(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157284
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電力供給システム及び無線電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/27 20160101AFI20241030BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20241030BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H02J50/27
H02J50/12
H01Q21/06
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071560
(22)【出願日】2023-04-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-26
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/完全ワイヤレス社会実現を目指したワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】平川 昂
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】中本 悠太
(72)【発明者】
【氏名】太田 喜元
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA09
(57)【要約】
【課題】複数の給電対象に対して、それぞれが要求する電気的特性を満たしながら給電できる電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力供給システムは、無線電力伝送の受信アンテナ装置に接続された複数の整流回路を含むレクテナアレイ部と、レクテナアレイ部に接続された入力部をそれぞれ有する複数のDC-DCコンバータとを備える。複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、互いに異なる給電対象が接続される出力部を有してもよい。電力供給システムは、レクテナアレイ部から出力される複数の直流電力を単一の直流電力に変換して出力する接続回路を備え、複数のDC-DCコンバータは、接続回路を介してレクテナアレイ部に接続されていてもよい。電力供給システムは、レクテナアレイ部又は接続回路に接続されるDC-DCコンバータを切り替える切替部を備えてもよく、DC-DCコンバータの切り替えを制御する制御部を備えてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給システムであって、
無線電力伝送の受信アンテナ装置に接続された複数の整流回路を含むレクテナアレイ部と、
前記レクテナアレイ部に接続された入力部をそれぞれ有する複数のDC-DCコンバータと、
を備える、ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
請求項1の電力供給システムにおいて、
前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、共通の給電対象に接続された出力部を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
請求項1の電力供給システムにおいて、
前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、互いに異なる給電対象が接続される出力部を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項4】
請求項1の電力供給システムにおいて、
前記レクテナアレイ部から出力される複数の直流電力を単一の直流電力に変換して出力する接続回路を備え、
前記複数のDC-DCコンバータの入力部は、前記接続回路を介して前記レクテナアレイ部に接続されている、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの電力供給システムにおいて、
前記複数のDC-DCコンバータの間で、前記レクテナアレイ部又は前記接続回路に接続されるDC-DCコンバータを切り替える切替部を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項6】
請求項5の電力供給システムにおいて、
前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、前記DC-DCコンバータごとに設定された互いに異なるオン・オフ時間比で入力電力のオン・オフを制御する入力回路を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項7】
請求項5の電力供給システムにおいて、
前記切替部による前記DC-DCコンバータの切り替えを制御する制御部を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項8】
請求項7の電力供給システムにおいて、
前記制御部は、前記複数のDC-DCコンバータの間の出力電圧の大小関係に応じて前記DC-DCコンバータの切り替えを制御する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項9】
請求項7の電力供給システムにおいて、
前記制御部は、前記給電対象からフィードバックされた情報及び前記DC-DCコンバータからフィードバックされた情報の少なくとも一方に基づいて、前記切替部を制御する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項10】
請求項5の電力供給システムにおいて、
前記切替部と前記複数のDC-DCコンバータとを含むユニットを、複数組備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項11】
無線電力伝送システムであって、
請求項1乃至4のいずれかの電力供給システムと、
前記電力供給システムの受信アンテナ装置に向けて送電信号を送信する送電装置と、
を備える、ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項12】
無線電力伝送システムであって、
請求項5の電力供給システムと、
前記電力供給システムの受信アンテナ装置に向けて送電信号を送信する送電装置と、
を備える、ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送に適用可能な電力供給システム及び無線電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロ波等の電波を介して電力を伝送する無線電力伝送の受電装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数のアンテナで受信した受信信号を整流する複数の整流回路(直流電源回路)を備える受電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線電力伝送の受電装置では、複数の給電対象に対して、それぞれが要求する電気的特性を満たしながら給電したい、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電力供給システムは、無線電力伝送の受信アンテナ装置に接続された複数の整流回路を含むレクテナアレイ部と、前記レクテナアレイ部に接続された入力部をそれぞれ有する複数のDC-DCコンバータと、を備える。
【0006】
前記電力供給システムにおいて、前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、共通の給電対象に接続された出力部を有してもよい。
【0007】
前記電力供給システムにおいて、前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、互いに異なる給電対象が接続される出力部を有してもよい。
【0008】
前記電力供給システムにおいて、前記レクテナアレイ部から出力される複数の直流電力を単一の直流電力に変換して出力する接続回路を備え、前記複数のDC-DCコンバータの入力部は、前記接続回路を介して前記レクテナアレイ部に接続されていてもよい。
【0009】
前記電力供給システムにおいて、前記複数のDC-DCコンバータの間で、前記レクテナアレイ部又は前記接続回路に接続されるDC-DCコンバータを切り替える切替部を備えてもよい。
【0010】
前記電力供給システムにおいて、前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、前記DC-DCコンバータごとに設定された互いに異なるオン・オフ時間比で入力電力のオン・オフを制御する入力回路を有してもよい。
【0011】
前記電力供給システムにおいて、前記切替部による前記DC-DCコンバータの切り替えを制御する制御部を備えてもよい。
【0012】
前記電力供給システムにおいて、前記制御部は、前記複数のDC-DCコンバータの間の出力電圧の大小関係に応じて前記DC-DCコンバータの切り替えを制御してもよい。
【0013】
前記電力供給システムにおいて、前記制御部は、前記給電対象からフィードバックされた情報及び前記DC-DCコンバータからフィードバックされた情報の少なくとも一方に基づいて、前記切替部を制御してもよい。
【0014】
前記電力供給システムにおいて、前記切替部と前記複数のDC-DCコンバータとを含むユニットを、複数組備えてもよい。
【0015】
本発明の一態様に係る無線電力伝送システムは、前記いずれかの電力供給システムと、前記電力供給システムの受信アンテナ装置に向けて送電信号を送信する送電装置と、を備える。
【0016】
前記電力供給システム及び無線電力伝送システムにおいて、前記DC-DCコンバータは、降圧コンバータ、昇圧コンバータ又は昇降圧コンバータであってもよい。
【0017】
また、前記制御に用いられるプログラムの一部又は全部は、機械学習によって作成された学習済モデルであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の給電対象に対して、それぞれが要求する電気的特性を満たしながら給電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力供給システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電力供給システムに接続される受電装置を含む無線伝送システムの概略構成の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る受電装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電力供給システムの構成の他の例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4の電力供給システムにおけるスイッチによるDC-DCコンバータの切り替えの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電力供給システムの構成の更に他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、無線電力伝送(WPT)の受電装置のレクテナアレイ部から出力される直流電力を、DC-DCコンバータを介して複数の供給対象に出力可能な電力の多入力多出力装置として機能する電力供給システムである。特に、本実施形態に係る電力供給システムは、レクテナアレイ部から直流電力が入力されるDC-DCコンバータを切り替えることにより、複数の給電対象に対して、それぞれが要求する電気的特性を満たしながら給電することができる。
【0021】
図1は、本実施形態に係る電力供給システム10の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の電力供給システム10は、無線電力伝送(WPT)の受電装置(以下「WPT受電装置」ともいう。)22と、WPT受電装置22に対して並列接続される複数(2又は3以上の)のDC-DCコンバータ(「DC-DC変換回路」又は「DC-DC変換装置」ともいう。)45(1)~45(n)と、を備える。
【0022】
WPT受電装置22は、複数のレクテナを有するレクテナアレイ部220と、DC接続回路223とを有する。DC接続回路223は、レクテナアレイ部220からの複数の直流電力が入力される複数組のプラス入力部224及びマイナス入力部225と、複数(n個)のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)に対する共通の電圧Vrectの直流電力を出力する1組のプラス入力部224及びマイナス入力部225とを有する。DC接続回路223は、複数組のプラス入力部224及びマイナス入力部225と1組のプラス入力部224及びマイナス入力部225との間の接続状態を切り替えることができるスイッチング回路であってもよい。
【0023】
複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)において、複数組(n組)のプラス及びマイナスの入力部451(1)~451(n)は、DC接続回路223の1組のプラス入力部224及びマイナス入力部225に接続される。また、複数組(n組)のプラス及びマイナスの出力部452(1)~452(n)は、複数の給電対象90(1)~90(n)に接続される。複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)から出力される所定の電圧Vout_1~Vout_nの直流電力はそれぞれ、DC-DC変換回路ごとに、対応する給電対象90に供給される。
【0024】
複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)はそれぞれ、例えば、降圧コンバータ、昇圧コンバータ又は昇降圧コンバータである。
【0025】
給電対象90(1)~90(n)は、特定の装置に限定されない。例えば、給電対象90(1)~90(n)は、移動通信システムの通信機能を有する端末装置(例えば、ユーザ装置、IoTデバイス等)、移動通信システムの通信機能を有していないセンサなどのIoTデバイスである。
【0026】
図1の電力供給システム10によれば、WPT受電装置22から出力される直流電力を、複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)によって複数の給電対象90(1)~90(n)のそれぞれに必要な電圧V
out_1~V
out_nの直流電力に変換し、給電対象90(1)~90(n)のそれぞれに供給することができる。
【0027】
なお、
図1の構成例では、複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)の出力部452(1)~452(n)は、互いに異なる複数の給電対象90(1)~90(n)に接続されるが、共通の給電対象に接続されるようにしてもよい。
【0028】
また、複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)の前段又は後段に、MPPT(最大電力点追従)制御回路及び整流回路の少なくとも一方の回路を設けてもよい。
【0029】
図2は、本実施形態に係る電力供給システム10に接続されるWPT受電装置22を含む無線電力伝送システム800の概略構成の一例を示す説明図である。無線電力伝送システム800は、送電信号の電波を送信する送電装置80と、送電装置80から送信された電波を受信して直流の電力を出力するWPT受電装置(直流電力源)22とを備える。無線電力伝送の電波は例えばマイクロ波又はミリ波である。
【0030】
送電装置80は、複数のアンテナ素子(以下「アンテナ」ともいう。)が2次元的に配列したアレーアンテナからなるアンテナ装置81を有する。送電装置80のアレーアンテナは複数のアンテナが1次元的に又は3次元的に配置されたものであってもよい。
【0031】
WPT受電装置22は、複数のアンテナ221aが2次元配列したアレーアンテナからなるアンテナ装置221を有する。WPT受電装置22のアレーアンテナは複数のアンテナ221aが1次元に又は3次元に配置されたものであってもよい。また、WPT受電装置22は、アンテナ装置221の複数のアンテナ221aに対応するように設けられた複数の整流回路(直流電力源)からなる整流回路群222を有する。1組のアンテナ221aと整流回路との組み合わせはレクテナとも呼ばれる。前述のレクテナアレイ部220は、アンテナ装置221複数のアンテナ221aと整流回路群222とを含む。
【0032】
図3は、本実施形態に係るWPT受電装置22の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図3では、アンテナ装置221のアンテナの数及び整流回路の数がそれぞれ4個(=2×2)の場合について示しているが、この数に限定されない。例えば、WPT受電装置22におけるアンテナの数及び整流回路の数はそれぞれ、9個(=3×3)、16個(=4×4)、又は、25個(=5×5)などであってもよい。
【0033】
図3において、アンテナ装置221からの入力電力を受ける整流回路群222の後段にDC接続回路223を設けている。DC接続回路223は、複数の直流整流回路としての整流回路のプラス出力端子が接続される複数のプラス入力部224(1)~224(4)と、複数の整流回路のマイナス出力端子が接続される複数のマイナス入力部225(1)~225(4)と、プラス出力部226と、マイナス出力部227とを有する。
図3の構成例のDC接続回路223は、複数の整流回路とプラス出力部226及びマイナス出力部227との間の接続状態を切り替えるようにオン・オフ制御可能な複数のスイッチを有するスイッチング回路である。スイッチング回路に設けられた複数のスイッチは、制御部228によってオン・オフ制御(アクティブ制御)される。制御部228のアクティブ制御により、WPT受電装置22の全体における受電効率を向上させることができる。
【0034】
図3に示すDC接続回路223としてスイッチング回路を備えたWPT受電装置22によれば、整流回路群222の複数の整流回路の接続の切り替え制御により、複数の整流回路のあらゆる接続を実現できる。
【0035】
図4は、本実施形態に係る電力供給システム10の構成の他の例を示すブロック図である。なお、
図5は、
図4の電力供給システム10におけるスイッチ351によるDC-DCコンバータの切り替えの一例を示す説明図である。
図4及び
図5において、前述の
図1~
図3と共通する部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0036】
図4において、複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)はそれぞれ、DC-DCコンバータごとに設定された互いに異なるオン・オフ時間比(以下「ディーティ比」ともいう。)D
1~D
nで入力電力のオン・オフを制御する入力回路を有する。
【0037】
ここで、DC-DCコンバータ45のディーティ比をDとし、入力電圧及び入力電流をそれぞれVin,Iinとすると、出力電圧Vout及び出力電流Ioutは関数f(Vin,Iin,D)で表される。例えば、DC-DCコンバータ45が昇降圧コンバータの場合、出力電圧Vout及び出力電流Ioutは次の式(1)及び式(2)で表され、DC-DCコンバータ45が降圧コンバータの場合、出力電圧Voutは次の式(3)で表される。
【0038】
【0039】
上記ディーティ比Dで入力電力のオン・オフを制御する入力回路を有するDC-DCコンバータ45において、DC-DCコンバータ45への入力が電圧源からの電圧の場合は、損失が生じない。しかしながら、DC-DCコンバータ45への入力が、本実施形態のWPT受電装置22のような電力源からの電力の場合は、DC-DCコンバータ45の入力回路のスイッチオフ期間において損失が発生する。
【0040】
そこで、上記損失を低減するために、本実施形態の電力供給システム10は、複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)の間で、レクテナアレイ部220又はDC接続回路223に接続されるDC-DCコンバータ45を切り替えるコンバータ切替部35と、コンバータ切替部35によるDC-DCコンバータ45の切り替えを制御する制御部50とを備える。コンバータ切替部35は、例えば
図5に示すようにスイッチ351で構成され、制御部50でスイッチ351を制御することにより、DC-DCコンバータ45を切り替えることができる。
【0041】
制御部50は、例えば、複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)の間の出力電圧Vout_1~Vout_nの大小関係(例えば、比又は差分)に応じてDC-DCコンバータ45(1)~45(n)の切り替えを制御する。例えば、複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)のうち、ディーティ比Dが大きく出力電圧が大きいDC-DCコンバータ45についてはレクテナアレイ部220又はDC接続回路223に接続される時間を標準時間よりも長めにし、ディーティ比Dが小さく出力電圧が小さいDC-DCコンバータ45についてはレクテナアレイ部220又はDC接続回路223に接続される時間を標準時間よりも短めにするように、DC-DCコンバータ45(1)~45(n)の切り替えを制御する。
【0042】
上記DC-DCコンバータ45(1)~45(n)の切り替えの制御により、レクテナアレイ部220又はDC接続回路223から出力される直流電力がDC-DCコンバータ45(1)~45(n)に入力されないオフ期間が短くなるため、電力供給システム10における電力損失を低減することができる。
【0043】
なお、
図4の電力供給システム10において、制御部50は、給電対象群91に含まれる複数の給電対象90(1)~90(n)の少なくとも一つからフィードバックされた情報に基づいて、コンバータ切替部35を制御してもよい。また、制御部50は、制御部50は、直流制御回路ユニット40に含まれる複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)の少なくとも一つからフィードバックされた情報の少なくとも一方に基づいて、コンバータ切替部35を制御してもよい。
【0044】
また、制御部50は、予め組み込まれた制御情報に基づいて上記制御を行うことができる。また、制御部50は、サーバ、管理装置、センター装置等の外部装置から制御情報を受信し、その制御情報に基づいて、上記制御を行ってもよい。
【0045】
図6は、実施形態に係る電力供給システム10の構成の更に他の例を示すブロック図である。本実施形態に係る電力供給システム10の構成の他の例を示すブロック図である。なお、
図6において、前述の
図1~
図5と共通する部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
図6の電力供給システム10は、複数組の直流制御回路ユニット40(1)~40(m)を備える。複数組の直流制御回路ユニット40(1)~40(m)はそれぞれ、コンバータ切替部35と複数のDC-DCコンバータ45(1)~45(n)とを含む。
図6の電力供給システム10によれば、複数種類の給電対象群91(1)~91(m)について、給電対象群91ごとに適した直流電力を供給することができる。
【0046】
以上、本実施形態によれば、複数の給電対象90(1)~90(n)に対して、それぞれが要求する電気的特性を満たしながら給電できる。
また、本実施形態によれば、電力供給システム10におけるWPT受電装置22から出力される直流電力の損失を低減できる。
【0047】
また、本発明は、WPT受電装置から複数の給電対象のそれぞれに給電できるとともに、WPT受電装置から出力される直流電力の損失を低減できる電力供給システムを提供できるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0048】
なお、本明細書で説明された処理工程並びにシステムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0049】
ハードウェア実装については、実体(例えば、受電装置、送電装置、整流回路、レクテナ、コンバータ切替部(スイッチ)、DC-DCコンバータ、各種無線通信装置、基地局装置(Node B、Node G)、端末装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0050】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0051】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0052】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0053】
10 :電力供給システム
22 :WPT受電装置
35 :コンバータ切替部
40(1)~40(m) :直流制御回路ユニット
45(1)~45(n) :DC-DCコンバータ
50 :制御部
80 :送電装置
81 :アンテナ装置
90(1)~90(n) :給電対象
220 :レクテナアレイ部
221 :アンテナ装置
221a :アンテナ
222 :整流回路群
223 :DC接続回路(スイッチング回路)
224 :プラス入力部
225 :マイナス入力部
226 :プラス出力部
227 :マイナス出力部
351 :スイッチ
451(1)~451(n) :入力部
452(1)~452(n) :出力部
800 :無線電力伝送システム
【手続補正書】
【提出日】2024-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給システムであって、
無線電力伝送の受信アンテナ装置に接続された複数の整流回路を含むレクテナアレイ部と、
前記レクテナアレイ部に接続された入力部をそれぞれ有する複数のDC-DCコンバータと、
前記レクテナアレイ部から出力される複数の直流電力を単一の直流電力に変換して出力する接続回路と、を備え、
前記複数のDC-DCコンバータの入力部は、前記接続回路を介して前記レクテナアレイ部に接続されている、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
請求項1の電力供給システムにおいて、
前記複数のDC-DCコンバータの間で、前記接続回路に接続されるDC-DCコンバータを切り替える切替部を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
請求項2の電力供給システムにおいて、
前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、前記DC-DCコンバータごとに設定された互いに異なるオン・オフ時間比で入力電力のオン・オフを制御する入力回路を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項4】
請求項2の電力供給システムにおいて、
前記切替部による前記DC-DCコンバータの切り替えを制御する制御部を備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項5】
請求項4の電力供給システムにおいて、
前記制御部は、前記複数のDC-DCコンバータの間の出力電圧の大小関係に応じて前記DC-DCコンバータの切り替えを制御する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項6】
請求項4の電力供給システムにおいて、
前記制御部は、給電対象からフィードバックされた情報及び前記DC-DCコンバータからフィードバックされた情報の少なくとも一方に基づいて、前記切替部を制御する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項7】
請求項2の電力供給システムにおいて、
前記切替部と前記複数のDC-DCコンバータとを含むユニットを、複数組備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項8】
電力供給システムであって、
無線電力伝送の受信アンテナ装置に接続された複数の整流回路を含むレクテナアレイ部と、
前記レクテナアレイ部に接続された入力部をそれぞれ有する複数のDC-DCコンバータと、
前記複数のDC-DCコンバータの間で、前記レクテナアレイ部に接続されるDC-DCコンバータを切り替える切替部と、を備え、
前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、前記DC-DCコンバータごとに設定された互いに異なるオン・オフ時間比で入力電力のオン・オフを制御する入力回路を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項9】
電力供給システムであって、
無線電力伝送の受信アンテナ装置に接続された複数の整流回路を含むレクテナアレイ部と、
前記レクテナアレイ部に接続された入力部をそれぞれ有する複数のDC-DCコンバータと、
前記複数のDC-DCコンバータの間で、前記レクテナアレイ部に接続されるDC-DCコンバータを切り替える切替部と、
前記切替部による前記DC-DCコンバータの切り替えを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数のDC-DCコンバータの間の出力電圧の大小関係に応じて前記DC-DCコンバータの切り替えを制御する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項10】
請求項9の電力供給システムにおいて、
前記切替部と前記複数のDC-DCコンバータとを含むユニットを、複数組備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項11】
電力供給システムであって、
無線電力伝送の受信アンテナ装置に接続された複数の整流回路を含むレクテナアレイ部と、
前記レクテナアレイ部に接続された入力部をそれぞれ有する複数のDC-DCコンバータと、
前記複数のDC-DCコンバータの間で、前記レクテナアレイ部に接続されるDC-DCコンバータを切り替える切替部と、
前記切替部による前記DC-DCコンバータの切り替えを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、給電対象からフィードバックされた情報及び前記DC-DCコンバータからフィードバックされた情報の少なくとも一方に基づいて、前記切替部を制御する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項12】
請求項11の電力供給システムにおいて、
前記切替部と前記複数のDC-DCコンバータとを含むユニットを、複数組備える、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかの電力供給システムにおいて、
前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、共通の給電対象に接続された出力部を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれかの電力供給システムにおいて、
前記複数のDC-DCコンバータはそれぞれ、互いに異なる給電対象が接続される出力部を有する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項15】
無線電力伝送システムであって、
請求項1乃至12のいずれかの電力供給システムと、
前記電力供給システムの受信アンテナ装置に向けて送電信号を送信する送電装置と、
を備える、ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項16】
無線電力伝送システムであって、
請求項13の電力供給システムと、
前記電力供給システムの受信アンテナ装置に向けて送電信号を送信する送電装置と、
を備える、ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項17】
無線電力伝送システムであって、
請求項14の電力供給システムと、
前記電力供給システムの受信アンテナ装置に向けて送電信号を送信する送電装置と、
を備える、ことを特徴とする無線電力伝送システム。