IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社写真化学の特許一覧

<>
  • 特開-菌体観察装置 図1
  • 特開-菌体観察装置 図2
  • 特開-菌体観察装置 図3
  • 特開-菌体観察装置 図4
  • 特開-菌体観察装置 図5
  • 特開-菌体観察装置 図6
  • 特開-菌体観察装置 図7
  • 特開-菌体観察装置 図8
  • 特開-菌体観察装置 図9
  • 特開-菌体観察装置 図10
  • 特開-菌体観察装置 図11
  • 特開-菌体観察装置 図12
  • 特開-菌体観察装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157296
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】菌体観察装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20241030BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20241030BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20241030BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20241030BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C12M1/34 A
G01N21/17 A
G01N21/01 D
G02B21/00
G02B21/36
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071578
(22)【出願日】2023-04-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000145286
【氏名又は名称】株式会社写真化学
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】下関 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】楠田 達文
(72)【発明者】
【氏名】市川 啓太
【テーマコード(参考)】
2G059
2H052
4B029
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB20
2G059CC20
2G059EE02
2G059FF01
2G059JJ30
2G059KK04
2G059LL10
2H052AA09
2H052AC01
2H052AC30
2H052AF14
4B029AA07
4B029BB01
4B029FA01
4B029FA09
(57)【要約】
【課題】暗視野と明視野とを簡単且つ正確に切換えることができる菌体観察装置を提供する。
【解決手段】菌体5及び培地4が収容された容器3を載置する載置領域8を有する調光板6と、調光板6を介して容器3に光を照射する光照射機構10と、光照射機構10から射出され、調光板6又は菌体5で拡散された光を撮像する撮像機構20とを備えた菌体観察装置100であって、平面視で、載置領域8と撮像機構20とが重なる位置に配置され、調光板6は電圧の印加状態に応じて透明状態と拡散状態とに切換可能であり、光照射機構10は、透明状態の調光板6の載置領域8が撮像機構20に対して暗視野となる方向に光を射出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
菌体及び培地が収容された容器を載置する載置領域を有する調光板と、
前記調光板を介して前記容器に光を照射する光照射機構と、
前記光照射機構から射出され、前記調光板又は前記菌体で拡散された光を撮像する撮像機構とを備えた菌体観察装置であって、
平面視で、前記載置領域と前記撮像機構とが重なる位置に配置され、
前記調光板は、電圧の印加状態に応じて透明状態と拡散状態とに切換可能であり、
前記光照射機構は、前記透明状態の前記調光板の前記載置領域が前記撮像機構に対して暗視野となる方向に光を射出する菌体観察装置。
【請求項2】
平面視で、前記載置領域と重なる位置に配置された開口部を有するシェードを更に備え、
前記光照射機構は、
平面視で、前記開口部と重ならないように、前記開口部よりも外側の位置に配置された光源を備えている請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項3】
前記光照射機構は、
平面視で、前記調光板と重なる位置に配置された光源と、
前記光源と前記調光板との間に配置されたシェードと、
平面視で、前記光源及び前記シェードの外側に配置され、前記光源からの光を前記調光板に向けて反射するミラーと、を備えている請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項4】
前記調光板のヘイズ値は、前記透明状態では70%以下であり、前記拡散状態では80%以上である請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項5】
前記調光板は、
1枚又は複数枚のガラス基板又は透明樹脂基板と、
1枚又は複数枚の調光フィルムと、
を備え、
前記1枚又は複数枚の調光フィルムの各々は、前記1枚又は複数枚のガラス基板又は透明樹脂基板の何れかの表面に配置されている請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項6】
側面視で前記載置領域に対して前記光照射機構とは反対側の前記容器が配置された側には、平面視で前記撮像機構の外側の位置に、前記調光板を介さずに前記容器に光を照射可能な第2光照射機構を備える請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項7】
透明蛍光体を含み、菌体及び培地が収容された容器を載置する載置領域を有する蛍光体板と、
選択的に、前記蛍光体板を介した前記容器への可視光照射と前記蛍光体板への励起光照射とを切換えることが可能な光照射機構と、
前記光照射機構から射出され、前記菌体で拡散された可視光及び前記蛍光体板からの蛍光光を撮像する撮像機構とを備えた菌体観察装置であって、
平面視で、前記載置領域と前記撮像機構とが重なる位置に配置され、
前記蛍光体板は、前記励起光を受光することにより前記蛍光光を射出し、
前記光照射機構は、前記蛍光体板の前記載置領域が前記撮像機構に対して暗視野となる方向に前記可視光を射出する、菌体観察装置。
【請求項8】
前記容器が置き直されることなく前記載置領域に載置された状態で、前記調光板又は前記光照射機構を制御して、前記調光板の状態又は前記光照射機構の射出光を切換え、前記撮像機構を制御して、前記調光板が前記透明状態である場合又は前記光照射機構から前記可視光が射出された場合の暗視野での撮像画像、及び前記調光板が前記拡散状態である場合又は前記光照射機構から前記励起光が照射された場合の明視野での撮像画像を取得し、
前記暗視野での撮像画像及び前記明視野での撮像画像を含む複数の撮像画像に基づいて前記菌体を計測する制御部を更に備える請求項1~7の何れか一項に記載の菌体観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、菌体及び培地が収容された容器を載置可能であり、容器に光を照射して撮像する菌体観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
菌体観察装置として、例えば、特許文献1(特開2006-345750号公報)には、シャーレの中の培地で培養した細菌や微生物等のコロニー数を計数する装置が開示されている。この装置は、特許文献1の図2に示すように、架台と、架台の上部に設けられる支え板と、支え板に固定された拡散板と、支え板及び拡散板の下方に配置され、平行板を介して拡散板の上部に配置されたシャーレに光を照射する照明装置と、支え板の上方に配置され、シャーレの底面からの光を撮影可能なCCDカメラとを備えている。さらに、この装置では、CCDカメラからの撮影画像データをデータ処理して、培地中のコロニー数を計数するデータ処理装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-345750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、菌体や培地の種類によって、菌体や培地に照射する光の状態や撮像機構が受光する光の状態を変更することで、菌体のコロニーをより観察しやすい撮像画像を得ることができる菌体観察装置が考えられる。
このような構成の菌体観察装置は、菌体の培地が収容された容器を載置可能な載置部と、載置部の開口部を介して容器に光を照射する光照射機構と、載置部に載置された容器を透過した光を撮像する撮像機構とを備え、平面視で、容器と開口部と撮像機構とが重なる位置に配置され、光照射機構は、開口部を介して容器に照射する光を、容器が載置された載置面に直交する方向に対して傾斜した方向から照射するように構成されている。より詳細には、光照射機構から射出され容器又は容器の載置領域を透過した非拡散光が撮像機構に直接入射しない様に構成されている。
【0005】
このような菌体観察装置では、載置部の開口部に何も配置されていない場合、或いは、透過率が比較的高く且つ白濁度が比較的低いガラスや樹脂等が配置されている場合には、傾斜した方向に沿って進んで開口部に入射した光の大半は、入射時の角度から大きく変化することなく容器を透過するため、容器の上方に位置する撮像機構に入射しないことになる。ただし、容器を透過する際に培地中の菌体のコロニーに当たった光は、特にコロニーの側面で拡散(本開示においては散乱及び反射を含む。)し、容器の上方に位置する撮像機構の方向に拡散した光が当該撮像機構に入射することになる。そのため、撮像機構で撮像される画像は、全体が黒っぽくなり、菌体のコロニーの輪郭が白く映る暗視野の画像となる。
この暗視野の画像は、半透明な培地に透明や白い菌体のコロニーが見えるような場合に用いることができる。
【0006】
一方で、載置部の開口部に、白濁度が比較的高いガラス等が配置されている場合には、傾斜した方向に沿って進んで開口部に入射した光は拡散した後に容器を透過する。この光のうち、容器の上方に位置する撮像機構の方向に拡散した光が当該撮像機構に入射する。ただし、菌体のコロニーの光吸収率は他の部分の光吸収率に比べて大きいので、コロニーを通過して撮像機構に入射する光は減少する。そのため、撮像機構で撮像される画像は、全体が明るくなり、菌体のコロニーが相対的に暗く映る明視野の画像となる。
この明視野の画像は、半透明な培地に黒っぽい菌体のコロニーが見えるような場合に用いることができる。
【0007】
このように、菌体観察装置において、暗視野と明視野とを切換える場合には、載置部の開口部の状態を変化させる必要がある。例えば、載置部の開口部に設けたガラス等を、暗視野用のガラス等や明視野用のガラス等に切換える作業が必要となる。
しかしながら、このような作業は手間が掛かるものであり、また、切換の作業中にガラス等を破損してしまう虞がある。さらに、注意深く作業を行わなければ、所望する視野とは異なるガラス等に誤って切換えてしまう虞もある。
【0008】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、暗視野と明視野とを簡単且つ正確に切換えることができる菌体観察装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施形態に係る菌体観察装置の構成は、菌体及び培地が収容された容器を載置する載置領域を有する調光板と、前記調光板を介して前記容器に光を照射する光照射機構と、前記光照射機構から射出され、前記調光板又は前記菌体で拡散された光を撮像する撮像機構とを備えた菌体観察装置であって、平面視で、前記載置領域と前記撮像機構とが重なる位置に配置され、前記調光板は、電圧の印加状態に応じて透明状態と拡散状態とに切換可能であり、前記光照射機構は、前記透明状態の前記調光板の前記載置領域が前記撮像機構に対して暗視野となる方向に光を射出する。
【0010】
上記構成によれば、菌体及び培地が収容された容器を載置する載置領域を有する調光板に載置された容器に、光照射機構から照射される光を、調光板の載置領域を介して、容器が載置された載置領域の載置面に直交する方向に対して傾斜した方向から照射することができる。換言すると、光照射機構は、当該光照射機構から調光板の載置領域に載置された容器及び載置領域に射出する光を、透明状態の調光板の載置領域が撮像機構に対して暗視野となる方向に射出することができる。そして、調光板は、電圧の印加状態に応じて透明状態と拡散状態とに切換可能であるので、電圧の印加状態を変更するだけで透明状態と拡散状態とを簡単且つ正確に切換えることができる。つまり、調光板を透明状態に切換えることで暗視野の画像が撮像でき、また、拡散状態に切換えることで明視野の画像を撮像することができる。
よって、電圧の印加状態を変更するだけで、暗視野と明視野とを簡単且つ正確に切換えることができる。
【0011】
本開示に係る菌体観察装置の更に別の構成は、平面視で、前記載置領域と重なる位置に配置された開口部を有するシェードを更に備え、前記光照射機構は、平面視で、前記開口部と重ならないように、前記開口部よりも外側の位置に配置された光源を備えている。
【0012】
上記構成によれば、平面視で、光を遮光するシェードの開口部が容器の載置領域と重なっており、光照射機構の光源が当該開口部の外側に配置されているので、光照射機構の光源から開口部及び載置領域を介して容器に照射する光を、容器が載置された載置領域の載置面に直交する方向に対して傾斜した方向から照射することができる。換言すると、光照射機構の光源から開口部を介して容器及び載置領域に射出する光を、透明状態の調光板の載置領域が撮像機構に対して暗視野となる方向に射出することができる。
【0013】
本開示に係る菌体観察装置の更に別の構成は、前記光照射機構は、平面視で、前記調光板と重なる位置に配置された光源と、前記光源と前記調光板との間に配置されたシェードと、平面視で、前記光源及び前記シェードの外側に配置され、前記光源からの光を前記調光板に向けて反射するミラーと、を備えている。
【0014】
上記構成によれば、光照射機構の光源は平面視で調光板と重なる位置に配置されており、光照射機構の光源から調光板へ向けて直線的に照射された光は、光照射機構の光源と調光板との間に配置されたシェードにより遮光されるので、調光板には到達しない。一方で、平面視で光照射機構の光源及びシェードの外側にはミラーが設けられているので、光照射機構の光源から外側に向けて照射された光はミラーにより反射して、調光板に向かうことになる。これにより、光照射機構の光源から調光板を介して容器に照射する光を、容器が載置された載置領域の載置面に直交する方向に対して傾斜した方向から照射することができる。換言すると、光照射機構の光源から容器及び載置領域に射出する光を、透明状態の調光板の載置領域が撮像機構に対して暗視野となる方向に射出することができる。
【0015】
本開示に係る菌体観察装置の更に別の構成は、前記調光板のヘイズ値は、前記透明状態では70%以下であり、前記拡散状態では80%以上である。
【0016】
上記構成によれば、調光板のヘイズ値を70%以下とすることにより、透明状態において適切に暗視野を実現することができる。また、調光板のヘイズ値を80%以上とすることにより、拡散状態において適切に明視野を実現することができる。
【0017】
ここで、調光板の全光線透過率(Tt)、平行光線透過率(Pt)及びヘイズ値(Haze)は、下記式(1)の関係にある。
Haze(%) = (Tt-Pt)/Tt×100 ・・・式(1)
【0018】
本開示に係る菌体観察装置の更に別の構成は、前記調光板は、1枚又は複数枚のガラス基板又は透明樹脂基板と、1枚又は複数枚の調光フィルムと、を備え、前記1枚又は複数枚の調光フィルムの各々は、前記1枚又は複数枚のガラス基板又は透明樹脂基板の何れかの表面に配置されている。
【0019】
上記構成によれば、調光板は、1枚又は複数枚の調光フィルムの各々が、1枚又は複数枚のガラス基板又は透明樹脂基板の何れかの表面に配置される構成となるので、ガラス基板や透明樹脂基板により容器を支持する構成としつつ、調光フィルムにより透明状態と拡散状態とを切換え可能な構成とすることができる。
【0020】
本開示に係る菌体観察装置の更に別の構成は、側面視で前記載置領域に対して前記光照射機構とは反対側の前記容器が配置された側には、平面視で前記撮像機構の外側の位置に、前記調光板を介さずに前記容器に光を照射可能な第2光照射機構を備える。
【0021】
上記構成によれば、光照射機構とは別の第2光照射機構が、側面視で載置領域に対して光照射機構とは反対側の容器が配置された側において、平面視で撮像機構の外側の位置に配置されているので、第2光照射機構から照射された光を、調光板を介さずに容器に照射可能となる。
これにより、容器内の培地が光を透過しない培地である場合、培地に存在する菌体のコロニーの色を観察する場合、培地に存在する菌体のコロニーの輪郭を観察する場合において、容器の上方に位置する撮像機構で撮像される撮像画像を用いて、良好に菌体のコロニーの観察を行うことができる。
【0022】
本開示の一実施形態に係る菌体観察装置の構成は、透明蛍光体を含み、菌体及び培地が収容された容器を載置する載置領域を有する蛍光体板と、選択的に、前記蛍光体板を介した前記容器への可視光照射と前記蛍光体板への励起光照射とを切換えることが可能な光照射機構と、前記光照射機構から射出され、前記菌体で拡散された可視光及び前記蛍光体板からの蛍光光を撮像する撮像機構とを備えた菌体観察装置であって、平面視で、前記載置領域と前記撮像機構とが重なる位置に配置され、前記蛍光体板は、前記励起光を受光することにより前記蛍光光を射出し、前記光照射機構は、前記蛍光体板の前記載置領域が前記撮像機構に対して暗視野となる方向に前記可視光を射出する。
【0023】
上記構成によれば、菌体及び培地が収容された容器を載置する載置領域を有する蛍光体板に載置された容器に、光照射機構から照射される可視光を、蛍光体板の載置領域を介して、容器が載置された載置領域の載置面に直交する方向に対して傾斜した方向から照射することができる。換言すると、光照射機構は、当該光照射機構から蛍光体板の載置領域に載置された容器及び載置領域に射出する可視光を、蛍光体板の載置領域が撮像機構に対して暗視野となる方向に射出することができる。そして、光照射機構は、蛍光体板を介した容器への可視光照射と蛍光体板への励起光照射とを切換えることが可能であるので、蛍光体板を、入射した可視光の角度を大きく変更することなく透過する透明状態と、入射した励起光により蛍光光を概ね全方向に発光する蛍光状態とに切換えることができる。つまり、光照射機構から射出される光を可視光と励起光とで選択的に切換えるだけで、蛍光体板における透明状態と蛍光状態とを簡単且つ正確に切換えることができる。つまり、蛍光体板を透明状態に切換えることで暗視野の画像が撮像でき、また、蛍光状態に切換えることで明視野の画像を撮像することができる。
よって、光照明機構から照射する光を変更するだけで、暗視野と明視野とを簡単且つ正確に切換えることができる。
【0024】
本開示に係る菌体観察装置の更に別の構成は、前記容器が置き直されることなく前記載置領域に載置された状態で、前記調光板又は前記光照射機構を制御して、前記調光板の状態又は前記光照射機構の射出光を切換え、前記撮像機構を制御して、前記調光板が前記透明状態である場合又は前記光照射機構から前記可視光が射出された場合の暗視野での撮像画像、及び前記調光板が前記拡散状態である場合又は前記光照射機構から前記励起光が照射された場合の明視野での撮像画像を取得し、
前記暗視野での撮像画像及び前記明視野での撮像画像を含む複数の撮像画像に基づいて前記菌体を計測する制御部を更に備える。
【0025】
上記構成によれば、載置領域に載置された容器を置き直すことなく、暗視野での撮像画像及び明視野での撮像画像を取得でき、両撮像画像に基づいて菌体のコロニー数の計測等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】コロニーカウンターの概略縦断面図である。
図2図1のII-II矢視図である。
図3図1のIII-III矢視図である。
図4】暗視野での観察状態を示す概略図である。
図5】暗視野で観察した際のシャーレ内の撮像画像を示す概略図である。
図6】明視野での観察状態を示す概略図である。
図7】明視野で観察した際のシャーレ内の撮像画像を示す概略図である。
図8】上部照明での観察状態を示す概念図である。
図9】上部照明で観察した際のシャーレ内の撮像画像を示す概略図である。
図10】暗視野での撮像画像、及び、その撮像画像においてコロニー数の計測を行った際の測定画像である。
図11】明視野での撮像画像、及び、その撮像画像においてコロニー数の計測を行った際の測定画像である。
図12】他のコロニーカウンターの概略縦断面図である。
図13図12のXIII-XIII矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に図面を参照して実施形態に係る菌体観察装置としてのコロニーカウンター100について説明する。
図1は、コロニーカウンター100の概略縦断面図である。
図1に示すように、コロニーカウンター100は筐体1を備える。筐体1は、上面が後述するサポート部2として機能する箱状の下部筐体1Aと、下部筐体1Aの上方に位置し、下面が開口した箱状の上部筐体1Bと、下部筐体1Aの後面側側壁部と上部筐体1Bの後面側側壁部とを接続する接続板部1Cとを備えている。
【0028】
また、コロニーカウンター100は、菌体及び培地4が収容された容器3を載置する載置領域8を有する調光板6と、調光板6を支持するサポート部2と、調光板6を介して容器3に光を照射する光照射機構10と、光照射機構10から射出され、調光板6又は菌体で拡散された光を撮像する撮像機構20と、撮像画像を画像処理して、撮像機構20で撮像された撮像画像や計測部30で計測された菌体のコロニー5の数等を記憶する記憶部40と、コロニーカウンター100の運転を制御する制御部50と、を備える。制御部50は、菌体を計測する計測部30を具現化する。より詳細には、容器3には、菌体のコロニー5及び培地4が収容されており、計測部30は、コロニー5の数を計測する。また、コロニーカウンター100は、撮像画像やコロニー5の数を計測した結果等を追記した計測結果付の画像データの画像を表示する表示装置を備える。なお、表示装置は、コロニーカウンター100と通信回線を介して接続された携帯端末等の表示装置であってもよい。
【0029】
下部筐体1Aは、箱状に形成された内部空間に、光照射機構10を備える。下部筐体1Aの上面は、サポート部2として機能する平板状の天板として構成され、平面視で概ね中央部に長方形状の開口部2Aが貫通形成されている。開口部2Aの内縁部には、調光板6を載置可能な段差部2aが、全周に亘って設けられている。段差部2aは、内縁部の厚さ方向における光照射機構10側の部分が、開口部2Aの内側に突出する形態で形成されている。開口部2Aと調光板6の載置領域8とは平面視で重なる。
【0030】
開口部2Aには、段差部2aに載置される状態で、板状の調光板6が配置される。調光板6は、例えば、1枚の調光ガラスである。調光板6が段差部2aに載置された状態では、調光板6の上面が、天板の上面と略面一となるように構成されている。本実施形態では、容器3は調光板6の上面に載置されるため、調光板6の上面が容器3が載置される載置面となり、載置面は水平面となる。
【0031】
本実施形態では、容器3として皿状の透明なシャーレを用いており、当該シャーレは円形状の底部3aと円筒状の周壁部3bとを備えている。そのため、図2に示すように、サポート部2の上面には、シャーレを、調光板6の上面の載置領域8に案内するガイド部材7を備えている。ガイド部材7は、板状の透明な部材で形成されており、サポート部2の開口部2Aの外周側に固定され、一部分が調光板6の上側に重なるように配置されている。ガイド部材7のうち調光板6に重なる部分が、平面視でV字状に切り欠かれており、V字状の切り欠き部分の端面7aにシャーレの周壁部3bが当接することで、調光板6上に載置されたシャーレが水平方向で位置決めされるように構成されている。
なお、シャーレ内には、透明や半透明な培地4が収容されており、培地4としては例えば寒天培地が用いられる。
【0032】
本実施形態では、調光板6の下方側に、平面視において調光板6と重なる位置に光照射機構10としての光源11が配置されている。当該光源11が照射できる光の波長は特に限定されず、紫外光を照射する光源であってもよく、また、可視光を照射する光源であってもよいが、可視光を照射できる光源が望ましい。例えば、光源11として、LED、蛍光灯、白熱電球等を用いることができる。また、光源11は、電球形状であってもよく、円環状に形成されたものであってもよい。更に、光源11は、複数配置されていてもよい。ただし、光源11は、平面視で、後述するシェード12よりも外側にはみ出さない位置に配置される。
【0033】
本実施形態では、図1及び図3に示すように、光照射機構10は、光源11に加えて、シェード12及び反射機構としてのミラー13を備える。
【0034】
シェード12は、光源11と調光板6との間に配置されるように、下部筐体1Aに固定されており、底面視で載置領域8及び光源11を覆う大きさに形成されている。また、シェード12の上面は、光の反射を低減するために塗装等により黒色に彩色されている。シェード12は、例えば、遮光板である。
【0035】
ミラー13は、箱状の下部筐体1Aにおける側壁部を構成する4つの内面が光を反射可能な部材で形成されることで、光源11からの光を反射可能な反射板として機能している。ミラー13は、平面視で、光源11及びシェード12の外側に配置されている。ミラー13は、光源11から照射された光を上方側に位置する調光板6に向けて反射できるように構成されている。
【0036】
従って、光照射機構10の光源11は平面視で調光板6と重なる位置に配置されており、光源11から調光板6へ向けて直線的に照射された光は、光源11と調光板6との間に配置されたシェード12により遮光されるので、調光板6には到達しない。一方で、平面視で光源11及びシェード12の外側にはミラー13が設けられているので、光源11から外側に向けて照射された光はミラー13により反射して、調光板6に向かうことになる。これにより、光源11から調光板6を介して容器3に照射する光を、容器3が載置された載置面に直交する方向に対して傾斜した方向から照射することができる。換言すると、光照射機構10は、光照射機構10から射出され容器3又は載置領域8を透過した非拡散光がカメラ21に直接入射しない構成となっている。即ち、光源11から容器3及び載置領域8に射出する光を、透明状態の調光板6の載置領域8がカメラ21に対して暗視野となる方向に射出することができる。よって、透明状態の調光板6の載置領域8がカメラ21に対して暗視野となる。
加えて、光源11から照射される光が、一旦、ミラー13の面で反射されて調光板6上の容器3に到達するため、ミラー13で反射してから容器3の載置面に対して傾斜する方向に進んで容器3に到達する光は、容器3に均一に照射されやすくなる。このため、容器3内の培地4や菌体のコロニー5の全体に均一に光が照射され、容器3のバックグラウンドが比較的均一な明るさになりやすい。このため、暗視野時に、菌体のコロニー5が容器3のどの位置に存在するかに関わらず、実際のコロニー5の大きさに応じた強度等の光をカメラ21にて撮像することができる。
なお、ミラー13としては、透明状態の調光板6の載置領域8がカメラ21に対して暗視野となる方向に光を反射するその他の形状の反射板を用いることができる。例えば、下部筐体1Aの内面の一部箇所に配置する構成とすることもできる。
【0037】
上部筐体1Bは、箱状に形成された内部空間に、撮像機構20を備える。撮像機構20は、調光板6の載置領域8の鉛直方向で上方に位置するように配置されており、載置領域8上に載置された容器3を鉛直上方側から撮像するカメラ21を備えている。カメラ21は、撮像した撮像画像を画像データとして取得可能なカラーCMOSカメラやCCDカメラを用いることができる。カメラ21で撮像された撮像画像の画像データは、後述する制御部50に送られると共に、記憶部40に記憶される。
なお、図示しないが、鉛直方向において、カメラ21と容器3との間に集光レンズを設けて、容器3からの光を集光レンズを通過させた後に、カメラ21にて撮像する構成としてもよい。
【0038】
調光板6は、電圧の印加状態に応じて透明状態と拡散状態(本開示において白濁状態を含む)とに切換可能な構成である。例えば、表面と裏面との間に所定値以上の電圧を印加することにより透明状態となり、電圧を印加しない或いは当該所定値未満の電圧を印加することにより拡散状態となる調光ガラスを採用することができる。
なお、所定値以上の電圧を印加することにより拡散状態となり、電圧を印加しない或いは当該所定値未満の電圧を印加することにより透明状態となる調光ガラスを採用してもよい。
【0039】
調光板6の全光線透過率は、透明状態では80%よりも大きくてもよく、拡散状態では40%以上80%以下であってもよい。また、調光板6のヘイズ値は、透明状態で、70%以下であってもよく、また、60%以下であってもよい。ヘイズ値を70%以下とすることにより、適切に暗視野を実現することができ、ヘイズ値を60%以下とすることにより、より適切に暗視野を実現することができる。また、調光板6のヘイズ値は、拡散状態で、80%以上であってもよく、また、90%以上であってもよい。ヘイズ値を80%以上とすることにより、適切に明視野を実現することができ、ヘイズ値を90%以下とすることにより、より適切に明視野を実現することができる。
【0040】
ここで、調光板6の全光線透過率(Tt)、平行光線透過率(Pt)及びヘイズ値(Haze)は、下記式(1)の関係にある。
Haze(%) = (Tt-Pt)/Tt×100 ・・・式(1)
なお、調光板6の全光線透過率、平行光線透過率及びヘイズ値は、JIS-K-7136やASTM D1003に基づいて測定することができる。
【0041】
記憶部40は、公知の記憶装置で構成され、コロニーカウンター100の運転に必要な事項等を記憶する。例えば、カメラ21から送信されてきた撮像画像の画像データや、当該画像データに、後述する計測部30でコロニー5の数を計測した結果等を追記した計測結果付きの画像データ、計測したコロニー5の数等を記憶する。
記憶部40に記憶された、カメラ21から送信されてきた撮像画像の画像データには、例えば、所定の解像度における画素ごとに、光の強度(グレースケール、赤、緑、青)、光の色相、光の彩度、光の輝度又は明度の信号が含まれている。
【0042】
制御部50は、コロニーカウンター100の運転を制御する機能を実現する中央演算処理装置等で構成されている。例えば、制御部50は、電源(図示せず)を制御することにより調光板6に印加する電圧を変化させて、調光板6を透明状態と拡散状態とに切換えることや、計測部30として、記憶部40に記憶されている撮像画像の画像データの画像処理を行わせることで、画像データに含まれる菌体のコロニー5の数を計測させることや、光源11や後述の第2光源61の発光状態の制御等を行うことができる。
【0043】
また、制御部50は計測部30を備え、ユーザ等からの指令に基づいて、計測部30に、記憶部40に記憶されている画像データの画像処理を行わせて、画像データに含まれる菌体のコロニー5の数を計測させる。
例えば、グレースケールの画像データを用いてコロニー5の数の計測を行う場合、計測部30は、撮像画像の画像データに含まれる画素ごとに信号強度(例えば、256段階に分けて記憶された強度)が、予め設定された所定の閾値以上か未満かを判定し、所定の閾値以上の信号強度の画素をコロニー5を構成する画素であると判断し、所定の閾値未満の信号強度の画素を培地4であると判断する。そして、コロニー5を構成する画素と判断した画素が複数存在する領域の面積が、所定の閾値以上となれば、1つのコロニーとして計測するように構成されている。
なお、信号強度の閾値や面積の閾値は、適宜変更することができる。また、グレースケールの画像データではなく、他の信号、即ち、画像データ中の画素ごとにおける、光の強度(赤、緑、青)、光の色相、光の彩度、光の輝度又は明度の信号を用いて、同様にコロニー5の数を計測することができる。
【0044】
次に、上述のように構成されたコロニーカウンター100において、調光板6を透明状態と拡散状態とに切換えることで、カメラ21で撮像される撮像画像を暗視野と明視野とに切換えることができる点について説明する。
【0045】
図1に示すように、本実施形態のコロニーカウンター100では、平面視で、光源11と、シェード12と、調光板6と、容器3と、カメラ21とが重なる位置に配置されている。従って、図4及び図6に示すように、光源11から調光板6へ向けて直線的に照射された光はシェード12により遮光されるので、調光板6には到達しない。一方で、光源11からシェード12の外側に向けて照射された光はミラー13により反射して、容器3が載置された載置面に直交する方向に対して傾斜した方向から照射される。即ち、本実施形態のコロニーカウンター100は、透過照明を備えている。
【0046】
(暗視野)
そして、図4に示すように、制御部50が調光板6に所定値以上の電圧を印加して、調光板6を透明状態とした場合には、傾斜した方向に沿って進んで調光板6に入射した光の大半は、入射時の角度から大きく変化することなく容器3及び培地4を透過するため、容器3の上方に位置するカメラ21に入射しないことになる。ただし、容器3を透過する際に培地4中の菌体のコロニー5に当たった光は、特にコロニーの側面で拡散(本開示においては散乱および反射を含む。)し、容器3の上方に位置するカメラ21の方向に拡散した光がカメラ21に入射することになる。なお、シェード12の上面が黒色であるので、シェード12からの反射光がカメラ21に入射することは抑制されている。そのため、図5に示すように、カメラ21で撮像される画像は、全体が黒っぽくなり、菌体のコロニー5の輪郭が白く映る暗視野の画像となる。
この暗視野の画像は、半透明な培地4に透明や白い菌体のコロニー5が見えるような場合に用いることができる。
【0047】
(明視野)
一方で、図6に示すように、制御部50が調光板6への電圧の印加を停止して、調光板6を拡散状態とした場合には、傾斜した方向に沿って進んで調光板6に入射した光は拡散した後に容器3を透過する。この光のうち、容器3の上方に位置するカメラ21の方向に拡散した光がカメラ21に入射する。ただし、菌体のコロニー5の光吸収率は他の部分の光吸収率に比べて大きいので、コロニー5を通過して撮像機構に入射する光は減少する。そのため、図7に示すように、カメラ21で撮像される画像は、全体が明るくなり、菌体のコロニー5が相対的に暗く映る明視野の画像となる。
この明視野の画像は、半透明な培地4に黒っぽい菌体のコロニー5が見えるような場合に用いることができる。
【0048】
本実施形態のコロニーカウンター100によれば、電圧の印加状態に応じて透明状態と拡散状態とに切換可能な調光板6が配置されているので、電圧の印加状態を変更するだけで透明状態と拡散状態とを簡単且つ正確に切換えることができる。つまり、調光板6を透明状態に切換えることで暗視野の画像が撮像でき、また、拡散状態に切換えることで明視野の画像を撮像することができる。
よって、電圧の印加状態を変更するだけで、暗視野と明視野とを簡単且つ正確に切換えることができる。
また、計測部30は、暗視野での撮像画像及び明視野での撮像画像の少なくとも一方の撮像画像を画像処理して、菌体のコロニー5の数を計測することができる。
【0049】
加えて、本実施形態のコロニーカウンター100によれば、下記の効果を奏することができる。
【0050】
例えば、図10の上図に示すように、調光板6の上面に容器3を載置した状態で、調光板6に所定の電圧を印加して暗視野での撮像画像を用いて菌体のコロニー5を観察することで、白色や透明の菌体のコロニー5を観察した後、容器3を移動させることなく、図11の上図に示すように、印加する電圧を変化させるだけで明視野に切換えて、明視野での撮像画像を用いて菌体のコロニー5を観察することができる。つまり、容器3を移動させずに暗視野と明視野とを切換えることができるため、コロニー5の観察がより簡単で精度の高いものとなる。
なお、暗視野の場合は、容器3に書かれた文字や印等があったとしても、文字や印等が暗くなった部分と同化し、また、コロニー5は概ね白く光るため、コロニー5の観察はより精度が高いものとなる。
【0051】
また、例えば、図10及び図11に示すように、容器3としてシャーレを用いた場合には、シャーレの周壁部3bに内径側で近接する円環状の縁部分Lは、培地4が中央部よりも盛り上がることや、シャーレの底部3aの裏側に載置用の円環状の突条が存在すること等により、光の乱反射等が生じて、ノイズが生じやすい箇所となっている。このため、ノイズの除去や補正等の処理をするために、円環状の縁部分Lを極座標展開して直線状化し、ノイズの除去等の処理を行い、その後、逆極座標展開を行って円環状化することで、ノイズの除去等が行われた後の円環状の縁部分Lを画像処理に用いる。この際、円環状の縁部分Lのノイズは、暗視野よりも明視野の方が少ないことから、ノイズの除去等の処理は明視野で行うことが精度向上のため望ましい。そのため、シャーレの円環状の縁部分Lについては、明視野の画像を用いてノイズの除去等を行った後の円環状の縁部分Lの画像を用意し、シャーレの中央部分、即ち、円環状の縁部分L以外の部分については、暗視野の画像を用意して、両画像を合成した合成画像を用いてコロニー5の数を計測すると精度の向上が期待できる。
【0052】
説明を加えると、例えば、図10に、暗視野の画像において、円環状の縁部分Lについては上述のノイズの除去等を行った後の円環状の縁部分Lの画像を用意し、シャーレの中央部分、即ち、円環状の縁部分L以外の部分については、ノイズの除去等の処理を行わなかった画像を用意して、両画像を合成した合成画像を用いてコロニー5の数を計測した例を示す。コロニー5として計測できた場合には、コロニー5の周囲を白線の四角で囲うように印を付与し、コロニー5として計測できなかった場合には、そのコロニー5には、印を付与しなかった。その結果、暗視野の画像においては、円環状の縁部分L上のコロニー5はコロニー5として計測されない結果となった。
一方で、図11に、明視野の画像において、円環状の縁部分Lについては上述のノイズの除去等を行った後の円環状の縁部分Lの画像を用意し、シャーレの中央部分、即ち、円環状の縁部分L以外の部分については、ノイズの除去等の処理を行わなかった画像を用意して、両画像を合成した合成画像を用いてコロニー5の数を計測した例を示す。コロニー5として計測できた場合には、コロニー5の周囲を黒線の四角で囲うように印を付与し、コロニー5として計測できなかった場合には、そのコロニー5には、印を付与しなかった。その結果、明視野の画像においては、円環状の縁部分L上のコロニー5であってもすべてコロニー5として計測できる結果となった。
本実施形態のコロニーカウンター100によれば、シャーレの円環状の縁部分Lについては、明視野の画像を用いてノイズの除去等を行った後の円環状の縁部分Lの画像を用意し、シャーレの中央部分、即ち、円環状の縁部分L以外の部分については、暗視野の画像を用意することを、印加する電圧を切換えるだけで簡単に行うことができ、また、両画像を合成した合成画像の作成も容易に行うことができる。更に、両画像を合成した合成画像を画像処理することで、コロニー5の計測の精度を向上させることができる。
【0053】
また、例えば、培地4中に気泡が発生している場合において、暗視野で観察した場合には、気泡及びコロニー5の中央部は黒く映り、気泡の輪郭及びコロニー5の輪郭は白く浮き上がるように映ることになる。このため、気泡とコロニー5との峻別が困難となり、誤って気泡をコロニー5と認識し、計測してしまう虞がある。このような場合であっても、暗視野から明視野に切換えることで、明視野では、気泡は中央部及び輪郭が明るく映り、コロニー5は中央部及び輪郭が黒く映るため、気泡とコロニー5とを峻別することができる。つまり、容器3を移動させずに、しかも簡単に暗視野と明視野とを切換えることができるため、コロニー5の観察がより精度の高いものとなる。
【0054】
また、例えば、輪郭よりも中央部がへこんだコロニー5の場合であっても、暗視野から明視野に切換えることで、輪郭及び中央部が黒く映るため、気泡とコロニー5とを峻別することができる。つまり、容器3を移動させずに、しかも簡単に暗視野と明視野とを切換えることができるため、コロニー5の観察がより精度の高いものとなる。
【0055】
また、例えば、容器3が置き直されることなく載置領域8に載置された状態で、制御部50は、調光板6を制御して、調光板6の状態を切換え、撮像機構20を制御して、調光板6が透明状態である場合の暗視野での撮像画像、及び調光板6が拡散状態である場合の明視野での撮像画像を取得し、取得した暗視野での撮像画像及び明視野での撮像画像を含む複数の撮像画像に基づいて菌体のコロニー5の数を計測してもよい。
【0056】
本実施形態のコロニーカウンター100は、図1に示すように、上述の光照射機構10とは別に、側面視で調光板6に対して光照射機構10とは反対側の容器3が配置された側には、平面視でカメラ21の外側の位置に、調光板6を介さずに容器3に光を照射可能な第2光照射機構60を備えている。即ち、本実施形態のコロニーカウンター100は、上部照明を備えている。
【0057】
第2光照射機構60の第2光源61は、上部筐体1B内において、側面視で容器3とカメラ21との間に配置されている。また、第2光源61は、平面視で容器3及びカメラ21と重ならない位置に配置されている。当該第2光源61が照射する光の波長は特に限定されず、紫外光を照射する光源であってもよく、また、可視光を照射する光源であってもよいが、可視光を照射できる光源が望ましい。例えば、第2光源61として、LED、蛍光灯、白熱電球等を用いることができる。また、第2光源61は、電球形状であってもよく、円環状に形成されたものであってもよい。更に、第2光源61は、複数配置されていてもよい。
【0058】
本実施形態では、図1及び図8に示すように、第2光照射機構60は、第2光源61に加えて、第2シェード62及び第2ミラー63を備える。
【0059】
第2シェード62は、側面視で第2光源61の下部と内側とに配置されるように、上部筐体1Bに固定されており、底面視で、第2光源61を覆う大きさに形成されている。例えば、第2光源61が円環状に形成される場合には、第2シェード62も円環状に形成される
【0060】
第2ミラー63は、平面視で、円筒状に形成され、第2光源61及び第2シェード62の外側に配置されるように、上部筐体1Bに固定されている。円筒状の第2ミラー63の内面は、光を反射可能な部材により形成されている。また、円筒状の第2ミラー63の内面は、第2光源61から照射された光を下方側に位置する調光板6及び容器3に向けて反射できるように、鉛直方向において下方側ほど鉛直方向に対して外径側に離間するように傾斜している。つまり、円筒状の第2ミラー63の内面は、下方側の直径が上方側の直径よりも大きな円錐形状となっている。
【0061】
従って、第2光照射機構60の第2光源61から調光板6へ向けて直線的に照射された光は、第2光源61と調光板6との間に配置された第2シェード62により遮光されるので、調光板6には到達しない。一方で、平面視で第2光源61及び第2シェード62の外側には第2ミラー63が設けられているので、第2光源61から外側に向けて照射された光は第2ミラー63により反射して、調光板6及び容器3に向かうことになる。これにより、第2光源61から調光板6を介さずに容器3に照射する光を、容器3が載置された載置面に直交する方向に対して傾斜した方向から照射することができる。なお、制御部50は、第2光源61から光を照射している間は、光源11から光を照射しないように光照射機構10及び第2光照射機構60を制御し、光源11から光を照射している間は、第2光源61から光を照射しないように光照射機構10及び第2光照射機構60を制御する。
なお、第2ミラー63としては、円錐形状の第2ミラー63に代えて、第2光源61から調光板6を介さずに容器3に対して傾斜した方向から光を照射できる他の形状の反射板を用いることができる。例えば、平面視で第2光源61の外側に、平面状の一対の反射板を対向配置する構成とすることもできる。
【0062】
これにより、容器3内の培地4が光を透過しない培地4である場合、培地4に存在する菌体のコロニー5の色を観察する場合、培地4に存在する菌体のコロニー5の輪郭を観察する場合において、容器3の上方に位置するカメラ21で撮像される撮像画像を用いて、良好に菌体のコロニー5の観察を行うことができる。例えば、図9に示すように、黒色のコロニー5aと、赤色のコロニー5bとを峻別して観察でき、それぞれのコロニー5の数を計測することができる。
【0063】
また、例えば、輪郭よりも中央部が突出したコロニー5の場合であっても、暗視野から第2光照射機構60の上部照明に切換えることで、輪郭及び中央部が色が付与された状態で映るため、気泡とコロニー5とを峻別することができる。つまり、容器3を移動させずに暗視野と上部照明とを切換えることができるため、コロニー5の観察がより精度の高いものとなる。
【0064】
<別実施形態>
<1>上記実施形態では、調光板6の具体例として1枚の調光ガラスを挙げて説明したが、調光板6の構成は適宜変更可能である。
例えば、調光板6として、複数の調光ガラスを重ねたものを用いてもよい。これにより、調光板6の全光線透過率及びヘイズ値を調整することができる。
また、調光板6としての調光ガラスに代えて、1枚又は複数枚のガラス基板又は透明樹脂基板と、1枚又は複数枚の調光フィルムとを組み合わせたものを用いてもよい。この場合、1枚又は複数枚の調光フィルムの各々は、1枚又は複数枚のガラス基板又は透明樹脂基板の何れかの表面に配置される。調光フィルムは、電圧の印加状態に応じて透明状態と拡散状態とに切換可能である。調光フィルムは、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)であってもよい。これにより、調光板6の全光線透過率及びヘイズ値を調整することができる。
例えば、調光フィルムを、サポート部2の開口部2Aに配置された透明なガラス基板の表面のうち光照射機構10側の表面に配置する構成とすることもできる。
また、例えば、調光フィルムを、サポート部2の開口部2Aに配置された二枚の透明なガラス基板(図示せず)の隣接間に配置する構成とすることもできる。
これら構成によれば、サポート部2の開口部2Aにガラス基板を配置し、ガラス基板の上面に容器3を配置できる構成になる。また、調光フィルムを、ガラス基板の表面のうち光照射機構10側の表面又は二枚のガラス基板の隣接間に配置するので、調光フィルムの保護を図ることができる。
なお、調光フィルムの容器3側に位置するガラス基板として、透明状態(暗視野)を維持できる範囲内で白濁した状態のすりガラス等の無反射ガラスを採用して、若干白濁させた状態とすることで、調光フィルムの下方に位置するホコリ等の異物がカメラ21に撮像されることを防止することができる。
【0065】
<2>上記実施形態では、調光板6に印加する電圧を変化させて、透明状態と拡散状態とを切換える構成について具体例を挙げて説明したが、更に、透明状態において、印加する電圧を変化させたり、拡散状態において印加する電圧を変化させたりすることもできる。
調光板6に印加する電圧を、透明状態において変化させる場合には、透明状態(暗視野)を維持できる範囲内で電圧を変化させて、若干拡散させた状態とすることで、調光板6の下方に位置するホコリ等の異物がカメラ21に撮像されることを防止することができる。
また、調光板6に印加する電圧を、拡散状態において変化させる場合には、拡散状態(明視野)を維持できる範囲内で電圧を変化させて、カメラ21で撮像される画像の明るさを調整することができる。これにより、計測部30においてコロニー5の数を計測するために用いられる画像データと、ユーザが視認してコロニー5を観察する際の画像データとの明るさを、それぞれ簡易に変更でき、利便性が向上する。
【0066】
<3>上記実施形態では、光照射機構10の光源11は、平面視で調光板6と重なる位置に配置し、光照射機構10のシェード12は、光源11と調光板6との間に配置し、ミラー13は、平面視で光源11及びシェード12の外側に配置したが、透明状態の調光板6の載置領域8がカメラ21に対して暗視野となる方向に光を射出する他の構成に適宜変更することができる。
例えば、図12及び13に示すように、サポート部2を、カメラ21に向かう非拡散光を遮断するシェードとして用い、光源11に代えて、平面視で、開口部2Aと重ならないように、開口部2Aよりも外側の位置に配置された光源31を用いてもよい。平面視で載置領域8と開口部2Aとは重なる。図13に示す光源31は、平面視で環状の枠部材に、複数の光源が配置され、上方側に光を射出可能に構成されており、環状の枠部材の中央部は開口している。これにより、光源31から照射する光のうち、カメラ21に向かう非拡散光がシェードとしてのサポート部2で遮断される。また、調光板6が透明状態の場合、光源31から照射する光のうち、開口部2A及び調光板6を通過し、容器3でカメラ21の方向に拡散した光がカメラ21に入射する。これにより、透明状態の調光板6の載置領域8がカメラ21に対して暗視野となる。この場合、シェード12やミラー13を省略することも可能である。なお、シェード12を省略する場合には、暗視野を確保するため、下部筐体1Aの底面は塗装等を施して黒色とすることが望ましい。
また、調光板6が広く且つサポート部2が狭く、サポート部2がカメラ21に向かう非拡散光を遮断するシェードの役割を果たさない場合は、光源31と調光板6との間に別途シェードを設けてもよい。このシェードは、平面視で載置領域8と重なる位置に設けられた開口部を有しつつ、カメラ21に向かう非拡散光を遮断する。或いは、平面視で載置領域8と重なる位置に設けられた開口部を有しつつカメラ21に向かう非拡散光を遮断するシェードとして、調光板6の容器3が載置される側の面またはその反対側の面の周辺部に遮光フィルムを貼り付けてもよい。この場合、シェード12やミラー13を省略することも可能である。なお、シェード12を省略する場合には、暗視野を確保するため、下部筐体1Aの底面は塗装等を施して黒色とすることが望ましい。
【0067】
<4>上記実施形態では、第2光照射機構60を設けたが、第2光照射機構60を省略する構成としてもよい。
【0068】
<5>上記実施形態では、容器3としてシャーレを用いて、寒天の培地を収容する例について説明したが、その他の構成を採用することもできる。例えば、容器3として、ウェルプレートを用いることができ、また、寒天の培地に代えてシート培地等を採用することもできる。
【0069】
<6>上記実施形態では、光照射機構10のミラー13は、箱状の下部筐体1Aにおける側壁部を構成する面の内面に設ける構成としたが、透明状態の調光板6の載置領域8がカメラ21に対して暗視野となる方向に光を反射する他の構成であってもよい。
例えばミラー13として、平面視で、円筒状に形成され、光源11及びシェード12の外側に配置されるように、下部筐体1Aに固定された構成を採用することができる。この場合、円筒状のミラー13の内面は、光を反射可能な部材により形成されている。また、円筒状のミラー13の内面は、光源11から照射された光を上方側に位置する調光板6の載置領域8に向けて反射できるように、鉛直方向において上方側ほど鉛直方向に対して外径側に離間するように傾斜している。つまり、円筒状のミラー13の内面は、下方側の直径が上方側の直径よりも大きな円錐形状となっている。
なお、ミラー13としては、円錐形状のミラー13に代えて、その他の形状の反射板を用いることもできる。例えば、平面視で光源11の外側に、平面状の一対の反射板を対向配置する構成とすることもできる。
【0070】
<7>上記実施形態において、調光板6に代えて、透明蛍光体及びバインダーを含み、菌体及び培地4が収容された容器3を載置する載置領域8を有する蛍光体板を用い、光照射機構10に代えて、蛍光体板を介した容器3への可視光照射と蛍光体板への励起光照射とを選択的に切換えることが可能な光照射機構を用いてもよい。
蛍光体板は、励起光を受光することにより蛍光光を射出する。この光照射機構は、蛍光体板の載置領域8がカメラ21に対して暗視野となる方向に可視光を射出する。この光照射機構は、例えば、可視光を射出する光源と紫外線などの励起光を射出する光源と、これらの光源を切換える切換回路とを備える。制御部50は、この切換回路を制御し、可視光照射と励起光照射とを切換える。
容器3が置き直されることなく載置領域8に載置された状態で、制御部50は、切換回路を制御して、光照射機構の射出光を切換え、撮像機構20を制御して、光照射機構から可視光が射出された場合の暗視野での撮像画像、及び光照射機構から励起光が照射された場合の明視野での撮像画像を取得し、暗視野での撮像画像及び明視野での撮像画像を含む複数の撮像画像に基づいて菌体のコロニー5の数を計測してもよい。
このような構成とすることで、光照射機構は、蛍光体板を介した容器3への可視光照射と蛍光体板への励起光照射とを切換えることが可能であるので、蛍光体板を、入射した可視光の角度を大きく変更することなく透過する透明状態と、入射した励起光により蛍光光を概ね全方向に発光する蛍光状態とに切換えることができる。つまり、光照射機構から射出される光を可視光と励起光とで選択的に切換えるだけで、蛍光体板における透明状態と蛍光状態とを簡単且つ正確に切換えることができる。つまり、蛍光体板を透明状態に切換えることで暗視野の画像が撮像でき、また、蛍光状態に切換えることで明視野の画像を撮像することができる。
【0071】
<8>上記実施形態において、カメラ21として波長スペクトルを計測できるハイパースペクトルカメラを用いてもよい。
【0072】
<9>上記実施形態において、光源11及び/又は第2光源61及び/又は光源31は、菌体または菌体のコロニー5が発光、蛍光、又は自家蛍光する励起光を射出してもよい。
【0073】
<10>上記実施形態において、調光板6に代えてマイクロシャッターアレイを用いてもよい。
【0074】
<11>上記実施形態において、調光板6の下面又は下方に黒いフィルム/ボードを配置し、第2光照射機構60を用いて暗視野および明視野を得てもよい。この場合、調光板6が透明状態の場合に黒いフィルム/ボードにより第2光照射機構60からの光が吸収され、暗視野となる。また、調光板6が拡散状態の場合に調光板6により第2光照射機構60からの光が拡散され、明視野となる。
【0075】
<12>上記実施形態では、容器3には、菌体のコロニー5及び培地4が収容されており、計測部30は、コロニー5の数を計測する例を挙げた。しかし、これに代えて、容器3には、菌体のプラーク及び培地4が収容されており、計測部30は、プラークの数を計測してもよい。或いは、容器3には、菌体の阻止円及び培地4が収容されており、計測部30は、阻止円の大きさを計測してもよい。
【0076】
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本開示の実施形態はこれに限定されず、本開示の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示は、暗視野と明視野とを簡単且つ正確に切換えることができる菌体観察装置に利用できる。
【符号の説明】
【0078】
2 サポート部
2A 開口部
3 容器
4 培地
5 菌体のコロニー
6 調光板
8 載置領域
10 光照射機構
11 光源
12 シェード
13 ミラー
20 撮像機構
30 計測部
31 光源
50 制御部
60 第2光照射機構
100 コロニーカウンター(菌体観察装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
菌体及び培地が収容された容器を載置する載置領域を有する調光板と、
前記調光板を介して前記容器に光を照射する光照射機構と、
前記光照射機構から射出され、前記調光板又は前記菌体で拡散された光を撮像する撮像機構とを備えた菌体観察装置であって、
平面視で、前記載置領域と前記撮像機構とが重なる位置に配置され、
前記調光板は、電圧の印加状態に応じて透明状態と拡散状態とに切換可能であり、前記拡散状態である場合に、当該調光板からの拡散光が前記容器を透過して前記撮像機構に入射する明視野となり、
前記光照射機構は、前記透明状態の前記調光板の前記載置領域が前記撮像機構に対して暗視野となる方向に光を射出する菌体観察装置。
【請求項2】
平面視で、前記載置領域と重なる位置に配置された開口部を有するシェードを更に備え、
前記光照射機構は、
平面視で、前記開口部と重ならないように、前記開口部よりも外側の位置に配置された光源を備えている請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項3】
前記光照射機構は、
平面視で、前記調光板と重なる位置に配置された光源と、
前記光源と前記調光板との間に配置されたシェードと、
平面視で、前記光源及び前記シェードの外側に配置され、前記光源からの光を前記調光板に向けて反射するミラーと、を備えている請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項4】
前記調光板のヘイズ値は、前記透明状態では70%以下であり、前記拡散状態では80%以上である請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項5】
前記調光板は、
1枚又は複数枚のガラス基板又は透明樹脂基板と、
1枚又は複数枚の調光フィルムと、
を備え、
前記1枚又は複数枚の調光フィルムの各々は、前記1枚又は複数枚のガラス基板又は透明樹脂基板の何れかの表面に配置されている請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項6】
側面視で前記載置領域に対して前記光照射機構とは反対側の前記容器が配置された側には、平面視で前記撮像機構の外側の位置に、前記調光板を介さずに前記容器に光を照射可能な第2光照射機構を備える請求項1に記載の菌体観察装置。
【請求項7】
菌体及び培地が収容された容器を載置する載置領域を有する調光板と、
前記調光板を介して前記容器に光を照射する光照射機構と、
前記光照射機構から射出され、前記調光板又は前記菌体で拡散された光を撮像する撮像機構とを備えた菌体観察装置であって、
平面視で、前記載置領域と前記撮像機構とが重なる位置に配置され、
前記調光板は、電圧の印加状態に応じて透明状態と拡散状態とに切換可能であり、
前記光照射機構は、
平面視で、前記調光板と重なる位置に配置された光源と、
前記光源と前記調光板との間に配置されたシェードと、
平面視で、前記光源及び前記シェードの外側に配置され、前記光源からの光を前記調光板に向けて反射するミラーと、を備えており、
前記透明状態の前記調光板の前記載置領域が前記撮像機構に対して暗視野となる方向に光を射出する、菌体観察装置。
【請求項8】
透明蛍光体を含み、菌体及び培地が収容された容器を載置する載置領域を有する蛍光体板と、
選択的に、前記蛍光体板を介した前記容器への可視光照射と前記蛍光体板への励起光照射とを切換えることが可能な光照射機構と、
前記光照射機構から射出され、前記菌体で拡散された可視光及び前記蛍光体板からの蛍光光を撮像する撮像機構とを備えた菌体観察装置であって、
平面視で、前記載置領域と前記撮像機構とが重なる位置に配置され、
前記蛍光体板は、前記励起光を受光することにより前記蛍光光を射出し、
前記光照射機構は、前記蛍光体板の前記載置領域が前記撮像機構に対して暗視野となる方向に前記可視光を射出する、菌体観察装置。
【請求項9】
前記容器が置き直されることなく前記載置領域に載置された状態で、前記調光板又は前記光照射機構を制御して、前記調光板の状態又は前記光照射機構の射出光を切換え、前記撮像機構を制御して、前記調光板が前記透明状態である場合又は前記光照射機構から前記可視光が射出された場合の暗視野での撮像画像、及び前記調光板が前記拡散状態である場合又は前記光照射機構から前記励起光が照射された場合の明視野での撮像画像を取得し、
前記暗視野での撮像画像及び前記明視野での撮像画像を含む複数の撮像画像に基づいて前記菌体を計測する制御部を更に備える請求項1~の何れか一項に記載の菌体観察装置。