(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157305
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
F01P 7/00 20060101AFI20241030BHJP
B60K 11/00 20060101ALI20241030BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20241030BHJP
F01P 11/10 20060101ALI20241030BHJP
F01P 3/12 20060101ALI20241030BHJP
F01P 7/12 20060101ALI20241030BHJP
F01P 7/16 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
F01P7/00
B60K11/00
B60K1/04 Z
F01P11/10 G
F01P3/12
F01P7/12
F01P7/16 504Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071599
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】金井 一将
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D235AA01
3D235BB36
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC14
3D235FF22
3D235HH12
3D235HH31
(57)【要約】
【課題】エネルギー効率を最適化できる電子制御装置を提供すること。
【解決手段】電子制御装置は、車両の走行時に高温となる車載構成部品を冷却する冷却装置を駆動制御する。電子制御装置は、車両が走行する道路の状況を示す道路情報である勾配情報から車載構成部品の負荷状態を予測する(S20)。電子制御装置は、その予測結果が低負荷状態であるか否かを判定する(S50)。そして、電子制御装置は、現在負荷と比較して負荷予測結果が低いと判定した場合、予測結果を用いて冷却装置を駆動制御する(S60)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行時に高温となる車載構成部品を冷却する冷却装置を駆動制御する電子制御装置であって、
前記車両が走行する道路の状況を示す道路情報から、前記車載構成部品の負荷状態を予測する予測ステップ(S20~S22)と、
予測結果が低負荷状態であるか否かを判定する状態判定ステップ(S50)と、
前記状態判定ステップで前記低負荷状態と判定された場合、前記予測結果を用いて前記冷却装置を駆動制御する予測制御ステップ(S60)と、を備えている電子制御装置。
【請求項2】
前記車載構成部品の現在の温度を示すセンサ値を取得する取得ステップ(S30)と、
前記状態判定ステップで前記低負荷状態と判定されなかった場合、前記温度に応じて前記冷却装置を駆動制御する温度制御ステップ(S70)と、を備え、
前記予測制御ステップは、前記状態判定ステップで前記低負荷状態と判定された場合、前記温度制御ステップにかえて、前記予測結果を用いて前記冷却装置を駆動制御する請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記温度が温度閾値以下であるか否かを判定する温度判定ステップ(S40)を備え、
前記予測制御ステップは、前記状態判定ステップで前記低負荷状態と判定されたことに加えて、前記温度判定ステップで前記温度が前記温度閾値以下であると判定された場合、前記予測結果を用いて前記冷却装置を駆動制御する請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記予測ステップでは、前記道路情報として前記道路の勾配を示す勾配情報から、前記車載構成部品の負荷状態を予測する請求項1~3のいずれか1項に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記予測ステップでは、前記道路情報として前記道路の渋滞を示す渋滞情報から、前記車載構成部品の負荷状態を予測する請求項1~3のいずれか1項に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記予測ステップでは、前記道路情報として、前記道路の法定速度を示す法定速度情報と継続距離を示す継続距離情報とから、前記車載構成部品の負荷状態を予測する請求項1~3のいずれか1項に記載の電子制御装置。
【請求項7】
前記予測制御ステップでは、前記冷却装置を駆動停止、もしくは、前記冷却装置に対する駆動デューティを低くする請求項1~3のいずれか1項に記載の電子制御装置。
【請求項8】
前記予測制御ステップでは、前記低負荷状態の継続時間が時間閾値以上の場合に前記冷却装置を駆動停止し、前記時間閾値以上でない場合に前記冷却装置に対する前記駆動デューティを低くする請求項7に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、温度センサの検出結果に応じて、車載構成部品を冷却する冷却装置を制御する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載構成部品は、現在の温度が高温であっても、今後の走行状況によっては冷却が必要ないこともある。しかしながら、特許文献1では、温度センサの検出結果に応じて冷却装置を制御している。そのため、特許文献1では、今後の車両の走行状況によっては冷却が必要ない場合であっても冷却装置を駆動させることなる。よって、特許文献1では、エネルギー効率が最適化されていないという問題がある。
【0005】
開示される一つの目的は、エネルギー効率を最適化できる電子制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された電子制御装置は、
車両の走行時に高温となる車載構成部品を冷却する冷却装置を駆動制御する電子制御装置であって、
車両が走行する道路の状況を示す道路情報から、車載構成部品の負荷状態を予測する予測ステップ(S20~S22)と、
予測結果が低負荷状態であるか否かを判定する状態判定ステップ(S50)と、
状態判定ステップで低負荷状態と判定された場合、予測結果を用いて冷却装置を駆動制御する予測制御ステップ(S60)と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
電子制御装置は、車両が走行する道路の状況を示す道路情報から車載構成部品の負荷状態を予測するため、今後の車載構成部品の負荷状態を予測できる。その予測結果が低負荷状態の場合、今後の車載構成部品の温度は、現在の温度よりも低くなると考えられる。
【0008】
そして、電子制御装置は、予測結果が低負荷状態の場合、予測結果を用いて冷却装置を駆動制御する。つまり、電子制御装置は、車載構成部品の温度が現在の温度よりも低くなるとみなして冷却装置を駆動制御できる。そのため、電子制御装置は、現在の車載構成部品の温度に応じて冷却装置を駆動制御する場合よりもエネルギー効率を最適化できる。
【0009】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】電子制御装置の冷却制御処理を示すフローチャートである。
【
図3】電子制御装置の予測結果に応じた冷却制御処理を示すフローチャートである。
【
図4】変形例の電子制御装置の冷却制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態の電子制御装置の冷却制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】第3実施形態の電子制御装置の冷却制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、処理の一部のみを説明している場合は、処理の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0012】
(第1実施形態)
図1~
図3を用いて、本実施形態の電子制御装置10に関して説明する。電子制御装置10は、車両に搭載可能に構成されている。電子制御装置10は、車両の走行時に高温となる車載構成部品を冷却する冷却装置を駆動制御する。よって、車載構成部品は、冷却装置によって冷却される。そのため、車載構成部品は、冷却対象装置ともいえる。
【0013】
<構成>
電子制御装置10は、マイコン11を備えている。マイコン11は、CPUなどの演算処理装置、RAMやROMを含むメモリ装置、入出力インタフェースなどを備えている。演算処理装置は、メモリ装置に記憶されたプログラムを実行することで演算処理を行う。演算処理装置は、入出力インタフェースを介して取得した各種情報を用いつつ、演算処理を行う。演算処理装置は、演算結果としての制御信号を、入出力インタフェースを介して出力する。
【0014】
マイコン11は、ナビECU20、第1部品温度センサ31、第2部品温度センサ32、第3部品温度センサ33、第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ42と電気的に接続されている。なお、マイコン11は、それらの装置と直接的に接続されていてもいいし、間接的に接続されていてもよい。つまり、マイコン11は、ナビECU20、第1部品温度センサ31、第2部品温度センサ32、第3部品温度センサ33、第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ42からの各種情報を取得可能であればよい。また、マイコン11は、第1アクチュエータ41と第2アクチュエータ42に制御信号を出力可能であればよい。
【0015】
ナビECU20は、ナビゲーション機能を有する電子制御装置である。つまり、ナビECU20は、車両の現在位置と、図示しない記憶装置に格納されている道路地図データに基づき、車両周辺の地図画像をディスプレイに表示したり、ユーザによって設定された目的地までの走行経路を案内したりする。
【0016】
ナビECU20は、道路情報をマイコン11に送信する。道路情報は、車両が走行している道路の状況を示す情報である。道路情報は、道路の勾配を示す勾配情報、道路の法定速度を示す法定速度情報、その法定速度の道路の継続距離を示す継続距離情報などである。
【0017】
また、ナビECU20は、VICS(登録商標)100から配信されている、道路の渋滞を示す渋滞情報を取得する。ナビECU20は、道路情報として、取得した渋滞情報をマイコン11に送信する。渋滞情報は、渋滞が発生しているか否かの情報や、渋滞が発生している場合における渋滞の程度(渋滞度)を示す情報を含む。
【0018】
なお、本実施形態では、車両の走行道路における勾配情報をマイコン11が取得可能であればよい。車両が走行している道路は、走行道路ともいえる。走行道路は、高速道路、自動車専用道路、それ以外の一般道のいずれであってもよい。
【0019】
第1部品温度センサ31、第2部品温度センサ32、第3部品温度センサ33は、車載構成部品の温度を検出する。各部品温度センサ31~33は、異なる車載構成部品の温度を検出する。そして、各部品温度センサ31~33は、検出結果として、車載構成部品の温度を示すセンサ値をマイコン11に出力する。車載構成部品は、たとえば、モータコイル、インバータ、電池などである。本実施形態では、一例として、モータコイルの温度を検出する第1部品温度センサ31、インバータの温度を検出する第2部品温度センサ32、電池の温度を検出する第3部品温度センサ33とする。センサ値は、車載構成部品の現在の温度に相当する。
【0020】
本実施形態では、三つの部品温度センサ31~33からセンサ値を取得するマイコン11を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、少なくとも一つの部品温度センサからセンサ値を取得可能であればよい。
【0021】
第1アクチュエータ41と第2アクチュエータ42は、冷却装置に設けられている。冷却装置は、車載構成部品を冷却するための装置である。冷却装置は、たとえば、電動ウォータポンプやラジエータファンなどを含んでいる。なお、冷却装置は、冷却システムともいえる。
【0022】
本実施形態では、一例として、第1アクチュエータ41が電動ウォータポンプに設けられ、第2アクチュエータ42がラジエータファンに設けられた例を採用する。よって、冷却装置の駆動制御とは、第1アクチュエータ41の駆動制御および第2アクチュエータ42の駆動制御を含んでいる。
【0023】
マイコン11は、制御信号として、各アクチュエータ41,42に対して個別に目標駆動デューティを設定する。そして、マイコン11は、各アクチュエータ41,42に目標駆動デューティを出力することで駆動制御する。マイコン11は、車載構成部品を冷却するために各アクチュエータ41,42を駆動制御する。マイコン11は、機能の一部として、冷却制御を行う冷却制御部を備えているともいえる。目標駆動デューティは、駆動デューティに相当する。
【0024】
また、マイコン11は、各アクチュエータ41,42からフィードバックデューティを取得する。マイコン11は、フィードバックデューティと出力した目標駆動デューティに基づいて、出力した目標駆動デューティ通りに各アクチュエータ41,42が作動しているかをモニタするフィードバック制御を行う。フィードバックデューティは、各アクチュエータ41,42の動作状態を示す動作情報ともいえる。
【0025】
なお、本実施形態では、二つのアクチュエータ41,42を駆動制御する電子制御装置10を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、少なくとも一つのアクチュエータを駆動制御可能であればよい。
【0026】
<処理動作>
ここで、
図2、
図3を用いて、電子制御装置10の処理動作に関して説明する。
図2、
図3は、主に、電子制御装置10のマイコン11が行う処理である。マイコン11は、電源が供給されると、所定時間ごとに
図2のフローチャートに示す処理を実行する。また、マイコン11は、所定の実行タイミングで
図2のフローチャートに示す処理を実行するともいえる。
【0027】
ステップS10では、走行道路の勾配情報を取得する。マイコン11は、所定時間ごとに走行道路の勾配情報を取得する。マイコン11は、たとえば、走行道路における車両の現在位置から次の交差点までの区間における勾配情報や現在位置から予め決められた所定区間の勾配情報を取得する。これらの区間は、負荷状態を予測する予測区間ともいえる。
【0028】
なお、車両は、交差点などで右左折したり、一般道から高速道路へと走行したりすることもある。よって、右左折の前後などで車両の走行道路はかわる。この場合、マイコン11は、前回の実行タイミングと今回の実行タイミングで異なる勾配情報を取得することになる。
【0029】
ステップS20では、勾配情報より車載構成部品の負荷状態を予測する(予測ステップ)。ここでは、マイコン11は、負荷状態が低負荷状態であるか高負荷状態であるかを予測する。マイコン11は、ステップS20での負荷予測結果をメモリ装置や、演算処理装置内のレジスタなどに記憶しておく。負荷予測結果は、負荷状態の予測結果である。
【0030】
マイコン11は、今後の車載構成部品の温度推移を把握するために負荷状態を予測する。また、マイコン11は、今後の車載構成部品の負荷状態を予測するともいえる。なお、走行道路の勾配情報は、車両の走行状況とみなすこともできる。そのため、マイコン11は、車両の走行状況から車載構成部品の負荷状態を予測するともいえる。
【0031】
マイコン11は、たとえば、勾配情報が示す勾配が勾配閾値を超える場合に高負荷状態と予測し、勾配情報が示す勾配が勾配閾値以下の場合に低負荷状態と予測する。勾配閾値は、たとえば、下り坂を示す値などを採用できる。よって、マイコン11は、勾配情報が示す勾配が勾配閾値以下の場合、下り坂が継続するとみなして低負荷状態と予測するともいえる。勾配閾値は、予め設定されメモリ装置に記憶される。
【0032】
低負荷状態とは、冷却装置を一時的に停止、もしくは目標駆動デューティを低デューティにしてもよいとみなせる程度の負荷状態である。また、低負荷状態は、今後の車載構成部品の温度が現在の温度よりも低くなると考えられる負荷状態ともいえる。さらに、低負荷状態は、今後、車載構成部品が冷却が必要な程度の高温になる見込みがない程度の負荷状態ともいえる。
【0033】
マイコン11は、道路情報の一例である勾配情報から車載構成部品の負荷状態を予測することで、ナビECU20で目的地までの走行経路が設定されていなくても負荷状態を予測できる。しかしながら、マイコン11は、ナビECU20で目的地までの走行経路が設定されている場合であっても勾配情報から負荷状態を予測してもよい。この場合、マイコン11は、勾配情報として、ナビECU20から走行経路における現在位置から目的地までの勾配情報を取得する。つまり、マイコン11は、走行道路に加えて走行予定の道路の勾配情報を取得することもある。そして、マイコン11は、その勾配情報を用いて負荷状態を予測してもよい。また、マイコン11は、取得した勾配情報を予測区間で区切って、負荷状態を予測してもよい。これによって、マイコン11は、負荷状態を正確に予測できる。
【0034】
なお、本実施形態では、道路情報として勾配情報を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。本開示は、道路情報から車載構成部品の負荷状態を予測するものであれば採用できる。
【0035】
ステップS30では、部品温度センサ31~33のセンサ値を取得する(取得ステップ)。マイコン11は、車載構成部品の現在の温度を示すセンサ値を取得する。
【0036】
ステップS40では、センサ値≦温度閾値であるか否かを判定する(温度判定ステップ)。マイコン11は、センサ値≦温度閾値と判定するとステップS50へ進み、センサ値≦温度閾値と判定しないとステップS70へ進む。なお、マイコン11は、少なくとも一つのセンサ値が温度閾値を超えていると判定した場合、ステップS70へ進むと好ましい。
【0037】
温度閾値は、車載構成部品の保護のために冷却が必要とみなせる温度である。温度閾値は、予め設定されメモリ装置に記憶される。
【0038】
ステップS50では、現在負荷と比較して負荷予測結果が低いか否かを判定する(状態判定ステップ)。マイコン11は、ステップS20での負荷予測結果が低負荷状態であった場合、負荷予測結果は低いと判定してステップS60へ進む。また、マイコン11は、ステップS20での負荷予測結果が高負荷状態であった場合、負荷予測結果は低いと判定せずステップS70へ進む。
【0039】
ステップS70では、センサ値に応じた冷却装置の駆動制御を行う(温度制御ステップ)。マイコン11は、低負荷状態と判定されない場合やセンサ値が温度閾値を超えている場合、センサ値に応じて冷却装置を駆動制御する。つまり、マイコン11は、センサ値に応じて目標駆動デューティを設定する。そして、マイコン11は、各アクチュエータ41,42に目標駆動デューティを出力することで冷却装置を駆動制御する。よって、マイコン11は、車載構成部品を冷却することができる。また、マイコン11は、車載構成部品を熱から保護することができる。つまり、マイコン11は、車載構成部品が高温状態となり不具合が生じることを抑制できるともいえる。センサ値に応じた冷却装置の駆動制御は、センサ値に応じた冷却制御処理といえる。
【0040】
なお、マイコン11は、ステップS40よりも先にステップS50を実行してもよい。しかしながら、マイコン11は、ステップS40を先に実行することで、センサ値が温度閾値を超えている場合に、ステップS50を実行することなくステップS70を実行できる。そのため、マイコン11は、車載構成部品に不具合が生じることを確実に抑制できる。また、マイコン11は、センサ値が温度閾値を超えている場合に、処理負荷を低減できる。
【0041】
ステップS60では、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行う(予測制御ステップ)。マイコン11は、低負荷状態と判定された場合、負荷予測結果を用いて冷却装置を駆動制御する。つまり、マイコン11は、低負荷状態と判定された場合、温度制御ステップにかえて、負荷予測結果に応じて冷却装置を駆動制御する。上記のように、低負荷状態は、今後の車載構成部品の温度が現在の温度よりも低くなると考えられる。そのため、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御では、センサ値に応じた冷却装置の駆動制御よりも、車載構成部品の温度を低下させる必要がない。なお、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御は、負荷予測結果に応じた冷却制御処理といえる。
【0042】
ここで、
図3を用いて、負荷予測結果に応じた冷却制御処理に関して説明する。なお、負荷予測結果に応じた冷却制御処理は、後ほど説明する変形例や他の実施形態でも同様である。
【0043】
ステップS61では、低負荷状態の継続時間≧時間閾値であるか否かを判定する。継続時間は、低負荷状態が継続する予測時間である。マイコン11は、ナビECU100からの勾配情報、道路地図データなどに基づいて、低負荷状態の継続時間を予測する。たとえば、マイコン11は、低負荷状態と予測される勾配情報である走行道路の距離から低負荷状態の継続時間を予測する。
【0044】
そして、マイコン11は、継続時間≧時間閾値と判定するとステップS62へ進み、継続時間≧時間閾値と判定しないとステップS63へ進む。つまり、マイコン11は、低負荷状態の継続時間が一定時間以上の場合はステップS62へ進み、低負荷状態の継続時間が一定時間より短い場合はステップS63へ進む。
【0045】
時間閾値は、たとえば、冷却装置を一時的に停止させた方がエネルギー効率を向上できる、とみなせる時間などを採用できる。時間閾値は、予め設定されメモリ装置に記憶される。
【0046】
なお、継続時間の予測は、上記に限定されない。また、マイコン11は、ステップS50でのYES判定が連続する場合、YES判定の回数(低負荷回数)によって、ステップS62とステップS63を切り換えてもよい。この場合、マイコン11は、低負荷回数が所定回数までの間はステップS63を実行し、低負荷回数が所定回数を超えるとステップS62を実行する。
【0047】
ステップS62では、冷却装置を一時停止する。マイコン11は、目標駆動デューティの出力を停止することで、冷却装置の駆動を一時的に停止する。なお、停止する期間は、予め決められた期間であってもよいし、ステップS40またはステップS50でNO判定となるまでの期間であってもよい。
【0048】
ステップS63では、冷却装置に低デューティ駆動する。マイコン11は、冷却装置に対する目標駆動デューティを低くして低デューティ駆動する。マイコン11は、現在の目標駆動デューティよりも低い目標駆動デューティを出力することで低デューティ駆動する。また、マイコン11は、目標駆動デューティとして、予め設定された低駆動デューティを出力して低デューティ駆動してもよい。低駆動デューティは、たとえば、センサ値に応じた冷却制御処理では用いられることがない程度のデューティなどである。
【0049】
マイコン11は、低負荷状態の継続時間によって、駆動停止と低デューティ駆動とを切り換えることで、低負荷状態であっても車載構成部品の状態に適した冷却制御処理が可能となる。そのため、マイコン11は、エネルギー効率の最適化と車載構成部品の保護を両立できる。また、マイコン11は、継続時間≧時間閾値と判定すると冷却装置の駆動を一時的に停止するためエネルギー効率をより一層向上できる。
【0050】
なお、本開示は、これに限定されない。本開示は、負荷予測結果に応じた冷却制御処理として、冷却装置を駆動停止、もしくは、冷却装置に対する駆動デューティを低くするものであれば採用できる(予測制御ステップ)。つまり、マイコン11は、負荷予測結果に応じた冷却制御処理として、駆動停止と低デューティ駆動のいずれか一方が予め決められていてもよい。
【0051】
<効果>
電子制御装置10は、車両が走行する道路の状況を示す道路情報から車載構成部品の負荷状態を予測するため、今後の車載構成部品の負荷状態を予測できる。その負荷予測結果が低負荷状態の場合、今後の車載構成部品の温度は、現在の温度よりも低くなると考えられる。
【0052】
そして、電子制御装置10は、負荷予測結果が低負荷の場合、負荷予測結果を用いて冷却装置を駆動制御する。つまり、電子制御装置10は、車載構成部品の温度が現在の温度よりも低くなるとみなして冷却装置を駆動制御できる。そのため、電子制御装置10は、現在の車載構成部品の温度に応じて冷却装置を駆動制御する場合よりもエネルギー効率を最適化できる。
【0053】
また、本実施形態では、ステップS50で低負荷状態と判定されたことに加えて、ステップS40でセンサ値が温度閾値以下であると判定された場合に、ステップS60を実行する例を採用している。これによって、電子制御装置10は、エネルギー効率の最適化に加え、車載構成部品の保護が可能となる。
【0054】
しかしながら、本開示は、これに限定されない。
図4の変形例に示すように、マイコン11は、ステップS30の次にステップS50を実行してもよい。つまり、本開示は、ステップS40を省略してもよい。これによっても、電子制御装置10は、同様の効果を奏することができる。
【0055】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2実施形態、第3実施形態に関して説明する。上記実施形態、第2実施形態、および第3実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0056】
(第2実施形態)
図5を用いて、第2実施形態の電子制御装置10に関して説明する。以下では、主に、上記実施形態と異なる箇所を説明する。本実施形態は、負荷状態を予測するための道路情報が上記実施形態と異なる。電子制御装置10の構成は、上記実施形態と同様である。また、
図5では、
図2と同じ処理に同じステップ番号を付与している。
【0057】
ステップS11では、走行道路の渋滞情報を取得する。マイコン11は、所定時間ごとに走行道路の渋滞情報を取得する。マイコン11は、上記と同様の区間における渋滞情報を取得する。また、上記のように、マイコン11は、前回の実行タイミングと今回の実行タイミングで異なる渋滞情報を取得することもある。なお、本実施形態では、車両の走行道路における渋滞情報をマイコン11が取得可能であればよい。
【0058】
ステップS21では、渋滞情報より車載構成部品の負荷状態を予測する(予測ステップ)。このように、マイコン11は、勾配情報にかえて渋滞情報によって負荷状態を予測する。なお、走行道路の渋滞情報は、車両の走行状況とみなすこともできる。
【0059】
マイコン11は、たとえば、渋滞情報が渋滞していないことを示す場合に高負荷状態と予測し、渋滞情報が渋滞していることを示す場合に低負荷状態と予測する。よって、マイコン11は、渋滞情報が渋滞していることを示す場合、渋滞が所定区間継続しているとみなして低負荷状態と予測するともいえる。
【0060】
なお、マイコン11は、渋滞情報が示す渋滞度によって負荷状態を予測してもよい。この場合、マイコン11は、渋滞度が渋滞閾値以下の場合、車両が低速走行にならないとみなして高負荷状態と予測し、渋滞度が渋滞閾値を超える場合、車両が低速走行になるとみなして低負荷状態と予測する。渋滞閾値は、予め設定されメモリ装置に記憶される。本実施形態の電子制御装置10は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
マイコン11は、ナビECU20で目的地までの走行経路が設定されている場合であっても渋滞情報から負荷状態を予測してもよい。この場合、マイコン11は、渋滞情報として、ナビECU20から走行経路における現在位置から目的地までの渋滞情報を取得する。つまり、マイコン11は、走行道路に加えて走行予定の道路の渋滞情報を取得することもある。そして、マイコン11は、その渋滞情報を用いて負荷状態を予測してもよい。また、マイコン11は、取得した渋滞情報を予測区間で区切って、負荷状態を予測してもよい。これによって、マイコン11は、負荷状態を正確に予測できる。
【0062】
なお、第2実施形態は、第1実施形態と組み合わせて実施することもできる。つまり、マイコン11は、勾配情報と渋滞情報の両方を用いて負荷状態を予測してもよい。組み合わせて実施する場合の一例を以下に示す。
【0063】
たとえば、マイコン11は、渋滞情報による負荷予測結果と勾配情報による負荷予測結果の両方が低負荷の場合に限って、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行ってもよい。これによって、マイコン11は、誤って、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行うことを抑制できる。そのため、マイコン11は、車載構成部品を確実に保護できる。
【0064】
また、マイコン11は、渋滞情報による負荷予測結果と勾配情報による負荷予測結果のいずれか一方が低負荷の場合に、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行ってもよい。これによって、マイコン11は、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行う機会を増やすことができる。そのため、マイコン11は、エネルギー効率をより一層向上できる。
【0065】
(第3実施形態)
図6を用いて、第3実施形態の電子制御装置10に関して説明する。以下では、主に、上記実施形態と異なる箇所を説明する。本実施形態は、負荷状態を予測するための道路情報が上記実施形態と異なる。電子制御装置10の構成は、上記実施形態と同様である。また、
図6では、
図2と同じ処理に同じステップ番号を付与している。
【0066】
ステップS12aでは、走行道路の法定速度情報を取得する。マイコン11は、所定時間ごとに走行道路の法定速度情報を取得する。ステップS12bでは、法定速度情報の道路の継続距離情報を取得する。つまり、マイコン11は、その法定速度の道路の継続距離情報を所定時間ごとに取得する。
【0067】
マイコン11は、上記と同様の区間における法定速度情報と継続距離情報を取得する。また、上記のように、マイコン11は、前回の実行タイミングと今回の実行タイミングで異なる法定速度情報と継続距離情報を取得することもある。なお、本実施形態では、車両の走行道路における法定速度情報と継続距離情報をマイコン11が取得可能であればよい。
【0068】
ステップS22では、法定速度情報と継続距離情報により車載構成部品の負荷状態を予測する(予測ステップ)。このように、マイコン11は、勾配情報にかえて法定速度情報と継続距離情報によって負荷状態を予測する。
【0069】
マイコン11は、たとえば、法定速度情報が示す速度が速度閾値を超えており、かつ、継続距離情報が示す距離が距離閾値を超えている場合に高負荷状態と予測する。一方、マイコン11は、たとえば、法定速度情報が示す速度が速度閾値以下であり、かつ、継続距離情報が示す距離が距離閾値以下の場合に低負荷状態と予測する。なお、速度閾値と距離閾値は、予め設定されメモリ装置に記憶される。本実施形態の電子制御装置10は、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0070】
マイコン11は、ナビECU20で目的地までの走行経路が設定されている場合であっても法定速度情報と継続距離情報から負荷状態を予測してもよい。この場合、マイコン11は、法定速度情報と継続距離情報として、ナビECU20から走行経路における現在位置から目的地までの法定速度情報と継続距離情報を取得する。つまり、マイコン11は、走行道路に加えて走行予定の道路の法定速度情報と継続距離情報を取得することもある。そして、マイコン11は、その法定速度情報と継続距離情報を用いて負荷状態を予測してもよい。また、マイコン11は、取得した法定速度情報と継続距離情報を予測区間で区切って、負荷状態を予測してもよい。これによって、マイコン11は、負荷状態を正確に予測できる。
【0071】
なお、第3実施形態は、第1実施形態や第2実施形態と組み合わせて実施することもできる。つまり、マイコン11は、法定速度情報および継続距離情報に加えて、勾配情報と渋滞情報の少なくとも一方を用いて負荷状態を予測してもよい。組み合わせて実施する場合の一例を以下に示す。
【0072】
たとえば、マイコン11は、勾配情報と、渋滞情報と、法定速度情報および継続距離情報のそれぞれによる負荷予測結果のすべてが低負荷の場合に限って、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行ってもよい。これによって、マイコン11は、誤って、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行うことを抑制できる。そのため、マイコン11は、車載構成部品を確実に保護できる。
【0073】
また、マイコン11は、勾配情報と、渋滞情報と、法定速度情報および継続距離情報それぞれによる負荷予測結果のいずれか一つが低負荷の場合に、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行ってもよい。これによって、マイコン11は、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行う機会を増やすことができる。そのため、マイコン11は、エネルギー効率をより一層向上できる。
【0074】
たとえば、マイコン11は、渋滞情報による負荷予測結果と勾配情報による負荷予測結果の両方が低負荷の場合に限って、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行ってもよい。これによって、マイコン11は、誤って、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行うことを抑制できる。そのため、マイコン11は、車載構成部品を確実に保護できる。
【0075】
また、マイコン11は、渋滞情報による負荷予測結果と勾配情報による負荷予測結果のいずれか一方が低負荷の場合に、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行ってもよい。これによって、マイコン11は、負荷予測結果に応じた冷却装置の駆動制御を行う機会を増やすことができる。そのため、マイコン11は、エネルギー効率をより一層向上できる。
【0076】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0077】
10…電子制御装置、11…マイコン、20…ナビECU、31…第1温度センサ、32…第2温度センサ、33…第3温度センサ、41…第1アクチュエータ、42…第2アクチュエータ、100…VICS