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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015734
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】クッション及び調整部材
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A47C27/15 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118004
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西川 康行
(72)【発明者】
【氏名】和田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】茂木 秀暁
(72)【発明者】
【氏名】池田 奨
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA03
3B096AB05
3B096AB09
(57)【要約】
【課題】クッションが用いられる椅子の種類にかかわらず座り心地を良好にできるクッション及び調整部材を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るクッションは、椅子に用いられるクッション100である。クッション100は、使用者の臀部が載せられる臀部支持部4を有する着座部2を備えた芯材1と、芯材1を覆う布地20と、を備える。布地20は、芯材1との間に、布地20の外面22と芯材1の外面との間の距離K1を調整するための調整部材30を出し入れ可能な調整部材収容部25を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子に用いられるクッションであって、
使用者の臀部が載せられる臀部支持部を有する着座部を備えた芯材と、
前記芯材を覆う布地と、
を備え、
前記布地は、前記芯材との間に、前記布地の外面と前記芯材の外面との間の距離を調整するための調整部材を出し入れ可能な調整部材収容部を有する、
クッション。
【請求項2】
前記調整部材収容部は、鉛直下方に向けられる前記芯材の下面と前記布地の外面との間に形成されている下側収容部である、
請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記芯材は、前記着座部に着座した前記使用者の腰部に後方から当接する腰部支持部を有し、
前記調整部材収容部は、前記腰部支持部の前記使用者とは反対側を向く面と前記布地の外面との間に形成されている後側収容部である、
請求項1に記載のクッション。
【請求項4】
椅子に用いられるクッションの布地の外面と前記クッションの芯材の外面との間の距離を調整するための調整部材であって、
前記布地と前記芯材との間に形成された調整部材収容部に出し入れされることによって、前記布地の外面と前記芯材の外面との間の距離が調整される、
調整部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の臀部が載せられるクッション及び調整部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-48972号公報には、椅子に載せられるシートクッションが記載されている。シートクッションは、椅子の座部上に載置されるクッション部と、椅子の前側に位置する複数の脚部間を覆う閉塞体とを備える。クッション部は、平面視において矩形状を呈する。閉塞体は、平面視におけるクッション部の一辺に着脱可能とされており、当該一辺から前側且つ下側に垂れ下がるように取り付けられる。
【0003】
シートクッションでは、上記の閉塞体によって椅子の座部の下側からの暖気の逃げが防止される。クッション部は、クッション材にカバーをかけたものとされている。クッション部で使用するクッション材は、ウレタン又は綿等である。クッション部のカバーは、布地を袋状にしたものであり、クッション材を出し入れ可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-48972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、椅子に用いられるクッションでは、座り心地を良好にするために、矩形等ではない異形とされたものが知られている。しかしながら、形状等に工夫を凝らしたクッションであっても、クッションに対する座り心地はクッションが用いられる椅子に依存するという現状がある。
【0006】
すなわち、椅子の種類によって、座部の硬さ、及び座部の傾斜角度が変わることがあるという現状がある。従って、たとえ形状等に工夫を凝らしたクッションであっても、椅子の種類によっては、高さ又は硬さが変わることがあり、座り心地がよくないということが起こりうる。よって、どのような椅子であっても座り心地を良好にできるクッションが求められうる。
【0007】
本開示は、クッションが用いられる椅子の種類にかかわらず座り心地を良好にできるクッション及び調整部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るクッションは、椅子に用いられるクッションである。クッションは、使用者の臀部が載せられる臀部支持部を有する着座部を備えた芯材と、芯材を覆う布地と、を備える。布地は、芯材との間に、布地の外面と芯材の外面との間の距離を調整するための調整部材を出し入れ可能な調整部材収容部を有する。
【0009】
このクッションでは、芯材が着座部を備え、着座部は使用者の臀部が載せられる臀部支持部を有する。クッションは芯材を覆う布地を備え、布地は芯材との間に調整部材を出し入れ可能な調整部材収容部を有する。調整部材は、出し入れされることによって布地の外面と芯材の外面との間の距離を調整する。従って、調整部材収容部に調整部材を出し入れすることによって布地から芯材までの距離を変更することができるので、布地の外面に着座するクッションの使用者の座り心地を良好にすることができる。よって、クッションが用いられる椅子の種類によって、椅子の座部の高さ又は硬さが変わったとしても、調整部材の出し入れによって高さ又は硬さを調整できる。その結果、椅子の種類にかかわらず座り心地を良好にすることができる。
【0010】
調整部材収容部は、鉛直下方に向けられる芯材の下面と布地の外面との間に形成されている下側収容部であってもよい。この場合、下側収容部に調整部材を出し入れすることによって着座部の高さを変更することができる。従って、椅子の座部の高さ等に応じてクッションの着座部の高さを変更することができる。よって、椅子の座部の高さ等に関係なくクッションの座り心地を良好にすることができる。
【0011】
芯材は、着座部に着座した使用者の腰部に後方から当接する腰部支持部を有してもよい。調整部材収容部は、腰部支持部の使用者とは反対側を向く面と布地の外面との間に形成されている後側収容部であってもよい。この場合、芯材が使用者の腰部に後方から当接する腰部支持部を有し、腰部支持部の使用者とは反対側を向く面と布地の外面との間に後側収容部が形成されている。従って、後側収容部に調整部材を出し入れすることによって椅子の背もたれから腰部支持部までの距離を調整できる。よって、椅子の背もたれに対する腰部支持部の傾きを調整部材の出し入れによって調整できるので、座り心地を更に良好にすることができる。
【0012】
本開示に係る調整部材は、椅子に用いられるクッションの布地の外面とクッションの芯材の外面との間の距離を調整するための調整部材である。調整部材が布地と芯材との間に形成された調整部材収容部に出し入れされることによって、布地の外面と芯材の外面との間の距離が調整される。
【0013】
この調整部材は、クッションの芯材と布地との間に形成された調整部材収容部に出し入れ可能であり、出し入れされることによって布地の外面と芯材の外面との間の距離を調整する。従って、調整部材収容部に調整部材を出し入れすることによって布地から芯材までの距離を変更することができる。よって、布地の外面に着座するクッションの使用者の座り心地を良好にすることができるので、クッションが用いられる椅子の種類によって、椅子の座部の高さ又は硬さが変わったとしても、調整部材の出し入れによって高さ又は硬さを調整できる。従って、椅子の種類にかかわらず座り心地を良好にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、クッションが用いられる椅子の種類にかかわらず座り心地を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るクッションの芯材を示す斜視図である。
図2図1の芯材を示す平面図である。
図3図1の芯材を示す底面図である。
図4図2のA-A線断面図である。
図5図1の芯材を示す側面図である。
図6】実施形態に係るクッションの布地、調整部材収容部及び調整部材を示す断面図である。
図7】(a)は、図6のクッションの調整部材収容部を模式的に示す底面図である。(b)は、変形例に係る調整部材収容部を模式的に示す底面図である。
図8】(a)、(b)、(c)及び(d)は、実施形態に係る調整部材の種々の例を示す調整部材の断面図である。
図9】変形例に係るクッションの布地、調整部材収容部及び調整部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るクッション及び調整部材の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0017】
実施形態において、クッションは、柔軟性素材によって構成されている。「柔軟性素材」とは、身体が載せられて荷重を受けたときに変形するクッション性素材を示している。クッションは、椅子に用いられる。「椅子」は、クッションの使用者が腰を掛けるためのものである。クッションは、使用者の臀部が載せられる臀部支持部を有する着座部を備えた芯材と、芯材を覆う布地とを備える。クッションが「椅子に用いられる」とは、クッションが椅子と共に使用されることを示している。例えば、クッションが「椅子に用いられる」ことは、クッションが椅子に載せられること、又はクッションが椅子に括り付けられること等、クッションが椅子に取り付けられることを示している。以下では、クッションが椅子に載せられる例について説明する。
【0018】
「使用者」は、クッションの使用者を示しており、例えば、クッションに着座する人を示している。「臀部」とは、身体の背中の下部の膨らんだ部分を示しており、腰部より下且つ大腿部より上に位置する身体の部分である。「着座」とは、クッションに座ることを示している。「着座部」は、クッションに座るときに臀部が当接するクッションの部分を示している。「大腿部」は、脚の付け根から膝までの腿の部分を示している。臀部支持部は、例えば、一対の座骨支持部を有する。「座骨」は、使用者が着座部に着座したときに骨盤の最下部に位置する部分を示している。
【0019】
「芯材」は、クッションの中身を構成する材料を示している。「布地」は、芯材を覆う布を示している。布地は、芯材との間に、布地の外面と芯材の外面との間の距離を調整するための調整部材を出し入れ可能な調整部材収容部を有する。「調整部材」は、クッションの高さ、傾き角度及び柔らかさの少なくともいずれかを調整するために布地の内側に収容される部材を示している。
【0020】
後に詳述するが、「調整部材」は、例えば、柔軟性部材によって構成されたシート部材、内部に空気を出し入れ可能な袋状部材、及び、内部に詰め物を出し入れ可能な袋状部材、のいずれかである。「布地の外面と芯材の外面との間の距離」とは、布地と芯材との間に形成される空間の厚さを示している。「調整部材収容部」は、布地の内側に形成されており調整部材を収容可能な空間部を示している。「調整部材収容部」は、布地と芯材との間に形成された空間であってもよいし、布地の袋状とされた部分であってもよい。
【0021】
図1は、本実施形態に係るクッション100(図6参照)の芯材1を示す斜視図である。図1に示されるように、芯材1は、水平方向に延びる着座部2と、着座部2から上方に延びる腰部支持部3とを備える。芯材1は、柔軟性素材によって構成されている。例えば、芯材1は、発泡ウレタンによって構成されている。
【0022】
一例として、芯材1は、ウレタンモールド成型によって形成される。芯材1が発泡ウレタンによって構成されウレタンモールド成型によって形成されている場合、柔軟性素材によって構成された芯材1を容易に製造することができる。芯材1は、例えば、クッション100の布地20(図6参照)に収容されて用いられる。
【0023】
なお、上記の柔軟性素材は、例えば、熱可塑性エラストマーを含む。当該柔軟性素材は、身体が載せられたときの荷重に応じて変形する程度の弾性を備えた素材であってもよい。当該柔軟性素材は、身体が載せられて荷重を受けたときに変形する樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、又はポリエチレン)であってもよい。当該柔軟性素材の種類は、適宜変更可能である。
【0024】
着座部2は、第1方向D1、及び第1方向D1に交差する第2方向D2に延在する。第1方向D1は着座部2に着座する使用者から見たときの前後方向であり、第2方向D2は着座部2に着座する使用者から見たときの左右方向である。着座部2は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に厚みを有する。例えば、第3方向D3は鉛直方向である。
【0025】
以下では、着座部2に着座した使用者から見たときの前方向を「前」、「前側」又は「前方」と称することがあり、当該前方向の逆方向を「後」、「後側」又は「後方」と称することがある。しかしながら、これらの方向は、説明の便宜のためのものであり、各部の位置又は向き等を限定するものではない。
【0026】
図2は、芯材1の平面図である。図1及び図2に示されるように、着座部2は、使用者の臀部が載せられる臀部支持部4と、使用者の大腿部が載せられる大腿部支持部5とを有する。臀部支持部4及び大腿部支持部5は第1方向D1に沿って並ぶように配置されている。臀部支持部4は、着座部2に着座した使用者の座骨を支持する一対の座骨支持部6を有する。
【0027】
例えば、着座部2は通気孔2bを有する。通気孔2bは、臀部支持部4の上面4b又は大腿部支持部5の上面から下方に貫通する。通気孔2bを画成している内壁の上端は、丸みを帯びるようにR面取りされていてもよい。平面視において、複数の通気孔2bが後方から前方に向かって並ぶように配置されている。
【0028】
例えば、平面視(腰部支持部3が着座部2の上側に位置する向きとした場合における平面視)において、複数(一例として6つ)の通気孔2bが第2方向D2の両側(左右両側)のそれぞれに配置されていてもよい。例えば、第2方向D2の両側のそれぞれに3つの通気孔2bが配置されている。
【0029】
例えば、2つの通気孔2bが第2方向D2に沿って並んでおり、第2方向D2に沿って並ぶ2つの通気孔2bの間の距離は、臀部支持部4から大腿部支持部5に向かうに従って(前方に向かうに従って)長くなる。一例として、複数の通気孔2bは、平面視においてハの字状を呈するように配置されている。
【0030】
例えば、芯材1では、座骨支持部6(例えば後述する貫通孔6c)はウレタンモールド成型によって形成されており、通気孔2bは抜き加工によって形成されている。この場合、芯材1の製造時に用いる金型において通気孔2bを形成する部分を不要にできるので、当該金型の形状を簡易にできる。更に、当該金型で液状のウレタンの成型を行うときに、液状のウレタンにおける空気の逃げ道を確保できるので、芯材1の仕上がりをきれいにすることができる。
【0031】
座骨支持部6は、臀部支持部4の上面4bに形成されており上面4bに対して窪んでいる。臀部支持部4は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の座骨支持部6を有する。座骨支持部6は、臀部支持部4の上面4bから窪む凹部6bを有する。平面視における座骨支持部6の形状は、長軸及び短軸を有する形状とされている。例えば、平面視における座骨支持部6の形状は長円形状(一例として楕円形状)である。しかしながら、平面視における座骨支持部6の形状は、長円形状又は楕円形状に限られず、長方形状、隅丸長方形状、菱形状、又は隅丸菱形状であってもよく、適宜変更可能である。
【0032】
一対の座骨支持部6のうち一方の座骨支持部6の長軸の延長線L1と、一対の座骨支持部6のうち他方の座骨支持部6の長軸の延長線L2とは互いに交差している。延長線L1と延長線L2の交差角度θ1は、例えば、40°以上且つ150°以下である。交差角度θ1は、50°以上、60°以上、75°以上、又は90°以上であってもよい。また、交差角度θ1は、135°以下、120°以下、又は110°以下であってもよい。一例として、交差角度θ1は100°である。
【0033】
延長線L1と延長線L2との交差部Pは、一対の座骨支持部6よりも大腿部支持部5寄り(前寄り)の箇所に位置する。交差部Pは、各座骨支持部6の平面視における中心よりも大腿部支持部5側に位置する。交差部Pは、一対の座骨支持部6から見て腰部支持部3とは反対側に位置する。これにより、一対の座骨支持部6は、平面視(腰部支持部3が着座部2の上側に位置する向きとした場合における平面視)において逆ハの字状を呈する。
【0034】
一対の座骨支持部6の中心の間の距離(一対の座骨支持部6の中心間距離)は、例えば、7cm以上且つ15cm以下である。一例として、当該距離は10cmである。腰部支持部3から座骨支持部6の中心までの距離は、例えば、5cm以上且つ15cm以下である。一例として、腰部支持部3から座骨支持部6の中心までの距離は、10cmである。各長さ及び各距離が上記の値の範囲内である場合、一対の座骨支持部6のそれぞれに使用者の座骨をより好適にフィットさせることができる。
【0035】
例えば、各座骨支持部6は、臀部支持部4の上面4bから下方に貫通する貫通孔6cを有する。各座骨支持部6は、貫通孔6cを画成する内壁と、当該内壁及び上面4bの間に位置するテーパ面6fとを有する。図3は、芯材1を示す底面図である。図2及び図3に示されるように、上方から見たときにおける座骨支持部6の面積は、下方から見たときにおける座骨支持部6の面積よりも大きい。
【0036】
芯材1は、芯材1が載置される載置面S(図4参照)に接触する下面1bを有する。例えば、貫通孔6cを画成する内壁は、下面1bとテーパ面6fとを互いに連結している。貫通孔6cの内壁の下面1b側の端、及び当該内壁のテーパ面6f側の端、の少なくともいずれかは、丸みを帯びるようにR面取りされていてもよい。
【0037】
テーパ面6fは、上面4bに対して窪む凹部6bを形成している。テーパ面6fは、上面4b側に向かうに従ってテーパ面6fの開口端が拡径するように傾斜している。例えば、平面視におけるテーパ面6fの面積は、平面視における貫通孔6cの面積より大きい。テーパ面6fは、テーパ面6fの開口端が丸みを帯びるようにR面取りされた部分である曲面を含んでいてもよい。
【0038】
図4は、図2のA-A線断面図である。図2及び図4に示されるように、着座部2は、臀部支持部4から大腿部支持部5に向かって斜めに延びる傾斜面7を有する。例えば、着座部2は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の傾斜面7を有する。例えば、第1方向D1及び第3方向D3に延びる平面に沿った断面において傾斜面7は直線状を呈する。芯材1の下面1bに対する傾斜面7の傾斜角度θ2は、例えば、5°以上且つ15°以下である。
【0039】
傾斜角度θ2が5°以上且つ15°以下である場合、着座部2に着座した使用者の座骨を前側に一層ずれにくくすることができる。なお、上記の例とは異なり、第1方向D1及び第3方向D3に延びる平面に沿った断面において傾斜面7は曲線状(例えば、大腿部支持部5に向かうに従って傾斜角度θ2が大きくなるように湾曲する曲面状)を呈していてもよい。
【0040】
図5は、前方から芯材1を見た芯材1の側面図である。図2図4及び図5に示されるように、着座部2は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の大腿部支持部5と、一対の大腿部支持部5の間に位置する凸部8とを有する。一対の大腿部支持部5のそれぞれは、傾斜面7の前側に位置する。
【0041】
大腿部支持部5には、使用者の大腿部の裏側が載せられる。すなわち、大腿部支持部5は使用者の大腿部の裏側を支持する。図3及び図5に示されるように、大腿部支持部5は、芯材1の厚さ方向(第3方向D3)に窪む凹部5bを有する。凹部5bは芯材1の下面1bに形成されている。
【0042】
芯材1は、一対の凹部5bを有し、例えば、一対の凹部5bは互いに離隔した位置に設けられる。凹部5bの深さは、腰部支持部3から離隔するに従って(前側に向かうに従って)深くなっている。例えば、大腿部支持部5は、芯材1が載置される載置面Sとの間に空間を画成する凹部5bを有する。載置面Sは、椅子の座部の上面である。一例として、凹部5bと載置面Sとの間に画成される空間は、前方に向かうに従って拡大するように形成される。
【0043】
凸部8は、傾斜面7から突出した部位を示している。平面視における凸部8の幅は、前方に向かうに従って広くなっている。例えば、平面視における凸部8の形状は、前方に向かうに従って広がる放物線状を呈する。凸部8の高さは、芯材1の第2方向D2の中央に向かうに従って高くなっている。
【0044】
例えば、着座部2は、傾斜面7における第2方向D2の両端側に位置する一対の凸部9を有する。凸部9は、腰部支持部3及び大腿部支持部5を互いに接続する部位である。凸部9は第1方向D1に沿って延在している。以上の凸部8及び凸部9が設けられることにより、一対の凸部9の間における凸部8の第2方向D2の両側のそれぞれの位置に大腿部支持部5が形成されるので、使用者の大腿部を大腿部支持部5に載せやすくすることができる。
【0045】
芯材1は、凸部9から下面1bに向かうに従って芯材1の第2方向D2の中央に向かうように傾斜する傾斜部9cを有する。芯材1は、例えば、第2方向D2に沿って並ぶ一対の傾斜部9cを有する。一例として、芯材1は、下面1bから離隔するに従って外側に張り出す舟形状を呈する。
【0046】
腰部支持部3は、着座部2の第1方向D1の端部(後端)から上方に延在している。腰部支持部3は、例えば、第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在する一般部10と、一般部10における第2方向D2の中央に位置する仙骨支持部11とを有する。一般部10は、腰部支持部3における仙骨支持部11以外の部分を示している。
【0047】
図2図4及び図5に示されるように、仙骨支持部11は、前方に突出する凸状を呈する。仙骨支持部11は、一般部10から前方に突出する。一例として、前方から見た仙骨支持部11の形状は、長軸及び短軸を有する形状を呈する。例えば、前方から見た仙骨支持部11の形状は長円形状(一例として楕円形状)である。
【0048】
例えば、仙骨支持部11は、前方に突出する曲面状を呈する突出面11dを有する。突出面11dの一般部10からの高さは、突出面11dの外縁から突出面11dの内側に向かうに従って高くなっている。仙骨支持部11は、突出面11dから後方に窪む窪み部11fを有してもよい。窪み部11fは、クッション100の使用者の仙骨が入り込む部位である。
【0049】
窪み部11fは、第2方向D2及び第3方向D3に延びている。例えば、窪み部11fの第3方向D3の長さは、窪み部11fの第2方向D2の長さ(幅)よりも長い。第1方向D1から見た窪み部11fの形状は、第3方向D3に延びる溝形状(又は長円形状)であってもよい。
【0050】
窪み部11fは、底面11gと、底面11g及び突出面11dを互いに接続する内側面11hとを含む。第1方向D1から見たときに、内側面11hは、底面11gを囲む環状を呈する。内側面11hは、底面11gと突出面11dとを互いに接続するR面を含んでいてもよい。
【0051】
平面視において、底面11gは、窪み部11fの第2方向D2の端部から離隔するに従って後方に窪むように湾曲している。第2方向D2に直交する断面(側断面)において、窪み部11f(底面11g)は、窪み部11fの第3方向D3の端部から離隔するに従って後方に窪むように湾曲している。
【0052】
図6に示されるように、以上の芯材1はクッション100の布地20に収容される。クッション100では、芯材1の形状等に工夫を凝らすことによってクッション100への座り心地を良好にすることが可能である。しかしながら、クッション100の座り心地の良さは、クッション100が載せられる椅子の載置面Sに依存することがある。
【0053】
例えば、椅子の種類によって、載置面Sの硬さ、及び載置面Sの傾斜角度が変わることがある。たとえ形状等に工夫を凝らした芯材1であっても、載置面Sの状態(又は椅子の種類)によっては、高さ又は硬さが変わることがあり、座り心地に影響が及ぶ場合がある。従って、どのような椅子(載置面S)であっても座り心地を良好にできるクッション100が求められる。
【0054】
クッション100は、芯材1と布地20と調整部材30とを備え、芯材1及び調整部材30が布地20に出し入れ可能とされている。図6は、第1方向D1及び第3方向D3に延びる平面でクッション100を切断したときにおけるクッション100の断面を模式的に示す図である。図6では、芯材1の図示を簡略化している。
【0055】
例えば、布地20は、ファスナー21を有し、ファスナー21を開放することによって布地20の内部に芯材1を出し入れ可能とされている。一例として、ファスナー21は、腰部支持部3において第3方向D3に沿って延在している。しかしながら、ファスナー21の配置場所は、上記の例に限られず、例えば、着座部2において第2方向D2に延在していてもよい。
【0056】
図7(a)は、布地20の底面図である。図6及び図7(a)に示されるように、布地20は、芯材1との間に調整部材30を出し入れ可能な調整部材収容部25を有する。調整部材収容部25は、布地20の外面22(下面22b)と芯材1の外面(下面1b)との間の距離K1を調整するための調整部材30を出し入れ可能とされている。調整部材収容部25は、例えば、芯材1の下側に位置する下側収容部25Aである。
【0057】
布地20は、例えば、芯材1の全体を覆う。布地20の外面22は、載置面Sに接触する下面22bと、下面22bの前端から上方に延びる前面22cと、下面22bの後端から上方に延びる後面22dとを含む。更に、外面22は、着座部2の上方に位置する第1上面22fと、第1上面22fの後端から仙骨支持部11に沿って上方に延びる湾曲面22gと、腰部支持部3の上方に位置する第2上面22hとを含む。
【0058】
調整部材収容部25は、調整部材30を出し入れ可能な調整部材30の収容空間26を有する。例えば、調整部材収容部25は複数の収容空間26を有し、複数の収容空間26のそれぞれに調整部材30を収容可能とされている。調整部材収容部25は、芯材1に接触する内布27、及び載置面Sに接触する外布28を有し、内布27及び外布28によって収容空間26が画成されている。更に、本実施形態では、調整部材収容部25は、調整部材収容部25の内部において内布27及び外布28を互いに接続する中仕切り布29を有し、中仕切り布29によって収容空間26が仕切られている。
【0059】
調整部材収容部25は、収容空間26を開閉するファスナー25bを有する。一例として、複数の収容空間26は、大腿部支持部5の下方に位置する第1収容空間26bと、臀部支持部4の下方に位置する第2収容空間26cとを含む。ファスナー25bは、第1収容空間26b及び第2収容空間26cのそれぞれに対応して配置されている。
【0060】
すなわち、調整部材収容部25は2つのファスナー25bを有し、2つのファスナー25bの一方で第1収容空間26bが開閉可能とされており、2つのファスナー25bの他方で第2収容空間26cが開閉可能とされている。一例として、2つのファスナー25bは、調整部材収容部25の第2方向D2の端部において第1方向D1に沿って並ぶように配置されている。
【0061】
しかしながら、収容空間26の数及び配置態様、ファスナー25bの配置態様、並びにファスナー25bの数は上記の例に限定されない。図7(b)は、変形例に係る調整部材収容部25Cを示す底面図である。図7(b)に示されるように、調整部材収容部は、3つ以上の収容空間26を有していてもよい。例えば、ファスナー25bの数は1でもよい。また、ファスナー25bを省略してもよく、調整部材収容部25Cの調整部材30の出入口に折り返しを設けて、当該折り返しによって調整部材収容部25Cに調整部材30を収容してもよい。また、中仕切り布29は立体マチであってもよい。更に、中仕切り布29に代えて、タタキキルトによって収容空間26が仕切られてもよい。この場合、例えば、ゆったりとした空間を確保するために調整部材収容部25Cを袋状に弛ませて内布27が外布28に縫い付けられる。このように中仕切り布29を省略することも可能である。
【0062】
図7(b)の例では、調整部材収容部25Cが4つの収容空間26を有する。4つの収容空間26は第1方向D1に沿って並んでいる。調整部材収容部25Cは複数の中仕切り布29を有し、複数の中仕切り布29は第1方向D1に沿って並んでいる。調整部材収容部25Cにおいても、複数の収容空間26のそれぞれに対して調整部材30を出し入れ可能である。
【0063】
例えば、収容空間26には、複数の調整部材30を出し入れ可能とされている。図6の例では、第1収容空間26b及び第2収容空間26cのそれぞれに2つの調整部材30が収容されている。調整部材30は、調整部材収容部25(例えば収容空間26)に出し入れされることによって距離K1を調整する。
【0064】
すなわち、調整部材収容部25に調整部材30が収容されることによって距離K1が長くなり、調整部材収容部25から調整部材30が外されることによって距離K1が短くなる。これにより、クッション100における芯材1の外側部分における厚さを調整することが可能である。
【0065】
調整部材収容部25が複数の収容空間26を有し、複数の収容空間26に調整部材30が出し入れ可能である場合、クッション100の高さ及び柔らかさを部分的に変更することが可能である。例えば、前側に位置する第1収容空間26bにおける調整部材30の数が後側に位置する第2収容空間26cにおける調整部材30の数より多い場合、大腿部支持部5をより上方に傾けることができる。また、前側に位置する第1収容空間26bにおける調整部材30の数が後側に位置する第2収容空間26cにおける調整部材30の数より少ない場合、臀部支持部4をより上方に傾けることができる。
【0066】
例えば、互いに柔らかさ(又は高さ)が異なる複数種類の調整部材30が用意されてもよい。この場合、より硬い調整部材30が収容空間26に収容されることによって当該収容空間26の部分を硬くでき、より柔らかい調整部材30が収容空間26に収容されることによって当該収容空間26の部分を柔らかくできる。また、より高い調整部材30が収容空間26に収容されることによって当該収容空間26の部分を高くでき、より低い調整部材30が収容空間26に収容されることによって当該収容空間26の部分を低くできる。
【0067】
収容空間26に収容する調整部材30の数の調整は、例えば、クッション100の使用者によって行われる。この場合、クッション100の使用者が自ら調整部材30の数を調整できる。また、調整部材30の入れ方のマニュアルが用意されてもよい。このマニュアルには、例えば、クッション100が置かれる椅子の種類及び状況に応じた調整部材30の適切な数及び入れ方が記載されている。この場合、使用者は、マニュアルを見ながら調整部材30の数及び配置を状況に応じて調整できるので、自ら適切な座り心地を実現できる。
【0068】
収容空間26に収容する調整部材30の数の調整は、例えば、クッションの販売員、又はクッションの専門家によって行われてもよい。この場合、クッションの販売員等によって調整部材30の数の調整が適切に行われるので、販売員等によって適切な座り心地を提供することが可能となる。なお、販売員等が上記のマニュアルを見ながら調整部材30の数を調整してもよい。
【0069】
前述したように、調整部材30の種類としては種々のものが挙げられる。図8(a)~図8(d)は、調整部材30の種々の例を示す調整部材30の断面図である。図8(a)に示されるように、調整部材30は、柔軟性シートである調整部材30Aであってもよい。調整部材30Aは、柔軟性素材によって構成されている。調整部材30Aはスポンジ状であってもよい。調整部材30Aは、一例として、ウレタンシートである。
【0070】
図8(b)に示されるように、調整部材30は、柔軟性内容物31が収容される袋状の調整部材30Bであってもよい。調整部材30Bは、柔軟性内容物31が出し入れ可能とされていてもよい。この場合、調整部材30Bの厚さ及び柔らかさを調整可能である。例えば、調整部材30Bはファスナー32を有し、ファスナー32を開放した状態で調整部材30Bから柔軟性内容物31を出し入れすることが可能である。柔軟性内容物31は、例えば、わた(一例として粒わた)である。
【0071】
図8(c)に示されるように、調整部材30は、中空内容物33が収容される袋状の調整部材30Cであってもよい。調整部材30Cは、中空内容物33が出し入れ可能とされていてもよい。調整部材30Cは、調整部材30Bと同様、ファスナー32を有する。中空内容物33は、例えば、パイプ材である。なお、調整部材30Cには、中空内容物33に代えて中実内容物が収容されてもよい。中実内容物は、例えば、そば殻、アズキ又はヒノキである。
【0072】
図8(d)に示されるように、調整部材30は、複数の弾性発泡体34が詰め込まれた袋状の調整部材30Dであってもよい。調整部材30Dには、複数の弾性発泡体34が調整部材30Dの最大容量に対して圧縮された状態で詰め込まれている。弾性発泡体34は、調整部材30Dに詰め込まれていない常温常圧下の状態において直方体状を呈する。弾性発泡体34は、例えば、発泡ウレタンを直方体状(サイコロ状)とした形状となっていてもよい。各弾性発泡体34の内部には空気が含まれているため、弾性発泡体34の圧縮及び膨張が可能となっている。
【0073】
例えば、調整部材30Dは、弾性発泡体34が収容される複数の内部空間35を有し、複数の内部空間35は仕切り布36を介して互いに仕切られている。例えば、複数の内部空間35は、前側に向けられる第1内部空間35b、及び後側に向けられる第2内部空間35cを含む。
【0074】
第1内部空間35b及び第2内部空間35cのそれぞれには弾性発泡体34が収容されており、調整部材30Dでは第1内部空間35b及び第2内部空間35cのそれぞれの空気量を調整可能とされている。調整部材30Dは、第1内部空間35bの空気量を調整する第1吸排気弁37bと、第2内部空間35cの空気量を調整する第2吸排気弁37cとを備える。
【0075】
例えば、第1吸排気弁37bは、回転式となっており、使用者によって回転操作されることにより第1内部空間35bの開放及び閉塞が可能となっている。第1吸排気弁37bが回転して第1内部空間35bが開放されると、弾性発泡体34の膨張に伴って第1吸排気弁37bから第1内部空間35bに空気が入り込み、調整部材30Dの前側部分が厚くなる。
【0076】
また、第1内部空間35bが開放された状態で調整部材30Dに外力を付与すると、第1内部空間35bから第1吸排気弁37bを介して空気が排出され、この状態で第1吸排気弁37bを閉塞することによって調整部材30Dの前側部分が薄くなる。このように、調整部材30Dの前側部分の厚さを調整可能である。
【0077】
例えば、第2吸排気弁37cの構成は、第1吸排気弁37bの構成と同一である。この場合、第2吸排気弁37cが回転して第2内部空間35cが開放されると、弾性発泡体34の膨張に伴って第2吸排気弁37cから第2内部空間35cに空気が入り込み、調整部材30Dの後側部分が厚くなる。一方、第2内部空間35cが開放された状態で調整部材30Dに外力を付与すると、第2内部空間35cから第2吸排気弁37cを介して空気が排出され、この状態で第2吸排気弁37cを閉塞することによって調整部材30Dの後側部分が薄くなる。
【0078】
調整部材30Dでは、前側部分及び後側部分のそれぞれの厚さを個別に調整することが可能である。しかしながら、調整部材30Dは、1つの内部空間35、及び1つの吸排気弁を有していてもよい。この場合、仕切り布36を省略することが可能となる。以上、調整部材30の種々の例について説明した。しかしながら、調整部材の態様は更に変更することが可能である。例えば、図6に示されるように、調整部材収容部25の収容空間26に直接詰め物が出し入れされてもよい。この場合、「詰め物」が調整部材30である。
【0079】
上記の「詰め物」は、例えば、前述した、わた等の柔軟性内容物31、パイプ材等の中空内容物33、又はそば殻等の中実内容物である。この場合、収容空間26に詰め物が出し入れされることによってクッション100における厚さ及び柔らかさを自在に調整することが可能である。また、例えば、調整部材収容部25は吸排気弁(一例として前述した第1吸排気弁37b等と同様の吸排気弁)を備え、当該吸排気弁を介して収容空間26に空気が出し入れ可能とされていてもよい。
【0080】
次に、本実施形態に係るクッション100及び調整部材30から得られる作用効果についてより詳細に説明する。クッション100では、芯材1が着座部2を備え、着座部2は使用者の臀部が載せられる臀部支持部4を有する。クッション100は芯材1を覆う布地20を備え、布地20は芯材1との間に調整部材30を出し入れ可能な調整部材収容部25を有する。調整部材30は、布地20の外面22と芯材1の外面との間の距離K1を調整する。従って、調整部材収容部25に調整部材30を出し入れすることによって布地20から芯材1までの距離K1を変更することができるので、布地20の外面22に着座するクッション100の使用者の座り心地を良好にすることができる。よって、クッション100が載せられる椅子の種類によって、椅子の座部の高さ又は硬さが変わったとしても、調整部材30の出し入れによって高さ又は硬さを調整できる。その結果、椅子の種類にかかわらず座り心地を良好にすることができる。
【0081】
本実施形態において、調整部材収容部25は、鉛直下方に向けられる芯材1の下面と布地20の外面22との間に形成されている下側収容部25Aである。この場合、下側収容部25Aとしての調整部材収容部25に調整部材30を出し入れすることによって着座部2の高さを変更することができる。従って、椅子の座部の高さ等に応じてクッション100の着座部2の高さを変更することができる。よって、椅子の座部の高さ等に関係なくクッション100の座り心地を良好にすることができる。
【0082】
次に、変形例に係るクッション200について図9を参照しながら説明する。クッション200の一部の構成は、前述したクッション100の一部の構成と同一である。従って、以下では、クッション100と重複する説明については同一の符号を付して適宜省略する。クッション200は、芯材1と布地220と調整部材30とを備え、布地220の構成が布地20の構成とは異なっている。
【0083】
布地220は、前述した調整部材収容部25と、腰部支持部3の後方に位置する後側収容部225Aとしての調整部材収容部225とを備える。調整部材収容部225は、布地220の外面22(後面22d)と芯材1の外面との間の距離K2を調整する調整部材30を出し入れ可能とされている。
【0084】
調整部材収容部225は、調整部材30を出し入れ可能な調整部材30の収容空間226を有する。例えば、調整部材収容部225は複数の収容空間226を有し、複数の収容空間226に調整部材30を収容可能とされている。調整部材収容部225は、芯材1に接触する内布227、椅子の背もたれの前面に接触する外布228を有し、内布227及び外布228によって収容空間226が画成されている。
【0085】
更に、本変形例において、調整部材収容部225は、調整部材収容部225の内部において内布227及び外布228を互いに接続する中仕切り布229を有し、中仕切り布229によって収容空間226が仕切られている。複数の収容空間226のそれぞれは、前述した複数の収容空間26のそれぞれと同様、開閉可能とされている。
【0086】
複数の収容空間226は第3方向D3(例えば鉛直方向)に沿って並んでおり、複数の収容空間226のそれぞれに対して調整部材30を出し入れ可能とされている。例えば、収容空間226に複数の調整部材30を出し入れ可能とされていてもよい。調整部材30は、調整部材収容部225(例えば収容空間226)に出し入れされることによって距離K2を調整する。
【0087】
すなわち、調整部材収容部225に調整部材30が収容されることによって距離K2が長くなり、調整部材収容部225から調整部材30が外されることによって距離K2が短くなる。これにより、クッション200における芯材1の後側部分における厚さを調整することが可能である。
【0088】
調整部材収容部225が複数の収容空間226を有し、複数の収容空間226に調整部材30が出し入れ可能である場合、クッション200の腰部支持部3の傾きを部分的に変更することが可能である。例えば、上側に位置する収容空間226における調整部材30の数が下側に位置する収容空間226における調整部材30の数より多い場合、腰部支持部3の上部をより前側に傾けることができる。また、上側に位置する収容空間226における調整部材30の数が下側に位置する収容空間226における調整部材30の数より少ない場合、腰部支持部3の上部をより後側に傾けることができる。
【0089】
以上、本変形例において、芯材1は、着座部2に着座した使用者の腰部に後方から当接する腰部支持部3を有する。調整部材収容部225は、腰部支持部3の使用者とは反対側を向く面(後面)と布地220の外面22との間に形成されている後側収容部225Aである。よって、芯材1が使用者の腰部に後方から当接する腰部支持部3を有し、腰部支持部3の使用者とは反対側を向く面と布地220の外面22との間に後側収容部225Aが形成されている。
【0090】
従って、後側収容部225Aに調整部材30を出し入れすることによって椅子の背もたれから腰部支持部3までの距離を調整できる。よって、椅子の背もたれに対する腰部支持部3の傾きを調整部材30の出し入れによって調整できるので、座り心地を更に良好にすることができる。なお、本変形例では、布地220が、芯材1の下方に位置する調整部材収容部25と、芯材1の後方に位置する調整部材収容部225とを備える例について説明した。しかしながら、調整部材収容部25を有しておらず、調整部材収容部225のみを備える布地であってもよい。
【0091】
以上、本開示に係るクッション及び調整部材の実施形態及び変形例について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態又は変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。すなわち、本開示に係るクッション及び調整部材の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0092】
例えば、前述した実施形態では、着座部2及び腰部支持部3を備える芯材1について説明した。しかしながら、芯材1の形状、大きさ及び材料は適宜変更可能である。例えば、腰部支持部3の高さは、適宜変更可能である。例えば、腰部支持部3の上端の高さは、使用者の背中の高さであってもよいし、使用者の肩の高さであってもよいし、使用者の頭部の高さであってもよく、特に限定されない。この場合、クッションをゲーミングチェア等の椅子として用いることができる。
【0093】
例えば、着座部に対して腰部支持部が折り畳み可能なクッションであってもよい。この場合、クッションをオフィスチェア、リクライニングチェア又はフルフラットシートとして用いることができる。クッションは、自動車、鉄道車両、又は航空機等の輸送用機械に使用されるシートであってもよい。以上のように、クッションは、輸送用機械のシート、又はゲーミングチェア等であってもよく、椅子と一体にされていてもよい。更に、クッションは、在宅勤務(テレワーク)用の椅子、学習用の椅子、オフィス空間に配置される椅子、又は、介護用の椅子に用いられるクッションであってもよく、クッションの用途は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…芯材、1b…下面、2…着座部、2b…通気孔、3…腰部支持部、4…臀部支持部、4b…上面、5…大腿部支持部、5b…凹部、6…座骨支持部、6b…凹部、6c…貫通孔、6f…テーパ面、7…傾斜面、8,9…凸部、9c…傾斜部、10…一般部、11…仙骨支持部、11d…突出面、11f…窪み部、11g…底面、11h…内側面、20…布地、21…ファスナー、22…外面、22b…下面、22c…前面、22d…後面、22f…第1上面、22g…湾曲面、22h…第2上面、25,25C…調整部材収容部、25A…下側収容部、25b…ファスナー、26…収容空間、26b…第1収容空間、26c…第2収容空間、27…内布、28…外布、29…中仕切り布、30,30A,30B,30C,30D…調整部材、31…柔軟性内容物、32…ファスナー、33…中空内容物、34…弾性発泡体、35…内部空間、35b…第1内部空間、35c…第2内部空間、36…仕切り布、37b…第1吸排気弁、37c…第2吸排気弁、100,200…クッション、220…布地、225…調整部材収容部、225A…後側収容部、226…収容空間、227…内布、228…外布、229…中仕切り布、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、K1,K2…距離、L1,L2…延長線、P…交差部、S…載置面、θ1…交差角度、θ2…傾斜角度。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9