(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157384
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】段ボール箱開梱機
(51)【国際特許分類】
B65B 69/00 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B65B69/00 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071719
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】301013583
【氏名又は名称】株式会社イシダテック
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】石田 尚
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058BA05
3E058CA10
3E058CB10
3E058DA01
3E058FA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内袋や梱包物をカッターで傷付けることなく、自動的に取り出すことができる段ボール箱開梱機を提供する。
【解決手段】段ボール箱Aを一対の挟込み板19、19で挟込む。挟込み板は二層構造になっており、段ボール箱Aの側面部a1の外面に対しては、圧力を加えられたことにより強力に摩擦保持されると共に、エキスパンドメタル材の並列突出したボンド部の起伏部分が弾力性のある段ボール材に食い込んだことにより係止保持される。押圧板45を下降させて天面部a2の中心部を押し潰していく。これにより、段ボール箱の底抜け面部a3側が破断する。この破断のタイミングで右側の挟込み板が右方に僅かに後退移動して、一対の挟込み板の挟込み圧力を開放する。内袋Cと側面部との間に隙間ができるか、または当接しているだけで摩擦力が殆ど消失して、内袋側が自重により落下していく。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向でそれぞれ対面側に向かって複数の食い込み突起が並列突出し、段ボール箱を左右両側から挟んだ状態で圧力を加えて保持する保持機構と、前記保持機構で保持された段ボール箱に対して上側から突く押圧部材を有する押圧機構とを備え、
段ボール箱が前記保持機構で保持された状態で、前記押圧機構の押圧部材で押圧されて、その底面側が破断したタイミングで、前記保持機構で加える圧力が開放されることで、段ボール箱側は前記食い込み突起に対して係止保持される中で、梱包物側は段ボール箱の底抜け側から落下して取り出されることを特徴とする段ボール箱開梱機。
【請求項2】
請求項1に記載した段ボール箱開梱機において、
複数の食い込み突起は、エキスパンドメタル材のボンド部の起伏部分で構成されていることを特徴とする段ボール箱開梱機。
【請求項3】
請求項2に記載した段ボール箱開梱機において、
エキスパンドメタル材は背当て板に当てられており、前記背当て板側にロードセルを介して電動シリンダが連結されていることを特徴とする段ボール箱開梱機。
【請求項4】
請求項1に記載した段ボール箱開梱機において、
押圧機構の押圧部材の左右方向の位置は調整可能になっていることを特徴とする段ボール箱開梱機。
【請求項5】
請求項4に記載した段ボール箱開梱機において、
ハンドル操作により押圧部材の左右方向の位置は調整可能になっていることを特徴とする段ボール箱開梱機。
【請求項6】
請求項1に記載した段ボール箱開梱機において、
係止保持と協働する、吸着パットによる補助保持機構を備えることを特徴とする段ボール箱開梱機。
【請求項7】
請求項6に記載した段ボール箱開梱機において、
吸着パッドは押圧部材に一体に備え付けられていることを特徴とする段ボール箱開梱機。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載した段ボール箱開梱機と、段ボール箱の底抜け側に封易破断部を形成する易破断形成機が段ボール箱の乗り継ぎ可能に設置されてなる段ボール箱開梱設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱の開梱機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボール材の種類は原紙とフルートの組み合わせで決まるが、原紙やフルートの種類もそれぞれ複数あるので、生産国や梱包物の内容によって異なってくる。
また、段ボール材の組立構造も種々あり、段ボール箱には天面開きのものやラップタイプのものがある。更に、封函は、フラップの合わせ目にテープを貼り付けたり、重ね面どうしを糊着したりしている。
加えて、中敷きを入れておく場合もある。
そのため、開梱対象としての段ボール箱の強度はまちまちになっている。
その上、段ボール箱を梱包箱として使用すると、段ボール箱にはある程度の柔軟性があるので、搬送中に変形したり潰れたりする場合がある。
【0003】
段ボール箱を開梱して梱包物を取り出す際には、通常は、カッターで、テープを切り裂いたり、段ボール材に直接切込みを入れ、そこから押し広げたりして段ボール箱を開梱しているが、上記のような事情により、カッターの切込み先である段ボール箱の強度や形状にバラツキが出てしまっている。
【0004】
切込みが浅すぎるとその効果を果たせず、一方、切込みが深くなり過ぎると、カッターの鋭利な刃部に梱包物や梱包物を包んだ内袋が当たって梱包物そのものが傷ついたり、また内袋が破れて梱包物が露出してしまうが、既存の開梱機では、上記の個別の事情は考慮せず、常にカッターに向いた部位を一定の力で切り込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に、梱包物がチーズの大きな塊のような工場用に搬入される食品の場合には通常は保護のために内袋に包まれて段ボール箱にきちきちに収容されている。そのため、その内袋が破れるリスクが比較的高くなっているが、その内袋が破れてしまうと、食品が汚染されて使い物にならなくなる。
しかしながら、特許文献1に記載のように、段ボール箱側に開梱機構を設けるとなると、段ボール箱側の製造コストが嵩むため、上記のような用途での利用は現実的ではない。
それ故、その種の工場では、カッターの使用を前提とした既存の開梱機で、内袋を傷付けるリスクを承知の上で開梱しているのが現状である。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、開梱用に持ち込まれてくる段ボール箱側の強度、変形や潰れ等の事情に違いがあっても、その違いを意識せずに、開梱処理部にセットするだけで、内袋や梱包物をカッターで傷付けることなく、自動的に取り出すことができる段ボール箱開梱機を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、左右方向でそれぞれ対面側に向かって複数の食い込み突起が並列突出し、段ボール箱を左右両側から挟んだ状態で圧力を加えて保持する保持機構と、前記保持機構で保持された段ボール箱に対して上側から突く押圧部材を有する押圧機構とを備え、段ボール箱が前記保持機構で保持された状態で、前記押圧機構の押圧部材で押圧されて、その底面側が破断したタイミングで、前記保持機構で加える圧力が開放されることで、段ボール箱側は前記食い込み突起に対して係止保持される中で、梱包物側は段ボール箱の底抜け側から落下して取り出されることを特徴とする段ボール箱開梱機である。
【0009】
好ましくは、複数の食い込み突起は、エキスパンドメタル材のボンド部の起伏部分で構成されている。
より好ましくは、エキスパンドメタル材は背当て板に当てられており、前記背当て板側にロードセルを介して電動シリンダが連結されている。
好ましくは、押圧機構の押圧部材の左右方向の位置は調整可能になっている。
より好ましくは、ハンドル操作により押圧部材の左右方向の位置は調整可能になっている。
好ましくは、係止保持と協働する、吸着パットによる補助保持機構を備える。
より好ましくは、吸着パッドは押圧部材に一体に備え付けられている。
上記の段ボール箱開梱機と、段ボール箱の底抜け側に封易破断部を形成する易破断形成機を段ボール箱が乗り継ぎ可能に設置されてなる段ボール箱開梱設備として構築することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の開梱機によれば、開梱用に持ち込まれてくる段ボール箱側の強度、変形や潰れ等の事情に違いがあっても、その違いを意識せずに、開梱処理部にセットするだけで、内袋や梱包物をカッターで傷付けることなく、自動的に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る段ボール箱開梱機の前面図である。
【
図4】
図1の前面図で段ボール箱を保持した状態を示す。
【
図5】
図1の保持機構と押圧機構の要部の立体イメージ図である。
【
図6】
図1の押圧機構の要部の立体イメージ図である。
【
図7】
図1の前面図に併用する易破断形成機を追加した状態を示す。
【
図8】
図7の易破断形成機を用いた易破断部の形成の仕方の説明図である。
【
図9】
図8の易破断部を形成した後における、
図1の段ボール箱開梱機を用いた開梱動作の進行イメージ図である。
【
図10】
図1の押圧板の別例の前面イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る段ボール箱開梱機1について、図面にしたがって説明する。
なお、以下で上下左右前後方向は、特に記載が無い場合には、
図1の前面図を基準とする。
図1~
図3に示すように、この段ボール箱開梱機1では、主に縦横のフレーム材で、上方視四角形の機体3が構成されている。機体3の左部は容器状の受け部5を介して上下二段に仕切られており、上側の空間が開梱処理部7になっている。機体3は左部が開梱処理部7の分だけ右部より高くなっている。
機体3の底側にはアジャスタボルト9とキャスター11が取付けられており、所定の位置まで移動して設置可能になっている。
以下、
図5、
図6のイメージ図も併用しながら、その構成を詳細に記載する。
【0013】
保持機構13の主体は、横長長方形のシート状に成形されたエキスパンドメタル材15が横長長方形の背当て板17に縦横を揃えて重ね合わされて二層板構造体になっている。エキスパンドメタル材15側の板面を正面から見て、その左右方向端側と下端側のボンド部15aが背当て板17に対して溶接固定されている。全てのボンド部15aが溶接固定されていないので、エキスパンドメタル材15の特に中心側は背当て板17に対して僅かではあるが弾性的に撓むことが可能になっている。エキスパンドメタル材15と背当て板17とで挟込み板19が構成されている。
【0014】
開梱処理部7では、左右方向で一対の挟込み板19、19がそれぞれのエキスパンドメタル材15を向かい合わせた状態で板面対向しており、挟込み板19は長辺縁が上下にきている。
なお、エキスパンドメタル材15の短辺の寸法が背当て板17の短辺の寸法よりも短くなっているので、挟込み板19の下部は背当て板17が対向側に全面的に露出している。
【0015】
右側の挟込み板19の背当て板17の上側が屈曲してフック状になっており、挟込み板19とほぼ同じサイズの合わせ板21の上縁側に掛止されている。この合わせ板21の背面側には軸受23が設けられており、この軸受23の穴面は前後方向を向いている。この軸受23に連結部25から突設した支持軸27が回動自在に挿通されている。この支持軸27はその軸方向両端部に施工した止め輪(Eリング)により抜け止めされている。
また、この連結部25の上側には前後方向に間隔をあけて同じ高さ位置で一対のフック部29、29が連結されている。
開梱処理部7の天井側では、機体3を左右方向に横断して一対のレール支えフレーム31、31が掛け渡され固定されており、それぞれにリニアレール33、33が敷設されている。この一対のレール支えフレーム31、31は前後方向に間隔をあけて同じ高さで固定されて、フック部29、29に各別に対応しており、このリニアレール33とフック部29に転動可能に取り付けられたローラ34でリニアガイド機構35が構築されている。
【0016】
連結部25の背面側には、ロボシリンダ37の伸縮シャフト37aがロードセル39を介して連結されている。
開梱処理部7の右端部に設けられた隔壁にこのロボシリンダ37の本体37bの先端側が支持され、更に、機体3の右部の右端部で立ち上がったシリンダ支え部41でも本体37bの基端部が支持されている。この二箇所での支持により、本体37bは軸方向が水平方向になった横倒し姿勢で保持されており、その先端部から伸縮する伸縮シャフト37aが左右方向で伸縮して、右側の挟込み板19を左右方向に移動させる。
【0017】
従って、ロボシリンダ37の駆動により、右側の挟込み板19が前後方向に設けられた一対のリニアガイド機構35、35にガイドされながら一定の軌道上を左右方向に移動する。また、挟込み板19が圧力を受けると、ロードセル39が検知する。図示しない制御部にはロボシリンダ37の駆動回路だけでなく、ロードセル39も電気接続されている。
【0018】
左側の挟込み板19の背当て板17の背面側にも同様に連結部25に対して連結されている。但し、こちら側の連結部25の背面側は開梱処理部7の左端側で固定されている。
従って、左右の挟込み板19、19は、それぞれのエキスパンドメタル材15、15が向き合った姿勢で、左側の挟込み板19に対して右側の挟込み板19が接離移動することで、その間隔が広狭変動することになる。
【0019】
押圧機構43では段ボール箱を押圧する押圧部材が四角形の押圧板45になっており、その上面にロボシリンダ47の伸縮シャフト47aがロードセル49を介して連結されている。
開梱処理部7の天井側では、レール支えフレーム31、31よりも上方位置にボールねじ機構51のねじシャフト53が軸周りに回転自在に架け渡されている。このねじシャフト53の軸方向はレール支えフレーム31と同様に、左右方向を向いている。ねじシャフト53にはナットブロック55が螺合しており、このナットブロック55に取付けプレート57の下面が固定されている。
ねじシャフト53の左端側は機体3より外方に突出しており、そこに手動式のハンドル59が取付けられており、このハンドル59を手で掴んで回すことにより、ねじシャフト53が軸周りに回転するようになっている。
【0020】
ねじシャフト53を挟んでその前後方向には、一対のガイドシャフト61、61が互いに平行に並列した状態で架け渡されており、この一対のガイドシャフト61、61の軸方向はねじシャフト53の軸方向と平行になっている。
取付けプレート57の下面には一対のスライドブッシュ63、63がナットブロック55を挟んで前後方向に取付けられており、スライドブッシュ63にガイドシャフト61が各別に挿通されている。
従って、ハンドル59を回すと、取付けプレート57がガイドシャフト61とスライドブッシュ63で構成されたガイドシャフト機構にガイドされながら一定の軌道上を左右方向に移動して、開梱処理部7内の左右方向の位置が調整可能になっている。
【0021】
取付けプレート57の上面に、上記したロボシリンダ47の本体47bが設置されている。本体47bの設置側と伸縮シャフト47aの伸縮側とは横方向にずれており、伸縮シャフト47aは取付けプレート57に設けられた貫通穴を通って、取付けプレート57の下側に出没自在になっている。
従って、ロボシリンダ47の駆動により、押圧板45の下面が下方を向いた姿勢で上下方向に移動する。また、押圧板45が圧力を受けると、ロードセル49が検知する。図示しない制御部にはロボシリンダ47の駆動回路だけでなく、ロードセル49も電気接続されている。
押圧板45の下降軌道は、一対の挟込み板19、19の間になっており、互いに交錯しない。
【0022】
段ボール箱開梱機1は上記したように構成されており、
図4に示すように、開梱したい段ボール箱Aは、一対の挟込み板19、19で左右外側から挟み込まれ、押圧板45で上側から押圧される。
一対の挟込み板19、19は、受け部5よりもかなり上方に位置しているので、そこまで段ボール箱Aを持ち上げるのに、ノブハンドル式のラボジャッキ65が利用可能になっている。
【0023】
開梱対象とする段ボール箱は、その種類に応じて、通常は破断し易い面部を底抜け面部に設定する。天面開きタイプで封函テープで封函されている場合にはミシン目を形成しておけば、そこが易破断部になるので段ボール箱の天地の向きで、その底面部をそのまま底抜け面部にする。天面開きタイプで糊付けで封函されていたり、X形等のトリミング線が形成されている場合も同様である。一方、ラップタイプの場合には糊付けされた側面部を底抜け面部にする。但し、梱包物が天地を変更するのが好ましくない場合もあり、その事情に応じて適宜対応すればよい。
底抜け面部が決まれば、四角箱である段ボール箱の保持姿勢が定まる。なお、その姿勢で一対の側面部が2組できるが、挟込み板19に当接する側の側面部は面積が大きい方を選択するのが好ましい。
【0024】
段ボール箱Aに貼付けられた封函テープBにミシン目を付ける場合には、
図7に示すように、易破断形成機67を設置する。この易破断形成機67にはローラコンベア69の隣り合うローラ71、71どうしの間にミシン目カッター73を配置する。このミシン目カッター73の基端側にはクッション用エアシリンダ75が連結されているので、そのクッション作用により、矢印に示すように上下方向に移動可能になって、ミシン目の切込みの深さが適度に調整されている。クッション用エアシリンダ75の基端側には幅方向位置決め用のロボシリンダに連結して直動する可動テーブル74が取付けられており、この可動テーブル74の矢印に示す方向の移動によりミシン目カッター73の位置が決定される。○内には、可動テーブル74を直交方向から見た状態が示されている。
図8に示すように、このローラコンベア69の駆動によりその上に載せられた段ボール箱Aが搬送されていく際には、段ボール箱Aの底抜け面部a3側の封函テープBが搬送方向に平行に且つミシン目カッター73を跨いで通過するように調整されている。従って、段ボール箱Aが搬送されることで、ミシン目カッター73を跨いで封函テープBが移動していき、それに伴い、封函テープBにミシン目が順次入って直線状に連なっていく。なお、
図8では、フラップの丁度合わせ部分の境界で封函テープBにミシン目を付けているように示されているが、厳密にその境界に付ける必要はない。ミシン目カッター73は段ボール箱Aの破断を前提としてはいないので、内袋を含めて梱包物を傷付ける恐れがない。
【0025】
易破断形成機67は段ボール箱開梱機1と隣接させてローラコンベア69の搬送面の高さ位置が調整されているので、ミシン目の形成後は、そのまま隣接した段ボール箱開梱機1の開梱処理部7に乗り継いで運び込まれていく。従って、連続した効率の良い開梱作業が可能になっている。
【0026】
次に、上記の封函テープBで封函された段ボール箱Aを開梱対象として、段ボール箱開梱機1を用いた開梱動作について、
図9にしたがって説明する。
なお、この段ボール箱Aの梱包物は、この例では、角形に成形されたチーズの塊を内袋Cで包んだものになっており、圧力に対して保形性がある。
開梱処理部7では、
図9(1)に示すように、段ボール箱Aをラボジャッキ65で一対の挟込み板19、19の間の高さ位置まで持ち上げた後に、
図9(2)に示すように、右側の挟込み板19を左方に移動させて、一対の挟込み板19、19で挟込む。その際には挟込み板19と段ボール箱Aの側面部a1の前後及び上下方向の中心部が合致するように挟込む。
【0027】
挟込み板19は二層構造になっており、段ボール箱Aの側面部a1の外面に対しては、圧力を加えられるとチーズが都合の良いスペーサになって強力に摩擦保持されると共に、エキスパンドメタル材15の並列突出したボンド部15aの起伏部分が弾力性のある段ボール材に食い込んだことにより係止保持される。一方、内袋Cに対しては、上記の圧力を加えられたことにより結果的に側面部a1の内面に対して摩擦当接状態になっている。
ロードセル39による検知に基づいてロボシリンダ37は制御されて、上記の保持状態が担保されれば、それ以上の過剰な圧力が掛からないようになっている。
【0028】
この状態で、押圧機構43の押圧板45の左右方向の位置を、ハンドル59を回して調整して、段ボール箱Aの天面部a2の丁度中心にくるように調整する。なお、この調整は上記の挟込みの前でも可能である。
その後、
図9(3)に示すように、押圧板45を下降させて天面部a2に当接させ、
図9(4)に示すように、更にそのまま下降させて押圧する。押圧板45は天面部a2よりもサイズが小さくなっており、押圧板45が押し棒となって天面部a2の中心部を押し潰していく。
これにより、天面部a2と共に上側では内袋Cが凹んでいき、その分だけ下側では膨らんでいく。
この膨らみに押されて、段ボール箱Aの底抜け面部a3側の封函テープBのミシン目が破断してフラップa3(R)、フラップa3(L)が開き始める。
【0029】
この破断が起こると、ロードセル49が圧力低下を検知するので、
図9(5)に示すように、そのタイミングで右側の挟込み板19が右方に僅かに後退移動して、一対の挟込み板19、19の挟込み圧力を開放する。
この圧力開放により強力な摩擦保持が解除され、段ボール箱Aの側面部a1に対してはエキスパンドメタル材15のボンド部15aが弾力性のある段ボール材に食い込んだことにより係止保持されるが、内袋Cに対しては殆どフリーの状態になる。
内袋Cと側面部a1との間に隙間ができるか、または当接しているだけで摩擦力が殆ど消失した場合には、押圧板45をそのままの位置で待機させていても、図に示すように、内袋C側が自重により落下していく。
【0030】
なお、内袋Cが大きくて段ボール箱Aにきちきちに収容されていた場合には、内袋C側は側面部a1の内面に対して未だ摩擦保持されているので、
図9(5)の右図に示すように、更に、押圧板45を下降させて内袋C側と側面部a1の内面との摩擦当接面を強制的に減らして自重落下にもってくることができる。
挟込み板19に対して合わせ板21は回動して下部が左右方向外方に後退することが可能になっているので、フラップa3(R)、フラップa3(L)は大きく開くことができ、上記のような自重落下はスムーズに実現される。
【0031】
従って、最終的にはいずれにしても内袋Cを自重で落下させることができる。内袋Cにはチーズが包まれており、その自重落下による変形があってもその価値が棄損されるものではないが、その後の取り扱いの便宜を考慮して、自重落下による衝撃緩衝のため、ラボジャッキ65を所定の高さで待機させておいてもよい。
段ボール箱Aは依然として上方で保持されているので、内袋Cが段ボール箱Aから取り出された状態になる。
すなわち、この段ボール箱開梱機1によれば、開梱用に持ち込まれてくる段ボール箱側の強度、変形や潰れ等の事情に違いがあっても、その違いを意識せずに、開梱処理部7にセットするだけで、内袋や梱包物をカッターで傷付けることなく、自動的に取り出すことができる。
【0032】
図10は、押圧板45の別例を示す。この押圧板77には、4つの貫通穴79、79、……がロボシリンダ47側のロードセル49を挟んで対向する位置に形成されており、各貫通穴79に、真空パッド(吸着パッド)81が吸着口を下方に向けた姿勢で配置されている。この真空パッド81による吸着中/吸着解除のタイミングは図示しない制御部により制御される。
エキスパンドメタル材15のボンド部15aが弾力性のある段ボール材に食い込んだことにより係止保持されるが、内袋C側との摩擦保持状態の解除を優先すれば係止保持も弱くなる。
しかしながら、押圧板77では、真空パッド81により段ボール箱Aの天面部a2を吸着させている。この吸着保持による補助保持機構を併用することで、係止保持側に係る負担が軽くなり、内袋Cのよりスムーズな自重落下が実現される。
【0033】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、保持機構の複数の食い込み突起や押圧機構の押圧部材の形状やサイズはそれぞれに期待されている機能を全うできれば、特に限定されない。
【符号の説明】
【0034】
1…段ボール箱開梱機 3…機体 5…受け部
7…開梱処理部 9…アジャスタボルト 11…キャスター
13…保持機構 15…エキスパンドメタル材 15a…ボンド部
17…背当て板 19…挟込み板 21…合わせ板
23…軸受 25…連結部 27…支持軸
29…フック部 31…レール支えフレーム 33…リニアレール
34…ローラ 35…リニアガイド機構 37…ロボシリンダ
37a…伸縮シャフト 37b…本体 39…ロードセル
41…シリンダ支え部 43…押圧機構 45…押圧板
47…ロボシリンダ 47a…伸縮シャフト 47b…本体
49…ロードセル 51…ボールねじ機構 53…ねじシャフト
55…ナットブロック 57…取付けプレート 59…ハンドル
61…ガイドシャフト 63…スライドブッシュ 65…ラボジャッキ
67…易破断形成機 69…ローラコンベア 71…ローラ
73…ミシン目カッター 74…可動テーブル
75…クッション用エアシリンダ 77…押圧板
79…貫通穴 81…真空パッド(吸着パッド) A…段ボール箱
a1…側面部 a2…天面部 a3…底抜け面部
a3(R)…フラップ a3(L)…フラップ B…封函テープ
C…内袋