(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157355
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】運転支援方法及び運転支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241030BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241030BHJP
B60W 50/04 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 V
B60W50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071675
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉越 千尋
(72)【発明者】
【氏名】木村 健
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA64
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD07
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
(57)【要約】
【課題】通信に遅延が発生した場合でも車両の走行シーンに適さない遠隔支援を抑制できる運転支援方法及び運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両10の外部の遠隔支援装置30から支援情報を受信した場合は、支援情報が送信された送信時刻と、支援情報を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出し、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合は、支援情報に基づく車両10の自律走行制御を実行しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部の遠隔支援装置から受信した支援情報に基づき前記車両を自律走行させる、前記車両の運転支援装置により実行される運転支援方法において、
前記運転支援装置は、
前記遠隔支援装置から前記支援情報を受信した場合は、前記遠隔支援装置が前記支援情報を送信した送信時刻と、前記運転支援装置が前記支援情報を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出し、
前記遅延時間が、所定時間より長いか否かを判定し、
前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定したときは、前記支援情報に基づく前記車両の自律走行制御を実行しない、運転支援方法。
【請求項2】
前記運転支援装置は、
前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合であっても前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行する例外指示を予め設定し、
前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合に、前記支援情報が前記例外指示を含むか否かを判定し、
前記支援情報が前記例外指示を含むと判定したときは、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行し、
前記支援情報が前記例外指示を含まないと判定したときは、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行しない、請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項3】
前記運転支援装置は、
前記遠隔支援装置に遠隔支援の要請を送信し、
前記支援情報が、前記要請に対応する情報であるか否かを判定し、
前記支援情報が、前記要請に対応する前記情報でないと判定したときは、前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合であっても、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行する、請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項4】
前記運転支援装置は、
前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合に、前記支援情報が、前記自律走行制御により走行動作を行う実行指示と、前記自律走行制御による前記走行動作を設定するための判断情報とのいずれであるかを判定し、
前記支援情報が前記実行指示であると判定したときは、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行せず、
前記支援情報が前記判断情報であると判定したときは、前記支援情報を用いた前記自律走行制御を実行する、請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項5】
前記実行指示は、前記車両が停車状態から発進する指示を含む、請求項4に記載の運転支援方法。
【請求項6】
前記運転支援装置は、
前記判断情報として、前記遠隔支援装置から、目的地の情報と、走行経路の情報と、前記車両の周囲に存在する障害物の種別の情報とのうち少なくとも1つを取得する、請求項4に記載の運転支援方法。
【請求項7】
前記運転支援装置は、
前記支援情報を受信する前に、前記遠隔支援装置に遠隔支援の要請を送信した場合は、前記要請を送信した時の前記車両の走行状況を記憶し、
前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合に、前記支援情報を受信した時の前記車両の前記走行状況が、前記要請による前記遠隔支援を実行するのに適した前記走行状況であるか否かを判定し、
前記支援情報を受信した時の前記車両の前記走行状況が、前記要請による前記遠隔支援を実行するのに適した前記走行状況であると判定した場合は、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行し、
前記支援情報を受信した時の前記車両の前記走行状況が、前記要請による前記遠隔支援を実行するのに適した前記走行状況でないと判定した場合は、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行しない、請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項8】
前記運転支援装置は、
前記支援情報を受信した時の前記車両の前記走行状況が、前記要請による前記遠隔支援を実行するのに適した前記走行状況であると判定した場合は、前記支援情報が、前記自律走行制御により走行動作を行う実行指示と、前記自律走行制御による前記走行動作を設定するための判断情報とのいずれであるかを判定し、
前記支援情報が前記実行指示であると判定したときは、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行せず、
前記支援情報が前記判断情報であると判定したときは、前記支援情報を用いた前記自律走行制御を実行する、請求項7に記載の運転支援方法。
【請求項9】
前記車両の前記走行状況は、前記車両の走行状態と、前記車両の走行計画と、前記車両の周辺の走行環境とを含む、請求項7に記載の運転支援方法。
【請求項10】
車両の外部の遠隔支援装置から受信した支援情報に基づき前記車両を自律走行させる運転支援装置において、
前記遠隔支援装置から前記支援情報を受信した場合は、前記遠隔支援装置が前記支援情報を送信した送信時刻と、前記運転支援装置が前記支援情報を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出する算出部と、
前記算出部が算出した遅延時間が、所定時間より長いか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定したときは、前記支援情報に基づく前記車両の自律走行制御を実行しないための指示を出力する制御部とを備える、運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法及び運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動運転支援センタと自動運転車との間の通信状態、及び自動運転車の周囲の環境状態の少なくとも一方に基づき、自動運転車に対してオペレータが実施可能な遠隔支援を制限する遠隔支援システムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、自動運転支援センタと自動運転車との間の通信状態に応じて、自動運転支援センタのオペレータが実施可能な遠隔支援を制限するが、自動運転車における自律走行制御は制限されない。そのため、上記従来技術では、自動運転支援センタから自動運転車への通信に遅延が発生している場合に、自動運転支援センタから指示を受信したときは、自動運転車の現在の走行シーンに適さない遠隔支援が実行されてしまうという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、通信に遅延が発生している場合に、車両の現在の走行シーンに適さない遠隔支援が実行されることを抑制できる運転支援方法及び運転支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、車両の外部の遠隔支援装置から支援情報を受信した場合は、支援情報が送信された送信時刻と、支援情報を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出し、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合は、支援情報に基づく車両の自律走行制御を実行しないことによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信に遅延が発生している場合に、車両の現在の走行シーンに適さない遠隔支援が実行されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る遠隔支援システムの実施形態の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す遠隔支援システムにて運転支援を実行する走行シーンの一例を示す平面図である(その1)。
【
図3】
図1に示す遠隔支援システムにて運転支援を実行する走行シーンの一例を示す平面図である(その2)。
【
図4】
図1に示す遠隔支援システムにて運転支援を実行する走行シーンの一例を示す平面図である(その3)。
【
図5】
図1に示す遠隔支援システムにて運転支援を実行する走行シーンの一例を示す平面図である(その4)。
【
図6】
図1の遠隔支援システムにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図1の遠隔支援システムにおける処理手順の他の例を示すフローチャートである(その1)。
【
図8】
図1の遠隔支援システムにおける処理手順の他の例を示すフローチャートである(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
[遠隔支援システムの構成]
図1は、本発明に係る遠隔支援システム1を示すブロック図である。遠隔支援システム1は、車両の外部の操作者(オペレータ)が車両の運転支援を行うシステムである。例えば、自律走行制御により走行している車両が自律走行制御による走行を継続できなくなった場合に、遠隔支援システム1により、車両の外部の操作者が車両を遠隔操作する。車両の外部とは、車両の車体から離間した位置であれば特に限定されず、車両の走行を集中的に管理する管理センタなどの遠隔地が挙げられる。
【0011】
自律走行制御とは、車両の運転支援装置を用いて車両の走行動作を自律的に制御することをいい、当該走行動作には、加速、減速、発進、停車、転舵など、あらゆる走行動作が含まれる。また、自律的に走行動作を制御するとは、運転支援装置が、車両の装置を用いて走行動作の制御を行うことをいう。運転支援装置は、予め定められた範囲内でこれらの走行動作を制御し、運転支援装置により制御されない走行動作については、運転者による手動の操作が行われる。自律走行制御によらず、運転者の手動運転により車両が走行する場合は、運転支援装置は走行動作の自律制御を行わず、運転者の操作により車両の走行動作が制御される。
【0012】
図1に示すように、遠隔支援システム1は、車両10と遠隔支援装置30とを備える。車両10と遠隔支援装置30とは、図示しないサーバを介して互いに情報を授受する。車両10、遠隔支援装置30及びサーバは、相互に情報を授受するためのネットワークに接続している。ネットワークとは、インターネット、LAN(local area network)などの電気通信回線網のことを言い、通信には、有線通信、無線通信、モバイル通信などが利用できる。
【0013】
車両10は、撮像装置11、測距装置12、自車状態検出装置13、ナビゲーション装置14、車両制御装置15及び運転支援装置20を備える。これらの装置は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、互いに情報を授受できる。
【0014】
撮像装置11は、車両10の周囲の対象物を撮像する装置であり、例えば、CCDなどの撮像素子を備えたカメラ、赤外線カメラなどのカメラである。対象物を撮像できない死角を減らすため、撮像装置11は、車両10のフロントグリル、サイドミラー、リアバンパなどに複数配置する。
【0015】
測距装置12は、車両と対象物との相対距離及び相対速度を検出する装置であり、レーザーレーダ、ミリ波レーダ、LiDAR(light detection and ranging)ユニットなどである。対象物を検出できない死角を減らすため、測距装置12は、一台の車両に複数台設ける。
【0016】
撮像装置11及び測距装置12の検出する対象物は、道路の車線境界線、中央線、路面標識、中央分離帯、ガードレール、縁石、道路標識、信号機、横断歩道などである。また、対象物には、車両10以外の自動車(他車両)、自動二輪車(オートバイ)、自転車、歩行者など、車両10の走行に影響を与え得る障害物も含まれる。
【0017】
撮像装置11及び測距装置12の検出結果は、必要に応じ、運転支援装置20により取得される。運転支援装置20は、取得した検出結果から、車両10の周囲の対象物及び走行環境を認識する。また、運転支援装置20は、撮像装置11及び測距装置12の検出結果を統合又は合成(いわゆるセンサフュージョン)してもよい。
【0018】
自車状態検出装置13は、車両10の走行状態を検出する装置であり、走行状態を検出するセンサとして、車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサなどを含む。センサとしては、公知のものを特に限定なく用いることができ、その配置及び数は、車両の走行状態を適切に検出できる範囲内で適宜に設定できる。各センサの検出結果は、必要に応じ、運転支援装置20により取得される。
【0019】
ナビゲーション装置14は、高精度地図などの地図情報を参照し、GPS(Global Positioning System)ユニットなどの測位システムにより検出された車両10の現在位置から、ユーザにより設定された目的地までの走行経路を算出する装置である。走行経路は、少なくとも、車両10が走行する道路、走行車線及び車両10の進行方向の情報を含み、たとえば線形で表示される。算出された走行経路は、運転支援装置20により取得される。なお、高精度地図は、HD(High-Definition)マップとも言う。
【0020】
車両制御装置15は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)などの車載コンピュータであり、車両10の走行を律する車載機器を電子的に制御する。車両制御装置15は、運転支援装置20から入力された制御信号に応じて、車両10の駆動装置及び操舵装置の動作を自律的に制御する。
【0021】
運転支援装置20は、車両10の各装置を制御して協働させることで車両10の走行を制御し、設定された目的地まで車両10を走行させる装置である。運転支援装置20は、たとえばコンピュータであり、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)、及びアクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)を備える。CPUは、ROMに格納されたプログラムを実行し、運転支援装置20が有する機能を実現するための動作回路である。
【0022】
遠隔支援装置30は、車両10の外部の操作者が車両10の運転支援に用いる装置であり、表示部31と支援部32とを備える。これらの装置は、互いに情報を授受できるようにLANなどにより接続されている。
【0023】
表示部31は、遠隔支援装置30を操作する操作者に対して映像を表示する装置であり、液晶ディスプレイ、プロジェクターなどが挙げられる。映像には、動画と静止画とが含まれる。なお、操作者の詳細については後述する。
【0024】
支援部32は、遠隔支援装置30の操作者が、車両10の運転支援に必要な支援情報を入力する装置である。支援部32は、タッチパネル、キーボード、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルなどで構成される。タッチパネルは、ディスプレイ(表示部31)と共にタッチスクリーンを構成してもよい。なお、支援情報の詳細については後述する。
【0025】
[機能ブロックの機能]
運転支援装置20は、車両10の外部の遠隔支援装置30から受信した支援情報に基づき車両10を自律走行させる運転支援機能を有する。運転支援装置20のROMに格納されたプログラムは、運転支援機能を実現するためのプログラムであり、運転支援装置20のCPUがROMに格納されたプログラムを実行することで、運転支援機能が実現される。
図1には、運転支援機能を実現する機能ブロックである送信部21、受信部22、算出部23、判定部24及び制御部25を便宜的に抽出して示す。
【0026】
以下、
図1に示す各機能ブロックが有する機能について、
図2を用いて説明する。
【0027】
図2は、運転支援装置20が運転支援機能により車両の走行を自律制御する走行シーンの一例を示す平面図である。
図2に示す道路は、車線L1,L2を有する2車線の道路である。車線L1を走行する車両は、図面の左側から右側に向けて走行し、車線L2を走行する車両は、図面の右側から左側に向けて走行するものとする。以下、車線L1を自車線とも言い、車線L2を隣接車線又は対向車線とも言う。
【0028】
図2に示す走行シーンでは、車両10は、図面右側の目的地(図示しない)に向かって、車線L1の位置P1を走行している。また、他車両Vxが、車線L1の位置Pxに駐車しており、他車両Vyが、車線L2の位置Pyを走行している。なお、
図2に示す走行シーンでは車両10は自律走行制御により走行しているが、車両10が運転者の手動運転により走行している走行シーンにおいても本実施形態の運転支援機能は適用できる。
【0029】
自律走行制御による走行を継続するためには、車両10は、車線L2に進入して他車両Vxを回避し、他車両Vxの回避後に車線L1に戻る必要がある。ところが、検出範囲の死角などにより、撮像装置11及び測距装置12の検出結果から車線L2の障害物を認識できない場合、車両10が車線L2に進入可能か判定する機能を有さない場合などでは、運転支援装置20は車両10が車線L2に進入できるか否かを判定できず、他車両Vxの後方に停車(スタック)してしまう。この場合、運転支援装置20は、自律走行制御による走行を継続できないため、遠隔支援装置30に対して遠隔支援の要請を送信する。
【0030】
送信部21は、遠隔支援装置30に遠隔支援の要請を送信する機能を有する。遠隔支援とは、車両10の外部にいる操作者が、車両10の外部から運転支援装置20を介して車両10を遠隔操作すること、又は当該操作者が、運転支援装置20又は車両10の運転者に情報を提供することを言う。操作者は、例えば、遠隔支援システム1を構成する車両10の走行を管理する管理センタにおり、車両10からの要請に応じて又は車両10からの要請によらず、車両10に必要な情報を提供し、車両10を遠隔操作する。
【0031】
遠隔支援の要請には、車両10の自律走行制御が停止していることを示す情報と、操作者が車両10の運転支援を行うために必要な情報とが含まれる。例えば、遠隔支援の要請は、車両10の走行状況を含む。車両10の走行状況とは、例えば車両10の走行シーンであり、車両10の走行状態と、車両10の走行計画と、車両10の周辺の走行環境とを含む。
【0032】
車両10の走行状態とは、車両10の車速、加速度、ヨーレート、転舵角などを含み、自車状態検出装置13から取得する。車両10の走行計画とは、車両10が目的地までの走行するための情報であり、走行経路などを含む。走行計画は、ナビゲーション装置14から取得する。車両10の周辺の走行環境とは、車両10の周囲の対象物(特に障害物)の状態のことを言い、撮像装置11及び測距装置12の検出結果から、パターンマッチングなどの手法を用いて取得する。
【0033】
図2に示す走行シーンでは、運転支援装置20は、送信部21の機能により、自車状態検出装置13から車両10の車速を取得し、車両10の車速と共に車両10が停車中であることを支援部32に送信する。また、運転支援装置20は、ナビゲーション装置14から取得した目的地の位置情報と、設定された走行経路とを支援部32に送信する。さらに、運転支援装置20は、撮像装置11から、車線L1,L2を含む車両10の周囲の画像を取得し、表示部31に送信する。同様に、運転支援装置20は、測距装置12から、車両10と他車両Vxとの距離を取得し、支援部32に送信する。
【0034】
運転支援装置20は、遠隔支援の要請を送信する場合に、車両10を停車させ、車両10が停車した後に、遠隔支援装置30に遠隔支援の要請を送信してもよい。また、運転支援装置20は、遠隔支援装置30を操作する操作者に対して、表示部31に指示し、送信した画像を表示させてもよい。
【0035】
遠隔支援の要請を受信した遠隔支援装置30は、表示部31に画像を表示することなどにより、操作者に遠隔支援の実行を促す。操作者は、例えば、支援部32から、車両10の運転者に対して遠隔支援の開始を通知し、運転者の承諾が取得できた場合は、支援部32による遠隔支援を開始する。操作者は、表示部31に表示される画像などの情報を把握したうえで、運転支援装置20に対して遠隔支援に必要な支援情報を送信する。
【0036】
受信部22は、遠隔支援装置30から支援情報を受信する機能を有する。支援情報とは、操作者が支援部32に入力した、遠隔支援に必要な情報であり、運転支援装置20に、ある走行動作を自律走行制御により実行させる実行指示と、運転支援装置20が、自律走行制御による走行動作を設定するための判断情報とを含む。実行指示に係る走行動作は、特に限定されない。実行指示には、例えば、車両10を停車状態から発進させる指示、車両10を自車線から隣接車線に車線変更させる指示、車両10の方向指示器を点滅させる指示などが含まれる。
【0037】
一方、判断情報には、車両10の走行状況の他に、例えば、目的地の情報と、走行経路の情報と、車両10の周囲に存在する障害物の種別の情報とのうち少なくとも1つが含まれる。目的地の情報と、走行経路の情報とは、操作者が支援部32に入力したものと、ナビゲーション装置14から取得したものとのうち少なくとも一方を含む。また、車両10の周囲に存在する障害物の種別の情報は、撮像装置11及び測距装置12の検出結果から取得したものと、遠隔支援装置30が図示しないカメラから取得したものとのうち少なくとも一方を含む。操作者が目的地及び走行経路を更新した場合は、運転支援装置20は、新たな目的地の情報と新たな走行経路の情報とを支援部32から取得する。
【0038】
障害物の種別とは、障害物の属性であり、例えば、障害物の種類、大きさ、動作、車両10の走行に与える影響などのことを言う。例えば、
図2に示す他車両Vxの種別としては、大きさが中程度の車両であること、駐車中のため静止していること、回避が必要なため車両10の走行に与える影響は大きいことなどが挙げられる。
【0039】
算出部23は、遠隔支援装置30から支援情報を送信してから、運転支援装置20が支援情報を受信するまでの遅延時間を算出する機能を有する。運転支援装置20は、支援情報と共に、遠隔支援装置30が支援情報を送信した送信時刻を取得し、遠隔支援装置30が支援情報を送信した送信時刻と、運転支援装置20が支援情報を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出する。
【0040】
判定部24は、算出部23の機能により算出された遅延時間が、所定時間より長いか否かを判定する機能を有する。所定時間は、運転支援装置20と遠隔支援装置30との間の通信に遅延又は途絶が発生した場合に、車両10の走行シーンに適さない走行動作を実行することを抑制できる範囲内で適宜の時間を設定でき、例えば1~5秒である。
【0041】
制御部25は、判定部24の機能により、遅延時間が所定時間より長いと判定された場合に、支援情報に基づく車両10の自律走行制御を実行させない機能を有する。運転支援装置20は、支援情報が遠隔支援装置30から送信されてから、運転支援装置20により受信されるまでの遅延時間が所定時間より長い場合は、遅延時間が経過する間に車両10の走行状況が変化し、車両10の走行シーンに適さない遠隔操作を実行するおそれがあるため、支援情報に基づく自律走行制御を実行させない制御信号を車両制御装置15に出力する。これに対し、遅延時間が所定時間以下であると判定された場合は、支援情報に基づく自律走行制御を実行するよう、車両制御装置15に制御信号を出力する。
【0042】
図2に示す走行シーンでは、操作者は、支援部32から、車両10を車線L1内で進行方向右側に移動させる実行指示を送信する。運転支援装置20は、受信部22の機能によりこの実行指示を受信すると共に、この実行指示が送信された送信時刻を遠隔支援装置30から取得する。そして、実行指示を送信した送信時刻と、実行指示を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出する。
【0043】
算出した遅延時間が所定時間以下であった場合は、操作者の遠隔操作で自律走行する車両10が、
図3に示す位置P2まで走行軌跡T1に沿って走行する。この際の車両10の自律走行制御は、制御部25の機能による。これにより、車線L2を走行する他車両Vyが撮像装置11により検出できるようになる。これに対し、算出した遅延時間が所定時間より長い場合は、遠隔操作による走行を実行せず、車両10は位置P1に停車した状態を維持する。
【0044】
また、操作者は、遠隔支援の要請において、他車両Vxが駐車中であるか停車中であるかが判定できず、他車両Vxを回避する必要があるか否かを判定できないとの情報を提示された場合は、運転支援装置20に、障害物の種別として、他車両Vxは駐車車両であるとの情報を送信する。つまり、他車両Vxはしばらくの間移動せず、他車両Vxの後方で待機しても走行を再開できない旨の情報を送信する。これに対し、他車両Vxが停車中である場合は、他車両Vxの後方で待機していれば走行を再開できる旨の情報を送信する。
【0045】
遠隔操作により位置P2まで走行した車両10は、
図4に示すように、位置P2に停車する。操作者は、表示部31に表示された撮像装置11の画像から、車線L2を走行する他車両Vyを認識する。操作者は、他車両Vyが位置Pyから位置Pzまで走行し、車両10の側方を通過するまで、位置P2に停車する。
【0046】
他車両Vyが車両10の側方を通過した後、操作者は、支援部32から、車線L2に進入して他車両Vxを回避させる実行指示を送信する。運転支援装置20は、受信部22の機能により、この実行指示が送信された送信時刻を遠隔支援装置30から取得する。そして、実行指示が送信された送信時刻と、実行指示を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出する。
【0047】
算出した遅延時間が所定時間以下であった場合は、操作者の遠隔操作により、車両10が、走行軌跡T2に沿って
図5に示す位置P2から位置P3まで自律走行する。これに対し、算出した遅延時間が所定時間より長い場合は、遠隔操作による走行を実行せず、車両10は位置P2に停車した状態を維持する。
【0048】
運転支援装置20は、支援情報が実行指示である場合に、実行指示に係る走行動作を開始する前に遅延時間が所定時間より長いと判定したときは、実行指示を受信した時の走行状態を維持してもよい。これに対し、実行指示に係る走行動作を開始した後に遅延時間が所定時間より長いと判定した場合は、運転支援装置20は、走行動作をすぐに中止するのではなく、走行動作を継続すると共に車両10が駐車できる駐車スペースを検出する。そして、検出した駐車スペースに車両10を駐車させる。これに代え、運転支援装置20は、走行動作を継続すると共に遠隔支援装置30に対して支援情報の更新を要請してもよい。
【0049】
運転支援装置20は、支援情報について、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合であっても支援情報に基づく自律走行制御を実行する例外指示を予め設定してもよい。例外指示とは、他の走行動作より優先して実行する必要がある走行動作を実行する指示であり、後述する実行指示に含まれる。優先して実行する必要がある走行動作としては、車両10の前方で発生した事故に対処する停車、天候の急変に対処するライトの灯火などが挙げられる。また、例外指示は、車両10のユーザの遠隔支援の要請によらずに遠隔支援装置30から送信されてもよい。
【0050】
運転支援装置20は、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合に、支援情報が例外指示を含むか否かを判定する。そして、支援情報が例外指示を含むと判定したときは、支援情報に基づく自律走行制御を実行する。これに対し、支援情報が例外指示を含まないと判定したときは、支援情報に基づく自律走行制御を実行しない。
【0051】
また、運転支援装置20は、遠隔支援装置30に遠隔支援の要請を送信し、支援情報が、送信した遠隔支援の要請に対応する情報であるか否かを判定し、支援情報が、遠隔支援の要請に対応する情報でないと判定したときは、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合であっても、支援情報に基づく自律走行制御を実行してもよい。遠隔支援の要請に対応する情報とは、ユーザが操作者に要請した支援を実現するための情報であり、例えば、ユーザが操作者に要請した走行動作を実現するための実行指示である。
【0052】
例えば、
図2に示す走行シーンにおいて、他車両Vxを回避する遠隔支援の要請を送信した後、遠隔支援装置30から、位置P1に停車する支援情報を受信したものとする。この場合、位置P1に停車する旨の支援情報は、他車両Vxを回避する要請を実現するための支援情報(実行指示)でないため、運転支援装置20は、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合であっても、位置P1に停車する。
【0053】
運転支援装置20は、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合に、支援情報が実行指示と判断情報とのいずれであるかを判定してもよい。支援情報が実行指示であると判定した場合は、支援情報に基づく自律走行制御を実行しない。これに対し、支援情報が判断情報であると判定したときは、受信した支援情報を用いた自律走行制御を実行する。この場合、運転支援装置20は、車両10の走行状況と、ナビゲーション装置14及び/又は遠隔支援装置30から取得した走行計画とを合わせて用いてもよい。
【0054】
例えば、
図5に示す走行シーンにおいて、遠隔支援装置30から、走行軌跡T2に沿って走行する実行指示を受信した場合に、遅延時間が所定時間より長いと判定されたときは、走行軌跡T2に沿って走行する自律走行制御を実行せず、車両10を位置P2に停車させる。これに対し、遠隔支援装置30から、車両10が車線L2に進入できる旨の判断情報を受信した場合は、撮像装置11及び測距装置12の検出結果と、ナビゲーション装置14から取得した走行経路とに基づいた自律走行制御を実行する。
【0055】
運転支援装置20は、支援情報を受信する前に、遠隔支援装置30に遠隔支援の要請を送信した場合は、要請を送信した時の車両10の走行状況を記憶しておく。そして、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合に、支援情報を受信した時の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援を実行するのに適した走行状況であるか否かを判定し、支援情報を受信した時の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援を実行するのに適した走行状況であると判定した場合は、支援情報に基づく自律走行制御を実行してもよい。
【0056】
支援情報を受信した時の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援を実行するのに適した走行状況であるとは、遠隔支援の要請の送信時と、支援情報の受信時とで車両10の走行シーンに変化がないことを言う。例えば、遠隔支援の要請の送信時と、支援情報の受信時とで、車両10と他車両との位置関係が変わらない場合は、支援情報を受信した時の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援を実行するのに適した走行状況であると判定する。また、支援情報の受信時に、要請による遠隔支援を実行したとしても他車両の交通を妨げない場合は、支援情報を受信した時の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援を実行するのに適した走行状況であると判定してもよい。
【0057】
例えば、
図2に示す走行シーンにおいて、他車両Vxを回避する遠隔支援の要請を送信した場合は、当該要請を送信した時の車両10の走行状況をサーバなど記憶する。一例として、車両10の前方の他車両Vxが駐車中であることを記憶する。そして、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合に、撮像装置11などから、支援情報を受信した時の車両10の走行状況を取得する。この場合、支援情報を受信した時も他車両Vxが駐車中であれば、記憶した走行状況と現在の走行状況とが同じであると判定し、車両10を走行軌跡T1に沿って走行させる。
【0058】
これに対し、支援情報を受信した時の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援を実行するのに適した走行状況でないと判定した場合は、支援情報に基づく自律走行制御を実行しない。例えば、
図2に示す走行シーンにおいて、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合に、撮像装置11などから、支援情報を受信した時の車両10の走行状況を取得し、支援情報を受信した時に他車両Vxが既に発進していることが検出されたときは、車両10と他車両Vxとの位置関係が変化しているため、運転支援装置20は、支援情報を受信した時の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援を実行するのに適した走行状況でないと判定する。この場合、運転支援装置20は、車両10を走行軌跡T1に沿って走行させず、車線L1に沿って走行させる。
【0059】
[遠隔支援システムにおける処理]
【0060】
図6~8を参照して、運転支援装置20が情報を処理する際の手順を説明する。
図6は、本実施形態の遠隔支援システム1において実行される、情報の処理を示すフローチャートの一例である。以下に説明する処理は、運転支援装置20が備えるプロセッサ(CPU)により実行される。
【0061】
まず、ステップS1にて、受信部22の機能により、遠隔支援装置30から支援情報を受信する。ステップS2にて、算出部23の機能により、遠隔支援装置30から取得した送信時刻と、支援情報を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出する。ステップS3にて、判定部24の機能により、遅延時間が所定時間より長いか否かを判定する。
【0062】
遅延時間が所定時間以下であると判定した場合は、ステップS4に進み、制御部25の機能により、支援情報に基づく自律走行制御を実行する。これに対し、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合は、ステップS5に進み、支援情報に基づく自律走行制御を実行しない。
【0063】
図7~8は、本実施形態の遠隔支援システム1において実行される、情報の処理を示すフローチャートの他の例である。以下に説明する処理は、運転支援装置20が備えるプロセッサ(CPU)により所定の時間間隔(例えば0.1~1秒毎)実行される。
【0064】
まず、
図7のステップS11にて、判定部24の機能により、所定の時間間隔で検出される撮像装置11の検出結果などから車両10の走行状況を取得し、続くステップS12にて、車両10の自律走行制御を継続できるか否かを判定する。車両10の自律走行制御を継続できると判定した場合は、ステップS11に進む。これに対し、車両10が障害物を回避できないときなど、車両10の自律走行制御を継続できないと判定した場合は、ステップS13に進み、制御部25の機能により車両10を停車させる。
【0065】
ステップS14にて、送信部21の機能により、遠隔支援装置30に遠隔支援の要請を送信し、続くステップS15にて、車両10の走行状況を、図示しないサーバなどに記憶する。ステップS16にて、送信部21の機能により、撮像装置11から画像を取得し、続くステップS17にて、遠隔支援装置30に画像を送信する。
【0066】
ステップS18にて、受信部22の機能により遠隔支援装置30から支援情報を受信し、続くステップS19にて、遠隔支援装置30から送信時刻を取得する。ステップS20にて、算出部23の機能により、支援情報を受信した時の受信時刻を取得し、続くステップS21にて、遠隔支援装置30から取得した送信時刻と、支援情報を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出する。
【0067】
図8に進み、ステップS22にて、判定部24の機能により、遅延時間が所定時間より長いか否かを判定する。遅延時間が所定時間以下であると判定した場合は、ステップS28に進み、制御部25の機能により、支援情報に基づく制御指示を車両制御装置15に出力し、自律走行制御を実行する。これに対し、遅延時間が所定時間より長いと判定した場合は、ステップS23に進む。
【0068】
ステップS23にて、判定部24の機能により、支援情報が実行指示であるか否かを判定する。支援情報が実行指示でないと判定した場合は、ステップS28に進む。これに対し、支援情報が実行指示であると判定した場合、ステップS24に進む。
【0069】
ステップS24にて、判定部24の機能により、支援情報が、遠隔支援の要請に対応しているか否かを判定する。支援情報が、遠隔支援の要請に対応していない又は遠隔支援の要請を送信していないと判定した場合は、ステップS28に進む。これに対し、支援情報が、遠隔支援の要請に対応していると判定した場合は、ステップS25に進み、撮像装置11などの検出結果から車両10の現在の走行状況を取得する。
【0070】
そして、ステップS26にて、判定部24の機能により、現在の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援の実行に適した走行状況であるか否かを判定する。車両10の周囲の走行環境(例えば、他車両との位置関係)が変化していないときなど、現在の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援の実行に適した走行状況であると判定した場合は、ステップS28に進む。これに対し、現在の車両10の走行状況が、要請による遠隔支援の実行に適した走行状況でないと判定した場合は、ステップS27に進み、支援情報に基づく自律走行制御を実行しない。
【0071】
[本発明の実施態様]
以上のとおり、本実施形態によれば、車両10の外部の遠隔支援装置30から受信した支援情報に基づき前記車両10を自律走行させる、前記車両10の運転支援装置20により実行される運転支援方法において、前記運転支援装置20は、前記遠隔支援装置30から前記支援情報を受信した場合は、前記遠隔支援装置が前記支援情報を送信した送信時刻と、前記運転支援装置20が前記支援情報を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出し、前記遅延時間が、所定時間より長いか否かを判定し、前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定したときは、前記支援情報に基づく前記車両10の自律走行制御を実行しない、運転支援方法が提供される。これにより、通信に遅延が発生している場合に、車両10の現在の走行シーンに適さない遠隔支援が実行されることを抑制できる。
【0072】
また、本実施形態の運転支援方法によれば、前記運転支援装置20は、前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合であっても前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行する例外指示を予め設定し、前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合に、前記支援情報が前記例外指示を含むか否かを判定し、前記支援情報が前記例外指示を含むと判定したときは、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行し、前記支援情報が前記例外指示を含まないと判定したときは、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行しない。これにより、他の走行動作より優先して実行する必要がある走行動作を適切に実行できる。
【0073】
また、本実施形態の運転支援方法によれば、前記運転支援装置20は、前記遠隔支援装置30に遠隔支援の要請を送信し、前記支援情報が、前記要請に対応する情報であるか否かを判定し、前記支援情報が、前記要請に対応する前記情報でないと判定したときは、前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合であっても、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行する。これにより、他の走行動作より優先して実行する必要がある走行動作を適切に実行できる。
【0074】
また、本実施形態の運転支援方法によれば、前記運転支援装置20は、前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合に、前記支援情報が、前記自律走行制御により走行動作を行う実行指示と、前記自律走行制御による前記走行動作を設定するための判断情報とのいずれであるかを判定し、前記支援情報が前記実行指示であると判定したときは、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行せず、前記支援情報が前記判断情報であると判定したときは、前記支援情報を用いた前記自律走行制御を実行する。これにより、支援情報の内容に応じて自律走行制御の実行可否を判断できる。
【0075】
また、本実施形態の運転支援方法によれば、前記実行指示は、前記車両10が停車状態から発進する指示を含む。これにより、車両10がスタックした状態を解消できる。
【0076】
また、本実施形態の運転支援方法によれば、前記運転支援装置20は、前記判断情報として、前記遠隔支援装置30から、目的地の情報と、走行経路の情報と、前記車両10の周囲に存在する障害物の種別の情報とのうち少なくとも1つを取得する。これにより、運転支援装置20が適切な走行動作を実行できる。
【0077】
また、本実施形態の運転支援方法によれば、前記運転支援装置20は、前記支援情報を受信する前に、前記遠隔支援装置30に遠隔支援の要請を送信した場合は、前記要請を送信した時の前記車両10の走行状況を記憶し、前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定した場合に、前記支援情報を受信した時の前記車両10の前記走行状況が、前記要請による前記遠隔支援を実行するのに適した前記走行状況であるか否かを判定し、前記支援情報を受信した時の前記車両10の前記走行状況が、前記要請による前記遠隔支援を実行するのに適した前記走行状況であると判定した場合は、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行し、前記支援情報を受信した時の前記車両10の前記走行状況が、前記要請による前記遠隔支援を実行するのに適した前記走行状況でないと判定した場合は、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行しない。これにより、車両10の走行状況が変化した場合に、車両10の現在の走行シーンに適さない遠隔支援が実行されることを抑制できる。
【0078】
また、本実施形態の運転支援方法によれば、前記運転支援装置20は、前記支援情報を受信した時の前記車両10の前記走行状況が、前記要請による前記遠隔支援を実行するのに適した前記走行状況であると判定した場合は、前記支援情報が、前記自律走行制御により走行動作を行う実行指示と、前記自律走行制御による前記走行動作を設定するための判断情報とのいずれであるかを判定し、前記支援情報が前記実行指示であると判定したときは、前記支援情報に基づく前記自律走行制御を実行せず、前記支援情報が前記判断情報であると判定したときは、前記支援情報を用いた前記自律走行制御を実行する。これにより、支援情報の内容に応じて自律走行制御の実行可否を判断できる。
【0079】
また、本実施形態の運転支援方法によれば、前記車両10の前記走行状況は、前記車両10の走行状態と、前記車両10の走行計画と、前記車両10の周辺の走行環境とを含む。これにより、車両10の走行状況をより適切に認識できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、車両10の外部の遠隔支援装置30から受信した支援情報に基づき前記車両10を自律走行させる運転支援装置20において、前記遠隔支援装置30から前記支援情報を受信した場合は、前記遠隔支援装置30が前記支援情報を送信した送信時刻と、前記運転支援装置20が前記支援情報を受信した受信時刻との差から遅延時間を算出する算出部23と、前記算出部23が算出した遅延時間が、所定時間より長いか否かを判定する判定部24と、前記判定部24が、前記遅延時間が前記所定時間より長いと判定したときは、前記支援情報に基づく前記車両10の自律走行制御を実行しないための指示を出力する制御部25とを備える、運転支援装置20が提供される。これにより、通信に遅延が発生している場合に、車両10の現在の走行シーンに適さない遠隔支援が実行されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0081】
1…遠隔支援システム
10…車両
11…撮像装置
12…測距装置
13…自車状態検出装置
14…ナビゲーション装置
15…車両制御装置
20…運転支援装置
21…送信部
22…受信部
23…算出部
24…判定部
25…制御部
30…遠隔支援装置
31…表示部
32…支援部
L1,L2…車線
P1,P2,P3,Px,Py,Pz…位置
T1,T2…走行軌跡
Vx,Vy…他車両