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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157375
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】走行ドラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
G01M17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071705
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 尚史
(57)【要約】
【課題】要件の厳しい走行テストを実施可能であること及び新たな疑似路面による走行テストを実施可能であることを両立可能な走行ドラムを提供する。
【解決手段】走行ドラムは、ドラム本体20と、ドラム本体20に形成された第1疑似路面3と、第2疑似路面5が形成され且つドラム周方向に沿って湾曲した形状のプレート21と、を有する。プレート21は、ドラム本体20に対して着脱自在に構成され、第1疑似路面3を跨った状態でドラム本体20に装着可能である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム本体と、前記ドラム本体に形成された第1疑似路面と、第2疑似路面が形成され且つドラム周方向に沿って湾曲した形状のプレートと、を備え、
前記プレートは、前記ドラム本体に対して着脱自在に構成され、前記第1疑似路面を跨った状態で前記ドラム本体に装着可能である、走行ドラム。
【請求項2】
前記プレートが前記ドラム本体に装着された状態において、前記第1疑似路面の表面と前記プレートの内周面とは、ドラム径方向に離隔している、請求項1に記載の走行ドラム。
【請求項3】
前記プレートと前記第1疑似路面との間に弾性部材が配置されている、請求項2に記載の走行ドラム。
【請求項4】
前記プレートは、ドラム軸方向に延び且つ前記第2疑似路面が形成されるプレート本体と、前記プレート本体から前記ドラム本体に向けて延び且つ前記第1疑似路面を挟む位置に配置される一対の支持足とを有し、
前記一対の支持足が前記ドラム本体に着脱可能に取り付けられる、請求項1に記載の走行ドラム。
【請求項5】
前記プレートは、前記第2疑似路面のドラム軸方向の両側に配置され且つ前記プレート本体からドラム径方向の外側に起立する起立壁を有し、
前記起立壁の最大高さは、前記第2疑似路面の最大高さ以下である、請求項1に記載の走行ドラム。
【請求項6】
前記プレートは、前記第2疑似路面を複数種類有する、請求項1に記載の走行ドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ性能試験で用いられる走行ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なタイヤ性能を評価するために、走行ドラムを備えた室内ドラム試験機による室内ドラム試験が実施されている。走行ドラムの外周面には、所定の路面形状を再現した疑似路面が設けられる。タイヤを押し当てた状態で走行ドラムを回転駆動させることにより、疑似路面上にタイヤを走行させることができる。
【0003】
室内ドラム試験機では、走行条件などに応じて種々の粗さの疑似路面が使い分けられる。しかし、走行ドラムの外周面に疑似路面を直接形成すると、疑似路面の交換作業に時間がかかる。そこで、特許文献1のように、走行ドラムを、ドラム本体と、ドラム本体に対して着脱自在の円筒状のプレートとで構成し、プレートに疑似路面を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-218470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、疑似路面を設けたプレートがドラム本体に着脱自在であれば、プレートを着脱することによって、複数種類の疑似路面による走行テストを実施可能となる。しかしながら、プレート同士の継ぎ目が異音の原因となり、要件の厳しい走行テストには適していない。一方、走行ドラムには、新たな疑似路面による走行テストの試行が求められている。よって、要件の厳しい走行テストを実施可能であること及び新たな疑似路面による走行テストを実施可能であることの2つの要求を1つの走行ドラムで実現できることが望ましい。
【0006】
本開示は、要件の厳しい走行テストを実施可能であること及び新たな疑似路面による走行テストを実施可能であることを両立可能な走行ドラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の走行ドラムは、ドラム本体と、前記ドラム本体に形成された第1疑似路面と、第2疑似路面が形成され且つドラム周方向に沿って湾曲した形状のプレートと、を備え、前記プレートは、前記ドラム本体に対して着脱自在に構成され、前記第1疑似路面を跨った状態で前記ドラム本体に装着可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】走行ドラム2を備えた室内ドラム試験機1の一例を示す概略構成図。
図2】ドラム軸方向ADから見た走行ドラム2を示す概略構成図。
図3】ドラム軸方向ADから見た、プレート21を装着した状態の走行ドラム2を示す概略構成図。
図4】一つのプレート21を示す平面図。
図5】一つのプレート21を示す側面図。
図6図3のA-A部位断面図。
図7】第2実施形態に係る図6に対応する図。
図8】第3実施形態に係る図6に対応する図。
図9】第4実施形態に係る図6に対応する図。
図10】第5実施形態に係る図6に対応する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、走行ドラム2を備えた室内ドラム試験機1の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、室内ドラム試験機1は、第1疑似路面3が設けられた走行ドラム2と、第1疑似路面3に押し当てるようにしてタイヤTを支持するタイヤ支持体4とを備える。走行ドラム2は、水平に延びたドラム回転軸11により回転可能に支持されている。ドラム回転軸11には、走行ドラム2を回転駆動させるモータなどのドラム動力源12が接続されている。
【0011】
タイヤ支持体4は、水平に延びたタイヤ回転軸13によってタイヤTを支持している。タイヤ回転軸13には、タイヤ回転軸13に駆動力又は制動力を付与できるモータなどのタイヤ動力源14が接続されている。タイヤ動力源14としては、制動力を付与するためにブレーキを使用したり、モータとブレーキを併用したりしてもよい。タイヤ回転軸13には、トルクやタイヤTの前後方向力、左右方向力及び鉛直方向力の3方向の力を計測するロードセル15、及び、タイヤ回転軸13を押圧方向(図1の上下方向)において固定する固定部材16が取り付けられている。
【0012】
タイヤ支持体4は、タイヤTを走行ドラム2に押圧する押圧手段としての昇降装置17を備える。昇降装置17はタイヤ動力源14を昇降させる。これにより、タイヤ回転軸13に取り付けられたタイヤTを走行ドラム2に対して近付けたり遠ざけたりすることができる。押圧手段として、走行ドラム2を昇降可能に構成された昇降装置17を採用してもよい。ロードセル15による鉛直方向力計測結果に基づき、昇降装置17によってタイヤTの荷重を所定の値に調整した後、固定部材16でタイヤ回転軸13を固定することにより、所定の荷重でタイヤTを第1疑似路面3に接地させることができる。
【0013】
室内ドラム試験機1は、室内ドラム試験機1の動作を制御する制御部18を備える。制
御部18は、パーソナルコンピュータやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)
などのコンピュータを用いて構成できる。制御部18は、ドラム動力源12、タイヤ動力
源14、ロードセル15、固定部材16、及び、昇降装置17に対して電気的に接続され
ており、これら各部の動作を制御可能に構成されている。
【0014】
図2は、ドラム軸方向ADから見た走行ドラム2を示す概略構成図である。走行ドラム2は、ドラム本体20と、環状の第1疑似路面3とを備える。試験に供されるタイヤTは、走行ドラム2の外周面に設けられた第1疑似路面3に押し当てられる。ドラム本体20は、ドラム回転軸11に支持され、回転駆動可能に構成されている。ドラム本体20の外周面に第1疑似路面3が設けられている。第1疑似路面3はドラム本体20の外周面に一周にわたり隙間なく形成されている。これにより、第1疑似路面3は要求の高い走行テストに適している。第1疑似路面3は、ドラム本体20の外周面に固定されており、ドラム本体20に対して着脱自在ではない。
【0015】
走行ドラム2は、ドラム本体20に対して着脱自在なプレート21を有する。プレート21は、ドラム周方向に沿って湾曲した形状であり、例えば円弧状又は円筒状であるといえる。図3は、ドラム軸方向ADから見た、プレート21を装着した状態の走行ドラム2を示す概略構成図である。図3に示すように、プレート21が装着されたドラム本体20の外周面は、その全周に亘ってプレート21で覆われており、プレート21の外周面に第2疑似路面5(図4参照)が設けられている。ドラム本体20の外周面に形成された第1疑似路面3は、プレート21で覆われている。プレート21はドラム本体20に対して着脱自在に構成されている。これにより、第1疑似路面3とは異なる第2疑似路面を使用可能にする際には、プレート21の取り付けや取り外しにより対応できるため作業が短時間で済む。プレート21は、アルミニウムやステンレス鋼などの金属材により形成されている。プレート21は、ドラム周方向CDに分割されており、環状に連ねてドラム本体20に装着可能となる。図3は概略図であるため、プレート21の分割数を9個として図示しているが、分割数は変更可能である。
【0016】
図4は、一つのプレート21を示す平面図である。図5は、一つのプレート21を示す側面図である。図6は、図3のA-A断面図である。図4及び図5に示すように、プレート21は、ドラム周方向CDに沿って円弧状に湾曲した板材により形成されている。プレート21は、プレート21をドラム本体20に固定する第1ボルト22(固定具に相当)を装着するための貫通孔21hを有する(図6参照)。貫通孔21hは、プレート21を厚み方向(ドラム径方向RD)に貫通し、例えばキリ穴、リーマ穴、ザグリ穴またはネジ穴などとして設けられる。貫通孔21hは、プレート21の幅方向(ドラム軸方向AD)の両端部において、それぞれドラム周方向CDに間隔を設けて複数形成されている。プレート21の周方向端面(図示せず)は、ドラム軸方向ADと平行に延びているが、これに限られず、ドラム軸方向ADに対して傾斜した方向に延びていても構わない。
【0017】
図6に示すように、プレート21は、ドラム本体20に対して着脱自在である。プレート21は、第1疑似路面3を跨った状態でドラム本体20に装着可能である。プレート21は、ドラム軸方向ADに延びるプレート本体23と、一対の支持足24と、起立壁25と、を有する。プレート本体23の外周面には、第2疑似路面5が形成されている。プレート本体23は、全体として円弧板状に形成されている。図6に示す例では、支持足24のドラム軸方向ADの位置及び起立壁25のドラム軸方向ADの位置が異なっているが、同じであってもよい。
【0018】
一対の支持足24は、プレート本体23からドラム本体20に向けて延び、プレート21の装着状態においてドラム本体20に接触し、プレート本体23を支持する機能を有する。一対の支持足24は、図6に示すように、ドラム軸方向ADの両側から第1疑似路面3を挟む位置に配置されている。プレート本体23及び一対の支持足24には、貫通孔21hが形成されている。貫通孔21hを通る第1ボルト22によってドラム本体20にプレート本体23及び一対の支持足24を着脱自在に固定可能である。一対の支持足24は、円弧状の棒状部材であり、図5に示すように、第2ボルト26(固定具に相当)によってプレート本体23に固定されている。
【0019】
起立壁25は、円弧状の棒状部材であり、図5に示すように、第3ボルト27(固定具に相当)によってプレート本体23に固定されている。起立壁25の最大高さは、図6に示すように、第2疑似路面5の最大高さと同一の高さであるか、第2疑似路面5よりも低いことが好ましい。タイヤTが第2疑似路面5を走行した際に発生するノイズが起立壁25で反射されてしまうと、正常なノイズ計測ができないためである。起立壁25は、第2疑似路面5をモルタルなどの流動性のある材料で形成する場合の枠として機能させてもよいし、第2疑似路面5に接着させて第2疑似路面5を支持する機能を持たせてもよい。
【0020】
図6に示すように、プレート21がドラム本体20に装着された状態において、第1疑似路面3の表面と、プレート21(プレート本体23)の内周面とは、ドラム径方向RDに離隔しており、第1疑似路面3の表面と、プレート21(プレート本体23)の内周面との間に隙間G1が設けられている。タイヤTが第2疑似路面5に押し付けられれば、プレート本体23がドラム径方向RDの内側に微量であるものの撓む。隙間G1を設ければ、プレート本体23が撓んだとしても第1疑似路面3にプレート本体23が接触する可能性を抑制又は防止可能となる。そのため、隙間G1のドラム径方向RDの寸法は、撓み量よりも大きいことが好ましい。撓み量は、次に述べる数式に基づいて算出してもよいし、シミュレーションで算出してもよい。
【0021】
撓み量は、理論上、荷重による撓み量δと自重による撓み量δとの合計値であるが、荷重による撓み量δが支配的であるため、自重による撓み量δを考慮せずに、荷重による撓み量δのみとしてもよい。各式は次の通りである。
荷重による撓み量δ=(FL)/(192EI)
最大タイヤ荷重:F
プレート本体23のドラム軸方向ADの寸法:L
プレート本体23のヤング率:E
断面二次モーメント:I=(bh)/12
プレート本体23のドラム周方向CDの寸法:b
プレート本体23のドラム径方向RDの寸法:h
自重による撓み量δ=(ρgAL)/(384EI)
プレート本体23の密度:ρ
重力加速度:g
プレート本体23の断面積:A=bh
【0022】
[変形例]
(A)第2実施形態
図7は、第2実施形態について図6に対応する図である。図7に示す第2実施形態のように、第1疑似路面3の表面とプレート21の内周面(プレート本体23の内周面)とがドラム径方向RDに離隔しており、プレート21の内周面と第1疑似路面3との間にゴムなどの弾性部材6を設けてもよい。弾性部材6を設ければ、タイヤTからの荷重が第1疑似路面3にかかるが、その力を分散でき、第1疑似路面3の損傷を抑制又は防止可能となる。それでいて、弾性部材6を設けずに隙間G1のみを設ける場合(図6の構成)に比べて、隙間G1のドラム径方向RDの寸法を小さくできる。これにより、プレート21のドラム径方向RDの寸法を小さくできる。ドラム表面と既存設備との隙間に余裕がなく、弾性部材6を設けずに隙間G1のみを設ける(図6に示す構成)と既存設備と干渉する場合でも、第2実施形態の構成であれば、既存設備との干渉を回避できる可能性がある。
【0023】
(B)第3実施形態
図8は、第3実施形態に係る図6に対応する図である。図6に示す第1実施形態では、プレート21は起立壁25を有するが、これに限定されない。図8に示すように、プレート21が起立壁25を有しない、としてもよい。この場合、プレート21(プレート本体23)の外周面に形成される第2疑似路面5として厚みの薄いシート部材を貼り付けたとしても、第2疑似路面5をタイヤTが走行する際に生じる騒音が起立壁25で反射して、騒音試験の結果を損なうことを抑制可能となる。
なお、図8において、貫通孔21hにザグリ加工を施してあり、第1ボルト22の頭がプレート本体23の表面から突出しないようにしている。これにより、第2疑似路面5をタイヤTが走行する際に生じる騒音が第1ボルト22で反射して騒音試験の結果を損なうことを抑制可能となる。
【0024】
(C)上記実施形態において、ドラム本体20に1つの第1疑似路面3が形成されているが、ドラム本体20に複数の第1疑似路面3が形成されていてもよい。
【0025】
(D)第4実施形態
図9は、第4実施形態に係る図6に対応する図である。図9に示すように、プレート21に第2疑似路面5が複数種類形成されていてもよい。この場合、図9に示す例では、第2疑似路面5同士の間に起立壁25が設けられているが、起立壁25を省略可能である。また、図9に示す例では、ドラム本体20に複数種類の第1疑似路面3が形成されている。図9に示す例では、第1疑似路面3同士の間に支持足24が設けられていないが、第1疑似路面3同士がドラム軸方向ADに離隔している場合には、第1疑似路面3同士の間に支持足24を設けてもよい。
また、起立壁25をプレート本体23に対して着脱自在に構成しておき、起立壁25を流動物の枠体として利用し、流動物が固化して第2疑似路面5となった後に起立壁25を取り外してもよい。
【0026】
(E)第5実施形態
図10は、第5実施形態に係る図6に対応する図である。図6に示す例では、第2疑似路面5のドラム軸方向ADの寸法が、第1疑似路面3のドラム軸方向ADの寸法よりも小さいが、これに限定されない。例えば、図10に示すように、第2疑似路面5のドラム軸方向ADの寸法が、第1疑似路面3のドラム軸方向ADの寸法よりも大きくてもよい。また、第2疑似路面5のドラム軸方向ADの寸法が、第1疑似路面3のドラム軸方向ADの寸法と同一であってもよい。
また、図10に示すように、第2疑似路面5のドラム軸方向ADの寸法が、ドラム本体20のドラム軸方向ADの寸法よりも大きくてもよい。この構成によれば、ドラム本体20よりも大きな第2疑似路面5を利用できる。
【0027】
(F)図示していないが、ドラム本体20に複数の第1疑似路面3が形成されており、複数の第1疑似路面3のうち、少なくとも1つの第1疑似路面3を1つのプレート本体23が跨っていてもよい。
【0028】
(G)図3において、各々のプレート21のドラム周方向CDの長さが均一である単一種類のプレート21を用いているが、これに限定されない。ドラム周方向CDの長さが異なる複数種類のプレート21を用いてもよい。
【0029】
[1]
以上、上記実施形態のように、走行ドラム2は、ドラム本体20と、ドラム本体20に形成された第1疑似路面3と、第2疑似路面5が形成され且つドラム周方向CDに沿って湾曲した形状のプレート21と、を備え、プレート21は、ドラム本体20に対して着脱自在に構成され、第1疑似路面3を跨った状態でドラム本体20に装着可能である、としてもよい。
【0030】
このように、第1疑似路面3はドラム本体20に形成されるので、第1疑似路面3を隙間なく形成可能となり、要件の厳しい走行テストを第1疑似路面3により実施可能である。第2疑似路面5が形成されたプレート21は、第1疑似路面3を跨った状態でドラム本体20に着脱自在であるので、第1疑似路面3に影響を与えずに第2疑似路面5を使用可能となる。よって、要件の厳しい走行テストを実施すること及び新たな疑似路面による走行テストを実施することの2つの要求を満たすことができる。
【0031】
[2]
上記[1]に記載の走行ドラム2であって、プレート21がドラム本体20に装着された状態において、第1疑似路面3の表面とプレート21の内周面とは、ドラム径方向RDに離隔している、としてもよい。
この構成によれば、第2疑似路面5にタイヤTが押し付けられてプレート21が撓んだとしても、撓んだプレート21が第1疑似路面3に接触して第1疑似路面3に影響を与えることを防止又は抑制可能となる。
【0032】
[3]
上記[2]に記載の走行ドラム2であって、プレート21と第1疑似路面3との間に弾性部材6が配置されている、としてよい。
この構成によれば、タイヤTの荷重でプレート21が撓み、プレート21から第1疑似路面3に荷重が伝わったとしても、弾性部材6が荷重を分散するので、第1疑似路面3に対して局所的に大きな荷重がかかって第1疑似路面3の品質を損なうことを回避可能となる。また、荷重分散によって隙間G1のドラム径方向RDの寸法を小さくできる。これにより、プレートのドラム径方向RDの寸法を小さくできる。ドラム表面と既存設備との隙間に余裕がなく、弾性部材6を設けずに隙間G1のみを設けると既存設備と干渉する場合でも、この構成ならば既存設備との干渉を回避できる可能性がある。。
【0033】
[4]
上記[1]~[3]のいずれかに記載の走行ドラム2であって、プレート21は、ドラム軸方向ADに延び且つ第2疑似路面5が形成されるプレート本体23と、プレート本体23からドラム本体20に向けて延び且つ第1疑似路面3を挟む位置に配置される一対の支持足24とを有し、一対の支持足24がドラム本体20に着脱可能に取り付けられる、としてもよい。
好ましい具体的な態様である。
【0034】
[5]
上記[1]~[4]のいずれかに記載の走行ドラム2であって、プレート21は、第2疑似路面5のドラム軸方向ADの両側に配置され且つプレート本体23からドラム径方向RDの外側に起立する起立壁25を有し、起立壁25の最大高さは、第2疑似路面5の最大高さ以下である、としてもよい。
この構成によれば、第2疑似路面5をタイヤTが走行する際に生じる騒音が起立壁25で反射して、騒音試験の結果を損なうことを抑制可能となる。また、起立壁25によって第2疑似路面5を支持することも可能となる。
【0035】
[6]
上記[1]~[5]のいずれかに記載の走行ドラム2であって、プレート21は、第2疑似路面5を複数種類有する、としてもよい。
この構成によれば、1つのプレート21をドラム本体20に取り付けるだけで、複数種類の第2疑似路面5による走行テストを実行可能となり、利便性を向上可能となる。
【0036】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0037】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
2 :走行ドラム
3 :第1疑似路面
5 :第2疑似路面
6 :弾性部材
20 :ドラム本体
21 :プレート
23 :プレート本体
24 :支持足
25 :起立壁
AD :ドラム軸方向
RD :ドラム径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10