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特開2024-157340汚泥処理システム、制御装置、汚泥処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157340
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】汚泥処理システム、制御装置、汚泥処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/121 20190101AFI20241030BHJP
【FI】
C02F11/121 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071642
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】菊地 凱
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059BE10
4D059BE15
4D059BE16
4D059BE26
4D059BE27
4D059BE54
4D059CB01
4D059CC01
4D059EA02
4D059EA03
4D059EA20
4D059EB11
4D059EB20
(57)【要約】
【課題】汚泥の発生量が変化した場合であっても、汚泥の安定した処理量と固液分離された脱水汚泥の含水率とを保持する。
【解決手段】水槽12内の被処理汚泥の界面の高さを測定する界面測定手段13と、被処理汚泥が水槽12から流入する凝集槽20と、水槽12から凝集槽20へ被処理汚泥を供給する汚泥供給装置200と、凝集槽20に貯留された被処理汚泥に凝集剤を添加する添加装置300と、凝集剤が添加された汚泥を回転体によって圧搾する脱水機30と、脱水機30の入口の被処理汚泥の性状指標に基づいて、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を制御し、界面測定手段13が測定した値に基づいて、汚泥供給装置200が供給する被処理汚泥の量と回転体の回転数との少なくとも一方を制御する制御装置104とを有する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理汚泥が流入する水槽と、
前記水槽に貯留された前記被処理汚泥の界面の高さを測定する界面測定手段と、
前記被処理汚泥が前記水槽から流入する凝集槽と、
前記水槽から前記凝集槽へ前記被処理汚泥を供給する汚泥供給部と、
前記凝集槽に貯留された前記被処理汚泥に凝集剤を添加する添加装置と、
前記凝集剤が添加された汚泥を回転体によって圧搾する脱水装置と、
前記脱水装置の入口の被処理汚泥の性状を示す性状指標に基づいて、前記添加装置が添加する前記凝集剤の添加量を制御し、前記界面測定手段が測定した値に基づいて、前記汚泥供給部が供給する前記被処理汚泥の量と前記回転体の回転数との少なくとも一方を制御する制御装置とを有する汚泥処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の汚泥処理システムにおいて、
前記界面測定手段が、前記水槽に貯留された前記被処理汚泥の水位を測定する第1の水位計と、前記被処理汚泥の濃縮汚泥層の界面の高さを測定する界面計とのいずれか1つであることを特徴とする汚泥処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の汚泥処理システムにおいて、
前記性状指標が、前記汚泥供給部から供給された汚泥供給量を示す値であることを特徴とする汚泥処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の汚泥処理システムにおいて、
前記添加装置から前記凝集剤が添加された汚泥中の凝集物の状態を取得するセンサを有し、
前記性状指標が、前記センサが取得した前記凝集物の状態を示す凝集指標を算出し、前記添加装置が添加する前記凝集剤の添加量を変化させたときの前記凝集指標の変化量であることを特徴とする汚泥処理システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の汚泥処理システムにおいて、
前記凝集槽に貯留された前記被処理汚泥の水位を測定する第2の水位計を有し、
前記制御装置は、前記界面測定手段が測定した値と前記第2の水位計が測定した値とに基づいて、前記汚泥供給部が供給する前記被処理汚泥の量と前記回転体の回転数との少なくとも一方を制御する汚泥処理システム。
【請求項6】
請求項4に記載の汚泥処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記凝集剤の添加量を変化させたときの前記添加量の変化量に対する前記凝集指標の変化量の割合である凝集変化量と所定の第2の閾値とを比較し、前記凝集変化量が前記第2の閾値を超える場合、前記添加装置が添加する前記凝集剤の添加量を増加させ、前記凝集変化量が前記第2の閾値以下である場合、前記添加装置が添加する前記凝集剤の添加量を減少させる汚泥処理システム。
【請求項7】
請求項4または請求項6に記載の汚泥処理システムにおいて、
前記センサは、前記凝集槽内の汚泥の画像を撮像する画像センサであり、
前記制御装置は、前記画像センサが撮像した画像から前記汚泥中の凝集物の特徴量を前記凝集指標として算出する汚泥処理システム。
【請求項8】
脱水装置の入口の被処理汚泥の性状を示す性状指標を算出する指標算出部と、
前記性状指標に基づいて、添加装置が前記被処理汚泥に添加する凝集剤の添加量を制御する添加量制御部と、
水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加される被処理汚泥が貯留される凝集槽への前記水槽からの前記被処理汚泥の供給量を制御する汚泥供給量制御部と、
前記水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加された汚泥を圧搾する脱水装置に具備された回転体の回転数を制御する回転数制御部とを有する制御装置。
【請求項9】
脱水装置の入口の被処理汚泥の性状を示す性状指標を算出する処理と、
前記性状指標に基づいて、添加装置が前記被処理汚泥に添加する凝集剤の添加量を制御する処理と、
水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加される被処理汚泥が貯留される凝集槽への前記水槽からの前記被処理汚泥の供給量を制御する処理と、
前記水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加された汚泥を圧搾する脱水装置に具備された回転体の回転数を制御する処理とを行う汚泥処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
脱水装置の入口の被処理汚泥の性状を示す性状指標を算出する手順と、
前記性状指標に基づいて、添加装置が前記被処理汚泥に添加する凝集剤の添加量を制御する手順と、
水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加される被処理汚泥が貯留される凝集槽への前記水槽からの前記被処理汚泥の供給量を制御する手順と、
前記水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加された汚泥を圧搾する脱水装置に具備された回転体の回転数を制御する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥処理システム、制御装置、汚泥処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥を処理する方法の1つとして、水槽に貯留された汚泥に所定の凝集剤を添加し、凝集剤が添加された汚泥から水分を除去するため、脱水機を用いて脱水汚泥とろ液とに固液分離する方法が挙げられる。このような方法を用いる場合、廃棄物となる脱水汚泥の含水率を低減させて、廃棄物量を削減させている。例えば、特許文献1には、スラリーの供給圧力と、スクリュー回転数と、凝集剤の薬注量との少なくとも2つを制御し、スクリューの駆動トルクを設定範囲にするスクリュープレス型脱水機の運転方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-107628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような技術においては、所定の含水率を得るため、スクリューの駆動トルクを設定範囲にするよう、スクリュー回転数や供給圧力等を制御している。しかし、汚泥発生量が多い場合、汚泥が貯留された水槽の水位が上昇し、スクリューの駆動トルクを設定範囲にするような制御では、脱水機の汚泥処理が追い付かず、前段設備が停止する恐れがあり、汚泥供給量が不安定となった結果、所定の含水率や安定した汚泥処理量を得ることが困難であるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、汚泥の発生量が変化した場合であっても、汚泥の安定した処理量と固液分離された脱水汚泥の含水率とを保持することができる汚泥処理システム、制御装置、汚泥処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の汚泥処理システムは、
被処理汚泥が流入する水槽と、
前記水槽に貯留された前記被処理汚泥の界面の高さを測定する界面測定手段と、
前記被処理汚泥が前記水槽から流入する凝集槽と、
前記水槽から前記凝集槽へ前記被処理汚泥を供給する汚泥供給部と、
前記凝集槽に貯留された前記被処理汚泥に凝集剤を添加する添加装置と、
前記凝集剤が添加された汚泥を回転体によって圧搾する脱水装置と、
前記脱水装置の入口の被処理汚泥の性状を示す性状指標に基づいて、前記添加装置が添加する前記凝集剤の添加量を制御し、前記界面測定手段が測定した値に基づいて、前記汚泥供給部が供給する前記被処理汚泥の量と前記回転体の回転数との少なくとも一方を制御する制御装置とを有する。
【0007】
また、本発明の制御装置は、
脱水装置の入口の被処理汚泥の性状を示す性状指標を算出する指標算出部と、
前記性状指標に基づいて、添加装置が前記被処理汚泥に添加する凝集剤の添加量を制御する添加量制御部と、
水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加される被処理汚泥が貯留される凝集槽への前記水槽からの前記被処理汚泥の供給量を制御する汚泥供給量制御部と、
前記水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加された汚泥を圧搾する脱水装置に具備された回転体の回転数を制御する回転数制御部とを有する。
【0008】
また、本発明の汚泥処理方法は、
脱水装置の入口の被処理汚泥の性状を示す性状指標を算出する処理と、
前記性状指標に基づいて、添加装置が前記被処理汚泥に添加する凝集剤の添加量を制御する処理と、
水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加される被処理汚泥が貯留される凝集槽への前記水槽からの前記被処理汚泥の供給量を制御する処理と、
前記水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加された汚泥を圧搾する脱水装置に具備された回転体の回転数を制御する処理とを行う。
【0009】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
コンピュータに、
脱水装置の入口の被処理汚泥の性状を示す性状指標を算出する手順と、
前記性状指標に基づいて、添加装置が前記被処理汚泥に添加する凝集剤の添加量を制御する手順と、
水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加される被処理汚泥が貯留される凝集槽への前記水槽からの前記被処理汚泥の供給量を制御する手順と、
前記水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さに基づいて、前記凝集剤が添加された汚泥を圧搾する脱水装置に具備された回転体の回転数を制御する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、汚泥の発生量が変化した場合であっても、汚泥の安定した処理量と固液分離された脱水汚泥の含水率とを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の汚泥処理システムの第1の実施の形態を示す図である。
図2図1に示した制御装置が具備する構成要素の一例を示す図である。
図3A図1に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの凝集指標に基づいた添加量の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図3B図1に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの凝集指標に基づいた添加量の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図4図1に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの汚泥貯槽の水位に基づいた汚泥供給装置からの汚泥供給量および圧搾部回転装置の回転数の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の汚泥処理システムの第2の実施の形態を示す図である。
図6図5に示した制御装置が具備する構成要素の一例を示す図である。
図7図5に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの汚泥貯槽および凝集槽の水位に基づいた汚泥供給装置からの汚泥供給量および圧搾部回転装置の回転数の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の汚泥処理システムの第3の実施の形態を示す図である。
図9図8に示した制御装置が具備する構成要素の一例を示す図である。
図10図8に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの汚泥貯槽および凝集槽の水位ならびに固形物の供給量に基づいた汚泥供給装置からの汚泥供給量および圧搾部回転装置の回転数の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図11】本発明の汚泥処理システムの第4の実施の形態を示す図である。
図12図11に示した制御装置が具備する構成要素の一例を示す図である。
図13図11に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの汚泥濃度に基づいた添加量の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図14】本発明の汚泥処理システムの第5の実施の形態を示す図である。
図15図14に示した制御装置が具備する構成要素の一例を示す図である。
図16図14に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの水槽の界面の高さに基づいた汚泥供給装置からの汚泥供給量および圧搾部回転装置の回転数の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0013】
図1は、本発明の汚泥処理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における汚泥処理システムは図1に示すように、汚泥貯槽10と、凝集槽20と、脱水機30と、水位計11と、センサ22と、制御装置100と、汚泥供給装置200と、添加装置300と、凝集剤貯槽301と、圧搾部回転装置400とを有する。
【0014】
汚泥貯槽10は、処理対象となる被処理汚泥が流入し、流入された被処理汚泥を貯留する貯留槽である。被処理汚泥には、下水処理場の処理過程や工場の廃液処理工程で生じる、有機物や無機物の最終生成物が凝集してできた泥状の物質が含まれる。有機物の汚泥としては、例えば、食品工場や半導体工場、製紙工場、下水処理水再利用工場の凝集沈殿や加圧浮上のスカム、膜分離余剰汚泥や、下水処理場の活性汚泥等が挙げられる。無機物の汚泥としては、例えば、排水からの金属や凝集剤、石灰、カルシウム由来等の汚泥が挙げられる。ただし、これらに限定しない。また、被処理汚泥は廃棄物であるため、そのまま使用できない。そのため、被処理汚泥に対して、例えば、凝集剤を添加して行う凝集処理や、脱水機を用いた圧搾や遠心分離などの脱水処理により、被処理汚泥から脱水汚泥を取り除き、再利用可能な液体を取得する。脱水汚泥は、含水率がより低い状態が望ましく、廃棄物として処理、または肥料などに再利用される。汚泥貯槽10は、所定の容量を持つ。
【0015】
水位計11は、汚泥貯槽10に設けられ、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位を測定する第1の水位計である。水位計11は、測定した水位の値を制御装置100へ出力する。なお、水位計11は、あらかじめ設定された水位を超えているか否かを判定し、その判定結果を制御装置100へ出力するだけのものでも良い。
【0016】
凝集槽20は、汚泥貯槽10に貯留されていた被処理汚泥が、汚泥供給装置200を用いて流入(供給)されて貯留される水槽である。凝集槽20は、所定の容量を持つ。なお、凝集槽20に、処理汚泥を攪拌する攪拌部材が設けられていても良い。
【0017】
汚泥供給装置200は、汚泥貯槽10から凝集槽20へ被処理汚泥を供給する汚泥供給部である。汚泥供給装置200は、制御装置100からの指示に基づいた量の被処理汚泥を汚泥貯槽10から凝集槽20へ供給する。汚泥供給装置200は、汚泥貯槽10に貯留された汚泥を凝集槽20へ送液する汚泥供給ポンプを備えている。汚泥供給ポンプは、ポンプ回転数を制御するインバーター等、制御装置100からの出力信号に応じてポンプ回転数を制御可能な機構を備えていることが好ましい。汚泥供給量の制御方法は、汚泥供給ポンプのインバーター制御に限定されず、汚泥供給ポンプと凝集槽20との間に開度を調整できる制御弁などを用いた制御でも良い。また、インバーター制御と制御弁を用いた制御とを併用しても良い。なお、ポンプ回転数の制御はインバーターによる周波数(Hz)制御の他に、アナログ信号やデジタル信号をポンプへ送る制御でも良い。汚泥供給ポンプは特に制限はないが、汚泥供給ポンプとして例えば、スクリューポンプや回転容積式一軸偏心ねじポンプ等が挙げられる。
【0018】
添加装置300は、凝集槽20に貯留された汚泥に凝集剤貯槽301に貯められた凝集剤を添加する。添加装置300は、制御装置100からの指示に基づいた添加量の凝集剤を凝集剤貯槽301から凝集槽20に貯留された汚泥に添加する。添加装置300は、凝集剤貯槽301から凝集剤を送液する凝集剤添加ポンプを備える。凝集剤添加ポンプは、ポンプ回転数を制御するインバーター等、制御装置100からの出力信号に応じてポンプ回転数を制御可能な機構を備えている。なお、ポンプ回転数制御は、インバーターによる周波数(Hz)制御の他に、アナログ信号やデジタル信号をポンプへ送る制御でも良い。凝集剤貯槽301に貯留されている凝集剤は、無機の凝集剤でも有機の凝集剤でも良い。凝集剤貯槽301に貯留されている凝集剤が無機凝集剤である場合、当該凝集剤はアルミニウム系(PAC、硫酸バンド等)、鉄系(ポリ鉄、塩化第二鉄)等でも良く、特に限定しない。また、凝集剤貯槽301に貯留されている凝集剤が有機凝集剤である場合、当該凝集剤はカチオンやアニオン、または両性でも良い。凝集剤貯槽301は、凝集剤の種類に応じて分けられていても良い。また、添加装置300は、凝集剤を凝集槽20に添加するだけでなく、配管中に添加しても良い。添加装置300が複数の凝集剤を添加する場合、同一の凝集槽に複数の添加剤を添加しても良いし、複数の凝集槽それぞれに複数の凝集剤それぞれを添加しても良い。無機凝集剤と有機凝集剤とを併用する場合、添加装置300は、無機凝集剤を有機凝集剤よりも前段で添加することが好ましい。
【0019】
センサ22は、凝集槽20に貯留された汚泥に添加装置300から凝集剤が添加された汚泥中の凝集物(フロック)の状態を取得する。センサ22は、例えば、汚泥の画像を撮像する非接液の画像センサ(カメラ)であっても良い。センサ22は、赤外線センサであることが好ましい。センサ22は、凝集槽20内の汚泥の画像をあらかじめ設定された時間間隔以下の時間間隔で撮像するカメラ(例えば、継続的に撮像を行う動画撮像用カメラ)であっても良い。センサ22は、取得(撮像)した画像を示す画像データを制御装置100へ出力する。センサ22の固定方法は特に規定しない。センサ22がカメラである場合、センサ22は、凝集槽20に貯留された汚泥を必ずしも鉛直方向上側から撮像する必要は無く、凝集槽20に貯留された液面を介して汚泥を撮像することができれば、所定の角度を持つ斜め上方から撮像しても良い。つまり、センサ22の具体的な設置位置は、凝集槽20に貯留された汚泥を、液面を介して撮像できる位置であれば良い。凝集槽20が密閉型である場合は、凝集槽20の上部や側部に透明部材を設け、透明部材を介して液面を撮像しても良い。または、汚泥を鉛直方向へ流下させ、センサ22であるカメラは、流下する汚泥を水平方向から撮像しても良い。例えば、凝集槽20に貯留された汚泥を鉛直方向の上から下へ流下させる、透明部材からなる配管を設け、当該配管中を流下する汚泥をカメラが配管外の水平方向から撮像しても良い。
【0020】
脱水機30は、凝集槽20で処理された汚泥に脱水をかけて、ろ液と脱水汚泥とに分離(固液分離)させて排出する脱水装置である。具体的には、脱水機30は、凝集槽20から流入された添加装置300から凝集剤が添加された汚泥を回転体によって圧搾する。脱水機30は、スクリュープレス型や多重円盤型、ベルトプレス型など、圧搾部を持つ。脱水機30は、圧搾部回転装置400を備える。圧搾部回転装置400は、スクリューや多重円盤、ローラーなどの回転体と、その回転体の回転数を出力制御するインバーターとを備える。分離された固形物である脱水汚泥は、回転体の最後部から脱水汚泥としてホッパー等に供給され、さらに乾燥等の処理がされるか、産業廃棄物として運搬される。また、分離されたろ液は、排水の調整槽などに返送される。なお、凝集槽20から圧搾部回転装置400への汚泥供給方法に制限はなく、例えば、凝集槽20内の汚泥の高さと、凝集汚泥供給配管と圧搾部回転装置400入口とを接続する接続部の高さとの水位差による送液やポンプ圧送を用いた方法でも良い。ただし、ポンプ圧送を使用した場合、凝集汚泥を崩してしまう恐れがあるため、水位差による送液が好ましい。水位差による送液を行う場合、凝集槽20から圧搾部回転装置400までの汚泥供給配管を短くし、且つ凝集槽20から圧搾部回転装置400にかけて下り勾配を設けることが好ましい。
【0021】
図2は、図1に示した制御装置100が具備する構成要素の一例を示す図である。図1に示した制御装置100は図2に示すように、指標算出部110と、添加量制御部120と、汚泥供給量制御部130と、回転数制御部140とを有する。なお、図2には、図1に示した制御装置100が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0022】
指標算出部110は、センサ22が取得した凝集物の状態を示す凝集指標を算出する。センサ22が画像センサである場合、指標算出部110は、画像センサが撮像した画像から凝集槽20内の汚泥中の凝集物の特徴量を凝集指標として算出する。ここで、指標算出部110は、画像センサが撮像した画像から、凝集槽20内の汚泥に含まれる浮遊物質の個数または粒子径または変位量を特徴量として算出する。例えば、指標算出部110は、画像センサが撮像した画像(動画)に対して、Motion History Image等の画像処理技術を用いて、フレーム間にて差異のある部分を白色に着色し、その着色した白点のカウント数(変位量)を特徴量として算出しても良い。また、指標算出部110は、Optical flow等の画像処理技術を用いて、凝集槽20内の汚泥中のフロックのフローを可視化し、フローの幅を測定して粒子径を特徴量として算出しても良い。または、センサ22が画像センサである場合、指標算出部110は、画像センサが撮像した画像から凝集槽20内の汚泥中の凝集物のエッジ数を凝集指標として算出する。ここで、指標算出部110は、画像センサが撮像した画像中の互いに隣接する画素の色差(例えば、RGBの値の差)が閾値以上である画素を凝集物のエッジとして検出し、その検出された画素数の単位面積当たり(撮像範囲)の総和であるエッジピクセル数を凝集物の特徴量として数値化して、算出しても良い。または、センサ22が画像センサである場合、指標算出部110は、画像センサが撮像した画像から凝集槽20内の汚泥中の凝集物の面積を凝集指標として算出しても良い。または、センサ22が画像センサである場合、指標算出部110は、画像センサが撮像した画像から凝集槽20内の汚泥中の凝集物の個数を凝集指標として算出しても良い。また、センサ22が画像センサである場合、指標算出部110は、画像センサが撮像した画像から凝集槽20内の汚泥中の凝集物のエッジ数と面積と個数との任意の組み合わせを凝集指標として算出しても良い。
【0023】
添加量制御部120は、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を変化させたときの、指標算出部110が算出した凝集指標の変化量に基づいて、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を制御する。具体的には、添加量制御部120は、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を変化させたときの凝集指標の変化量と、添加装置300が添加する凝集剤の添加量の変化量とに基づいて、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を制御する。さらに具体的には、添加量制御部120は、添加装置300が添加する凝集剤の添加量の変化量に対する凝集指標の変化量の割合である凝集変化量と、あらかじめ設定された閾値(第2の閾値)とを比較する。そして、添加量制御部120は、その比較の結果に基づいて、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を制御する。凝集変化量Vnは、以下に示す(式1)で算出される。
【0024】
【数1】
【0025】
(式1)において、Cnは凝集指標である。Cn-1は凝集剤の添加量の変更前の凝集指標である。また、Pnは凝集剤の添加量である。Pn-1は凝集剤の添加量の変更前の凝集剤の添加量である。
【0026】
凝集変化量Vnがあらかじめ設定された閾値以下である場合、添加量制御部120は、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を減らす制御を行う。一方、凝集変化量Vnがあらかじめ設定された閾値を超える場合、添加量制御部120は、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を増やす制御を行う。この動作の繰り返しにより、凝集変化量Vnはあらかじめ設定された閾値に近づくため、最適な凝集状態を維持することが可能となる。
【0027】
なお、脱水機30からのろ液を貯留するろ液貯槽に汚泥濃度計を設置し、制御装置100は、当該汚泥濃度計が測定した汚泥濃度に基づいて、添加装置300からの凝集剤の添加量を制御しても良い。この場合、制御装置100は、当該汚泥濃度計の測定値が閾値よりも大きくなると、添加装置300からの凝集剤の添加量を増加させ、当該汚泥濃度計の測定値が閾値よりも小さくなると、添加装置300からの凝集剤の添加量を減少させる、もしくは、維持するように制御することが好ましい。
【0028】
汚泥供給量制御部130は、水位計11が測定した値に基づいて、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を制御する。水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えている場合、汚泥貯槽10への被処理汚泥の貯留に余裕がなく、前段の設備に影響を及ぼすおそれがある。その場合、汚泥貯槽10の水位を下げるために、汚泥供給量制御部130は、汚泥供給装置200が汚泥貯槽10から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量を増加させる。水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値以下となった場合、汚泥供給量制御部130は、汚泥供給装置200が汚泥貯槽10から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量を維持する。このとき、汚泥供給装置200が汚泥貯槽10から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えている場合、汚泥供給量制御部130は、汚泥供給装置200が汚泥貯槽10から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量を減少させる。なお、水位計11が測定した値があらかじめ設定された下限値を下回る場合、汚泥供給量制御部130は、汚泥貯槽10から凝集槽20への被処理汚泥の供給を停止しても良い。なお、被処理汚泥の供給量の増加幅および減少幅は、特に規定しない。例えば、被処理汚泥の供給量の増加幅および減少幅は、あらかじめ設定されていても良い。
【0029】
回転数制御部140は、水位計11が測定した値に基づいて、圧搾部回転装置400の回転数を制御する。水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えている場合、汚泥貯槽10への被処理汚泥の貯留に余裕がなく、汚泥貯槽10の過剰な水位上昇を防ぐため、前段の設備を停止させるなどの影響を及ぼすおそれがある。その場合、汚泥貯槽10の水位を下げるために、回転数制御部140は圧搾部回転装置400の回転数を増加させる。一方、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値以下である場合、汚泥貯槽10への被処理汚泥の貯留に余裕がある。その場合、固液分離された脱水汚泥の含水率を下げるために、回転数制御部140は圧搾部回転装置400の回転数を減少させる。ただし、圧搾部回転装置400の回転数に下限値を設け、回転数制御部140は圧搾部回転装置400の回転数が下限値よりも大きくなるように制御する。この下限値は、脱水機30の仕様や、スクリュー等圧搾部への負荷、過電流発生の回避等を考慮してあらかじめ設定された値である。また、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値以下であって、汚泥供給装置200が汚泥貯槽10から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えていない場合、回転数制御部140は圧搾部回転装置400の回転数を減少させる。なお、水位計11が測定した値と比較する閾値として、2つの閾値(第1の閾値>第2の閾値)を設けても良い。この場合、水位計11が測定した値が第1の閾値を超える値となると、回転数制御部140は圧搾部回転装置400の回転数を増加させる。水位計11が測定した値が第1の閾値以下であり且つ第2の閾値を超える値となると、回転数制御部140は圧搾部回転装置400の回転数を維持させる。水位計11が測定した値が第2の閾値以下の値となると、回転数制御部140は圧搾部回転装置400の回転数を減少させる。
【0030】
制御装置100は、水位計11が測定した値に基づいて、汚泥供給量制御部130による被処理汚泥の供給量の制御と、回転数制御部140による圧搾部回転装置400の回転数の制御とのいずれか一方を行っても良い。
【0031】
以下に、図1に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法について説明する。図3A,3Bは、図1に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの凝集指標に基づいた添加量の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0032】
まず、添加装置300が凝集槽20に凝集剤貯槽301から凝集剤を添加量Pn-1で添加する(ステップS1)。あらかじめ設定された時間が経過した後(ステップS2)、制御装置100の指標算出部110が、センサ22が取得した凝集槽20内の汚泥中の凝集物の状態から凝集指標Cn-1を算出する(ステップS3)。その後、添加装置300が凝集槽20に凝集剤貯槽301から凝集剤を添加量Pnで添加する(ステップS4)。あらかじめ設定された時間が経過した後(ステップS5)、制御装置100の指標算出部110が、センサ22が測定した凝集槽20内の汚泥中の凝集物の状態から凝集指標Cnを算出する(ステップS6)。すると、制御装置100の指標算出部110が、(式1)を用いて、凝集変化量Vnを算出する(ステップS7)。なお、凝集変化量Vnの算出は、指標算出部110ではなく、添加量制御部120が行っても良い。
【0033】
制御装置100の添加量制御部120は、算出された凝集変化量Vnがあらかじめ設定された閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS8)。凝集変化量Vnがあらかじめ設定された閾値を超える値である場合、添加量制御部120は、添加装置300から添加する凝集剤の量を増やす(ステップS9)。添加量制御部120は、量を増やした添加量Pn+1の凝集剤を凝集剤貯槽301から添加するように添加装置300を制御する(ステップS10)。一方、ステップS8にて、凝集変化量Vnがあらかじめ設定された閾値以下である場合、添加量制御部120は、添加装置300から添加する凝集剤の量を減らす(ステップS11)。添加量制御部120は、量を減らした添加量Pn+1の凝集剤を凝集剤貯槽301から添加するように添加装置300を制御する(ステップS12)。その後、ステップS5の処理が行われる。なお、凝集剤の増やす量および減らす量は、あらかじめ設定された量であっても良いし、凝集変化量に応じて算出された量であっても良い。
【0034】
図4は、図1に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの汚泥貯槽10の水位に基づいた汚泥供給装置200からの汚泥供給量および圧搾部回転装置400の回転数の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0035】
まず、制御装置100が、水位計11が測定した、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS21)。汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、回転数制御部140は、圧搾部回転装置400の回転数を増加させる(ステップS22)。あらかじめ設定された時間が経過した後、制御装置100が、水位計11が測定した、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを再度判定する(ステップS23)。ステップS23にて、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、汚泥供給量制御部130は、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を増加させる(ステップS24)。その後、ステップS21の処理が行われる。なお、ステップS21→S24→S23→S22の順序で各処理が行われても良い。汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えている場合、後段の凝集槽20の被処理汚泥の水位の過剰な上昇を招くおそれがある。そのため、制御装置100は、まずは圧搾部回転装置400の回転数を増加させることが好ましい。これにより、汚泥貯槽10や凝集槽20の水位上昇に伴う汚泥供給停止(脱水処理設備の停止)を防止することができる。
【0036】
一方、ステップS21にて、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、汚泥供給量制御部130は、汚泥供給装置200が汚泥貯槽10から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS25)。汚泥供給装置200が汚泥貯槽10から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えている場合、汚泥供給量制御部130は、汚泥供給装置200が汚泥貯槽10から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量を減少させる(ステップS26)。その後、ステップS21の処理が行われる。
【0037】
ステップS25にて、汚泥供給装置200が汚泥貯槽10から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えていない場合、回転数制御部140は、圧搾部回転装置400の回転数を減少させる(ステップS27)。減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えているかどうかを制御装置100が判定する(ステップS28)。減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えていないと判定された場合、回転数制御部140は、圧搾部回転装置400の回転数を下限値に設定する(ステップS29)。その後、ステップS21の処理が行われる。
【0038】
ステップS23にて、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、ステップS25の処理が行われる。また、ステップS28にて、減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えていると判定された場合、ステップS21の処理が行われる。
【0039】
なお、凝集槽20と脱水機30との間に濃縮凝集混和槽を設けても良いが、最適な凝集状態を維持することで、濃縮凝集混和槽で濃縮して汚泥濃度(固形物量)を安定させる必要はなく、濃縮凝集混和槽を設けなくても良い。濃縮凝集混和槽を設けないことにより、省スペース化やコストダウンを実現することができる。
【0040】
上述したように、圧搾部回転装置400の回転数の制御によって、汚泥貯槽10の水位が閾値以下に抑えられる。汚泥貯槽10の水位が抑えられることにより、次段に配置された凝集槽20の水位が低下する。凝集槽20における低い水位での水位変動によって、最適な凝集剤添加量が変動する。一方、センサ22が取得した凝集槽20内の状態に応じて凝集剤の添加量を制御する。つまり、凝集槽20の水位変動に追従して凝集剤の添加量の制御を行うことで、より精度良く最適な凝集条件を保持できるため、適当な処理量と含水率とを保持することができる。
【0041】
また、実際には、流入原水や工場の生産品目の変動、凝集沈殿や加圧浮上、膜分離等の汚泥を生成する処理工程によって、生成される汚泥の濃度や組成、粘性、色、すなわち汚泥性状が大きく変動する場合がある。例えば、食品製造工場では、製造する食品や飲料の種類が頻繁に変わることにより、汚泥性状が大きく変動する。その場合、供給される汚泥の性状によって凝集剤の最適添加量が異なるため、性状の変化に応じて、凝集剤添加量を最適な値に制御する必要がある。本形態においては、センサ22を用いて汚泥の凝集状態を常に監視し、得られた凝集指標から凝集剤の添加量を制御している。そのため、汚泥性状の変動が激しい場合であっても、最適な凝集状態を維持でき、含水率も低減可能である。
【0042】
このように本形態においては、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えている場合、汚泥の供給量や圧搾部の回転数を増加させることで、汚泥貯槽10の過剰な水位上昇を防ぎ、汚泥貯槽10の前段に配置された設備が停止することを防ぐ。また、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値以下である場合は、脱水機30が時間をかけて脱水処理を行うことにより、脱水汚泥の含水率を低減できる。これにより、設備を効率的に運用することができる。通常、汚泥脱水機は計画汚泥量に対し、十分な余裕を見て設計されるため、その余裕分を効果的に使うことができる。また、汚泥貯槽10の水位調整により汚泥の処理量を急激に変化させた場合、従来の凝集剤の固定添加や自動添加の制御では、添加量の調整が適切ではなく、凝集状態を最適化できない。そのため、脱水汚泥の含水率を低減することが困難であるという課題があった。しかし、本形態においては、センサ22を用いて汚泥の凝集状態を常に監視することで、凝集剤の添加量を迅速に制御する。これにより、凝集槽20での凝集状態を最適化できるため、汚泥貯槽10の水位を調整した場合でも脱水汚泥の含水率の低減が可能となる。このように本形態においては、汚泥貯槽10の水位を監視しつつ、凝集剤添加量と汚泥供給量と脱水機回転数とを制御することで、汚泥の発生量が変化しても、安定した処理量と脱水汚泥の含水率とを保持することができる。
(第2の実施の形態)
【0043】
図5は、本発明の汚泥処理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における汚泥処理システムは図5に示すように、汚泥貯槽10と、凝集槽20と、脱水機30と、水位計11,21と、センサ22と、制御装置101と、汚泥供給装置200と、添加装置300と、凝集剤貯槽301と、圧搾部回転装置400とを有する。汚泥貯槽10、凝集槽20、脱水機30、水位計11、センサ22、汚泥供給装置200、添加装置300、凝集剤貯槽301および圧搾部回転装置400のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0044】
水位計21は、凝集槽20に設けられ、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位を測定する第2の水位計である。水位計21は、測定した水位の値を制御装置101へ出力する。なお、水位計21は、あらかじめ設定された水位を超えているか否かを判定し、その判定結果を制御装置101へ出力するだけのものでも良い。
【0045】
図6は、図5に示した制御装置101が具備する構成要素の一例を示す図である。図5に示した制御装置101は図6に示すように、指標算出部110と、添加量制御部120と、汚泥供給量制御部131と、回転数制御部141とを有する。指標算出部110および添加量制御部120それぞれは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。なお、図6には、図5に示した制御装置101が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0046】
汚泥供給量制御部131は、水位計11が測定した値と水位計21が測定した値とに基づいて、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を制御する。具体的には、後述する条件で回転数制御部141が圧搾部回転装置400の回転数を増加させた後に、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合、汚泥貯槽10への被処理汚泥の貯留に余裕がなく、汚泥貯槽10の過剰な水位上昇を防ぐため、前段の設備を停止させるなどの影響を及ぼすおそれがある。そこで、汚泥貯槽10の水位を下げるために、汚泥供給量制御部131は、汚泥貯槽10から凝集槽20へ供給する被処理汚泥の供給量を増加させる。また、後述する条件で回転数制御部141が圧搾部回転装置400の回転数を増加させた後に、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値以下となり、水位計21が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合、汚泥供給量制御部131は、汚泥貯槽10から凝集槽20へ供給する被処理汚泥の供給量を減少させる。また、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値以下であっても、水位計21が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合は、汚泥供給量制御部131は、汚泥貯槽10から凝集槽20へ供給する被処理汚泥の供給量を減少させる。ここで、水位計11が測定した値と比較する閾値と、水位計21が測定した値と比較する閾値とは、互いに異なる値でも良いし、同じ値でも良い。なお、被処理汚泥の供給量の増加幅および減少幅は、特に規定しない。例えば、被処理汚泥の供給量の増加幅および減少幅は、あらかじめ設定されていても良い。
【0047】
回転数制御部141は、水位計11が測定した値と水位計21が測定した値とに基づいて、圧搾部回転装置400の回転数を制御する。具体的には、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合、汚泥貯槽10への被処理汚泥の貯留に余裕がなく、汚泥貯槽10の過剰な水位上昇を防ぐため、前段の設備を停止させるなどの影響を及ぼすおそれがある。その場合、汚泥貯槽10の水位を下げるために、回転数制御部141は圧搾部回転装置400の回転数を増加させる。また、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を汚泥供給量制御部131が減少させても水位計21が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合、回転数制御部141は圧搾部回転装置400の回転数を増加させる。一方、水位計21が測定した値があらかじめ設定された閾値を以下となった場合、凝集槽20への被処理汚泥の貯留に余裕がある。その場合、回転数制御部141は圧搾部回転装置400の回転数を減少させる。ただし、第1の実施の形態と同様に、圧搾部回転装置400の回転数に下限値を設け、回転数制御部141は圧搾部回転装置400の回転数が下限値よりも大きくなるように制御する。この下限値は、脱水機30の仕様や、スクリュー等圧搾部への負荷、過電流発生の回避等を考慮してあらかじめ設定された値である。
【0048】
以下に、図5に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法について説明する。図5に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの凝集指標に基づいた添加量の制御方法については、第1の実施の形態と同じである。図7は、図5に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの汚泥貯槽10および凝集槽20の水位に基づいた汚泥供給装置200からの汚泥供給量および圧搾部回転装置400の回転数の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0049】
まず、制御装置101が、水位計11が測定した、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS31)。汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、回転数制御部140は、圧搾部回転装置400の回転数を増加させる(ステップS32)。あらかじめ設定された時間が経過した後、制御装置101が、水位計11が測定した、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを再度判定する(ステップS33)。ステップS33にて、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、汚泥供給量制御部130は、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を増加させる(ステップS34)。その後、ステップS31の処理が行われる。なお、ステップS31→S34→S33→S32の順序で各処理が行われても良い。汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えている場合、後段の凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位の過剰な上昇を招くおそれがある。そのため、制御装置101は、まずは圧搾部回転装置400の回転数を増加させることが好ましい。これにより、汚泥貯槽10や凝集槽20の水位上昇に伴う汚泥供給停止(脱水処理設備の停止)を防止することができる。
【0050】
一方、ステップS31にて、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、制御装置101が、水位計21が測定した、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS35)。凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、汚泥供給量制御部131は、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を減少させる(ステップS36)。あらかじめ設定された時間が経過した後、制御装置101が、水位計21が測定した、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを再度判定する(ステップS37)。ステップS37にて、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、回転数制御部141は、圧搾部回転装置400の回転数を増加させる(ステップS38)。なお、ステップS35→S38→S37→S36の順序で各処理が行われても良い。ただし、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えている場合、圧搾部回転装置400の回転数を増加させると、排出汚泥の含水率が増加するおそれがある。そのため、制御装置101は、まずは汚泥供給量を減少させて、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位を低下させることが好ましい。その後、ステップS31の処理が行われる。また、ステップS33にて、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、ステップS35の処理が行われる。
【0051】
ステップS35にて、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、回転数制御部141は、圧搾部回転装置400の回転数を減少させる(ステップS39)。減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えているかどうかを制御装置101が判定する(ステップS40)。減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えていないと判定された場合、回転数制御部141は、圧搾部回転装置400の回転数を下限値に設定する(ステップS41)。その後、ステップS31の処理が行われる。また、ステップS37にて、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、ステップS39の処理が行われる。また、ステップS40にて、減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えていると判定された場合、ステップS31の処理が行われる。
【0052】
このように本形態においては、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えている場合、汚泥の供給量や圧搾部の回転数を増加させることで、汚泥貯槽10の前段に配置された設備が停止することを防ぐ。また、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていない場合であっても、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えている場合、汚泥の供給量を減少させたり、圧搾部の回転数を増加させたりすることで、前段の設備からの汚泥供給の停止や、凝集槽20から脱水機30への汚泥供給量の減少、脱水機30への固形物供給量や圧搾圧力の低下、脱水汚泥の含水率の増加等を回避することができる。また、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていない場合、凝集槽20の水位に余裕があり、凝集槽20から圧搾部回転装置400への汚泥供給は安定しているため、制御装置101が圧搾部の回転数を減少させ、脱水汚泥の含水率を低下させる。スクリュー等圧搾部への負荷を考えて、圧搾部の回転数は下限値より大きくする。このように本形態においては、第1の実施の形態における効果に加えて、汚泥貯槽10および凝集槽20の水位を監視しつつ、凝集剤添加量と汚泥供給量と脱水機回転数とを制御することで、汚泥の発生量が変化しても、さらなる安定した処理量と脱水汚泥の含水率とを保持することができる。
(第3の実施の形態)
【0053】
図8は、本発明の汚泥処理システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における汚泥処理システムは図8に示すように、汚泥貯槽10と、凝集槽20と、脱水機30と、水位計11,21と、センサ22と、制御装置102と、汚泥供給装置200と、添加装置300と、凝集剤貯槽301と、圧搾部回転装置400と、固形物供給量測定部40と、濃度計41と、流量計42とを有する。汚泥貯槽10、凝集槽20、脱水機30、水位計11、センサ22、汚泥供給装置200、添加装置300、凝集剤貯槽301および圧搾部回転装置400のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。水位計21は、第2の実施の形態におけるものと同じものである。
【0054】
濃度計41は、汚泥供給装置200が凝集槽20へ供給する被処理汚泥の汚泥濃度を測定する。濃度計41は、被処理汚泥の汚泥濃度を測定できるものであれば特に限定しないが、SS(Suspended Solids)計であることが好ましい。濃度計41は、測定した値を固形物供給量測定部40へ出力する。
【0055】
流量計42は、汚泥供給装置200が凝集槽20へ供給する被処理汚泥の流量を測定する。流量計42は、測定した値を固形物供給量測定部40へ出力する。
【0056】
固形物供給量測定部40は、汚泥供給装置200が凝集槽20へ供給する被処理汚泥の固形物量を測定する。このとき、固形物供給量測定部40は、濃度計41が測定した値を取得し、流量計42が測定した値を取得し、取得した値を用いて汚泥供給装置200が凝集槽20へ供給する被処理汚泥の固形物量を測定(算出)する。固形物供給量測定部40は、測定した固形物量の値を制御装置102へ出力する。また、固形物供給量測定部40は、濃度計41が測定した値を制御装置102へ出力する。
【0057】
図9は、図8に示した制御装置102が具備する構成要素の一例を示す図である。図8に示した制御装置102は図9に示すように、指標算出部110と、添加量制御部120と、汚泥供給量制御部132と、回転数制御部142とを有する。指標算出部110および添加量制御部120それぞれは、第1の実施の形態における指標算出部110および添加量制御部120それぞれと同じものである。なお、図9には、図8に示した制御装置102が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0058】
汚泥供給量制御部132は、水位計11が測定した値と水位計21が測定した値と固形物供給量測定部40が測定した値とに基づいて、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を制御する。具体的には、後述する条件で回転数制御部142が圧搾部回転装置400の回転数を増加させた後に、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合、汚泥貯槽10への被処理汚泥の貯留に余裕がなく、前段の設備に影響を及ぼすおそれがある。その場合、汚泥貯槽10の水位を下げるために、汚泥供給量制御部132は、汚泥貯槽10から凝集槽20へ供給する被処理汚泥の供給量を増加させる。また、後述する条件で回転数制御部142が圧搾部回転装置400の回転数を増加させた後に、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値以下となり、水位計21が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合、凝集槽20の水位を下げるために、汚泥供給量制御部132は、汚泥貯槽10から凝集槽20へ供給する被処理汚泥の供給量を減少させる。また、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値以下であっても、水位計21が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合は、凝集槽20の水位を下げるために、汚泥供給量制御部132は、汚泥貯槽10から凝集槽20へ供給する被処理汚泥の供給量を減少させる。また、水位計21が測定した値があらかじめ設定された閾値以下であっても、固形物供給量測定部40が測定した値があらかじめ設定された閾値以下である場合は、汚泥供給量制御部132は、汚泥貯槽10から凝集槽20へ供給する被処理汚泥の供給量を増加させる。ここで、水位計11が測定した値と比較する閾値と、水位計21が測定した値と比較する閾値とは、互いに異なる値でも良いし同じ値でも良い。なお、被処理汚泥の供給量の増加幅および減少幅は、特に規定しない。例えば、被処理汚泥の供給量の増加幅および減少幅は、あらかじめ設定されていても良い。
【0059】
回転数制御部142は、水位計11が測定した値と水位計21が測定した値と固形物供給量測定部40が測定した値とに基づいて、圧搾部回転装置400の回転数を制御する。具体的には、水位計11が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合、汚泥貯槽10への被処理汚泥の貯留に余裕がなく、汚泥貯槽10の過剰な水位上昇を防ぐため、前段の設備を停止させるなどの影響を及ぼすおそれがある。その場合、回転数制御部142は圧搾部回転装置400の回転数を増加させる。また、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を汚泥供給量制御部132が減少させても水位計21が測定した値があらかじめ設定された閾値を超えた場合、凝集槽20の水位を下げるために、回転数制御部142は圧搾部回転装置400の回転数を増加させる。また、水位計21が測定した値があらかじめ設定された閾値を以下となっても、固形物供給量測定部40が測定した値があらかじめ設定された閾値を超える場合は、回転数制御部142は圧搾部回転装置400の回転数を減少させる。ただし、第1の実施の形態と同様に、圧搾部回転装置400の回転数に下限値を設け、回転数制御部142は圧搾部回転装置400の回転数が下限値よりも大きくなるように制御する。この下限値は、脱水機30の仕様や、スクリュー等圧搾部への負荷、過電流発生の回避等を考慮してあらかじめ設定された値である。
【0060】
図10は、図8に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの汚泥貯槽10および凝集槽20の水位ならびに固形物の供給量に基づいた汚泥供給装置200からの汚泥供給量および圧搾部回転装置400の回転数の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0061】
まず、制御装置102が、水位計11が測定した、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS61)。汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、回転数制御部142は、圧搾部回転装置400の回転数を増加させる(ステップS62)。あらかじめ設定された時間が経過した後、制御装置102が、水位計11が測定した、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを再度判定する(ステップS63)。ステップS63にて、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、汚泥供給量制御部132は、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を増加させる(ステップS64)。その後、ステップS61の処理が行われる。なお、ステップS61→S64→S63→S62の順序で各処理が行われても良い。汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えている場合、後段の凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位の過剰な上昇を招くおそれがある。そのため、制御装置102は、まずは圧搾部回転装置400の回転数を増加させることが好ましい。これにより、汚泥貯槽10や凝集槽20の水位上昇に伴う汚泥供給停止(脱水処理設備の停止)を防止することができる。
【0062】
一方、ステップS61にて、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、制御装置102が、水位計21が測定した、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS65)。凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、汚泥供給量制御部132は、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を減少させる(ステップS66)。あらかじめ設定された時間が経過した後、制御装置102が、水位計21が測定した、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えているかどうかを再度判定する(ステップS67)。ステップS67にて、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていると判定された場合、回転数制御部142は、圧搾部回転装置400の回転数を増加させる(ステップS68)。なお、ステップS65→S68→S67→S66の順序で各処理が行われても良い。ただし、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えている場合、圧搾部回転装置400の回転数を増加させると排出汚泥の含水率が増加するおそれがある。そのため、制御装置102は、まずは汚泥供給量を減少させて、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位を低下させることが好ましい。その後、ステップS61の処理が行われる。また、ステップS63にて、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、ステップS65の処理が行われる。
【0063】
ステップS65にて、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、制御装置102は、固形物供給量測定部40が測定した値(固形物供給量)があらかじめ設定された閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS69)。固形物供給量測定部40が測定した値(固形物供給量)があらかじめ設定された閾値を超えていると判定された場合、回転数制御部142は、圧搾部回転装置400の回転数を減少させる(ステップS70)。減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えているかどうかを制御装置102が判定する(ステップS71)。減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えていないと判定された場合、回転数制御部142は、圧搾部回転装置400の回転数を下限値に設定する(ステップS72)。その後、ステップS61の処理が行われる。また、ステップS71にて、減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えていると判定された場合、ステップS61の処理が行われる。
【0064】
また、ステップS69にて、固形物供給量測定部40が測定した値(固形物供給量)があらかじめ設定された閾値を超えていないと判定された場合、汚泥供給量制御部132は、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を増加させる(ステップS73)。その後、ステップS61の処理が行われる。また、ステップS67にて、凝集槽20に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていないと判定された場合、ステップS69の処理が行われる。
【0065】
なお、本形態において水位計21を具備しない場合、第1の実施の形態における処理に固形物供給量測定部40が測定した固形物供給量に基づく処理が加えられた動作が行われる。
【0066】
このように本形態においては、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えている場合、汚泥の供給量や圧搾部の回転数を増加させることで、汚泥貯槽10の前段に配置された設備が停止することを防ぐ。また、汚泥貯槽10に貯留された被処理汚泥の水位が閾値を超えていない場合であっても、凝集槽20の水位が閾値を超えている場合、汚泥の供給量を減少させたり、圧搾部の回転数を増加させたりすることで、前段の設備からの汚泥供給の停止や、凝集槽20から脱水機30への汚泥供給量の減少、脱水機30への固形物供給量や圧搾圧力の低下、脱水汚泥の含水率の増加等を回避することができる。また、凝集槽20の水位が閾値を超えていない場合、凝集槽20の水位に余裕があり、凝集槽20から圧搾部回転装置400への汚泥供給は安定しているため、さらに、固形物供給量が閾値を超えているかどうかを判定する。固形物供給量が閾値を超えている場合、固形物供給量が十分であり、圧搾圧力に問題ないと考えられるため、制御装置102が圧搾部の回転数を減少させ、脱水汚泥の含水率を低下させる。スクリュー等圧搾部への負荷を考えて、圧搾部の回転数は下限値より大きくする。固形物供給量が閾値を超えていない場合、圧搾部の圧力が低下し脱水汚泥の含水率が増加するおそれがあるため、制御装置102が汚泥供給量を増加させ固形物供給量を増加させる。このように本形態においては、第1および第2の実施の形態における効果に加えて、汚泥濃度、汚泥貯槽10および凝集槽20の水位ならびに固形物の供給量を監視しつつ、凝集剤添加量と汚泥供給量と脱水機回転数とを制御することで、汚泥の発生量が変化しても、さらなる安定した処理量と含水率とを保持することができる。
(第4の実施の形態)
【0067】
図11は、本発明の汚泥処理システムの第4の実施の形態を示す図である。本形態における汚泥処理システムは図11に示すように、汚泥貯槽10と、凝集槽20と、脱水機30と、水位計11,21と、センサ22と、制御装置103と、汚泥供給装置200と、添加装置300と、凝集剤貯槽301と、圧搾部回転装置400と、濃度計41とを有する。本形態における汚泥処理システムは、図8に示した第3の実施の形態における、固形物供給量測定部40および流量計42が具備されていない形態である。
【0068】
図12は、図11に示した制御装置103が具備する構成要素の一例を示す図である。図11に示した制御装置103は図12に示すように、指標算出部110と、添加量制御部123と、汚泥供給量制御部131と、回転数制御部141とを有する。指標算出部110は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。汚泥供給量制御部131および回転数制御部141それぞれは、第2の実施の形態における汚泥供給量制御部131および回転数制御部141それぞれと同じものである。なお、図12には、図11に示した制御装置103が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0069】
添加量制御部123は、第1の実施の形態における添加量制御部120に加えて、以下の機能を具備する。添加量制御部123は、濃度計41が測定した汚泥濃度の単位時間における変化量と、算出した凝集指標の変化量とに基づいて、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を制御する。具体的には、添加量制御部123は、濃度計41から出力されてきた値である汚泥濃度の単位時間における変化量である濃度変化量を算出する。添加量制御部123は、濃度変化量があらかじめ設定された閾値(第1の濃度変化量閾値)を超える場合、濃度が高くなる方へ変化しているのであれば、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を増やす制御を行う。一方、添加量制御部123は、濃度変化量があらかじめ設定された閾値を超える場合、濃度が低くなる方へ変化しているのであれば、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を減らす制御を行う。また、添加量制御部123は、濃度変化量があらかじめ設定された閾値以下である場合、上述した凝集指標に基づいた添加量の制御を行う。
【0070】
以下に、図11に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法について説明する。図11に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの凝集指標に基づいた添加量の制御方法については、第1の実施の形態と同じである。図13は、図11に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの汚泥濃度に基づいた添加量の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0071】
添加量制御部123は、濃度計41から出力されてきた値である汚泥濃度の単位時間における変化量である濃度変化量を算出する(ステップS51)。添加量制御部123は、算出した濃度変化量があらかじめ設定された閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS52)。濃度変化量があらかじめ設定された閾値を超えている場合、添加量制御部123は、汚泥濃度が高くなる(増加する)方へ変化しているかどうかを判定する(ステップS53)。汚泥濃度が高くなる(増加する)方へ変化している場合、添加量制御部123は、添加装置300が凝集剤貯槽301から添加する凝集剤の添加量を増やす(ステップS54)。そして、添加量制御部123は、増やした添加量の凝集剤を凝集剤貯槽301から添加するように添加装置300を制御する(ステップS55)。添加量の増やす量は、あらかじめ設定された量であっても良いし、汚泥濃度の変化量に応じて算出された量であっても良い。
【0072】
一方、ステップS53にて、汚泥濃度が低くなる(減少する)方へ変化している場合、添加量制御部123は、添加装置300が凝集剤貯槽301から添加する凝集剤の添加量を減らす(ステップS56)。そして、添加量制御部123は、減らした添加量の凝集剤を凝集剤貯槽301から添加するように添加装置300を制御する(ステップS57)。添加量の減らす量は、あらかじめ設定された量であっても良いし、汚泥濃度の変化量に応じて算出された量であっても良い。
【0073】
また、ステップS52にて、濃度変化量があらかじめ設定された閾値以下である場合、添加量制御部123は、図3A,3Bに示したフローチャートを用いて説明した凝集指標に基づいた添加量の制御を行う(ステップS58)。
【0074】
なお、図3A,3Bに示したフローチャートを用いて説明した凝集指標に基づいた添加量の制御が行われている間でも、ステップS51,S52の処理は行われており、濃度変化量が閾値を超えると、ステップS53~S57の処理が図3A,3Bに示したフローチャートを用いて説明した凝集指標に基づいた添加量の制御よりも優先して行われる。
【0075】
上述したように、第1~第4の実施の形態における凝集指標に基づいた添加量の制御方法では、制御装置100~103それぞれは、凝集槽20内の汚泥に添加する凝集剤の添加量を変化させたときの、変化前と変化後とでの凝集指標の変化量に基づいて、添加する凝集剤の添加量を制御する。そのため、添加量の基準値や基準範囲を設けるためのデータ収集等の作業を必要とせず、汚泥性状の変化にも迅速に対応することができる。また、既設の混和槽内の凝集物を撮像すれば、添加量の制御が可能であり、増設のコストやスペースを必要としない。つまり、凝集剤を添加したときの凝集物の状態の変化に適した凝集剤の添加量を容易に制御することができる。さらに、制御装置103は、汚泥の濃度の変化量に応じて、汚泥濃度と凝集指標とに基づいた凝集剤の添加量の制御を行う。これにより、汚泥濃度が急激に変化した場合、その変化に迅速に対応することができる。なお、汚泥濃度に基づいた制御として、汚泥濃度に応じて凝集剤添加量を規定値へ変化させる方法を適用しても良い。汚泥濃度変化量が規定値を超えた場合に、凝集剤添加量を規定値だけ変化させることが好ましい。これにより、汚泥濃度が変化した際に、凝集剤添加量をリセットするのではなく、それまでの凝集剤添加量をベースに添加量を変化させるため、より適切かつ迅速に汚泥濃度の変化に対応できる。
(第5の実施の形態)
【0076】
図14は、本発明の汚泥処理システムの第5の実施の形態を示す図である。本形態における汚泥処理システムは図14に示すように、水槽12と、凝集槽20と、脱水機30と、界面測定手段13と、制御装置104と、汚泥供給装置200と、添加装置300と、凝集剤貯槽301と、圧搾部回転装置400とを有する。凝集槽20、脱水機30、汚泥供給装置200、添加装置300、凝集剤貯槽301および圧搾部回転装置400とのそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0077】
水槽12は、処理対象となる被処理汚泥が流入し、流入された被処理汚泥を貯留する。例えば、排水処理設備から発生する余剰汚泥が被処理汚泥として水槽12に流入する。
【0078】
界面測定手段13は、水槽12に貯留された被処理汚泥の界面の高さを測定する。界面測定手段13は、水槽12に貯留された被処理汚泥の水位を測定する水位計(第1の実施の形態における水位計11)でも良い。界面測定手段13が水位計である場合、界面測定手段13として、フロート式、電極式、ガイドパルス式、光学式、圧力式、超音波式等の計器を用いることができる。また、界面測定手段13は、水槽12に貯留された被処理汚泥の濃縮汚泥層の界面の高さを測定する界面計でも良い。濃縮汚泥層の界面は、濃縮汚泥層と分離液(希薄層)との境界である。界面測定手段13が界面計である場合、界面測定手段13として、超音波式やマグネット式等の計器を用いることができる。水槽12において被処理汚泥を沈降処理して被処理汚泥を濃縮し、濃縮汚泥を形成する場合、濃縮汚泥層の界面の高さが、凝集槽へ供給する実際の汚泥貯留量を表す。
【0079】
図15は、図14に示した制御装置104が具備する構成要素の一例を示す図である。図14に示した制御装置104は図15に示すように、指標算出部114と、添加量制御部124と、汚泥供給量制御部134と、回転数制御部144とを有する。なお、図15には、図14に示した制御装置104が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0080】
指標算出部114は、汚泥供給量制御部134が汚泥供給装置200に対して、水槽12から凝集槽20に供給させている被処理汚泥の量に基づいて、脱水機30の入口の被処理汚泥の性状を示す性状指標を算出する。この水槽12から凝集槽20に供給させている被処理汚泥の量を示す値は汚泥供給量制御部134が保持している。また、このとき、指標算出部114は、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給している被処理汚泥の量そのものを性状指標として算出しても良いし、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給している被処理汚泥の量に所定の係数を乗じた値を性状指標として算出しても良い。また、脱水機30の入口は、汚泥供給装置200から凝集槽20を介した脱水機30までの流路上の任意の位置である。指標算出部114は、算出した性状指標を添加量制御部124へ出力する。なお、図14に示した形態に図1に示したセンサ22が具備されている場合、指標算出部114は、図2に示した指標算出部110が行う処理と同様に、センサ22が取得した凝集物の状態を示す凝集指標の変化量を性状指標として算出しても良い。
【0081】
添加量制御部124は、指標算出部114から出力されてきた性状指標に基づいて、添加装置300が添加する凝集剤の添加量を制御する。例えば、添加量制御部124は、指標算出部114から出力されてきた性状指標にあらかじめ設定した係数を乗じて、凝集剤添加量を決定する。ここで計算に用いる性状指標の算出の基となる汚泥供給量は、汚泥供給装置200として用いられる汚泥供給ポンプの周波数(Hz)やアナログ信号、デジタル信号としても良い。例えば、添加量制御部124は、汚泥供給ポンプの周波数(Hz)にあらかじめ設定した係数を乗じて、凝集剤添加量を決定する。添加量制御部124は、性状指標が増加した場合は凝集剤添加量を増加させ、性状指標が減少した場合は凝集剤添加量を減少させる。
【0082】
汚泥供給量制御部134は、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さに基づいて、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を制御する。界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さがあらかじめ設定された閾値を超えている場合、水槽12への被処理汚泥の貯留に余裕がなく、前段の設備に影響を及ぼすおそれがある。その場合、水槽12の水位を下げるために、汚泥供給量制御部134は、汚泥供給装置200が水槽12から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量を増加させる。界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さがあらかじめ設定された閾値以下となった場合、汚泥供給量制御部134は、汚泥供給装置200が水槽12から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量を維持する。このとき、汚泥供給装置200が水槽12から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えている場合、汚泥供給量制御部134は、汚泥供給装置200が水槽12から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量を減少させる。なお、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さがあらかじめ設定された下限値を下回る場合、汚泥供給量制御部134は、水槽12から凝集槽20への被処理汚泥の供給を停止しても良い。なお、被処理汚泥の供給量の増加幅および減少幅は、特に規定しない。例えば、被処理汚泥の供給量の増加幅および減少幅は、あらかじめ設定されていても良い。また、汚泥供給量制御部134は、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給している被処理汚泥の量を示す値を監視および保持している。
【0083】
回転数制御部144は、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さに基づいて、圧搾部回転装置400の回転数を制御する。界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さがあらかじめ設定された閾値を超えている場合、水槽12への被処理汚泥の貯留に余裕がなく、水槽12の過剰な界面上昇を防ぐため、前段の設備を停止させるなどの影響を及ぼすおそれがある。その場合、水槽12の水位を下げるために、回転数制御部144は圧搾部回転装置400の回転数を増加させる。一方、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さがあらかじめ設定された閾値以下である場合、水槽12への被処理汚泥の貯留に余裕がある。その場合、固液分離された脱水汚泥の含水率を下げるために、回転数制御部144は圧搾部回転装置400の回転数を減少させる。ただし、圧搾部回転装置400の回転数に下限値を設け、回転数制御部144は圧搾部回転装置400の回転数が下限値よりも大きくなるように制御する。この下限値は、脱水機30の仕様や、スクリュー等圧搾部への負荷、過電流発生の回避等を考慮してあらかじめ設定された値である。また、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さがあらかじめ設定された閾値以下であって、汚泥供給装置200が水槽12から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えていない場合、回転数制御部144は圧搾部回転装置400の回転数を減少させる。なお、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さと比較する閾値として、2つの閾値(第1の閾値>第2の閾値)を設けても良い。この場合、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが第1の閾値を超える値となると、回転数制御部144は圧搾部回転装置400の回転数を増加させる。界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが第1の閾値以下であり且つ第2の閾値を超える値となると、回転数制御部144は圧搾部回転装置400の回転数を維持させる。界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが第2の閾値以下の値となると、回転数制御部144は圧搾部回転装置400の回転数を減少させる。
【0084】
以下に、図14に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法について説明する。図16は、図14に示した汚泥処理システムにおける汚泥処理方法のうちの水槽12の界面の高さに基づいた汚泥供給装置200からの汚泥供給量および圧搾部回転装置400の回転数の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0085】
まず、制御装置104が、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS61)。界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが閾値を超えていると判定された場合、回転数制御部144は、圧搾部回転装置400の回転数を増加させる(ステップS62)。あらかじめ設定された時間が経過した後、制御装置104が、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが閾値を超えているかどうかを再度判定する(ステップS63)。ステップS63にて、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが閾値を超えていると判定された場合、汚泥供給量制御部134は、汚泥供給装置200が凝集槽20に供給する被処理汚泥の量を増加させる(ステップS64)。その後、ステップS61の処理が行われる。なお、ステップS61→S64→S63→S62の順序で各処理が行われても良い。界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが閾値を超えている場合、後段の凝集槽20の被処理汚泥の水位の過剰な上昇を招くおそれがある。そのため、制御装置104は、まずは圧搾部回転装置400の回転数を増加させることが好ましい。これにより、水槽12や凝集槽20の水位上昇に伴う汚泥供給停止(脱水処理設備の停止)を防止することができる。
【0086】
一方、ステップS61にて、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが閾値を超えていないと判定された場合、汚泥供給量制御部134は、汚泥供給装置200が水槽12から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS65)。汚泥供給装置200が水槽12から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えている場合、汚泥供給量制御部134は、汚泥供給装置200が水槽12から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量を減少させる(ステップS66)。その後、ステップS61の処理が行われる。
【0087】
ステップS65にて、汚泥供給装置200が水槽12から凝集槽20に供給する被処理汚泥の供給量があらかじめ設定された閾値を超えていない場合、回転数制御部144は、圧搾部回転装置400の回転数を減少させる(ステップS67)。減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えているかどうかを制御装置104が判定する(ステップS68)。減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えていないと判定された場合、回転数制御部144は、圧搾部回転装置400の回転数を下限値に設定する(ステップS69)。その後、ステップS61の処理が行われる。
【0088】
ステップS63にて、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが閾値を超えていないと判定された場合、ステップS65の処理が行われる。また、ステップS68にて、減少させる回転数が、あらかじめ設定された下限値を超えていると判定された場合、ステップS61の処理が行われる。
【0089】
このように、本形態においては、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが閾値を超えている場合、汚泥の供給量や圧搾部の回転数を増加させることで、水槽12の過剰な水位上昇を防ぎ、水槽12の前段に配置された設備が停止することを防ぐ。また、界面測定手段13が測定した被処理汚泥の界面の高さが閾値以下である場合は、脱水機30が時間をかけて脱水処理を行うことにより、脱水汚泥の含水率を低減できる。これにより、設備を効率的に運用することができる。通常、汚泥脱水機は計画汚泥量に対し、十分な余裕を見て設計されるため、その余裕分を効果的に使うことができる。また、水槽12の水位調整により汚泥の処理量を急激に変化させた場合、従来の凝集剤の固定添加や自動添加の制御では、添加量の調整が適切ではなく、凝集状態を最適化できない。そのため、脱水汚泥の含水率を低減することが困難であるという課題があった。しかし、本形態においては、被処理汚泥の性状を常に監視することで、凝集剤の添加量を迅速に制御する。これにより、凝集槽20での凝集状態を最適化できるため、水槽12の水位を調整した場合でも脱水汚泥の含水率の低減が可能となる。このように本形態においては、水槽に貯留された被処理汚泥の界面の高さを監視しつつ、凝集剤添加量と汚泥供給量と脱水機回転数とを制御することで、汚泥の発生量が変化しても、安定した処理量と脱水汚泥の含水率とを保持することができる。
【0090】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、上述した各実施の形態を任意の組み合わせで組み合わせても良い。
【0091】
上述した制御装置100~104それぞれが行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を制御装置100~104それぞれにて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御装置100~104それぞれに読み込ませ、実行するものであっても良い。制御装置100~104それぞれにて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカードなどの移設可能な記録媒体の他、制御装置100~104それぞれに内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、制御装置100~104それぞれに設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0092】
10 汚泥貯槽
11,21 水位計
12 水槽
13 界面測定手段
20 凝集槽
22 センサ
30 脱水機
40 固形物供給量測定部
41 濃度計
42 流量計
100~104 制御装置
110,114 指標算出部
120,123,124 添加量制御部
130~132,134 汚泥供給量制御部
140~142,144 回転数制御部
200 汚泥供給装置
300 添加装置
301 凝集剤貯槽
400 圧搾部回転装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16