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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157291
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】チャージポンプ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
H02M3/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071572
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 瞭太
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS04
5H730BB02
5H730BB57
5H730DD03
5H730DD04
5H730FF09
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】チャージポンプ回路において必要なスイッチの数を減少させる。
【解決手段】入力部(41)と出力部(42)とを接続する第1経路(L1)に、第1スイッチ(SW1)と第1ダイオード(D1)との直列接続体(X)を備え、入力部と出力部とを接続し且つ第1経路に並列な第2経路(L2)に、接続点(N1)に接続された第2ダイオード(D2)と、第3ダイオード(D3)と、第3ダイオードと出力部との間に接続された第2スイッチ(SW2)とを備える。チャージポンプ回路(10)は、直列接続体の出力部側の端子(Xb)と基準電位(E)との間に接続された第3スイッチ(SW3)と、接続点(N3)と接続点(N4)との間に接続された第1コンデンサ(C1)と、接続点(N5)と基準電位との間に接続された第2コンデンサ(C2)と、第1~第3スイッチを接続状態及び遮断状態に切り替える駆動回路(30)と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部(41)から入力される入力電圧を上昇させて出力部(42)へ出力するチャージポンプ回路(10、110)であって、
前記入力部と前記出力部とを接続する第1経路(L1)に、第1スイッチ(SW1)と前記入力部側に自身のアノードが接続された第1ダイオード(D1)との直列接続体(X)を備え、
前記入力部と前記出力部とを接続し且つ前記第1経路に並列な第2経路(L2)に、前記入力部と前記直列接続体の前記入力部側の端子(Xa)との接続点(N1)に自身のアノードが接続された第2ダイオード(D2)と、前記第2ダイオードのカソードに自身のアノードが接続された第3ダイオード(D3)と、前記第3ダイオードのカソードと前記出力部との間に接続された第2スイッチ(SW2)とを備え、
前記直列接続体の前記出力部側の端子(Xb)と基準電位(E)との間に接続された第3スイッチ(SW3)と、
前記第2ダイオードのカソードと前記第3ダイオードのアノードとの接続点(N3)と、前記直列接続体の前記出力部側の端子と前記第3スイッチとの接続点(N4)との間に接続された第1コンデンサ(C1)と、
前記第3ダイオードのカソードと前記第2スイッチとの接続点(N5)と、前記基準電位との間に接続された第2コンデンサ(C2)と、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチを接続状態及び遮断状態に切り替える駆動回路(30)と、
を備える、チャージポンプ回路。
【請求項2】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び第3スイッチは、前記接続状態及び前記遮断状態を切り替える制御信号が入力される制御端子(SW1c、SW2c、SW3c)を備え、
前記駆動回路と前記第1スイッチの前記制御端子(SW1c)とを接続する第1制御線(Lc1)と、
前記第1制御線から分岐して前記第2スイッチの前記制御端子(SW2c)に接続された第2制御線(Lc2)と、を備える、請求項1に記載のチャージポンプ回路。
【請求項3】
前記駆動回路は、前記入力部からの前記入力電圧により前記第1コンデンサを充電する際に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを前記遮断状態に切り替え且つ前記第3スイッチを接続状態に切り替え、前記入力電圧よりも上昇させた出力電圧を前記出力部へ出力する際に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを接続状態に切り替え且つ前記第3スイッチを遮断状態に切り替える、請求項1又は2に記載のチャージポンプ回路。
【請求項4】
前記第2ダイオード、前記第3ダイオード、前記第1コンデンサ、及び前記第2コンデンサは単位回路(61、62)を構成し、
前記入力部、前記第1スイッチ、前記第1ダイオード、及び前記第3スイッチと、前記第2スイッチ及び前記出力部との間に、互いに直列に接続された複数の前記単位回路を備える、請求項1又は2に記載のチャージポンプ回路。
【請求項5】
前記出力部はパワー半導体の制御端子であり、
前記パワー半導体の前記制御端子に前記基準電位よりも高い所定電圧が印加されることを条件として、前記パワー半導体は遮断状態から接続状態に切り替えられる、請求項1又は2に記載のチャージポンプ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージポンプ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、第1及び第2のコンデンサと第1~第4のスイッチとを有する昇圧回路と、第1~第4のスイッチを駆動する駆動回路と、を備えるチャージポンプ回路がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-216813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のチャージポンプ回路は、一般的にダイオードよりも高価なスイッチを4つ必要としている。そして、特許文献1に記載のチャージポンプ回路は、4つのスイッチを制御する必要があるため、制御が煩雑になるおそれがあり、未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、チャージポンプ回路において必要なスイッチの数を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
入力部(41)から入力される入力電圧を上昇させて出力部(42)へ出力するチャージポンプ回路(10、110)であって、
前記入力部と前記出力部とを接続する第1経路(L1)に、第1スイッチ(SW1)と前記入力部側に自身のアノードが接続された第1ダイオード(D1)との直列接続体(X)を備え、
前記入力部と前記出力部とを接続し且つ前記第1経路に並列な第2経路(L2)に、前記入力部と前記直列接続体の前記入力部側の端子(Xa)との接続点(N1)に自身のアノードが接続された第2ダイオード(D2)と、前記第2ダイオードのカソードに自身のアノードが接続された第3ダイオード(D3)と、前記第3ダイオードのカソードと前記出力部との間に接続された第2スイッチ(SW2)とを備え、
前記直列接続体の前記出力部側の端子(Xb)と基準電位(E)との間に接続された第3スイッチ(SW3)と、
前記第2ダイオードのカソードと前記第3ダイオードのアノードとの接続点(N3)と、前記直列接続体の前記出力部側の端子と前記第3スイッチとの接続点(N4)との間に接続された第1コンデンサ(C1)と、
前記第3ダイオードのカソードと前記第2スイッチとの接続点(N5)と、前記基準電位との間に接続された第2コンデンサ(C2)と、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチを接続状態及び遮断状態に切り替える駆動回路(30)と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、第2コンデンサの第1電極(一方の電極)は第3ダイオード及び第2ダイオードを介して入力部に接続され、第2コンデンサの第2電極(他方の電極)は基準電位に接続されている。このため、駆動回路により、第2スイッチを遮断状態に切り替えることで、入力部からの入力電圧により第2コンデンサを充電することができる。また、第1コンデンサの第1電極(一方の電極)は第2ダイオードを介して入力部に接続され、第1コンデンサの第2電極(他方の電極)は第3スイッチを介して基準電位に接続されている。このため、駆動回路により、第1スイッチ及び第2スイッチを遮断状態に切り替え、第3スイッチを接続状態に切り替えることで、入力部からの入力電圧により第1コンデンサを充電することができる。
【0008】
第1コンデンサの第2電極は直列接続体を介して入力部に接続され、第1コンデンサの第1電極は第3ダイオード及び第2スイッチを介して出力部に接続されている。このため、駆動回路により、第1スイッチ及び第2スイッチを接続状態に切り替え、第3スイッチを遮断状態に切り替えることで、第1コンデンサの第2電極の電位が入力部からの入力電圧まで持ち上げられる。さらに、第1コンデンサの第1電極に蓄積された電荷が第2コンデンサの第1電極へ移動するため、第2コンデンサの第1電極の電位を入力部からの入力電圧よりも上昇させることができる。そして、入力部からの入力電圧よりも上昇した電圧を、第2コンデンサの第1電極から出力部へ出力することができる。したがって、特許文献1に記載のチャージポンプ回路が4つのスイッチを必要とするのに対して、チャージポンプ回路による昇圧電圧の出力を可能としつつ、必要なスイッチの数を3つに減少させることができる。
【0009】
第1コンデンサの充電時において第1スイッチ及び第2スイッチは共に遮断状態に切り替えられ、第2コンデンサからの昇圧電圧の出力時において第1スイッチ及び第2スイッチは共に接続状態に切り替えられる。このため、第1コンデンサの充電時において第1スイッチ及び第2スイッチを遮断状態に切り替える同一の制御信号により制御し、第2コンデンサからの昇圧電圧の出力時において第1スイッチ及び第2スイッチを接続状態に切り替える同一の制御信号により制御することができる。
【0010】
この点、第2の手段では、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び第3スイッチは、前記接続状態及び前記遮断状態を切り替える制御信号が入力される制御端子(SW1c、SW2c、SW3c)を備え、前記駆動回路と前記第1スイッチの前記制御端子(SW1c)とを接続する第1制御線(Lc1)と、前記第1制御線から分岐して前記第2スイッチの前記制御端子(SW2c)に接続された第2制御線(Lc2)と、を備える。こうした構成によれば、第1スイッチ及び第2スイッチをまとめて遮断状態又は接続状態に切り替えることができ、駆動回路による制御を簡素化することができる。さらに、駆動回路に直接接続される制御線の数を削減することができる。
【0011】
第3の手段では、前記駆動回路は、前記入力部からの前記入力電圧により前記第1コンデンサを充電する際に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを前記遮断状態に切り替え且つ前記第3スイッチを接続状態に切り替え、前記入力電圧よりも上昇させた出力電圧を前記出力部へ出力する際に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを接続状態に切り替え且つ前記第3スイッチを遮断状態に切り替える。
【0012】
上記構成によれば、前記駆動回路は、前記入力部からの前記入力電圧により前記第1コンデンサを充電する際に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを前記遮断状態に切り替え且つ前記第3スイッチを接続状態に切り替える。このため、入力部からの入力電圧により第1コンデンサを充電するとともに、出力部への出力電圧の出力を停止させることができる。また、前記駆動回路は、前記入力電圧よりも上昇させた出力電圧を前記出力部へ出力する際に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを接続状態に切り替え且つ前記第3スイッチを遮断状態に切り替える。このため、第2コンデンサの第1電極の電圧を上昇させるとともに、入力電圧よりも上昇させた出力電圧を出力部へ出力することができる。
【0013】
第4の手段では、前記第2ダイオード、前記第3ダイオード、前記第1コンデンサ、及び前記第2コンデンサは単位回路(61、62)を構成し、前記入力部、前記第1スイッチ、前記第1ダイオード、及び前記第3スイッチと、前記第2スイッチ及び前記出力部との間に、互いに直列に接続された複数の前記単位回路を備える。こうした構成によれば、複数の前記単位回路において、後段の単位回路は前段の単位回路の出力電圧を入力電圧として入力し、昇圧させてさらに後段の単位回路又は出力部へ出力することができる。このとき、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを前記遮断状態に切り替え且つ前記第3スイッチを接続状態に切り替えることで、複数の単位回路において同時に第1コンデンサを充電することができる。また、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを接続状態に切り替え且つ前記第3スイッチを遮断状態に切り替えることで、複数の単位回路において同時に昇圧動作及び昇圧電圧の出力動作を行うことができる。したがって、複数の単位回路を備える場合であっても、第1スイッチ、第2スイッチ、及び第3スイッチの3つのスイッチにより、充電動作、昇圧動作、及び出力動作を行うことができる。
【0014】
第5の手段では、前記出力部はパワー半導体の制御端子であり、前記パワー半導体の前記制御端子に前記基準電位よりも高い所定電圧が印加されることを条件として、前記パワー半導体は遮断状態から接続状態に切り替えられる。こうした構成によれば、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを前記遮断状態に切り替え且つ前記第3スイッチを接続状態に切り替えることで、前記第1コンデンサを充電するとともにパワー半導体の制御端子の電圧を低下させることができる。また、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを接続状態に切り替え且つ前記第3スイッチを遮断状態に切り替えることで、入力電圧を上昇させた出力電圧をパワー半導体の制御端子に印加することができる。したがって、チャージポンプ回路によりパワー半導体の駆動回路を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】チャージポンプ回路の回路図。
図2】チャージポンプ回路の動作手順を示すフローチャート。
図3】チャージポンプ回路の充電動作を示す回路図。
図4】チャージポンプ回路の昇圧動作及び出力動作を示す回路図。
図5】比較例のチャージポンプ回路の回路図。
図6】比較例のパワーMOSFETのゲート電圧を示すタイミングチャート。
図7】パワーMOSのゲート電圧を示すタイミングチャート。
図8】チャージポンプ回路の変更例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、パワー半導体を駆動する駆動回路に具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1に示すように、チャージポンプ回路10(パワー半導体の駆動回路)は、昇圧回路20及び制御装置30を備えている。入力部41は、例えばバッテリ、電源回路等であり、昇圧回路20へ所定の入力電圧V1を入力する。昇圧回路20は、入力部41から入力される入力電圧V1を上昇させて、出力電圧V2として出力部42へ出力する。出力部42は、例えばパワー半導体の制御端子である。ここでは、パワー半導体としてNチャネルのパワーMOSFETを例にして説明する。出力部42は、パワーMOSFETのゲート端子(制御端子)であり、抵抗R1を介して昇圧回路20に接続されている。パワーMOSFETのドレイン端子は高圧側配線51に接続され、パワーMOSFETのソース端子は低圧側配線52を介して基準電位Eに接続されている。パワーMOSFETのゲート端子に基準電位Eよりも高い所定電圧が印加されることを条件として、パワーMOSFETは遮断状態から接続状態に切り替えられる。
【0018】
昇圧回路20は、第1経路L1、第2経路L2、第1スイッチSW1~第3スイッチSW3、第1ダイオードD1~第3ダイオードD3、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、及び第1制御線Lc1~第3制御線Lc3等を備えている。第1スイッチSW1~第3スイッチSW3は、例えばFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、リレー、トランス等であり、制御装置30から送信される制御信号により接続状態及び遮断状態に切り替えられる。以下、第1スイッチSW1~第3スイッチSW3のドレイン及びソース(若しくはエミッタ及びコレクタ)等を電流端子と呼び、ゲート(若しくはベース)等を制御端子と呼ぶ。第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は、例えば電界コンデンサ、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ等のコンデンサである。
【0019】
第1経路L1及び第2経路L2は、入力部41と出力部42との間に並列に接続されている。すなわち、第1経路L1は入力部41と出力部42とを接続しており、第2経路L2は入力部41と出力部42とを接続し且つ第1経路L1に並列である。
【0020】
第1経路L1には、第1スイッチSW1と第1ダイオードD1との直列接続体Xが設けられている。直列接続体Xは、第1スイッチSW1と第1ダイオードD1とを直列に接続して形成されている。例えば、第1スイッチSW1の一方の電流端子は入力部41に接続され、第1スイッチSW1の他方の電流端子は第1ダイオードD1のアノードに接続されている。すなわち、第1ダイオードD1のアノードは入力部41側に接続され、第1ダイオードD1のカソードは出力部42側に接続されている。第1スイッチSW1の制御端子SW1cは、第1制御線Lc1により制御装置30のポートAに接続されている。なお、直列接続体Xにおいて、第1スイッチSW1と第1ダイオードD1とを入れ替えることもできる。
【0021】
第2経路L2には、第2ダイオードD2、第3ダイオードD3、及び第2スイッチSW2が設けられている。第2ダイオードD2のアノードは、入力部41と直列接続体Xの入力部側の端子Xaとの接続点N1に接続されている。第2ダイオードD2のカソードは、第3ダイオードD3のアノードに接続されている。第2スイッチSW2の一方の電流端子は第3ダイオードD3のカソードに接続され、第2スイッチSW2の他方の電流端子は抵抗R1を介して出力部42に接続されている。すなわち、第2スイッチSW2は、第3ダイオードD3のカソードと出力部42との間に接続されている。第2スイッチSW2の制御端子SW2cは、第1スイッチSW1の制御端子SW1cと制御装置30のポートAとの接続点N2に第2制御線Lc2により接続されている。すなわち、第2制御線Lc2は、第1制御線Lc1から分岐して第2スイッチSW2の制御端子SW2cに接続されている。
【0022】
第3スイッチSW3の一方の電流端子は直列接続体Xの出力部42側の端子Xb、第1コンデンサC1の第2電極C1b、及び出力部42に接続され、第3スイッチSW3の他方の電流端子は基準電位Eに接続されている。すなわち、第3スイッチSW3は、直列接続体Xの出力部42側の端子Xbと基準電位Eとの間に接続されている。第3スイッチSW3の制御端子SW3cは、第3制御線Lc3により制御装置30のポートBに接続されている。
【0023】
第1コンデンサC1の第1電極C1a(一方の電極)は第2ダイオードD2のカソードと第3ダイオードD3のアノードとの接続点N3に接続され、第1コンデンサC1の第2電極C1b(他方の電極)は直列接続体Xの出力部42側の端子Xbと第3スイッチSW3の一方の電流端子との接続点N4に接続されている。すなわち、第1コンデンサC1は、第2ダイオードD2のカソードと第3ダイオードD3のアノードとの接続点N3と、直列接続体Xの出力部42側の端子Xbと第3スイッチSW3との接続点N4との間に接続されている。
【0024】
第2コンデンサC2の第1電極C2a(一方の電極)は第3ダイオードD3のカソードと第2スイッチSW2の一方の電流端子との接続点N5に接続され、第2コンデンサC2の第2電極C2b(他方の電極)は基準電位Eに接続されている。すなわち、第2コンデンサC2は、第3ダイオードD3のカソードと第2スイッチSW2との接続点N5と、基準電位Eとの間に接続されている。
【0025】
制御装置30(駆動回路)は、例えばCPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータとして構成されている。制御装置30は、ポートAから第1制御線Lc1へ制御信号を送信し、且つ第1制御線Lc1を介して第2制御線Lc2へ制御信号を送信することにより、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を共に接続状態及び遮断状態に切り替える。すなわち、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、共通の制御信号により、同時に接続状態(ON状態)に切り替えられる、又は同時に遮断状態(OFF状態)に切り替えられる。また、制御装置30は、ポートBから第3制御線Lc3へ制御信号を送信することにより、第3スイッチSW3を接続状態(ON状態)及び遮断状態(OFF状態)に切り替える。なお、制御装置30に代えて、第1スイッチSW1~第3スイッチSW3を制御する専用の駆動IC(駆動回路)を採用することもできる。
【0026】
図2は、チャージポンプ回路10の動作手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、出力部42をゲート端子とするパワーMOSFETをOFF(遮断)した後にON(接続)する際に制御装置30により実行される。
【0027】
まず、図3に示すように、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をOFF(遮断)し、第3スイッチSW3をON(接続)する(S10)。これにより、第2コンデンサC2から出力部42への電圧印加を停止させる(S11)。それと共に、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2を、入力部41からの入力電圧V1により充電する(S12)。
【0028】
続いて、図4に示すように、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をON(接続)し、第3スイッチSW3をOFF(遮断)する(S13)。これにより、第2コンデンサC2から出力部42への電圧印加を開始させる(S14)。それと共に、第1コンデンサC1の第2電極C1bの電圧を入力電圧V1まで持ち上げ、上昇させた電圧(昇圧電圧)により第2コンデンサC2を充電するとともに第2コンデンサC2から出力部42へ昇圧電圧を印加させる(S15)。その後、この一連の処理を終了する(END)。なお、S10~S12の処理の後に、任意のタイミングでS13~S15の処理を実行することができる。また、S13~S15の処理の後に、任意のタイミングで再度S10~S12の処理を実行することができる。
【0029】
図5は、比較例のチャージポンプ回路910の回路図である。図1の部材と同一の機能を有する部材には、基本的に図1の符号と同一の符号を付している。チャージポンプ回路910は、第1スイッチSW1~第4スイッチSW4、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、第1コンデンサC1、第1制御線Lc1~第4制御線Lc4、及び制御装置930等を備えている。入力部41及び出力部42は、図1と同一である。すなわち、出力部42は、パワーMOSFETのゲート端子(制御端子)である。チャージポンプ回路910の回路構成は図5に示す通りであり、詳細な説明は省略する。
【0030】
図6は、図5の比較例におけるパワーMOSFETのゲート電圧を示すタイミングチャートである。なお、時刻t11になる直前において、第1スイッチSW1はOFF状態(切断状態)であり、第2スイッチSW2はOFF状態であり、第3スイッチSW3はON状態(接続状態)であり、第4スイッチSW4はON状態である。
【0031】
時刻t11において、第3スイッチSW3がOFF(遮断)されると、ゲート端子(出力部42)からの電荷抜き取りが停止される。時刻t12において、第1スイッチSW1がON(接続)されると、ゲート端子に入力部41からの入力電圧V1が印加される。時刻t13において、第4スイッチSW4がOFFされると、第1コンデンサC1の充電が停止される。時刻t14において、第2スイッチSW2がONされると、第1コンデンサC1の第2電極C1bの電圧が入力電圧V1まで持ち上げられ、上昇させられた電圧(出力電圧V2)がゲート端子へ印加される。これにより、パワーMOSFETがON(接続)される。
【0032】
時刻t15において、第2スイッチSW2がOFFされると、第1コンデンサC1の第2電極C1bへの入力電圧V1の印加が停止される。時刻t16において、第1スイッチSW1がOFFされると、ゲート端子への入力電圧V1の印加が停止される。時刻t17において、第3スイッチSW3がONされると、ゲート端子が第4スイッチSW4に接続される。時刻t18において、第4スイッチSW4がONされると、ゲート端子が第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4を介して基準電位Eに接続される。これにより、ゲート端子から電荷が抜き取られ、パワーMOSFETがOFFされる。
【0033】
図7は、図1の本実施形態におけるパワーMOSFETのゲート電圧を示すタイミングチャートである。なお、時刻t21になる直前において、第1スイッチSW1はOFF状態(切断状態)であり、第2スイッチSW2はOFF状態であり、第3スイッチSW3はON状態(接続状態)である。
【0034】
時刻t21において、第3スイッチSW3がOFF(遮断)されると、ゲート端子(出力部42)からの電荷抜き取りが停止されるとともに、第1コンデンサC1の充電が停止される。時刻t22において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がON(接続)されると、第1コンデンサC1の第2電極C1bの電圧が入力電圧V1まで持ち上げられ、上昇させられた電圧(出力電圧V2)がゲート端子へ印加される。これにより、パワーMOSFETがON(接続)される。
【0035】
時刻t23において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がOFFされると、第1コンデンサC1の第2電極C1bへの入力電圧V1の印加が停止されるとともに、ゲート端子への出力電圧V2の印加が停止される。時刻t24において、第3スイッチSW3がONされると、ゲート端子が第3スイッチSW3を介して基準電位Eに接続される。これにより、ゲート端子から電荷が抜き取られ、パワーMOSFETがOFFされる。
【0036】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0037】
・第2コンデンサC2の第1電極C2a(一方の電極)は第3ダイオードD3及び第2ダイオードD2を介して入力部41に接続され、第2コンデンサC2の第2電極C2b(他方の電極)は基準電位Eに接続されている。このため、制御装置30により、第2スイッチSW2を遮断状態(OFF状態)に切り替えることで、入力部41からの入力電圧V1により第2コンデンサC2を充電することができる。また、第1コンデンサC1の第1電極C1a(一方の電極)は第2ダイオードD2を介して入力部41に接続され、第1コンデンサC1の第2電極C1b(他方の電極)は第3スイッチSW3を介して基準電位Eに接続されている。このため、制御装置30により、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を遮断状態に切り替え、第3スイッチSW3を接続状態(ON状態)に切り替えることで、入力部41からの入力電圧V1により第1コンデンサC1を充電することができる。
【0038】
・第1コンデンサC1の第2電極C1bは直列接続体Xを介して入力部41に接続され、第1コンデンサC1の第1電極C1aは第3ダイオードD3及び第2スイッチSW2を介して出力部42に接続されている。このため、制御装置30により、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を接続状態に切り替え、第3スイッチSW3を遮断状態に切り替えることで、第1コンデンサC1の第2電極C1bの電位が入力部41からの入力電圧V1まで持ち上げられる。さらに、第1コンデンサC1の第1電極C1aに蓄積された電荷が第2コンデンサC2の第1電極C2aへ移動するため、第2コンデンサC2の第1電極C2aの電位を入力部41からの入力電圧V1よりも上昇させることができる。そして、入力部41からの入力電圧V1よりも上昇した出力電圧V2(昇圧電圧)を、第2コンデンサC2の第1電極C2aから出力部42へ出力することができる。したがって、特許文献1に記載のチャージポンプ回路及び比較例のチャージポンプ回路910が4つのスイッチを必要とするのに対して、チャージポンプ回路10による昇圧電圧の出力を可能としつつ、必要なスイッチの数を3つに減少させることができる。
【0039】
・第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、接続状態及び遮断状態を切り替える制御信号が入力される制御端子SW1c,SW2c,SW3cをそれぞれ備え、チャージポンプ回路10は、制御装置30と第1スイッチSW1の制御端子SW1cとを接続する第1制御線Lc1と、第1制御線Lc1から分岐して第2スイッチSW2の制御端子SW2cに接続された第2制御線Lc2と、を備える。こうした構成によれば、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をまとめて遮断状態又は接続状態に切り替えることができ、制御装置30による制御を簡素化することができる。さらに、制御装置30に直接接続される制御線の数を削減することができる。
【0040】
・制御装置30は、入力部41からの入力電圧V1により第1コンデンサC1を充電する際に、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を遮断状態に切り替え且つ第3スイッチSW3を接続状態に切り替える。このため、入力部41からの入力電圧V1により第1コンデンサC1を充電するとともに、出力部42への出力電圧V2の出力を停止させることができる。また、制御装置30は、入力電圧V1よりも上昇させた出力電圧V2を出力部42へ出力する際に、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を接続状態に切り替え且つ第3スイッチSW3を遮断状態に切り替える。このため、第2コンデンサC2の第1電極C2aの電圧を上昇させるとともに、入力電圧V1よりも上昇させた出力電圧V2を出力部42へ出力することができる。
【0041】
・出力部42はパワーMOSFET(パワー半導体)のゲート端子(制御端子)であり、パワーMOSFETのゲート端子に基準電位Eよりも高い所定電圧が印加されることを条件として、パワーMOSFETは遮断状態から接続状態に切り替えられる。こうした構成によれば、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を遮断状態に切り替え且つ第3スイッチSW3を接続状態に切り替えることで、第1コンデンサC1を充電するとともにパワーMOSFETのゲート端子の電圧を低下させることができる。また、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を接続状態に切り替え且つ第3スイッチSW3を遮断状態に切り替えることで、入力電圧V1を上昇させた出力電圧V2をパワーMOSFETのゲート端子に印加することができる。したがって、チャージポンプ回路10によりパワーMOSFETの駆動回路を容易に構成することができる。
【0042】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0043】
・第2スイッチSW2の制御端子SW2cは、第1制御線Lc1から独立した制御線により制御装置30のポートに接続されていてもよい。そして、制御装置30は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に同一の制御信号をそれぞれ送信してもよい。
【0044】
図8に示すように、第2ダイオードD2、第3ダイオードD3、第1コンデンサC1、及び第2コンデンサC2により、単位回路を構成することができる。そして、昇圧回路120(チャージポンプ回路110)は、入力部41、第1スイッチSW1、第1ダイオードD1、及び第3スイッチSW3と、第2スイッチSW2及び出力部42との間に、互いに直列に接続された単位回路61,62(複数の単位回路)を備えていてもよい。図8では、入力部41、第1スイッチSW1、第1ダイオードD1、及び第3スイッチSW3に単位回路61の入力側が接続され、単位回路61の出力側に単位回路62の入力側が接続され、単位回路62の出力側に第2スイッチSW2及び出力部42が接続されている。
【0045】
上記構成によれば、単位回路61,62において、後段の単位回路62は前段の単位回路61の出力電圧V2を入力電圧として入力し、昇圧させて出力部42(又はさらに後段の単位回路)へ出力することができる。このとき、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を遮断状態に切り替え且つ第3スイッチSW3を接続状態に切り替えることで、単位回路61,62において同時に第1コンデンサC1を充電することができる。また、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を接続状態に切り替え且つ第3スイッチSW3を遮断状態に切り替えることで、単位回路61,62において同時に昇圧動作及び昇圧電圧の出力動作を行うことができる。したがって、単位回路61,62(複数の単位回路)を備える場合であっても、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3の3つのスイッチにより、充電動作、昇圧動作、及び出力動作を行うことができる。なお、チャージポンプ回路110は、3つ以上の単位回路を備えていてもよい。
【0046】
・出力部42は、パワー半導体の制御端子に限らず、コンデンサ、トランス(コイル)、LED等であってもよい。すなわち、出力部42は、チャージポンプ回路10,110により昇圧された昇圧電圧を利用可能な素子、機器等であればよい。
【符号の説明】
【0047】
10…チャージポンプ回路、20…昇圧回路、30…制御装置、41…入力部、42…出力部、110…チャージポンプ回路、120…昇圧回路、C1…第1コンデンサ、C2…第2コンデンサ、D1…第1ダイオード、D2…第2ダイオード、D3…第3ダイオード、E…基準電位、L1…第1経路、L2…第2経路、N1…接続点、N2…接続点、N3…接続点、N4…接続点、N5…接続点、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ、SW3…第3スイッチ、X…直列接続体、Xa…端子、Xb…端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8