(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157381
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】端末装置、基地局、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20241030BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20241030BHJP
H04W 72/21 20230101ALI20241030BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W72/1268
H04W72/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071712
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 修之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA14
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】低遅延の無線通信を実現可能な端末装置、基地局、及び通信方法を提案する。
【解決手段】基地局と接続される端末装置であって、前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間を前記パケット毎に計測する計測部と、前記滞留時間の最大値を特定する特定部と、前記滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記基地局に送信する送信部と、を備える。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と接続される端末装置であって、
前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間を前記パケット毎に計測する計測部と、
前記滞留時間の最大値を特定する特定部と、
前記滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記基地局に送信する送信部と、
を備える端末装置。
【請求項2】
前記計測部は、前記端末装置が送信する1又は複数の上りリンクパケットの滞留時間を前記上りリンクパケット毎に計測し、
前記送信部は、前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記上りリンクパケットが前記端末装置内のアプリケーションで発生してからの時間を前記滞留時間として計測する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記計測部は、前記上りリンクパケットが所定のプロトコルレイヤに到着してからの時間を前記滞留時間として計測する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項5】
前記計測部は、前記上りリンクパケットが前記端末装置に接続された他の通信装置上で発生してからの時間を前記滞留時間として計測する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項6】
前記送信部は、前記滞留時間情報をBSRに含めて前記基地局に送信する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項7】
前記BSRの送信がトリガされたタイミングで、前記滞留時間の最大値を取得するとともに、該最大値に関する情報を含む前記滞留時間情報を前記BSRに含めて前記基地局に送信する、
請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記上りリンクパケットは、LCG(Logical Channel Group)ごとにバッファされており、
前記特定部は、前記LCG毎に前記滞留時間の最大値を特定し、
前記送信部は、前記LCG毎の前記滞留時間の最大値に関する情報を含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項9】
前記特定部は、前記滞留時間の最大値に加えて前記滞留時間の平均値を特定し、
前記送信部は、前記滞留時間の最大値に関する情報と、前記滞留時間の平均値に関する情報と、を少なくとも含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項10】
前記上りリンクパケットは、LCG(Logical Channel Group)ごとにバッファされており、
前記特定部は、前記LCG毎に前記滞留時間の平均値を特定し、
前記送信部は、前記LCG毎の前記滞留時間の平均値に関する情報を含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記特定部は、前記滞留時間の最大値に加えて前記滞留時間の予測値を特定し、
前記送信部は、前記滞留時間の最大値に関する情報と、前記滞留時間の予測値に関する情報と、を少なくとも含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項12】
前記上りリンクパケットは、LCG(Logical Channel Group)ごとにバッファされており、
前記特定部は、前記LCG毎に前記滞留時間の予測値を特定し、
前記送信部は、前記LCG毎の前記滞留時間の予測値に関する情報を含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項11に記載の端末装置。
【請求項13】
前記特定部は、前記滞留時間の最大値に加えて、前記上りリンクパケット毎の滞留時間及び情報量を特定し、
前記送信部は、前記滞留時間の最大値に関する情報と、前記上りリンクパケット毎の滞留時間及び情報量に関する情報と、を少なくとも含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項14】
前記上りリンクパケットは、LCG(Logical Channel Group)ごとにバッファされており、
前記送信部は、前記LCG毎の前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項13に記載の端末装置。
【請求項15】
前記送信部は、前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項16】
前記送信部は、前記滞留時間情報をBSRに含めて前記基地局に送信する、
請求項15に記載の端末装置。
【請求項17】
前記送信部は、前記上りリンクパケットを前記基地局に送信する度に、前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項18】
端末装置と接続される基地局であって、
前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記端末装置から受信する受信部と、
滞留時間情報に基づいて前記端末装置の上りリンク通信のスケジューリングを行うスケジューリング部と、
を備える基地局。
【請求項19】
基地局と接続される端末装置が実行する通信方法であって、
前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間を前記パケット毎に計測し、
前記滞留時間の最大値を特定し、
前記滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記基地局に送信する、
通信方法。
【請求項20】
端末装置と接続される基地局が実行する通信方法であって、
前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記端末装置から受信し、
滞留時間情報に基づいて前記端末装置の上りリンク通信のスケジューリングを行う、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末装置、基地局、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のモバイルネットワーク(例えば、5G等のセルラーネットワーク)には、高い通信パフォーマンス(例えば、接続安定性、低遅延、高信頼、高スループット、省電力、又は低処理負荷等)が求められている。この中でも、低遅延の実現は、近年登場した新たな通信サービス(例えば、IoTにおける機器制御、ゲームやVRにおけるリアルタイム通信等)を実現するうえで非常に重要な要素となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遅延が発生する要因の一つに、基地局におけるスケジューリングの待ち時間がある。下りリンク通信では、ネットワーク側(例えば、コアネットワーク及び/又は基地局)で、パケットの滞留時間を把握できる。そのため、基地局が、遅延要求を満たすよう、下りリンク通信のスケジューリングを行うことは可能であると想定される。しかしながら、上りリンク通信では、基地局側で、端末装置内でのパケットの滞留時間を把握できない。そのため、基地局が、遅延要求を満たすよう、上りリンク通信のスケジューリングを行うことは容易ではない。
【0005】
そこで、本開示では、低遅延の無線通信を実現可能な端末装置、基地局、及び通信方法を提案する。
【0006】
なお、上記課題又は目的は、本明細書に開示される複数の実施形態が解決し得、又は達成し得る複数の課題又は目的の1つに過ぎない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の端末装置は、基地局と接続される端末装置であって、前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間を前記パケット毎に計測する計測部と、前記滞留時間の最大値を特定する特定部と、前記滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記基地局に送信する送信部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】3GPPのTS 23.501 Table 5.7.4-1の一部抜粋である。
【
図2】下りリンク通信のスケジューリングを説明するための図である。
【
図3】下りリンク通信のスケジューリングを説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る管理装置の構成を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る基地局の構成を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る端末装置の構成を示す図である。
【
図9】実施形態1に係る端末装置の機能ブロック図である。
【
図10】滞留時間情報を格納可能なBSRのフォーマットの一例を示す図である。
【
図11】滞留時間情報を格納可能なBSRのフォーマットの一例を示す図である。
【
図12】滞留時間情報を格納可能なBSRのフォーマットの他の例を示す図である。
【
図13】滞留時間情報を格納可能なBSRのフォーマットの他の例を示す図である。
【
図14】実施形態1の通信処理を示すシーケンス図である。
【
図15】滞留時間を考慮したスケジューリングを説明するための図である。
【
図16】実施形態2に係る端末装置の機能ブロック図である。
【
図17】実施形態2に係る基地局の機能ブロック図である。
【
図18】タイムスタンプを格納可能なPDUのフォーマットの一例を示す図である。
【
図19】遅延時間の測定可能粒度を説明するための図である。
【
図20】実施形態2の通信処理を示すシーケンス図である。
【
図21】遅延時間を考慮したスケジューリングを説明するための図である。
【
図22】実施形態3に係る通信システムの機能ブロック図である。
【
図23】実施形態3に係る端末装置の機能ブロック図である。
【
図24】実施形態3に係るサーバの機能ブロック図である。
【
図25】実施形態1の通信処理を示すシーケンス図である。
【
図26】滞留時間の特定方法を説明するためのシーケンス図である。
【
図28】O-RANアーキテクチャの一例を示す図である。
【
図29】O-RANを利用した通信処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0010】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベット又は数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて端末装置401、402、及び403のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、端末装置401、402、及び403を特に区別する必要が無い場合には、単に端末装置40と称する。
【0011】
以下に説明される1又は複数の実施形態(実施例、変形例を含む)は、各々が独立に実施されることが可能である。一方で、以下に説明される複数の実施形態は少なくとも一部が他の実施形態の少なくとも一部と適宜組み合わせて実施されてもよい。これら複数の実施形態は、互いに異なる新規な特徴を含み得る。したがって、これら複数の実施形態は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し得、互いに異なる効果を奏し得る。
【0012】
<<1.概要>>
本実施形態を詳細に説明する前に、本実施形態の概要を説明する。
【0013】
<1-1.課題>
近年のモバイルネットワーク(例えば、5G等のセルラーネットワーク)には、高い通信パフォーマンス(例えば、接続安定性、低遅延、高信頼、高スループット、省電力、又は低処理負荷等)が求められている。この中でも、低遅延の実現は、近年登場した新たな通信サービス(例えば、IoTにおける機器制御、ゲームやVRにおけるリアルタイム通信等)を実現するうえで非常に重要な要素となっている。
【0014】
遅延が発生する要因の一つに、基地局におけるMAC(Medium Access Control)スケジューラにおけるスケジューリングの待ち時間がある。これは、システム帯域幅や端末装置の電波伝搬環境によって一度に送信/多重できる量が限られるために発生する。特にSLA(Service Level Agreement)などでPDB(Packet Delay Budget)が定義されているサービス(例えば、Bearer、Slice、Session、又はQoS Flowなど)に関しては、基地局は、当該PDB(以下、単にDelay Budgetともいう。)を越えないようにスケジューリングを実施する必要がある。
図1は、3GPP(登録商標)のTS 23.501 Table 5.7.4-1の一部抜粋である。セルラーネットワークでは、サービスの遅延目標値が、QoS(Quality of Service)情報として、コアネットワーク/基地局(gNB/eNB)に設定される。
【0015】
下りリンク(DL:Down Link)については、各パケットの滞留時間は、ネットワーク側(例えば、コアネットワーク及び/又は基地局)で測定可能である。そのため、基地局は、パケットの滞留時間がSLAなどで定義されるDelay Budgetを越えないように、スケジューリングを行うことが可能であると想定される。
【0016】
図2は、下りリンク通信のスケジューリングを説明するための図である。
図2の例では、基地局(
図2の例ではgNB)に3台の端末装置(
図2に示すA、B、C)が接続している。基地局は、各端末装置向けのパケットをコアネットワーク(
図2の例では5GC)から受信する。基地局がコアネットワークから受信するパケットには、コアネットワークの入り口でタイムスタンプなどが付与される。基地局は、タイムスタップを基に各パケットの滞留時間を算出する。
図2には、gNB DL RLC bufferに滞留した複数のパケットと、それら複数のパケットそれぞれの滞留時間及びBudget余裕時間が示されている。そして、基地局は、滞留時間の情報に基づいて、スケジューリングを実施する。
図2の例では、滞留時間13msの端末装置A向けのパケットがDelay Budgetに最も余裕がない。そのため、基地局はこの端末装置A向けのパケットから送信するようスケジューリングを行う。
【0017】
上りリンク(UL:Up Link)においても、SLA(Service Level Agreement)などで定義されたDelay Budgetを考慮して、遅延時間に基づくスケジューリングが実行されることが期待される。
図3は、下りリンク通信のスケジューリングを説明するための図である。現状、端末装置は、BSR(Buffer Status Report)でLCG(Logical Channel Group)毎にバッファの総滞留量を基地局に通知する。しかし、端末装置は、各パケットが端末装置内でどれくらいの時間滞留しているかを示す情報を基地局に通知することはない。基地局は、バッファが0状態からのパケットが捌けるまでの時間なら判別できる可能性がある。しかし、これはSLAには不十分である。つまり、上りリンク通信では、基地局側で端末装置内でのパケットの滞留時間を把握できない。そのため、基地局が、遅延要求を満たすよう、上りリンク通信のスケジューリングを行うことは容易ではない。
【0018】
<1-3.解決手段の概要>
そこで、本実施形態では、以下のように上記課題を解決する。
【0019】
例えば、本実施形態の端末装置は、基地局に送信する1又は複数の上りリンクパケットの滞留時間をパケット毎に計測し、滞留時間の最大値を特定する。例えば、端末装置は、BSRを送信する際にLCGに滞留しているRLC PDU(Radio Link Control Protocol Data Unit)のうち、最大の滞留時間(例えば、端末装置内での滞留時間/RLCバッファ内での滞留時間)を特定する。そして、端末装置は、滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を基地局に送信する。例えば、端末装置は、BSRに滞留時間情報を格納するための新たな領域を設け、その領域に滞留時間情報を格納する。そして、端末装置は滞留時間情報を格納したBSRを基地局に送信する。基地局は、受信したBSRから滞留時間情報を抽出する。そして、基地局は、滞留時間情報に基づいて上りリンク通信のスケジューリングを行う。
【0020】
これにより、基地局は、遅延要求を満たすよう、上りリンク通信のスケジューリングを行うことができる。結果として、上りリンク通信においても低遅延の無線通信が実現するので、基地局及び端末装置は、高い通信パフォーマンスの無線通信(例えば、安定した低遅延の無線通信)を実現することができる。
【0021】
以上、本実施形態の概要を述べたが、以下、本実施形態の通信システム1について詳細に説明する。
【0022】
<<2.通信システムの構成>>
まず、通信システム1の構成を具体的に説明する。以下に示す通信システム1の構成は、実施形態1~3で共通である。
【0023】
図4は、本実施形態に係る通信システム1の構成を示す図である。通信システム1は、サーバ10と、管理装置20と、基地局30と、端末装置40と、を備えている。通信システム1は、通信システム1を構成する各無線通信装置が連携して動作することにより、ユーザに対して移動通信が可能な無線ネットワーク(モバイルネットワーク)を提供する。本実施形態の無線ネットワークは、例えば、無線アクセスネットワークRANとコアネットワークCNとから構成されているセルラーネットワークであってもよい。モバイルネットワークには、端末装置40が含まれていてもよい。本実施形態において、無線通信装置は、無線通信の機能を有する装置のことであり、
図4の例では、基地局30、および端末装置40が該当する。
【0024】
通信システム1は、サーバ10、管理装置20、基地局30、および端末装置40をそれぞれ複数備えてもよい。
図4の例では、通信システム1は、サーバ10としてサーバ10
1およびサーバ10
2を備えており、管理装置20として管理装置20
1および管理装置20
2を備えている。また、通信システム1は、基地局30として基地局30
1、基地局30
2、および基地局30
3を備えており、端末装置40として端末装置40
1、端末装置40
2、および端末装置40
3を備えている。
【0025】
端末装置40は、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)、6G、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、等の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を使ってネットワークに接続するよう構成されていてもよい。このとき、端末装置40は、異なる無線アクセス技術(無線通信方式)を使用可能に構成されていてもよい。例えば、端末装置40は、NRとWi-Fiを使用可能に構成されていてもよい。また、端末装置40は、異なるセルラー通信技術(例えば、LTE、NR、又は6G)を使用可能に構成されていてもよい。以下の説明では、端末装置40のことをUE(User Equipment)ということがある。
【0026】
LTE及びNRは、セルラー通信技術の一種であり、基地局がカバーするエリアをセル状に複数配置することで端末装置の移動通信を可能にする。また、6Gもセルラー通信技術の一種として、基地局がカバーするエリアをセル状に複数配置することで端末装置の移動通信を可能にする技術となる可能性がある。
【0027】
なお、以下の説明では、「LTE」には、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-A Pro(LTE-Advanced Pro)、及びEUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)が含まれるものとする。また、NRには、NRAT(New Radio Access Technology)、及びFEUTRA(Further EUTRA)が含まれるものとする。なお、単一の基地局30は複数のセルを管理してもよい。以下の説明において、LTEに対応するセルはLTEセルと称され、NRに対応するセルはNRセルと称される。
【0028】
NRは、LTE(LTE-Advanced、LTE-Advanced Proを含む第4世代通信)の次の世代(第5世代)の無線アクセス技術である。NRは、eMBB(Enhanced Mobile Broadband)、mMTC(Massive Machine Type Communications)及びURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)を含む様々なユースケースに対応できる無線アクセス技術である。NRは、これらのユースケースにおける利用シナリオ、要求条件、及び配置シナリオなどに対応する技術フレームワークとして3GPP(登録商標)のRel-15で規格策定された。さらに、Beyond 5Gおよび6Gでは、高速大容量、低遅延・高信頼、多数同時接続の複数軸を同時に実現することが要求されている。
【0029】
6Gは、第5世代移動体通信であるNRや5GS(5G system)の次の世代のセルラー通信技術である。6Gには、無線アクセス技術及び基地局、コアネットワークおよびデータネットワーク間のネットワーク技術が含まれる。また、6Gには、NRにおいて主要ユースケース又は要求条件とされていたeMBB、mMTC及びURLLCのそれぞれの高度化(Extreme connectivity)のための技術が含まれる。また、6Gには、新たな側面における新技術が含まれる。例えば、6Gには、AI(Cognitive network、AI native Air Interface)、センシング(Rader sensing、network as a sensorを含む。)テラヘルツ通信、に関する技術が含まれ得る。
【0030】
なお、無線ネットワークは、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)、6G等の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)のうち少なくとも1つに対応していてもよい。LTE、NR、及び6Gは、セルラー通信技術の一種であり、基地局がカバーするエリアをセル状に複数配置することで端末装置の移動通信を可能にする。なお、通信システム1が使用する無線アクセス方式は、LTE、NR、6Gに限定されず、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、cdma2000(Code Division Multiple Access 2000)等の他の無線アクセス方式であってもよい。
【0031】
また、基地局30は、地上局であってもよいし、非地上局であってもよい。非地上局は、衛星局であってもよいし、航空機局であってもよい。非地上局が衛星局なのであれば、無線ネットワークは、Bent-pipe(Transparent)型の移動衛星通信システムであってもよい。
【0032】
なお、本実施形態において、地上局および地上基地局とは、地上に設置される基地局および中継局のことをいう。ここで、「地上」は、陸上のみならず、地中、水上、水中も含む広義の地上である。なお、以下の説明において、「地上局」の記載は、「ゲートウェイ」に置き換えてもよい。
【0033】
なお、LTEの基地局は、eNodeB(Evolved Node B)又はeNBと称されることがある。また、NRの基地局は、gNodeB又はgNBと称されることがある。また、6Gの基地局は、6G NodeB(6GNB)と称されることがある。また、LTE、NR、及び6Gでは、端末装置(移動局、又は端末ともいう。)はUE(User Equipment)と称されることがある。なお、端末装置は、通信装置の一種であり、移動局、又は端末とも称される。
【0034】
なお、端末装置40は、LTE、NR、6G、Wi-Fi、Bluetooth以外の無線アクセス技術(無線通信方式)を使ってネットワークに接続可能であってもよい。例えば、端末装置40は、LPWA(Low Power Wide Area)通信を使ってネットワークに接続可能であってもよい。また、端末装置40は、独自規格の無線通信を使ってネットワークに接続可能であってもよい。
【0035】
ここで、LPWA通信とは、小電力の広範囲通信を可能とする無線通信のことである。例えば、LPWA無線とは、特定小電力無線(例えば、920MHz帯)又はISM(Industry-Science-Medical)バンドを使用したIoT(Internet of Things)無線通信のことである。なお、端末装置40が使用するLPWA通信はLPWA規格に準拠したものであってもよい。LPWA規格としては、例えば、ELTRES、ZETA、SIGFOX、LoRaWAN、NB-Iot等が挙げられる。勿論、LPWA規格はこれらに限定されず、他のLPWA規格であってもよい。
【0036】
図4に示す各無線通信装置は、論理的な意味での装置と考えてもよい。すなわち、各無線通信装置の一部が仮想マシン(VM:Virtual Machine)、ドッカー(Docker)などのコンテナ(Container)等によって実現され、それらが物理的に同一のハードウェア上で実装されてもよい。
【0037】
本実施形態において、無線通信装置という概念には、携帯端末等の持ち運び可能な移動体装置(端末装置)のみならず、構造物または移動体に設置される装置も含まれる。構造物または移動体そのものを無線通信装置とみなしてもよい。また、無線通信装置という概念には、端末装置40のみならず、基地局30も含まれる。無線通信装置は、処理装置または情報処理装置の一種である。無線通信装置は、送信装置または受信装置と言い換えることも可能である。
【0038】
以下、通信システム1を構成する各無線通信装置の構成を具体的に説明する。なお、以下に示す各無線通信装置の構成はあくまで一例である。各無線通信装置の構成は、以下に示す構成とは異なっていてもよい。
【0039】
<2-1.サーバの構成>
最初に、サーバ10の構成を説明する。
【0040】
サーバ10は、端末装置40に対して各種サービスを提供する情報処理装置(コンピュータ)である。例えば、サーバ10は、アプリケーションサーバやWebサーバである。サーバ10は、PCサーバであってもよいし、ミッドレンジサーバであってもよいし、メインフレームサーバであってもよい。また、サーバ10は、ユーザや端末の近くでデータ処理(エッジ処理)を行う情報処理装置であってもよい。例えば、サーバ10は、基地局に併設又は内蔵された情報処理装置(コンピュータ)であってもよい。勿論、サーバ10は、クラウドコンピューティングを行う情報処理装置であってもよい。本実施形態のサーバ10は、アプリケーションファンクションとして機能し得る。
【0041】
サーバ10は、管理装置20、ネットワークNを介して接続されている。
図4の例では、ネットワークNが1つしか示されていないが、ネットワークNは複数存在していてもよい。ここで、ネットワークNは、例えば、インターネット等のパブリックネットワークである。なお、ネットワークNは、インターネットに限られず、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、セルラーネットワーク、固定電話網、地域IP(Internet Protocol)網であってもよい。ネットワークNには、有線ネットワークが含まれていてもよいし、無線ネットワークが含まれていてもよい。
【0042】
図5は、本開示の実施形態に係るサーバ10の構成例を示す図である。サーバ10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。
図5に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、サーバ10の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。例えば、サーバ10は、複数の情報処理装置により構成されていてもよい。
【0043】
通信部11は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、通信部11は、ネットワークインタフェースである。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースである。なお、通信部11は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部11は、サーバ10の通信手段として機能する。通信部11は、制御部13の制御に従って管理装置20、基地局30、端末装置40、及び他のサーバ10と通信する。
【0044】
記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部12は、サーバ10の記憶手段として機能する。記憶部12は、モバイルネットワークの将来の品質を予測するめの学習モデル(予測モデル)を記憶する。学習モデルについては後述する。
【0045】
制御部13は、サーバ10の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって実現されてもよい。詳細には、制御部13は、管理装置20の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することによって実現されてもよい。制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。また、制御部13は、GPU(Graphics Processing Unit)により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、FPGA、及びGPUは何れもコントローラとみなすことができる。なお、制御部13は、複数の物理的に分離された物体により構成されていてもよい。例えば、制御部13は、複数の半導体チップにより構成されていてもよい。
【0046】
<2-2.管理装置の構成>
次に、管理装置20の構成を説明する。
【0047】
管理装置20は、無線ネットワークを管理する情報処理装置(コンピュータ)である。例えば、管理装置20は基地局30の通信を管理する情報処理装置である。管理装置20は、例えば、MME(Mobility Management Entity)としての機能を有する装置であっても良い。管理装置20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及び/又はSMF(Session Management Function)としての機能を有する装置であってもよい。MME、AMF、及びSMFは、コアネットワークにおけるコントロールプレーンネットワークファンクション(Control Plane Network Function)ノードである。管理装置20は、6Gにおけるコントロールプレーンネットワークファンクション(6G CPNF)として機能を有する装置であってもよい。6G CPNFは1または複数の論理ノードから構成されていてもよい。
【0048】
勿論、管理装置20が有する機能は、MME、AMF、SMF、6G CPNFに限られない。管理装置20は、NSSF(Network Slice Selection Function)、AUSF(Authentication Server Function)、PCF(Policy Control Function)、UDM(Unified Data Management)としての機能を有する装置であってもよい。また、管理装置20は、HSS(Home Subscriber Server)としての機能を有する装置であってもよい。
【0049】
なお、管理装置20はゲートウェイの機能を有していてもよい。例えば、管理装置20は、S-GW(Serving Gateway)やP-GW(Packet Data Network Gateway)としての機能を有していてもよい。また、管理装置20は、UPF(User Plane Function)の機能を有していてもよい。このとき、管理装置20は、複数のUPFを有していてもよい。また、管理装置20は、6Gにおけるユーザプレーンネットワークファンクション(6G UPNF)として機能を有する装置であってもよい。
【0050】
コアネットワークは、複数のネットワーク機能(Network Function)から構成され、各ネットワーク機能は、1つの物理的な装置に集約されてもよいし、複数の物理的な装置に分散されてもよい。つまり、管理装置20は、複数の装置に分散配置され得る。さらに、この分散配置は動的に実行されるように制御されてもよい。基地局30、及び管理装置20は、1つネットワークを構成し、端末装置40に無線通信サービスを提供する。管理装置20はインターネットと接続され、端末装置40は、基地局30を介して、インターネット介して提供される各種サービスを利用することができる。
【0051】
なお、管理装置20は必ずしもコアネットワークを構成する装置でなくてもよい。例えば、コアネットワークがW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)やcdma2000(Code Division Multiple Access 2000)のコアネットワークであるとする。このとき、管理装置20はRNC(Radio Network Controller)として機能する装置であってもよい。
【0052】
図6は、本実施形態に係る管理装置20の構成を示す図である。管理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
図6に示される構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、管理装置20の機能は、複数の物理的に分離された構成に静的、あるいは、動的に分散して実装されてもよい。管理装置20は、複数のサーバ装置によって構成されてもよい。
【0053】
通信部21は、無線通信装置(例えば、基地局30)と通信するための通信インタフェースである。通信部21は、ネットワークインタフェースであってもよいし、機器接続インタフェースであってもよい。通信部21は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ、またはUSBポート等によって構成されるUSBインタフェースであってもよい。通信部21は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部21は、管理装置20の通信手段として機能する。通信部21は、制御部23によって制御される。
【0054】
記憶部22は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、またはハードディスク等の読み書き可能な記憶装置である。記憶部22は、管理装置20の記憶手段として機能する。記憶部22は、例えば、端末装置40の接続状態を記憶する。記憶部22は、端末装置40のRRC(Radio Resource Control)の状態およびECM(EPS Connection Management)、あるいは、5G System CM(Connection Management)の状態を記憶する。記憶部22は、端末装置40の位置情報を記憶するホームメモリとして機能してもよい。また、記憶部22は、モバイルネットワークの将来の品質を予測するめの学習モデル(予測モデル)を記憶する。学習モデルについては後述する。
【0055】
制御部23は、管理装置20の各部を制御するコントローラである。制御部23は、例えば、CPUまたはMPU等のプロセッサによって実現されてもよい。詳細には、制御部23は、管理装置20の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することによって実現されてもよい。制御部23は、ASIC、またはFPGA等の集積回路によって実現されてもよい。また、制御部23は、GPUにより実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、FPGA、及びGPUは何れもコントローラとみなすことができる。なお、制御部23は、複数の物理的に分離された物体により構成されていてもよい。例えば、制御部23は、複数の半導体チップにより構成されていてもよい。
【0056】
<2-3.基地局の構成>
次に、基地局30の構成を説明する。
【0057】
基地局30は、他の無線通信装置(例えば、端末装置40、または他の基地局30)と無線通信を行う無線通信装置である。基地局30は、中継局を介して端末装置40と無線通信してもよいし、端末装置40と直接無線通信してもよい。
【0058】
基地局30は、無線基地局(Base Station、Node B、eNB、gNB、又は6GNB等)、あるいは、無線アクセスポイント(Access Point)に相当する装置である。基地局30は、無線リレー局であってもよい。基地局30は、RRH(Remote Radio Head)と呼ばれる光張り出し装置であってもよい。基地局30は、FPU(Field Pickup Unit)等の受信局であってもよい。基地局30は、無線アクセス回線および無線バックホール回線を時分割多重、周波数分割多重、または空間分割多重で提供する、IAB(Integrated Access and Backhaul)ドナーノード、あるいは、IABリレーノードであってもよい。
【0059】
基地局30が使用する無線アクセス技術は、セルラー通信技術であってもよい。基地局30が使用する無線アクセス技術は、無線LAN技術であってもよい。基地局30が使用する無線アクセス技術は、LPWA(Low Power Wide Area)通信技術であってもよい。ただし、基地局30が使用する無線アクセス技術は、これらに限定されるものではなく、他の無線アクセス技術であってもよい。基地局30が使用する無線通信は、ミリ波を使った無線通信であってもよし、テラ波(テラヘルツ波)を使った無線通信であってもよい。基地局30が使用する無線通信は、電波を使った無線通信であってもよいし、赤外線または可視光を使った無線通信(光無線)であってもよい。また、基地局30は、端末装置40とNOMA(Non-Orthogonal Multiple Access)通信が可能であってもよい。ここで、NOMA通信は、非直交リソースを使った通信(送信、受信、或いはその双方)のことである。なお、基地局30は、他の基地局30とNOMA通信可能であってもよい。
【0060】
なお、基地局30は、基地局-コアネットワーク間インタフェース(例えば、NG Interface 、S1 Interface等)を介してコアネットワークとお互いに通信可能であってもよい。このインタフェースは、有線及び無線のいずれであってもよい。また、基地局は、基地局間インタフェース(例えば、Xn Interface、X2 Interface、F1 Interface等)を介して他の基地局と互いに通信可能であってもよい。このインタフェースは、有線及び無線のいずれであってもよい。
【0061】
基地局(「基地局装置」ともいう。)という概念には、ドナー基地局のみならず、リレー基地局(「中継局」ともいう。)も含まれる。リレー基地局は、RF Repeater、Smart Repeater、Intelligent Surfaceのうち、いずれか1つであってもよい。基地局という概念には、基地局の機能を備えた構造物(Structure)のみならず、構造物に設置される装置も含まれる。
【0062】
構造物は、例えば、高層ビル、家屋、鉄塔、駅施設、空港施設、港湾施設、オフィスビル、校舎、病院、工場、商業施設、スタジアム等の建物である。構造物という概念には、建物のみならず、トンネル、橋梁、ダム、塀、および鉄柱等の構築物(Non-building structure)、並びに、クレーン、門、および風車等の設備も含まれる。構造物という概念には、陸上(狭義の地上)または地中の構造物のみならず、桟橋またはメガフロート等の水上の構造物、および、海洋観測設備等の水中の構造物も含まれる。基地局は、情報処理装置と言い換えることもできる。
【0063】
基地局30は、ドナー局であってもよいし、リレー局(中継局)であってもよい。また、基地局30は、固定局であってもよいし、移動局であってもよい。移動局は、移動可能に構成された無線通信装置(例えば、基地局)である。このとき、基地局30は、移動体に設置される装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。例えば、移動能力(Mobility)をもつリレー局は、移動局としての基地局30とみなすことができる。また、車両、ドローンに代表されるUAV(Unmanned Aerial Vehicle)、スマートフォンなど、もともと移動能力がある装置であって、基地局の機能(少なくとも基地局の機能の一部)を搭載した装置も、移動局としての基地局30に該当する。
【0064】
ここで、移動体は、スマートフォンまたは携帯電話等のモバイル端末であってもよい。移動体は、陸上(狭義の地上)を移動する移動体(例えば、自動車、自転車、バス、トラック、自動二輪車、列車、またはリニアモーターカー等の車両)であってもよいし、地中(例えば、トンネル内)を移動する移動体(例えば、地下鉄)であってもよい。また、移動体は、水上を移動する移動体(例えば、旅客船、貨物船、またはホバークラフト等の船舶)であってもよいし、水中を移動する移動体(例えば、潜水艇、潜水艦、または無人潜水機等の潜水船)であってもよい。また、移動体は、大気圏内を移動する移動体(例えば、飛行機、飛行船、またはドローン等の航空機)であってもよい。
【0065】
基地局30は、地上に設置される地上基地局(地上局)であってもよい。基地局30は、地上の構造物に配置される基地局であってもよいし、地上を移動する移動体に設置される基地局であってもよい。基地局30は、ビル等の構造物に設置されたアンテナおよびそのアンテナに接続された信号処理装置であってもよい。基地局30は、構造物または移動体そのものであってもよい。「地上」とは、陸上(狭義の地上)のみならず、地中、水上、および水中も含む広義の地上である。基地局30は、地上基地局に限定されない。通信システム1が衛星通信システムである場合には、基地局30は、航空機局であってもよい。衛星局から見れば、地球に位置する航空機局は地上局である。
【0066】
基地局30は、地上局に限定されない。基地局30は、空中または宇宙を浮遊可能な非地上基地局装置(非地上局)であってもよい。基地局30は、航空機局または衛星局であってもよい。
【0067】
衛星局は、大気圏外を浮遊可能な衛星局である。衛星局は、人工衛星等の宇宙移動体に搭載される装置であってもよいし、宇宙移動体そのものであってもよい。宇宙移動体は、大気圏外を移動する移動体である。宇宙移動体としては、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション、または探査機等の人工天体が挙げられる。なお、衛星局となる衛星は、低軌道(LEO:Low Earth Orbiting)衛星、中軌道(MEO:Medium Earth Orbiting)衛星、静止(GEO:Geostationary Earth Orbiting)衛星、または高楕円軌道(HEO:Highly Elliptical Orbiting)衛星のいずれであってもよい。衛星局は、低軌道衛星、中軌道衛星、静止衛星、または高楕円軌道衛星に搭載される装置であってもよい。
【0068】
航空機局は、航空機等の大気圏内を浮遊可能な無線通信装置である。航空機局は、航空機等に搭載される装置であってもよいし、航空機そのものであってもよい。航空機という概念には、飛行機またはグライダー等の重航空機のみならず、気球または飛行船等の軽航空機も含まれる。航空機という概念には、重航空機または軽航空機のみならず、ヘリコプターまたはオートジャイロ等の回転翼機も含まれる。航空機局、または航空機局が搭載された航空機は、ドローン等の無人航空機であってもよい。
【0069】
無人航空機という概念には、無人航空システム(UAS:Unmanned Aircraft Systems)、および、つなぎ無人航空システム(tethered UAS)も含まれる。無人航空機という概念には、軽無人航空システム(LTA:Lighter than Air UAS)、および、重無人航空システム(HTA:Heavier than Air UAS)が含まれる。無人航空機という概念には、高高度無人航空システムプラットフォーム(HAPs:High Altitude UAS Platforms)も含まれる。
【0070】
基地局30のカバレッジの大きさは、マクロセルのような比較的大きなものであってもよいし、ピコセルのような比較的小さなものであってもよい。基地局30のカバレッジの大きさは、フェムトセルのような極めて小さなものであってもよい。基地局30は、ビームフォーミング機能を有していてもよい。基地局30は、ビームごとにセルまたはサービスエリアが形成されてもよい。さらに又はこれに代えて、基地局30は、ビームに指向性を持たせるビームフォーミングに加えて、基地局30のアンテナからの距離情報をさらに考慮することで希望波を所定地点にピンポイントに届ける機能を有していてもよい。この機能はBeam focusing又はPoint formingと呼ばれていてもよい。
【0071】
図7は、本実施形態に係る基地局30の構成を示す図である。基地局30は、無線通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。ただし、
図7に示される構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、基地局30の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0072】
無線通信部31は、他の無線通信装置(例えば、端末装置40、または他の基地局30)との間で無線通信するための信号処理部である。無線通信部31は、制御部33によって制御される。無線通信部31は、1つまたは複数の無線アクセス方式に対応する。無線通信部31は、NR、LTE、及び6Gのうちの少なくとも1つに対応していてもよい。無線通信部31は、NR、LTE、及び6Gに加えて、W-CDMAおよびcdma2000等に対応してもよい。無線通信部31は、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)等の自動再送技術に対応してもよい。
【0073】
無線通信部31は、送信処理部311と、受信処理部312と、アンテナ313とを含んでいる。無線通信部31は、送信処理部311、受信処理部312、およびアンテナ313をそれぞれ複数含んでもよい。無線通信部31が複数の無線アクセス方式に対応する場合には、無線通信部31の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されてもよい。送信処理部311および受信処理部312は、LTEとNRと6Gとで個別に構成されてもよい。アンテナ313は、複数のアンテナ素子、例えば複数のパッチアンテナによって構成されもよい。無線通信部31は、ビームフォーミング機能を有してもよい。例えば、無線通信部31は、垂直偏波(V偏波)および水平偏波(H偏波)を用いる偏波ビームフォーミング機能(又は垂直方向から45度、及び-45度の偏波方向でのDual偏波を用いる偏波ビームフォーミング機能)を有してもよい。
【0074】
送信処理部311は、下りリンク制御情報及び下りリンクデータの送信処理を行う。例えば、送信処理部311は、制御部33から入力された下りリンク制御情報及び下りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。ここで、符号化は、ポーラ符号(Polar Code)による符号化、LDPC符号(Low Density Parity Check Code)による符号化を行ってもよい。そして、送信処理部311は、符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、356QAM等の所定の変調方式で変調する。この場合、コンステレーション上の信号点は必ずしも等距離である必要はない。コンステレーションは、不均一コンステレーション(NUC:Non Uniform Constellation)であってもよい。そして、送信処理部311は、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。そして、送信処理部311は、多重化した信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、送信処理部311は、高速フーリエ変換による周波数領域への変換、ガードインターバル(サイクリックプレフィックス)の付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部311で生成された信号は、アンテナ313から送信される。
【0075】
受信処理部312は、アンテナ313を介して受信された上りリンク信号の処理を行う。例えば、受信処理部312は、上りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバル(サイクリックプレフィックス)の除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。そして、受信処理部312は、これらの処理が行われた信号から、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上りリンクチャネル及び上りリンク参照信号を分離する。また、受信処理部312は、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復調に使用される変調方式は、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、又は356QAMであってもよい。この場合、コンステレーション上の信号点は必ずしも等距離である必要はない。コンステレーションは、不均一コンステレーション(NUC)であってもよい。そして、受信処理部312は、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された上りリンクデータ及び上りリンク制御情報は制御部33へ出力される。
【0076】
アンテナ313は、電流と電波を相互に変換するアンテナ装置である。アンテナ313は、1つのアンテナ素子、例えば1つのパッチアンテナによって構成されてもよい。アンテナ313は、複数のアンテナ素子、例えば複数のパッチアンテナによって構成されてもよい。アンテナ313が複数のアンテナ素子によって構成される場合には、無線通信部31は、ビームフォーミング機能を有してもよい。無線通信部31は、複数のアンテナ素子を用いて無線信号の指向性を制御することによって、指向性ビームを生成するように構成されてもよい。アンテナ313は、デュアル偏波アンテナであってもよい。アンテナ313がデュアル偏波アンテナである場合、無線通信部31は、無線信号を送信する際に、垂直偏波(V偏波)および水平偏波(H偏波)(又は垂直方向から45度、及び-45度の偏波方向でのDual偏波)を用いてもよい。無線通信部31は、垂直偏波および水平偏波(又は垂直方向から45度、及び-45度の偏波方向でのDual偏波)を用いて送信される無線信号の指向性を制御してもよい。また、無線通信部31は、複数のアンテナ素子で構成される複数のレイヤを介して空間多重された信号を送受信してもよい。
【0077】
記憶部32は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、またはハードディスク等の読み書き可能な記憶装置である。記憶部32は、基地局30の記憶手段として機能する。
【0078】
制御部33は、基地局30の各部を制御するコントローラである。制御部33は、他の無線通信装置(例えば、端末装置40、または他の基地局30)との間で無線通信を実施するように無線通信部を制御する。制御部33は、CPUまたはMPU等のプロセッサによって実現されてもよい。具体的には、制御部33は、基地局30の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することによって実現されてもよい。制御部33は、ASICまたはFPGA等の集積回路によって実現されてもよい。また、制御部33は、GPUにより実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、FPGA、及びGPUは何れもコントローラとみなすことができる。なお、制御部33は、複数の物理的に分離された物体により構成されていてもよい。例えば、制御部33は、複数の半導体チップにより構成されていてもよい。
【0079】
制御部33は、送信部331と、受信部332と、スケジューリング部333と、を備える。制御部33を構成する各ブロック(送信部331~スケジューリング部333)はそれぞれ制御部33の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。制御部33は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。
【0080】
なお、幾つかの実施の形態において、基地局30は、複数の物理的または論理的な装置の集合によって構成されてもよい。一例として、本実施形態の基地局30は、BBU(Baseband Unit)およびRU(Radio Unit)等の複数の装置に区別されてもよい。基地局30は、これら複数の装置の集合として解釈されてもよい。また、基地局は、BBUまたはRUのうちいずれかであってもよいし、両方であってもよい。BBUおよびRUは、例えばeCPRI(enhanced Common Public Radio Interface)等の所定のインタフェースによって接続されてもよい。
【0081】
RUは、RRU(Remote Radio Unit)またはRD(Radio DoT)と言い換えてもよい。RUは、後述するgNB-DU(gNB Distributed Unit)に対応してもよい。BBUは、後述するgNB-CU(gNB Central Unit)に対応してもよい。RUは、アンテナと一体的に形成された装置であってもよい。基地局30のアンテナ、例えばRUと一体的に形成されたアンテナは、Advanced Antenna Systemを採用し、例えばFD-MIMO等のMIMOまたはビームフォーミングをサポートしてもよい。基地局30のアンテナは、例えば、64個の送信用アンテナポートおよび64個の受信用アンテナポートを備えてもよい。
【0082】
RUに搭載されるアンテナは、1つ以上のアンテナ素子から構成されるアンテナパネルであってもよく、RUは1つ以上のアンテナパネルを搭載してもよい。RUは、水平偏波のアンテナパネルおよび垂直偏波のアンテナパネルの2種類のアンテナパネルを搭載してもよい。RUは、右旋円偏波のアンテナパネルおよび左旋円偏波のアンテナパネルの2種類のアンテナパネル、或いは、又は垂直方向から45度の偏波方向のアンテナパネルと-45度の偏波方向でのアンテナパネルを搭載してもよい。これら複数の偏波方向を持つ複数のアンテナが1つのアンテナパネルに実装されていてもよい。RUは、アンテナパネル毎に独立したビームを形成して制御してもよい。
【0083】
基地局30は、複数が互いに接続されてもよい。1つまたは複数の基地局30は、無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)に含まれてもよい。このとき、基地局30は、単にRAN、RANノード、AN(Access Network)、またはANノード等と称されることがある。LTEにおけるRANは、EUTRAN(Enhanced Universal Terrestrial RAN)と呼ばれることがある。NRにおけるRANは、NGRANと呼ばれることがある。また、6GにおけるRANは6GRANと呼ばれることがある。W-CDMA(UMTS)におけるRANは、UTRANと呼ばれることがある。
【0084】
LTEの基地局30は、eNodeB(Evolved Node B)またはeNBと称されることがある。このとき、EUTRANは、1つまたは複数のeNodeB(eNB)を含む。NRの基地局30は、gNodeBまたはgNBと称されることがある。このとき、NGRANは、1つまたは複数のgNBを含む。6Gの基地局は、6GNodeB、6gNodeB、6GNB、又は6gNBと称されることがある。このとき、6GRANは1または複数の6GNBを含む。EUTRANは、LTEの通信システム(EPS)におけるコアネットワーク(EPC)に接続されたgNB(en-gNB)を含んでもよい。NGRANは、5G通信システム(5GS)におけるコアネットワーク5GCに接続されたng-eNBを含んでもよい。
【0085】
基地局30が、eNB、gNB、6GNB等である場合、基地局30は、3GPPアクセス(3GPP Access)と称されることがある。基地局30が無線アクセスポイント(Access Point)である場合には、基地局30は、非3GPPアクセス(Non-3GPP Access)と称されることがある。基地局30は、RRH(Remote Radio Head)と呼ばれる光張り出し装置であってもよい。基地局30がgNBである場合には、基地局30は、前述したgNB-CUおよびgNB-DUを組み合わせたものであってもよいし、gNB-CUまたはgNB-DUのいずれかであってもよい。
【0086】
ここで、gNB-CUは、UEとの通信のために、アクセス層(Access Stratum)のうち、複数の上位レイヤ(例えば、RRC(Radio Resource Control)、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)をホストする。一方、gNB-DUは、アクセス層(Access Stratum)のうち、複数の下位レイヤ(例えば、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer))をホストする。すなわち、後述されるメッセージ/情報のうち、RRCシグナリング(準静的な通知)はgNB-CUで生成され、一方でMAC CEやDCI(動的な通知)はgNB-DUで生成されてもよい。又は、RRCコンフィギュレーション(準静的な通知)のうち、例えばIE:cellGroupConfigなどの一部のコンフィギュレーション(configuration)についてはgNB-DUで生成され、残りのコンフィギュレーションはgNB-CUで生成されてもよい。これらのコンフィギュレーションは、後述されるF1インタフェースで送受信されてもよい。
【0087】
基地局30は、他の基地局との間で通信可能に構成されてもよい。複数の基地局30がeNB同士またはeNBとen-gNBの組み合わせである場合には、これらの基地局30の間は、X2インタフェースによって接続されてもよい。複数の基地局30がgNB同士またはgn-eNBとgNBの組み合わせである場合には、これらの基地局30の間は、Xnインタフェースによって接続されてもよい。複数の基地局30がgNB-CUとgNB-DUの組み合わせである場合には、これらの基地局30の間は、前述したF1インタフェースによって接続されてもよい。後述するメッセージ/情報(例えば、RRCシグナリング、MAC CE(MAC Control Element)、またはDCI(Downlink Control Information)等)は、複数の基地局30間で、例えば、X2インタフェース、Xnインタフェース、またはF1インタフェース等を介して、送信されてもよい。
【0088】
基地局30によって提供されるセルは、サービングセル(Serving Cell)と呼ばれることがある。サービングセルという概念には、PCell(Primary Cell)およびSCell(Secondary Cell)が含まれる。デュアルコネクティビティが端末装置40に提供される場合には、MN(Master Node)によって提供されるPCellと、ゼロまたは1以上のSCellとは、マスターセルグループ(Master Cell Group)と呼ばれることがある。デュアルコネクティビティの例としては、EUTRA-EUTRA Dual Connectivity、EUTRA-NR Dual Connectivity(ENDC)、EUTRA-NR Dual Connectivity with 5GC、NR-EUTRA Dual Connectivity(NEDC)、およびNR-NR Dual Connectivity等が挙げられる。さらにDual Connectivityの例として、NR-6G Dual Connectivity、6G-NR Dual Connectivityが挙げられる。
【0089】
サービングセルは、PSCell(Primary Secondary Cell、または、Primary SCG Cell)を含んでもよい。デュアルコネクティビティが端末装置40に提供される場合には、SN(Secondary Node)によって提供されるPSCellと、ゼロまたは1以上のSCellとは、SCG(Secondary Cell Group)と呼ばれることがある。特別な設定(例えば、PUCCH on SCell)がされていない限り、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)は、PCellおよびPSCellによっては送信されるが、SCellによっては送信されない。無線リンク障害(Radio Link Failure)は、PCellおよびPSCellによっては検出されるが、SCellによっては検出されない(検出しなくてよい)。このように、PCellおよびPSCellは、サービングセルの中で特別な役割を担うため、SpCell(Special Cell)とも呼ばれる。
【0090】
1つのセルには、1つのダウンリンクコンポーネントキャリアと、1つの上りリンクコンポーネントキャリアとが対応付けられてもよい。1つのセルに対応するシステム帯域幅は、複数のBWP(Bandwidth Part)に分割されてもよい。このとき、1つまたは複数のBWPが端末装置40に設定され、1つのBWP分がアクティブBWP(Active BWP)として、端末装置40に使用されてもよい。端末装置40が使用できる無線資源、例えば周波数帯域、ヌメロロジー(サブキャリアスペーシング)、またはスロットフォーマット(Slot configuration)は、セル毎、コンポーネントキャリア毎、またはBWP毎に、異なっていてもよい。
【0091】
<2-4.端末装置の構成>
次に、端末装置40の構成を説明する。
【0092】
端末装置40は、他の無線通信装置(例えば、基地局30、または他の端末装置40)との間で無線通信を行う無線通信装置である。端末装置40には、あらゆる形態の情報処理装置(コンピュータ)を採用可能である。例えば、端末装置40は、携帯電話、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC等のモバイル端末であってもよい。また、端末装置40は、通信機能を具備した撮像装置(例えば、カムコーダ)であってもよい。また、端末装置40は、FPU(Field Pickup Unit)等の通信機器が搭載されたバイクや移動中継車等であってもよい。また、端末装置40は、M2M(Machine to Machine)デバイス、又はIoT(Internet of Things)デバイスであってもよい。また、端末装置40は、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスであってもよい。
【0093】
また、端末装置40は、AR(Augmented Reality)デバイス、VR(Virtual Reality)デバイス、MR(Mixed Reality)デバイス等のxRデバイスであってもよい。このとき、xRデバイスは、ARグラス、MRグラス等のメガネ型デバイスであってもよいし、VRヘッドマウントディスプレイ等のヘッドマウント型デバイスであってもよい。端末装置40をxRデバイスとする場合、端末装置40は、ユーザ装着部分(例えば、メガネ部分)のみで構成されるスタンドアローン型のデバイスであってもよい。また、端末装置40は、ユーザ装着部分(例えば、メガネ部分)と、当該部分と連動する端末部分(例えば、スマートデバイス)と、で構成される端末連動型デバイスであってもよい。
【0094】
端末装置40は、基地局30との間でNOMA通信が可能であってもよい。端末装置40は、基地局30と通信する際、HARQ等の自動再送技術を使用可能であってもよい。端末装置40は、他の端末装置40との間でサイドリンク通信が可能であってもよい。端末装置40は、サイドリンク通信を行う際、HARQ等の自動再送技術を使用可能であってもよい。端末装置40は、他の端末装置40との間でサイドリンク通信を行う際、NOMA通信が可能であってもよい。端末装置40は、基地局30等の他の無線通信装置との間でLPWA通信が可能であってもよい。端末装置40が使用する無線通信は、ミリ波を使った無線通信であってもよい。端末装置40が使用する無線通信は、サイドリンク通信を含めて、電波を使った無線通信であってもよいし、赤外線または可視光を使った無線通信、すなわち光無線であってもよい。
【0095】
端末装置40は、移動可能な無線通信装置、すなわち移動体装置であってもよい。端末装置40は、移動体に設置される無線通信装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。端末装置40は、自動車、バス、トラック、または自動二輪車等の道路上を移動する車両(Vehicle)であってもよいし、当該車両に搭載された無線通信装置であってもよい。移動体は、モバイル端末であってもよいし、陸上(狭義の地上)、地中、水上、または水中を移動する移動体であってもよい。また、移動体は、航空機、飛行船、気球、ヘリコプター等の大気圏内を移動する移動体であってもよいし、人工衛星等の大気圏外を移動する移動体であってもよい。移動体は、ドローン等のUAV(Unmanned Aerial Vehicle)であってもよい。また、端末装置40は、移動体に搭載された無線通信装置であってもよい。
【0096】
端末装置40は、同時に複数の基地局30または複数のセルと接続して通信が可能であってもよい。1つの基地局30が複数のセル(例えば、pCellまたはsCell)を介して通信エリアをサポートしている場合には、キャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)技術、デュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)技術、またはマルチコネクティビティ(MC:Multi-Connectivity)技術等によって、それら複数のセルを束ねて基地局30と端末装置40との間で通信することができる。あるいは、異なる基地局30のセルを介して、協調送受信(CoMP:Coordinated Multi-Point Transmission and Reception)技術によって、端末装置40とそれら複数の基地局30との間で通信することもできる。
【0097】
端末装置40はリモート端末への通信をリレーするリレー端末であってもよい。
【0098】
図8は、本実施形態に係る端末装置40の構成を示す図である。端末装置40は、無線通信部41と、記憶部42と、制御部43と、外部インタフェース44と、を備える。
図8に示される構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、端末装置40の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0099】
無線通信部41は、他の無線通信装置(例えば、基地局30、または他の端末装置40)との間で無線通信するための信号処理部である。無線通信部41は、制御部43によって制御される。無線通信部41は、1つまたは複数の無線アクセス方式に対応する。無線通信部41は、NR、LTE、及び6Gのうち少なくとも1つに対応してもよい。無線通信部41は、NR、LTE、及び6Gに加えて、W-CDMAおよびcdma2000等に対応してもよい。無線通信部41は、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)等の自動再送技術に対応してもよい。
【0100】
無線通信部41は、送信処理部411と、受信処理部412と、アンテナ413とを含んでいる。無線通信部41は、送信処理部411、受信処理部412、およびアンテナ413をそれぞれ複数含んでもよい。無線通信部41が複数の無線アクセス方式に対応する場合には、無線通信部41の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されてもよい。送信処理部411および受信処理部412は、LTEとNRと6Gとで個別に構成されてもよい。アンテナ413は、複数のアンテナ素子、例えば複数のパッチアンテナによって構成されもよい。無線通信部41は、ビームフォーミング機能を有してもよい。例えば、無線通信部41は、垂直偏波(V偏波)および水平偏波(H偏波)を用いる偏波ビームフォーミング機能(又は垂直方向から45度、及び-45度の偏波方向でのDual偏波を用いる偏波ビームフォーミング機能)を有してもよい。
【0101】
記憶部42は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、またはハードディスク等の読み書き可能な記憶装置である。記憶部42は、端末装置40の記憶手段として機能する。
【0102】
制御部43は、端末装置40の各部を制御するコントローラである。制御部43は、他の無線通信装置(例えば、基地局30、または他の端末装置40)との間で無線通信を実施するように無線通信部を制御する。制御部43は、CPUまたはMPU等のプロセッサによって実現されてもよい。詳細には、制御部23は、端末装置40の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することによって実現されてもよい。制御部43は、ASICまたはFPGA等の集積回路によって実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、およびFPGAは、いずれもコントローラとみなすことができる。制御部43は、GPUにより実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、FPGA、及びGPUは何れもコントローラとみなすことができる。なお、制御部43は、複数の物理的に分離された物体により構成されていてもよい。例えば、制御部43は、複数の半導体チップにより構成されていてもよい。
【0103】
制御部43は、送信部431と、受信部432と、計測部433と、特定部434とを備える。制御部43を構成する各ブロック(送信部431~特定部434)はそれぞれ制御部43の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。制御部43は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。
【0104】
外部インタフェース44は、端末装置40を他の端末装置(外部機器)と接続するための通信インタフェースである。外部インタフェース44は、USB(Universal Serial Bus)、有線LAN等の有線インタフェースであってもよいし、無線LAN、Bluetooth等の無線インタフェースであってもよい。
【0105】
以上、通信システム1の構成について説明したが、次に、本実施形態の通信システム1の動作を説明する。
【0106】
<<3.実施形態1>>
まず、実施形態1に係る通信システム1の動作を説明する。
【0107】
<3-1.機能構成例>
まず、実施形態1に係る通信装置の機能構成例を示す。実施形態1に係る通信装置(端末装置40)は、以下のように構成しうる。
【0108】
図9は、実施形態1に係る端末装置40の機能ブロック図である。端末装置40は、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)層(レイヤ)の処理を行うブロック(
図9に示すPDCP)と、RLC(Radio Link Control)層の処理を行うブロック(
図9に示すRLC)と、MAC(Medium Access Control)層の処理を行うブロック(
図9に示すMAC)と、物理層の処理を行うブロック(
図9に示すPHY)と、を備える。これらのブロックは、例えば、
図8に示す無線通信部41、及び、制御部43により実現しうる。また、端末装置40は、RLCバッファ、を備える。このブロックは、例えば
図8に示す記憶部42により実現しうる。
【0109】
また、端末装置40は、データ送受信部を備える。このブロックは、例えば、
図8に示す送信部431及び受信部432により実現しうる。また、端末装置40は、時刻情報管理部を備える。このブロックは、例えば
図8に示す計測部433及び記憶部42により実現しうる。時刻情報管理部は、RLCに時刻情報の通知を行う。時刻情報管理部が管理する時刻情報は、例えば、フレーム番号、又はプロセッサが管理する自走クロック等であってもよい。時刻情報がフレーム番号の場合、時刻情報管理部はPHYと同期してもよい。
【0110】
<3-2.動作の詳細>
次に、実施形態1に係る通信装置(端末装置40)の動作を説明する。
【0111】
実施形態1では、端末装置40は、他の通信装置に送信する1又は複数のパケットの滞留時間をパケット毎に計測する。例えば、端末装置40は、基地局30に送信する1又は複数の上りリンクパケットの滞留時間をパケット毎に計測する。そして、端末装置40は、滞留時間に関する情報を含む滞留時間情報を基地局30に送信する。基地局30は、受信した滞留時間情報に基づいて上りリンク通信のスケジューリングを行う。この通信システム1(基地局30及び端末装置40)の動作は、より具体的に、以下の手段1-1~手段1-3のように記載され得る。なお、前述又は後述のパケットは、単位時間あたりに処理又は送信を行うことができるデータの集合体(e.g., ビット列、ビット系列)であってもよい。例えば前述又は後述のパケットは、あるレイヤ(e.g., PDCP, RLC, MAC, PHY)におけるProtocol Data Unit(PDU)又はService Data Unit(SDU)であってもよい。PDUはあるレイヤにおいてSDUに該レイヤにおけるヘッダを付加したデータ(e.g., ビット列)の集合体である。PDUが下位レイヤに渡されると、該下位レイヤのSDUとなる。SDUは、あるレイヤの上位レイヤから提供されたPDUに相当し、あるレイヤにおいて処理の対象となるデータ(e.g., ビット列)の集合体である。さらに又はこれに代えて、前述又は後述のパケットはセグメントと称されていてもよいし、フレームと称されていてもよい。
【0112】
(1)手段1-1(平均滞留時間)
端末装置40は、基地局30に送信する1又は複数の上りリンクパケットの滞留時間をパケット毎に計測し、パケット毎の計測値に基づいて滞留時間の平均値(以下、平均滞留時間ともいう。)を特定する。このとき、端末装置40のRLCは、MACからRLC PDUの送信完了が通知されたタイミングで、残されたPDUの滞留時間を算出し、算出した滞留時間の平均値をバッファに保持してもよい。なお、端末装置40は、LCG(Logical Channel Group)毎(又は、論理チャネル(Logical Channel)毎)の平均滞留時間を特定してもよい。BSRにはLCG毎に情報が格納されるので、同じLCGにマッピングされている論理チャネルのプライオリティが異なる場合、最も高いプライオリティが設定されている論理チャネルの値を優先してもよい。また、平均滞留時間(滞留時間の平均値)は、移動平均の値であってもよい。
【0113】
この平均値は当該端末(LCG)へのリソースの割り当て周期に関連すると想定される。端末装置40は、この平均滞留時間を含む滞留時間情報を基地局30に送信する。このとき、端末装置40は、滞留時間情報をBSRに含めて基地局に送信してもよい。例えば、端末装置40は、BSRの送信がトリガされたタイミングで、滞留時間の平均値を取得する。そして、端末装置40は、当該平均値に関する情報を含む滞留時間情報をBSRに含めて基地局30に送信する。滞留時間情報をBSRに含める場合、BSRには滞留時間情報を格納するための新たな領域が設けられてもよい。基地局30は、受信したBSRから滞留時間情報を抽出する。そして、基地局30は、滞留時間情報(例えば、平均滞留時間の情報)に基づいて上りリンク通信のスケジューリングを行う。
【0114】
(2)手段1-2(最大滞留時間)
手段1-1の平均滞留時間は、過去の計測値をベースに算出される。そのため、手段1-1は、瞬時の遅延変動(ジッタ)に弱いと想定される。そこで、端末装置40は、滞留時間の最大値(以下、最大滞留時間ともいう。)に関する情報を基地局30に送信するようにしてもよい。
【0115】
例えば、端末装置40は、基地局30に送信する1又は複数の上りリンクパケットの滞留時間をパケット毎に計測し、パケット毎の計測値に基づいて滞留時間の最大値(最大滞留時間)を特定する。このとき、端末装置40のRLCは、MACからRLC PDUの送信完了が通知されたタイミングで、残されたPDUの滞留時間を算出し、算出した滞留時間の最大値をバッファに保持してもよい。なお、端末装置40は、LCG毎(又は、論理チャネル毎)の最大滞留時間を特定してもよい。端末装置40は、LCGに滞留している複数のRLC PDUの滞留時間のうち、最大の滞留時間を特定する。なお、BSRにはLCG毎に情報が格納されるので、同じLCGにマッピングされている論理チャネルのプライオリティが異なる場合、最も高いプライオリティが設定されている論理チャネルの値を優先してもよい。
【0116】
端末装置40は、この最大滞留時間を含む滞留時間情報を基地局30に送信する。このとき、端末装置40は、滞留時間情報をBSRに含めて基地局に送信してもよい。例えば、端末装置40は、BSRの送信がトリガされたタイミングで、滞留時間の最大値を取得するとともに、当該最大値に関する情報を含む滞留時間情報をBSRに含めて基地局30に送信する。なお、端末装置40は、上りリンクパケットを基地局に送信する度に、滞留時間情報を基地局30に送信してもよい。例えば、端末装置40は、MAC PDUを基地局30に送信するたびに滞留時間情報を更新するために、当該MAC PDUを送信するタイミングでの最大滞留時間を含めたBSRをPUSCHに載せるようにしてもよい。滞留時間情報をBSRに含める場合、BSRには滞留時間情報を格納するための新たな領域が設けられてもよい。基地局30は、受信したBSRから滞留時間情報を抽出する。そして、基地局30は、滞留時間情報(例えば、最大滞留時間の情報)に基づいて上りリンク通信のスケジューリングを行う。
【0117】
(3)手段1-3(手段1-1と手段1-2のハイブリッド)
LCGには複数のRLC PDUが滞留していることが想定される。そのため、端末装置40が、LCGに滞留している複数のRLC PDUの滞留時間のうち最も長い滞留時間を基地局30に通知すると、基地局30がスケジューリングを行うにあたり、その他のRLC PDUに対してもその滞留時間が適応されてしまう可能性がある。この問題は、端末装置40は、最大滞留時間の情報に加えて平均滞留時間の情報を基地局に送信すれば回避可能である。
【0118】
例えば、端末装置40は、滞留時間の最大値に加えて滞留時間の平均値を特定する。そして、端末装置40は、滞留時間の最大値に関する情報と、滞留時間の平均値に関する情報と、を少なくとも含む滞留時間情報を基地局30に送信する。このとき、端末装置40は、最初のPDUを送信する際は、BSRに最大滞留時間に関する情報を含め、その他のPDUを送信する際はBSRに平均滞留時間に関する情報を含める。応用例として、端末装置40は、N個のPDUに関する滞留時間を通知してもよい。サービスによって、パケット到達頻度がわかれば、管理装置20、基地局30、又は端末装置40は、そのBSR通知頻度を基にNの値を規定してもよい。
【0119】
(4)その他の手段
手段1-1~手段1-3では、端末装置40は、パケット毎の計測値に基づいて平均値(平均滞留時間)及び/又は最大値(最大滞留時間)を特定した。すなわち、手段1-1~手段1-3では、パケットの滞留時間の現在又は過去の値を特定した。しかし、端末装置40は、パケットの滞留時間の将来の値(予測値)を特定してもよい。例えば、端末装置40は、滞留時間の平均値及び/又は最大値に加えて、滞留時間の予測値(以下、予測滞留時間という。)を特定する。このとき、端末装置40は、AI(Artificial Intelligence)/ML(Machine Learning)を用いて将来の滞留時間を予測してもよい。例えば、端末装置40は、予め過去のデータを使って予め学習させた学習モデルに、パケット毎の計測値を入力することにより将来の滞留時間を予測してもよい。なお、端末装置40は、LCG毎(又は、論理チャネル毎)の予測滞留時間を特定してもよい。
【0120】
そして、端末装置40は、予測滞留時間に関する情報を含む滞留時間情報を基地局30に送信する。滞留時間情報には、上述の最大滞留時間及び/又は最大滞留時間に関する情報が含まれていてもよい。このとき、端末装置40は、滞留時間情報をBSRに含めて基地局に送信してもよい。例えば、端末装置40は、BSRの送信がトリガされたタイミングで、滞留時間の予測値を取得するとともに、当該予測値に関する情報を含む滞留時間情報をBSRに含めて基地局30に送信する。なお、端末装置40は、上りリンクパケットを基地局に送信する度に、滞留時間情報を基地局30に送信してもよい。基地局30は、受信したBSRから滞留時間情報を抽出する。そして、基地局30は、滞留時間情報(例えば、最大滞留時間及び予測滞留時間の情報)に基づいて上りリンク通信のスケジューリングを行う。
【0121】
なお、滞留時間は、上記の時間(最大滞留時間、平均滞留間、予測滞留時間、及びこれらの組み合わせ)に限定されず、例えば、代表値(例えば、一定時間の最大値等)であってもよい。
【0122】
<3-3.BSRフォーマット例>
上述したように、端末装置40は、滞留時間情報を含むBSR(Buffer Status Report)を基地局30に送信する。このとき、BSRには滞留時間情報を格納するための新たな領域が設けられてもよい。
【0123】
図10及び
図11は、それぞれ、滞留時間情報を格納可能なBSRのフォーマットの一例を示す図である。具体的には、
図10及び
図11には、NR向け 3GPP TS38.321で定義されているBSR MAC CE(Control Element)のフォーマットに、滞留時間情報を格納するための新たな領域が設けた例が示されている。
図10は、ショートBSR(Short BSR)の例であり、
図11は、ロングBSR(Long BSR)の例である。
図10及び
図11の例では、LCG ID(Logical Channel Group ID)ごとに、新たに、1オクテットの滞留時間を通知する領域(Buffered Time領域)が設けられている。
【0124】
なお、Buffer Size領域を圧縮することにより、滞留時間を通知する領域(Buffered Time領域)を新たに設けてもよい。
図12及び
図13は、それぞれ、滞留時間情報を格納可能なBSRのフォーマットの他の例を示す図である。
図12は、ショートBSR(Short BSR)の例であり、
図13は、ロングBSR(Long BSR)の例である。
図12及び
図13の例では、1オクテットのBuffer Size領域を圧縮することにより、新たに滞留時間を通知する領域(Buffered Time領域)を設けている。
図10及び
図11に示した例よりは分解能が劣るものの、滞留時間情報の通知に要するリソースが少なくて済む。
【0125】
なお、Buffered Time領域に格納する値は、初期送信タイミングでの値であってもよい。また、Buffered Time領域に格納する値は、msec、slot、又はsubframe単位の値であってもよい。また、Buffered Time領域に格納する値は、テーブル参照値であってもよい。
【0126】
端末装置40は、当該領域(Buffered Time領域)を、デフォルトで使用してもよいし、所定の条件が満たされた場合にのみ使用してもよい。すなわち、端末装置40は、所定の条件が満たされた場合にのみ、滞留時間情報を基地局30に送信するようにしてもよい。例えば、端末装置40は、遅延要求が所定の基準を満たした場合(例えば、5QI/QCIでPacket Delay Budget要件がXX msec以下(例えば、10msec以下)となっている場合)に、滞留時間情報をBSRに含めて基地局30に送信してもよい。または、端末装置40は、使用されるスライスが低遅延スライスの場合に滞留時間情報をBSRに含めて基地局30に送信してもよい。勿論、端末装置40は、遅延要求が所定の基準を満たしている・満たしていないに関わらず基地局30に滞留時間を送信するよう構成されていてもよい。
【0127】
<3-4.シーケンス例>
以上を前提に、実施形態1の通信システム1が実行する通信処理を説明する。
【0128】
図14は、実施形態1の通信処理を示すシーケンス図である。
図14に示す端末装置40は、内部(図中、APP Layer)で送信対象となるデータが発生するよう構成されている。また、端末装置40は、他の通信装置(例えば、他の端末装置40)から、外部インタフェース(図中、Ext IF)を介して、送信対象となるデータを受信するよう構成されている。以下の説明では、送信対象となるデータのことを、送信データということがある。以下、
図14を参照しながら、実施形態1の通信処理を説明する。
【0129】
端末装置40、基地局30、及びコアネットワーク(例えば、管理装置20)は、通信サービスを開始のための処理(例えば、初期設定及び初期接続処理等)を実行する(ステップS101)。端末装置40のセルラーモデム(例えば、無線通信部41及び/又は制御部43)、基地局30及びコアネットワークは、低遅延スライスを構築する(ステップS102)。
【0130】
端末装置40の内部で送信データが発生したら(又は、他の通信装置から送信データを受信したら)、端末装置40は、セルラーモデムに当該データを送信する(ステップS103)。端末装置40のセルラーモデムは、データを受信したら、データの受信時間をタイムスタンプする。例えば、セルラーモデム(例えば、計測部433)は、データの受信時間を受信したデータに付与してもよいし、データとは別にデータ受信時間を管理してもよい。そして、端末装置40は、受信したデータ(パケット)をバッファに格納する。以後、端末装置40は、この動作を繰り返す(以下、この動作の記載を省略する)。
【0131】
次に、端末装置40は、基地局30にスケジューリングリクエストを行う(ステップS104)。基地局30は、上りリンク通信のスケジューリングを行うとともに、端末装置40に、スケジューリンググラントを発行する(ステップS105)。
【0132】
次に、端末装置40は、バッファに格納したデータ(パケット)の滞留時間を特定する。例えば、端末装置40は、平均滞留時間、最大滞留時間、及び予測滞留時間の少なくとも1つを特定する(ステップS106)。以下の説明では、端末装置40は、一例として、最大滞留時間を特定したものとする。端末装置40は、最大滞留時間に関する情報を含む滞留時間情報をBSRに含めて基地局30に送信する(ステップS107)。
【0133】
基地局30は、複数の端末装置40からそれぞれ滞留時間情報を受信する。滞留時間情報を受信した基地局30は、滞留時間情報(例えば、最大滞留時間)に基づいてスケジューリングを行う(ステップS108)。なお、基地局30は、滞留時間情報を受信した時間を保持し、スケジューリングタイミングで、受信した滞留時間情報を補正してもよい。
【0134】
図15は、滞留時間を考慮したスケジューリングを説明するための図である。基地局30は、端末装置40から滞留時間情報を受信することで、どの端末装置40内のバッファでデータ滞留時間が大きかを認識可能である。基地局30は、滞留時間情報をスケジューリング係数として利用することが可能である。
図15の例では、端末装置40
2の滞留時間が20msと最も大きいので、基地局30は、端末装置40
2を優先して無線リソースを割り当てる。
【0135】
図14に戻り、基地局30は、スケジューリング結果に基づいて、端末装置40に、スケジューリンググラントを発行する(ステップS109)。
【0136】
次に、端末装置40は、バッファに格納したデータ(パケット)の滞留時間を特定する(ステップS110)。そして、端末装置40は、最大滞留時間に関する情報を含む滞留時間情報をBSRに格納する。端末装置40は、スケジューリンググラントに基づいて、BSRとともにデータを基地局30に送信する(ステップS111)。
【0137】
基地局30は、端末装置40からデータ(パケット)とともに送信されたBSRを受信する。そして、基地局30は、BSRに含まれる滞留時間情報に基づいてスケジューリングを行う(ステップS112)。基地局30は、スケジューリング結果に基づいて、端末装置40に、スケジューリンググラントを発行する(ステップS113)。
【0138】
端末装置40は、バッファに格納したデータ(パケット)の滞留時間を特定する(ステップS114)。そして、端末装置40は、滞留時間情報を格納したBSRとともに、データを基地局30に送信する(ステップS115)。
【0139】
実施形態1によれば、基地局30は、各端末装置40にバッファされているデータの滞留を把握することができる。これにより、基地局30は、滞留時間を考慮したスケジューリングを行うことができる。結果として、上りリンク通信においても低遅延の無線通信が実現するので、通信システム1は、高い通信パフォーマンスの無線通信(例えば、安定した低遅延の無線通信)を実現することができる。
【0140】
<<4.実施形態2>>
次に、実施形態2に係る通信システム1の動作を説明する。
【0141】
<4-1.機能構成例>
まず、実施形態2に係る通信装置の機能構成例を示す。実施形態2に係る通信装置(端末装置40、基地局30)は、以下のように構成しうる。
【0142】
<端末装置の機能構成例>
図16は、実施形態2に係る端末装置40の機能ブロック図である。端末装置40は、PDCP層の処理を行うブロック(
図16に示すPDCP)と、RLC層の処理を行うブロック(
図16に示すRLC)と、MAC層の処理を行うブロック(
図16に示すMAC)と、物理層の処理を行うブロック(
図16に示すPHY)と、を備える。これらのブロックは、例えば、
図8に示す無線通信部41、及び、制御部43により実現しうる。また、端末装置40は、データ送受信部を備える。このブロックは、例えば、
図8に示す送信部431及び受信部432により実現しうる。また、端末装置40は、時刻情報管理部を備える。このブロックは、例えば
図8に示す計測部433及び記憶部42により実現しうる。時刻情報管理部は、PDCPに時刻情報の通知を行う。時刻情報管理部が管理する時刻情報は、例えば、フレーム番号である。時刻情報管理部はPHYとフレーム番号を同期する。
【0143】
<基地局の機能構成例>
図17は、実施形態2に係る基地局30の機能ブロック図である。基地局30は、PDCP層の処理を行うブロック(
図17に示すPDCP)と、RLC層の処理を行うブロック(
図17に示すRLC)と、MAC層の処理を行うブロック(
図17に示すMAC)と、物理層の処理を行うブロック(
図17に示すPHY)と、を備える。これらのブロックは、例えば、
図7に示す無線通信部31、及び、制御部33により実現しうる。また、基地局30は、データ送受信部を備える。このブロックは、例えば、
図7に示す送信部331及び受信部332により実現しうる。また、基地局30は、時刻情報管理部を備える。このブロックは、例えば
図7に示す制御部33及び記憶部32により実現しうる。時刻情報管理部は、PDCPに時刻情報の通知を行う。時刻情報管理部が管理する時刻情報は、例えば、フレーム番号である。時刻情報管理部はPHYとフレーム番号を同期する。
【0144】
<4-2.動作の詳細>
次に、実施形態2に係る通信装置(端末装置40、基地局30)の動作を説明する。
【0145】
実施形態2では、端末装置40は、他の通信装置に送信する1又は複数のパケットそれぞれに時間情報(以下、タイムスタンプともいう。)を付与する。例えば、端末装置40は、基地局30に送信する1又は複数のパケットそれぞれにタイムスタンプを付与する。例えば、端末装置40は、PDCPまたはRLCでPDUを生成する際に、PDUにタイムスタンプ(例えば、PDUの生成時刻)を付与する。端末装置40は、パケット(PDCP SDU)をデータ送受信部から受信した場合に、当該SDUの先頭にタイムスタンプ(現在時刻)を付与してもよい。
【0146】
このとき、タイムスタンプは、SFN(System Frame Number)/HFN(Hyper Frame Number)であってもよいし、サブフレーム番号(Subfream Number)であってもよい。例えば、タイムスタンプは、HFN(Hyper Frame Number)の下位12bit及びPDCP層で推定するサブフレーム番号(Subframe Number)であってもよい。なお、端末装置40は、サブフレーム番号(Subframe Number)の替わりにスロット番号(Slot Number)をタイムスタンプとして用いてもよい。タイムスタンプにスロット番号を使用する場合、端末装置40は、後述するように、SCS(SubCarrier Spacing)に応じて、タイムスタンプ領域を拡張する。
【0147】
なお、HFNはPDCP層での自走カウンタとして扱われる。サブフレーム番号/スロット番号をタイムスタンプとして用いる場合、端末装置40は、HFNカウンタの更新タイミングからの経過時間に基づいてサブフレーム番号/スロット番号を決定してもよい。例えば、当該処理が実行されるタイミングが、HFNの更新タイミングから、2msec経過している場合は、端末装置40は、サブフレーム番号を1とする。ここで、サブフレーム番号は1msec単位、かつ0はじまりである。
【0148】
基地局30は予め端末装置40と時刻を同期させておく。例えば、基地局30はRRCメッセージ等を使って予め端末装置40とSFN/HFNを同期させておく。基地局30は、端末装置40からパケットを受信したら、そのパケットに付与されたタイムスタンプに基づいて、そのパケットが送信に要した時間(以下、送信遅延時間という。)を特定する。例えば、基地局30のPDCPは、パケットからPDCP SDUを生成する際に、当該パケットからタイムスタンプ(例えば、SFN/HFN/サブフレーム番号/スロット番号)を取り出す。そして、基地局30は、タイムスタンプと現在時刻(例えば、SFN/HFN/サブフレーム番号/スロット番号)との差から当該パケットの送信遅延時間を特定する。なお、端末装置40は、HFNのカウントアップタイミングからの経過時間に基づいて、現在時刻とするサブフレーム番号/スロット番号を推定してもよい。
【0149】
そして、基地局30は、特定した送信遅延時間の情報に基づいて、端末装置40のスケジューリングを行う。例えば、基地局30のPDCPは、特定した送信遅延時間の情報をMACスケジューラに通知する。MACスケジューラは、送信遅延時間の情報に基づいて上りリンク通信のスケジューリングを行う。
【0150】
<4-3.PDUフォーマット>
上述したように、端末装置40は、タイムスタンプが付与されたPDUを基地局30に送信する。このとき、PDUにはタイムスタンプを格納するための新たな領域が設けられてもよい。
図18は、タイムスタンプを格納可能なPDUのフォーマットの一例を示す図である。具体的には、
図18には、タイムスタンプを格納するための領域(以下、タイムスタンプ領域という。)が新たに設けられたRLC AM(Acknowledge Mode) PDUのフォーマット例が示されている。
図18には、PDUに2オクテットのタイムスタンプ領域が新たに設けられている。
【0151】
(タイムスタンプ領域の拡張)
なお、LTEでは、サブフレーム番号(Subframe Number)が1msecで統一されているが、NRでは、実際の送信単位はスロット(Slot)となる。また、スロット長は、対象RATのSCS(SubCarrier Spacing)によって異なるため、遅延時間の測定可能粒度が異なる。
図19は、遅延時間の測定可能粒度を説明するための図である。
図19は、3GPPのTS38.211 Table 4.3.2-1を参考に作成したものである。図中の括弧で示された時間(62.5usec~1msec)は、参考記載の通信スキームが適応された場合の、1回の通信機会の時間である。端末装置40、最小の測定単位を通知する場合は、前述のタイムスタンプ領域を拡張する。なお、端末装置40は、μ=0の場合に関して、タイムスタンプ領域を3オクテット用意して、Reservedを8bitとして、他のμと併せてもよい。なお、タイムスタンプ領域を拡張するかどうかは、事前にシステム設定等で行われていてもよい。
【0152】
<4-4.シーケンス例>
以上を前提に、実施形態2の通信システム1が実行する通信処理を説明する。
【0153】
図20は、実施形態2の通信処理を示すシーケンス図である。
図20に示す端末装置40は、内部(図中、APP Layer)で送信対象となるデータが発生するよう構成されている。また、端末装置40は、他の通信装置(例えば、他の端末装置40)から、外部インタフェース(図中、Ext IF)を介して、送信対象となるデータを受信するよう構成されている。以下の説明では、送信対象となるデータのことを、送信データということがある。
図20の例では、基地局30と端末装置40は、RRCメッセージ等により、HFNが同期されているものとする。以下、
図20を参照しながら、実施形態1の通信処理を説明する。
【0154】
端末装置40、基地局30、及びコアネットワーク(例えば、管理装置20)は、通信サービスを開始のための処理(例えば、初期設定及び初期接続処理等)を実行する(ステップS201)。
【0155】
端末装置40の内部で送信データが発生したら(又は、他の通信装置から送信データを受信したら)、端末装置40は、当該送信データに基づいてSDUを生成するとともに、SDUをPDCPに送信する(ステップS202)。端末装置40のPDCPは、受信したSDUに基づいてPDUを生成するとともに、当該PDUにタイムスタンプを付与する(ステップS203)。そして、端末装置40のPDCPは、タイムスタンプを付与したPDUをセルラーモデムに送信する(ステップS204)。そして、セルラーモデムは、受信したPDUをバッファに格納する。以後、端末装置40は、この動作を繰り返す(以下、この動作の記載を省略する)。
【0156】
次に、端末装置40は、基地局30にスケジューリングリクエストを行う(ステップS205)。基地局30は、上りリンク通信のスケジューリングを行うとともに、端末装置40に、スケジューリンググラントを発行する(ステップS206)。端末装置40は、グラントに基づいてBSRを基地局30に送信する(ステップS207)。基地局30は、上りリンク通信のスケジューリングを行うとともに、端末装置40に、スケジューリンググラントを発行する(ステップS208)。端末装置40は、グラントに基づいてデータ(タイムスタンプが付与されたPDU)を基地局30に送信する(ステップS209)。このとき、端末装置40は、データとともにBSRを送信してもよい。
【0157】
基地局30は、複数の端末装置40からそれぞれデータ(タイムスタンプが付与されたPDU)を受信する。基地局30は、PDUからタイムスタンプを取り出すとともに、タイムスタンプに基づいて遅延時間を特定する(ステップS210)。そして、基地局30は、特定した遅延時間(例えば、最大遅延時間/平均遅延時間)に基づいてスケジューリングを行う。
【0158】
図21は、遅延時間を考慮したスケジューリングを説明するための図である。基地局30は、PDUから取り出したタイムスタンプと現在時刻(例えば、HFN)との差から当該PDUの送信遅延時間を特定する。なお、基地局30が特定する遅延時間は、複数のパケットの平均遅延時間であってもよいし、複数のパケットの最大遅延時間であってもよい。また、基地局30が特定する遅延時間は、LCG毎の遅延時間(平均遅延時間/最大遅延時間)であってもよい。基地局30は、端末装置40から遅延時間の情報を受信することで、どの端末装置40で遅延時間が大きくなっているかを認識可能である。基地局30は、遅延時間情報をスケジューリング係数として利用することが可能である。
図21の例では、端末装置40
2の遅延時間が20msと最も大きいので、基地局30は、端末装置40
2を優先して無線リソースを割り当てる。
【0159】
図20に戻り、基地局30は、スケジューリング結果に基づいて、端末装置40に、スケジューリンググラントを発行する(ステップS211)。端末装置40は、グラントに基づいてデータ(タイムスタンプが付与されたPDU)を基地局30に送信する(ステップS212)。
【0160】
実施形態2によれば、基地局30は、各端末装置40の送信遅延時間を把握することができる。これにより、基地局30は、遅延時間を考慮したスケジューリングを行うことができる。結果として、上りリンク通信においても低遅延の無線通信が実現するので、通信システム1は、高い通信パフォーマンスの無線通信(例えば、安定した低遅延の無線通信)を実現することができる。
【0161】
<<5.実施形態3>>
次に、実施形態3に係る通信システム1の動作を説明する。
【0162】
<5-1.機能構成例>
まず、実施形態3に係る通信システムの機能構成例を示す。実施形態3に係る通信システム(通信システム1)は、以下のように構成しうる。
【0163】
<通信システムの機能構成例>
図22は、実施形態3に係る通信システム1の機能ブロック図である。通信システム1は、アプリケーションファンクション(
図22に示すAF)と、コアネットワーク(
図22に示すCore)と、無線アクセスネットワーク(
図22に示すRAN)と、アプリケーション層の処理を行うブロック(
図22に示すApp)と、ユーザ装置の無線通信機能(
図22に示すUE Modem)と、を備える。AFは、例えば
図4に示すサーバ10により実現しうる。Coreは、例えば
図4に示す管理装置20により実現しうる。RANは、例えば
図4に示す基地局30により実現しうる。AppとUE Modemは、例えば
図4に示す端末装置40により実現しうる。AppとUE Modemは、1つの端末装置40により構成されてもよいし、別々の端末装置40により構成されてもよい。UE Modemは、セルラーモデムと言い換えることができる。
【0164】
<端末装置の機能構成例>
上述したように、UE Modemは、端末装置40により実現されうる。
図23は、実施形態3に係る端末装置40の機能ブロック図である。端末装置40は、データ送受信部と、時刻情報管理部と、パケット処理部と、RLC層の処理を行うブロック(
図16に示すRLC)と、MAC層の処理を行うブロック(
図16に示すMAC)と、物理層の処理を行うブロック(
図16に示すPHY)と、を備える。パケット処理部は、PDCP層の処理を行うブロック(
図23に示すPDCP)を備える。データ送受信部は、例えば、
図8に示す送信部431及び受信部432により実現しうる。時刻情報管理部は、例えば
図8に示す計測部433及び記憶部42により実現しうる。パケット処理部~PHYは、例えば、
図8に示す無線通信部41、及び、制御部43により実現しうる。
【0165】
データ送受信部は、Appとのインタフェースである。データ送受信部のデータ送信先/データ受信元は、端末装置40とは別筐体の通信装置(外部App)であってもよい。また、データ送受信部のデータ送信先/データ受信元は、端末装置40の内部のブロック(内部App)であってもよい。例えば、データ送信先/データ受信元は、同一筐体内のAppプロセッサやセンサーなどであってもよい。
【0166】
時刻情報管理部は、自走により時刻を管理する。または、時刻情報管理部は、外部ソースに基づき時刻を管理する。端末装置40内で、2つの時刻間の差(バッファに格納したデータ(パケット)の滞留時間)がわかればよいので、相対時刻が正しく管理できるのであれば、時刻情報管理部は、自走クロックで時刻を管理してもよい。
【0167】
パケット処理部は、データ送受信部からULパケットを受信した時に、その時刻を記憶する。そして、パケット処理部は、当該パケットに関する複数のMAC PDUのうち、最後(または、最初)のMAC PDUが送信された時刻をMACから受領する。そして、パケット処理部は、ULパケットの受信時刻とMAC PDUの送信時刻とに基づいて、バッファに格納したデータ(パケット)の滞留時間を算出する。パケット処理部は、一定時間ごとに当該滞留時間をAFに通知する。
【0168】
<サーバの機能構成例>
上述したように、AFは、サーバ10により実現されうる。なお、AFは、コアネットワークの機能の一部であってもよい。この場合、AFは、管理装置20により実現されうる。勿論、AFは、サーバ10及び管理装置20以外の情報処理装置(コンピュータ)により実現されてもよい。以下の説明では、一例として、AFは、サーバ10により実現されるものとする。
【0169】
図24は、実施形態3に係るサーバ10の機能ブロック図である。サーバ10は、データ送受信部と、滞留時間記憶部と、QoS管理部と、優先度制御部と、NEF(Network Exposure Function)/SCEF(Service Capability Exposure Function)インタフェース部と、を備える。これらのブロックは、例えば、
図5に示す通信部11、記憶部12、及び制御部13により実現しうる。
【0170】
データ送受信部は、端末装置40のパケット処理部から通知される滞留時間の受信機能を有する。また、データ送受信部は、コアネットワークのNEF/SCEFとのインタフェースとして機能してもよい。これら2つの機能は、独立していてもよい。
【0171】
滞留時間記憶部は、端末装置40から通知された滞留時間を記憶する。滞留時間記憶部は、代表となる値(例えば、一定時間の最大値等)を端末装置40毎に管理する。
【0172】
QoS管理部は、当該端末装置40が利用しているサービス/アプリケーションのターゲットなるサービスレベル(ターゲット遅延時間)を管理する。
【0173】
優先度制御部は、端末装置40それぞれについて、滞留時間管理部が記憶する滞留時間とQoS管理部が管理するサービスレベルとを比較する。優先度制御部は、サービスレベルを満たしていない端末装置40に関し、優先度を上げるようにNEF/SCEFインタフェース部に通知する。また、優先度制御部は、サービスレベルを十分に満たしている端末装置40に関しては、優先度を下げる判断をしてもよい。
【0174】
NEF/SCEFインタフェース部は、優先度の変更が通知された端末装置40に関し、コアネットワークに対して、API(Application Programming Interface)を使って、ターゲットプライオリティ(Target Priority)の変更を通知する。
【0175】
<5-2.動作の詳細>
次に、実施形態2に係る通信システム1の動作を説明する。
【0176】
実施形態3では、端末装置40は、他の通信装置(例えば、基地局30)に送信する1又は複数のパケットの滞留時間をパケット毎に計測する。そして、端末装置40は、滞留時間に関する情報を含む滞留時間情報をAF(例えば、サーバ10)に通知する。なお、AFに通知する滞留時間は、実施形態1と同様に、平均滞留時間であってもよいし、最大滞留時間であってもよいし、予測滞留時間であってもよいし、これらの時間の組み合わせであってもよい。また、滞留時間は、代表値(例えば、一定時間の最大値等)であってもよい。なお、AFに通知する滞留時間は、LCG毎(又は、論理チャネル毎)の滞留時間であってもよい。
【0177】
AFは、通知された滞留時間の情報に基づいて、当該端末装置40に関するQoS(Quality of Service)を再設定する。例えば、AFは、複数の端末装置40の滞留時間の情報、及び、それぞれのサービスのSLA(Service Level Agreement)に基づいて、NEF_AfsessionWithQoSを用いて、それぞれのサービスに設定されているDelay Budgetに合わせてQoS(CQI/5QI)を再設定する。基地局30は、変更されたQoSに基づいて上りリンク通信のスケジューリングを行う。
【0178】
<5-3.シーケンス例>
以上を前提に、実施形態3の通信システム1が実行する通信処理を説明する。
【0179】
図25は、実施形態1の通信処理を示すシーケンス図である。
図25に示す端末装置40は、内部(図中、APP Layer)で送信対象となるデータが発生するよう構成されている。また、端末装置40は、他の通信装置(例えば、他の端末装置40)から、外部インタフェース(図中、Ext IF)を介して、送信対象となるデータを受信するよう構成されている。以下の説明では、送信対象となるデータのことを、送信データということがある。以下、
図25を参照しながら、実施形態3の通信処理を説明する。
【0180】
端末装置40、基地局30、及びコアネットワーク(例えば、管理装置20)は、通信サービスを開始のための処理(例えば、初期設定及び初期接続処理等)を実行する(ステップS301)。端末装置40のセルラーモデム(例えば、無線通信部41及び/又は制御部43)、基地局30及びコアネットワークは、低遅延スライスを構築する(ステップS302)。
【0181】
端末装置40の内部(APP Layer)で送信データが発生したら(又は、外部インタフェース44が他の通信装置から送信データを受信したら)、端末装置40は、端末装置40内部のセルラーモデムに当該データを送信する(ステップS303)。端末装置40は、当該データに所定フォーマットのパケット(SDU/PDU)に変換するとともに、変換したパケットをバッファに格納する。そして、端末装置40は、基地局30から発行されたグラントに基づいて、基地局30にバッファ内のパケットを送信する(ステップS304)。以後、端末装置40は、この動作を繰り返す(以下、この動作の記載を省略する)。
【0182】
続いて、端末装置40は、バッファに格納されている1又は複数のパケットの滞留時間を特定する(ステップS305)。例えば、端末装置40は、RLCレイヤ/MACレイヤ)における当該パケットの待ち時間を算出する。なお、端末装置40が特定する滞留時間は、実施形態1と同様に、平均滞留時間であってもよいし、最大滞留時間であってもよいし、予測滞留時間であってもよいし、これらの時間の組み合わせであってもよい。また、滞留時間は、代表値(例えば、一定時間の最大値等)であってもよい。なお、AFに通知する滞留時間は、LCG毎(又は、論理チャネル毎)の滞留時間であってもよい。端末装置40は、特定した滞留時間に関する情報(以下、滞留時間情報という。)をAF(例えば、サーバ10)に通知する(ステップS306)。以後、端末装置40は、この動作(ステップS305~ステップS306)を周期的に繰り返す(以下、この動作の記載を省略する)。
【0183】
AFは、端末装置40から滞留時間情報を受信する。そしてAFは、滞留時間情報に基づいて当該端末装置40の通信(例えば、AFが提供するサービスに関する通信)が遅延要求を満たしているか判別する。例えば、AFは、端末装置40の通信(例えば、上りリンク通信)が、当該サービスの要求に基づくPDB(Packet Delay Budget)を満たしているか判別する。PDBと比較して滞留時間が長い場合(例えば、滞留時間が第1の基準を満たさない場合)、端末装置40のスケジューリング優先度を高く設定する。待ち時間が十分に満たされている場合(滞留時間が第1の基準より厳しい第2の基準を満たしている場合)、PDBが満たされると想定され得る範囲で、端末装置40のスケジューリング優先度を低く設定する。
【0184】
そして、AFは、優先度が変更された端末装置40に関し、コアネットワークに対して、ターゲットプライオリティ(Target Priority)の変更を通知する(ステップS307)。例えば、AFは、所定のAPIを使って、当該端末装置40に関するQoS(Quality of Service)を再設定する。例えば、AFは、NEF API(例えば、AFsessionWithQoS)又はSCEF API(例えば、AsSessionWithQoS)を使って、コアネットワークに設定されているQoS(例えば、5QI(5G QoS Identifier)やQCI(QoS Class Identifier)、または、そのPriority Level又は、Packet Delay Budget)の更新を行う。コアネットワーク(例えば、管理装置20)及び/又は基地局30は、AFからの通知に基づいて当該端末装置40に関するQoSの更新を行う(ステップS308)。基地局30は、変更されたQoSに基づいて当該端末装置40に関するスケジューリングを行う。以後、AF、コアネットワーク、及び基地局30は、この動作(ステップS307~ステップS308)を繰り返す。
【0185】
通常、基地局30/コアネットワークは、設定されたQoSを満たすようにスケジューリングを行うが、混雑状況によっては、QoSを満たせない場合ある。その場合には、当該サービスのQoS設定をより顕著に強弱をつけることにより、スケジューリングメトリックの重みづけを動的に変えてもよい。これにより、基地局30/コアネットワークは、目標とする遅延時間を達成することができる。
【0186】
実施形態3によれば、AFは、各端末装置40にバッファされているデータの滞留を把握することができる。これにより、AFは、滞留時間を考慮したQoSの再設定を行うことができる。結果として、上りリンク通信においても低遅延の無線通信が実現するので、通信システム1は、高い通信パフォーマンスの無線通信(例えば、安定した低遅延の無線通信)を実現することができる。
【0187】
<<6.変形例>>
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0188】
<6-1.滞留時間の特定に関する変形例>
上述の実施形態(実施形態1、3)では、端末装置40は、他の通信装置に送信するパケットの端末装置40内での滞留時間を特定した。この滞留時間の特定は、以下のようにも特定(算出)しうる。
【0189】
図26は、滞留時間の特定方法を説明するためのシーケンス図である。図中、MAC/L1は、基地局30にデータを送信する端末装置40
1のMAC層/物理層である。また測定開始ポイントは、例えば、以下の(1)~(3)のいずれかである。
【0190】
(1)PDCP/RLCの階層境界(3GPPのプロトコル境界)
(2)スマホ(AppやOSの境界)、ルータ、又はIoTモジュールのインタフェース
(3)端末装置401に接続される外部装置
【0191】
ここで、外部装置は、テザリング/LAN等で端末装置40
1に接続されるパケット/データを生成する通信装置(例えば、端末装置40
2)であってもよい。
図27は、外部装置を説明するための図である。
図27の例では、外部装置(端末装置40
2)は、カメラとなっている。この場合、端末装置40
1は、外部装置でデータが発生してからの時間を滞留時間として特定してもよい。勿論、端末装置40
1は、パケットが端末装置40
1内のアプリケーションで発生してからの時間を滞留時間として特定してもよい。また、端末装置40
1は、端末装置40
1内の所定のプロトコルレイヤ(例えば、PDCPレイヤ、又はRLCレイヤ)に到達してからの時間を滞留時間として特定してもよい。
【0192】
以下、
図26のシーケンス図を参照しながら滞留時間の特定方法を説明する。
【0193】
まず、測定開始ポイントとMAC/L1は、時刻の同期を行う(ステップS401)。測定の開始ポイントとMAC/L1は、共通カウンタ(例えば、CPUのカウンタ)や時刻情報を定期的に共有してもよい。
【0194】
次に、測定開始ポイントに送信パケットが到達したら、測定開始ポイントは、当該送信パケットに到達時刻を付与する(ステップS402)。この、測定開始ポイントに送信パケットが到達したタイミングが、滞留時間の測定開始タイミングとなる。測定開始ポイントは、到達時刻が付与されたパケットをMAC/L1に送信する。
【0195】
次に、MAC/L1は、送信パケットの端末装置40内での滞留時間を算出する(ステップS404)。ここで、滞留時間の測定終了タイミングは、BSRの初送時刻(例えば、BSRが初回送信されるSFN/Subframe/Slot)とする。つまり、MAC/L1は、到達時刻(測定開始タイミング)からBSRの初送時刻(測定終了タイミング)までの時間を滞留時間として特定する。BSRは、基地局30に割り当てられたタイミングで送信される。そのため、MAC/L1は、BSRを作る際に一意にBSRの初送時刻を決定できる。MAC/L1は、特定した滞留時間をBSRで基地局30に通知する(ステップS405)。
【0196】
基地局30は、BSRの初送時刻と、当該BRSに関するスケジューリング情報を端末装置40に送信する時刻(予想時刻)と、に基づいて、基地局30での処理待ち時間(スケジューリング待ち時間)を算出する。基地局30は、この処理待ち時間に基づいて滞留時間を更新する(ステップS406)。基地局30は、更新した滞留時間情報に基づいてスケジューリングを行う。
【0197】
<6-2.滞留時間情報の送信に関する変形例>
上述の実施形態(実施形態1)では、端末装置40は、BSRを使って滞留時間情報を他の通信装置(例えば、基地局30)に通知した。しかし、端末装置40は、BSR以外の手段を使って滞留時間情報(例えば、平均滞留時間/予測滞留時間)を他の通信装置に通知してもよい。滞留時間情報には、最大滞留時間が含まれていてもよい。通知手段は、以下の手段A~手段Cのいずれであってもよい。
【0198】
<手段A>
端末装置40は、実施形態3で示したように、AFに滞留時間情報を通知する。
【0199】
<手段B>
端末装置40は、Measurement Report(L3 message)でRRM(Radio Resource Management)に滞留時間情報を通知する。
【0200】
・RRMは、MACスケジューラの各種パラメータを更新して、基地局30のMACスケジューラに通知する。このとき、QoSパラメータはコアネットワーク(PCRF(Policy and Charging Rules Function)/PCF(Policy Control function))のパラメータなのでRRMは、QoSパラメータを変更しなくてもよい。基地局30は、基地局30内で閉じてUE/LCH(Logical Channel)の優先度制御を行う。
【0201】
・RRMは、コアネットワークに滞留時間情報を通知する。コアネットワークの所定のファンクション(例えば、PCRF/PCF等のPolicyを決定するファンクション)は、PDU Session内のQoS情報をアップデートする。これにより、コアネットワークは、スケジューリングの優先度を変更する。
【0202】
・O-RAN(Open Radio Access Network)で定義されているO-CU-CP(RRCレイヤ)が、O1でrAPPに通知する。または、O-RANで定義されているO-CU-CP(RRCレイヤ)が、E2でxAPPに通知する。ここで、O-CU-CPは、O-RAN Central Unit Control Planeである。また、rAppは、Non-RT RIC Applicationであり、xAPPは、Near-RT RIC Applicationである。rApp及び/又はxAppは、E2ノードを経由してMACスケジューラ(DU(Distributed Unit))を設定する。
【0203】
<手段C>
図28は、O-RANアーキテクチャの一例を示す図である。端末装置40は、O-RAN(Open Radio Access Network)で定義されているxApp/rApp(RIC(RAN Intelligent Controller)/SMO(Service Management and Orchestration))に滞留時間情報を通知する。ここで、rAppは、Non-RT RIC Applicationであり、xAPPは、Near-RT RIC Applicationである。xApp/rApp(RIC/SMO)は、E2ノードを経由してMACスケジューラ(DU(Distributed Unit))を設定する。このとき、端末装置40は、SMOに外部ネットワークとのインタフェース(O2経由)を設け、インターネット等の公衆回線を使って滞留時間情報を通知してもよい。
【0204】
図29は、O-RANを利用した通信処理を示すシーケンス図である。具体的には、
図29は、xApp/rApp(RIC/SMO)を利用したスケジューリング方法を説明するためのシーケンス図である。
図29において、UE(User Equipment)は、例えば、端末装置40である。また、CU(Central Unit)/DU(Distributed Unit)は、例えば、基地局30である。以下、
図29を参照しながら、O-RANを利用した通信処理について説明する。
【0205】
UEは、インターネット/クラウド等を介して、SMOに滞留時間情報を送信する。なお、SMOに通知する滞留時間は、実施形態1と同様に、平均滞留時間であってもよいし、最大滞留時間であってもよいし、予測滞留時間であってもよいし、これらの時間の組み合わせであってもよい。また、滞留時間は、代表値(例えば、一定時間の最大値等)であってもよい。なお、AFに通知する滞留時間は、LCG毎(又は、論理チャネル毎)の滞留時間であってもよい。
【0206】
SMOは、受信した滞留時間情報を、SMO内のrAppまたは、xAppに通知する。ここで、rAppは更新周期が遅くともよいユースケースで利用され、xAppは更新周期が早いユースケースで利用される。アーキテクチャ上、どちらのAppでも実現可能なのであれば、一般にはxAppで実現される。rAPP/xAPPは、サービス毎(LCH毎又はLCG毎)/UE毎の滞留時間を比較して、スケジューリングを優先すべきサービス(LCHまたは、LCG)/UEを特定する。そして、rAPP/xAPPは、特定した情報に基づいてQoSパラメータ/スケジューリングパラメータを決定する。
【0207】
rAPP/xAPPは、決定したQoSパラメータ/スケジューリングパラメータをCU/DUに通知する。CU/DUは、たQoSパラメータ/スケジューリングパラメータをMACスケジューラに反映する。
【0208】
<6-3.スケジューリングに関する情報の送信に関する変形例>
上述の実施形態では、端末装置40は、滞留時間(例えば、最大滞留時間/平均滞留時間/予測滞留時間)の情報を他の通信装置(基地局30/AF/SMO)に送信したが、端末装置40は、滞留時間の情報に加えて、パケットの情報量の情報を通知してもよい。例えば、端末装置40は、最大滞留時間に加えて、上りリンクパケット毎の滞留時間及び情報量を特定する。そして、端末装置40は、最大滞留時間に関する情報と、上りリンクパケット毎の滞留時間及び情報量に関する情報と、を少なくとも含む滞留時間情報を他の通信装置(例えば、基地局30/AF/SMO)に送信する。滞留時間情報には、バッファに滞留している複数のパケットのトータルの情報量の情報が含まれていてもよい。
【0209】
このとき、上りリンクパケットは、LCG(Logical Channel Group)ごとにバッファされていてもよい。そして、端末装置40は、LCG毎の滞留時間情報を基地局に送信してもよい。滞留時間情報には、LCG毎のトータルの情報量の情報が含まれていてもよい。
【0210】
より具体的には、端末装置40は、PDCP SDUの区切りになるビット数と、それぞれの滞留時間を、BSR等を使って、他の通信装置(例えば、基地局30/AF/SMO)に通知してもよい。例えば、バッファに滞留している複数のパケット(PKT♯1~PKT♯1)それぞれの情報量と滞留時間が、以下のとおりであるとする。
【0211】
PKT♯1:100byte、45msc
PKT♯2:200byte、25msc
PKT♯3:150byte、15msc
PKT♯4:200byte、10msc
【0212】
このとき、端末装置40は、BSRでの通知内容を以下の通りとしてもよい。
【0213】
Total 550byte/Max Buffered time 45msec
100byte/45mec
200byte/25msec
150byte/15msec
100byte/10msec
【0214】
これにより、基地局30は、より精度の高いスケジューリングを実行することが可能になる。
【0215】
<6-4.その他の変形例>
上述の実施形態では、基地局30は、端末装置40から送信された情報(滞留時間情報/タイムスタンプ)に基づいて、上りリンク通信のスケジューリングを行った。しかし、基地局30が行うスケジューリングは、上りリンク通信のスケジューリングに限られない。例えば、基地局30は、端末装置40から送信された情報(滞留時間情報/タイムスタンプ)に基づいて、端末装置40のサイドリンク通信のスケジューリングを行ってもよい。勿論、基地局30は、端末装置40の下りリンク通信のスケジューリングを行ってもよい。
【0216】
また、スケジューリングを行う通信装置は、基地局30に限定されない。例えば、スケジューリングを行う通信装置は、他の端末装置40であってもよい。例えば、スケジューリングを行う通信装置は、一又は複数の端末装置40(スレーブUE)のサイドリンク通信を管理するマスターUEであてもよい。このとき、端末装置40(スレーブUE)は、他の端末装置40(マスターUE)にパケットの滞留に関する情報(滞留時間情報/タイムスタンプ)を送信してもよい。
【0217】
本実施形態のサーバ10、管理装置20、基地局30、又は端末装置40を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステムにより実現してもよいし、汎用のコンピュータシステムによって実現してもよい。
【0218】
例えば、上述の動作を実行するための通信プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成する。このとき、制御装置は、サーバ10、管理装置20、基地局30、又は端末装置40の外部の装置(例えば、外部接続されたコンピュータ)であってもよい。また、制御装置は、サーバ10、管理装置20、基地局30、又は端末装置40の内部の装置(例えば、制御部13、制御部23、制御部33、又は制御部43)であってもよい。
【0219】
また、上記通信プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバが備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバに格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0220】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0221】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。なお、この分散又は統合による構成は動的に行われてもよい。
【0222】
また、上述の実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、上述の実施形態のフローチャート及びシーケンス図に示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0223】
また、例えば、本実施形態は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0224】
なお、本実施形態において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0225】
また、例えば、本実施形態は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0226】
<<7.むすび>>
端末装置40は、基地局30に送信する1又は複数の上りリンクパケットの滞留時間をパケット毎に計測し、当該パケットの端末装置40内での滞留時間(例えば、滞留時間の最大値)を特定する。そして、端末装置40は、滞留時間の情報を基地局30に送信する。基地局30は、受信した滞留時間の情報に基づいて、端末装置40の上りリンク通信のスケジューリングを行う。
【0227】
これにより、基地局30は、遅延要求を満たすよう、上りリンク通信のスケジューリングを行うことができる。結果として、上りリンク通信においても低遅延の無線通信が実現するので、通信システム1は、高い通信パフォーマンスの無線通信(例えば、安定した低遅延の無線通信)を実現することができる。
【0228】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0229】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0230】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
基地局と接続される端末装置であって、
前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間を前記パケット毎に計測する計測部と、
前記滞留時間の最大値を特定する特定部と、
前記滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記基地局に送信する送信部と、
を備える端末装置。
(2)
前記計測部は、前記端末装置が送信する1又は複数の上りリンクパケットの滞留時間を前記上りリンクパケット毎に計測し、
前記送信部は、前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(1)に記載の端末装置。
(3)
前記計測部は、前記上りリンクパケットが前記端末装置内のアプリケーションで発生してからの時間を前記滞留時間として計測する、
前記(2)に記載の端末装置。
(4)
前記計測部は、前記上りリンクパケットが所定のプロトコルレイヤに到着してからの時間を前記滞留時間として計測する、
前記(2)に記載の端末装置。
(5)
前記計測部は、前記上りリンクパケットが前記端末装置に接続された他の通信装置上で発生してからの時間を前記滞留時間として計測する、
前記(2)に記載の端末装置。
(6)
前記送信部は、前記滞留時間情報をBSRに含めて前記基地局に送信する、
前記(2)~(5)のいずれかに記載の端末装置。
(7)
前記BSRの送信がトリガされたタイミングで、前記滞留時間の最大値を取得するとともに、該最大値に関する情報を含む前記滞留時間情報を前記BSRに含めて前記基地局に送信する、
前記(6)に記載の端末装置。
(8)
前記上りリンクパケットは、LCG(Logical Channel Group)ごとにバッファされており、
前記特定部は、前記LCG毎に前記滞留時間の最大値を特定し、
前記送信部は、前記LCG毎の前記滞留時間の最大値に関する情報を含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(2)~(7)のいずれかに記載の端末装置。
(9)
前記特定部は、前記滞留時間の最大値に加えて前記滞留時間の平均値を特定し、
前記送信部は、前記滞留時間の最大値に関する情報と、前記滞留時間の平均値に関する情報と、を少なくとも含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(2)~(8)のいずれかに記載の端末装置。
(10)
前記上りリンクパケットは、LCG(Logical Channel Group)ごとにバッファされており、
前記特定部は、前記LCG毎に前記滞留時間の平均値を特定し、
前記送信部は、前記LCG毎の前記滞留時間の平均値に関する情報を含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(9)に記載の端末装置。
(11)
前記特定部は、前記滞留時間の最大値に加えて前記滞留時間の予測値を特定し、
前記送信部は、前記滞留時間の最大値に関する情報と、前記滞留時間の予測値に関する情報と、を少なくとも含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(2)~(10)のいずれかに記載の端末装置。
(12)
前記上りリンクパケットは、LCG(Logical Channel Group)ごとにバッファされており、
前記特定部は、前記LCG毎に前記滞留時間の予測値を特定し、
前記送信部は、前記LCG毎の前記滞留時間の予測値に関する情報を含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(11)に記載の端末装置。
(13)
前記特定部は、前記滞留時間の最大値に加えて、前記上りリンクパケット毎の滞留時間及び情報量を特定し、
前記送信部は、前記滞留時間の最大値に関する情報と、前記上りリンクパケット毎の滞留時間及び情報量に関する情報と、を少なくとも含む前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(2)~(12)のいずれかに記載の端末装置。
(14)
前記上りリンクパケットは、LCG(Logical Channel Group)ごとにバッファされており、
前記送信部は、前記LCG毎の前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(13)に記載の端末装置。
(15)
前記送信部は、前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(2)~(14)のいずれかに記載の端末装置。
(16)
前記送信部は、前記滞留時間情報をBSRに含めて前記基地局に送信する、
前記(15)に記載の端末装置。
(17)
前記送信部は、前記上りリンクパケットを前記基地局に送信する度に、前記滞留時間情報を前記基地局に送信する、
前記(2)~(16)のいずれかに記載の端末装置。
(18)
端末装置と接続される基地局であって、
前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記端末装置から受信する受信部と、
滞留時間情報に基づいて前記端末装置の上りリンク通信のスケジューリングを行うスケジューリング部と、
を備える基地局。
(19)
基地局と接続される端末装置が実行する通信方法であって、
前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間を前記パケット毎に計測し、
前記滞留時間の最大値を特定し、
前記滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記基地局に送信する、
通信方法。
(20)
端末装置と接続される基地局が実行する通信方法であって、
前記端末装置が送信する1又は複数のパケットの滞留時間の最大値に関する情報を少なくとも含む滞留時間情報を前記端末装置から受信し、
滞留時間情報に基づいて前記端末装置の上りリンク通信のスケジューリングを行う、
通信方法。
【符号の説明】
【0231】
1 通信システム
10 サーバ
20 管理装置
30 基地局
40 端末装置
11、21 通信部
31、41 無線通信部
12、22、32、42 記憶部
13、23、33、43 制御部
44 外部インタフェース
311、411 送信処理部
312、412 受信処理部
313、413 アンテナ
331、431 送信部
332、432 受信部
333 スケジューリング部
433計測部
434 特定部
RAN 無線アクセスネットワーク
CN コアネットワーク