(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157317
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 15/16 20060101AFI20241030BHJP
B65H 23/16 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B41J15/16
B65H23/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071613
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二橋 清剛
【テーマコード(参考)】
2C060
3F104
【Fターム(参考)】
2C060BC03
2C060BC14
2C060BC23
2C060BC24
2C060BC52
2C060BC71
2C060CB31
3F104AA01
3F104EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ダンパーによるラベル用紙の剥がれを防止することができる技術を提供する。
【解決手段】印字ヘッドにより連続用紙に画像を形成するプリンタであって、連続用紙が巻回されたロールから、ロールから巻き解かれた連続用紙を搬送する送りローラへの搬送経路において、連続用紙に向かって所定距離移動して連続用紙に張力を付与するように付勢されるダンパー15と、ダンパー15の移動距離を制限しない非制限状態と、前記連続用紙に張力を付与しないようにダンパー15の移動距離を制限する制限状態とに切り換え可能に構成されたリミッター16とを備えた。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字ヘッドにより連続用紙に画像を形成するプリンタであって、
前記連続用紙が巻回されたロールから、前記ロールから巻き解かれた前記連続用紙を搬送する送りローラへの搬送経路において、前記連続用紙に向かって所定距離移動して前記連続用紙に張力を付与するように付勢されるダンパーと、
前記ダンパーの移動距離を制限しない非制限状態と、前記連続用紙に張力を付与しないように前記ダンパーの移動距離を制限する制限状態とに切り換え可能に構成されたリミッターと
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記連続用紙として台紙にラベルが貼着されたラベル用紙が用いられる場合、前記ダンパーを制限状態に切り替えるように前記リミッターを駆動制御するプロセッサーを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ライナレスラベルプリンタには、ダンパーが装備されている。ライナレスラベル用紙は、ロール紙から巻き解かれることによって供給されるが、ロール紙からの引き剥がしに大きな力を要する。ロール紙から巻き解かれた用紙に張力を付与するダンバーによれば、印字ヘッドに適切に用紙が送られないことによる印字不良の発生が防止される。また、ダンパー機構は、イナーシャによって巻き解きに大きな力を要する径が大きいロール紙が用いられる場合にも有効である。
【0003】
このようなダンパー機構が装備されたプリンタで台紙にラベルが貼着されたラベル用紙が用いられた場合、ラベル剥がれが発生する。ラベル用紙を切断するカッターは印字ヘッドよりも用紙の搬送方向の下流側にある。そのため、カッターと印字ヘッドとの距離が大きい場合、印字されたラベルとこのラベルに隣接するラベルとの間でラベル用紙が切断された後に隣接するラベルを印字可能な位置まで戻す必要がある。この際、用紙におけるダンパーに湾曲された箇所でラベルが剥がれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、ダンパーによるラベル用紙の剥がれを防止することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、印字ヘッドにより連続用紙に画像を形成するプリンタであって、前記連続用紙が巻回されたロールから、前記ロールから巻き解かれた前記連続用紙を搬送する送りローラへの搬送経路において、前記連続用紙に向かって所定距離移動して前記連続用紙に張力を付与するように付勢されるダンパーと、前記ダンパーの移動距離を制限しない非制限状態と、前記連続用紙に張力を付与しないように前記ダンパーの移動距離を制限する制限状態とに切り換え可能に構成されたリミッターとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係るロール紙を収容するプリンタを示す概略斜視図である。
【
図2】実施形態に係るプリンタの内部構成を示す概略側面図である。
【
図3】実施形態に係るダンパーの構成を示す上方斜視図である。
【
図4】実施形態に係るダンパーの構成を示す下方斜視図である。
【
図5】実施形態に係る付勢されるダンパーを示す概略側面図である。
【
図6】実施形態に係る制限状態にあるダンパーを示す斜視図である。
【
図7】実施形態に係る制限状態にあるダンパーを示す側断面図である。
【
図8】実施形態に係る非制限状態にあるダンパーにより張力が付与されるラベル用紙を示す概略図である。
【
図9】実施形態に係る制限状態にあるダンパーにより張力が付与されないラベル用紙を示す概略図である。
【
図10】実施形態に係るプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図11】実施形態に係る状態切替処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。各図において、同一構成については同一の符号が付される。
【0009】
(プリンタの構成)
本実施形態に係るプリンタの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るロール紙を収容するプリンタを示す概略斜視図である。
図2は、本実施形態に係るプリンタの内部構成を示す概略側面図である。
【0010】
図1、
図2に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、サーマルプリンタとして構成され、筐体10、印字ヘッド11、プラテンローラ12、カッター13、補助ローラ14、ダンパー15、リミッター16(
図6、
図7参照)を備える。
【0011】
筐体10は、上述の構成要素とロール紙Rを収容する収容空間を画成する略箱状に形成され、上面一部に印字した用紙を排出するための排出口101が形成される。ロール紙Rは、複数のラベルLが間隔を空けて連続的に貼着された連続用紙である台紙Sが不図示のコアに巻回されたものである。ラベルLは、一面に粘着剤が塗布された感熱紙である。以降の説明において、ラベルLが貼着された側を台紙Sの表面、その裏側を台紙Sの裏面と称する。
【0012】
印字ヘッド11は、排出口101の近傍に設けられ、ラベルLの幅方向に隣接する複数の発熱素子を有する。複数の発熱素子は、入力されたパルス波に応じて発熱し、これによって、印字ヘッド11はラベルLに画像を形成する。プラテンローラ12は、台紙Sの裏面側からラベルLを印字ヘッド11に圧着するように設けられる送りローラである。プラテンローラ12は、回転駆動されることによって、ロール紙Rから巻き解かれた台紙Sを排出口101から排出するように搬送する。
【0013】
カッター13は、印字ヘッド11よりも排出口101の近傍、即ち、印字ヘッド11よりも搬送方向下流側に設けられる。カッター13は、印字ヘッド11により印字されたラベルLとこのラベルLと連続するラベルLとの間で台紙Sを切断する。ダンパー15は、台紙Sの搬送方向においてロール紙Rとプラテンローラ12との間に設けられる。ダンパー15は、表面側から台紙Sを押圧することにより、ロール紙Rとプラテンローラ12との間にある台紙Sに張力を付与する。なお、ダンパー15については、リミッター16とともに後に詳述する。
【0014】
補助ローラ14は、ダンパー15による台紙Sの押圧位置とプラテンローラ12との間に設けられる。補助ローラ14は、ダンパー15により押圧された台紙Sの裏面側に当接し、ダンパー15による張力の付与を補助する。
【0015】
(ダンパー及びリミッターの構成)
本実施形態に係るダンパー及びリミッターの構成について説明する。
図3、
図4は、それぞれ、本実施形態に係るダンパーの構成を示す上方斜視図、下方斜視図である。
図5は、本実施形態に係る付勢されるダンパーを示す概略側面図である。
図6、
図7は、それぞれ、本実施形態に係る制限状態にあるダンパーを示す斜視図、側断面図である。
図8は、本実施形態に係る非制限状態にあるダンパーにより張力が付与されるラベル用紙を示す概略図である。
図9は、本実施形態に係る制限状態にあるダンパーにより張力が付与されないラベル用紙を示す概略図である。なお、説明上、
図5においてはリミッターが省略され、
図7においてはレバーが省略される。
【0016】
図3、
図4に示すように、ダンパー15は、本体部150と、2つのローラ群151と、2つのレバー152とを備える。本体部150は、台紙Sの幅に対応して幅広に形成された略板状の部材である。2つのローラ群151は、本体部150の幅方向に直交する直交方向の一端部において幅方向に離間して設けられる。2つのローラ群151は、それぞれ、複数のローラを有する。
【0017】
2つのレバー152は、本体部150の他端部において幅方向に離間して設けられる。
図5に示すように、本体部150は、筐体10の収容空間を成す底面壁に対して、一端部近傍を回転軸C周りに揺動可能に設けられる。2つのレバー152は、本体部150が筐体10内に取り付けられた状態において筐体10の収容空間を画成する底面壁を貫通する。底面壁の裏面側、即ち、収容空間を画成する面とは逆側の面には、2つのレバー152のそれぞれに対応する2つの取付部158が設けられる。
【0018】
2つのレバー152とこれらに対応する2つの取付部158は、それぞれ、引っ張りばね159により連結される。これによって、ダンパー15は、
図5中時計周りに揺動するように常時付勢され、補助ローラ14とロール紙Rとの間で台紙Sを押圧する。この際、台紙Sの表面には2つのローラ群151が当接し、これによって、ダンパー15と台紙Sとに生じる摩擦が軽減される。
【0019】
図3,4,6,7に示すように、リミッター16は、被係止部160と、係止部161とにより構成される。被係止部160は、ダンパー15の本体部150における直交方向一端部において2つのローラ群151の間に設けられる。被係止部160は、ダンパー15が付勢方向に揺動される際に係止部161がダンパー15を係止可能に形成された段部である。
【0020】
図6、
図7に示すように、係止部161は、幅方向に対向する2つの溝として形成された案内部162によって、回転軸Cの径方向に移動可能に案内される略板状の部材である。係止部161は、案内部162に対してダンパー15の付勢方向側に位置付けられるように回転軸C側に向かって突出すると被係止部160を係止する。この際、ダンパー15は、ダンパー15が台紙Sを押圧しないように付勢による揺動距離が制限される制限状態となる。一方、係止部161が案内部162内に収納されて被係止部160を係止しない場合、ダンパー15は付勢による揺動距離が制限されない非制限状態となる。
【0021】
図8に示すように、ダンパー15が非制限状態にある場合にプラテンローラ12により台紙Sが印字ヘッド11とは逆向きに移動されると、ダンパー15による押圧箇所近傍でラベルLが剥がれることとなる。一方、
図9に示すように、ダンパー15が制限状態にある場合に台紙Sが逆向きに移動されると、ダンパー15が台紙Sに対して張力を付与しないため、ラベルLの剥がれが防止される。
【0022】
(制御系の構成及び動作)
本実施形態に係るプリンタの制御系の構成及び動作について説明する。
図10は、本実施形態に係るプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【0023】
図10に示すように、プリンタ1は、更に、MPU(Micro Processor Unit)22、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23、通信I/F(InterFace)24、プラテンモータ31、ソレノイド32を備える。
【0024】
プラテンモータ31は、プラテンローラ12を回転駆動する。ソレノイド32は、係止部161を突出/収納するように直線移動させる。
【0025】
通信I/F24は、プリンタ1の上位装置との通信を行う。MPU21は、RAM22と協働して、印字ヘッド11、プラテンモータ31を制御し、上位装置から受信した画像をラベルLに形成する。更に、MPU21は、プリンタ1をライナレスラベル印字モードまたはラベル印字モードに設定し、後述する状態切替処理を実行する。ROM23は、MPU21による処理に用いられるプログラム及びデータを記憶する。
【0026】
(状態切替処理)
状態切替処理の動作について説明する。
図11は、本実施形態に係る状態切替処理の動作を示すフローチャートである。なお、
図11に示す動作は、所定の周期毎に実行されるものとする。
【0027】
図11に示すように、MPU21は、プリンタ1において印字モードの変更がなされた否かを判定する(S101)。印字モードの変更がなされた場合(S101,YES)、ラベル印字モードに変更されたか否かを判定する(S102)。一方、印字モードの変更がなされない場合(S101,NO)、MPU21は、状態切替処理を終了する。
【0028】
ラベル印字モードに変更された場合(S102,YES)、MPU21は、係止部161を突出させるようにソレノイド32を制御してダンパー15を制限状態とし(S103)、状態切替処理を終了する。
【0029】
一方、ラベル印字モードに変更されない場合、即ち、ライナレスラベル印字モードに変更された場合(S102,NO)、MPU21は、係止部161が収納されるようにソレノイド32を制御してダンパー15を非制限状態とし(S104)、状態切替処理を終了する。
【0030】
このように、台紙Sに張力が付与されないように付勢力に抗してダンパー15を係止することによって、ダンパー15によるラベルLの剥がれを防止することができる。なお、上述した実施形態において、係止部161がソレノイド32により移動されるものとしたが、係止部161は、プリンタ1のユーザにより手動で移動されるように構成されても良い。また、プリンタ1は感熱式により印字を行うものとしたが、他の方式により印字を行うものであっても良い。また、ダンパー15は、揺動するものに限らず、例えば、先端部を直線的に移動させて台紙Sに張力を付与するものであっても良い。
【0031】
発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 プリンタ
15 ダンパー
16 リミッター