(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157304
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】ドライブユニットおよび自転車
(51)【国際特許分類】
B62M 6/55 20100101AFI20241030BHJP
【FI】
B62M6/55
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071597
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(72)【発明者】
【氏名】袴田 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】林田 翔太
(57)【要約】
【課題】ドライブユニット内の動力伝達効率を向上させる。
【解決手段】自転車(1)に用いられるドライブユニット(30)であって、ドライブユニット(30)は、ハウジング(31)と、入力軸と出力軸とが同軸上に位置する第1減速機(50)であって、電動モータ(40)から伝達された回転を減速させる第1減速機(50)と、第1減速機(50)の出力軸の回転が伝達される動力伝達部材(60)と、動力伝達部材(60)から伝達された回転の回転軸方向を変更する第2減速機(70)とを備える。ハウジング(31)は、一つの筒状の第1ハウジング部(110)を含む。一つの筒状の第1ハウジング部(110)は、第1ハウジング部(110)とは異なるハウジング部を介さずに、第1減速機(50)および動力伝達部材(60)を支持する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に用いられるドライブユニットであって、
電動モータと、
前記電動モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングを貫通し、回転軸方向が前記電動モータの回転軸方向と交差するペダルクランク軸と、
入力軸と出力軸とが同軸上に位置する第1減速機であって、前記電動モータから伝達された回転を減速させる第1減速機と、
前記第1減速機の前記出力軸の回転が伝達される動力伝達部材と、
前記動力伝達部材から伝達された回転の回転軸方向を変更するとともに、回転速度を減速させる第2減速機と、
を備え、
前記ハウジングは、複数のハウジング部を含み、
前記複数のハウジング部は、一つの筒状の第1ハウジング部を含み、
一つの筒状の前記第1ハウジング部は、前記第1ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第1減速機および前記動力伝達部材を支持する、ドライブユニット。
【請求項2】
前記動力伝達部材は、ワンウェイクラッチを含む、請求項1に記載のドライブユニット。
【請求項3】
前記動力伝達部材は、前記第1減速機の前記出力軸から伝達された回転を減速することなく前記第2減速機に伝達することが可能である、請求項1または2に記載のドライブユニット。
【請求項4】
前記複数のハウジング部は、
一つの筒状の第2ハウジング部と、
一つの筒状の第3ハウジング部と、
を含み、
一つの筒状の前記第2ハウジング部は、前記第2ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第2減速機を支持し、
一つの筒状の前記第3ハウジング部は、前記第3ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第1ハウジング部および前記第2ハウジング部を支持する、請求項1または2に記載のドライブユニット。
【請求項5】
前記第1ハウジング部および前記第3ハウジング部は、前記第1ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第3ハウジング部の内周部の一部に嵌るインロー構造を有し、
前記第2ハウジング部および前記第3ハウジング部は、前記第2ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第3ハウジング部の内周部の別の一部に嵌るインロー構造を有する、請求項4に記載のドライブユニット。
【請求項6】
前記第1ハウジング部の外周部の一部には雄ねじ部が設けられており、
前記第3ハウジング部の内周部の一部には雌ねじ部が設けられており、
前記第3ハウジング部の前記雌ねじ部に前記第1ハウジング部の前記雄ねじ部が嵌ることで前記第1ハウジング部と前記第3ハウジング部とは接続される、請求項4に記載のドライブユニット。
【請求項7】
前記第1ハウジング部と前記第3ハウジング部とは、前記電動モータの前記回転軸方向において互いに接触している、請求項6に記載のドライブユニット。
【請求項8】
前記第2ハウジング部の外周部の一部には雄ねじ部が設けられており、
前記第3ハウジング部の内周部の一部には雌ねじ部が設けられており、
前記第3ハウジング部の前記雌ねじ部に前記第2ハウジング部の前記雄ねじ部が嵌ることで前記第2ハウジング部と前記第3ハウジング部とは接続される、請求項4に記載のドライブユニット。
【請求項9】
前記複数のハウジング部は、一つの筒状の第4ハウジング部を含み、
一つの筒状の前記第4ハウジング部は、前記第4ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第1減速機の前記入力軸を支持し、
前記第1ハウジング部および前記第4ハウジング部は、前記第1ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第4ハウジング部の内周部の少なくとも一部に嵌るインロー構造を有している、請求項1または2に記載のドライブユニット。
【請求項10】
前記第1ハウジング部の外周部の一部には雄ねじ部が設けられており、
前記第4ハウジング部の内周部の一部には雌ねじ部が設けられており、
前記第4ハウジング部の前記雌ねじ部に前記第1ハウジング部の前記雄ねじ部が嵌ることで前記第1ハウジング部と前記第4ハウジング部とは接続される、請求項9に記載のドライブユニット。
【請求項11】
前記第1ハウジング部と前記第4ハウジング部とは、前記電動モータの前記回転軸方向において互いに接触している、請求項10に記載のドライブユニット。
【請求項12】
前記第1減速機は遊星歯車機構を含み、
前記第1ハウジング部は、前記遊星歯車機構の内歯車を支持し、
前記電動モータの前記回転軸方向において、前記遊星歯車機構の遊星歯車と前記第4ハウジング部との間に設けられたスラストワッシャをさらに備える、請求項9に記載のドライブユニット。
【請求項13】
前記第1減速機は遊星歯車機構を含み、
前記第1ハウジング部は、前記遊星歯車機構の内歯車を支持し、
前記電動モータの前記回転軸方向において、前記遊星歯車機構の遊星キャリアと前記動力伝達部材との間に設けられたスラストワッシャをさらに備える、請求項2に記載のドライブユニット。
【請求項14】
前記電動モータの前記回転軸方向に垂直な方向から見た平面視において、前記スラストワッシャの一部は、前記ワンウェイクラッチと重複している、請求項13に記載のドライブユニット。
【請求項15】
前記第1ハウジング部は、ベアリングを介して前記ワンウェイクラッチを支持しており、
前記電動モータの前記回転軸方向における前記ベアリングの中心位置は、前記電動モータの前記回転軸方向における前記ワンウェイクラッチの中心位置と等しい、請求項2に記載のドライブユニット。
【請求項16】
前記第2減速機は、前記動力伝達部材の回転が伝達される駆動ベベルギヤと、前記駆動ベベルギヤの回転が伝達される被動ベベルギヤとを含み、
前記第2ハウジング部は、前記第2ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記駆動ベベルギヤの回転軸を支持する、請求項4に記載のドライブユニット。
【請求項17】
前記電動モータの前記回転軸方向において、前記第2ハウジング部の下端部と前記第3ハウジング部との間に設けられたシムをさらに備える、請求項16に記載のドライブユニット。
【請求項18】
前記動力伝達部材の回転を前記駆動ベベルギヤの前記回転軸に伝達するカップリングをさらに備える、請求項16に記載のドライブユニット。
【請求項19】
前記第2ハウジング部は、第1ベアリングを介して前記駆動ベベルギヤの前記回転軸を支持するととともに、第2ベアリングを介して前記カップリングを支持し、
前記第2ハウジング部は、前記第2ベアリングおよび前記カップリングを介して、前記駆動ベベルギヤの回転軸をさらに支持する、請求項18に記載のドライブユニット。
【請求項20】
請求項1または2に記載のドライブユニットを備えた自転車。
【請求項21】
前記ドライブユニットは、前記ハウジングの前記ペダルクランク軸を囲む壁部の後端部よりも前方の位置で前記自転車のフレームに締結される、請求項20に記載の自転車。
【請求項22】
前記ドライブユニットは、前記ハウジングの前記ペダルクランク軸を囲む壁部の後端部よりも後方、且つ前記自転車の後輪よりも前方の位置で前記自転車のフレームに締結される、請求項20に記載の自転車。
【請求項23】
自転車に用いられるドライブユニットであって、
電動モータと、
前記電動モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングを貫通し、回転軸方向が前記電動モータの回転軸方向と交差するペダルクランク軸と、
入力軸と出力軸とが同軸上に位置する第1減速機であって、前記電動モータから伝達された回転を減速させる第1減速機と、
前記第1減速機の前記出力軸の回転が伝達される動力伝達部材と、
前記動力伝達部材から伝達された回転の回転軸方向を変更するとともに、回転速度を減速させる第2減速機と、
を備え、
前記ハウジングは、
一つの筒状の第1ハウジング部と、
一つの筒状の第2ハウジング部と、
一つの筒状の第3ハウジング部と、
を含み、
一つの筒状の前記第1ハウジング部は、前記第1ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記動力伝達部材を支持し、
一つの筒状の前記第2ハウジング部は、前記第2ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第2減速機を支持し、
一つの筒状の前記第3ハウジング部は、前記第3ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第1ハウジング部および前記第2ハウジング部を支持する、ドライブユニット。
【請求項24】
前記第1ハウジング部および前記第3ハウジング部は、前記第1ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第3ハウジング部の内周部の一部に嵌るインロー構造を有し、
前記第2ハウジング部および前記第3ハウジング部は、前記第2ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第3ハウジング部の内周部の別の一部に嵌るインロー構造を有する、請求項23に記載のドライブユニット。
【請求項25】
前記動力伝達部材の回転を前記第2減速機に伝達するカップリングをさらに備え、
前記第2ハウジング部は、前記カップリングを支持する、請求項23または24に記載のドライブユニット。
【請求項26】
前記第3ハウジング部は、前記ペダルクランク軸を支持する、請求項23または24に記載のドライブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブユニットおよび自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車は、手軽に利用できる交通手段として、老若男女を問わず、広く普及している。近年、ユーザがペダルを漕ぐ力を電動モータにより補助する電動補助自転車の普及が進んでいる。電動補助自転車では、ユーザがペダルに加えた人力に応じた駆動力を電動モータに発生させ、例えば坂道の走行時や荷物を積んでいるときのユーザの負担を減らすことができる。
【0003】
電動補助自転車は、電動モータ等を含むドライブユニットを備える。特許文献1は、電動モータの回転軸方向とペダルクランク軸の回転軸方向とが交差するドライブユニットを開示している。このような構成により、電動モータの回転軸方向とペダルクランク軸の回転軸方向とが平行なドライブユニットと比較して、ドライブユニットの小型化を図りやすくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライブユニット内の動力伝達効率を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、以下の項目に記載のドライブユニットおよび自転車を開示している。
【0007】
[項目1]
自転車に用いられるドライブユニットであって、
電動モータと、
前記電動モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングを貫通し、回転軸方向が前記電動モータの回転軸方向と交差するペダルクランク軸と、
入力軸と出力軸とが同軸上に位置する第1減速機であって、前記電動モータから伝達された回転を減速させる第1減速機と、
前記第1減速機の前記出力軸の回転が伝達される動力伝達部材と、
前記動力伝達部材から伝達された回転の回転軸方向を変更するとともに、回転速度を減速させる第2減速機と、
を備え、
前記ハウジングは、複数のハウジング部を含み、
前記複数のハウジング部は、一つの筒状の第1ハウジング部を含み、
一つの筒状の前記第1ハウジング部は、前記第1ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第1減速機および前記動力伝達部材を支持する、ドライブユニット。
【0008】
本発明のある実施形態によれば、電動モータの回転が伝達される第1減速機と、第1減速機の回転が伝達される動力伝達部材との両方を同じ一つの筒状の第1ハウジング部で支持する。これにより、第1減速機と動力伝達部材との間の芯ずれを抑制することができる。芯ずれを抑制することで、動力伝達効率を向上させるとともに、騒音および振動を低減させることができる。芯ずれが小さい構造を実現することで、バックラッシュの設計値を大きくする必要が無くなり、動力伝達効率をさらに向上させるとともに、騒音および振動をさらに低減させることができる。
【0009】
[項目2]
前記動力伝達部材は、ワンウェイクラッチを含む、項目1に記載のドライブユニット。
【0010】
第1減速機と動力伝達部材との両方を同じ一つの筒状の第1ハウジング部で支持することで、ワンウェイクラッチの芯ずれを抑制することができる。
【0011】
[項目3]
前記動力伝達部材は、前記第1減速機の前記出力軸から伝達された回転を減速することなく前記第2減速機に伝達することが可能である、項目1または2に記載のドライブユニット。
【0012】
動力伝達部材を用いて第1減速機の回転を第2減速機に伝達することができる。
【0013】
[項目4]
前記複数のハウジング部は、
一つの筒状の第2ハウジング部と、
一つの筒状の第3ハウジング部と、
を含み、
一つの筒状の前記第2ハウジング部は、前記第2ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第2減速機を支持し、
一つの筒状の前記第3ハウジング部は、前記第3ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第1ハウジング部および前記第2ハウジング部を支持する、項目1から3のいずれかに記載のドライブユニット。
【0014】
動力伝達部材を支持する第1ハウジング部と第2減速機を支持する第2ハウジング部との両方を同じ一つの第3ハウジング部で支持する。これにより、動力伝達部材と第2減速機との間の芯ずれを抑制することができる。
【0015】
[項目5]
前記第1ハウジング部および前記第3ハウジング部は、前記第1ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第3ハウジング部の内周部の一部に嵌るインロー構造を有し、
前記第2ハウジング部および前記第3ハウジング部は、前記第2ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第3ハウジング部の内周部の別の一部に嵌るインロー構造を有する、項目4に記載のドライブユニット。
【0016】
第3ハウジング部は、第1ハウジング部および第2ハウジング部のそれぞれとの間でインロー構造を有する。これにより、動力伝達部材と第2減速機との間の芯ずれを抑制することができる。
【0017】
[項目6]
前記第1ハウジング部の外周部の一部には雄ねじ部が設けられており、
前記第3ハウジング部の内周部の一部には雌ねじ部が設けられており、
前記第3ハウジング部の前記雌ねじ部に前記第1ハウジング部の前記雄ねじ部が嵌ることで前記第1ハウジング部と前記第3ハウジング部とは接続される、項目4または5に記載のドライブユニット。
【0018】
ドライブユニットの外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニットの外表面の凹凸を減少させることができる。これにより、ドライブユニットを取り付ける自転車のフレームの設計の自由度を向上させることができる。
【0019】
[項目7]
前記第1ハウジング部と前記第3ハウジング部とは、前記電動モータの前記回転軸方向において互いに接触している、項目6に記載のドライブユニット。
【0020】
これにより、雄ねじ部が設けられた第1ハウジング部と、雌ねじ部が設けられた第3ハウジング部との間の、電動モータの回転軸方向における位置決めを行うことができる。
【0021】
[項目8]
前記第2ハウジング部の外周部の一部には雄ねじ部が設けられており、
前記第3ハウジング部の内周部の一部には雌ねじ部が設けられており、
前記第3ハウジング部の前記雌ねじ部に前記第2ハウジング部の前記雄ねじ部が嵌ることで前記第2ハウジング部と前記第3ハウジング部とは接続される、項目4から7のいずれかに記載のドライブユニット。
【0022】
ドライブユニットの外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニットの外表面の凹凸を減少させることができる。これにより、ドライブユニットを取り付ける自転車のフレームの設計の自由度を向上させることができる。
【0023】
[項目9]
前記複数のハウジング部は、一つの筒状の第4ハウジング部を含み、
一つの筒状の前記第4ハウジング部は、前記第4ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第1減速機の前記入力軸を支持し、
前記第1ハウジング部および前記第4ハウジング部は、前記第1ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第4ハウジング部の内周部の少なくとも一部に嵌るインロー構造を有している、項目1から8のいずれかに記載のドライブユニット。
【0024】
第1ハウジング部と第4ハウジング部とはインロー構造を有する。これにより、第1減速機の入力軸と第1減速機の他の構成要素との間の芯ずれを抑制することができる。
【0025】
[項目10]
前記第1ハウジング部の外周部の一部には雄ねじ部が設けられており、
前記第4ハウジング部の内周部の一部には雌ねじ部が設けられており、
前記第4ハウジング部の前記雌ねじ部に前記第1ハウジング部の前記雄ねじ部が嵌ることで前記第1ハウジング部と前記第4ハウジング部とは接続される、項目9に記載のドライブユニット。
【0026】
ドライブユニットの外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニットの外表面の凹凸を減少させることができる。これにより、ドライブユニットを取り付ける自転車のフレームの設計の自由度を向上させることができる。
【0027】
[項目11]
前記第1ハウジング部と前記第4ハウジング部とは、前記電動モータの前記回転軸方向において互いに接触している、項目10に記載のドライブユニット。
【0028】
これにより、雄ねじ部が設けられた第1ハウジング部と、雌ねじ部が設けられた第4ハウジング部との間の、電動モータの回転軸方向における位置決めを行うことができる。
【0029】
[項目12]
前記第1減速機は遊星歯車機構を含み、
前記第1ハウジング部は、前記遊星歯車機構の内歯車を支持し、
前記電動モータの前記回転軸方向において、前記遊星歯車機構の遊星歯車と前記第4ハウジング部との間に設けられたスラストワッシャをさらに備える、項目9から11のいずれかに記載のドライブユニット。
【0030】
これにより、遊星歯車が電動モータの回転軸方向に移動した場合に遊星歯車に働く摩擦力を低減させることができ、機械効率を向上させることができる。また、遊星歯車および第4ハウジング部の摩耗量を低減させることができる。
【0031】
[項目13]
前記第1減速機は遊星歯車機構を含み、
前記第1ハウジング部は、前記遊星歯車機構の内歯車を支持し、
前記電動モータの前記回転軸方向において、前記遊星歯車機構の遊星キャリアと前記動力伝達部材との間に設けられたスラストワッシャをさらに備える、項目2に記載のドライブユニット。
【0032】
遊星キャリアと動力伝達部材との間に相対的な回転速度の差が生じた場合でも、遊星キャリアと動力伝達部材との間に発生する摩擦力を低減させることができる。これにより、電動モータが補助力を発生させていないときの人力の損失を低減させることができる。
【0033】
[項目14]
前記電動モータの前記回転軸方向に垂直な方向から見た平面視において、前記スラストワッシャの一部は、前記ワンウェイクラッチと重複している、項目13に記載のドライブユニット。
【0034】
これにより、電動モータの回転軸方向におけるドライブユニットのサイズを低減させることができる。
【0035】
[項目15]
前記第1ハウジング部は、ベアリングを介して前記ワンウェイクラッチを支持しており、
前記電動モータの前記回転軸方向における前記ベアリングの中心位置は、前記電動モータの前記回転軸方向における前記ワンウェイクラッチの中心位置と等しい、項目2に記載のドライブユニット。
【0036】
これにより、ワンウェイクラッチを安定して支持することができ、駆動トルク損失を低減させることができるとともに、ワンウェイクラッチの寿命を長くすることができる。
【0037】
[項目16]
前記第2減速機は、前記動力伝達部材の回転が伝達される駆動ベベルギヤと、前記駆動ベベルギヤの回転が伝達される被動ベベルギヤとを含み、
前記第2ハウジング部は、前記第2ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記駆動ベベルギヤの回転軸を支持する、項目4から8のいずれかに記載のドライブユニット。
【0038】
ベベルギヤを用いて動力伝達部材から伝達された回転の回転軸方向を変更するとともに、回転速度を減速させることができる。
【0039】
[項目17]
前記電動モータの前記回転軸方向において、前記第2ハウジング部の下端部と前記第3ハウジング部との間に設けられたシムをさらに備える、項目16に記載のドライブユニット。
【0040】
シムを用いて駆動ベベルギヤの位置を調整することができる。
【0041】
[項目18]
前記動力伝達部材の回転を前記駆動ベベルギヤの前記回転軸に伝達するカップリングをさらに備える、項目16または17に記載のドライブユニット。
【0042】
動力伝達部材と駆動ベベルギヤの回転軸との間の芯ずれをカップリングで吸収することができる。
【0043】
[項目19]
前記第2ハウジング部は、第1ベアリングを介して前記駆動ベベルギヤの前記回転軸を支持するととともに、第2ベアリングを介して前記カップリングを支持し、
前記第2ハウジング部は、前記第2ベアリングおよび前記カップリングを介して、前記駆動ベベルギヤの回転軸をさらに支持する、項目18に記載のドライブユニット。
【0044】
カップリングを備える構成において、電動モータの回転軸方向におけるドライブユニットのサイズを低減させることができる。
【0045】
[項目20]
項目1から19のいずれかに記載のドライブユニットを備えた自転車。
【0046】
ドライブユニットから発生する騒音および振動を低減させた自転車を実現することができる。
【0047】
[項目21]
前記ドライブユニットは、前記ハウジングの前記ペダルクランク軸を囲む壁部の後端部よりも前方の位置で前記自転車のフレームに締結される、項目20に記載の自転車。
【0048】
これにより、自転車のリアセンタ長(ペダルクランク軸と後輪車軸との間の長さ)を短くすることができる。
【0049】
[項目22]
前記ドライブユニットは、前記ハウジングの前記ペダルクランク軸を囲む壁部の後端部よりも後方、且つ前記自転車の後輪よりも前方の位置で前記自転車のフレームに締結される、項目20に記載の自転車。
【0050】
ドライブユニットは、複数の位置で自転車のフレームに締結され得る。ある締結部は、ペダルクランク軸よりも前方に位置し、ドライブユニットを自転車のフレームに固定し得る。この場合、ハウジングのペダルクランク軸を囲む壁部の後端部よりも後方に、別の締結部を位置させ、その別の締結部でドライブユニットを自転車のフレームに固定する。これにより、これら二つの締結部の間の距離を長くすることができ、取り付け剛性を高めることができる。
【0051】
[項目23]
自転車に用いられるドライブユニットであって、
電動モータと、
前記電動モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングを貫通し、回転軸方向が前記電動モータの回転軸方向と交差するペダルクランク軸と、
入力軸と出力軸とが同軸上に位置する第1減速機であって、前記電動モータから伝達された回転を減速させる第1減速機と、
前記第1減速機の前記出力軸の回転が伝達される動力伝達部材と、
前記動力伝達部材から伝達された回転の回転軸方向を変更するとともに、回転速度を減速させる第2減速機と、
を備え、
前記ハウジングは、
一つの筒状の第1ハウジング部と、
一つの筒状の第2ハウジング部と、
一つの筒状の第3ハウジング部と、
を含み、
一つの筒状の前記第1ハウジング部は、前記第1ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記動力伝達部材を支持し、
一つの筒状の前記第2ハウジング部は、前記第2ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第2減速機を支持し、
一つの筒状の前記第3ハウジング部は、前記第3ハウジング部とは異なるハウジング部を介さずに、前記第1ハウジング部および前記第2ハウジング部を支持する、ドライブユニット。
【0052】
本発明のある実施形態によれば、動力伝達部材を支持する第1ハウジング部と第2減速機を支持する第2ハウジング部との両方を同じ一つの第3ハウジング部で支持する。これにより、動力伝達部材と第2減速機との間の芯ずれを抑制することができる。芯ずれを抑制することで、動力伝達効率を向上させるとともに、騒音および振動を低減させることができる。芯ずれが小さい構造を実現することで、バックラッシュの設計値を大きくする必要が無くなり、動力伝達効率をさらに向上させるとともに、騒音および振動をさらに低減させることができる。
【0053】
[項目24]
前記第1ハウジング部および前記第3ハウジング部は、前記第1ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第3ハウジング部の内周部の一部に嵌るインロー構造を有し、
前記第2ハウジング部および前記第3ハウジング部は、前記第2ハウジング部の外周部の少なくとも一部が前記第3ハウジング部の内周部の別の一部に嵌るインロー構造を有する、項目23に記載のドライブユニット。
【0054】
第3ハウジング部は、第1ハウジング部および第2ハウジング部のそれぞれとの間でインロー構造を有する。これにより、動力伝達部材と第2減速機との間の芯ずれを抑制することができる。
【0055】
[項目25]
前記動力伝達部材の回転を前記第2減速機に伝達するカップリングをさらに備え、
前記第2ハウジング部は、前記カップリングを支持する、項目23または24に記載のドライブユニット。
【0056】
第2減速機を支持する第2ハウジング部でカップリングを支持することで、カップリングを備える構成において、電動モータの回転軸方向におけるドライブユニットのサイズを低減させることができる。
【0057】
[項目26]
前記第3ハウジング部は、前記ペダルクランク軸を支持する、項目23から25のいずれかに記載のドライブユニット。
【0058】
これにより、第2減速機とペダルクランク軸との間の芯ずれを抑制することができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明のある実施形態によれば、電動モータの回転が伝達される第1減速機と、第1減速機の回転が伝達される動力伝達部材との両方を同じ一つの筒状の第1ハウジング部で支持する。これにより、第1減速機と動力伝達部材との間の芯ずれを抑制することができる。芯ずれを抑制することで、動力伝達効率を向上させるとともに、騒音および振動を低減させることができる。芯ずれが小さい構造を実現することで、バックラッシュの設計値を大きくする必要が無くなり、動力伝達効率をさらに向上させるとともに、騒音および振動をさらに低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動補助自転車1を示す右側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るドライブユニット30を示す右側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るドライブユニット30の別の例を示す右側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るドライブユニット30の内部構造を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るドライブユニット30の内部構造の一部を拡大して示す断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る第1ハウジング部110、第2ハウジング部120、第3ハウジング部130、第4ハウジング部140を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るドライブユニット30の内部構造の一部を拡大して示す断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る動力伝達部材60のワンウェイクラッチ機構61およびスラストワッシャ212を示す断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るドライブユニット30の内部構造の別の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るドライブユニット、およびドライブユニットを備えた自転車を説明する。実施形態の説明においては、同様の構成要素には同様の参照符号を付し、重複する場合にはその説明を省略する。図面に付した符号F、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。自転車における前後、左右、上下とは、自転車のサドルに乗員がハンドルに向かって着座した状態を基準とした前後、左右、上下を意味する。以下の実施形態の説明では、自転車の一例として電動補助自転車を例示する。以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0062】
[電動補助自転車]
図1は、本実施形態に係る電動補助自転車1を示す右側面図である。
【0063】
電動補助自転車1は、前後方向に延びる車体フレーム2を有する。車体フレーム2は、ヘッドパイプ11、ダウンチューブ12、トップチューブ14、シートチューブ16、チェーンステイ18、シートステイ19を含む。ヘッドパイプ11は車体フレーム2の前端に配置されている。ハンドルコラム13は、ヘッドパイプ11に回転可能に挿入されている。ハンドルコラム13にはハンドル4が固定されている。ハンドル4には、電動補助自転車1に関する各種情報を表示するメーターユニット5が設けられている。ハンドル4の前方部にはヘッドランプ22が設けられている。
【0064】
ハンドルコラム13の下端部にはフロントフォーク15が固定されている。フロントフォーク15の下端部は、操舵輪である前輪6を回転可能に支持している。
【0065】
ダウンチューブ12は、ヘッドパイプ11から後方斜め下方に向かって延びている。シートチューブ16は、ダウンチューブ12の後端部から上方に向かって延びている。チェーンステイ18は、シートチューブ16の下端部から後方に向かって延びている。トップチューブ14は、ヘッドパイプ11とシートチューブ16の上部を繋ぐように設けられる。シートチューブ16にはシートポスト17が挿入され、シートポスト17の上端部には乗員が座るサドル3が設けられている。
【0066】
チェーンステイ18の後端部は、駆動輪である後輪7を回転可能に支持している。シートステイ19は、シートチューブ16の上部から後方斜め下方に向かって延びている。シートステイ19の下端部は、チェーンステイ18の後端部に接続されている。チェーンステイ18の後端部には、変速比を変更する変速機28が設けられている。変速機はペダルクランク軸35の周囲に設けられてもよい。
【0067】
ダウンチューブ12には、ドライブユニット30およびバッテリユニット20が取り付けられている。
図1に示す例では、バッテリユニット20はダウンチューブ12の内部に取り付けられている。ドライブユニット30の一部はダウンチューブ12の内部に位置している。ダウンチューブ12は中空の形状を有し得る。ダウンチューブ12は、その少なくとも一部の断面がU字型であり、そのU字型部分を覆うカバーを有していてもよい。
【0068】
図2は、ドライブユニット30を示す右側面図である。ドライブユニット30は、ハウジング31、ペダルクランク軸35を含む。ハウジング31内には、電動モータ、MCU(モータコントロールユニット)、減速機等が収容される。ペダルクランク軸35はドライブユニット30に左右方向に貫通して支持されている。ペダルクランク軸35の両端部にはクランクアーム36(
図1)が設けられる。クランクアーム36の先端には、ペダル37が回転可能に設けられる。
【0069】
ハウジング31には突出部311および312が設けられており、ドライブユニット30は、突出部311および312の穴311aおよび312aを通るボルトなどの締結具を用いて車体フレーム2に固定される。突出部311および312の位置は、ハウジング31のペダルクランク軸35を囲む壁部31w(
図2中に点線で示す部分)の後端部31Reよりも前方に位置する。すなわち、ドライブユニット30は、後端部31Reよりも前方の位置で車体フレーム2に締結される。ドライブユニット30を車体フレーム2に締結するための締結具が後端部31Reよりも後方に位置しないことで、自転車1のリアセンタ長(すなわちペダルクランク軸35と後輪7の車軸との間の長さ)を短くすることができる。
【0070】
なお、突出部311は、壁部31wの後端部31Reよりも後方に位置していてもよい。
図3は、突出部311が後端部31Reよりも後方に延びたドライブユニット30を示す右側面図である。
【0071】
図3に示す例では、突出部311の穴311aは後端部31Reよりも後方、且つ自転車1の後輪7よりも前方の位置にあり、その穴311aの位置でドライブユニット30は自転車1の車体フレーム2に締結される。ドライブユニット30は、複数の位置で自転車1のフレーム2に締結され得る。突出部312は、ペダルクランク軸35よりも前方に位置し、その突出部312を用いてドライブユニット30を自転車1のフレーム2に固定する。この場合、壁部31wの後端部31Reよりも後方に、突出部311を位置させ、その突出部311を用いてドライブユニット30を自転車1のフレーム2に固定する。これにより、二つの締結部の間の距離を長くすることができ、取り付け剛性を高めることができる。
【0072】
突出部311が後方に延びる場合でも、後輪7の外周部7pから所定距離離れた位置(オフセット)7oよりも前方に突出部311を位置させることで、自転車1のリアセンタ長が長くなることを抑制することができる。
【0073】
また、締結部の位置となる穴311aは後端部31Reよりも前方に位置しているが、突出部311の一部は後端部31Reよりも後方に位置してもよい。突出部311に穴311aを設ける場合、穴311aの外側にある程度の肉厚が必要となる。その肉厚の分だけ突出部311の一部が後端部31Reよりも後方に出てしまうことがあり得る。突出部311の一部が後端部31Reよりも後方に位置する形態において、穴311aは、前後方向における後端部31Reと同じ位置に配置されていてもよいし、後端部31Reよりも後方に配置されていてもよい。穴311aを可能な範囲で後方に位置させることで、二つの締結部の間の距離を長くすることができ、取り付け剛性を高めることができる。
【0074】
図2および
図3に示した例では、突出部311の穴311aは、ペダルクランク軸35の回転中心位置よりも下方に位置していたが、ペダルクランク軸35の回転中心位置よりも上方に位置していてもよい。この場合、突出部312は、ハウジング31の下面側に位置していてもよい。突出部311がペダルクランク軸35の斜め上方に延びる場合でも、突出部311を壁部31wの後端部31Reよりも前方に位置させることで、自転車1のリアセンタ長を短くすることができる。また、後端部31Reよりも後方に突出部311が延びる場合でも、後輪7の外周部7pから所定距離離れた位置7oよりも前方に突出部311を位置させることで、自転車1のリアセンタ長が長くなることを抑制できる。穴311aを可能な範囲で後方に位置させることで、二つの締結部の間の距離を長くすることができ、取り付け剛性を高めることができる。
【0075】
バッテリユニット20は、ドライブユニット30に電力を供給する。バッテリユニット20は、バッテリおよびBMS(バッテリマネージメントシステム)を有する。バッテリは、充放電可能な充電池である。BMSは、バッテリの充放電を制御するとともに、バッテリの出力電流および残量等を監視する。バッテリユニット20はシートチューブ16に搭載されてもよい。バッテリユニット20は、電動補助自転車1に対して着脱可能であってもよい。
【0076】
ドライブユニット30のMCUは、電動モータの動作を制御するとともに、電動補助自転車1の各部の動作を制御する。MCUは、プロセッサ等の半導体集積回路およびモータ駆動回路を有する。乗員がペダル37を足で踏むことで発生したペダルクランク軸35の回転は、チェーン23を介して後輪7に伝達される。MCUは、乗員がペダル37を足で踏むことで発生するペダルクランク軸35の回転出力に応じた駆動補助出力を発生させるように電動モータを制御する。電動モータが発生させた補助力は、チェーン23を介して、後輪7に伝達される。チェーン23の代わりにベルト、シャフト等が用いられてもよい。
【0077】
[ドライブユニット]
図4は、ドライブユニット30の内部構造を示す断面図である。
図5は、ドライブユニット30の内部構造の一部を拡大して示す断面図である。ドライブユニット30は、ハウジング31、電動モータ40、第1減速機50、動力伝達部材60、第2減速機70、ペダルクランク軸35、回転軸230を備える。説明の便宜上、以下のドライブユニット30の構造の説明では、電動モータ40の回転軸方向D1を上下方向として説明する。
【0078】
ハウジング31は、第1ハウジング部110、第2ハウジング部120、第3ハウジング部130、第4ハウジング部140、第5ハウジング部150、第6ハウジング部160、第7ハウジング部170、カバー135、インナーカバー165、カバー175を備える。ハウジング31の各構成要素は金属材料(例えばアルミニウム合金)で形成されている。
【0079】
第1から第7ハウジング部110から170のそれぞれは、筒形状を有する。第4ハウジング部140と第5ハウジング部150とは、例えば締結具を用いて固定される。第5ハウジング部150とインナーカバー165と第6ハウジング部160とは、例えば締結具を用いて固定される。第6ハウジング部160と第7ハウジング部170とは、例えば締結具を用いて固定される。第7ハウジング部170とカバー175とは、例えば締結具を用いて固定される。
【0080】
電動モータ40は、第5ハウジング部150の内部に配置され、第5ハウジング部150に固定されている。電動モータ40は、電動補助自転車1の走行をアシストするための駆動力を発生する。電動モータ40は、ステータ41およびロータ42を備える。ステータ41は、コイルが巻き回されたボビンを複数個備える。各ボビンには、鉄心が挿入されている。ステータ41は、第5ハウジング部150の内周部に固定されている。ステータ41は、例えば第5ハウジング部150の内周部に焼き嵌めされている。
【0081】
ロータ42は、ステータ41の内側に配置されている。ロータ42の外周面には、N極とS極とが周方向に交互に着磁されている。ロータ42は出力軸43を備える。出力軸43は、ロータ42の本体に固定され、ロータ42の本体とともに回転する。出力軸43の中心軸線CL1は、出力軸43の軸方向から見たときに、ロータ42の回転中心軸RC1となる。
【0082】
第5ハウジング部150の下方には第4ハウジング部140が配置されている。第4ハウジング部140は、ベアリング225を介して出力軸43を支持している。第4ハウジング部140は、第4ハウジング部140とは異なるハウジング部を介さずに、出力軸43を支持する。第5ハウジング部150の上方にはインナーカバー165が配置されている。インナーカバー165は、ベアリング226を介して出力軸43を支持している。インナーカバー165の上方に位置する第6ハウジング部160および第7ハウジング部170の内部には、出力軸43の回転を検出する回転センサ(エンコーダ)44およびMCUが設けられた制御回路基板45が配置されている。カバー175は、第7ハウジング部170の上部を覆っている。
【0083】
第1ハウジング部110の上部は、第4ハウジング部140の内部に配置される。第1ハウジング部110と第4ハウジング部140とを固定する方法は後述する。第1ハウジング部110の下部は、第3ハウジング部130の内部の上部に配置される。第1ハウジング部110と第3ハウジング部130とを固定する方法は後述する。第2ハウジング部120は、第3ハウジング部130の内部における第1ハウジング部110よりも下方に配置される。第2ハウジング部120と第3ハウジング部130とを固定する方法は後述する。
【0084】
第1ハウジング部110の内部には、第1減速機50が配置されている。第1減速機50は、電動モータ40から伝達された回転を減速させる。第1減速機50は、入力軸と出力軸とが同軸上に位置する減速機である。第1減速機50は、例えば遊星歯車機構を備える。ここでは、第1減速機50が遊星歯車機構を備える例について説明する。
【0085】
第1減速機50は、太陽歯車51、内歯車52、遊星歯車53、遊星キャリア54、出力軸55を備える。遊星歯車機構の構成は公知であるため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0086】
電動モータ40の出力軸43の下部には太陽歯車51が設けられている。電動モータ40の出力軸43は、第1減速機50の入力軸となる。内歯車52は、第1ハウジング部110に支持されている。内歯車52は、例えば凹凸構造により第1ハウジング部110に対して相対的に回転しないように、第1ハウジング部110に支持されている。出力軸55は、遊星キャリア54に固定され、遊星キャリア54とともに回転する。遊星キャリア54と出力軸55とは、例えばしまり嵌めにより固定される。出力軸43と出力軸55とは同軸上に位置する。
【0087】
第1減速機50の下方には、出力軸55の回転が伝達される動力伝達部材60が配置されている。動力伝達部材60は、例えばワンウェイクラッチを含む。動力伝達部材60は、ワンウェイクラッチ機構61およびアウタ部材62を備える。第1減速機50の出力軸55は、ワンウェイクラッチ機構61の内周側に配置され、出力軸55の回転はワンウェイクラッチ機構61に伝達される。出力軸55はワンウェイクラッチ機構61の内周側に配置されるインナ部材となる。アウタ部材62は筒形状を有し、アウタ部材62の内周部はワンウェイクラッチ機構61の外周部に固定されている。第1ハウジング部110は、ベアリング223および224を介してアウタ部材62を支持している。
【0088】
ワンウェイクラッチ機構61は、出力軸55とアウタ部材62とを結合する。ワンウェイクラッチ機構61は、出力軸55に対するアウタ部材62の回転を一方向に規制する。ワンウェイクラッチ機構61は、例えばラチェット機構を有する。電動補助自転車1の後輪7(
図1)を前転させる方向の出力軸55の回転は、ワンウェイクラッチ機構61を介してアウタ部材62に伝達されるが、後輪7を後転させる方向の出力軸55の回転は、アウタ部材62には伝達されない。また、ワンウェイクラッチ機構61は、乗員の人力により発生したペダルクランク軸35の前転方向の回転が、電動モータ40に伝達されることを防止している。
【0089】
動力伝達部材60の下方には、動力伝達部材60の回転が伝達される第2減速機70が配置されている。動力伝達部材60は、第1減速機50の出力軸55から伝達された回転を減速することなく第2減速機70に伝達することが可能である。第2減速機70は、動力伝達部材60から伝達された回転の回転軸方向を変更するとともに、回転速度を減速させる。第2減速機70は、動力伝達部材60の回転が伝達される駆動ベベルギヤ71と、駆動ベベルギヤ71の回転が伝達される被動ベベルギヤ72とを備える。駆動ベベルギヤ71から被動ベベルギヤ72へ回転が伝達されることで、回転軸方向が変更される。この例では、駆動ベベルギヤ71の回転軸方向は上下方向に平行であり、被動ベベルギヤ72の回転軸方向は左右方向に平行である。上下方向は、電動モータ40の回転軸方向D1に平行な方向である。
【0090】
ここで、ペダルクランク軸35周りの構成を説明する。ペダルクランク軸35の回転軸方向は、電動モータ40の回転軸方向D1と交差している。ペダルクランク軸35は、ハウジング31を左右方向に貫通して配置され、ハウジング31によって回転可能に支持されている。ペダルクランク軸35の中心軸線CL2は、左右方向に延びている。中心軸線CL2は、ペダルクランク軸35の軸方向(スラスト方向)から見た場合に、ペダルクランク軸35の回転中心軸RC2となる。
【0091】
第3ハウジング部130は、ペダルクランク軸35を回転可能に支持する。カバー135は、第3ハウジング部130の右部を覆っている。第3ハウジング部130とカバー135とは、例えば締結具を用いて固定される。第3ハウジング部130は、ベアリング227を介してペダルクランク軸35を支持している。カバー135は、ベアリング228を介してペダルクランク軸35を支持している。ペダルクランク軸35には、左右一対のクランクアーム36(
図1)が取り付けられる。クランクアーム36のそれぞれにはペダル37が取り付けられる。
【0092】
ペダルクランク軸35は、回転軸230を貫通して配置されている。回転軸230は、ペダルクランク軸35と同軸に配置され、ペダルクランク軸35とともに回転可能である。回転軸230は、連結軸231およびワンウェイクラッチ240を含む。
【0093】
連結軸231は、円筒形状を有する。連結軸231には、ペダルクランク軸35が挿入されている。連結軸231は、ペダルクランク軸35と同軸に配置されている。
【0094】
連結軸231の左端部は、ペダルクランク軸35に対して、セレーション結合等で連結されている。ペダルクランク軸35が前転方向および後転方向の何れに回転しても、連結軸231はペダルクランク軸35とともに回転する。
【0095】
連結軸231の周囲には、トルク検出装置232が配置されている。トルク検出装置232は、運転者がペダルを漕ぐときに連結軸231に発生するトルクを検出する。トルク検出装置232は、例えば磁歪式のトルクセンサである。トルク検出装置232は、検出したトルクに応じた信号を、制御回路基板45に出力する。MCUは、トルク検出装置232が検出したトルクを参照して、運転者によるペダリングの状態を把握し、電動モータ40の動作を制御する。
【0096】
ワンウェイクラッチ240は、ペダルクランク軸35と同軸に配置されている。ワンウェイクラッチ240は、インナ部材241、アウタ部材242、ワンウェイクラッチ機構243を備える。インナ部材241は、円筒形状を有する。インナ部材241には、連結軸231の右部分が挿入されている。インナ部材241は、連結軸231と同軸に配置されている。連結軸231の右部分は、インナ部材241に対して、セレーション結合等で連結されている。連結軸231が前転方向および後転方向のいずれに回転しても、インナ部材241は、連結軸231とともに回転する。つまり、ペダルクランク軸35が前転方向および後転方向のいずれに回転しても、インナ部材241は、ペダルクランク軸35とともに回転する。
【0097】
アウタ部材242は、円筒形状を有する。アウタ部材242には、ペダルクランク軸35が挿入されている。アウタ部材242とペダルクランク軸35との間に滑り軸受が配置されていてもよい。アウタ部材242は、ペダルクランク軸35に対して同軸で回転可能に配置されている。
【0098】
ワンウェイクラッチ機構243は、例えばラチェット機構を有する。インナ部材241の前転方向の回転は、アウタ部材242に伝達されるが、インナ部材241の後転方向の回転は、アウタ部材242に伝達されない。また、電動モータ40の回転により発生したアウタ部材242の前転方向の回転力は、インナ部材241に伝達されない。
【0099】
アウタ部材242は、ベアリング228により、ペダルクランク軸35の中心軸線CL2周りで、ハウジング31に対して回転可能に支持されている。アウタ部材242は、カバー135を貫通して配置されている。アウタ部材242のうち、ハウジング31の外側(右側)に位置する部分には、駆動スプロケット38(
図1)が取り付けられる。
【0100】
アウタ部材242は、被動ベベルギヤ72を有する。被動ベベルギヤ72は、ワンウェイクラッチ240および連結軸231を介してペダルクランク軸35に設けられている。被動ベベルギヤ72は、駆動ベベルギヤ71よりも大径であり、駆動ベベルギヤ71よりも多い歯を有する。被動ベベルギヤ72の回転速度は、駆動ベベルギヤ71よりも遅くなる。駆動ベベルギヤ71と被動ベベルギヤ72とが噛み合うことにより、電動モータ40の回転は、アウタ部材242に取り付けられた駆動スプロケット38に伝達される。
【0101】
アウタ部材242は、連結軸231に伝達された人力(ペダル踏力)と、電動モータ40が発生させた補助力との合力を駆動スプロケット38に伝達する。アウタ部材242により、ワンウェイクラッチ240を介して入力される人力と、被動ベベルギヤ72を介して入力される補助力とを合成して出力する合力出力軸が実現されている。回転軸230は合力出力軸を含む。回転軸230は、人力および電動モータ40が発生させた補助力を外部に出力するドライブユニット30の出力軸である。
【0102】
上述したように、第2減速機70は、動力伝達部材60の回転が伝達される駆動ベベルギヤ71と、駆動ベベルギヤ71の回転が伝達される被動ベベルギヤ72とを備える。ドライブユニット30は、動力伝達部材60の回転を駆動ベベルギヤ71の回転軸73に伝達するカップリング80を備える。カップリング80を用いることで、動力伝達部材60と駆動ベベルギヤ71の回転軸73との間の芯ずれを吸収することができる。この例では、動力伝達部材60のアウタ部材62の下部の凸部がカップリング80上部の凹部に嵌っており、カップリング80はアウタ部材62とともに回転する。回転軸73はカップリング80の内周部に嵌っており、回転軸73はカップリング80とともに回転する。
【0103】
第2ハウジング部120は、ベアリング221を介して回転軸73を支持している。また、第2ハウジング部120は、ベアリング222を介してカップリング80を支持している。すなわち、第2ハウジング部120は、ベアリング222およびカップリング80を介して回転軸73をさらに支持している。二つのベアリング221および222で回転軸73を直接支持するのではなく、カップリング80を介して回転軸73を支持する。ベアリング222と回転軸73との間にカップリング80を配置することで、カップリング80を備える構成であっても、回転軸方向D1におけるドライブユニット30のサイズが大きくなることを抑制できる。
【0104】
上述したように、本実施形態のハウジング31は、一つの筒状の第1ハウジング部110を含む。その一つの筒状の第1ハウジング部110は、第1ハウジング部110とは異なるハウジング部を介さずに、第1減速機50および動力伝達部材60を直接支持している。本実施形態では、ハウジング部がある部材を直接支持することは、そのハウジング部がベアリングを介してその部材を支持することも含むとする。第1減速機50および動力伝達部材60の両方を同じ一つの第1ハウジング部110で支持する。これにより、第1減速機50と動力伝達部材60との間の芯ずれを抑制することができる。芯ずれを抑制することで、動力伝達効率を向上させるとともに、騒音および振動を低減させることができる。芯ずれが小さい構造を実現することで、バックラッシュの設計値を大きくする必要が無くなり、動力伝達効率をさらに向上させるとともに、騒音および振動をさらに低減させることができる。
【0105】
次に、第1ハウジング部110、第2ハウジング部120、第3ハウジング部130、第4ハウジング部140について説明する。
図6は、第1ハウジング部110、第2ハウジング部120、第3ハウジング部130、第4ハウジング部140を示す断面図である。
図6では第3ハウジング部130の下部の図示は省略している。
図7は、ドライブユニット30の内部構造の一部を拡大して示す断面図である。
【0106】
上述したように、第1から第4ハウジング部110から140のそれぞれは筒形状を有する。第1ハウジング部110の下部は、第3ハウジング部130の内部に配置される。第1ハウジング部110の外周部111の一部には雄ねじ部112が設けられている。第3ハウジング部130の内周部131の一部には雌ねじ部132が設けられている。第3ハウジング部130の雌ねじ部132に第1ハウジング部110の雄ねじ部112が嵌ることで第1ハウジング部110と第3ハウジング部130とは接続される。雄ねじ部112および雌ねじ部132を用いて第1ハウジング部110と第3ハウジング部130とを固定することで、ドライブユニット30の外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニット30の外表面の凹凸を減少させることができる。ドライブユニット30の外表面の凹凸が少なくなることにより、ドライブユニット30を取り付ける電動補助自転車1の車体フレーム2の設計の自由度を向上させることができる。
【0107】
位置P1(
図7)において、第1ハウジング部110と第3ハウジング部130とは回転軸方向D1において互いに接触している。位置P1において互いに接触することで、雄ねじ部112が雌ねじ部132にそれ以上ねじ込まれることを防止できる。これにより、第1ハウジング部110と第3ハウジング部130との間の、回転軸方向D1における位置決めを行うことができる。
【0108】
第1ハウジング部110および第3ハウジング部130は、位置P2において、第1ハウジング部110の外周部111の一部が第3ハウジング部130の内周部131の一部に嵌るインロー構造を有している。これにより、第1ハウジング部110と第3ハウジング部130との間の位置ずれを抑制することができる。第3ハウジング部130の内周面は、第3ハウジング部130とは異なるハウジング部を介さずに、第1ハウジング部110の外周面を支持している。
【0109】
第2ハウジング部120は、第3ハウジング部130の内部に配置される。第2ハウジング部120の外周部121の一部には雄ねじ部122が設けられている。第3ハウジング部130の内周部131の一部には雌ねじ部133が設けられている。雌ねじ部133に雄ねじ部122が嵌ることで第2ハウジング部120と第3ハウジング部130とは接続される。雄ねじ部122および雌ねじ部133を用いて第2ハウジング部120と第3ハウジング部130とを固定することで、ドライブユニット30の外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニット30の外表面の凹凸を減少させることができる。
【0110】
第3ハウジング部130は、位置P3aにおいて、シム213を介してベアリング221の下端部と接触している。第2ハウジング部120は、位置P3bにおいてベアリング221の上端部と接触している。これらの接触により、雄ねじ部122が雌ねじ部133にそれ以上ねじ込まれることを防止できる。これにより、第2ハウジング部120と第3ハウジング部130との間の、回転軸方向D1における位置決めを行うことができる。
【0111】
第2ハウジング部120および第3ハウジング部130は、位置P4において、第2ハウジング部120の外周部121の一部が第3ハウジング部130の内周部131の一部に嵌るインロー構造を有している。これにより、第2ハウジング部120と第3ハウジング部130との間の位置ずれを抑制することができる。
【0112】
第1ハウジング部110の上部は、第4ハウジング部140の内部に配置される。第1ハウジング部110の外周部111の一部には雄ねじ部113が設けられている。第4ハウジング部140の内周部141の一部には雌ねじ部142が設けられている。雌ねじ部142に雄ねじ部113が嵌ることで第1ハウジング部110と第4ハウジング部140とは接続される。雄ねじ部113および雌ねじ部142を用いて第1ハウジング部110と第4ハウジング部140とを固定することで、ドライブユニット30の外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニット30の外表面の凹凸を減少させることができる。
【0113】
位置P5において、第1ハウジング部110と第4ハウジング部140とは、回転軸方向D1において互いに接触している。位置P4において互いに接触することで、雄ねじ部113が雌ねじ部142にそれ以上ねじ込まれることを防止できる。これにより、第1ハウジング部110と第4ハウジング部140との間の、回転軸方向D1における位置決めを行うことができる。
【0114】
第1ハウジング部110および第4ハウジング部140は、位置P6において、第1ハウジング部110の外周部111の一部が第4ハウジング部140の内周部141の一部に嵌るインロー構造を有している。これにより、第1ハウジング部110と第4ハウジング部140との間の位置ずれを抑制することができる。
【0115】
第4ハウジング部140と第5ハウジング部150との接続においても、一方の外周部に雄ねじ部を設けるとともに、他方の内周部に雌ねじ部を設け、雌ねじ部に雄ねじ部を嵌めることで第4ハウジング部140と第5ハウジング部150とを接続してもよい。これにより、ドライブユニット30の外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニット30の外表面の凹凸を減少させることができる。また、第4ハウジング部140および第5ハウジング部150は、一方の外周部の一部が、他方の内周部の一部に嵌るインロー構造を有していてもよい。上記以外のハウジング部同士の接続においても、同様に、一方の外周部に雄ねじ部を設けるとともに、他方の内周部に雌ねじ部を設け、雌ねじ部に雄ねじ部を嵌めることでハウジング部同士を接続してもよい。また、一方の外周部の一部が、他方の内周部の一部に嵌るインロー構造を有していてもよい。
【0116】
本実施形態では、一つの筒状の第1ハウジング部110は、第1ハウジング部110とは異なるハウジング部を介さずに、第1減速機50および動力伝達部材60を直接支持している。上述したように、本実施形態では、ハウジング部がある部材を直接支持することは、そのハウジング部がベアリングを介してその部材を支持することも含む。一つの筒状の第2ハウジング部120は、第2ハウジング部120とは異なるハウジング部を介さずに、第2減速機70を直接支持している。一つの筒状の第3ハウジング部130は、第3ハウジング部130とは異なるハウジング部を介さずに、第1ハウジング部110および第2ハウジング部120の両方を支持している。動力伝達部材60を支持する第1ハウジング部110と第2減速機70を支持する第2ハウジング部120との両方を同じ一つの第3ハウジング部130で支持する。これにより、動力伝達部材60と第2減速機70との間の芯ずれを抑制することができる。第3ハウジング部130は、第1ハウジング部110および第2ハウジング部120のそれぞれとの間でインロー構造を有する。これにより、動力伝達部材60と第2減速機70との間の芯ずれをより抑制することができる。
【0117】
図5に示すように、ドライブユニット30では、回転軸方向D1において、第1減速機50の遊星歯車53と第4ハウジング部140との間に、スラストワッシャ211が設けられている。スラストワッシャ211が設けられていることにより、遊星歯車53が上方に移動した場合に遊星歯車53に働く摩擦力を低減させることができ、機械効率を向上させることができる。また、遊星歯車53および第4ハウジング部140の摩耗量を低減させることができる。
【0118】
また、ドライブユニット30では、遊星キャリア54と動力伝達部材60との間にスラストワッシャ212が設けられている。スラストワッシャ212が設けられていることにより、遊星キャリア54と動力伝達部材60との間に相対的な回転速度の差が生じた場合でも、遊星キャリア54および動力伝達部材60に働く摩擦力を低減させることができる。これにより、電動モータ40が補助力を発生させていないときの人力の損失を低減させることができる。
【0119】
図8は、動力伝達部材60のワンウェイクラッチ機構61およびスラストワッシャ212を示す断面図である。回転軸方向D1に垂直な方向(左右方向)から見た平面視において、スラストワッシャ212の一部は、ワンウェイクラッチ機構61と重複している。例えば、範囲R1において、スラストワッシャ212はワンウェイクラッチ機構61と重複している。これにより、スラストワッシャ212を備える構成であっても、回転軸方向D1におけるドライブユニット30のサイズが大きくなることを抑制できる。
【0120】
範囲R2においては、スラストワッシャ212はワンウェイクラッチ機構61と重複していない。これにより、ワンウェイクラッチ機構61と遊星キャリア54との接触を抑制することができる。
【0121】
また、第1ハウジング部110は、回転軸方向D1に沿って配置された二つのベアリング223、224を介して、ワンウェイクラッチ機構61を支持している。回転軸方向D1における二つのベアリング223、224の中心位置(ラインC1が通る位置)は、回転軸方向D1におけるワンウェイクラッチ機構61の中心位置(ラインC1が通る位置)と等しい。これにより、二つのベアリング223、224を用いてワンウェイクラッチ機構61を安定して支持することができ、駆動トルク損失を低減させることができるとともに、ワンウェイクラッチ機構61の寿命を長くすることができる。ベアリング223、224が互いに離れて配置されている場合でも、回転軸方向D1における二つのベアリング223、224の中心位置をワンウェイクラッチ機構61の中心位置(ラインC1が通る位置)と等しくすることで、ワンウェイクラッチ機構61を安定して支持することができる。
【0122】
なお、第1ハウジング部110は、一つのベアリングを介してワンウェイクラッチ機構61を支持してもよい。この場合、回転軸方向D1におけるその一つのベアリングの中心位置を、回転軸方向D1におけるワンウェイクラッチ機構61の中心位置と等しくする。これにより、一つのベアリングでワンウェイクラッチ機構61を安定して支持することができ、駆動トルク損失を低減させることができるとともに、ワンウェイクラッチ機構61の寿命を長くすることができる。
【0123】
また、
図5に示すように、回転軸方向D1における第2ハウジング部120の下端部と第3ハウジング部130との間には、シム213が設けられる。シム213の厚さを変更することで、回転軸方向D1における駆動ベベルギヤ71の位置を調整することができる。
【0124】
第1ハウジング部110に支持される第1減速機50は、トロコイド系歯形歯車を用いた減速機であってもよい。トロコイド系歯形歯車を用いた減速機は、例えばサイクロ減速機(登録商標)である。
【0125】
図9は、第1減速機50としてトロコイド系歯形歯車を用いた減速機が設けられたドライブユニット30の内部構造を示す断面図である。
図9ではドライブユニット30の上部の図示は省略している。
図9に示す例では、第1ハウジング部110は第4ハウジング部140(
図4)の構成を含んでいる。第1ハウジング部110は、第1減速機50および動力伝達部材60を支持している。
【0126】
図9に示す第1減速機50は、偏心体501、内ピン502、曲線板(遊星歯車)503、外ピン504、内ピン502を支持する支持部材505および506を備える。外ピン504は、第1ハウジング部110で支持されている。内ピン502および外ピン504は、軸受を備えるピンローラー構造を有していてもよい。軸受は例えば滑り軸受または転がり軸受であるが、それらに限定されない。トロコイド系歯形歯車を用いた減速機の構成は公知であるため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0127】
第1ハウジング部110は、外ピン504を支持するとともに、ベアリング511および512を介して支持部材505および506を支持している。支持部材505および506は、ベアリング513および514を介して電動モータ40の出力軸43を支持している。曲線板503は、ベアリング515および516を介して偏心体501を支持している。
【0128】
電動モータ40の出力軸43の下部には偏心体501が設けられている。出力軸43から偏心体501には、例えばキー溝またはスプライン等を用いて動力が伝達される。電動モータ40の出力軸43は、第1減速機50の入力軸となる。支持部材505から下方に出力軸55が延びている。出力軸43と出力軸55とは同軸上に位置する。
【0129】
第1減速機50の下方には、出力軸55の回転が伝達される動力伝達部材60が配置されている。
図9に示す例では、出力軸55はワンウェイクラッチ機構61の外周側に配置されるアウタ部材となる。第1ハウジング部110は、ベアリング223を介してアウタ部材55を支持している。すなわち、第1ハウジング部110は、ベアリング223を介して動力伝達部材60を支持している。
【0130】
出力軸55の内周部はワンウェイクラッチ機構61の外周部に固定されている。ワンウェイクラッチ機構61の内周側に配置されるインナ部材63が動力伝達部材60の出力軸となる。インナ部材63の外周部はワンウェイクラッチ機構61の内周部に固定されている。動力伝達部材60の下方には、動力伝達部材60の回転が伝達される第2減速機70が配置されている。動力伝達部材60のインナ部材63の回転は、カップリング80を介して駆動ベベルギヤ71の回転軸73に伝達される。
【0131】
図9に示す例においても、一つの筒状の第1ハウジング部110は、第1ハウジング部110とは異なるハウジング部を介さずに、第1減速機50および動力伝達部材60の両方を直接支持する。これにより、第1減速機50と動力伝達部材60との間の芯ずれを抑制することができる。
【0132】
上述した実施形態では、第2減速機70はベベルギヤを備えていたが、第2減速機70はそのような構成に限定されない。例えば、第2減速機70は、ハイポイドギヤまたはウォームギヤを備えていてもよい。この場合、電動モータ40の回転軸方向D1とペダルクランク軸35の回転軸方向とは直交していなくてもよい。
【0133】
上述した実施形態では、ドライブユニット30はダウンチューブ12に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。ドライブユニット30は、例えばシートチューブ16に配置されてもよい。また、バッテリユニット20は、例えばトップチューブ14またはシートチューブ16に配置されてもよい。
【0134】
上述した実施形態では、電動補助自転車1として二輪の電動補助自転車を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電動補助自転車1は三輪以上の電動補助自転車であってもよい。
【0135】
上述した実施形態では、乗員がペダルを踏んで発生させる人力および電動モータが発生させる補助力が伝達される駆動輪は後輪であったが、本発明はこれに限定されない。電動補助自転車の形態に応じて、それら人力および補助力は前輪に伝達されてもよいし、前輪および後輪の両方に伝達されてもよい。また、本発明は前輪にハブモータが設けられた電動補助自転車に適用されてもよい。
【0136】
上述した実施形態では、車両は電動補助自転車であったが、電動補助自転車以外の車両であってもよい。ドライブユニットの小型化が求められる車両において、本発明は好適に用いられ得る。
【0137】
以上、本発明の例示的な実施形態を説明した。本明細書は、以下の項目に記載のドライブユニットおよび自転車を開示している。
【0138】
[項目1]
自転車1に用いられるドライブユニット30であって、
電動モータ40と、
電動モータ40を収容するハウジング31と、
ハウジング31を貫通し、回転軸方向が電動モータ40の回転軸方向D1と交差するペダルクランク軸35と、
入力軸と出力軸とが同軸上に位置する第1減速機50であって、電動モータ40から伝達された回転を減速させる第1減速機50と、
第1減速機50の出力軸の回転が伝達される動力伝達部材60と、
動力伝達部材60から伝達された回転の回転軸方向を変更するとともに、回転速度を減速させる第2減速機70と、
を備え、
ハウジング31は、複数のハウジング部を含み、
複数のハウジング部は、一つの筒状の第1ハウジング部110を含み、
一つの筒状の第1ハウジング部110は、第1ハウジング部110とは異なるハウジング部を介さずに、第1減速機50および動力伝達部材60を支持する、ドライブユニット30。
【0139】
本発明のある実施形態によれば、電動モータ40の回転が伝達される第1減速機50と、第1減速機50の回転が伝達される動力伝達部材60との両方を同じ一つの筒状の第1ハウジング部110で支持する。これにより、第1減速機50と動力伝達部材60との間の芯ずれを抑制することができる。芯ずれを抑制することで、動力伝達効率を向上させるとともに、騒音および振動を低減させることができる。芯ずれが小さい構造を実現することで、バックラッシュの設計値を大きくする必要が無くなり、動力伝達効率をさらに向上させるとともに、騒音および振動をさらに低減させることができる。
【0140】
[項目2]
動力伝達部材60は、ワンウェイクラッチ機構61を含む、項目1に記載のドライブユニット30。
【0141】
第1減速機50と動力伝達部材60との両方を同じ一つの筒状の第1ハウジング部110で支持することで、ワンウェイクラッチ機構61の芯ずれを抑制することができる。
【0142】
[項目3]
動力伝達部材60は、第1減速機50の出力軸から伝達された回転を減速することなく第2減速機70に伝達することが可能である、項目1または2に記載のドライブユニット30。
【0143】
動力伝達部材60を用いて第1減速機50の回転を第2減速機70に伝達することができる。
【0144】
[項目4]
複数のハウジング部は、
一つの筒状の第2ハウジング部120と、
一つの筒状の第3ハウジング部130と、
を含み、
一つの筒状の第2ハウジング部120は、第2ハウジング部120とは異なるハウジング部を介さずに、第2減速機70を支持し、
一つの筒状の第3ハウジング部130は、第3ハウジング部130とは異なるハウジング部を介さずに、第1ハウジング部110および第2ハウジング部120を支持する、項目1から3のいずれかに記載のドライブユニット30。
【0145】
動力伝達部材60を支持する第1ハウジング部110と第2減速機70を支持する第2ハウジング部120との両方を同じ一つの第3ハウジング部130で支持する。これにより、動力伝達部材60と第2減速機70との間の芯ずれを抑制することができる。
【0146】
[項目5]
第1ハウジング部110および第3ハウジング部130は、第1ハウジング部110の外周部111の少なくとも一部が第3ハウジング部130の内周部131の一部に嵌るインロー構造を有し、
第2ハウジング部120および第3ハウジング部130は、第2ハウジング部120の外周部121の少なくとも一部が第3ハウジング部130の内周部131の別の一部に嵌るインロー構造を有する、項目4に記載のドライブユニット30。
【0147】
第3ハウジング部130は、第1ハウジング部110および第2ハウジング部120のそれぞれとの間でインロー構造を有する。これにより、動力伝達部材60と第2減速機70との間の芯ずれを抑制することができる。
【0148】
[項目6]
第1ハウジング部110の外周部111の一部には雄ねじ部112が設けられており、
第3ハウジング部130の内周部131の一部には雌ねじ部132が設けられており、
第3ハウジング部130の雌ねじ部132に第1ハウジング部110の雄ねじ部112が嵌ることで第1ハウジング部110と第3ハウジング部130とは接続される、項目4または5に記載のドライブユニット30。
【0149】
ドライブユニット30の外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニット30の外表面の凹凸を減少させることができる。これにより、ドライブユニット30を取り付ける自転車1のフレーム2の設計の自由度を向上させることができる。
【0150】
[項目7]
第1ハウジング部110と第3ハウジング部130とは、電動モータ40の回転軸方向D1において互いに接触している、項目6に記載のドライブユニット30。
【0151】
これにより、雄ねじ部112が設けられた第1ハウジング部110と、雌ねじ部132が設けられた第3ハウジング部130との間の、電動モータ40の回転軸方向D1における位置決めを行うことができる。
【0152】
[項目8]
第2ハウジング部120の外周部121の一部には雄ねじ部122が設けられており、
第3ハウジング部130の内周部131の一部には雌ねじ部133が設けられており、
第3ハウジング部130の雌ねじ部133に第2ハウジング部120の雄ねじ部122が嵌ることで第2ハウジング部120と第3ハウジング部130とは接続される、項目4から7のいずれかに記載のドライブユニット30。
【0153】
ドライブユニット30の外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニット30の外表面の凹凸を減少させることができる。これにより、ドライブユニット30を取り付ける自転車1のフレーム2の設計の自由度を向上させることができる。
【0154】
[項目9]
複数のハウジング部は、一つの筒状の第4ハウジング部140を含み、
一つの筒状の第4ハウジング部140は、第4ハウジング部140とは異なるハウジング部を介さずに、第1減速機50の入力軸43を支持し、
第1ハウジング部110および第4ハウジング部140は、第1ハウジング部110の外周部111の少なくとも一部が第4ハウジング部140の内周部141の少なくとも一部に嵌るインロー構造を有している、項目1から8のいずれかに記載のドライブユニット30。
【0155】
第1ハウジング部110と第4ハウジング部140とはインロー構造を有する。これにより、第1減速機50の入力軸と第1減速機50の他の構成要素との間の芯ずれを抑制することができる。
【0156】
[項目10]
第1ハウジング部110の外周部111の一部には雄ねじ部113が設けられており、
第4ハウジング部140の内周部141の一部には雌ねじ部142が設けられており、
第4ハウジング部140の雌ねじ部142に第1ハウジング部110の雄ねじ部113が嵌ることで第1ハウジング部110と第4ハウジング部140とは接続される、項目9に記載のドライブユニット30。
【0157】
ドライブユニット30の外表面に露出するボルトなどの締結具を減らすことができ、ドライブユニット30の外表面の凹凸を減少させることができる。これにより、ドライブユニット30を取り付ける自転車1のフレーム2の設計の自由度を向上させることができる。
【0158】
[項目11]
第1ハウジング部110と第4ハウジング部140とは、電動モータ40の回転軸方向D1において互いに接触している、項目10に記載のドライブユニット30。
【0159】
これにより、雄ねじ部113が設けられた第1ハウジング部110と、雌ねじ部142が設けられた第4ハウジング部140との間の、電動モータ40の回転軸方向D1における位置決めを行うことができる。
【0160】
[項目12]
第1減速機50は遊星歯車機構を含み、
第1ハウジング部110は、遊星歯車機構の内歯車52を支持し、
電動モータ40の回転軸方向D1において、遊星歯車機構の遊星歯車53と第4ハウジング部140との間に設けられたスラストワッシャ211をさらに備える、項目9から11のいずれかに記載のドライブユニット30。
【0161】
これにより、遊星歯車53が電動モータ40の回転軸方向D1に移動した場合に遊星歯車53に働く摩擦力を低減させることができ、機械効率を向上させることができる。また、遊星歯車53および第4ハウジング部140の摩耗量を低減させることができる。
【0162】
[項目13]
第1減速機50は遊星歯車機構を含み、
第1ハウジング部110は、遊星歯車機構の内歯車52を支持し、
電動モータ40の回転軸方向D1において、遊星歯車機構の遊星キャリア54と動力伝達部材60との間に設けられたスラストワッシャ212をさらに備える、項目2に記載のドライブユニット30。
【0163】
遊星キャリア54と動力伝達部材60との間に相対的な回転速度の差が生じた場合でも、遊星キャリア54と動力伝達部材60との間に発生する摩擦力を低減させることができる。これにより、電動モータ40が補助力を発生させていないときの人力の損失を低減させることができる。
【0164】
[項目14]
電動モータ40の回転軸方向D1に垂直な方向から見た平面視において、スラストワッシャ212の一部は、ワンウェイクラッチ機構61と重複している、項目13に記載のドライブユニット30。
【0165】
これにより、電動モータ40の回転軸方向D1におけるドライブユニット30のサイズを低減させることができる。
【0166】
[項目15]
第1ハウジング部110は、ベアリング223、224を介してワンウェイクラッチ機構61を支持しており、
電動モータ40の回転軸方向D1におけるベアリング223、224の中心位置は、電動モータ40の回転軸方向D1におけるワンウェイクラッチ機構61の中心位置と等しい、項目2に記載のドライブユニット30。
【0167】
これにより、ワンウェイクラッチ機構61を安定して支持することができ、駆動トルク損失を低減させることができるとともに、ワンウェイクラッチ機構61の寿命を長くすることができる。
【0168】
[項目16]
第2減速機70は、動力伝達部材60の回転が伝達される駆動ベベルギヤ71と、駆動ベベルギヤ7171の回転が伝達される被動ベベルギヤ72とを含み、
第2ハウジング部120は、第2ハウジング部120とは異なるハウジング部を介さずに、駆動ベベルギヤ71の回転軸73を支持する、項目4から8のいずれかに記載のドライブユニット30。
【0169】
ベベルギヤ71、72を用いて動力伝達部材60から伝達された回転の回転軸方向を変更するとともに、回転速度を減速させることができる。
【0170】
[項目17]
電動モータ40の回転軸方向D1において、第2ハウジング部120の下端部と第3ハウジング部130との間に設けられたシム213をさらに備える、項目16に記載のドライブユニット30。
【0171】
シム213を用いて駆動ベベルギヤ71の位置を調整することができる。
【0172】
[項目18]
動力伝達部材60の回転を駆動ベベルギヤ71の回転軸73に伝達するカップリング80をさらに備える、項目16または17に記載のドライブユニット30。
【0173】
動力伝達部材60と駆動ベベルギヤ71の回転軸73との間の芯ずれをカップリング80で吸収することができる。
【0174】
[項目19]
第2ハウジング部120は、第1ベアリング221を介して駆動ベベルギヤ71の回転軸73を支持するととともに、第2ベアリング222を介してカップリング80を支持し、
第2ハウジング部120は、第2ベアリング222およびカップリング80を介して、駆動ベベルギヤ71の回転軸73をさらに支持する、項目18に記載のドライブユニット30。
【0175】
カップリング80を備える構成において、電動モータ40の回転軸方向D1におけるドライブユニット30のサイズを低減させることができる。
【0176】
[項目20]
項目1から19のいずれかに記載のドライブユニット30を備えた自転車1。
【0177】
ドライブユニット30から発生する騒音および振動を低減させた自転車1を実現することができる。
【0178】
[項目21]
ドライブユニット30は、ハウジング31のペダルクランク軸35を囲む壁部31wの後端部31Reよりも前方の位置で自転車1のフレーム2に締結される、項目20に記載の自転車1。
【0179】
これにより、自転車1のリアセンタ長(ペダルクランク軸35と後輪車軸との間の長さ)を短くすることができる。
【0180】
[項目22]
ドライブユニット30は、ハウジング31のペダルクランク軸35を囲む壁部31wの後端部31Reよりも後方、且つ自転車1の後輪7よりも前方の位置で自転車1のフレーム2に締結される、項目20に記載の自転車1。
【0181】
ドライブユニット30は、複数の位置で自転車1のフレーム2に締結され得る。ある締結部は、ペダルクランク軸35よりも前方に位置し、ドライブユニット30を自転車1のフレーム2に固定し得る。この場合、ハウジング31のペダルクランク軸35を囲む壁部31wの後端部31Reよりも後方に、別の締結部を位置させ、その別の締結部でドライブユニット30を自転車1のフレーム2に固定する。これにより、これら二つの締結部の間の距離を長くすることができ、取り付け剛性を高めることができる。
【0182】
[項目23]
自転車1に用いられるドライブユニット30であって、
電動モータ40と、
電動モータ40を収容するハウジング31と、
ハウジング31を貫通し、回転軸方向が電動モータ40の回転軸方向D1と交差するペダルクランク軸35と、
入力軸と出力軸とが同軸上に位置する第1減速機50であって、電動モータ40から伝達された回転を減速させる第1減速機50と、
第1減速機50の出力軸の回転が伝達される動力伝達部材60と、
動力伝達部材60から伝達された回転の回転軸方向を変更するとともに、回転速度を減速させる第2減速機70と、
を備え、
ハウジング31は、
一つの筒状の第1ハウジング部110と、
一つの筒状の第2ハウジング部120と、
一つの筒状の第3ハウジング部130と、
を含み、
一つの筒状の第1ハウジング部110は、第1ハウジング部110とは異なるハウジング部を介さずに、動力伝達部材60を支持し、
一つの筒状の第2ハウジング部120は、第2ハウジング部120とは異なるハウジング部を介さずに、第2減速機70を支持し、
一つの筒状の第3ハウジング部130は、第3ハウジング部130とは異なるハウジング部を介さずに、第1ハウジング部110および第2ハウジング部120を支持する、ドライブユニット30。
【0183】
本発明のある実施形態によれば、動力伝達部材60を支持する第1ハウジング部110と第2減速機70を支持する第2ハウジング部120との両方を同じ一つの第3ハウジング部130で支持する。これにより、動力伝達部材60と第2減速機70との間の芯ずれを抑制することができる。芯ずれを抑制することで、動力伝達効率を向上させるとともに、騒音および振動を低減させることができる。芯ずれが小さい構造を実現することで、バックラッシュの設計値を大きくする必要が無くなり、動力伝達効率をさらに向上させるとともに、騒音および振動をさらに低減させることができる。
【0184】
[項目24]
第1ハウジング部110および第3ハウジング部130は、第1ハウジング部110の外周部111の少なくとも一部が第3ハウジング部130の内周部131の一部に嵌るインロー構造を有し、
第2ハウジング部120および第3ハウジング部130は、第2ハウジング部120の外周部121の少なくとも一部が第3ハウジング部130の内周部131の別の一部に嵌るインロー構造を有する、項目23に記載のドライブユニット30。
【0185】
第3ハウジング部130は、第1ハウジング部110および第2ハウジング部120のそれぞれとの間でインロー構造を有する。これにより、動力伝達部材60と第2減速機70との間の芯ずれを抑制することができる。
【0186】
[項目25]
動力伝達部材60の回転を第2減速機70に伝達するカップリング80をさらに備え、
第2ハウジング部120は、カップリング80を支持する、項目23または24に記載のドライブユニット30。
【0187】
第2減速機70を支持する第2ハウジング部120でカップリング80を支持することで、カップリング80を備える構成において、電動モータ40の回転軸方向D1におけるドライブユニット30のサイズを低減させることができる。
【0188】
[項目26]
第3ハウジング部130は、ペダルクランク軸35を支持する、項目23から25のいずれかに記載のドライブユニット30。
【0189】
これにより、第2減速機70とペダルクランク軸35との間の芯ずれを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明は、自転車および自転車に搭載されるドライブユニットの分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0191】
1:電動補助自転車(自転車)、 2:車体フレーム、 3:サドル、 4:ハンドル、 5:メーターユニット、 6:前輪、 7:後輪、 11:ヘッドパイプ、 12:ダウンチューブ、 13:ハンドルコラム、 14:トップチューブ、 15:フロントフォーク、 16:シートチューブ、 17:シートポスト、 18:チェーンステイ、 19:シートステイ、 20:バッテリユニット、 22:ヘッドランプ、 23:チェーン、 28:変速機、 30:ドライブユニット、 31:ハウジング、 35:ペダルクランク軸、 36:クランクアーム、 37:ペダル、 38:駆動スプロケット、 40:電動モータ、 41:ステータ、 42:ロータ、 43:出力軸、 44:回転センサ(エンコーダ)、 45:制御回路基板 50:第1減速機(遊星歯車機構)、 51:太陽歯車、 52:内歯車、 53:遊星歯車、 54:遊星キャリア、 55:出力軸(動力伝達部材のインナ部材)、 60:動力伝達部材、 61:ワンウェイクラッチ機構、 62:アウタ部材、 63:インナ部材、 70:第2減速機、 71:駆動ベベルギヤ、 72:被動ベベルギヤ、 73:回転軸、 80:カップリング、 110:第1ハウジング部、 111:外周部、 112:雄ねじ部、 113:雄ねじ部、 120:第2ハウジング部、 121:外周部、 122:雄ねじ部、 130:第3ハウジング部、 131:内周部、 132:雌ねじ部、 133:雌ねじ部、 135:カバー、 140:第4ハウジング部、 141:内周部、 142:雌ねじ部、 150:第5ハウジング部、 160:第6ハウジング部、 165:インナーカバー、 170:第7ハウジング部、 175:カバー、 211:スラストワッシャ、 212:スラストワッシャ、 213:シム、 221:ベアリング(第1ベアリング)、 222:ベアリング(第2ベアリング)、 223-228:ベアリング、 230:回転軸、 231:連結軸、 232:トルク検出装置、 240:ワンウェイクラッチ、 241:インナ部材、 242:アウタ部材、 243:ワンウェイクラッチ機構、 311:突出部、 312:突出部、 501:偏心体、 502:内ピン、 503:曲線板(遊星歯車)、 504:外ピン、 505:支持部材、 506:支持部材、 511-516:ベアリング