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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157330
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/78 20060101AFI20241030BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
G06F15/78 517
G06F15/78 520
B60R16/02 660K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071629
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 章克
(72)【発明者】
【氏名】清水 信寿
(72)【発明者】
【氏名】中村 充
【テーマコード(参考)】
5B062
【Fターム(参考)】
5B062HH04
(57)【要約】
【課題】体格の大型化を抑制する電子制御装置を提供する。
【解決手段】ECU10は、対象に対して処理を行うSoC30と、所定の通信規格を用いて通信装置9と通信することによりSoC30を起動させる信号Sw_comを取得するとき、SoC30を起動させる信号Smを出力する通信ドライバ20と、外部ECU7からのSoC30を起動させる信号Sw_trおよび通信ドライバ20からのSoC30を起動させる信号Smのどちらかを取得するとき、電源電圧Vbに応じた電圧をSoC30に印加することにより、SoC30を起動させる第1変換部41と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に対して処理を行う処理部(30)と、
所定の通信規格を用いて通信装置(9)と通信することにより前記処理部を起動させる信号(Sw_com)を取得するとき、前記処理部を起動させる信号(Sm)を出力する通信部(20)と、
外部装置(7)からの前記処理部を起動させる信号(Sw_tr)および前記通信部からの前記処理部を起動させる信号(Sm)のどちらかを取得するとき、電源電圧(Vb)に応じた電圧を前記処理部に印加することにより、前記処理部を起動させる電圧制御部(41)と、
を備える電子制御装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記外部装置からの前記処理部を起動させる信号(Sw_tr)により起動するとき、前記電源電圧に応じた電圧を前記処理部に印加させる信号(Sm)を、前記通信部から前記電圧制御部に出力させる請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記電源電圧に応じた電圧を前記処理部に印加させる信号(Sm)が前記通信部から前記電圧制御部に出力されているとき、前記外部装置からの前記処理部を起動させる信号(Sw_tr)の出力を停止させる請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記電源電圧に応じた電圧を前記処理部に印加させる信号(Sm)の出力を停止させることにより、停止する請求項3に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記通信装置から前記通信部を介して前記処理部に関するアップデート情報を取得し、取得した前記アップデート情報に基づいて、前記処理部のアップデートを行い、
前記処理部のアップデートが完了した後、停止する請求項4に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、通信ドライバと、通信起動検出回路と、ラッチ回路と、ORゲートと、レギュレータと、マイコンと、電源ICの半導体基板と、を備える電子制御装置が知られている。通信ドライバは、CANを用いて、通信バス線を介して信号を受信すると、受信データをマイコンに送信する。また、マイコンが送信データを通信ドライバに出力すると、通信ドライバは、CANを用いて、送信データに応じたドミナント信号を通信バス線に出力する。通信起動検出回路は、通信バス線にドミナント信号が出力されたことを検出すると、通信開始信号をラッチ回路、ORゲートを介すことで電源立上げ許可信号としてレギュレータに出力する。レギュレータは、ORゲートを介して与えられる信号がハイレベルの場合に動作して、マイコンに電源の電圧を供給する。また、電源ICの半導体基板上には、レギュレータ、通信ドライバ、通信起動検出回路、ラッチ回路が搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5195943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、特許文献1に記載された構成では、通信ドライバ、通信起動検出回路、ラッチ回路等がそれぞれ別体となっていることから、電源ICの半導体基板の体格が比較的大きくなる。このため、電子制御装置の体格が大型化する。
【0005】
本開示は、体格の大型化を抑制する電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、対象に対して処理を行う処理部(30)と、所定の通信規格を用いて通信装置(9)と通信することにより処理部を起動させる信号(Sw_com)を取得するとき、処理部を起動させる信号(Sm)を出力する通信部(20)と、外部装置(7)からの処理部を起動させる信号(Sw_tr)および通信部からの処理部を起動させる信号(Sm)のどちらかを取得するとき、電源電圧(Vb)に応じた電圧を処理部に印加することにより、処理部を起動させる電圧制御部(41)と、を備える電子制御装置である。
【0007】
これにより、通信部は、通信装置と通信する機能および処理部を起動させる信号を出力する機能の両方を有する。このため、通信機能および起動信号出力機能を有するものが、別体となっていないで、一体となっている。したがって、電子制御装置の体格の大型化が抑制される。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の電子制御装置が用いられるシステムの構成図。
図2】通常の場合におけるシステムの外部ECUにより電子制御装置のSoCが起動した後の処理を示すフローチャート。
図3】通常の場合における外部ECUによるSoCの停止を示すフローチャート
図4】OTAリプログラミングを行うため外部ECUによりSoCが起動した後の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0011】
本実施形態の電子制御装置は、体格の大型化を抑制するところ、例えば、車両に搭載されるシステムに用いられる。まず、このシステムについて説明する。
【0012】
図1に示すように、システム1は、電源5、外部ECU7、通信装置9および本実施形態の電子制御装置に相当するECU10を備える。なお、ECUは、Electronic Control Unitの略である。
【0013】
電源5は、後述のECU10の外部に配置されているとともに、ECU10と接続されている。また、電源5は、ECU10に電圧を印加する。外部ECU7は、ECU10の外部に配置されているとともに、ECU10と接続されている。通信装置9は、ECU10の外部に配置されているとともに、ECU10と接続されている。さらに、通信装置9は、後述するように、ECU10と通信する。
【0014】
ECU10は、外部ECU7または通信装置9からの信号に応じて、電源5からの電圧によって起動する。また、ECU10は、起動後、対象に対して処理を行う。例えば、ECU10は、図示しない車載カメラによって撮像された画像に対して画像処理を行う。さらに、ECU10は、自身のアップデートや自身の停止を行う。
【0015】
以上のように、システム1は、構成されている。次に、ECU10の詳細について説明する。
【0016】
ECU10は、通信ドライバ20、SoC30、第1変換部41、第2変換部42、デジタルトランジスタ45、ドライバ用電源50、通信線55、第1配線61、第2配線62および第3配線63を備える。また、ECU10は、電源側ダイオード70、電源側ツェナーダイオード72、電源側グラウンド74、外部ECU側第1ダイオード81、外部ECU側第2ダイオード82およびドライバ側ダイオード83を備える。さらに、ECU10は、トランジスタ用電源85、トランジスタ用グラウンド87、外部ECU側ツェナーダイオード90および外部ECU側グラウンド92を備える。
【0017】
通信ドライバ20は、通信回路や信号入出力回路等を有しており、ドライバ用電源50からの電圧によって駆動する。また、通信ドライバ20は、通信線55を介して通信装置9と接続されている。さらに、通信ドライバ20は、CANやLIN等の所定の通信規格を用いて、通信装置9と通信する。なお、CANは、Controller Area Networkの略である。LINは、Local Interconnect Networkの略である。また、ここでは、通信ドライバ20は、通信装置9と有線通信するところ、これに限定されない。通信ドライバ20は、通信装置9と無線通信してもよい。
【0018】
SoC30は、マイコン等を主体として構成されており、チップ上に、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。さらに、SoC30には、第1配線61、第2配線62および第3配線63が並列接続されている。また、SoC30は、第1配線61、第2配線62および第3配線63を介して通信ドライバ20と接続されている。さらに、SoC30は、外部ECU7または通信装置9からの信号により、電源5から電源側ダイオード70、後述の第1変換部41および第2変換部42を介して電圧が印加されることで起動する。また、SoC30は、起動後、SoC30に内蔵されたプログラムを実行することにより、対象に対して処理を行う。例えば、SoC30は、図示しない車載カメラによって撮像された画像に対して画像処理を行う。さらに、SoC30は、自身のOTAリプログラミングや自身の停止を行う。なお、SoC30の起動、停止およびOTAリプログラミングについて、後述する。また、SoCは、System on Chipの略である。OTAは、On The Airの略である。OTAリプログラミングは、通信によるソフトウェアアップデートである。
【0019】
第1変換部41は、DCDCコンバータやレギュレータ等を有する。さらに、第1変換部41は、電源側ダイオード70と接続されている。また、第1変換部41には、電源5からの電源電圧Vbが電源側ダイオード70を介して印加される。さらに、第1変換部41は、外部ECU側第1ダイオード81および外部ECU側第2ダイオード82を介して外部ECU7と接続されている。また、第1変換部41は、ドライバ側ダイオード83および第1配線61を介して通信ドライバ20と接続されている。さらに、第1変換部41は、外部ECU7または通信ドライバ20からの信号に応じて、電源電圧Vbを変圧する、例えば、降圧する。また、第1変換部41は、変圧した電源電圧Vbを後述の第2変換部42に印加する。なお、第1変換部41および電源側ダイオード70の間には、電源側ツェナーダイオード72を介して電源側グラウンド74と接続されている。これにより、第1変換部41のオンオフ等によるサージ電流や静電気からECU10が保護されている。
【0020】
第2変換部42は、DCDCコンバータやレギュレータ等を有する。さらに、第2変換部42は、第1変換部41からの電圧をSoC30の起動に対応した電圧に調整する。また、第2変換部42は、調整した電圧をSoC30に印加する。これにより、SoC30が起動する。
【0021】
デジタルトランジスタ45のベース側は、外部ECU側第1ダイオード81を介して外部ECU7と接続されている。さらに、デジタルトランジスタ45のコレクタ側は、SoC30およびトランジスタ用電源85と接続されている。また、デジタルトランジスタ45のエミッタ側は、トランジスタ用グラウンド87と接続されている。さらに、外部ECU側第1ダイオード81およびデジタルトランジスタ45の間には、外部ECU側ツェナーダイオード90を介して外部ECU側グラウンド92と接続されている。これにより、外部ECU7からの信号等によるサージ電流や静電気からECU10が保護されている。
【0022】
以上のように、電子制御装置は、構成されている。次に、通常の場合におけるSoC30の起動および停止について説明する。ここでは、SoC30は、外部ECU7または通信装置9からの信号により、起動するところ、まず、通常の場合における外部ECU7によるSoC30の起動について、図1および図2のフローチャートを参照して説明する。ここで、外部ECU7によるSoC30の起動について説明するため、図1に示すように、SoC30の起動に用いられる、外部ECU7からの信号を起動用トリガー信号Sw_trとする。
【0023】
(通常の場合における外部ECU7によるSoC30の起動)
SoC30を起動させるため、外部ECU7は、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trをECU10に出力する。このとき、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trが、外部ECU側第1ダイオード81および外部ECU側第2ダイオード82を介して第1変換部41に出力される。これにより、第1変換部41は、電源電圧Vbを変圧し、変圧した電源電圧Vbを第2変換部42に印加する。したがって、第2変換部42は、第1変換部41からの電圧をSoC30の起動に対応した電圧に調整する。また、第2変換部42は、この調整した電圧をSoC30に印加する。よって、SoC30が起動する。なお、このとき、デジタルトランジスタ45のベースには、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trが、外部ECU側第1ダイオード81を介して出力される。これにより、デジタルトランジスタ45は、オンされる。このため、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trが、SoC30に出力される。このことから、SoC30は、自身の起動が外部ECU7によるものであることを認識する。
【0024】
さらに、SoC30は、起動すると、SoC30に内蔵されたプログラムを実行する。また、SoC30は、プログラムを実行すると、図2のフローチャートのステップS100において、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを、通信ドライバ20から第1配線61を介して第1変換部41に出力させる。具体的には、図1に戻って、SoC30は、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを出力させるための信号を、第2配線62を介して通信ドライバ20に出力する。これにより、通信ドライバ20は、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを、第1配線61およびドライバ側ダイオード83を介して第1変換部41に出力する。このため、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルが何らかの理由によりハイレベルからローレベルになっても、電源電圧Vbに応じた電圧を第1変換部41からSoC30に印加させる信号の電圧レベルは、ハイレベルに維持される。よって、第1変換部41からの電圧印加が維持されることから、SoC30の起動が維持される。その後、SoC30の起動直後による処理は、終了する。
【0025】
以上のように、通常の場合における外部ECU7によるSoC30の起動が行われる。次に、外部ECU7によるSoC30の停止について、図1および図3のフローチャートを参照して説明する。
【0026】
(通常の場合における外部ECU7によるSoC30の停止)
SoC30を停止させるため、外部ECU7は、電圧レベルがローレベルの起動用トリガー信号Sw_trをECU10に出力する。このとき、電圧レベルがローレベルの起動用トリガー信号Sw_trが、外部ECU側第1ダイオード81および外部ECU側第2ダイオード82を介して第1変換部41に出力される。しかし、通信ドライバ20からの電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smが第1変換部41に出力されている。このため、第1変換部41からの電圧印加が維持される。
【0027】
また、デジタルトランジスタ45のゲートに、電圧レベルがローレベルの起動用トリガー信号Sw_trが外部ECU側第1ダイオード81を介して出力される。これにより、デジタルトランジスタ45は、オンからオフされる。したがって、起動用トリガー信号Sw_trがSoC30に出力されなくなることから、SoC30は、自身を停止させる状況であると認識する。
【0028】
このとき、SoC30は、SoC30に内蔵されたプログラムを実行する。また、SoC30は、プログラムを実行すると、自身を停止させるため、図3のフローチャートのステップS200において、電圧レベルがローレベルの電圧信号Smを、通信ドライバ20から第1配線61を介して第1変換部41に出力させる。具体的には、図1に戻って、SoC30は、電圧レベルがローレベルの電圧信号Smを出力させるための信号を、第2配線62を介して通信ドライバ20に出力する。これによって、通信ドライバ20は、電圧信号Smの電圧レベルをハイレベルからローレベルに変更する。また、通信ドライバ20は、変更したローレベルの電圧信号Smを、第1配線61およびドライバ側ダイオード83を介して第1変換部41に出力する。これにより、第1変換部41は、電源電圧Vbの変圧を停止するとともに、第2変換部42への電圧印加を停止する。このため、第2変換部42は、第1変換部41からの電圧の調整を停止するとともに、SoC30への電圧印加を停止する。したがって、SoC30の停止プログラムが終了するとともに、SoC30が停止する。
【0029】
以上のように、通常の場合における外部ECU7によるSoC30の停止が行われる。次に、通常の場合における通信装置9によるSoC30の起動および停止について説明する。ここで、図1に示すように、通信装置9からのSoC30を起動させる信号をウェイクアップ信号Sw_comとする。
【0030】
(通常の場合における通信装置9によるSoC30の起動)
SoC30を起動させるため、通信装置9は、ウェイクアップ信号Sw_comを、通信線55を介して通信ドライバ20に出力する。通信ドライバ20は、ウェイクアップ信号Sw_comを取得すると、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを、第1配線61およびドライバ側ダイオード83を介して第1変換部41に出力する。これにより、第1変換部41は、電源電圧Vbを変圧し、変圧した電源電圧Vbを第2変換部42に印加する。したがって、第2変換部42は、第1変換部41からの電圧をSoC30の起動に対応した電圧に調整する。また、第2変換部42は、この調整した電圧をSoC30に印加する。よって、SoC30が起動する。なお、このとき、デジタルトランジスタ45のゲートには、電圧レベルがローレベルの起動用トリガー信号Sw_trが、外部ECU側第1ダイオード81を介して出力される。これにより、デジタルトランジスタ45は、オフのままである。このため、起動用トリガー信号Sw_trがSoC30に出力されないことから、SoC30は、自身の起動が通信装置9によるものであることを認識する。
【0031】
以上のように、通常の場合における通信装置9によるSoC30の起動が行われる。次に、通常の場合における通信装置9によるSoC30の停止について説明する。
【0032】
(通常の場合における通信装置9によるSoC30の停止)
通信装置9は、SoC30を停止させるための信号を通信ドライバ20に出力する。これによって、通信ドライバ20は、電圧信号Smの電圧レベルをハイレベルからローレベルに変更する。また、通信ドライバ20は、変更したローレベルの電圧信号Smを、第1配線61およびドライバ側ダイオード83を介して第1変換部41に出力する。これにより、第1変換部41は、電源電圧Vbの変圧を停止するとともに、第2変換部42への電圧印加を停止する。このため、第2変換部42は、第1変換部41からの電圧の調整を停止するとともに、SoC30への電圧印加を停止する。したがって、SoC30が停止する。
【0033】
以上のように、通常の場合における通信装置9によるSoC30の停止が行われる。また、SoC30では、SoC30のOTAリプログラミングが行われる。このために、外部ECU7または通信装置9によってSoC30が起動されるところ、次に、OTAリプログラミングを行うための外部ECU7によるSoC30の起動について、図1および図4のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
(OTAリプログラミングを行うための外部ECU7によるSoC30の起動)
SoC30を起動させるため、外部ECU7は、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trをECU10に出力する。このとき、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trが、外部ECU側第1ダイオード81および外部ECU側第2ダイオード82を介して第1変換部41に出力される。これにより、第1変換部41は、電源電圧Vbを変圧し、変圧した電源電圧Vbを第2変換部42に印加する。したがって、第2変換部42は、第1変換部41からの電圧をSoC30の起動に対応した電圧に調整する。また、第2変換部42は、この調整した電圧をSoC30に印加する。よって、SoC30が起動する。なお、このとき、デジタルトランジスタ45のベースには、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trが、外部ECU側第1ダイオード81を介して出力される。これにより、デジタルトランジスタ45は、オンされる。このため、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trが、SoC30に出力される。このことから、SoC30は、自身の起動が外部ECU7によるものであることを認識する。
【0035】
さらに、このとき、通信装置9は、SoC30のアップデート情報を、通信線55を介して通信ドライバ20に出力する。このとき、通信ドライバ20は、SoC30のアップデート情報を、第3配線63を介してSoC30に出力する。
【0036】
また、SoC30は、起動すると、SoC30に内蔵されたプログラムを実行することにより、図4のフローチャートのステップS300にて、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを、通信ドライバ20から第1配線61を介して第1変換部41に出力させる。具体的には、SoC30は、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを出力させるための信号を、第2配線62を介して通信ドライバ20に出力する。これにより、通信ドライバ20は、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを、第1配線61およびドライバ側ダイオード83を介して第1変換部41に出力する。このため、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルが何らかの理由によりハイレベルからローレベルになっても、電源電圧Vbに応じた電圧を第1変換部41からSoC30に印加させる信号の電圧レベルは、ハイレベルに維持される。よって、第1変換部41からの電圧印加が維持されることから、SoC30の起動が維持される。
【0037】
続いて、ステップS302において、SoC30は、通信ドライバ20から第1配線61を介して電圧信号Smを取得する。
【0038】
続いて、ステップS304において、SoC30は、ステップS302にて取得した電圧信号Smがハイレベルであるか否かを判定する。これにより、SoCは、後述するように、外部ECU7を停止させてもよいか否かを判定する。
【0039】
そして、電圧信号Smがハイレベルでないとき、起動用トリガー信号Sw_trからの信号の電圧レベルがローレベルになると、電圧レベルがハイレベルの信号が第1変換部41に出力されることが維持されない。このため、このとき、外部ECU7を停止させるとSoC30自身が停止してしまうため、SoC30の処理は、ステップS300に戻る。また、電圧信号Smがハイレベルであるとき、起動用トリガー信号Sw_trからの信号の電圧レベルがローレベルになっても、電圧レベルがハイレベルの信号が第1変換部41に出力されることが維持される。このため、このとき、外部ECU7を停止させてもよいため、SoC30の処理は、ステップS306に移行する。
【0040】
ステップS304に続くステップS306において、SoC30は、外部ECU7を停止させる。具体的には、SoC30は、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルをローレベルにさせる信号を外部ECU7に出力する。これにより、外部ECU7は、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルをローレベルにする。したがって、外部ECU7が停止する。
【0041】
続いて、ステップS308において、SoC30は、通信ドライバ20から取得したアップデート情報に基づいて、自身のアップデートを実施する。その後、SoC30の起動直後による処理は、終了し、SoC30は、自身のアップデートを継続する。
【0042】
以上のように、OTAリプログラミングを行うための外部ECU7によるSoC30の起動が行われる。次に、OTAリプログラミングを行うための通信装置9によるSoC30の起動について、図1を参照して説明する。
【0043】
(OTAリプログラミングを行うための通信装置9によるSoC30の起動)
SoC30を起動させるため、通信装置9は、ウェイクアップ信号Sw_comとともに、SoC30のアップデート情報を、通信線55を介して通信ドライバ20に出力する。通信ドライバ20は、ウェイクアップ信号Sw_comを取得すると、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを、第1配線61およびドライバ側ダイオード83を介して第1変換部41に出力する。これにより、第1変換部41は、電源電圧Vbを変圧し、変圧した電源電圧Vbを第2変換部42に印加する。したがって、第2変換部42は、第1変換部41からの電圧をSoC30の起動に対応した電圧に調整する。また、第2変換部42は、この調整した電圧をSoC30に印加する。よって、SoC30が起動する。なお、このとき、デジタルトランジスタ45のゲートには、電圧レベルがローレベルの起動用トリガー信号Sw_trが、外部ECU側第1ダイオード81を介して出力される。これにより、デジタルトランジスタ45は、オフのままである。このため、起動用トリガー信号Sw_trがSoC30に出力されないことから、SoC30は、自身の起動が通信装置9によるものであることを認識する。
【0044】
また、このとき、通信ドライバ20は、SoC30のアップデート情報を、第3配線63を介してSoC30に出力する。よって、SoC30は、SoC30に内蔵されてプログラムを実行することにより、通信ドライバ20から取得したアップデート情報に基づいて、自身のアップデートを実施する。
【0045】
以上のように、OTAリプログラミングを行うための通信装置9によるSoC30の起動が行われる。次に、OTAリプログラミング完了後のSoC30の停止について説明する。
【0046】
(OTAリプログラミング完了後のSoC30の停止)
OTAリプログラミングが行われているとき、外部ECU7および通信装置9のどちらの場合であっても、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルがローレベルであり、かつ、通信ドライバ20からの電圧信号Smの電圧レベルがハイレベルとなっている。このため、SoC30は、自身のアップデートが完了した後、SoC30に内蔵されてプログラムを実行することにより、通信ドライバ20からの電圧信号Smの電圧レベルをローレベルにさせる信号を、第2配線62を介して通信ドライバ20に出力する。これによって、通信ドライバ20は、電圧信号Smの電圧レベルをハイレベルからローレベルに変更する。また、通信ドライバ20は、変更したローレベルの電圧信号Smを、第1配線61およびドライバ側ダイオード83を介して第1変換部41に出力する。これにより、第1変換部41は、電源電圧Vbの変圧を停止するとともに、第2変換部42への電圧印加を停止する。このため、第2変換部42は、第1変換部41からの電圧の調整を停止するとともに、SoC30への電圧印加を停止する。したがって、SoC30の停止プログラムが終了するとともに、SoC30が停止する。
【0047】
以上のように、OTAリプログラミング完了後のSoC30の停止が行われる。次に、本実施形態のECU10では、体格の大型化が抑制されることについて説明する。
【0048】
ECU10は、SoC30と、通信ドライバ20と、第1変換部41と、を備える。SoC30は、対象に対して処理を行う処理部としての役割を果たす。例えば、SoC30は、図示しない車載カメラによって撮像された画像に対して画像処理を行う。通信ドライバ20は、CANやLIN等の所定の通信規格を用いて通信装置9と通信することによりウェイクアップ信号Sw_comを取得するとき、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを出力する通信部としての役割を果たす。第1変換部41は、外部ECU7からの電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trおよび通信ドライバ20からの電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smのどちらかを取得するとき、電源電圧Vbに応じた電圧をSoC30に印加する。これによって、第1変換部41は、SoC30を起動させる電圧制御部としての役割を果たす。ここでは、第1変換部41は、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trおよび電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smのどちらかを取得するとき、電源電圧Vbを変圧する。また、第1変換部41は、変圧した電源電圧Vbを、第2変換部42を介して印加する。これによって、SoC30が起動する。なお、電圧レベルがハイレベルの起動用トリガー信号Sw_trは、外部装置からの処理部を起動させる信号に相当する。また、ウェイクアップ信号Sw_comは、通信装置9からの処理部を起動させる信号に相当する。さらに、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smは、通信部からの処理部を起動させる信号に相当する。
【0049】
これにより、通信ドライバ20は、通信装置9と通信する機能およびSoC30を起動させる信号を出力する機能の両方を有する。このため、通信機能および起動信号出力機能を有するものが、別体となっていないで、一体となっている。したがって、ECU10の体格の大型化が抑制される。
【0050】
また、本実施形態のECU10では、以下に記載する効果も奏する。
【0051】
[1]SoC30は、起動用トリガー信号Sw_trにより起動するとき、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを、通信ドライバ20から第1変換部41に出力させる。なお、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smは、電源電圧Vbに応じた電圧を処理部に印加させる信号に相当する。
【0052】
これにより、起動用トリガー信号Sw_trが遮断されても、例えば、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルがローレベルになっても、電源電圧Vbに応じた電圧を第1変換部41からSoC30に印加させる信号の電圧レベルは、ハイレベルに維持される。このため、第1変換部41からの電圧印加が維持されることから、SoC30の起動が維持される。
【0053】
[2]図4のフローチャートのステップS302、S304、S306に示すように、SoC30は、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smが通信ドライバ20から第1変換部41に出力されているとき、起動用トリガー信号Sw_trの出力を停止させる。ここでは、SoC30は、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルをハイレベルからローレベルにさせる。
【0054】
これにより、外部ECU7が停止することから、外部ECU7が無駄に起動している等によって生じる電力消費が抑制される。したがって、外部ECU7の消費電力が削減される。
【0055】
[3]SoC30は、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smの出力を停止させる、ここでは、電圧信号Smの電圧レベルをローレベルにさせることにより、停止する。
【0056】
これにより、SoC30が自身で停止することから、SoC30が無駄に起動している等によって生じる電力消費が抑制される。例えば、SoC30のアップデートが完了した後、SoC30が無駄に起動し続けていることによって生じる電力消費が抑制される。よって、ECU10の消費電力が削減される。
【0057】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0058】
本開示に記載の処理部、通信部、電圧制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の処理部、通信部、電圧制御部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の処理部、通信部、電圧制御部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0059】
上記実施形態では、通常の場合における外部ECU7によるSoC30の起動において、通信ドライバ20は、電圧レベルがハイレベルの電圧信号Smを、第1配線61およびドライバ側ダイオード83を介して第1変換部41に出力する。このとき、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルは、ハイレベルのままである。これに対して、上記実施形態では、このとき、SoC30は、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルをローレベルにさせていないところ、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルをローレベルにさせてもよい。これにより、起動用トリガー信号Sw_trの電圧レベルがローレベルになる。したがって、外部ECU7が停止することから、外部ECU7が無駄に起動している等によって生じる電力消費が抑制される。よって、外部ECU7の消費電力が削減される。
【0060】
上記実施形態では、第1変換部41は、変圧した電源電圧Vbを、第2変換部42を介してSoC30に印加する。これに対して、第1変換部41は、変圧した電源電圧Vbを、第2変換部42を介さないで、SoC30に直接印加してもよい。
【0061】
(本開示の観点)
[観点1]
対象に対して処理を行う処理部(30)と、
所定の通信規格を用いて通信装置(9)と通信することにより前記処理部を起動させる信号(Sw_com)を取得するとき、前記処理部を起動させる信号(Sm)を出力する通信部(20)と、
外部装置(7)からの前記処理部を起動させる信号(Sw_tr)および前記通信部からの前記処理部を起動させる信号(Sm)のどちらかを取得するとき、電源電圧(Vb)に応じた電圧を前記処理部に印加することにより、前記処理部を起動させる電圧制御部(41)と、
を備える電子制御装置。
[観点2]
前記処理部は、前記外部装置からの前記処理部を起動させる信号(Sw_tr)により起動するとき、前記電源電圧に応じた電圧を前記処理部に印加させる信号(Sm)を、前記通信部から前記電圧制御部に出力させる観点1に記載の電子制御装置。
[観点3]
前記処理部は、前記電源電圧に応じた電圧を前記処理部に印加させる信号(Sm)が前記通信部から前記電圧制御部に出力されているとき、前記外部装置からの前記処理部を起動させる信号(Sw_tr)の出力を停止させる観点2に記載の電子制御装置。
[観点4]
前記処理部は、前記電源電圧に応じた電圧を前記処理部に印加させる信号(Sm)の出力を停止させることにより、停止する観点3に記載の電子制御装置。
[観点5]
前記処理部は、
前記通信装置から前記通信部を介して前記処理部に関するアップデート情報を取得し、取得した前記アップデート情報に基づいて、前記処理部のアップデートを行い、
前記処理部のアップデートが完了した後、停止する観点4に記載の電子制御装置。
【符号の説明】
【0062】
5 電源
7 外部ECU
9 通信装置
10 ECU
20 通信ドライバ
30 SoC
41 第1変換部
61 第1配線
62 第2配線
63 第3配線
図1
図2
図3
図4