(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157380
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】地域指標評価装置および地域指標評価方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241030BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071710
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠一
(72)【発明者】
【氏名】増田 亮
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】ある地域の施設、サービスの提供についての複数の地域指標における関係性を評価し、バランスのとれた地域開発、地域計画を可能とする。
【解決手段】地域指標評価装置は、指標と関連する施設種別、指標間の関係の評価値、指標と施設種別の関係の評価値を格納する指標・施設関連評価テーブルと、地域の地点と施設種別の関係の評価値を格納する地点情報テーブルとを保持し、それらのテーブルに基づき、指標、施設種別、地点をノード、指標と指標を各々のノードとするエッジ、指標と施設種別を各々のノードとするエッジ、施設種別と地点を各々のノードとするエッジとして、各々のエッジに重みを有する統合グラフを作成し、統合グラフの各々のノードの特徴ベクトルを算出し、指標に対応するノードの特徴ベクトルから、ノード間の結合強度を算出し、ノード間の結合強度に基づいて指標間の関係の強さを評価する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地域の地点に施設を設置するときの地域指標を評価する地域指標評価装置であって、
地域指標と関連する施設種別、地域指標間の関係の評価値、地域指標と施設種別の関係の評価値を格納する指標・施設関連評価テーブルと、
地域の地点と施設種別の関係の評価値を格納する地点情報テーブルとを保持し、
前記指標・施設関連評価テーブルと前記地点情報テーブルの情報に基づき、前記地域指標、前記施設種別、前記地点をノード、前記地域指標と前記地域指標を各々のノードとするエッジ、前記地域指標と前記施設種別を各々のノードとするエッジ、前記施設種別と前記地点を各々のノードとするエッジとして、各々のエッジに重みを有する統合グラフを作成し、
前記統合グラフの各々のノードの特徴ベクトルを算出し、
前記地域指標に対応するノードの特徴ベクトルから、ノード間の結合強度を算出し、前記ノード間の結合強度に基づいて前記地域指標間の関係の強さを評価することを特徴とする地域指標評価装置。
【請求項2】
指標・施設関連評価テーブルに格納された地域指標間の関係の評価値と、前記ノード間の結合強度に基づいて評価された前記地域指標間の関係の強さの値を対比して、表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の地域指標評価装置。
【請求項3】
前記地域指標のノードを地域指標レイヤ、前記施設種別のノードを施設種別レイヤ、前記地点のノードを地図レイヤとして、前記統合グラフの構造を表示することを特徴とする請求項1記載の地域指標評価装置。
【請求項4】
さらに、前記指標・施設関連評価テーブルに定義された指標とは別の一般指標と、前記指標・施設関連評価テーブルに定義された地域指標との関係の評価値を格納する一般指標テーブルとを保持し、
さらに、前記統合グラフは、前記一般指標のノードを含み、前記一般指標と前記一般指標を各々のノードとするエッジを含むことを特徴とする請求項1記載の地域指標評価装置。
【請求項5】
前記一般指標のノードを一般指標関連レイヤ、前記地域指標のノードを地域指標レイヤ、前記施設種別のノードを施設種別レイヤ、前記地点のノードを地図レイヤとして、前記統合グラフの構造を表示することを特徴とする請求項4記載の地域指標評価装置。
【請求項6】
機械学習により、前記統合グラフの各々のノードの特徴ベクトルを算出することを特徴とする請求項1記載の地域指標評価装置。
【請求項7】
グラフ埋め込み手法により、前記統合グラフの各々のノードの特徴ベクトルを算出することを特徴とする請求項6記載の地域指標評価装置。
【請求項8】
地域の地点に施設を設置するときの地域指標を評価する地域指標評価装置による地域指標評価装置であって、
前記地域指標評価装置は、
地域指標と関連する施設種別、地域指標間の関係の評価値、地域指標と施設種別の関係の評価値を格納する指標・施設関連評価テーブルと、
地域の地点と施設種別の関係の評価値を格納する地点情報テーブルとを保持し、
前記地域指標評価装置が、前記指標・施設関連評価テーブルと前記地点情報テーブルの情報に基づき、前記地域指標、前記施設種別、前記地点をノード、前記地域指標と前記地域指標を各々のノードとするエッジ、前記地域指標と前記施設種別を各々のノードとするエッジ、前記施設種別と前記地点を各々のノードとするエッジとして、各々のエッジに重みを有する統合グラフを作成するステップと、
前記統合グラフの各々のノードの特徴ベクトルを算出するステップと、
前記地域指標に対応するノードの特徴ベクトルから、ノード間の結合強度を算出し、前記ノード間の結合強度に基づいて前記地域指標間の関係の強さを評価するステップとを有することを特徴とする地域指標評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域指標評価装置および地域指標評価方法に係り、地域の開発と地域指標とを関連付けて、自治体の地域施策策定や事業者の事業計画策定を補助する用途に用いて好適な地域指標評価装置および地域指標評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地域における環境、経済、社会の統合的向上の実現を促す地域指標として、適切な地域指標を導入し、それにより、バランスの取れた地域開発を目指す取り組みが試行されている。例えば、非特許文献1には、地域内外の影響を考慮した環境・経済・社会の評価指標として、具体的な例とその意義が説明されている。
【0003】
また、地域指標を情報処理装置により評価して算出する技術については、例えば、特許文献1がある。特許文献1に記載された地域指標評価システムでは、地域指標(都市指標)として、使用電力量や配水量あたりの電力消費量があげられており、平均気温や土地の高低差といった特性と相関分析を行うことにより、他の都市とのグルーピングを行う技術が開示されている(
図12、段落[0090]-[0099])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】栗島英明、外8名、"地域内外の影響を考慮した環境・経済・社会の評価指標と測定手法の開発"、[online]、環境省委託平成26年度環境経済の政策研究、[令和5年4月12日検索]、インターネット<URL:https://www.env.go.jp/policy/keizai_portal/F_research/4Presen.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地域には役所や公民館といった公共サービスや飲食店や病院など事業者サービスが存在する。従来では、これらサービスを新規に配置したり移転しようとした際、公共/民間がそれぞれの地域指標(住民満足度、経済効果、環境等)にどのような影響が出るかを事前に知ることは難しかった。また、それぞれの地域指標の一つが改善したことによって、そのほかの指標がかえって悪くなる(経済性の向上を志向した結果環境負荷も高まる等)といったことも起こりうる。従来技術では、公共/民間でこのような状況を事前に検討し、各種指標のバランスを取りながら計画を進めるための技術が考慮されてこなかった。
【0007】
特許文献1に記載された技術は、使用電力量や配水量あたりの電力消費量に関しての、複数の都市指標を点数化して評価し、他の類似する都市をあげることができるが、複数の地域指標の関係性を評価して提示することより、適切な地域の開発に資するものではなかった。
【0008】
本発明の目的は、ある地域の施設、サービスの提供についての複数の地域指標における関係性を評価することにより、バランスのとれた地域開発、地域計画を可能とする地域指標評価装置および地域指標評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の地域指標評価装置の構成は、好ましくは、地域の地点に施設を設置するときの地域指標を評価する地域指標評価装置であって、地域指標と関連する施設種別、地域指標間の関係の評価値、地域指標と施設種別の関連の評価値を格納する指標・施設関連評価テーブルと、地域の地点と施設種別の関係の評価値を格納する地点情報テーブルとを保持し、指標・施設関連評価テーブルと地点情報テーブルの情報に基づき、地域指標、施設種別、地点をノード、地域指標と地域指標を各々のノードとするエッジ、地域指標と施設種別を各々のノードとするエッジ、施設種別と地点を各々のノードとするエッジとして、各々のエッジに重みを有する統合グラフを作成し、統合グラフの各々のノードの特徴ベクトルを算出し、地域指標に対応するノードの特徴ベクトルから、ノード間の結合強度を算出し、ノード間の結合強度に基づいて地域指標間の関係の強さを評価するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ある地域の施設、サービスの提供についての複数の地域指標における関係性を評価することにより、バランスのとれた地域開発、地域計画を可能とする地域指標評価装置および地域指標評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】地域指標評価装置のハードウェア・ソフトウェア構成図である。
【
図3】指標・施設関連情報テーブルの一例を示す図である。
【
図5】統合グラフ情報テーブルの一例を示す図である。
【
図6】特徴ベクトルテーブルの一例を示す図である。
【
図7】ノード間結合強度情報テーブルの一例を示す図である。
【
図9】地域指標評価システムの処理を示すフローチャートである。
【
図10】指標・施設情報設定画面の一例を示す図である。
【
図11】地域指標評価結果画面の一例を示す図である。
【
図12】一般指標情報テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る各実施形態を、
図1ないし
図13を用いて説明する。
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る実施形態1を、
図1ないし
図11を用いて説明する。
先ず、
図1および
図2を用いて実施形態1の地域指標評価システムの構成について説明する。
【0014】
本実施形態では、
図1に示した地域指標評価システムにより、地域の特定地点における地域指標の評価を行う場合を例にとって説明する。
地域指標評価システムは、
図1に示されるように、地域指標評価装置100、利用者端末200、データベースサーバ300がネットワーク5により接続された形態である。
【0015】
地域指標評価装置100は、地域指標の関係性を評価するための装置であり、接続された利用者端末200が保持する地域における評価資料や関係する設備等の情報から得られる指標・施設関連情報テーブル501(詳細は、後述)と、データベースサーバ300が保持する各地点における設備等に対する評価情報を格納した地点情報テーブル502(詳細は、後述)を参照し、地域指標間の関係性とその強さ、地域指標と地点の関係性とその強さ、地域指標と設備との関係性とその強さを計算する装置である。
【0016】
利用者端末200は、地域指標評価装置100に対して、利用者によって入力された情報に基づいて、指標・施設関連情報テーブル501を格納し、また、地域指標を評価した結果を、利用者に表示する端末である。
【0017】
データベースサーバ300は、地点毎に存在している設備に対する評価の情報を、地点情報テーブル502として保持するサーバである。
【0018】
地域指標評価装置100は、機能部として、利用者端末I/F部111、データベースI/F部112、データ紐づけ部101、グラフ再構成部102、ベクトル演算部103、機械学習部104を有する。
【0019】
利用者端末I/F部111は、利用者端末200とのインターフェイス処理を行うための機能部であり、データ紐づけ部101に対して利用者端末200の保持する指標・施設関連情報テーブル501のデータを渡し、利用者端末200のデータ設定・結果表示部201に対してグラフ再構成部102やベクトル演算部103が出力した結果の受け渡しを行う。データベースI/F部112は、データベースサーバ300インターフェイス処理を行うための機能部であり、データ紐づけ部101に対して、地点情報テーブル502のデータの受け渡しを行う。データ紐づけ部101は、利用者端末200の保持する指標・施設関連情報テーブル501のデータとデータベースサーバ300が保持する地点情報テーブル502のデータを紐づけて、統合グラフ情報テーブル503(詳細は、後述)に格納する機能部である。統合グラフは、統合グラフ情報テーブルによって定義される無向グラフであり、情報テーブル指標・施設関連情報テーブル501に格納されている地域指標と設備の関連、それらの手入力により設定された評価値と、地点情報テーブル502の保持する設備と地点の情報とをレイヤに分けて結びつけるグラフである。統合グラフの詳細については、後に説明する。
【0020】
グラフ再構成部102は、ベクトル間の強さと指標・施設関連情報テーブル501の地域指標間の評価値、地域指標と施設の評価値に基づいてグラフの形に再構成する機能部であり、指標・施設関連情報テーブル501では定義されていなかった地域指標同士の関係を特徴ベクトル間の関係を評価し、また、指標・施設関連情報テーブル501では定義されていた地域指標間のノードのノード間強度を計算することによって、新たなグラフのデータとして、指標間関係性グラフ情報テーブルに値を設定する。
【0021】
ベクトル演算部103は、学習結果として記録された特徴ベクトルテーブル504のベクトルについて、関係の強さをベクトル距離等の計算方法で計算する機能部である。
【0022】
機械学習部104は、統合グラフ情報テーブル503のデータを学習データとして機械学習を行う機能部であり、例えば、グラフ埋め込み手法等を用いてグラフ構造におけるノードの特徴量として、地域指標、施設種別、地点のそれぞれについて特徴ベクトルテーブル504のデータとして格納する。(なお、グラフ埋め込み手法については、例えば、Graph Embeddings: Primo Godec, Dec 31, 2018, Graph Embeddings - The Summary <https://qiita.com/kk31108424/items/3525e9ada907466902e6>を参照。)
【0023】
利用者端末200は、データ設定・結果表示部201を有する。データ設定・結果表示部201は、利用者が地域指標の名称や、ある地域指標とその他の地域指標の関係、地域指標と関連する施設種別設定、それらに関する評価値を入力させて保持し、地域指標評価装置が計算を行う前の基礎情報として、利用者が知りうる限りの大まかな地域指標とその他の地域指標の関係、地域指標と関連する施設種別設定の評価値を設定して、指標・施設関連情報テーブル501に格納する。また、データ設定・結果表示部201は、地域指標評価装置100が計算したグラフと関連する結果情報を出力して表示する。
【0024】
次に、
図2を用いて地域指標評価装置のハードウェア・ソフトウェア構成について説明する。
地域指標評価装置100は、
図2に示されるように、ハードウェア構成として、中央処理装置402、主記憶装置403、内部バス404、バスI/F405、外部バス406、画面出力I/F407、ユーザ入力I/F408、大容量記憶装置409、通信I/F410、入出力I/F411から構成される。
【0025】
中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)402は、地域指標評価装置100の各部の制御を行い、補助記憶装置430にインストールされているプログラムを主記憶装置403にロードして、プログラム実行の演算を行うための装置である。
【0026】
主記憶装置(Main Memory)403は、RAMなどの半導体デバイスにより実現され、プログラム実行時の処理領域、および、データの一時格納領域として使用される。例えば、OS(Operating system)などの基本プログラムや、それぞれの機器における処理を実現するためのプログラム、また、後述の地域指標評価装置100の機能を実現するためのユーティリティプログラムと、それらのプログラムよって参照されるワークデータを一時的に格納する。
【0027】
ここで、中央処理装置402と主記憶装置403は、内部バス404により接続されており、内部バス404は、バスI/F405を介して外部バス406に接続されている。
【0028】
外部バス406は、画面出力I/F407、入出力I/F408、補助記憶I/F409、通信I/F410と接続されており、これらのI/Fと中央演算処理装置402や主記憶装置403とのデータ入出力をバスI/F405、内部バス404を介して行う。
【0029】
画面出力I/F407は、 ディスプレイ410と接続するためのI/Fであり、外部バス406を通じて得たグラフィックデータをディスプレイ410に出力する。ディスプレイ410は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)であり、後述の指標・施設情報設定画面や処理状況等を表示可能な装置である。
【0030】
入出力I/F408は、入出力装置と接続するためのI/Fであり、外部バス406と入出力装置とのデータの入出力を行う。入出力装置は、
図2に示されるような、キーボード421、マウス422などのユーザからの入力を受け取るための装置であったり、図示しなかったが、DVDドライブやカードリーダなどの外部媒体からデータを読み込む入力装置、また、プリンタなどの出力装置である。
【0031】
補助記憶I/F409は、補助記憶装置430と接続するためのI/Fであり、補助記憶装置430からのデータ入出力を外部バス406に仲介する。
【0032】
補助記憶装置430は、例えば、大容量のHDD(Hard Disk Drive)やSDD(Solid State Drive)といった不揮発の記憶装置である。補助記憶装置430には、基本プログラム(図示せず)や地域指標評価装置100の機能を実現するためプログラムであるデータ紐づけプログラム231、グラフ再構成プログラム232、ベクトル演算プログラム232、機械学習プログラム234がインストールされている。データ紐づけプログラム231、グラフ再構成プログラム232、ベクトル演算プログラム232、機械学習プログラム234は、それぞれデータ紐づけ部101、グラフ再構成部102、ベクトル演算部103、機械学習部104の機能を実現するためのプログラムである。
【0033】
また、補助記憶装置430は、統合グラフ情報テーブル503、特徴ベクトルテーブル504、ノード間結合強度情報テーブル505を保持する。
【0034】
通信I/F410は、通信装置440と接続するためのI/Fであり、通信装置からのデータ入出力を外部バス406に仲介する。通信装置は、例えば、Ethernet(登録商標)規格により、ネットワークを介して外部サーバ装置、端末などと通信を行うネットワークインタフェースカードなどの装置である。
【0035】
次に、
図3ないし
図7を用いて本実施形態の地域指標評価システムで用いられるデータ構造について説明する。
【0036】
指標・施設関連情報テーブル501は、地域指標、施設に関する情報、地域指標間の関係情報、地域指標と施設の関係情報、地域指標間の関係の評価値、地域指標と施設の関係の評価値を格納するテーブルであり、利用者端末200で保持される。
【0037】
指標・施設関連情報テーブル501は、地域指標ID501a、地域指標名称501b、関連地域指標ID501c、関連施設種別501d、関係評価値501eの各フィールドからなる。
【0038】
地域指標ID501aには、各地域指標を一意に表すIDが格納される。地域指標名称501bには、利用者が識別しやすい地域指標の名称が格納される。関連地域指標ID501cには、地域指標ID501のIDの地域指標と関連があると利用者が認識している地域指標のIDが格納される。関連施設種別501dには、地域指標ID501のIDの地域指標と関連があると利用者が認識している施設種別の名称およびIDが格納される。ここで、施設種別とは、
図3のように、「スポーツ施設」、「公民館」、「マーケット」のように、施設の種類を表すものである。関係評価値501eには、予め定義されている、または、利用者によって入力された地域指標ID501のIDの地域指標と他の地域指標との関係を評価した値、または、予め定義されている、または、利用者によって入力された地域指標ID501のIDの地域指標と施設種別との関係を評価した値が格納される。
【0039】
このような設定を行うことで、地域指標間の関係性の分析材料として、どの地域指標がどの施設と関係しているのか、地域指標間の関係性は大まかにどのようなものなのかといった情報を利用できる。例えば、
図3に示されるように、地域指標ID「K001」には、その地域指標名称として、「QoL(Quality of Life)KPI(Key Performance Indicator)」を設定し、その地域指標と関係する関連地域指標IDとして「K002」を設定する。また、その地域指標として関連する施設種別の関連施設種別IDには、「スポーツ施設:F011,公民館:F012,公園:F013」を設定する(なお、このテーブルの例としては、値として名称とIDを示したが片方のみでもよい)。このような設定を行うことにより、地域指標ID「K001」、名称が「QoLKPI」である地域指標は、他の地域指標ID「K002」(地域指標名称「環境KPI」)に対して、関連あることを示し、また、その地域指標と関連する施設の種別は、「スポーツ施設」、「公民館」、「公園」であることを示している。
【0040】
また、地域指標ID「K002」の地域指標については、関係評価値501eの値が、「K001/30」となっており、地域指標ID「K002」と地域指標ID「K001」の地域指標の関係評価値が、「30」であることを示している。さらに、接続ID「K003」では、関係評価値501eの値が、「F031/20」となっており、地域指標ID「K003」の地域指標と、施設種別「個人商店」の関係評価値が、「20」であることを示している。
【0041】
これらにより、地域指標間の関係の強さを評価値として利用者が設定したり、特に当該地域指標と接続先施設種別の結びつきの強さを評価値として利用者が設定することができる。
【0042】
地点情報テーブル502は、地域における各地点における情報を格納するテーブルであり、データベースサーバ300で保持される。
【0043】
地点情報テーブル502は、
図4に示されるように、地点ID502a、隣接地点ID502b、施設種別ID502c、評価値502dの各フィールドからなる。
【0044】
地点ID502aには、 X丁目X番地といった区画ごとに割り振られた地点を識別するIDが格納される。隣接地点ID502bには、地点ID502aの示す地点と地理上で隣接する地点のIDがリスト形式で格納される。施設種別ID502cには、地点ID502aの示す地点に配置すると想定する施設種別の名称およびIDが格納される。評価値502dには、地点ID502aの示す地点に、施設種別ID502cの示す施設種別の施設を配置したときの評価値が格納される。
【0045】
このようなテーブルのデータを準備することにより、地点間の隣接関係、それぞれの地点と施設情報の接続関係に基づいたグラフ構造が構成でき、またそれぞれの施設がどのような評価にあるのかを地点と施設の結びつきの強さ、重みづけとして表現可能となる。
【0046】
例えば、地点ID「P001」の地点は、隣接地点ID「P010,P011,P012,P013」の各地点と隣接しており、施設種別「公民館:F012」の施設が配置されるときには、評価値「10」となっている。
【0047】
この例では、ある地点上の地点(X丁目X番地)には公民館が設置されており、ここに評価したときの評価値(
図3により、「QoL KPI」という地域指標名称での評価値)が、10であり、例えば、公民館の利用人数が、100[人/月]であることを意味する。また、地点ID「P001」の地点に隣接する地点ID「P010」では、施設種別「マーケット:F032」の施設が配置されるときには、評価値(
図3により、「商業 KPI」という地域指標名称での評価値)が、40であり、例えば、地点ID「P010」にマーケットが配置したときには、市税が、400万円/年の増収になることを意味する。
【0048】
統合グラフ情報テーブル503は、統合グラフの情報を格納するテーブルである。
統合グラフは、ノードを、地域指標、施設種別、地点として、エッジを、地域指標-地域指標、地域指標-施設種別、地点-施設種別間の連結とする無向グラフである。統合グラフの具体例は、後に説明する。
【0049】
統合グラフ情報テーブル503は、
図5に示されるように、接続元ID503a、接続先ID503b、重み503cの各フィールドからなる。
【0050】
接続元ID503a、接続先ID503bには、一方に、地域指標ID、施設種別ID、地点IDが設定され、ペアでエッジの両端となるノードと、それらを結ぶエッジを定義する。接続元ID503a、接続先ID503bの値の取り得る組み合わせは、順番を同一視して記載すると、(地域指標ID,地域指標ID)、(地域指標ID,施設種別ID)、(地点ID,施設種別ID)の組み合わせがある。重み503cには、接続元ID503a、接続先ID503bで定義されたエッジの結びつけた重みの値が格納される。(地域指標ID,地域指標ID)、(地域指標ID,施設種別ID)に対応するエッジの重みは、
図3の指標・施設関連情報テーブル501の関係評価値501eの値を参照して、(地域指標ID,施設種別ID)に対応するエッジの重みは、
図4の地点情報テーブルの評価値502dの値を参照して設定する。
図5の例では、それぞれの評価値をそのまま用いているが、評価値をパラメータとして、評価値が大きくなると、エッジの重みを大きくするように換算する関数を用いてもよいし、評価値と対応して、エッジの重みを定義するようなテーブルを参照することにより、重み503cの値を設定するようにしてもよい。
【0051】
特徴ベクトルテーブル504は、統合グラフのノードに対する特徴ベクトルの情報を格納するテーブルであり、ノードID504a、特徴ベクトル504bの各フィールドを有する。
【0052】
ノードID504aには、統合グラフを構成する各ノードの地域指標ID、施設種別ID、地点IDのいずれかの値が格納される。特徴ベクトル504bには、ノードID504aの値のノードに対応する特徴ベクトルが格納される。ノードID504aに対応する特徴ベクトルを求めるには、統合グラフ情報テーブル503のデータで表されるグラフに対して、機械学習を行い、求めることができる。例えば、グラフ埋め込み手法におけるノード埋め込みとして、DeepWalk、node2vec、SDNEなどの手法を用いることができる。
【0053】
ノード間結合強度情報テーブル505は、統合グラフ情報テーブル503によって定義される統合グラフのノードのノード間結合強度(統合グラフのノードにおける特徴ベクトルを評価することにより得られる。詳細は、後述)を保持するテーブルであり、
図7に示されるように、接続元ID505a、接続先ID505b、ノード間結合強度505c、強度新規設定フラグ505dの各フィールドからなる。
【0054】
接続元ID505a、接続先ID505bは、統合グラフ情報テーブル503の接続元ID503a、接続先ID503bの値がコピーされて格納される。ノード間結合強度505cには、接続元ID505a、接続先ID505bの値の地域指標IDを有するノードにおけるノード間結合強度が格納される。強度新規設定フラグ505dには、接続元ID505a、接続先ID505bのコピー元の接続元ID503a、接続先ID503bに対応するレコードの重み503cの値が定義されていないときに、1、そうでないときには、0が設定される。
【0055】
次に、
図8を用いて統合グラフについて説明する。
統合グラフ600は、
図8に示されるように、地域指標IDを有するノード(以下、単に「地域指標ノード」)、施設種別IDを有するノード(以下、単に「施設種別ノード」)、地点IDを有するノード(以下、単に「地点ノード」)のノードを有し、地域指標ノードと地域指標ノードを結ぶエッジ、地域指標ノードと施設種別ノードを結ぶエッジ、施設種別ノードと地点を結ぶエッジからなる。そして、各々のエッジに対しては、
図5で設定されている重みが定義されている。
【0056】
地域指標ノードからなるノードとエッジは、地域指標レイヤ610、施設種別ノードからなるノードは、施設種別レイヤ620、地点からなるノードは、地図レイヤ630のレイヤ分けを行うことができる。
【0057】
次に、
図9を用いて地域指標評価システムの処理について説明する。
図9は、地域指標評価システムの処理を示すフローチャートである。
【0058】
先ず、利用者端末200は、指標・施設情報設定画面(詳細は、後述)より、利用者から地域指標に関して名称の設定や関連する施設種別、関係する他の地域指標の定義、地域指標間の関係の評価値、地域指標と施設種別の関係の評価値の入力を受付け、
図3に示した指標・施設関連情報テーブル501に値を設定する(S101)。
【0059】
次に、地域指標評価装置100のデータ紐づけ部101は、利用者端末200の指標・施設関連情報テーブル501からデータを読み込み、地域指標ID501aと関連地域指標ID501cから地域指標間の関連情報、地域指標ID501aと関連施設種別501dから、地域指標と施設種別の関連情報を読み取り、関係評価値501eからそれらの評価値に関する情報を読み取る。また、地域指標評価装置100のデータ紐づけ部101は、データベースサーバ300が保持する地点情報テーブル502からデータを読み込み、地点ID502aと施設種別ID502cから、地点と施設種別に関する情報を読み取り、評価値502dからそれに関する評価値を読み取る。
【0060】
そして、地域指標評価装置100のデータ紐づけ部101は、指標・施設関連情報テーブル501と、地点情報テーブル502から読み取った情報に基づいて、エッジの両端が地域指標ノード-地域指標ノードとなるエッジと、エッジの両端が地域指標ノード-施設種別ノードとなるエッジと、エッジの両端が施設種別ノード-地点ノードとなるエッジと、それらの重みを表すように、
図5に示した統合グラフ情報テーブル503の接続元ID503a、接続先ID503b、重み503cに値を設定する(S102)。
【0061】
次に、地域指標評価装置100の機械学習部104は、設定された統合グラフ情報テーブル503のデータを用いた、例えば、上記で説明したグラフ埋め込み手法のような機械学習手法を用いて統合グラフ情報に対して、ノードの特徴ベクトルを算出し、統合グラフ情報のノードごとに、
図6に示した特徴ベクトルテーブル504に格納する(S103)。
【0062】
次に、地域指標評価装置100のベクトル演算部103は、特徴ベクトルテーブル504のノードごとの特徴ベクトルを参照して、統合グラフのノードに関してノード間結合強度さを算出し(S104)、
図7に示したノード間結合強度情報テーブル505に値を設定する。
【0063】
ノード間結合強度は、例えば、以下の(式1)に示されるノードごとの特徴ベクトルのユークリッド距離により求めることができる。
【0064】
【数1】
ここで、v,wは、n次元の特徴ベクトルであり、v=(a
1,…,a
n)、w=(b
1,…,b
n)である。
【0065】
そして、ノードごとの特徴ベクトルのユークリッド距離が小さいほど、ノード間結合強度が大きくなるようにして、それぞれの特徴ベクトルに対応するノードのノード間結合強度を設定する。ノードごとの特徴ベクトルのユークリッド距離からノード間結合強度を求めるために、換算する関数を用いてもよいし、特徴ベクトルのユークリッド距離と対応してノード間結合強度を定義するようなテーブルを参照して求めるようにしてもよい。
【0066】
次に、地域指標評価装置100のグラフ再構成部102は、S104で算出された統合グラフのノードに関してノード間結合強度に基づいて、ノード間結合強度情報テーブル505の値を設定する(S105)。その際に、
図3の指標・施設関連情報テーブル501で地域指標間の評価値がされてない(統合グラフ情報テーブル503で対応する重みが定義されていない)場合には、1が設定される。
【0067】
次に、利用者端末200は、地域指標評価結果画面(詳細は、後述)より、指標・施設関連情報テーブル501、地点情報テーブル502、統合グラフ情報テーブル503、ノード間結合強度情報テーブル505、地域の地図情報(図示せず)のデータに基づいて、地域指標評価の結果、特に、指標間関係性グラフを表示する(S106)。
【0068】
次に、
図10および
図11を用いて地域指標評価装置が提供するユーザインタフェースについて説明する。
【0069】
指標・施設情報設定画面800は、利用者端末20から、地域指標や施設に関連する情報を入力する画面であり、入力した値は、指標・施設関連情報テーブル501のデータとして反映される。指標・施設情報設定画面800は、例えば、
図10に示されように、指標・施設情報設定領域810、統合グラフ表示領域820、評価実行ボタン830を含む。
【0070】
指標・施設情報設定領域810は、地域指標および施設種別に関する情報を入力する欄であり、地域指標ID入力欄811、地域指標名称入力欄812、関連地域指標ID入力欄813、関連施設種別入力欄814A、関連施設種別ID入力欄814B、関連ID入力欄815A、評価値入力欄815B、設定・更新ボタン816からなる。
【0071】
地域指標ID入力欄811、地域指標名称入力欄812、関連地域指標ID入力欄813、(関連施設種別名称入力欄814A、関連施設種別ID入力欄814B)、(関連ID入力欄815A、評価値入力欄815B)は、それぞれ、指標・施設関連情報テーブル501のそれぞれ、地域指標ID501a、地域指標名称501b、関連地域指標ID501c、関連施設種別501d、関係評価値501eのフィールドに対応する入力欄である。
【0072】
これらの値を利用者が入力後に、マウスなどのポィンティングデバイスにより、設定・更新ボタン816を押下することにより、新規に値に値が設定されたり、値が更新される。
【0073】
統合グラフ表示領域820には、指標・施設情報入力情報に基づいて作成される統合グラフ600を表示する領域である。
【0074】
統合グラフ表示821には、
図10に示されように、地域指標レイヤ821A、施設種別レイヤ821B、地図レイヤ821Cを表示させてレイヤ分けして表示させる。
【0075】
地域指標レイヤ821Aには、地域指標ノードが表示され、互いにその関連するノードの接続が表示される。
【0076】
施設種別レイヤ821Bには、施設種別ノードが表示される、また、統合グラフ表示821は、統合施設種別レイヤ821Bの施設種別ノードと上位レイヤの地域指標レイヤ821Aの地域指標ノードの接続が表示される。
【0077】
地図レイヤ821Cには、地図上の施設配置の地点ノードが表示される。また、統合グラフ表示821は、地図レイヤ821Cの地点ノードと上位レイヤの統合施設種別レイヤ821Bの接続が表示される。
【0078】
統合グラフ表示領域820において、利用者は、編集作業を容易化するためにマウスなどのポィンティングデバイスによりクリックして、各統合グラフ上のノードを指示することにより、その設定内容を指標・施設情報設定領域810に出力し、必要に応じて修正するようにしてもよい。
【0079】
設定・更新ボタン830は、指標・施設情報設定領域810による設定や統合グラフ表示領域820の統合グラフの表示よる確認を終えた後、利用者が押下することにより、地域指標評価装置100を用いた評価を開始するためのボタンである。
【0080】
地域指標評価結果画面900は、地域指標評価装置100の地域指標の評価結果を表示するための画面であり、例えば、現状評価指定領域910、施設変更評価指定領域920、評価表示領域930、地域指標関係強さ表示領域940を含む。
【0081】
現状評価指定領域910は、地点IDを指定して問題としている各地域指標を表示させるための入力領域である。利用者は、地点ID入力欄911に地点IDを入力し、結果表示ボタン912を、マウスなどのポィンティングデバイスなどにより押下することにより、これに対応する地域指標のスコアを評価表示領域930に表示させる。
【0082】
施設変更評価指定領域920は、地点IDの地点の現状の施設種別を他の施設種別に変えた場合の各地域指標の変化を表示させるための領域であり、利用者が地点ID入力欄921に地点IDを、施設種別入力欄922に施設種別IDを、それぞれ入力し、結果表示ボタン923を、マウスなどのポィンティングデバイスなどにより押下することにより、これに対応する地域指標のスコアを評価表示領域930に表示させる。
【0083】
評価表示領域930は、ある地点にある施設種別を配置したときの関連する地域指標の評価の結果を表示する領域であり、現状評価指定領域910や施設変更評価指定領域920で指定された地図上の地点に対して、
図11に示されるように、「現状の評価は…」とする吹きだし931と、「施設種別公民館を設置すると…」の吹きだし932のように、それぞれの関連する地域指標のスコアが表示される。なお、このように吹きだしで、地域指標の評価を指定するために、地図上の地点をマウス等でクリックして指示する方法を用いてもよい。
【0084】
なお、この地点IDに対応する評価は、ノード間結合強度グラフ情報テーブル505の地域指標ID-施設種別IDのノード間結合強度505cの値と、施設種別ID-地域指標IDのノード間結合強度505cの値から求めることができる。
【0085】
施設変更評価指定領域920の指定を行われたときの吹きだし932の地域指標のスコアの表示には、そのまま、スコア値を表示してもよいし、
図11に示されるように、吹きだし931との差分として、UP、DOWNした値を表示するようにしてもよい。
【0086】
地域指標関係強さ表示領域940は、地域指標間の関係性の強さを関係性分析前と関係性分析後で対比して表示する領域であり、従来見えなかった隠れた関係とその地域指標間の関係性の強さについても結果として表示を行う領域である。
【0087】
例えば、関係性分析前表示領域941には、指標・施設関連情報テーブル501による地域指標の評価値501の値を、地域指標の関係強さの値として表示を行い、関係性分析後表示領域942には、ノード間結合強度情報テーブル505の各地域指標ノード間におけるノード間結合強度505cの値を、地域指標の関係強さの値として表示する。
【0088】
例えば、関係性分析前では、QoL KPIと環境KPIの関係強さは30、環境KPIと商業KPIの関係強さは20であり、商業KPIのQoL KPIとの関係性は、接続関係のみ定義され、関係強さの値(
図3の評価値)は、設定されていなかった。これに対し、関係性分析後では、QoL KPIと環境KPIの関係強さは60、環境KPIと商業KPIの関係強さは10に更新され、商業KPIのQoL KPIとの関係性は、また、分析前には見えていなかった隠れた接続関係性として商業KPIとQoLKPIの関係強さが30として新たに表示されている。このような地域指標関係は、ノード間結合強度情報テーブル505の強度新規設定フラグ505dを見ることにより判別する。
【0089】
以上、本実施形態の地域指標評価装置によれば、地域にある施設の他、ある場所において時限的に提供されるサービス(移動販売やイベント)においても、それぞれのサービスの施設種別に応じて、複数地域指標の相互関係を考慮しながら評価可能となる。この結果を用いれば、地域における公共施策や民間事業施策において、それぞれの地域指標をバランシングしながらの各地点における施設種別に応じた配置計画を行うことができる。
【0090】
〔実施形態2〕
以下、本発明に係る実施形態2を、
図12および
図13を用いて説明する。
【0091】
実施形態1では、地域の各地点に、ある施設種別の施設を配置するときの指標間の関係を評価する地域指標評価装置について説明した。
【0092】
本実施形態では、例えば、単一の地域(例えば、ある行政市)だけでなく、その地域を束ねた複数の地域(複数の近隣の市をまとめたエリア)についての地域指標を解析する地域指標評価装置の例を説明する。本実施形態の地域指標評価装置の構成や考え方は、実施形態1とほぼ同様なので異なる所を中心に説明する。
【0093】
本実施形態では、実施形態1の
図3の指標・施設関連情報テーブル501で定義した地域指標とは、別のレベルの指標を設ける。例えば、
図3で、QoL KPI、環境KPI、商業KPIという名称の地域指標に対して、それらの一段上の一般指標として、一般QoL KPI、一般環境KPI、一般商業KPIという名称の指標を設けて、QoL KPI、環境KPI、商業KPIを、ある一地域での施設の設置を評価するときの指標とし、一般指標では、複数の地域をまとめたレイヤの評価とする。
【0094】
そのために、
図12に示すデータ構造の一般指標情報テーブル510により、一般指標に関する情報と、一般指標と地域指標間の関係を保持する。
【0095】
一般指標情報テーブル510は、一般指標に関する情報と、一般指標と地域指標間の関係を格納するテーブルであり、
図12に示されるように、一般指標ID510a、一般指標名称510b、関連地域指標ID510c、関係評価値510eの各フィールドからなる。
【0096】
一般指標ID510aには、各一般指標を一意に表すIDが格納される。一般指標名称510bには、利用者が識別しやすい一般指標の名称が格納される。関連指標ID510cには、一般指標ID510のIDの指標と関連があると利用者が認識している一般指標IDまたは地域指標IDが格納される。関係評価値510eには、予め定義されている、または、利用者によって入力された一般指標ID510のIDの指標と地域指標との関係を評価した値が格納される。
【0097】
次に、
図13を用いて本実施形態の統合グラフの概念について説明する。
本実施形態の統合グラフは、実施形態1の
図8の統合グラフを拡張したグラフである(以下、「拡張統合グラフ」という)。
【0098】
拡張統合グラフ700は、
図13に示される構造を有しており、
図8の統合グラフ700の指標関連レイヤ610に対して、上位レイヤとして、一般指標レイヤ710が設けられている。一般指標レイヤのノード(以下、単に「一般指標ノード」)は、一般指標ノード同士結ばれている。ここで、実施形態1の指標関連レイヤ610に相当するレイヤを、地域指標レイヤ720とし、このレイヤの地域指標のノード(以下、単に「地域指標ノード」)は、一般指標レイヤ710の一般指標ノードと接続することが可能である。
【0099】
また、
図13に示される「X市観光KPI」のように、地域独自の地域指標を表現するノードを有してもよい。
【0100】
各ノード間のエッジは、固有の重みを有し、
図5の統合グラフ情報テーブル503のようなデータ構造で表されることは、実施形態1と同様である。
【0101】
本実施形態で拡張した一般指標間の関係の強さの評価、一般指標と地域指標の関係の強さの評価は、実施形態1の処理と同様にして求めることができる。また、本実施形態では、
図10に示した指標・施設情報設定画面800には、拡張統合グラフを表示することができる。
【0102】
本実施形態では、地域での施設種別の施設を設置したときの地域指標よりも、上位の一般指標を導入したことにより、例えば、単一の地域だけでなく、その地域を束ねた広域的な地域についての地域指標の関係について解析することが可能となる。
【符号の説明】
【0103】
5…ネットワーク、
100…地域指標評価装置、101…データ紐づけ部、102…グラフ再構成部、
103…ベクトル演算部、104…機械学習部、111…利用者端末I/F部、112…データベースI/F部、
200…利用者端末、201…データ設定・結果表示部、
300…データベースサーバ、
501…指標・施設関連情報テーブル、502…地点情報テーブル、503…統合グラフ情報テーブル、504…特徴ベクトルテーブル、505…ノード間結合強度情報テーブル、
510…一般指標情報テーブル、
600…統合グラフ、610…地域指標レイヤ、620…施設種別レイヤ、630…地図レイヤ、
700…拡張統合グラフ、
710…一般指標レイヤ、720…地域指標レイヤ