(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157303
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】友釣り用フック
(51)【国際特許分類】
A01K 91/06 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
A01K91/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071596
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】515201497
【氏名又は名称】元持 康顕
(71)【出願人】
【識別番号】515201501
【氏名又は名称】元持 義生
(71)【出願人】
【識別番号】515201512
【氏名又は名称】元持 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】元持 康顕
(72)【発明者】
【氏名】元持 義生
(72)【発明者】
【氏名】元持 誠
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307GA13
(57)【要約】
【課題】おとり鮎が自然な姿勢で遊泳しやすく、また、おとり鮎から外れにくい、鼻環に替わる友釣り用フックを提供する。
【解決手段】本態様に係る友釣り用フック1Aは、環状のハリス固定部10と、ハリス固定部10の下側に形成されたフック本体部20とを備える。フック本体部20は、ハリス固定部10の下端11から下方に延び出す第1部分21と、ハリス固定部10の下端11から下方であって第1部分21と異なる方向に延び出す第2部分22と、第1部分21の下端21aから第2部分22側に向かって延び出し、第2部分22の下端22aの下側を通って第2部分22よりも遠くまで至る直線形状の第3部分23とを含む。第3部分23の先端部23aは、尖った形状を有する。第2部分22の下端部には、弾性変形により上方に変位した第3部分23と係合し、第2部分22と第3部分23とが離れないようするロック部24が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する線材により形成され、友釣り用の仕掛けに鼻環に替えて用いられ、おとり鮎を背びれよりも前の背部の位置でハリスに繋ぎ止めるための友釣り用フックであって、
ハリスが通されて固定される環状のハリス固定部と、
前記ハリス固定部の下側に形成されたフック本体部と、を備え、
前記フック本体部は、
前記ハリス固定部の下端から下方に延び出す第1部分と、
前記ハリス固定部の下端から下方であって前記第1部分と異なる方向に延び出す第2部分と、
前記第1部分の下端から前記第2部分側に向かって延び出し、前記第2部分の下端の下側を通って前記第2部分よりも遠くまで至る直線形状の第3部分と、を含み、
前記第3部分の先端部は、尖った形状を有し、
前記第2部分の下端部には、弾性変形により上方に変位した前記第3部分と係合し、前記第2部分と前記第3部分とが離れないようするロック部が設けられる、
ことを特徴とする友釣り用フック。
【請求項2】
前記第1部分および前記第2部分は、直線形状を有し、
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とにより三角形が構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の友釣り用フック。
【請求項3】
弾性を有する線材により形成され、友釣り用の仕掛けに鼻環に替えて用いられ、おとり鮎を背びれよりも前の背部の位置でハリスに繋ぎ止めるための友釣り用フックであって、
ハリスが通されて固定される環状のハリス固定部と、
前記ハリス固定部の下側に形成されたフック本体部と、を備え、
前記フック本体部は、
前記ハリス固定部の下端から下方に延び出す第1部分と、
前記ハリス固定部の下端から下方であって前記第1部分と異なる方向に延び出す第2部分と、
前記第1部分の下端から下方に湾曲しつつ前記第2部分側に向かって延びる、先端が尖った第3部分と、を含み、
前記第3部分は、前記第2部分の下側から前記第2部分の下端部に近づくように上方に延びた後、先端部が前記第1部分から前記第2部分へ向かう方向に折れ曲がるとともに、前記先端部と前記第2部分の下端部との間に上下方向に隙間を有し、
前記第3部分における最下点部分から先端までの上下方向の寸法が、前記第2部分の上下方向の寸法よりも大きくされる、
ことを特徴とする友釣り用フック。
【請求項4】
前記第2部分の下端部は、前記第1部分側に折り曲げられた形状を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の友釣り用フック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おとり鮎を、その頭部側においてハリスに繋ぎ止めるための友釣り用フックに関する。特に、本発明の友釣り用フックは、友釣り用の仕掛けに、おとり鮎の鼻に通される鼻環に替えて使用される。
【背景技術】
【0002】
従来、鮎の友釣り行うための仕掛けには、ハリス(仕掛け糸)、鼻環、サカサ鈎、掛け鈎等が含まれる。おとり鮎の鼻穴に鼻環が通され、鼻環から延びるハリスにサカサ鈎が固定され、サカサ鈎がおとり鮎の尾部の尻びれ付近に引っ掛けられる。おとり鮎は、その頭部側を鼻環によりハリスに繋ぎ止められ、その尾部側をサカサ鈎によりハリスに繋ぎ止められる。掛け鈎から延びる掛け鈎側ハリスがサカサ鈎に固定されることにより、掛け鈎がおとり鮎に装着される。
【0003】
上記のような友釣り用の仕掛けの一例は、たとえば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
友釣りの成立には、おとり鮎が頭を下げて川底の石を目指すような姿勢で泳ぐことが必要となる。このような姿勢で泳いでいるおとり鮎を、その周辺の場所を縄張りとする野鮎が見つけ、縄張りに侵入してきた敵を排除しようと体当たりしてくることにより、野鮎が掛け鈎に掛かるためである。
【0006】
しかしながら、従来の仕掛けのように、おとり鮎の頭部側を、鼻穴の位置において鼻環によりハリスに繋ぎ止める場合には、鼻先が上方に引っ張られやすい。このため、おとり鮎が頭を下げた状態で泳ぎにくくなりやすい。
【0007】
そこで、おとり鮎の頭部側をハリスに繋ぎ止める位置を、鼻穴よりも後方となる頭部に近い背部の位置、たとえば、鼻穴から約25mm後方の位置とすることが考えられる。これにより、おとり鮎が頭を下げた状態で泳ぎやすくなるため、早く確実に野鮎を捕獲することが可能になる。なお、鮎の頭部に近い背部の位置は、鮎の肩部と称することもできる。
【0008】
しかしながら、鼻環に替わって、おとり鮎を、その頭部に近い背部の位置においてハリスに繋ぎ止めるための専用の釣具(友釣り用フック)は、従来、知られていない。渓流鈎等の釣鈎を代用することも考えられるが、以下のようなことが懸念される。
【0009】
即ち、釣鈎に返しがない場合には、おとり鮎が激しく動くなどした際に、おとり鮎から釣鈎が外れやすくなる一方、釣鈎に返しがある場合には、おとり鮎の交換を行う際に、釣鈎の返しが玉網や衣服に引っ掛かりやすくなり、素早く交換作業が行えなくなる、ということが懸念される。
【0010】
さらに、釣鈎をおとり鮎の背部に引っ掛けたときに、ハリスが固定される釣鈎の固定部が背部の真上近くに位置しにくく、おとり鮎が背部の真上からハリスで吊り下げられないことにより、縦に真っ直ぐな姿勢で泳ぎにくくなる、即ち、自然な姿勢で泳ぎにくくなることが懸念される。
【0011】
そこで、本発明は、おとり鮎が自然な姿勢で遊泳しやすく、さらには、おとり鮎から外れにくい、鼻環に替わる友釣り用フックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、弾性を有する線材により形成され、友釣り用の仕掛けに鼻環に替えて用いられ、おとり鮎を背びれよりも前の背部の位置でハリスに繋ぎ止めるための友釣り用フックに関する。本態様に係る友釣り用フックは、ハリスが通されて固定される環状のハリス固定部と、前記ハリス固定部の下側に形成されたフック本体部と、を備える。ここで、前記フック本体部は、前記ハリス固定部の下端から下方に延び出す第1部分と、前記ハリス固定部の下端から下方であって前記第1部分と異なる方向に延び出す第2部分と、前記第1部分の下端から前記第2部分側に向かって延び出し、前記第2部分の下端の下側を通って前記第2部分よりも遠くまで至る直線形状の第3部分と、を含む。前記第3部分の先端部は、尖った形状を有する。前記第2部分の下端部には、弾性変形により上方に変位した前記第3部分と係合し、前記第2部分と前記第3部分とが離れないようするロック部が設けられる。
【0013】
本態様に係る友釣り用フックによれば、おとり鮎を、その頭を下げた状態で泳がせやすくなる。これにより、野鮎を捕獲しやすくできる。
【0014】
さらに、おとり鮎の背部が第1部分と第2部分とにより挟まれた状態となるため、ハリス固定部が背部の真上近くに位置しやすくなる。よって、おとり鮎が、その背部の真上近くからハリスで吊り下げられた状態になりやすく、縦に真っ直ぐな姿勢で泳ぎやすくなる。
【0015】
さらに、第2部分がおとり鮎の背部に当たることにより第3部分が背部から抜ける方向に動きにくくなるので、おとり鮎が激しく動くなどした際に、友釣り用フックが背部から外れてしまうことを防止できる。
【0016】
さらに、第2部分が第3部分から離れないようにロックできるので、おとり鮎により友釣り用フックが下方に引っ張られても、第2部分がおとり鮎の背部から外れてしまうことが防止される。よって、第2部分が背部から外れてしまった結果、友釣り用フックが背部から外れやすくなってしまう、ということを防止できる。
【0017】
さらに、第3部分が直線形状を有しているので、取り付けの際、第3部分をおとり鮎の背部に容易に貫通させることができる。
【0018】
なお、請求項1において、「直線形状」との文言には、「ほぼ直線形状」の概念が含まれる。
【0019】
本態様に係る友釣り用フックにおいて、前記第1部分および前記第2部分は、直線形状を有するような構成とされ得る。この場合、前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とにより三角形が構成され得る。
【0020】
上記の構成によれば、フック本体部が、断面が山形となるおとり鮎の背部の形状にフィットしやくなり、ハリス固定部が、一層、背部の真上付近に位置付けられやすくなる。さらに、友釣り用フックの製造が容易になる。
【0021】
なお、請求項2において、「直線形状」との文言には、「ほぼ直線形状」の概念が含まれ、「三角形」との文言には、「ほぼ三角形」の概念が含まれる。
【0022】
本発明の第2の態様は、弾性を有する線材により形成され、友釣り用の仕掛けに鼻環に替えて用いられ、おとり鮎を背びれよりも前の背部の位置でハリスに繋ぎ止めるための友釣り用フックに関する。本態様に係る友釣り用フックは、ハリスが通されて固定される環状のハリス固定部と、前記ハリス固定部の下側に形成されたフック本体部と、を備える。ここで、前記フック本体部は、前記ハリス固定部の下端から下方に延び出す第1部分と、前記ハリス固定部の下端から下方であって前記第1部分と異なる方向に延び出す第2部分と、前記第1部分の下端から下方に湾曲しつつ前記第2部分側に向かって延びる、先端が尖った第3部分と、を含む。前記第3部分は、前記第2部分の下側から前記第2部分の下端部に近づくように上方に延びた後、先端部が前記第1部分から前記第2部分へ向かう方向に折れ曲がるとともに、前記先端部と前記第2部分の下端部との間に上下方向に隙間を有する。さらに、前記第3部分における最下点部分から先端までの上下方向の寸法が、前記第2部分の上下方向の寸法よりも大きくされる。
【0023】
本態様に係る友釣り用フックによれば、おとり鮎を、その頭を下げた状態で泳がせやすくなる。これにより、野鮎を捕獲しやすくできる。
【0024】
さらに、おとり鮎の背部が第1部分と第2部分とにより挟まれた状態となるため、ハリス固定部が背部の真上近くに位置しやすくなる。よって、おとり鮎が、その背部の真上近くからハリスで吊り下げられた状態になりやすく、縦に真っ直ぐな姿勢で泳ぎやすくなる。
【0025】
さらに、第3部分は、下方に湾曲するとともに最下点部分から先端までの上下方向の寸法が第2部分の上下方向の寸法よりも大きくされている。これにより、フック本体部を、おとり鮎の背部に上下方向に深く刺し込むことができるので、おとり鮎が激しく動くなどしても、友釣り用フックが背部から外れにくくなる。
【0026】
さらに、おとり鮎の背部が、第3部分から抜ける方向(先端部が向く方向)に動いた(動こうとした)ときには、第2部分が背部の側面に当たって当該動きの妨げとなる。よって、友釣り用フックが背部から一層、外れにくくなる。
【0027】
さらに、第3部分の先端部と第2部分の下端部との間に上下方向に隙間が設けられているので、ユーザは、第3部分をおとり鮎の背部に刺し込んでいく際に、第2部分を背部から避けられやすい。よって、第2部分が邪魔になりにくく、ユーザは、第3部分を容易に背部に貫通させやすい。
【0028】
本態様に係る友釣り用フックにおいて、前記第2部分の下端部は、前記第1部分側に折り曲げられた形状を有するような構成とされ得る。
【0029】
上記の構成によれば、第3部分をおとり鮎の背部に刺し込んでいく際に、第2部分の下端部が背部に接触しても引っ掛かりにくい。よって、第2部分が邪魔になりにくく、ユーザは、第3部分を容易に背部に貫通させやすい。
【0030】
さらに、友釣り用フックがおとり鮎に取り付けられた状態において、折れ曲がった第2部分の下端部がおとり鮎の背部を上から押さえる役割も果たし得る。これにより、おとり鮎の背部が上方にも動きにくくなり、友釣り用フックが背部から、一層、外れにくくなる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、おとり鮎が自然な姿勢で遊泳しやすく、さらには、おとり鮎から外れにくい、鼻環に替わる友釣り用フックを提供できる。
【0032】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1(a)は、第1実施形態に係る、ハリスが接続された状態の友釣り用フックの正面図であり、
図1(b)は、友釣り用フックの側面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る、友釣り用フックが用いられる、友釣り用の仕掛けの一例を示す図である。
【
図3】
図3(a)ないし(d)は、第1実施形態に係る、友釣り用フックをおとり鮎の背部に取り付ける手順について説明するための図である。
【
図4】
図4(a)は、第2実施形態に係る、ハリスが接続された状態の友釣り用フックの正面図であり、
図4(b)は、友釣り用フックの側面図である。
【
図5】
図5(a)ないし(c)は、第2実施形態に係る、友釣り用フックをおとり鮎の背部に取り付ける手順について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0035】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1の態様に係る友釣り用フックの一実施形態について説明する。
【0036】
図1(a)は、ハリス2が接続された状態の友釣り用フック1Aの正面図であり、
図1(b)は、友釣り用フック1Aの側面図である。
【0037】
友釣り用フック1Aは、弾性を有する断面円形の金属製の線材、たとえば、番手#26~#28のピアノ線(炭素鋼の線材)を、所期の形状に折り曲げ加工することにより形成され、ハリス2が通されて結ばれる環状のハリス固定部10と、ハリス固定部10の下側に形成されたフック本体部20と、を備える。
【0038】
ハリス固定部10は、線材を加工して友釣り用フック1Aの形状とする際に、線材を一回りさせて円形に形成したものである。ハリス固定部10の下端11の部分において、巻かれた線材が接触する。ハリス固定部10は、環状であれば、方形など、円形以外の形状であってもよい。
【0039】
フック本体部20は、ハリス固定部10の下端11から下方に延び出す第1部分21と、ハリス固定部10の下端11から下方であって第1部分21と異なる方向に延び出す第2部分22と、第1部分21の下端21aから第2部分22側に向かって延び出し、第2部分22の下端22aの下側を通って第2部分22よりも遠くまで至る直線形状の第3部分23と、を含む。第3部分23の先端部23aは、尖った形状を有している。
【0040】
第1部分21および第2部分22は、直線形状を有している。第1部分21と第2部分22の間隔は、ハリス固定部10の下端11から下方に向かうに従って広くなる。第1部分21、第2部分22および第3部分23は、ハリス固定部10の孔12が開口する方向P1に垂直な面Q1とほぼ平行である。第1部分21と第2部分22と第3部分23とにより三角形が構成される。本実施形態では、ハリス固定部10の下端11を頂角とする二等辺三角形(ほぼ二等辺三角形を含む)となっている。
【0041】
第2部分22の下端部には、ロック部24が設けられる。ロック部24は、弾性変形により上方に変位した第3部分23(
図1(a)の一点鎖線)と係合し、第2部分22と第3部分23とが離れないようする。
【0042】
ロック部24は、第2部分22の下端部が第3部分23と交差する方向に曲げられて折り返されるようにして形成され、U字形状、V字形状等の湾曲形状を有する。ロック部24の先に延び出した第3部分23の先端部23aが指でロック部24の上まで押し上げられることにより、先端部23aよりも後側の部分がロック部24の湾曲部分に収容される。先端部23aは、ロック部24よりも先の位置に存在しており、第3部分23はロック部24との係合位置では先細りしていない。よって、第3部分23において、ロック部24との係合により力のかかる部分の強度を維持できる。
【0043】
第3部分23のロック部24よりも先に延び出す部分(先端部23aを含む)の長さは、指で押し上げやすい長さ、たとえば、5mm程度とされるとよい。
【0044】
なお、第3部分23がロック部24と係合していない状態において、第3部分23が第2部分22の下端22aと接触していてもよいし、第2部分22の下端22aから少し離れていてもよい。
【0045】
図2は、友釣り用フック1Aが用いられる、友釣り用の仕掛け100の一例を示す図である。
図2は、仕掛け100がおとり鮎に固定された状態を示す。
【0046】
仕掛け100は、友釣り用フック1Aの他、ハリス2と、サカサ鈎3と、掛け鈎4と、掛け鈎側ハリス5とを含む。仕掛け100には、鼻環が用いられない。即ち、仕掛け100には、鼻環に替えて、友釣り用フック1Aが用いられる。
【0047】
竿側から延びるハリス2の途中部分が、友釣り用フック1Aに接続される。また、ハリス2の終端部分がサカサ鈎3に固定される。さらに、掛け鈎4から延びる掛け鈎側ハリス5がサカサ鈎3に固定される。掛け鈎4として、たとえば、イカリタイプの掛け鈎が用いられ得る。
【0048】
友釣り用フック1Aが、鼻穴よりも後方となる頭部に近い背部の位置、たとえば、鼻穴から約25mm後方の位置に引っ掛けられる。さらに、サカサ鈎3が、おとり鮎の尻びれ付近の腹部に引っ掛けられる。これにより、おとり鮎は、その頭部側を友釣り用フック1Aによりハリス2に繋ぎ止められ、その尾部側をサカサ鈎3によりハリス2に繋ぎ止められる。こうして、おとり鮎が仕掛け100に繋がれた状態となる。
【0049】
なお、鮎の頭部に近い背部の位置は、鮎の肩部と称することもできる。よって、友釣り用フック1Aは、「ショルダーフック」と称することもできる。
【0050】
仕掛け100では、友釣り用フック1Aが用いられることにより、おとり鮎の頭部側をハリス2に繋ぎ止める位置が、鼻環と違って、背部(肩部)となるため、おとり鮎が頭を下げた状態で泳ぎやすくなる。このように頭を下げて川底の石を目指すような姿勢で泳いでいるおとり鮎を、その周辺の場所を縄張りとする野鮎が見つけ、縄張りに侵入してきた敵と見做して体当たりしてくる。これにより、野鮎が掛け鈎4に引っ掛かり釣り上げられる。こうして、友釣り用フック1Aが用いられた仕掛け100では、早く確実に野鮎を捕獲することが可能になる。
【0051】
なお、友釣り用の仕掛けでは、おとり鮎の背部に掛けられて鼻環近傍に接続される背バリが用いられることがある。この背バリは、本実施形態の友釣り用フック1Aとは、全く機能が異なるものである。即ち、背バリは、鼻環とともに用いられるものであり、鮎を繋ぎ止める機能は果たさない。鮎を繋ぎ止めるのはあくまで鼻環となる。
【0052】
図3(a)ないし(d)は、友釣り用フック1Aをおとり鮎の背部に取り付ける手順について説明するための図である。
【0053】
まず、
図3(a)に示すように、ユーザは、ハリス固定部10が上向きとなるように友釣り用フック1Aを把持し、フック本体部20の第3部分23の先端部23aを、おとり鮎の背部の一方の側面に、横方向から突き刺す。そして、
図3(b)に示すように、ユーザは、フック本体部20の第2部分22がおとり鮎の背部を乗り越えられるように、フック本体部20の第1部分21や第2部分22を弾性変形させつつ、第3部分23を背部に貫通させる。このとき、第3部分23は直線形状であるため、ユーザは、第3部分23を背部に容易に貫通させることができる。
【0054】
図3(c)に示すように、第3部分23が背部を貫通し、第2部分22が背部を乗り越えると、ユーザは、第1部分21や第2部分22を変形前の状態に戻す。その後、
図3(d)に示すように、ユーザは、第3部分23を指で押し上げて、ロック部24に係合させる。これにより、ロックが掛かり、第2部分22と第3部分23とが上下方向に離れなくなる。こうして、おとり鮎の背部(肩部)への友釣り用フック1Aの取り付けが完了する。
【0055】
友釣り用フック1Aがおとり鮎の背部に取り付けられた状態において、フック本体部20の第1部分21および第2部分22が、それぞれ、背部の一方の側面および他方の側面に近接し、ハリス固定部10が背部の上方に位置する。第1部分21と第2部分22とにより背部が挟まれた状態となるため、ハリス固定部10が、背部の真上近くに位置しやすくなり、おとり鮎の左右方向に傾きにくくなる。これにより、おとり鮎は、背部の真上近くからハリス2で吊り下げられた状態になりやすく、縦に真っ直ぐな姿勢で泳ぎやすくなる。
【0056】
なお、おとり鮎が大きいときには、その背部が、第1部分21および第2部分22の双方に接触した状態で、これらの間に挟まり得る。
【0057】
さらに、友釣り用フック1Aが、フック本体部20の第3部分23がおとり鮎の背部から抜ける方向(一方の側面の方向)に動いた(動こうとした)ときには、フック本体部20の第2部分22が背部の他方の側面に当たって当該動きの妨げとなる。これにより、おとり鮎が激しく動くなどした際に、友釣り用フック1Aが背部から外れてしまうことが防止される。
【0058】
さらに、ロック部24によりロックされているため、第2部分22が第3部分23から上方に離れない。これにより、おとり鮎により友釣り用フック1Aが下方に引っ張られても、第2部分22が上方に動いておとり鮎の背部から外れてしまうことが防止され、第2部分22が背部から外れてしまった結果、友釣り用フック1Aが背部から外れやすくやすくなってしまう、ということが防止される。
【0059】
<第1実施形態の効果>
以上、説明した通り、本実施形態の友釣り用フック1Aによれば、友釣り用の仕掛け100に鼻環に替えて使用され、おとり鮎の背部に取り付けられることにより、おとり鮎を、その頭を下げた状態で泳がせやすくなる。これにより、野鮎を捕獲しやすくできる。
【0060】
さらに、友釣り用フック1Aによれば、ハリス固定部10が背部の真上近くに位置しやすくため、おとり鮎が、その背部の真上近くからハリス2で吊り下げられ状態になりやすく、縦に真っ直ぐな姿勢で泳ぎやすくなる。
【0061】
さらに、友釣り用フック1Aによれば、フック本体部20の第2部分22がおとり鮎の背部に当たることによりフック本体部20の第3部分23が背部から抜ける方向に動きにくくなる。よって、おとり鮎が激しく動くなどした際に、友釣り用フック1Aが背部から外れてしまうことを防止できる。
【0062】
さらに、友釣り用フック1Aによれば、第2部分22が第3部分23から離れないようにロックできるので、おとり鮎により友釣り用フック1Aが下方に引っ張られても、第2部分22がおとり鮎の背部から上方に外れてしまうことが防止される。よって、第2部分22が背部から外れてしまった結果、友釣り用フック1Aが背部から外れやすくなってしまう、ということを防止できる。
【0063】
さらに、友釣り用フック1Aによれば、フック本体部20の第3部分23が直線形状を有しているので、取り付けの際、第3部分23をおとり鮎の背部に容易に貫通させることができる。
【0064】
さらに、友釣り用フック1Aによれば、フック本体部20の第1部分21および第2部分22が直線形状を有しており、第1部分21と第2部分22と第3部分23とにより三角形が構成されるので、フック本体部20が、断面が山形となるおとり鮎の背部の形状にフィットしやくなり、ハリス固定部10が、一層、背部の真上付近に位置付けられやすくなる。また、友釣り用フック1Aの製造が容易になる。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の態様に係る友釣り用フックの一実施形態について説明する。
【0066】
図4(a)は、ハリス2が接続された状態の友釣り用フック1Bの正面図であり、
図4(b)は、友釣り用フック1Bの側面図である。
【0067】
本実施形態の友釣り用フック1Bは、上記第1実施形態の友釣り用フック1Aと同様、友釣り用の仕掛け100(
図2参照)に鼻環に替えて使用され、おとり鮎の頭部に近い背部の位置(肩部の位置)に引っ掛けられて、おとり鮎の頭部側をハリス2に繋ぎ止める役割を果たす。
【0068】
友釣り用フック1Bは、弾性を有する断面円形の金属製の線材、たとえば、番手#26~#28のピアノ線(炭素鋼の線材)を、所期の形状に折り曲げ加工することにより形成され、ハリス2が通されて結ばれる環状のハリス固定部30と、ハリス固定部30の下側に形成されたフック本体部40と、を備える。
【0069】
ハリス固定部30の構成は、上記第1実施形態の友釣り用フック1Aのハリス固定部10と同様である。
【0070】
フック本体部40は、ハリス固定部30の下端31から下方に延び出す第1部分41と、ハリス固定部30の下端31から下方であって第1部分41と異なる方向に延び出す第2部分42と、第1部分41の下端41aから下方に湾曲しつつ第2部分42側に向かって延びる、先端が尖った第3部分43と、を含む。第1部分41、第2部分42および第3部分43は、ハリス固定部30の孔32が開口する方向P2に垂直な面Q2とほぼ平行である。
【0071】
第1部分41および第2部分42は、互いに反対側を向いた、くの字形状を有しており、ハリス固定部30の下端31から斜め下方向にほぼ直線的に延び出した後、屈曲してほぼ真下方向にほぼ直線的に延びている。第2部分42は、第1部分43よりも上下方向に大幅に短くなっている。
【0072】
第2部分42の下端部42aは、第1部分41側に折り曲げられた形状を有する。その折れ曲がり角度は、たとえば、ほぼ90度とされ得る。
【0073】
第3部分43は、第2部分42の下側から第2部分42の下端部42aに近づくように上方に延びた後、先端部43aが第1部分41から第2部分42へ向かう方向Rに折れ曲がる。また、第3部分43の先端部43aと第2部分42の下端部42aとの間には、上下方向に隙間が設けられる。さらに、第3部分43の最下点部分から先端までの上下方向の寸法D1が、第2部分42の上下方向の寸法D2よりも大きくなっている。これにより、フック本体部40は、第1部分41の下部から第3部分43にかけて、深いU字形状を有している。
【0074】
図5(a)ないし(c)は、友釣り用フック1Bをおとり鮎の背部に取り付ける手順について説明するための図である。
【0075】
まず、
図5(a)に示すように、ユーザは、ハリス固定部30が上向きとなるように友釣り用フック1Bを把持し、フック本体部40の第3部分43の先端部43aを、おとり鮎の背部の一方の側面に、横方向から突き刺す。このとき、第3部分43の先端部43aは、第1部分41から第2部分42へ向かう方向Rに折れ曲がっており、第2部分42に沿うように上方に延びた状態とはなっていない。このため、ユーザは、第3部分43を背部の側面に容易に突き刺すことができる。
【0076】
次に、
図5(b)に示すように、ユーザは、第3部分43を背部の他方の側面側へと刺し込んでいき、背部に貫通させる。このとき、ユーザは、フック本体部40の第2部分42がおとり鮎の背部を乗り越えられるように、フック本体部40の第1部分41や第2部分42を弾性変形させる。第3部分43の先端部43aと第2部分42の下端部42aとの間に上下方向に隙間が設けられているので、ユーザは、第2部分42aを背部から避けられやすい。また、第2部分42の下端部42aが折れ曲がり形状となっているため、当該下端部42aが背部に接触しても引っ掛かりにくい。よって、第2部分42が邪魔になりにくく、ユーザは、第3部分43を背部の他方の側面側へと刺し込んでいきやすい。
【0077】
図5(c)に示すように、第3部分43が背部を貫通し、第2部分42が背部を乗り越えると、ユーザは、第1部分41や第2部分42を変形前の状態に戻す。こうして、おとり鮎の背部(肩部)への友釣り用フック1Bの取り付けが完了する。
【0078】
友釣り用フック1Bがおとり鮎の背部に取り付けられた状態において、フック本体部40の第1部分41および第2部分42が、それぞれ、背部の一方の側面および他方の側面に近接し、ハリス固定部30が背部の上方に位置する。第1部分41と第2部分42とにより背部が挟まれた状態となるため、ハリス固定部30が、背部の真上近くに位置しやすくなり、おとり鮎の左右方向に傾きにくくなる。これにより、おとり鮎は、背部の真上近くからハリス2で吊り下げられた状態になりやすく、縦に真っ直ぐな姿勢で泳ぎやすくなる。
【0079】
さらに、フック本体部40の第3部分43は、最下点部分から先端までの上下方向の寸法D1が第2部分42の上下方向の寸法D2よりも大きく、上下方向に深く湾曲している。このため、フック本体部40がおとり鮎の背部に上下方向に深く刺し込まれた状態となる。よって、おとり鮎が激しく動くなどしても、友釣り用フック1Bが背部から外れにくい。
【0080】
さらに、おとり鮎の背部がフック本体部40の第3部分43から抜ける方向(先端部が向く方向)に動いた(動こうとした)ときには、フック本体部40の第2部分42が背部の他方の側面に当たって当該動きの妨げとなる。よって、友釣り用フック1Bが背部から一層、外れにくくなる。
【0081】
さらに、折れ曲がった第2部分42の下端部42aが、山形である背部を上から押さえる役割も果たし得る。これにより、おとり鮎の背部が上方にも動きにくくなり、なお一層、友釣り用フック1Bが背部から外れにくくなる。
【0082】
<第2実施形態の効果>
以上、説明した通り、本実施形態の友釣り用フック1Bによれば、友釣り用の仕掛け100に鼻環に替えて使用され、おとり鮎の背部に取り付けられることにより、おとり鮎を、その頭を下げた状態で泳がせやすくなる。これにより、野鮎を捕獲しやすくできる。
【0083】
さらに、友釣り用フック1Bによれば、ハリス固定部30が背部の真上近くに位置しやすくなるため、おとり鮎が、その背部の真上近くからハリス2で吊り下げられた状態になりやすく、縦に真っ直ぐな姿勢で泳ぎにやすくなる。
【0084】
さらに、友釣り用フック1Bによれば、フック本体部40の第3部分43は、下方に湾曲するとともに最下点部分から先端までの上下方向の寸法D1が第2部分42の上下方向の寸法D2よりも大きくされている。これにより、フック本体部40を、おとり鮎の背部に上下方向に深く刺し込むことができるので、おとり鮎が激しく動くなどしても、友釣り用フック1Bが背部から外れにくくなる。
【0085】
さらに、友釣り用フック1Bによれば、おとり鮎の背部が第3部分43から抜ける方向(先端部43aが向く方向)に動いた(動こうとした)ときには、第2部分42が背部の他方の側面に当たって当該動きの妨げとなる。よって、友釣り用フック1Bが背部から一層、外れにくくなる。
【0086】
さらに、友釣り用フック1Bによれば、折れ曲がった第2部分42の下端部42aがおとり鮎の背部を上から押さえる役割も果たし得る。これにより、おとり鮎の背部が上方にも動きにくくなり、なお一層、友釣り用フック1Bが背部から外れにくくなる。
【0087】
さらに、友釣り用フック1Bによれば、第3部分43の先端部43aと第2部分42の下端部42aとの間に上下方向に隙間が設けられているので、ユーザは、第3部分43をおとり鮎の背部に刺し込んでいく際に、第2部分42aを背部から避けられやすい。また、第2部分42の下端部42aが折れ曲がり形状となっているため、当該下端部42aが背部に接触しても引っ掛かりにくい。よって、第2部分42が邪魔になりにくく、ユーザは、第3部分43を容易に背部に貫通させやすい。
【0088】
<変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0089】
たとえば、上記第1実施形態の友釣り用フック1Aでは、フック本体部20の第1部分21および第2部分22が直線形状に形成されている。しかしながら、第1部分21および第2部分22が、上記第2実施形態のフック本体部40の第1部分41および第2部分42のように、くの字形状に形成されてもよい。
【0090】
さらに、上記第2実施形態の友釣り用フック1Bでは、フック本体部40の第1部分41および第2部分42が、くの字形状に形成されている。しかしながら、第1部分41および第2部分42が、上記第1実施形態のフック本体部20の第1部分21および第2部分22のように、直線形状に形成されてもよい。
【0091】
さらに、上記第2実施形態の友釣り用フック1Bでは、フック本体部40において、第2部分42の下端部42aが第1部分41側に折れ曲がった形状を有している。しかしながら、第2部分42の下端部42aは、折れ曲がっておらず、真っ直ぐな形状を有していてもよい。
【0092】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1A、1B 友釣り用フック
2 ハリス
10、30 ハリス固定部
11、31 下端
20、40 フック本体部
21、41 第1部分
21a、41a 下端
22、42 第2部分
22a、 下端
42a 下端部
23、43 第3部分
23a、43a 先端部
24 ロック部