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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015736
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】密閉型圧縮機及び室外機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/06 20060101AFI20240130BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
F04B39/06 S
F04B39/00 102Z
F04B39/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118007
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】上田 健史
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 浩志
(72)【発明者】
【氏名】多田 直人
(72)【発明者】
【氏名】秋本 諒
(72)【発明者】
【氏名】安井 達也
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB04
3H003AC03
3H003BA00
3H003BB08
3H003BF02
(57)【要約】
【課題】圧縮本体容器の下方に設けられたアキュムレータ容器の温度低下に伴って発生する氷によって振動や騒音が増大することを抑える。
【解決手段】密閉型圧縮機は、冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、圧縮機本体容器の内部に配置されてアキュムレータ容器から吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して吐出管から吐出する圧縮部と、圧縮機本体容器の内部に配置されて圧縮部を駆動するモータと、を備え、アキュムレータ容器が、圧縮機本体容器の下方に設けられる。密閉型圧縮機は、アキュムレータ容器の底面を支持するベース部材と、ベース部材に設けられ、ベース部材を支持する弾性部材と、アキュムレータ容器の温度低下に伴って発生する氷が弾性部材に付着することを抑えるためのヒータと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、前記吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、前記圧縮機本体容器の内部に配置されて前記アキュムレータ容器から前記吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して前記吐出管から吐出する圧縮部と、前記圧縮機本体容器の内部に配置されて前記圧縮部を駆動するモータと、を備え、前記アキュムレータ容器が、前記圧縮機本体容器の下方に設けられた密閉型圧縮機であって、
前記アキュムレータ容器を支持するベース部材と、
前記ベース部材に設けられ、前記ベース部材を支持する弾性部材と、
前記アキュムレータ容器の温度低下に伴って発生する氷が前記弾性部材に付着することを抑えるためのヒータと、を備える、密閉型圧縮機。
【請求項2】
前記ヒータの少なくとも一部は、前記アキュムレータ容器における底面よりも上方の外周面、または前記ベース部材の上面に配置される、
請求項1に記載の密閉型圧縮機。
【請求項3】
前記アキュムレータ容器の内部に冷媒を吸入する吸入配管を備え、
前記ヒータの少なくとも一部は、前記アキュムレータ容器の外周面または前記ベース部材の前記上面において、前記アキュムレータ容器と前記吸入配管との接続部と、前記弾性部材とを、前記密閉型圧縮機の表面に沿って結んだ経路上に配置される、
請求項2に記載の密閉型圧縮機。
【請求項4】
前記アキュムレータ容器の内部から前記圧縮部へ冷媒を供給する供給配管を備え、
前記ヒータの少なくとも一部は、前記アキュムレータ容器の外周面または前記ベース部材の前記上面において、前記アキュムレータ容器と前記供給配管との接続部と、前記弾性部材とを、前記密閉型圧縮機の表面に沿って結んだ経路上に配置される、
請求項2に記載の密閉型圧縮機。
【請求項5】
前記ベース部材は、前記弾性部材が取り付けられる取付け穴と、前記アキュムレータ容器の前記底面と前記ベース部材とが接する接触面と、を有し、
前記ヒータは、前記アキュムレータ容器の外周面における前記接触面に隣接する位置に配置される、
請求項2に記載の密閉型圧縮機。
【請求項6】
前記アキュムレータ容器の内部には、当該内部を断熱部とアキュムレータ部とに仕切る仕切り部材が設けられ、
前記断熱部は、前記仕切り部材と前記ベース部材との間に形成され、
前記ヒータは、前記アキュムレータ容器における前記断熱部の外周面に配置される、
請求項2に記載の密閉型圧縮機。
【請求項7】
前記ベース部材は、前記弾性部材が取り付けられる取付け穴と、前記アキュムレータ容器の前記底面と前記ベース部材とが接する接触面と、を有し、
前記ヒータの少なくとも一部は、前記ベース部材の前記上面における前記取付け穴と前記接触面との間に配置される、
請求項2に記載の密閉型圧縮機。
【請求項8】
前記ベース部材は、前記圧縮機本体容器の外周面に固定される複数の脚部材を有する、
請求項3に記載の密閉型圧縮機。
【請求項9】
前記圧縮機本体容器の上下方向において、前記脚部材は、前記アキュムレータ容器よりも上方に位置し、前記ヒータは、前記脚部材よりも下方に位置する、
請求項8に記載の密閉型圧縮機。
【請求項10】
前記アキュムレータ容器の温度を検出する温度センサを更に備える、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
【請求項11】
請求項10に記載の密閉型圧縮機と、
前記密閉型圧縮機を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記温度センサの検出結果に基づいて前記ヒータを制御する、室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型圧縮機及び室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉型圧縮機としては、縦型円筒状の圧縮機本体容器の内部に圧縮部と圧縮部を駆動するモータを収容し、圧縮機本体容器の下方に、冷媒を気体冷媒と液体冷媒とに分離して気体冷媒を圧縮部に供給するアキュムレータ容器が設けられたものが知られている(以下、アキュムレータ一体型圧縮機とも称する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-109283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなアキュムレータ一体型圧縮機では、圧縮機本体容器の下方に設けられたアキュムレータ容器の底部がベース部材に支持されて、ベース部材に取り付けられた弾性部材を介して室外機内に固定されることによって圧縮機の振動を抑えることが考えられる。ところで、一般に密閉型圧縮機では、アキュムレータ容器の温度低下に伴い、アキュムレータ容器の周囲に氷(霜)が付着する現象(以下、着氷または着霜ともいう。)が生じる。そのため、アキュムレータ一体型圧縮機では、アキュムレータ容器に生じた着氷が進行すると、成長した氷(霜)がベース部材を経由してベース部材に取り付けられた弾性部材やベース部材が固定される室外機の底板まで達するおそれがある。
【0005】
例えば、弾性部材に着氷が生じた場合、弾性部材の表面に付着した氷(霜)によって弾性部材の弾性が低下し、圧縮機の振動を適切に抑えることができず、騒音が増大する問題がある。また、ベース部材が固定された室外機の底板等の他の構造部材に着氷が生じることによっても、圧縮機の振動が氷(霜)を介して構造部材に伝わり、振動や騒音の原因となる問題がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、圧縮機本体容器の下方に設けられたアキュムレータ容器の温度低下に伴って発生する氷によって振動や騒音が増大することを抑えられる密閉型圧縮機及び室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する密閉型圧縮機の一態様は、冷媒の吐出管及び吸入管が設けられた縦置き筒状の圧縮機本体容器と、吸入管に接続されるアキュムレータ容器と、圧縮機本体容器の内部に配置されてアキュムレータ容器から吸入管を介して吸入した冷媒を圧縮して吐出管から吐出する圧縮部と、圧縮機本体容器の内部に配置されて圧縮部を駆動するモータと、を備え、アキュムレータ容器が、圧縮機本体容器の下方に設けられた密閉型圧縮機であって、アキュムレータ容器の底面を支持するベース部材と、ベース部材に設けられ、ベース部材を支持する弾性部材と、アキュムレータ容器の温度低下に伴って発生する氷が弾性部材に付着することを抑えるためのヒータと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する密閉型圧縮機の一態様によれば、圧縮本体容器の下方に設けられたアキュムレータ容器の温度低下に伴って発生する氷によって振動や騒音が増大することを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。
図2図2は、実施例1のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。
図3図3は、実施例1のロータリ圧縮機の要部を示す斜視図である。
図4図4は、実施例2のロータリ圧縮機の要部を示す縦断面図である。
図5図5は、実施例3のロータリ圧縮機の要部を示す縦断面図である。
図6図6は、実施例3のロータリ圧縮機の要部を示す斜視図である。
図7図7は、実施例4のロータリ圧縮機の要部を示す斜視図である。
図8図8は、実施例4のロータリ圧縮機の要部を示す側面図である。
図9図9は、実施例5の室外機を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する密閉型圧縮機及び室外機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する密閉型圧縮機及び室外機が限定されるものではない。
【実施例0011】
(ロータリ圧縮機の構成)
本実施例では、密閉型圧縮機の一例として、ロータリ圧縮機について説明する。図1は、実施例1のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。図2は、実施例1のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。
【0012】
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、圧縮機本体容器10の内部に、圧縮部吸入管102から冷媒を吸入して圧縮した冷媒を圧縮機本体容器10の内部に吐出する圧縮部12と、圧縮部12を駆動するモータ11と、が収容され、圧縮部12で圧縮された高圧冷媒を圧縮機本体容器10の内部に吐出し、さらに吐出管107を通して冷凍サイクルに吐出する内部高圧型の密閉型圧縮機である。
【0013】
圧縮機本体容器10は、縦型円筒状のメインシェル10aと、カップ状のトップシェル10bと、カップ状のボトムシェル10cと、を有し、メインシェル10aの上端部にトップシェル10bの開口側10gが第1の溶接部Vで溶接によって固定され、メインシェル10aの下端部にボトムシェル10cの開口側10dが第2の溶接部Wで溶接によって固定されることにより構成されている。
【0014】
冷凍サイクルの低圧冷媒を圧縮部12に吸入するための圧縮部吸入管102がメインシェル10aを貫通して設けられている。詳しくは、メインシェル10aにガイド管101がろう付されて固定され、圧縮部吸入管102はガイド管101の内側を通ってガイド管101にろう付されて固定されている。
【0015】
圧縮部12で圧縮された高圧冷媒を圧縮機本体容器10の内部から冷凍サイクルに吐出するための吐出管107がトップシェル10bを貫通して設けられている。吐出管107はトップシェル10bに直接ろう付されて固定されている。
【0016】
圧縮機本体容器10の下方には、冷凍サイクルから吸入される低圧冷媒の気液を分離して気体冷媒だけを圧縮部12に吸入させるためのアキュムレータ容器25が設けられている。詳しくは、圧縮機本体容器10におけるメインシェル10aとボトムシェル10cの第2の溶接部Wよりも下方の位置で、アキュムレータシェル26の開口側26aをボトムシェル10cの開口側10dとは反対側(以下、ボトムシェル10cの反開口側と称する。)10eに第3の溶接部Xで溶接によって固定してアキュムレータシェル26の内部が密閉されることによりアキュムレータ容器25が形成されている。
【0017】
アキュムレータシェル26には、アキュムレータ容器25の内部に冷凍サイクルから冷媒を吸入する吸入配管としてのアキュムレータ吸入管27と、アキュムレータ容器25の内部から気体冷媒を圧縮部12へ供給する供給配管としての気液分離管31と、がそれぞれアキュムレータシェル26を貫通してアキュムレータシェル26にろう付されて固定されている。
【0018】
アキュムレータ容器25の外部で気液分離管31は、アキュムレータ容器25の内部から気体冷媒を圧縮部12へ供給する供給配管としての供給管104を介して、圧縮部吸入管102に接続されている。
【0019】
アキュムレータシェル26における下部には、ロータリ圧縮機1全体を支持するベース部材310が溶接によって固定されている。ベース部材310は、例えば、金属板によって形成されており、アキュムレータシェル26の開口側26aとは反対側(以下、アキュムレータシェル26の反開口側と称する。)26b、すなわちアキュムレータシェル26の反開口側(底面)26bに向かい合う上面310aを有する。すなわち、ベース部材310の上面310aは、ベース部材310の厚さ方向の両面のうち、アキュムレータシェル26側の面全体を指す。ベース部材310の上面310aの中央部には、アキュムレータ容器25の反開口側(底面)26bが接する接触面310bが形成されている。接触面310bの周囲には、ベース部材310を支持する弾性部材311がそれぞれ取り付けられる複数の取付け穴310cが形成されている。また、ロータリ圧縮機1は、後述する室外機3の内部に搭載されたとき、ベース部材310を支持する弾性部材311が、室外機3の筐体6の底板6d上に載置される(図9参照)。
【0020】
圧縮部12は、シリンダ121と、上端板160Tと、下端板160Sと、回転軸15を有し、上端板160T、シリンダ121、下端板160Sは順に積層され複数のボルト175により固定されている。上端板160Tには主軸受部161Tが設けられている。下端板160Sには副軸受部161Sが設けられている。回転軸15には主軸部153と偏心部152と副軸部151と、が設けられている。回転軸15の主軸部153が上端板160Tの主軸受部161Tに篏合し、回転軸15の副軸部151が下端板160Sの副軸受部161Sに篏合することにより、回転軸15は回転自在に支持される。
【0021】
モータ11は、外側に配置されたステータ111と、内側に配置されたロータ112と、を有している。ステータ111は、メインシェル10aの内周面に焼嵌めされて固定されている。ロータ112は、回転軸15に焼嵌めされて固定されている。
【0022】
圧縮機本体容器10の内部には、圧縮部12の摺動部材の潤滑及び吸入室133と吐出室131とのシールのために、圧縮部12がほぼ浸漬する量の潤滑油18が封入されている。
【0023】
次に、図2によって圧縮部12を詳しく説明する。
シリンダ121には内部に円筒状の中空部130が設けられ、中空部130にはピストン125が配置されている。ピストン125は回転軸15の偏心部152に篏合している。シリンダ121には中空部130から外向きに設けられた溝部が設けられ、溝部にはベーン127が配置されている。シリンダ121には外周から溝部に通じるスプリング穴124が設けられ、スプリング穴124にはスプリング126が配置されている。ベーン127の一端がスプリング126によってピストン125に押し当てられることにより、シリンダ121の中空部130においてピストン125の外側の空間が吸入室133と吐出室131に区画される。シリンダ121には、外周から吸入室133に連通する吸入穴135が設けられている。吸入穴135には圧縮部吸入管102が接続される。上端板160Tには、上端板160Tを貫通して吐出室131に連通する吐出穴190が設けられている。上端板160Tには、吐出穴190を開閉する吐出弁200と、吐出弁200の反りを規制する吐出弁押さえ201と、がリベット202によって固定されている。上端板160Tの上側には、吐出穴190を覆う上端板カバー170が配置され、上端板160Tと上端板カバー170とで閉塞される上端板カバー室180を形成する。上端板カバー170は、上端板160Tとシリンダ121とを固定する複数のボルト175によって上端板160Tに固定される。上端板カバー170には、上端板カバー室180と圧縮機本体容器10の内部を連通する上端板カバー吐出穴172が設けられている。
【0024】
以下に、回転軸15の回転による吸入冷媒の流れを説明する。
回転軸15の回転によって、回転軸15の偏心部152に嵌合されたピストン125が公転運動することにより、吸入室133が容積を拡大しながら冷媒を吸入する。冷媒の吸入経路として、冷凍サイクルの低圧冷媒は、アキュムレータ吸入管27を通してアキュムレータ容器25の内部に吸入され、アキュムレータ容器25に吸入された冷媒に液が混ざっていた場合にはアキュムレータ容器25内の下部に滞留し、気体冷媒だけがアキュムレータ容器25の内部の上方に開口した気液分離管31に吸入される。気液分離管31に吸入された気体冷媒は、供給管104と圧縮部吸入管102とを通って吸入室133に吸入される。冷凍サイクルから吸入される冷媒のうち液冷媒の量が多い場合は、アキュムレータ容器25の内部において液冷媒の液面が気液分離管31の開口端31bよりも上昇して多量の液冷媒が気液分離管31に流れ込む可能性がある。気液分離管31を通して圧縮部12に多量の液冷媒が流れ込むと圧縮部12を損傷させる原因となる。気液分離管31に多量の液冷媒が流れ込むことを防止するため、気液分離管31には液冷媒を少量ずつ気液分離管31に吸入させるための液戻し穴34が設けられている。
【0025】
次に、回転軸15の回転による吐出冷媒の流れを説明する。
回転軸15の回転によって、回転軸15の偏心部152に嵌合されたピストン125が公転運動することにより、吐出室131が容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が吐出弁200の外側の上端板カバー室180の圧力よりも高くなると、吐出弁200が開いて吐出室131から上端板カバー室180へ冷媒を吐出する。上端板カバー室180に吐出された冷媒は、上端板カバー170に設けられた上端板カバー吐出穴172から圧縮機本体容器10内に吐出される。
【0026】
圧縮機本体容器10内に吐出された冷媒は、ステータ111外周に設けられた上下を連通する切欠き(図示せず)、又はステータ111の巻線部の隙間(図示せず)、又はステータ111とロータ112との隙間115(図1参照)を通ってモータ11の上方に導かれ、トップシェル10bに設けられた吐出管107から冷凍サイクルに吐出される。
【0027】
次に、潤滑油18の流れを説明する。
圧縮機本体容器10内の下部に封入されている潤滑油18は、回転軸の遠心力により回転軸の内部(図示せず)を通って圧縮部12に供給される。圧縮部12に供給された潤滑油18は、冷媒に巻き込まれ霧状となって冷媒とともに圧縮機本体容器10の内部に排出される。霧状となって圧縮機本体容器10の内部に排出された潤滑油18はモータ11の回転力によって遠心力で冷媒と分離され、油滴となって再び圧縮機本体容器10内の下部に戻る。しかしながら一部の潤滑油18は分離されずに冷媒とともに冷凍サイクルに排出される。冷凍サイクルに排出された潤滑油18は冷凍サイクルを循環してアキュムレータ容器25に戻り、アキュムレータ容器25の内部で分離されアキュムレータ容器25内の下部に滞留する。アキュムレータ容器25内の下部に滞留した潤滑油18は液冷媒とともに液戻し穴34を通って少量ずつ気液分離管31に流入し、吸入冷媒とともに吸入室133に吸入される。
【0028】
(ロータリ圧縮機の特徴的な構成)
次に、本実施例のロータリ圧縮機1の特徴について説明する。本実施例における特徴には、図1に示すように、アキュムレータ容器25を支持するベース部材310と、ベース部材310に取り付けられた弾性部材311と、ロータリ圧縮機1の一部を加熱するためのヒータ320と、が含まれる。
【0029】
従来のロータリ圧縮機の構造として、アキュムレータ容器が圧縮機本体容器と一体化されていない構造、すなわち、アキュムレータ容器が圧縮機本体容器の外周側に並んで取り付けられた構造の場合には、アキュムレータ容器の周囲に生じた霜が成長した場合であっても、圧縮機本体容器を支持するベース部材に着氷(着霜)が生じることはなかった。この構造に対して、本実施例のようにアキュムレータ容器25が圧縮機本体容器10に接合されたアキュムレータ一体型圧縮機の場合には、アキュムレータ容器25の周囲に生じた霜が成長した場合、アキュムレータ容器25を支持するベース部材310を経て、ベース部材310に取り付けられた弾性部材311に氷(霜)が付着する恐れがあることが分かった。そこで、本実施例では、アキュムレータ一体型圧縮機における弾性部材311の着氷(凍結)をヒータ320での加熱によって抑制する。
【0030】
図3は、実施例1のロータリ圧縮機1の要部を示す斜視図である。図1及び図3に示すように、実施例1のロータリ圧縮機1は、アキュムレータ容器25の温度低下に伴って発生する氷、すなわちアキュムレータ容器25が低温になることに伴ってアキュムレータ容器25の周囲に生じる霜(以下、氷ともいう。)が、ベース部材310に取り付けられた弾性部材311に付着することを抑えるためのヒータ320を備える。言い換えると、ロータリ圧縮機1は、アキュムレータ容器25の周囲に生じる氷が成長し、氷が弾性部材311に到達するのを防ぐように、ロータリ圧縮機1の一部を加熱するためのヒータ320を備える。
【0031】
ヒータ320の加熱範囲の少なくとも一部は、アキュムレータ容器25のアキュムレータシェル26における反開口側(底面)26bよりも上方の外周面26cに配置される。ここで、アキュムレータシェル26の反開口側26bは、円筒状の外周面26cに連続する皿状の底面を指す。ヒータ320としては、例えば、シーズヒータ、ベルトヒータ等が用いられており、不図示の接着剤や金具等によってアキュムレータシェル26に固定されている。ヒータ320は、後述する室外機3内の制御基板330に電気的に接続されており、制御基板330の制御回路によって通電状態のオン/オフや加熱温度が制御される。
【0032】
詳細には、ヒータ320は、例えば、アキュムレータシェル26の円筒状の外周面26cにおける下部の、ベース部材310の接触面310bに隣接する位置に、外周面26cの周方向に沿って配置されている。また、ヒータ320は、アキュムレータ吸入管27の下方及び気液分離管31の下方を通って外周面26cの周方向にわたって配置されている。
【0033】
したがって、ヒータ320の加熱領域の少なくとも一部は、アキュムレータ容器25の外周面26cにおいて、アキュムレータ容器25と気液分離管31とが接続された第1接続部C1と、弾性部材311とを、ロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路上に配置されている。また、ヒータ320の加熱領域の少なくとも一部は、アキュムレータ容器25の外周面26cにおいて、アキュムレータ容器25とアキュムレータ吸入管27とが接続された第2接続部C2と、弾性部材311とを、ロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路上に配置されている。ここで、実施例1において、第1接続部C1と弾性部材311とを、ロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路は、第1接続部C1を始点として、アキュムレータシェル26の外周面26c、ベース部材310の接触面310b、上面310aのそれぞれの表面を経由し、弾性部材311に至る経路を指す。同様に、実施例1において、第2接続部C2と弾性部材311とを、ロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路は、第2接続部C2を始点として、アキュムレータシェル26の外周面26c、ベース部材310の接触面310b、上面310aのそれぞれの表面を経由し、弾性部材311に至る経路を指す。
【0034】
このようにヒータ320が配置されることで、ヒータ320によってベース部材310の近傍が加熱されるので、アキュムレータシェル26の外周面26cに生じた霜が成長してベース部材310の上面310aに到達することが抑えられる。これにより、ベース部材310に取り付けられた弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを防げる。また、アキュムレータ容器25の温度低下に伴って発生する氷によって、ベース部材310が固定される後述の室外機3の底板6d等の構造部材に着氷が生じることが抑えられ、底板6d等の着氷に伴うロータリ圧縮機1の振動や騒音が増大することを抑えられる。
【0035】
また、アキュムレータ容器25(アキュムレータシェル26)が圧縮機本体容器10に接合されたアキュムレータ一体型圧縮機の場合、アキュムレータシェル26とこのアキュムレータシェル26に接続される配管(気液分離管31、アキュムレータ吸入管27)との接続部(第1接続部C1、第2接続部C2)は、霜が成長し始める起点となりやすい。そこで本実施例では、第1接続部C1や第2接続部C2を起点として成長し始めた霜が、ロータリ圧縮機1の構成部材の表面を経由して弾性部材311へと至るためには、必ずヒータ320の表面を経由するようにした。これにより、霜が成長して弾性部材311へと到達することを、経路上に配置されたヒータ320により防止することができる。よって、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを更に抑制することができる。
【0036】
また、ロータリ圧縮機1は、アキュムレータ容器25の温度を検出する温度センサ325を備える。温度センサ325としては、例えば、サーミスタが用いられており、後述する室外機3内の制御基板330に電気的に接続されている。室外機3内の制御基板330の制御回路は、温度センサ325の検出結果に基づいてヒータ320を制御する。制御基板330の制御回路は、例えば、温度センサ325が検出した温度が所定温度(例えば0℃)以下であるときにヒータ320に通電することで、アキュムレータ容器25の周囲に霜が生じる所望のタイミングでヒータ320による加熱を行い、弾性部材311の着氷を効率的に防ぐことができる。
【0037】
温度センサ325は、例えば、アキュムレータシェル26の外周面26cに取り付けられている。図示しないが、温度センサ325は、アキュムレータシェル26の外周面26cの複数の位置に配置されてもよく、例えば、アキュムレータシェル26の外周面26cと、ベース部材310の上面310aにおける弾性部材311に隣接する位置に配置されてもよい。
【0038】
(実施例1の効果)
上述したように、実施例1のロータリ圧縮機1は、アキュムレータ一体型圧縮機であって、アキュムレータ容器25を支持するベース部材310と、ベース部材310を支持する弾性部材311と、アキュムレータ容器25の温度低下に伴って発生する氷が弾性部材311に付着することを抑えるためのヒータ320と、を備える。これにより、ロータリ圧縮機1は、低温になるアキュムレータシェル26の周囲に生じた霜の成長に伴い、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを防げる。
【0039】
また、実施例1のロータリ圧縮機1は、アキュムレータ容器25の温度低下に伴って発生する氷によって室外機3の底板6d等の構造部材に着氷が生じることが、上述したヒータ320での加熱によって抑えられ、底板6d等の着氷に伴うロータリ圧縮機1の振動や騒音の増大を抑えられる。
【0040】
また、実施例1のロータリ圧縮機1において、ヒータ320の加熱領域の少なくとも一部は、アキュムレータ容器25における反開口側(底面)26bよりも上方の外周面26c、またはベース部材310の上面310aに配置される。これにより、弾性部材311と、低温になるアキュムレータ容器25との間で、アキュムレータ容器25から霜が成長する経路上にヒータ320が配置されるので、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを適切に防げる。
【0041】
また、実施例1のロータリ圧縮機1において、ヒータ320の加熱領域の少なくとも一部は、アキュムレータ容器25の外周面26cにおいて、アキュムレータ容器25とアキュムレータ吸入管27とが接続された第1接続部C1と、弾性部材311とを、ロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路上に配置される。これにより、アキュムレータ容器25及びアキュムレータ吸入管27から霜が成長する経路上にヒータ320が配置されるので、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを適切に防げる。
【0042】
同様に、実施例1のロータリ圧縮機1において、ヒータ320の加熱領域の少なくとも一部は、アキュムレータ容器25の外周面26cにおいて、アキュムレータ容器25と気液分離管31とが接続された第2接続部C2と、弾性部材311とを、ロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路上に配置される。これにより、アキュムレータ容器25及び気液分離管31から霜が成長する経路上にヒータ320が配置されるので、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを適切に防げる。
【0043】
また、実施例1のロータリ圧縮機1において、ヒータ320は、アキュムレータ容器25の外周面26cにおけるベース部材310の接触面310bに隣接する位置に配置される。これにより、ベース部材310の取付け穴310cに取り付けられた弾性部材311の温度の低下をヒータ320によって効率的に抑えることができるので、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを適切に防げる。
【0044】
以下、他の実施例について図面を参照して説明する。他の実施例において、実施例1と同一の構成部材には、実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例0045】
実施例2は、アキュムレータ容器25の構造及びヒータ320の配置が実施例1と異なる。図4は、実施例2のロータリ圧縮機の要部を示す縦断面図である。
【0046】
図4に示すように、実施例2のロータリ圧縮機2Aのアキュムレータ容器25の内部には、この内部を、断熱部35とアキュムレータ部36とに仕切る仕切り部材48が設けられている。断熱部35は、アキュムレータ容器25とベース部材310との間の熱伝導を遮る中空の内部空間35aを有しており、内部空間35aが、仕切り部材48とアキュムレータシェル26の反開口側(底面)26bとの間に形成されている。
【0047】
仕切り部材48の外周部48aは、アキュムレータシェル26の内周面に第4の溶接部Yによって接合されている。第4の溶接部Yは、アキュムレータシェル26の周方向にわたって形成されている。したがって、アキュムレータシェル26内において冷媒が導入されるアキュムレータ部36は、アキュムレータシェル26と、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cと、仕切り部材28とによって密閉されて形成されている。仕切り部材28の外周部28aは、アキュムレータシェル26の上方に向かうように湾曲される形状に限定されず、アキュムレータシェル26の下方に向かうように湾曲されてもよい。
【0048】
本実施例における断熱部35は、アキュムレータシェル26の内部に形成される構造に限定されず、アキュムレータシェル26の外部に形成されてもよい。アキュムレータシェル26の内部に仕切り部材48が設けられる構造に代えて、アキュムレータシェル26の外部に、カップ状の中空シェル(図示せず)が接合されることで、アキュムレータシェル26の反開口側26bとベース部材310との間に断熱部35が形成されてもよい。
【0049】
実施例2のロータリ圧縮機2Aでは、ヒータ320が、アキュムレータ容器25における断熱部35の外周面26c、すなわち、アキュムレータシェル26の外周面26cにおける断熱部35に対向する位置に配置されている。このようにアキュムレータシェル26の内部に断熱部35が形成されることにより、アキュムレータシェル26のアキュムレータ部36内のガス冷媒によってベース部材310が冷却されることが断熱部35によって抑えられる。加えて、ヒータ320によって断熱部35が加熱されることにより、アキュムレータ部36内の冷媒によって温度が低下した断熱部35を温めることができ、低温のアキュムレータ部36によってベース部材310が冷却されることが更に抑えられる。
【0050】
上述のように、ヒータ320が、アキュムレータ容器25における断熱部35の外周面26cに配置されることで、アキュムレータ容器25の周囲に生じた氷が成長してベース部材310に到達することが抑えられるので、ベース部材310及び弾性部材311に着氷が生じることを防げる。その結果、ベース部材310に取り付けられた弾性部材311の弾性が低下することが抑えられ、弾性部材311によってロータリ圧縮機2Aの振動を吸収して振動を適正に抑えられる。
【0051】
また、ヒータ320がアキュムレータシェル26の外周面における断熱部35に対向する位置に配置されることで、ヒータ320がアキュムレータシェル26の外周面におけるアキュムレータ部36に対向する位置に配置される場合に比べて、アキュムレータ部36内の冷媒が加熱されることが抑えられ、圧縮前の冷媒が加熱されることによる圧縮効率の低下が抑えられる。
【0052】
(実施例2の効果)
上述したように実施例2のロータリ圧縮機2Aは、ヒータ320が、アキュムレータ容器25における断熱部35の外周面26cに配置される。これにより、ヒータ320は、断熱部35を加熱することで、アキュムレータ容器25のアキュムレータ部36を直接的に加熱することを避けられるので、アキュムレータ容器25から圧縮部12へ吸入される冷媒の温度の上昇を抑えられる。したがって、実施例2によれば、アキュムレータ容器25から圧縮部12へ供給する冷媒の圧縮効率の低下を抑えると共に、アキュムレータ容器25による弾性部材311の着氷を抑えることができる。その結果、ロータリ圧縮機2Aの騒音や振動の増大を抑えられる。
【実施例0053】
実施例3は、ヒータ320の配置が実施例1、2と異なる。図5は、実施例3のロータリ圧縮機の要部を示す縦断面図である。図6は、実施例3のロータリ圧縮機の要部を示す斜視図である。
【0054】
実施例3のロータリ圧縮機2Bにおいて、ヒータ320の加熱範囲の少なくとも一部は、ベース部材310の上面310aに配置される。一例として、図5及び図6に示す実施例3におけるヒータ320は、上面310aに沿って環状に配置されている。また、ベース部材310の上面310aにおける取付け穴310cと接触面310bとの間に、環状のヒータ320の一部が位置している。
【0055】
したがって、ヒータ320の加熱領域の少なくとも一部は、ベース部材310の上面310aにおいて、アキュムレータ容器25と気液分離管31とが接続される第1接続部C1と、弾性部材311とを、ロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路上に配置されている。これにより、アキュムレータ容器25及び気液分離管31から霜が成長する経路上にヒータ320が配置されるので、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを適切に防げる。
【0056】
また、ヒータ320の加熱領域の少なくとも一部は、ベース部材310の上面310aにおいて、アキュムレータ容器25とアキュムレータ吸入管27とが接続される第2接続部C2と、弾性部材311とを、ロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路上に配置されている。これによりアキュムレータ容器25及びアキュムレータ吸入管27から霜が成長する経路上にヒータ320が配置されるので、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを適切に防げる。
【0057】
なお、実施例3において、第1接続部C1と弾性部材311とをロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路は、実施例1と同様に、第1接続部C1を始点として、アキュムレータシェル26の外周面26c、ベース部材310の接触面310b、上面310aのそれぞれの表面を経由し、弾性部材311に至る経路を指す。同様に、実施例3において、第2接続部C2と弾性部材311とをロータリ圧縮機1の構成部材の表面に沿って結んだ経路は、第2接続部C2を始点として、アキュムレータシェル26の外周面26c、ベース部材310の接触面310b、上面310aのそれぞれの表面を経由し、弾性部材311に至る経路を指す。
【0058】
また、実施例3におけるヒータ320の加熱範囲の一部は、ベース部材310の取付け穴310cに隣接する位置を通るように配置されている。これにより、ヒータ320は、取付け穴310cに取り付けられた弾性部材311の着氷を効率的に抑えるようにベース部材310を加熱し、アキュムレータ容器25に生じた霜によって弾性部材311に着氷生じることを抑えられる。
【0059】
(実施例3の効果)
上述したように実施例3のロータリ圧縮機2Bにおいて、ヒータ320の加熱領域の少なくとも一部は、ベース部材310の上面310aにおける取付け穴310cと接触面310bとの間に配置される。これにより、ベース部材310の取付け穴310cに取り付けられた弾性部材311の温度の低下をヒータ320によって効率的に抑えることができるので、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを適切に防げる。また、アキュムレータ容器25から霜が成長する経路上にヒータ320が配置されるので、弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを適切に防げる。その結果、ロータリ圧縮機2Bの騒音や振動の増大を抑えられる。
【実施例0060】
実施例4は、ベース部材310によるロータリ圧縮機の支持構造が実施例1~3と異なる。図7は、実施例4のロータリ圧縮機の要部を示す斜視図である。図8は、実施例4のロータリ圧縮機の要部を示す側面図である。
【0061】
図7及び図8に示すように、実施例4のロータリ圧縮機2Cが備えるベース部材310は、圧縮機本体容器10の外周面に固定される3つの脚部材315と、各脚部材315に取り付けられる弾性部材311を介して脚部材315を支持する台座部材316と、を有する。
【0062】
脚部材315は、金属板が断面L字状に折り曲げられて形成されている。各脚部材315は、圧縮機本体容器10のメインシェル10aの周方向に等間隔に配置されており、メインシェル10aにおけるボトムシェル10c側である下端部の外周面に、スポット溶接部Zによって接合されている。したがって、メインシェル10aの外周面に接合された脚部材315は、圧縮機本体容器10の外周面に固定されている。
【0063】
脚部材315は、圧縮機本体容器10のメインシェル10aに固定される固定片315aと、弾性部材311が取り付けられる支持片315bと、を有する。脚部材315の固定片315aは、スポット溶接部Zによってメインシェル10aの下端部の外周面に接合されている。固定片315aがメインシェル10aの上下方向に沿って配置されており、支持片315bがメインシェル10aの外周面からメインシェル10aの径方向に沿って延ばされている。支持片315bには、弾性部材311が嵌め込まれる取付け穴315cが形成されている。脚部材315の支持片315bに取り付けられた弾性部材311は、台座部材316に支持されている。
【0064】
したがって、実施例4におけるベース部材310は、3つの脚部材315を介してロータリ圧縮機2Cの圧縮機本体容器10を支持している。言い換えると、ベース部材310は、複数の脚部材315を介して、圧縮機本体容器10に接合されたアキュムレータ容器25を支持している。
【0065】
実施例4におけるヒータ320は、アキュムレータ容器25のアキュムレータシェル26の外周面26cに、開口端26aの周方向に沿って設けられている。実施例4では、圧縮機本体容器10のメインシェル10aの上下方向において、ヒータ320が脚部材315よりも下方に位置している。
【0066】
このようにベース部材310の脚部材315が圧縮機本体容器10の外周面に固定されることで、例えば実施例1のようにベース部材310がアキュムレータ容器25に接する構造と比べて、低温になるアキュムレータ容器25によって脚部材315の温度が低下しにくくなり、弾性部材311への氷の付着を抑制できる。また、ヒータ320が脚部材315の下方に位置されることで、アキュムレータ容器25から氷(霜)が成長する経路上にヒータ320を配置できるので、アキュムレータ容器25から成長した氷がベース部材310に到達することを効率的に抑制できる。
【0067】
加えて、脚部材315は、圧縮機本体容器10のメインシェル10aに接合されることで、低温になるアキュムレータシェル26から離されると共に高温になるメインシェル10aに接して配置されることになる。このため、脚部材315が圧縮機本体容器10のメインシェル10aに固定された実施例4は、脚部材315がアキュムレータシェル26側に固定される構造と比べて、内部がガス冷媒で低温になるアキュムレータシェル26によって脚部材315が冷却され難くなり、脚部材315に着氷が生じることを効果的に抑えられる。
【0068】
したがって、低温になるアキュムレータシェル26によって脚部材315を介して弾性部材311が冷却されることが抑えられるので、弾性部材311の着氷が更に抑えられる。その結果、弾性部材311によってロータリ圧縮機2Cの振動を安定的に吸収することで振動を抑制できる。
【0069】
また、3つの脚部材315は、圧縮機本体容器10のメインシェル10aの周方向に対して等間隔に配置されることで、3つの脚部材315を用いた簡素な構造によって、ロータリ圧縮機2C全体を安定的に支持し、各弾性部材311によってロータリ圧縮機2Cの振動を吸収して振動を抑えられる。なお、脚部材315の個数や形状は、本実施例4に限定されない。
【0070】
なお、実施例4のロータリ圧縮機2Cは、金属製の脚部材315及びゴム製の弾性部材311を備えるが、脚部材315及び弾性部材311の材料は限定されない。例えば、脚部材315の少なくとも一部が、熱伝導性が低い樹脂材料等で形成されてもよい。
【0071】
図8に示すように、ベース部材310の台座部材316は、弾性部材311を介して、各脚部材315の支持片315bを支持しており、ロータリ圧縮機2Cの取り付け位置に載置される。台座部材316は、例えば、金属材料によって形成されており、各脚部材315を支持する支持部316aと、支持部316aと連結された載置部316bと、を有する。なお、ロータリ圧縮機2Cは、台座部材316を備える構造に限定されるものでなく、脚部材315に設けられた弾性部材311が設置箇所に直接載置されてもよい。
【0072】
支持部316aには、弾性部材311が嵌め込まれる取付け穴316cが形成されている。台座部材316は、弾性部材311を介して各脚部材315を支持することで、圧縮機本体容器10及びアキュムレータシェル26を支持する。台座部材316は、アキュムレータシェル26の反開口側26bが載置部316bに接触しないように支持しており、弾性部材311によってロータリ圧縮機2Cの振動が吸収されて振動が抑制される。
【0073】
なお、図示しないが、脚部材315は、台座部材316と一体に形成されてもよい。この場合には、例えば、台座部材316の載置部316bに弾性部材311が設けられ、弾性部材311によって台座部材316が支持される構造が用いられてもよい。
【0074】
(実施例4の効果)
上述したように実施例4のロータリ圧縮機2Cにおけるベース部材310は、圧縮機本体容器10の外周面に固定される複数の脚部材315を有する。これにより、高温になる圧縮機本体容器10にベース部材310が固定されるので、低温になるアキュムレータ容器25によってベース部材310が冷却されることを抑えられる。その結果、ベース部材310を支持する弾性部材311に着氷が生じて弾性が低下することを更に防げる。
【0075】
また、実施例4のロータリ圧縮機2Cは、圧縮機本体容器10の上下方向において、ヒータ320が、脚部材315よりも下方に位置する。これにより、低温になるアキュムレータ容器25によって脚部材315の温度が低下しにくくなり、弾性部材311への氷の付着を抑制すると共に、アキュムレータ容器25から氷(霜)が成長する経路上にヒータ320を配置できる。その結果、アキュムレータ容器25から成長した氷がベース部材310に到達することを効率的に抑制できる。
【0076】
加えて、実施例4は、圧縮機本体容器10が脚部材315及び弾性部材311を介して台座部材316に支持されることで、アキュムレータ容器25の反開口側(底面)26bを、室外機3の底板6dから離すことが可能になると共に、アキュムレータ容器25から脚部材315、台座部材316を経て、室外機3の底板6dまでの沿面での経路を長く確保できる。これにより、ロータリ圧縮機2Cが設置される底板6d等の構造部材に氷が生じることが更に抑えられ、ロータリ圧縮機2Cの振動や騒音を抑える信頼性が高められる。
【0077】
上述した実施例1~4は、ヒータ320及び温度センサ325の個数、ヒータ320及び温度センサ325の位置を限定するものではなく、適宜変更されてよい。温度センサ325は、例えば、アキュムレータ吸入管27、供給管104、冷凍サイクルにおける低圧側の配管、ベース部材310や室外機3の底板6d等に配置されてもよい。
【0078】
なお、本実施例のロータリ圧縮機1、2A~2Cは、1つのシリンダを有する、いわゆる1シリンダ型のロータリ圧縮機に限定されず、2つのシリンダを有する、いわゆる2シリンダ型のロータリ圧縮機に適用されてもよい。また、本実施例は、ロータリ圧縮機を一例として説明したが、例えば、スクロール圧縮機等の他の圧縮機に適用されてもよく、本実施例と同様の効果が得られる。
【実施例0079】
(室外機の構成)
図9は、実施例5の室外機を示す模式図である。図9に示すように、実施例の室外機3は、空気調和機で用いられる室外機である。室外機3は、冷媒を圧縮するロータリ圧縮機1と、ロータリ圧縮機1と配管(図示せず)を介して連結されて冷媒が流れる熱交換器4と、熱交換器4に送風するプロペラファン(軸流ファン)5と、これらのロータリ圧縮機1、熱交換器4及びプロペラファン5が内部に収容された筐体6と、を備える。
【0080】
筐体6は、外気を取り込むための吸込み口7と、筐体6内の空気を排出するための吹出し口8と、を有する。吸込み口7は、筐体6の側面6a及び背面6cに設けられている。吹出し口8は、筐体6の前面6bに設けられている。熱交換器4は、筐体6の前面6bに対向する背面6cと側面6aとに亘って配置されている。プロペラファン5は、吹出し口8に対向して配置されており、ファンモータ(図示せず)によって回転駆動される。
【0081】
また、室外機3は、ロータリ圧縮機1及びファンモータを制御する制御部としての制御基板330を備えており、制御基板330の制御回路が、上述した温度センサ325の検出結果に基づいてヒータ320の通電状態や加熱温度を制御する。制御基板330の制御回路は、例えば、温度センサ325が検出した温度が所定温度(例えば0℃)以下であるときにヒータ320に通電することで、アキュムレータ容器25の周囲に霜が生じる所望のタイミングでヒータ320による加熱を行い、弾性部材311の着氷を効率的に防げる。また、室外機3の筐体6は、ロータリ圧縮機1、熱交換機4等が載置される底板6dを有しており、底板6d上に載置された各弾性部材311によって、ロータリ圧縮機1のベース部材310が支持されている。
【0082】
室外機3は、温度センサ325の検出結果に基づいてヒータ320の通電状態や加熱温度を制御することで、アキュムレータ容器25の周囲に霜が生じる所望のタイミングで弾性部材311の着氷を効率的に防げる。これにより、ヒータ320によってアキュムレータ容器25内の冷媒が不必要に加熱されることを抑制し、冷媒の圧縮効率の低下を抑えると共に、ロータリ圧縮機1の弾性部材311、室外機3の底板6d等の着氷を効率的に防げる。その結果、ロータリ圧縮機1の騒音や振動の増大を抑えられる。
【符号の説明】
【0083】
1、2A~2C ロータリ圧縮機(密閉型圧縮機)
3 室外機
6 筐体
6d 底板
10 圧縮機本体容器
11 モータ
12 圧縮部
25 アキュムレータ容器
26 アキュムレータシェル
26b 反開口側(底面)
26c 外周面
27 アキュムレータ吸入管(吸入配管)
31 気液分離管(供給配管)
35 断熱部
36 アキュムレータ部
48 仕切り部材
102 圧縮部吸入管
104 供給管(供給配管)
107 吐出管
310 ベース部材
310a 上面
310b 接触面
310c 取付け穴
311 弾性部材
315 脚部材
316 台座部材
320 ヒータ
325 温度センサ
330 制御基板(制御部)
C1 第1接続部(接続部)
C2 第2接続部(接続部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9