(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157286
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】施工管理方法
(51)【国際特許分類】
E01C 13/00 20060101AFI20241030BHJP
E02D 1/04 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
E01C13/00 A
E02D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071562
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】500305380
【氏名又は名称】株式会社シーマコンサルタント
(71)【出願人】
【識別番号】517202283
【氏名又は名称】株式会社成建
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】中島 観司
(72)【発明者】
【氏名】中島 修身
(72)【発明者】
【氏名】鍔田 一治
(72)【発明者】
【氏名】鍔田 尚亨
【テーマコード(参考)】
2D043
2D051
【Fターム(参考)】
2D043AA05
2D043AC01
2D051AA01
2D051AA02
2D051AB04
2D051AE05
2D051AF01
(57)【要約】
【課題】含水比を適切に管理し得る路盤、路床の施工管理方法を提供する。
【解決手段】施工管理方法は、現場試験時において、改良前の原料土の含水比を測定し、当該改良前の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程(ステップS211)と、改良後の原料土の含水比を測定し、当該改良後の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程(ステップS213)と、改良されて養生中の原料土の含水比を測定し、当該養生中の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程(ステップS214)と、養生後の原料土の含水比を測定し、当該養生後の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程(ステップS215)と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場試験時において、
改良前の原料土の含水比を測定し、当該改良前の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、
改良後の原料土の含水比を測定し、当該改良後の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、
改良されて養生中の原料土の含水比を測定し、当該養生中の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、
養生後の原料土の含水比を測定し、当該養生後の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、を含む施工管理方法。
【請求項2】
現場試験時において、
原料土を改良する際に、団粒化作用を有する高分子化合物を含む水溶液を散布して撹拌する工程を含む請求項1に記載の施工管理方法。
【請求項3】
前記原料土と、セメント系固化材、中性固化材、マグネシウム系固化材からなる群のうち何れか1以上と、団粒化剤と、を混合した材料を使用する請求項2に記載の施工管理方法。
【請求項4】
前記団粒化剤として、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を用いたものを使用する請求項3に記載の施工管理方法。
【請求項5】
施工時において、
舗設前の材料の含水比を測定し、当該舗設前の材料の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、
舗設されて転圧前の材料の含水比を測定し、当該転圧前の材料の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、を含む請求項1に記載の施工管理方法。
【請求項6】
前記各工程における前記所定の範囲は、原料土の最適な含水比に基づいて求められるものである請求項1~5のいずれか1項に記載の施工管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンド、広場や公園などに施工する路盤、路床の施工管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラウンドなどの現場に施工する路盤、路床には様々なものがある。そして、現場の土質が悪い場合には、現場の土材に土壌改良剤を混入して、締まりをよくすることが行われている。この土壌改良に関する技術として、例えば、特許文献1,2に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、土壌の通気性、透水性および保水性を向上させることを目的とした土壌改良技術が記載されている。具体的には、団粒化作用を有する高分子化合物を含む水溶液を土壌に散布して撹拌する工程と、土壌の敷き均しおよび転圧を行う工程と、を備えた土壌改良方法が記載されている。
【0004】
この土壌改良方法によれば、高分子化合物を含む水溶液が土壌に接触すると、団粒化作用により、土壌の粒子が互いに結合して立体網目構造が形成され、時間経過に伴い、さらに、結合、連結が進行し、大小の間隙を有する多孔質状の粗大粒子が形成される。そして、最終的に、これらの粗大粒子が固化された構造となるため、土壌の通気性、透水性および保水性を向上させることができる。
【0005】
一方、特許文献2には、特定の土壌に、土壌改良剤を混ぜ合わせた場合の養生期間と強度との関係を室内試験によって求めておき、当該試験結果に基づいて、基準期間養生後の強度と、所望の短縮期間養生後の強度との関係を求め、この関係から、基準期間養生後の強度が設計基準強度αになるための短縮期間での強度βを得て、現場での短縮期間での強度が上記強度βより大きい場合に基準強度をクリアするものとみなすことができる路盤、路床の施工管理方法が記載されている。
【0006】
そして、この路盤、路床の施工管理方法は、路盤材あるいは路床材に固化剤を混入して、JIS規格に対応する固さを得ようとする場合に、JISに規定する所定の期間養生させないでも、短時間にJISに規定する固さになるか否かを正確に推定することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-100638号公報
【特許文献2】特開昭62-228513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の発明のような土壌改良技術が求められる一方、特許文献2に記載の発明のような、より効率的な施工を実現し得るための施工管理方法も求められている。
【0009】
例えば、路盤、路床の施工管理方法に関して、含水比は重要な管理項目である。一例を挙げると、現場試験時において、含水比が高い原料土で改良製作した場合、不適合品となる場合がある。また、施工時において転圧を行う際、含水比が高いと、団粒構造が破壊されるおそれがあり、逆に含水比が低いと、加水装置を用いた散水が必要になる。
【0010】
よって、本発明は、含水比を適切に管理し得る路盤、路床の施工管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る施工管理方法は、現場試験時において、改良前の原料土の含水比を測定し、当該改良前の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、改良後の原料土の含水比を測定し、当該改良後の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、改良されて養生中の原料土の含水比を測定し、当該養生中の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、養生後の原料土の含水比を測定し、当該養生後の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、を含む。
【0012】
これにより、原料土の含水比が、各工程において、測定・調整によって所定の範囲内になるように管理される。
【0013】
さらに、施工管理方法は、施工時において、舗設前の材料の含水比を測定し、当該舗設前の材料の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、舗設されて転圧前の材料の含水比を測定し、当該転圧前の材料の含水比が所定の範囲内になるように調整する工程と、を含むことが好ましい。
【0014】
そして、これら各工程における所定の範囲は、原料土の最適な含水比に基づいて求められることが好ましい。
【0015】
なお、施工管理方法は、現場試験時において、原料土を改良する際に、団粒化作用を有する高分子化合物を含む水溶液を散布して撹拌する工程を含むことが好ましい。
【0016】
特に、原料土と、セメント系固化材、中性固化材、マグネシウム系固化材からなる群のうち何れか1以上と、団粒化剤と、を混合した材料を使用することが好ましい。
【0017】
具体的には、団粒化剤として、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を用いたものを使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る施工管理方法は、斯かる構成により、原料土の含水比が、各工程において、測定・調整によって所定の範囲内になるように管理されるため、前述した例示や後述する例示のような、含水比が所定の範囲外である(含水比が高すぎる、または低すぎる)ことで発生する問題を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る施工管理方法を示す概略フロー図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る施工管理方法を示す概略フロー図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る施工管理方法を示す概略フロー図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る施工管理方法を示す概略フロー図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る施工管理方法を示す概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の内容に限定されない。
【0021】
[施工管理方法]
図1に示すように、本発明の実施形態に係る施工管理方法は、室内試験(ステップS100)、現場試験(ステップS200)、施工(ステップS300)、および完了検査(ステップS400)を含む。本発明の施工管理方法は、グラウンドなどの現場に施工される路盤、路床の施工管理方法に関するものであり、要するに、原料土を改良・養生する際に室内試験および現場試験を行い、改良・養生された材料(資材)を用いて施工し、最後に完了検査まで行う工程を管理するものである。
なお、原料土は土や砕石などであり、一例を挙げると、道路用砕石C-40(クラッシャーラン)などである。
【0022】
ここで、
図2は、室内試験時に行われる工程を示す概略フロー図であり、
図3は、現場試験時に行われる工程を示す概略フロー図であり、
図4は、施工時に行われる工程を示す概略フロー図であり、
図5は、完了検査時に行われる工程を示す概略フロー図である。
以下、各図面を参照して、本発明の実施形態に係る施工管理方法について説明する。
【0023】
[室内試験]
図2に示すように、室内試験時においては、母材(原料土)の土質試験が行われる(ステップS101)。具体的には、母材の粒度、密度、団粒化の程度などが測定される。また、室内試験時においては、突固め試験(突固めによる土の締め固め試験)が行われ、母材(原料土)の最適な含水比が求められる。
【0024】
突固め試験による最適含水比の求め方は、例えば、下記参考文献に記載の方法を用いることができる。
(参考文献)一般財団法人 日本建築総合試験所“突固めによる土の締め固め試験“
https://www.gbrc.or.jp/assets/test_series/documents/so_09.pdf
【0025】
なお、ここで求められた母材(原料土)の最適含水比は、望ましい含水比として、後の現場試験時や施工時に参考にすることができる。この具体的な手順については、後述の実施例にて説明する。
望ましい含水比の範囲(以下、「所定の範囲」ともいう)は、原料土の種類、含水比が測定される工程、含水比が測定される時の気温、湿度、天気、その他規則などに応じて適宜設定することができる。例えば、含水比が高い原料土で改良製作した場合は、規則に準じて不適合品となってしまうため、その不適合品となる含水比よりも低い値が最大値として設定される。
【0026】
[現場試験]
(1.機械のキャリブレーション試験)
次に、
図3に示すように、現場試験時においては、機械のキャリブレーション試験が行われる(ステップS201)。具体的には、原料土試験(原料土排出量試験)、固化材試験(固化材排出量試験)、液体試験(液体排出量試験)などが行われる。
【0027】
原料土試験や固化材試験は、機械(自走式土質改良機)排出試験とも呼ばれ、機械で設定している原料土(例えば、砕石)の体積および固化材(例えば、セメント)の重量と、実際に測定された数値との比較を行い、補正係数を求め、機械誤差を修正(キャリブレーション)するものである。
【0028】
また、液体試験は、加水装置排出量試験とも呼ばれ、機械(自走式土質改良機)に加水装置を接続し、機械の制御盤に表示されている水の量と、実際に出ている水の量との比較を行い、補正値を決定し、機械誤差を修正するものである。
【0029】
また、含水比増加率測定試験は、撹拌前の砕石の含水比の測定と、セメント添加~セメント撹拌後の含水比の測定とを行うことで、減水状況を把握すると共に、加水装置における加水量の目標値を把握するものである。
【0030】
また、配合設計におけるセメントの添加量は、締固めた状態のものに対する値であるが、自走式土質改良機は、ほぐした土に対する管理となる。そのため、ほぐした状態で材料締固めを行うことでその体積変化率を確認して(体積変化率試験)、自走式土質改良機でのセメントの添加量を決定する。
【0031】
なお、試験練りは、検査された自走式土質改良機の混合性能や機械的特性を把握すると共に、示方配合に基づき生産された混合物の性状から、混合条件を決定するために実施される。
【0032】
(2.含水比測定)
また、
図3に示すように、現場試験時においては、原料土の改良(ステップS212)や原料土の養生(ステップS214)が行われるが、併せて、各タイミングにおいて原料土の含水比の測定が行われる。
含水比の測定は、作業者が、既知の測定器を用いることで行われる。例えば、測定器として、ソイルアンドロックエンジニアリング株式会社製の「簡易型RI 水分計WARP-mini(NETIS登録番号:KK-210067-A)」を用いることができる。
【0033】
具体的には、まず、改良前の原料土に、含水比の測定が行われる(ステップS211)。そして、もし測定された改良前の原料土の含水比が所定の範囲外であれば、改良前の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する。
調整するとは、含水比が所定の範囲を超えて低い場合は、例えば加水装置により散水する。一方、含水比が所定の範囲を超えて高い場合は、例えば水分がなくなり、含水比が所定の範囲内になるまで放置する。このような含水比の調整には、その他既知の技術を用いることができる。
もちろん、測定された改良前の原料土の含水比が所定の範囲内であれば、調整する必要はない。
【0034】
同様に、改良後の原料土にも、含水比の測定が行われる(ステップS213)。そして、測定された改良後の原料土の含水比が所定の範囲外であれば、改良後の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する。
【0035】
さらに、改良されて養生中の原料土にも、含水比の測定が行われる(ステップS214)。そして、測定された養生中の原料土の含水比が所定の範囲外であれば、養生中の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する。
【0036】
なお、養生中における含水比の測定のタイミングは、適宜設定することができる。例えば、養生期間が3日間であれば、半分経過したところ(36時間経過後)で測定したり、測定するタイミングを複数回設けたりしてもよい。
【0037】
加えて、養生後の原料土にも、含水比の測定が行われる(ステップS215)。そして、測定された養生後の原料土の含水比が所定の範囲外であれば、養生後の原料土の含水比が所定の範囲内になるように調整する。
【0038】
以上のように、現場試験における含水比の測定および含水比の調整について説明したが、この測定・調整のタイミングは、適宜変更することができる。例えば、一部のタイミングにおける測定・調整(養生中における測定・調整)を省くことができる。
また、各タイミングで作業者により測定された含水比は、パソコンやタブレット、スマートフォンなどといった管理端末の記憶手段に記憶される。このような情報は、管理端末に収集して記憶され、表計算ソフトなどにより一元管理(可視化、共有)される。
【0039】
このように、本発明の施工管理方法は、含水比を適切に管理し得る路盤、路床の施工管理方法であるため、従来の方法より効率的な施工を実現し得る施工管理方法である。
例えば、学校のグラウンドに対して施工した場合、透水性が低すぎると、グラウンドに水たまりができやすくなってしまう。逆に、透水性が高すぎると、グラウンドがカラカラになり、運動し辛くなってしまう。
よって、本発明の施工管理方法によれば、測定・調整により含水比が所定の範囲内になるように適宜管理されるため、このような問題が生じることはない。
【0040】
なお、現場試験時、原料土を改良する際に(ステップS212)、団粒化作用を有する高分子化合物を含む水溶液を散布して撹拌する工程を含めることが好ましい。高分子化合物を含む水溶液として、例えば、有限会社グローバル研究所製のGB-2000を用いることができる。
【0041】
これにより、高分子化合物を含む水溶液が原料土に接触すると、団粒化作用によって、原料土の粒子が互いに結合して立体網目構造が形成される。また、施工時において舗設(ステップS303)や転圧(ステップS305)が行われた後、時間経過に伴って結合・連結が進行し、大小の間隙を有する多孔質状の粗大粒子が形成され、最終的にこれらの粗大粒子が固化された構造となるため、土壌(原料土、材料)の通気性、透水性や保水性を向上させることができる。
【0042】
特に、本発明の施工管理方法は、全国トース技術研究組合(All Japan Tohsu Technical Association in Civil engineering)が技術研究を行っているATTAC工法などのように、団粒構造の中の大きな隙間に水を入れ、細かな隙間で保水する工法においては、含水比の管理が重要となるため、非常に効果的である。
【0043】
[施工]
【0044】
それから、
図4に示すように、施工時においては、材料作成(ステップS301)、舗設(ステップS303)、転圧(ステップS305)、および不陸整正(ステップS306)などが行われる。施工時においても、併せて、各タイミングにおいて材料の含水比の測定が行われる。
【0045】
具体的には、舗設前に、材料の含水比の測定が行われる(ステップS302)。そして、測定された舗設前の材料の含水比が所定の範囲外であれば、舗設前の材料の含水比が所定の範囲内になるように調整する。
【0046】
また、転圧前に、材料の含水比の測定が行われる(ステップS304)。そして、測定された転圧前の材料の含水比が所定の範囲外であれば、転圧前の材料の含水比が所定の範囲内になるように調整する。
【0047】
もし含水比が高い状態で転圧すると、団粒構造が破壊される(空隙が潰れる)おそれがあり、逆に含水比が低いと、加水装置を用いた散水が必要になる。
よって、本発明の施工管理方法によれば、測定・調整により含水比が所定の範囲内になるように適宜管理されるため、このような問題が生じることはない。
【0048】
[完了検査]
最後に、
図5に示すように、完了検査時においては、完了試験としてプロクター貫入試験や透水試験などが行われる(ステップS401)。
【0049】
(実施例)
以下、母材(原料土)の最適含水比および各工程における望ましい含水比の実施例について説明するが、現場試験(室外)においては天気(雨、曇り)や温度・湿度の影響を受けるため、以下に示すパーセンテージは便宜上一桁かつ小数点第一位まで含む表現としているが、現場に応じた適切な値を適宜設定可能である。
【0050】
なお、本実施例において、原料土は「真砂土」であり、最適含水比は「X.X%」と仮定する。最適含水比は、原料土を購入する際に生産者から提出される試験結果報告書から得たり、前述した突固め試験を実施して得たりする。
【0051】
まず、改良前の真砂土に、含水比の測定が行われる(ステップS211)。施工可能な含水比は、A.A%~B.B%である。
最適含水比をX.X%とすると、測定された原料土(真砂土)の含水比がB.B%を超える場合、製造できない。これは、ATTAC工法においては、団粒構造に必要な加水工程を設ける必要があるためである。
【0052】
また、この際、含水比増加率測定試験(ステップS201)結果から立てられた計算式から、加水量が求められる。
【0053】
次に、改良後の真砂土に、含水比の測定が行われる(ステップS213)。目標とする(望ましい)含水比は、C.C%~D.D%である。
【0054】
そして、養生中の真砂土に、含水比の測定が行われる(ステップS214)。目標とする(望ましい)含水比は、最適含水比X.X%からE.E%~F.F%減された値である。
【0055】
さらに、養生後の真砂土に、含水比の測定が行われる(ステップS215)。目標とする(望ましい)含水比は、G.G%~H.H%であるが、G.G%未満であっても、その後の工程で散水することにより、所定の範囲(G.G%~H.H%)に調整することができる。
【0056】
なお、舗設前の材料および転圧前の材料に、それぞれ含水比の測定が行われ(ステップS302、S304)、この時の目標とする(望ましい)含水比は、養生後と同様の、G.G%~H.H%である。
【0057】
以上のように本発明の実施形態を説明したが、説明した実施形態はあくまで一例であり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、この内容に限定されない。
例えば、
図1~
図5に示した本発明の実施形態に係る施工管理方法を示す概略フロー図も、要旨を逸脱しない限り、フローの流れ(順番)を変えたり、並行して実施したりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、含水比を適切に管理することで、従来の方法より効率的な施工を実現し得る路盤、路床の施工管理方法であり、グラウンド、広場や公園など様々な現場における施工に広く利用することができるため、産業上有用である。