(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157299
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】発光鋲及びレンズ部材
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241030BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20241030BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241030BHJP
【FI】
F21S2/00 625
F21V5/04
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071582
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000153236
【氏名又は名称】株式会社光波
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】及川 晋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智清
(72)【発明者】
【氏名】高木 一誠
(72)【発明者】
【氏名】宮下 充浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 寛志
(72)【発明者】
【氏名】今田 俊輔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】用途に応じて視認性の向上を図ることができる発光鋲及びレンズ部材を提供する。
【解決手段】発光鋲1は、光源6と、光源6から出射された光に所定の配光特性を付与して外部に出射するカバーレンズ3とを備え、光源6は、平面視において互いに直交するX方向及びY方向の4つの所定の位置のうち、いずれかの所定の位置に配置可能に構成され、カバーレンズ3は、裏側突部30の入射面30xa、30xb、が、X方向及びY方向にそれぞれ形成され、表側突部31の出射面31xa、31xb、が、X方向及びY方向にそれぞれ形成され、X方向に形成された入射面から出射面31xa、31xbまでの光路長が、Y方向に形成された入射面から出射面までの光路長よりも長くなるように形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に配置された光源と、
前記光源から出射された光に所定の配光特性を付与して外部に出射するレンズ部材であって、裏側の中央領域に断面逆台形状に突出する裏側突部、及び表側の中央領域に断面台形状に突出する表側突部を有し、前記表側突部が表側に露出するように設置面に埋設され、前記裏側突部の前記光源が配置された側の前記断面逆台形状の側面を、前記光源からの光が入射する斜面による入射面とし、前記表側突部の前記光源が配置された側と反対側の前記断面台形状の側面を、前記入射面に入射した光を前記外部に出射する斜面による出射面とするレンズ部材と、を備え、
前記光源は、平面視において互いに直交するX方向及びY方向の4つの前記所定の位置のうち、いずれかの前記所定の位置に配置可能に構成され、
前記レンズ部材は、前記裏側突部の前記入射面が、前記X方向及び前記Y方向にそれぞれ形成され、前記表側突部の前記出射面が、前記X方向及び前記Y方向にそれぞれ形成され、前記X方向に形成された前記入射面から前記出射面までの光路長が、前記Y方向に形成された前記入射面から前記出射面までの光路長よりも長くなるように形成されている、
発光鋲。
【請求項2】
前記レンズ部材は、裏側の前記中央領域の周辺の受け面で支持され、前記受け面は、前記裏側突部の頂面よりも表側に位置する、
請求項1に記載の発光鋲。
【請求項3】
前記レンズ部材の前記表側突部及び前記裏側突部は、前記裏側突部の頂面までの高さが、前記出射面の前記表側突部の頂面までの高さよりも高く形成されている、
請求項1又は2に記載の発光鋲。
【請求項4】
裏側の中央領域に断面逆台形状に突出する裏側突部、及び表側の中央領域に断面台形状に突出する表側突部を有し、前記裏側突部の前記断面逆台形状の側面を、光が入射する斜面による入射面とし、前記表側突部の前記断面台形状の前記入射面に対向する側面を、前記入射面に入射した光を出射する斜面による出射面とし、
前記裏側突部の前記入射面が、平面視において互いに直交するX方向及びY方向にそれぞれ形成され、前記表側突部の前記出射面が、前記X方向及び前記Y方向にそれぞれ形成され、前記X方向に形成された前記入射面から前記出射面までの光路長が、前記Y方向に形成された前記入射面から前記出射面までの光路長よりも長くなるように形成されている、レンズ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光鋲及びレンズ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、傾斜面の高さを低くでき、傾斜面から発光ダイオードの光を効率良く出射することができる自発光式道路鋲が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された自発光式道路鋲は、路面に埋設された鋲本体の開口上部に透光体が取り付けられるとともに、透光体の下部に発光ダイオードが取り付けられ、透光体は路面と面一となるように埋設される平面状上面に、断面台形状の突部が形成されてその突部を形成する傾斜側面が発光ダイオードの光を外部に放出する傾斜面とされ、かつ、透光体の下部に発光ダイオードの発光面と対向して入射面が形成され、入射面から透光体内に入射された発光ダイオードの光が傾斜面より下方に屈折されて外部に放出されるようにしたものであり、発光ダイオードとして、発光面が横長形状とされ、かつ、取付面に対して平行な方向に発光するサイドビュー型の発光ダイオードを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の自発光式道路鋲によると、発光ダイオードから出射される光は広い配光角度を有しており、その光を直接透光体の入射面に入射させていることから、発光ダイオードから出射された光を効率良く入射面に入射させることができず、遠方の車両運転者に光を到達させることが難しくなる。また、外部に放射される光の仰角が小さいため、近く(例えば、10m以内)にいる歩行者に視認させる用途には適していない。
【0006】
したがって、本発明の課題は、用途に応じて視認性の向上を図ることができる発光鋲及びレンズ部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、所定の位置に配置された光源と、前記光源から出射された光に所定の配光特性を付与して外部に出射するレンズ部材であって、裏側の中央領域に断面逆台形状に突出する裏側突部、及び表側の中央領域に断面台形状に突出する表側突部を有し、前記表側突部が表側に露出するように設置面に埋設され、前記裏側突部の前記光源が配置された側の前記断面逆台形状の側面を、前記光源からの光が入射する斜面による入射面とし、前記表側突部の前記光源が配置された側と反対側の前記断面台形状の側面を、前記入射面に入射した光を前記外部に出射する斜面による出射面とするレンズ部材と、を備え、前記光源は、平面視において互いに直交するX方向及びY方向の4つの前記所定の位置のうち、いずれかの前記所定の位置に配置可能に構成され、前記レンズ部材は、前記裏側突部の前記入射面が、前記X方向及び前記Y方向にそれぞれ形成され、前記表側突部の前記出射面が、前記X方向及び前記Y方向にそれぞれ形成され、前記X方向に形成された前記入射面から前記出射面までの光路長が、前記Y方向に形成された前記入射面から前記出射面までの光路長よりも長くなるように形成されている、発光鋲を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記課題を達成するため、裏側の中央領域に断面逆台形状に突出する裏側突部、及び表側の中央領域に断面台形状に突出する表側突部を有し、前記裏側突部の前記断面逆台形状の側面を、光が入射する斜面による入射面とし、前記表側突部の前記断面台形状の前記入射面に対向する側面を、前記入射面に入射した光を出射する斜面による出射面とし、前記裏側突部の前記入射面が、平面視において互いに直交するX方向及びY方向にそれぞれ形成され、前記表側突部の前記出射面が、前記X方向及び前記Y方向にそれぞれ形成され、前記X方向に形成された前記入射面から前記出射面までの光路長が、前記Y方向に形成された前記入射面から前記出射面までの光路長よりも長くなるように形成されている、レンズ部材を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用途に応じて視認性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る発光鋲の外観の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、カバーレンズの一例を示し、(a)は裏側から見た斜視図、(b)は表側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す発光鋲からカバーレンズを外したときの内部構造の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、光源が実装された基板の一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、車両用光学系の一例を示す
図2のA-A線断面図である。
【
図7】
図7は、歩行者用光学系の一例を示す
図2のB-B線断面図である。
【
図8】
図8は、平面視における配光特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図9】
図9は、X方向の垂直面における配光特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図10】
図10(a)は、Y方向の垂直面における配光特性のシミュレーション結果を示す図、
図10(b)は、変形例に係るY方向の垂直面における配光特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図14】
図14は、変形例1に係るY方向の光強度分布を示す図である。
【
図15】
図15は、本実施の形態に係る発光鋲の設置例1を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、本実施の形態に係る発光鋲の設置例2を模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、本実施の形態に係る発光鋲の設置例3を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。また、本実施の形態では、車用及び歩行者用に共用タイプの発光鋲について説明するが、これに限られない。
【0012】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る発光鋲の外観の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す発光鋲の平面図である。
【0013】
この発光鋲1は、
図1に示すように、所定の設置面12(
図6、
図7参照)に埋設される筐体2と、筐体2内の所定の位置に収容された光源6(
図4等参照)から出射される光に出射方向に応じた所定の配光特性を付与して外部、例えば、X方向に車両用の光10xを出射し、Y方向に歩行者用の光10yを出射し、Z方向の上方に歩行者用の光10z(
図1、
図2では、図示を省略する。)を出射するカバーレンズ3とを備える。カバーレンズ3は、レンズ部材の一例である。
【0014】
なお、車両用の光10x及び歩行者用の光10yは、
図1及び
図2では模式的に示す。車両用の光10x及び歩行者用の光10yを総称するときは、以下「光10」ともいう。光10の出射方向は、
図1に示す方向に限られない。例えば、X方向及びY方向の4方向のうちいずれかの1方向、2方向又は3方向でもよく、X方向及びY方向の4方向以外の方向を含んでもよい。また、出射する光10を車両用の光10xとするか、歩行者用の光10yとするかは用途に応じて任意に変形実施が可能である。例えば、車両用の光10xをX方向及びY方向に出射してもよく、歩行者用の光10yをX方向及びY方向に出射してもよい。
【0015】
発光鋲1の設置場所は、例えば、中央線(センターライン)、車線、車道外側線(側道白線)、横断歩道、停止線、交差点、縁石等であるが、これらに限られない。
【0016】
カバーレンズ3は、
図2に示すように、略八角形の盤状の形状を有する。カバーレンズ3の中央領域に台形状に突出する表側突部31が形成されており、表側突部31の側面の出射面31xa、31xbから車両用の光10xをX方向に出射し、表側突部31の側面の出射面31ya、31ybから歩行者用の光10yをY方向に出射する。カバーレンズ3のX方向の出射面31xa、31xbは、平面視において出射側に凸状の曲面により形成され、Y方向の出射面31ya、31ybは、平面視において直線状の面により形成されている。
【0017】
(カバーレンズの構成)
図3は、カバーレンズ3の一例を示し、(a)は裏側から見た斜視図、(b)は表側から見た斜視図である。
図3(b)は、
図1に示すカバーレンズ3と同様に表側から見た斜視図である。
図3(a)は、
図3(b)に示すカバーレンズ3をY方向の軸を中心に180°回転させて裏側から見た斜視図である。
【0018】
カバーレンズ3は、
図3(a)に示すように、裏側の中央領域に断面逆台形状(すなわちX-Z断面及びY-Z断面の形状が逆台形状)に突出する裏側突部30を有し、
図3(b)に示すように、表側の中央領域に断面台形状(すなわちX-Z断面及びY-Z断面の形状が台形状)に突出する表側突部31を有し、裏側突部30及び表側突部31の周辺は厚さがほぼ一様な周辺部32となっている。カバーレンズ3は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性を有する材料から形成されている。
【0019】
裏側突部30のX-Z断面における逆台形状の両側面を、光源6からの光が入射する斜面による入射面30xa、30xbとし、裏側突部30のY-Z断面における逆台形状の両側面を、光源6からの光が入射する斜面による入射面30ya、30ybとしている。すなわち、カバーレンズ3は、裏側突部30の入射面30xa、30xb、30ya、30ybが、X方向及びY方向にそれぞれ形成されている。
【0020】
表側突部31のX-Z断面における台形状の両側面を、斜面による出射面31xa、31xbとし、表側突部31のY-Z断面における台形状の両側面を、斜面による出射面31ya、31ybとしている。すなわち、カバーレンズ3は、表側突部31の出射面31xa、31xb、31ya、31ybが、X方向及びY方向にそれぞれ形成されている。
【0021】
なお、台形状、逆台形状には、等脚台形の形状だけでなく、一方が斜面、他方が斜面でないものも含まれ、側面と頂面との交線(稜線)や側面と裏側突部30及び表側突部31の周辺との交線が断面弧状に形成されたものも含まれる。
【0022】
(発光鋲の内部構造)
図4は、
図1に示す発光鋲1からカバーレンズ3を外したときの内部構造の一例を示す斜視図である。筐体2には、ケース4と、基板5とが収容されている。
【0023】
基板5の上面には、光源6として、車両用光源6Aa、6Ab、第1の歩行者用光源6Ba、6Bb、及び第2の歩行者用光源6Ca、6Cbと、車両用光源6Aa、6Abから出射された光を集光して所定の方向、すなわちカバーレンズ3の入射面30xa、30xbに入射する集光レンズ7Aと、第1の歩行者用光源6Ba、6Bbから出射された光を集光してカバーレンズ3の入射面30ya、30ybに入射する集光レンズ7Bと、第2の歩行者用光源6Ca、6Cbから出射された光をカバーレンズ3の周辺部32を介してZ方向の上方に出射するロッドレンズ8が配置されている。第2の歩行者用光源6Ca、6Cbは、上方出射用の光源の一例である。集光レンズ7A、7Bは、集光部材の一例である。
【0024】
ロッドレンズ8は、円柱状を有し、一方の端面を光が入射する入射端面とし、他方の端面を光が出射する出射端面8aとしている。なお、車両用光源6Aa、6Ab、第1の歩行者用光源6Ba、6Bb、第2の歩行者用光源6Ca、6Cbをそれぞれ総称するときは、それぞれ車両用光源6A、第1の歩行者用光源6B、第2の歩行者用光源6Cともいう。
【0025】
(光源の構成)
図5は、光源6が実装された基板5の一例を示す平面図である。光源6は、平面視において互いに直交するX方向及びY方向の基板5上の4つの所定の位置のうち、いずれかの所定の位置に配置可能に構成されている。例えば、基板5の上面5aのX方向の所定の位置に一対の車両用光源6Aa、6Abが実装され、基板5の上面5aのY方向の所定の位置に一対の第1の歩行者用光源6Ba、6Bbが実装されている。さらに、基板5の上面5aのY方向の所定の位置に一対の第2の歩行者用光源6Ca、6Cbが実装されている。
【0026】
基板5は、例えば、プリント回路基板であり、ガラス基材、エポキシ系・ポリエステル系コンポジット基材等の絶縁性を有する基材の表面に、光源6等に電源を供給するための銅箔等の金属からなる配線パターンが形成されている。
【0027】
車両用光源6Aa、6Abは、例えば、5つの多色LED60と、5つの白色LED61とから構成され、多色LED60と白色LED61とが交互にY方向に沿って互いに近接して配置されている。多色LED60は、多色発光素子の一例である。白色LED61は、白色発光素子の一例である。なお、車両用光源6Aa、6Abを構成する発光素子は、上記のものに限られない。
【0028】
多色LED60は、赤色系の光を出射する赤色LED、緑色系の光を出射する緑色LED、及び青色系の光青色LEDが内蔵されている。白色LED61は、例えば、青色LEDから出射された青色系の光を蛍光体により黄色系の光に波長変換し、黄色系の光と青色系の光とが混合されて白色系の光を出射する。上記のように車両用光源6Aを構成する発光素子を高い実装密度で実装し、発光強度の向上を図ることにより、遠方(例えば、100m以上)まで車両用の光10xが到達可能となり、選択的に点灯して様々な色の光や混合色の光を出射することができる。
【0029】
多色LED60は素子数を3つ、白色LED61は素子数を1つとした場合、
図5では、発光素子が実装された領域の長さ(例えば、24mm)に対して、20個の発光素子を実装していることになり、
図5に示す場合の実装密度を20個/24mm=0.83個/mmと表現することができ、好ましい実装密度を0.6~1個/mmと表現することができる。
【0030】
第1の歩行者用光源6Ba、6Bbは、例えば、2つの多色LED60と、2つの白色LED61とから構成され、多色LED60と白色LED61とが交互にX方向に沿って配置されている。第2の歩行者用光源6Ca、6Cbは、例えば、1つの多色LED60と、1つの白色LED61とから構成され、第1の歩行者用光源6Ba、6Bbの外側に配置されている。なお、第1の歩行者用光源6B及び第2の歩行者用光源6Cを構成する発光素子は、上記のものに限られない。
【0031】
上記の光源6として、車両用光源6Aのみを用いて車両用発光鋲とすることができ、上記の光源6として、第1の歩行者用光源6B、第2の歩行者用光源6Cのみを用いて歩行者用発光鋲とすることができる。このため、車両用発光鋲と歩行者用発光鋲との間で、筐体2、カバーレンズ3、ケース4、基板5、光源6等を共用化することが可能となる。
【0032】
(車両用光学系の構成)
図6は、車両用光学系の一例を示す
図2のA-A線断面図である。なお、
図6では、歩行者用光学系(第1の歩行者用光源6B、第2の歩行者用光源6C、集光レンズ7B、ロッドレンズ8)の図示を省略している。
【0033】
発光鋲1は、表側突部31が表側に露出するように設置面12に埋設される筐体2と、筐体2に収容されるケース4と、ケース4内に水平に配置される基板5と、基板5の上面5aに実装され、基板5に垂直な方向に光軸6aを有する車両用光源6Aと、車両用光源6Aから出射された光を集光する集光レンズ7Aとを備える。
【0034】
筐体2は、ケース4を収容する下側凹部20と、受け面21aでカバーレンズ3を受けてカバーレンズ3を収容する上側凹部21とを有する。また、筐体2は、下側凹部20を形成する壁部22に、カバーレンズ3をボルト11で固定するためのねじ穴21bが形成されている。筐体2の受け面21aには、パッキン13が収容されるパッキン溝21cが環状に形成され、パッキン13とカバーレンズ3の受け面32aが密着することで水密性が確保されている。筐体2は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属から形成されている。
【0035】
カバーレンズ3は、内部の収容空間を確保するため、中央で支持せずに裏側の中央領域の周辺の受け面32aで支持する構造を採用している。すなわち、カバーレンズ3は、周辺部32の裏面の受け面32aを、筐体2の受け面21aで支持し、周辺部32に形成された凹状の座部32bの貫通孔32cを介してボルト11でカバーレンズ3の周辺部32を筐体2に固定している。また、カバーレンズ3は、裏側突部30に、入射面30xa、30xbから出射面31xa、31xbに至る光路を妨げないように凹部33が形成されている。この凹部33により人感センサや太陽電池等の基板5への実装部品との干渉を回避することができる。
【0036】
また、カバーレンズ3は、車両がカバーレンズ3の上を通過する際のロードノイズの発生を抑制するため、表側突部31の頂面31aまでの高さHf(例えば、約5mm)をできるだけ低い高さとしている。表側突部31の高さに関連して、入射面30xa、30xbへの入射効率を高める等のため、受け面32aは、裏側突部30の頂面30aよりも表側に位置し、裏側突部30の頂面30aまでの高さHr(例えば、約6mm)を、表側突部31の頂面31aまでの高さHfよりも高くしている。これにより、集光レンズ7Aの後述する出射面72を入射面30xa、30xbに対峙させやすくなり、出射面72から入射面30xa、30xbへの入射効率を高めることができる。
【0037】
さらに、カバーレンズ3は、車両用の光10xを歩行者用の光10yよりも低い角度で外部に出射させるため、X方向に形成された入射面30xa、30xbと出射面31xa、31xb、及びY方向に形成された入射面30ya、30ybと出射面31ya、31ybを、互いに対向する位置関係とし、入射面30xa、30xbから出射面31xa、31xbまでの光路長を、入射面30ya、30ybから出射面31ya、31ybまでの光路長よりも長くしている。この入射面と出射面間の光路長に関連して、車両がカバーレンズ3の上を通過しても破損や変形するのを抑制するため、凹部33が形成された中央領域の厚さT1を周辺部32の厚さT2と同程度以上としてもよい。なお、カバーレンズ3の強度及び基板5への実装部品によっては凹部33を設けなくてもよい。
【0038】
ケース4は、基板5を収容する凹部40と、上面41aに基板5の下面5bが接触して基板5を支持する支持部41とを有する。ケース4は、絶縁性の確保等の観点より、例えば、ポリカーボネート樹脂等の樹脂を用いて射出成形により形成するのが好ましい。なお、ケース4は、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属から形成されてもよい。
【0039】
集光レンズ7Aは、断面形状が車両用光源6A側に凸状の曲線により形成された入射面70aと、入射面70aに入射した光を全反射して略平行光とする曲面により形成された反射面71aと、反射面71aで反射した光を光源6の光軸6aとは異なる方向に出射する出射面72aとを有する。反射面71aは、例えば、入射した光が全反射するとともに略平行光となるように1つ又は複数の外側に向けて凸状の曲面により構成されている。集光レンズ7Aは、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性を有する材料から形成されている。
【0040】
上記のように構成された車両用光学系において、車両用光源6Aaから出射された光は、集光レンズ7Aの入射面70aで集光され、反射面71aで反射した後、出射面72aから出射してカバーレンズ3の入射面30xaに入射する。入射面30xaに入射した光は、そのほとんどが表側突部31の頂面31aで全反射せずに出射面31xaに到達し、出射面31xaから車両用の光10xとして低い角度で外部に出射される。
【0041】
これと同様に、車両用光源6Abから出射された光は、集光レンズ7Aによって集光されて入射面30xbに入射する。入射面30xbに入射した光は、そのほとんどが表側突部31の頂面31aで全反射せずに出射面31xbに到達し、出射面31xbから車両用の光10xとして低い角度で外部に出射される。
【0042】
(歩行者用光学系の構成)
図7は、歩行者用光学系の一例を示す
図2のB-B線断面図である。なお、
図7では、車両用光学系(車両用光源6A、集光レンズ7A)の図示を省略している。
【0043】
発光鋲1は、前述したように、設置面12に埋設される筐体2と、筐体2に収容されるケース4と、ケース4内に水平に配置される基板5とを備え、さらに基板5の上面5aに実装され、基板5に垂直な方向に光軸6aを有する第1の歩行者用光源6Ba、6Bb及び第2の歩行者用光源6Ca、6Cbと、第1の歩行者用光源6Ba、6Bbから出射された光を集光して反射する集光レンズ7Bと、第2の歩行者用光源6Ca、6Cbから出射された光を集光して外部に出射するロッドレンズ8とを備える。
【0044】
集光レンズ7Bは、断面形状が第1の歩行者用光源6B側に凸状の曲線により形成された入射面70bと、入射面70bに入射した光を全面反射するとともに集光させる曲面により形成された反射面71bと、反射面71bで反射した光を光源6の光軸6aとは異なる方向に出射する出射面72bとを有する。反射面71bは、例えば、入射した光が全反射するとともに集光するように1つ又は複数の外側に向けて凸状の曲面により構成されている。歩行者用光学系の集光レンズ7Bの反射面71bを、車両用光学系の集光レンズ7Aの反射面71aよりも集光性を高くしたのは、歩行者用光学系の入射面30ya、30ybから出射面31ya、31ybまでの光路長の方が、車両用光学系の入射面30xa、30xbから出射面31xa、31xbまでの光路長よりも短いためである。集光レンズ7Bは、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性を有する材料から形成されている。
【0045】
上記のように構成された歩行者用光学系において、第1の歩行者用光源6Baから出射された光は、集光レンズ7Bの入射面70bで集光され、反射面71bで反射して集光した後、出射面72bから出射してカバーレンズ3の入射面30yaに入射する。入射面30yaに入射した光は、そのほとんどが表側突部31の頂面31aで全反射せずに出射面31yaに到達し、出射面31yaから歩行者用の光10yとして外部に出射される。
【0046】
これと同様に、第1の歩行者用光源6Bbから出射された光は、集光レンズ7Bによって集光されて入射面30ybに入射する。入射面30ybに入射した光は、そのほとんどが表側突部31の頂面31aで全反射せずに出射面31ybに到達し、出射面31ybから歩行者用の光10yとして外部に出射される。第2の歩行者用光源6Ca、6Cbから出射された光は、ロッドレンズ8の入射端面に入射し、ロッドレンズ8の出射端面8aからカバーレンズ3の周辺部32を介して歩行者用の光10zとしてZ方向の上方に出射される。
【0047】
(平面視における配光特性)
図8は、平面視における配光特性のシミュレーション結果を示す図である。なお、同図は第2の歩行者用光源6Cは考慮していない。
図2で説明したように、カバーレンズ3のX方向の出射面31xa、31xbは、平面視において出射側に凸状の曲面、かつ、垂直断面の形状を直線により形成されている。一方、Y方向の出射面31ya、31ybは、平面視において直線状の面、かつ、垂直断面の形状を直線により形成されている。このため、シミュレーション結果によれば、X方向に出射する車両用の光10xの平面視における配光角度θxyは、48°と狭くなり、Y方向に出射する歩行者用の光10yの配光角度θyxは、77°と広くなった。なお、出射面31xa、31xbを平面視において直線状の面により形成した場合のシミュレーション結果では、車両用の光10xの平面視における配光角度θxyは、63°と広くなっている。
【0048】
このように発光鋲1からX方向に出射される車両用の光10xは、平面視における配光角度θxyが50°以下と狭いため、光線が密集して光強度が強くなり、遠方(例えば、100m以上)に到達しやすくなる。発光鋲1からY方向に出射される歩行者用の光10yは、平面視において70°以上と広いため、歩行者が近く(例えば、10m以内)から光10yを視認しやすくなる。また、ロッドレンズ8によりZ方向の上方に歩行者用の光10zを出射しているため、直近(例えば、0~3m)を歩く歩行者から光10zを視認しやすくなる。すなわち、この発光鋲1によれば、付近(例えば、10m前後)だけでなく、直近(例えば、0~3m)にいる歩行者からの視認性の向上を図ることができる。
【0049】
(車両用の垂直面内の配光特性)
図9は、X方向の垂直面における配光特性のシミュレーション結果を示す図である。なお、同図は第1の歩行者用光源6B及び第2の歩行者用光源6Cは考慮していない。シミュレーション結果によれば、発光鋲1からX方向に出射する車両用の光10xの垂直面における配光角度θxzは、4.5°(θx1=0.5°、θx2=5°)となった。上記の車両用の光の配光特性に関して説明したように、車両用光源6Aを構成する発光素子を高い実装密度で実装し、カバーレンズ3の入射面30xa、30xbの入射効率を向上させ、出射面31xa、31xbを平面視において出射側に凸状の曲面により形成したことで、車両用の光10xの配光角度θxy、θxzを狭くすることができ、これにより遠方(例えば、100m以上)の車両運転者から車両用の光10xを視認することが可能となる。また、車両用の光10xの垂直面における配光角度θx2が狭くなることで、近く(例えば、10m以内)を歩く歩行者が眩しいと感じるのを抑制することができる。
【0050】
(歩行者用の配光特性)
図10(a)は、Y方向の垂直面における配光特性のシミュレーション結果を示す図である。なお、同図は一方の第1の歩行者用光源6Baのみに対して行ったものであり、車両用光源6A及び第2の歩行者用光源6Cは考慮していない。カバーレンズ3の出射面31ya、31ybは、
図10(a)に示すように、垂直断面の形状を出射側に凸状の曲線により形成され、曲線の外側に入射面30ya、30ybに入射した光の光線が交差する点10yaを有する。垂直断面の形状を出射側に凸状の曲線により形成された出射面31ya、31ybは、拡散手段の一例である。
【0051】
シミュレーション結果によれば、発光鋲1からY方向に出射する歩行者の光10yの垂直面における配光角度θyzは、28°(θy1=5°、θy2=33°)となった。このように発光鋲1からY方向に出射される歩行者用の光10yは、垂直面における配光角度θyzが広いため、発光鋲1の近く(例えば、10m以内)にいる子供や大人を含む歩行者から歩行者用の光10yを視認することができる。また、出射面31ya、31ybの垂直断面の形状を出射側に凸状の曲線により形成することで、垂直断面の形状を出射側に凹状の曲線とするよりも、車両がカバーレンズ3の上を通過する際の出射面31ya、31ybと頂面31aとの角の損傷を抑制することができる。
【0052】
図10(b)は、出射面31ya、31ybの変形例に係るY方向の垂直面における配光特性のシミュレーション結果を示す図である。この変形例は、カバーレンズ3の出射面31ya、31ybを、
図10(b)に示すように、垂直断面の形状を出射側に凹状の曲線としたものである。垂直断面の形状を出射側に凹状の曲線により形成された出射面31ya、31ybは、拡散手段の一例である。
【0053】
シミュレーション結果によれば、発光鋲1からY方向に出射する歩行者の光10yの垂直面における配光角度θ’yzは、22°(θ’y1=2°、θ’y2=24°)となった。この変形例によれば、出射面31ya、31ybを垂直断面において出射側に凸状の曲線とした場合と比較して、垂直面における配光角度はやや狭くなるが、車両用の光10xと比較して広い配光角度θ’yzで出射することができる。なお、拡散手段として、入射面30ya、ybの垂直断面の形状を出射側に凸状又は凹状の曲線により構成してもよい。また、拡散手段として、光源6からカバーレンズ3の出射面31ya、31ybに至る光路のいずれかに設けられ、光路を通る光を垂直面内で拡散させてもよい。
【0054】
(光強度分布)
図11は、X方向の光強度分布を示す図である。
図11(a)は、X方向の平面視における光強度分布を示し、
図11(b)は、X方向の垂直面における光強度分布を示す。
図12は、Y方向の光強度分布を示す図である。
図12(a)は、Y方向の水平に対する仰角が6°における光強度分布を示し、
図12(b)は、Y方向の水平に対する仰角が20°における光強度分布を示す。
図12(c)は、Y方向の垂直面における光強度分布を示す。なお、
図12(c)に示す相対光強度(%)は、全ての方向の光強度のうち最大光強度(
図11(b)の100%)を基準にしている。なお、
図11及び
図12は、光源6として車両用光源6Aのみを用いた場合の光強度分布を示す。
【0055】
図11(b)から、
図9で説明したのと同様に、発光鋲1からX方向に出射する車両用の光10xの垂直面における配光角度θxzは4.5°と狭く、低い角度(0.5°~5°)で出射されていることが分る。
【0056】
図12(a)では、光強度が5%以上あり、
図12(b)では、光強度が10%以上あり、
図12(c)では、-30°から+30°の範囲の光強度が10%以上あることから、それぞれ付近(例えば、10m前後)、近傍(例えば、5m前後)、直近(例えば、0~3m)から、歩行者は歩行者用の光10yを視認できることが分る。
【0057】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(a)車両用光源6Aの発光素子を高い実装密度で実装し、カバーレンズ3の入射面30xa、30xbの入射効率を向上させ、出射面31xa、31xbを平面視において出射側に凸状の曲面により形成したことで、車両用の光10xの配光角度θxy、θxzを狭くすることができ、これにより遠方(例えば、100m以上)の車両運転者からの車両用の光10xの視認性の向上を図ることができる。
(b)入射面30xa、30xbから出射面31xa、31xbまでの光路長を、入射面30ya、30ybから出射面31ya、31ybまでの光路長よりも長くしたことで、車両用の光10xを歩行者用の光10yよりも低い角度(例えば、3°~10°)で外部に出射させることができる。
(c)カバーレンズ3の出射面31ya、31ybの垂直面における拡散機能等により、歩行者用の光10yの垂直面における配光角度θyzを広くすることができ、これにより発光鋲1の近く(例えば、10m以内)にいる子供や大人を含む歩行者からの歩行者用の光10yの視認性の向上を図ることができる。
(d)後述する設置例1乃至3にも示すように、用途に応じて車両用光学系又は歩行者用光学系を基板5に実装することができることから、用途に応じて視認性の向上を図ることができる。
【0058】
(変形例1)
図13は、変形例1に係る
図2のB-B線断面図に対応する断面図である。本実施の形態では、第1の歩行者用光源6Bから出射された光を集光する集光手段として、集光レンズ7Bを用いたが、この変形例1は、拡散手段の一例としてリフレクタ7Cを用いたものである。
【0059】
リフレクタ7Cは、ミラー型のリフレクタ(ミラーリフレクタともいう。)であり、例えば、樹脂から本体が形成され、本体の表面に金属膜(例えば、反射率80%)による反射面73が形成されている。反射面73は、例えば、入射した光が全反射するとともに垂直面内で拡散するように1つ又は複数の内側に向けて凹状の曲面により構成されている。
【0060】
図14は、変形例1に係るY方向の光強度分布を示す図である。
図14(a)は、仰角が6°における光強度分布を示し、
図14(b)は、仰角が20°における光強度分布を示す。
図14(c)は、垂直面における光強度分布を示す。なお、
図14(c)に示す相対光強度(%)は、全ての方向の光強度のうち最大光強度(
図11(b)の100%)を基準にしている。また、
図14は、光源6として第1の歩行者用光源6B及び第2の歩行者用光源6Cのみを用いた場合の光強度分布を示す。
【0061】
図14(a)では、光強度が5%以上あり、
図14(b)では、光強度が5%以上あり、
図14(c)では、-55°から-20°の範囲、及び+20°から+55°の範囲の光強度が20%以上あることから、それぞれ付近(例えば、10m前後)、近傍(例えば、5m前後)、直近(例えば、0~3m)から、歩行者は歩行者用の光10yを視認できることが分る。なお、変形例1では、カバーレンズ3の出射面31ya、31ybに拡散機能を持たせるとともに、1次レンズとして拡散機能を有するリフレクタ7Cを用いたが、拡散機能を有するリフレクタ7Cを用いる場合には、カバーレンズ3の出射面31ya、31ybに拡散機能を持たせなくてもよい。
【0062】
(設置例1)
図15は、本実施の形態に係る発光鋲の設置例1を模式的に示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。この設置例1は、車両用光学系のみを実装した複数の発光鋲1を道路100の中央線101に設置したものである。設置例1の発光鋲1は、X方向の両方向に車両用の光10xを中央線101に沿って出射している。中央線101を境に道路100をそれぞれ走行している車両110A、110Bの運転者は、遠方(例えば、100m以上)から車両用の光10xを視認することができる。
【0063】
(設置例2)
図16は、本実施の形態に係る発光鋲の設置例2を模式的に示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。この設置例2は、歩行者用光学系のみを実装した複数の発光鋲1を横断歩道121に設置したものである。設置例2の発光鋲1は、Y方向の両方向に歩行者用の光10yを横断する方向に沿って出射し、Z方向の上方に歩行者用の光10zを出射している。歩行者130は、歩行者用の光10y、10zによって横断歩道121の位置を容易に認識することができる。
【0064】
(設置例3)
図17は、本実施の形態に係る発光鋲の設置例3を模式的に示す図である。同図に示す設置例3は、2つの発光鋲1を交差点付近に設置したものであり、道幅の広い道路110の車道外側線102の交差点付近に1つの発光鋲1Aを設置し、道幅の狭い道路110’の交差点付近に1つの発光鋲1Bを設置したものである。
【0065】
一方の発光鋲1Aは、1つ車両用光学系(車両用光源6Ab、集光レンズ7A)と1つの歩行者用光学系(第1の歩行者用光源6Ba、第2の歩行者用光源6Ca、リフレクタ7B、ロッドレンズ8)を実装している。他方の発光鋲1Bは、設置例2のように一対の歩行者用光学系のみを実装している。歩行者130は、発光鋲1Bからの歩行者用の光10y、10zによって交差点に近いことを認識することができる。車両運転者は、発光鋲1Aからの車両用の光10xによって車道外側線102の存在を認識することができ、歩行者130は、発光鋲1Aからの歩行者用の光10y、10zによって交差点が間近であることを認識することができる。
【0066】
上記設置例1乃至3に示したように、用途に応じて車両用光学系又は歩行者用光学系を基板5に実装することにより、用途に応じて視認性の向上を図ることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、車両用の集光部材として集光レンズ7Aを用いたが、ミラー型のリフレクタを用いてもよい。また、上記実施の形態では、車両用光学系と歩行者用光学系を用いたが、車両用光学系を用いずに、歩行者用光学系として、第2の歩行者用光源6C及びロッドレンズ8のみを用いてもよい。これにより直近(例えば、0~3m)の歩行者にZ方向の上方に出射する歩行者用の光10zを視認させることができる。
【0068】
また、上記実施の形態の構成要素の一部を省くことや変更してもよい。例えば、上方への歩行者用の光10zを出射する必要がない場合には、第2の歩行者用光源6C及びロッドレンズ8を省いてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、1B…発光鋲、2…筐体、3…カバーレンズ、4…ケース、5…基板、5a…上面、5b…下面、6…光源、6a…光軸、6A、6Aa、6Ab…車両用光源、6B、6Ba、6Bb…第1の歩行者用光源、6C、6Ca、6Cb…第2の歩行者用光源、7A、7B…集光レンズ、7C…リフレクタ、8…ロッドレンズ、8a…出射端面、10…光、10x…車両用の光、10y、10z…歩行者用の光、10ya…交点、11…ボルト、12…設置面、13…パッキン、20…下側凹部、21…上側凹部、21a…受け面、21b…ねじ穴、21c・・・パッキン溝、22…壁部、30…裏側突部、30a…頂面、30xa、30xb、30ya、30yb…入射面、31…表側突部、31a…頂面、31xa、31xb、31ya、31yb…出射面、32…周辺部、32a…受け面、32b…座部、32c…貫通孔、33…凹部、40…凹部、41…支持部、41a…上面、60…多色LED、61…白色LED、70a、70b…入射面、71a、71b…反射面、72a、72b…出射面、73…反射面、100、100’…道路、101…中央線、102…車道外側線、103…停止線、110、110A、110B…車両、120…歩道、121…横断歩道、130…歩行者、Hf、Hr…高さ、T1、T2…厚さ、θxy、θxz、θyx、θyz、θ’yz…配光角度