複数の直流電力源のマイナス出力端子が接続される複数のマイナス入力部と、複数のプラス出力部と、複数のマイナス出力部と、前記複数のプラス入力部及び前記複数のマイナス入力部と前記複数のプラス出力部及び前記複数のマイナス出力部との間に設けられ、前記複数の直流電力源と前記複数のプラス出力部及び前記複数のマイナス出力部との間の接続状態を切り替えるようにオン・オフ制御可能な複数のスイッチを有する接続回路部と、を備えてもよい。
【0015】
前記スイッチング回路において、前記接続回路部は、前記複数の直流電力源のプラス出力端子に個別接続される複数の第1接続線と、前記複数の直流電力源のマイナス出力端子に個別接続される複数の第2接続線と、前記複数の第1接続線と前記複数のプラス出力部との間に個別配置されたオン・オフ制御可能な複数の第1スイッチと、前記複数の第2接続線と前記複数のマイナス出力部との間に個別配置されたオン・オフ制御可能な複数の第2スイッチと、前記複数の第1接続線及び前記複数の第2接続線の複数の組み合わせのうち前記直流電力源が互いに異なる組み合わせの前記第1接続線と前記第2接続線との間に配置されたオン・オフ制御可能な複数の第3スイッチと、を有してもよい。
【0016】
前記スイッチング回路を備える前記電力供給システムにおいて、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはオン制御され、前記第3スイッチはオフ制御されてもよい。
【0017】
前記スイッチング回路を備える前記電力供給システムにおいて、前記複数の直流電力源、前記複数の第1接続線、前記複数の第2接続線、前記複数の第1スイッチ及び前記複数の第2スイッチそれぞれの数がN個であり、前記複数の第3スイッチの数がN2-N個であり、1番目の直流電力源のプラス出力端子に個別接続された1番目の第1接続線に配置された1番目の第1スイッチはオン制御され、N番目の直流電力源のマイナス出力端子に個別接続されたN番目の第2接続線に配置されたN番目の第2スイッチはオン制御され、n番目(n=2~N)の直流電力源のプラス出力端子に個別接続されたn番目の第1接続線とn-1番目の直流電力源のマイナス出力端子に個別接続されたn-1番目の第2接続線との間に配置された第3スイッチはオン制御され、他の第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチはオフ制御されてもよい。
【0018】
前記スイッチング回路を備える前記電力供給システムにおいて、前記第2制御部は、前記複数の直流電力源の数がN個のとき、前記複数のスイッチの総数がN
2+N個であり、オン状態を1と表記しオフ状態を0と表記したとき、次の(N+1)行×(N+1)列の行列に基づいて、前記複数のスイッチをオン・オフ制御してもよい。
【数1】
【0019】
前記スイッチング回路を備える前記電力供給システムにおいて、前記複数のスイッチについてオン状態及びオフ状態が異なる複数の組み合わせについて、前記プラス出力部及び前記マイナス出力部から出力される電圧及び電流を測定し、前記複数の組み合わせについて測定した前記電圧及び電流の測定結果に基づいて、前記プラス出力部及び前記マイナス出力部から出力される電力が最大になる前記複数のスイッチのオン状態及びオフ状態の組み合わせを判定する判定部を備えてもよい。
【0020】
前記スイッチング回路を備える前記電力供給システムにおいて、前記複数のスイッチについてオン状態及びオフ状態が異なる複数の組み合わせについて、前記プラス出力部及び前記マイナス出力部から出力される電圧及び電流を測定し、前記複数の組み合わせについて測定した前記電圧及び電流の測定結果に基づいて、前記直流電力源の故障発生を判定する判定部を備えてもよい。
【0021】
前記スイッチング回路を備える前記電力供給システムにおいて、前記スイッチング回路の前記複数のスイッチのすべてをスイッチング制御してもよい。
【0022】
本発明の更に他の態様に係るスイッチング回路は、複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部と、を備え、前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態を切り替える。
【0023】
前記スイッチング回路において、前記複数の直流電力源のプラス出力端子が接続される複数のプラス入力部と、前記複数の直流電力源のマイナス出力端子が接続される複数のマイナス入力部と、複数のプラス出力部と、複数のマイナス出力部と、前記複数のプラス入力部及び前記複数のマイナス入力部と前記複数のプラス出力部及び前記複数のマイナス出力部との間に設けられ、前記複数の直流電力源と前記複数のプラス出力部及び前記複数のマイナス出力部との間の接続状態を切り替えるようにオン・オフ制御可能な複数のスイッチを有する接続回路部と、を備えてもよい。
【0024】
前記スイッチング回路において、前記接続回路部は、前記複数の直流電力源のプラス出力端子に個別接続される複数の第1接続線と、前記複数の直流電力源のマイナス出力端子に個別接続される複数の第2接続線と、前記複数の第1接続線と前記複数のプラス出力部との間に個別配置されたオン・オフ制御可能な複数の第1スイッチと、前記複数の第2接続線と前記複数のマイナス出力部との間に個別配置されたオン・オフ制御可能な複数の第2スイッチと、前記複数の第1接続線及び前記複数の第2接続線の複数の組み合わせのうち前記直流電力源が互いに異なる組み合わせの前記第1接続線と前記第2接続線との間に配置されたオン・オフ制御可能な複数の第3スイッチと、を有してもよい。
【0025】
前記スイッチング回路は、複数層の回路で構成された多層スイッチング回路であってもよい。
【0026】
また、前記制御に用いられるプログラムの一部又は全部は、機械学習によって作成された学習済モデルであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、環境からエネルギーを取得して発電する環境発電と無線電力伝送とを組み合わせることにより、対象装置に電力を供給するシステム全体の給電電力を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力供給システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電力供給システムに接続される受電装置を含む無線伝送システムの概略構成の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る受電装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電力供給システムの構成の他の例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る電力供給システムの構成の更に他の例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電力供給システムに適用可能なスイッチング回路の構成の一例を示す回路図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電力供給システムに適用可能なスイッチング回路の構成の他の例を示す回路図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る電力供給システムに適用可能なスイッチング回路の構成の更に他の例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、無線電力伝送(WPT)の受電装置と環境発電装置を含む複数の直流電力源の直流電力を入力し、スイッチング回路介して複数の供給対象に直流電力を出力可能な電力の多入力多出力装置として機能する電力供給システムである。本実施形態に係る電力供給システムは、環境発電装置(「エネルギーハーベスティング装置」ともいう。)で発電した電力を複数の給電対象に供給できるとともに、無線電力伝送(WPT)の受電装置を組み合わせることにより、各給電対象に供給される給電電力を増大させことができる。特に、本実施形態に係る電力供給システムは、様々な場所への設置が予想される膨大な数のIoTデバイスへの給電をまかなうことができるIoT用受電システムとしての用途に適する。また、本実施形態に係る電力供給システムは、オン・オフ制御可能な複数のスイッチを有する多元接続用スイッチング回路を備えることにより、出力電力の増大化を図るように複数の直流電力源の柔軟な接続構成が可能である。
【0030】
図1は、本実施形態に係る電力供給システム10の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の電力供給システム10は、複数の直流電力源20とスイッチング回路31とを備える。複数の直流電力源20は、一又は複数の無線電力伝送(WPT)の受電装置(以下「WPT受電装置」ともいう。)22と、一又は複数の環境発電装置23とを含む。複数の直流電力源20は、図示の構成例のように、一又は複数の光発電装置(例えば、太陽光発電システムの発電装置)21を含んでもよい。
【0031】
複数のWPT受電装置22はそれぞれ、互いに異なる周波数帯の電波(例えば、ミリ波、マイクロ波)を用いたビームを受信して直流電力を出力するものであってもよい。例えば、複数のWPT受電装置22は、ミリ波のビームを受信して直流電力を出力する第1のWPT受電装置と、マイクロ波のビームを受信して直流電力を出力する第2のWPT受電装置とを含んでもよい。
【0032】
環境発電装置23は、例えば、熱発電装置、振動発電装置及び電波発電装置の少なくとも一つである。熱発電装置は、例えば、周辺環境に発生している様々な熱の微弱エネルギーを電力に変換して出力することができる発電装置である。振動発電装置は、例えば、周辺環境に発生している様々な振動の微弱エネルギーを電力に変換して出力することができる発電装置である。電波発電装置は、例えば、周辺環境に発生している様々な通信や放送などの電波の微弱エネルギーを電力に変換して出力することができる発電装置である。
【0033】
スイッチング回路31は、複数の直流電力源20が接続された複数の入力部32と、複数(N個)の給電対象90(1)~90(n)に対する直流電力を出力する複数の出力部33とを備え、複数の入力部32と複数の出力部33との間の接続状態を切り替える。
【0034】
給電対象90(1)~90(n)は、特定の装置に限定されない。例えば、給電対象90(1)~90(n)は、移動通信システムの通信機能を有する端末装置(例えば、ユーザ装置、IoTデバイス等)、移動通信システムの通信機能を有していないセンサなどのIoTデバイスである。
【0035】
図1の電力供給システム10によれば、環境発電装置(例えば、熱発電装置、振動発電装置及び電波発電装置)23で発電した電力を複数の給電対象90(1)~90(n)に供給できるとともに、WPT受電装置で受電した直流電力を組み合わせて供給することにより、各給電対象90(1)~90(n)に供給される複数の給電対象90(1)~90(n)に供給される給電電力を増大させることができる。
【0036】
なお、スイッチング回路31における複数の入力部32と複数の出力部33との間の接続状態は、スイッチング回路31に複数の直流電力源20を接続して初期設定を行った後、制御不能な固定接続にしてもよいし、制御部で制御できるようにしてもよい。例えば、
図1の構成例において、電力供給システム10は、スイッチング回路31における複数の入力部32と複数の出力部33との間の接続状態の切り替えを制御する制御部(第1制御部)50を備えてもよい。制御部50でスイッチング回路31をアクティブ制御することにより、電力供給システムの全体における多入力多出力の電力供給効率を向上させることができる。制御部50は、予め組み込まれた制御情報に基づいて制御を行うことができる。また、制御部50は、サーバ、管理装置、センター装置等の外部装置から制御情報を受信し、その制御情報に基づいて、スイッチング回路31における複数の入力部32と複数の出力部33との間の接続状態の切り替えを制御してもよい。
【0037】
図2は、本実施形態に係る電力供給システム10に接続されるWPT受電装置22を含む無線電力伝送システム800の概略構成の一例を示す説明図である。無線電力伝送システム800は、送電信号の電波を送信する送電装置80と、送電装置80から送信された電波を受信して直流の電力を出力するWPT受電装置(直流電力源)22とを備える。無線電力伝送の電波は例えばマイクロ波又はミリ波である。
【0038】
送電装置80は、複数のアンテナ素子(以下「アンテナ」ともいう。)が2次元的に配列したアレーアンテナからなるアンテナ装置81を有する。送電装置80のアレーアンテナは複数のアンテナが1次元的に又は3次元的に配置されたものであってもよい。
【0039】
WPT受電装置22は、複数のアンテナ221aが2次元配列したアレーアンテナからなるアンテナ装置221を有する。WPT受電装置22のアレーアンテナは複数のアンテナ221aが1次元に又は3次元に配置されたものであってもよい。また、WPT受電装置22は、アンテナ装置221の複数のアンテナ221aに対応するように設けられた複数の整流回路(直流電力源)からなる整流回路群222を有する。1組のアンテナ221aと整流回路との組み合わせはレクテナとも呼ばれる。
【0040】
図3は、本実施形態に係るWPT受電装置22の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図3では、アンテナ装置221のアンテナの数及び整流回路の数がそれぞれ4個(=2×2)の場合について示しているが、この数に限定されない。例えば、WPT受電装置22におけるアンテナの数及び整流回路の数はそれぞれ、9個(=3×3)、16個(=4×4)、又は、25個(=5×5)などであってもよい。
【0041】
図3において、アンテナ装置221からの入力電力を受ける整流回路群222の後段にスイッチング回路223を設けている。スイッチング回路223としては、例えば、後述の
図7と同様な構成のスイッチング回路を用いることができる。スイッチング回路223は、複数の直流整流回路としての整流回路のプラス出力端子が接続される複数のプラス入力部224(1)~224(4)と、複数の整流回路のマイナス出力端子が接続される複数のマイナス入力部225(1)~225(4)と、プラス出力部226と、マイナス出力部227とを有する。更に、スイッチング回路223は、複数のプラス入力部224(1)~224(4)及び複数のマイナス入力部225(1)~225(4)と、プラス出力部226及びマイナス出力部227との間に設けられた接続回路部を有する。接続回路部は、複数の整流回路とプラス出力部226及びマイナス出力部227との間の接続状態を切り替えるようにオン・オフ制御可能な複数のスイッチを有する。スイッチング回路223の接続回路部に設けられた複数のスイッチは、制御部228によってオン・オフ制御(アクティブ制御)される。制御部228のアクティブ制御により、WPT受電装置22の全体における受電効率を向上させることができる。
【0042】
図3に示すスイッチング回路223を備えたWPT受電装置22によれば、整流回路群222の複数の整流回路の直列接続と並列接続を切り替え制御できる。
【0043】
図4は、本実施形態に係る電力供給システム10の構成の他の例を示すブロック図である。なお、
図4において、前述の
図1~
図3と共通する部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図4の構成例では、スイッチング回路31の後段に、スイッチング回路31の複数の出力部33に接続された複数(N個)の直流制御回路41(1)~41(n)を備える。複数の給電対象90(1)~90(n)には、直流制御回路41(1)~41(n)を介して直流電力が供給される。複数の直流制御回路41(1)~41(n)はそれぞれ、例えば、MPPT(最大電力点追従)制御回路、DC-DC変換回路及び整流回路の少なくとも1つの回路を有する。
【0045】
また、
図4において、電力供給システム10は、複数の直流制御回路41(1)~41(n)を含む回路群40を制御する第2制御部を備えてもよい。第2制御部は、サーバ、管理装置、センター装置等の外部装置から制御情報を受信し、その制御情報に基づいて、複数の直流制御回路41(1)~41(n)を含む回路群40を制御してもよい。第2制御部とも機能する制御部50で複数の直流制御回路41(1)~41(n)を含む回路群40をアクティブ制御することにより、電力供給システムの全体における多入力多出力の電力供給効率を向上させることができる。なお、
図4の構成例では、破線で示すようにスイッチング回路31を制御する制御部(第1制御部)50が第2制御部に兼用されているが、制御部(第1制御部)50とは別に第2制御部を設けてもよい。
【0046】
図5は、本実施形態に係る電力供給システム10の構成の更に他の例を示すブロック図である。なお、
図5において、前述の
図1~
図4と共通する部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
図5の構成例では、WPT受電装置22の整流回路群222における複数の整流回路(レクテナ)から出力される複数の直流電力が多層スイッチング回路30に入力される。
【0047】
多層スイッチング回路30は、複数層のスイッチング回路31(1)~31(3)で構成されている。多層スイッチング回路30は、WPT受電装置22の複数の整流回路(レクテナ)から出力される複数の直流電力が入力される場合のように、直流電力源からの入力数が多い場合に適する。多層スイッチング回路30を用いることにより、複数のスイッチング回路31(1)~31(3)の3次元接続によって全体回路のサイズを低減できるともに、複数の入力部32と複数の出力部33との間の接続状態の切り替えを、複数のスイッチング回路31(1)~31(3)によって複数に分けて行うことができる。
【0048】
例えば、次のように複数のスイッチング回路31(1)~31(3)によって複数に分けて接続状態の切り替えを行ってもよい。第1のスイッチング回路31(1)により、WPT受電装置22の複数の整流回路(レクテナ)から出力される複数の直流電力が入力される複数の入力部と出力部との間の接続状態を切り替える。また、第2のスイッチング回路31(2)により、複数の環境発電装置23から出力される複数の直流電力が入力される複数の入力部と出力部との間の接続状態を切り替える。そして、第3のスイッチング回路31(3)により、第1のスイッチング回路31(1)の出力部からの直流電圧と第2のスイッチング回路31(2)の出力部からの直流電圧と光発電装置21からの直流電力とが入力される複数の入力部と、複数の給電対象90(1)~90(n)に対応する複数の出力部33との間の接続状態を切り替える。
【0049】
また、
図5の構成例では、多層スイッチング回路30を構成しているスイッチング素子等のアクティブ素子を動作させる電力を供給するための電源としてのシステムバッテリー60を備えている。システムバッテリー60は、多層スイッチング回路30以外の直流制御回路等の他の制御回路のソース電源として用いてもよい。多層スイッチング回路30は、複数の給電対象90(1)~90(n)に対応する複数の出力部33とは別に、システムバッテリー60用の出力部を備える。システムバッテリー60は、多層スイッチング回路30に個別に設けた出力部33から直流制御回路42を介して供給される電力で充電することができる。
【0050】
図6は、本実施形態に係る電力供給システム10に適用可能なスイッチング回路31の構成の一例を示す回路図である。
図6において、スイッチング回路31の接続回路部310Cは、複数の直流電力源20のプラス電圧V
+
1~V
+
4が入力されるプラス出力端子311(1)~311(4)に個別接続される複数の第1接続線315(1)~315(4)と、複数の直流電力源20のマイナス電圧V
-
1~V
-
4が入力されるマイナス出力端子312(1)~312(4)に個別接続される複数の第2接続線316(1)~316(4)とを有する。
【0051】
また、接続回路部310Cは、複数の第1スイッチ317(1)~317(4)と、複数の第2スイッチ318(1)~318(4)と、複数の第3スイッチ319(1,2)、319(1,3)、319(1,4)、319(2,1)、319(2,3)、319(2,4)、319(3,1)、319(3,2)、319(3,4)、319(4,1)、319(4,2)、319(4,2)とを有する。
【0052】
第1スイッチ317(1)~317(4)はそれぞれ、第1接続線315(1)~315(4)とプラス出力部313(1)~313(4)との間に個別配置されたオン・オフ制御可能なスイッチである。第2スイッチ318(1)~318(4)はそれぞれ、第2接続線316(1)~316(4)とマイナス出力部314(1)~314(4)との間に個別配置されたオン・オフ制御可能なスイッチである。プラス出力部313(1)~313(4)から複数の給電対象90(1)~90(4)に向けて、プラス電圧Vo+
1~Vo+
4が出力される。また、マイナス出力部314(1)~314(4)から複数の給電対象90(1)~90(4)に向けて、マイナス電圧Vo-
1~Vo-
4が出力される。
【0053】
複数の第3スイッチはそれぞれ、第1接続線315(1)~315(4)及び第2接続線316(1)~316(4)の複数の組み合わせのうち直流電力源が互いに異なる組み合わせの第1接続線と第2接続線との間に配置されたオン・オフ制御可能なスイッチである。例えば、第3スイッチ319(1,2)、319(1,3)、319(1,4)はそれぞれ、第1接続線315(1)と第2接続線316(2)、316(3)、316(4)との間に配置されている。第3スイッチ319(2,1)、319(2,3)、319(2,4)はそれぞれ、第1接続線315(2)と第2接続線316(1)、316(3)、316(4)との間に配置されている。第3スイッチ319(3,1)、319(3,2)、319(3,4)はそれぞれ、第1接続線315(3)と第2接続線316(1)、316(2)、316(4)との間に配置されている。第3スイッチ319(4,1)、319(4,2)、319(4,2)はそれぞれ、第1接続線315(4)と第2接続線316(1)、316(2)、316(3)との間に配置されている。
【0054】
上記構成のスイッチング回路310の各スイッチを制御部50でオン・オフ制御することにより、複数の直流電力源20の一部又は全部について直列接続と並列接続とを適宜切り替えることができる。特に、上記構成のスイッチング回路310の第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチのすべてを含めてスイッチング制御することにより、複数の直流電力源20のあらゆる接続を再現することができる。
【0055】
ここで、制御部50は、前述の複数の直流電力源20、複数の第1接続線、複数の第2接続線、複数の第1スイッチ及び複数の第2スイッチそれぞれの数がN個であり、複数の第3スイッチの数がN
2-N個であり、スイッチの総数がN
2+N個であり、オン状態を1と表記しオフ状態を0と表記したとき、次の(N+1)行×(N+1)列の行列に基づいて、前述の複数の第1スイッチ、複数の第2スイッチ及び複数の第3スイッチをオン・オフ制御してもよい。
【数2】
【0056】
図7は、実施形態に係る電力供給システム10に適用可能なスイッチング回路31の構成の他の例を示す回路図である。なお、
図7において、前述の
図6と共通する部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0057】
図7のスイッチング回路31では、第1スイッチ317(1)~317(4)の出力側が並列接続されて合成された直流電圧が、プラス出力部313(1)~313(4)から複数の給電対象90(1)~90(4)に向けて、プラス電圧V
o+
1~V
o+
4として出力される。また、第2スイッチ318(1)~318(4)の出力側が並列接続されて合成された直流電圧が、マイナス出力部314(1)~314(4)から複数の給電対象90(1)~90(4)に向けて、マイナス電圧V
o-
1~V
o-
4として出力される。
【0058】
図8は、実施形態に係る電力供給システム10に適用可能なスイッチング回路31の構成の更に他の例を示す回路図である。
図8において、前述の
図6及び
図7と共通する部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0059】
図7のスイッチング回路31は、複数組(例えば4組)の接続回路部310C(1)、310C(2)、・・・を備える。接続回路部310C(1)、310C(2)、・・・はそれぞれ、
図6及び
図7の接続回路部310Cと同様な回路構成を有する。スイッチング回路31は、複数組の接続回路部310C(1)、310C(2)、・・・は積層状に構成した3次元接続の多重化回路であってもよい。
【0060】
複数組の接続回路部310C(1)、310C(2)、・・・はそれぞれ、複数の直流電力源20のプラス電圧V+
1~V+
4及びマイナス電圧V-
1~V-
4が入力される。また、複数組の接続回路部310C(1)、310C(2)、・・・は、プラス電圧Vo+
1、Vo+
2、・・・及びマイナス電圧Vo-
1、Vo-
2、・・・を出力する。例えば、接続回路部310C(1)は、プラス電圧Vo+
1及びマイナス電圧Vo-
1を出力する。
【0061】
以上、本実施形態によれば、環境発電装置23(例えば、熱発電装置、振動発電装置、電波発電装置)とWPT受電装置22とを組み合わせることにより、システム全体から複数の給電対象90(1)~90(n)に供給される給電電力を増大させることできる。
特に、本実施形態によれば、様々な場所への設置が予想される膨大な数のIoTデバイスへの給電をまかなうことができる。
また、本実施形態によれば、オン・オフ制御可能な複数のスイッチを有する多元接続用スイッチング回路31により、出力電力の増大化を図るように複数の直流電力源の柔軟な接続構成が可能である。
また、本実施形態によれば、前述のスイッチング回路31における複数の第1スイッチ、複数の第2スイッチ及び複数の第3スイッチのすべてを含めてスイッチング制御することにより、複数の直流電力源(整流回路、電源回路)のあらゆる接続を再現することができる。
【0062】
また、本発明は、環境発電装置で発電した電力を複数の給電対象に供給できるとともに無線電力伝送と組み合わせることにより各給電対象に供給される給電電力を増大させることができる電力供給システムを提供できるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0063】
なお、本明細書で説明された処理工程並びにシステムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0064】
ハードウェア実装については、実体(例えば、スイッチング回路、直流電力源出力装置、受電装置、送電装置、発電装置、整流回路、電源回路、各種無線通信装置、基地局装置(Node B、Node G)、端末装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0065】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0066】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0067】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0068】
10 :電力供給システム
20 :直流電力源
21 :光発電装置
22 :WPT受電装置
23 :環境発電装置
30 :多層スイッチング回路
31 :スイッチング回路
32 :入力部
33 :出力部
40 :回路群
41 :直流制御回路
42 :直流制御回路
50 :制御部
60 :システムバッテリー
80 :送電装置
81 :アンテナ装置
90 :給電対象
800 :無線電力伝送システム
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給システムであって、
環境発電装置と無線電力伝送のビームを受信して直流電力を出力可能な受電装置とを含む複数の直流電力源と、
前記複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部とを有し、前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態を切り替えるスイッチング回路と、
前記スイッチング回路、前記複数の出力部又はその両方に直流電力を供給するシステムバッテリーと、を備え、
前記スイッチング回路の前記複数の出力部は、前記システムバッテリーに直流電流を出力する出力部を含む、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
請求項1の電力供給システムにおいて、
前記複数の直流電力源は、一又は複数の無線電力伝送の受電装置と、一又は複数の光発電装置と、一又は複数の環境発電装置と、を含む、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
請求項1の電力供給システムにおいて、
前記環境発電装置は、熱発電装置、振動発電装置及び電波発電装置の少なくとも一つである、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項4】
電力供給システムであって、
複数の環境発電装置と無線電力伝送のビームを受信して直流電力を出力可能な一又は複数の受電装置と光発電装置とを含む複数の直流電力源と、
前記複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部とを有し、前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態を切り替えるスイッチング回路と、を備え、
前記スイッチング回路は、複数層の回路で構成され、
前記受電装置の複数の整流回路から出力される複数の直流電力が入力される複数の入力部と出力部との間の接続状態を切り替える第1のスイッチング回路と、
前記複数の環境発電装置から出力される複数の直流電力が入力される複数の入力部と出力部との間の接続状態を切り替える第2のスイッチング回路と、
前記第1のスイッチング回路の出力部からの直流電圧と前記第2のスイッチング回路31の出力部からの直流電圧と前記光発電装置からの直流電力とが入力される複数の入力部と、前記複数の出力部との間の接続状態を切り替える第3のスイッチング回路と、を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項5】
請求項4の電力供給システムにおいて、
前記環境発電装置は、熱発電装置、振動発電装置及び電波発電装置の少なくとも一つである、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5の電力供給システムにおいて、
前記スイッチング回路における前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態の切り替えを制御する第1制御部を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6の電力供給システムにおいて、
前記スイッチング回路の複数の出力部に接続された複数の直流制御回路を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項8】
請求項7の電力供給システムにおいて、
前記直流制御回路は、MPPT(最大電力点追従)制御回路、DC-DC変換回路及び整流回路の少なくとも1つの回路を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項9】
請求項7の電力供給システムにおいて、
前記直流制御回路を制御する第2制御部を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項10】
請求項4、又は5の電力供給システムにおいて、
前記スイッチング回路、前記複数の出力部又はその両方に直流電力を供給するシステムバッテリーを備え、
前記スイッチング回路の前記複数の出力部は、前記システムバッテリーに直流電流を出力する出力部を含む、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項11】
スイッチング回路であって、
複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、
複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部と、を備え、
前記複数の出力部は、前記スイッチング回路、前記複数の出力部又はその両方に直流電力を供給するシステムバッテリーに直流電流を出力する出力部を含み、
前記複数の入力部と前記複数の出力部との間の接続状態を切り替える、
ことを特徴とするスイッチング回路。
【請求項12】
請求項11のスイッチング回路において、
複数層の回路で構成されている、
ことを特徴とするスイッチング回路。
【請求項13】
スイッチング回路であって、
複数の環境発電装置と無線電力伝送のビームを受信して直流電力を出力可能な一又は複数の受電装置と光発電装置とを含む複数の直流電力源が接続された複数の入力部と、
複数の給電対象に対する直流電力を出力する複数の出力部と、を備え、
当該スイッチング回路は、複数層の回路で構成され、
前記受電装置の複数の整流回路から出力される複数の直流電力が入力される複数の入力部と出力部との間の接続状態を切り替える第1のスイッチング回路と、
前記複数の環境発電装置から出力される複数の直流電力が入力される複数の入力部と出力部との間の接続状態を切り替える第2のスイッチング回路と、
前記第1のスイッチング回路の出力部からの直流電圧と前記第2のスイッチング回路31の出力部からの直流電圧と前記光発電装置からの直流電力とが入力される複数の入力部と、前記複数の出力部との間の接続状態を切り替える第3のスイッチング回路と、を有する、
ことを特徴とするスイッチング回路。
【請求項14】
請求項11、12又は13のスイッチング回路において、
前記複数の直流電力源のプラス出力端子が接続される複数のプラス入力部と、
前記複数の直流電力源のマイナス出力端子が接続される複数のマイナス入力部と、
複数のプラス出力部と、
複数のマイナス出力部と、
前記複数のプラス入力部及び前記複数のマイナス入力部と前記複数のプラス出力部及び前記複数のマイナス出力部との間に設けられ、前記複数の直流電力源と前記複数のプラス出力部及び前記複数のマイナス出力部との間の接続状態を切り替えるようにオン・オフ制御可能な複数のスイッチを有する接続回路部と、
を備える、ことを特徴とするスイッチング回路。
【請求項15】
請求項14のスイッチング回路において、
前記接続回路部は、
前記複数の直流電力源のプラス出力端子に個別接続される複数の第1接続線と、
前記複数の直流電力源のマイナス出力端子に個別接続される複数の第2接続線と、
前記複数の第1接続線と前記複数のプラス出力部との間に個別配置されたオン・オフ制御可能な複数の第1スイッチと、
前記複数の第2接続線と前記複数のマイナス出力部との間に個別配置されたオン・オフ制御可能な複数の第2スイッチと、
前記複数の第1接続線及び前記複数の第2接続線の複数の組み合わせのうち前記直流電力源が互いに異なる組み合わせの前記第1接続線と前記第2接続線との間に配置されたオン・オフ制御可能な複数の第3スイッチと、
を有する、
ことを特徴とするスイッチング回路。