(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157386
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
G03G15/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071722
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨依 稔
(72)【発明者】
【氏名】塚本 公秀
(72)【発明者】
【氏名】浅野 陽右
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA14
2H033BA08
2H033BA11
2H033BA12
2H033BB01
2H033BB28
2H033BB33
(57)【要約】
【課題】用紙がペーパーガイドの搬送経路における幅方向の中間部のみを覆うように通過する形態の印刷を行った後で前記用紙が前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向全域を覆うように通過する形態の印刷を行う状況において、前記搬送経路における幅方向のサイズが異なる複数のペーパーガイドを用いることなく、前記後の印刷の定着過程で前記用紙へのトナーの転移を抑制または防止する。
【解決手段】画像形成装置1の定着装置30の導入部には、ペーパーガイド33が配置されている。ペーパーガイド33は、前記用紙を前記導入部に導く搬送経路の幅方向に亘って配置されており、ペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の一端部および他端部は、前記用紙に接触しないように後退される段下がり面35とされている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像が転写された記録媒体が導入される導入部と、前記導入された記録媒体を加熱および加圧して前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着部材と、を備えた定着装置であって、
前記導入部には、前記記録媒体を前記定着部材に案内するペーパーガイドが配置されており、
前記ペーパーガイドは、前記記録媒体を前記導入部に導く搬送経路の幅方向に亘って配置されており、
前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向の一端部および他端部は、前記記録媒体に接触しないように後退される段下がり面とされていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置において、
前記段下がり面には、前記記録媒体に接触して当該記録媒体を前記段下がり面から離間させる突起部が設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置において、
前記突起部は、前記ペーパーガイドにおいて前記記録媒体の搬送方向の上流側から下流側に延びるようなリブ状体とされ、かつ前記搬送方向の中間位置から前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向の一端側および他端側へ向けて前記記録媒体との接触位置を変化するように斜め姿勢とされていることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3に記載の定着装置において、
前記突起部は、前記段下がり面それぞれに複数平行に隣り合うように設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項2に記載の定着装置において、
前記突起部は、前記段下がり面からの突出量が前記搬送方向の上流側で低く、下流側で高くなるように形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項2から5までのいずれか1項に記載の定着装置において、
前記ペーパーガイドは、導電性部材で形成されており、前記突起部は、前記ペーパーガイドとは別体でかつ当該ペーパーガイドとは異なる導電性部材で形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の定着装置を備える画像形成装置。
【請求項8】
請求項6に記載の定着装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置では、画像転写部によりトナー像を用紙に転写させた後、定着装置により加熱、加圧して定着させることにより前記用紙に画像を形成する。
【0003】
このような画像形成装置において、例えばA4R用紙のフルブリード(縁無)印刷を行う場合、用紙が定着装置の導入部に設置される帯板状のペーパーガイドの搬送経路における幅方向の中間部のみを覆って前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向の一端部および他端部を露呈するように通過する形態になるため、画像転写部によりトナー像が転写された用紙が前記定着装置の導入部に導入される過程で、前記用紙端部付近に転写されているトナーが飛散し、当該トナーが前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向の一端部および他端部に付着して堆積することがある。
【0004】
これにより、前記印刷の後で例えばA3用紙やA4用紙の普通印刷を行う場合、当該用紙が前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向の全域を覆うように通過する形態になるため、当該用紙に前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向の一端部および他端部に堆積したトナーが転移して、当該用紙を汚すことがある。
【0005】
前記のような印刷を行う状況において、前記後の印刷で用いる用紙へのトナーの転移を抑制または防止する例として、例えば「画像形成装置において、問題とならない枚数の範囲内で、次に通紙する用紙の裏面に、転写されなかったトナーを積極的に付着させて、搬送ガイド部材上にトナーを堆積させないようにする」(特許文献1)ことが知られている。
【0006】
また、別の例として、「画像形成装置において、縁なし記録を実現するために記録シートより大きな画像形成領域を設けたために、記録シートの縁に付着した剰余トナーを清掃部材で清掃し、縁汚れを抑制する」(特許文献2)ことが知られている。
【0007】
さらに、別の例として、「画像形成装置において、記録用紙の両端部に付着したトナーの除去の必要度を考慮して、当該トナーを適切に除去する」(特許文献3)ことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-096636号公報
【特許文献2】特開2009-48086号(特許第4979512号)公報
【特許文献3】特開2014-206584号(特許第6136495号)公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示人は、前記のような印刷を行う状況において、前記後の印刷で用いる用紙へのトナーの転移を抑制または防止するために、前記搬送経路における幅方向のサイズが異なる複数のペーパーガイドを予め用意し、印刷の形態毎に適したサイズのペーパーガイドに付け替えることを考えた。
【0010】
しかしながら、その場合、複数のサイズ違いのペーパーガイドを用意する必要がある他、前記ペーパーガイドを付け替えるための手間がかかるなど、改善の余地がある。
【0011】
このような事情に鑑み、本開示は、用紙などの記録媒体がペーパーガイドの搬送経路における幅方向の中間部のみを覆うように通過する形態の印刷を行った後で前記用紙が前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向全域を覆うように通過する形態の印刷を行う状況において、前記搬送経路における幅方向のサイズが異なる複数のペーパーガイドを用いることなく、前記後の印刷の定着過程で前記用紙へのトナーの転移を抑制または防止する定着装置および画像形成装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、表面にトナー像が転写された記録媒体が導入される導入部と、前記導入された記録媒体を加熱および加圧して前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着部材と、を備えた定着装置であって、前記導入部には、前記記録媒体を前記定着部材に案内するペーパーガイドが配置されており、前記ペーパーガイドは、前記記録媒体を前記導入部に導く搬送経路の幅方向に亘って配置されており、前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向の一端部および他端部は、前記記録媒体に接触しないように後退される段下がり面とされていることを特徴としている。
【0013】
ところで、前記段下がり面には、前記記録媒体に接触して当該記録媒体を前記段下がり面から離間させる突起部が設けられていることが好ましい。
【0014】
また、前記突起部は、前記ペーパーガイドにおいて前記記録媒体の搬送方向の上流側から下流側に延びるようなリブ状体とされ、かつ前記搬送方向の中間位置から前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向の一端側および他端側へ向けて前記記録媒体との接触位置を変化するように斜め姿勢とされていることが好ましい。
【0015】
また、前記突起部は、前記段下がり面それぞれに複数平行に隣り合うように設けられていることが好ましい。
【0016】
また、前記突起部は、前記段下がり面からの突出量が前記搬送方向の上流側で低く、下流側で高くなるように形成されていることが好ましい。
【0017】
また、前記ペーパーガイドは、導電性部材で形成されており、前記突起部は、前記ペーパーガイドとは別体でかつ当該ペーパーガイドとは異なる導電性部材で形成されていることが好ましい。
【0018】
さらに、上述した各解決手段に係る定着装置を備える画像形成装置も本開示の技術思想の範疇である。
【発明の効果】
【0019】
本開示に係る定着装置および画像形成装置によれば、用紙がペーパーガイドの搬送経路における幅方向の中間部のみを覆うように通過する形態の印刷を行った後で前記用紙が前記ペーパーガイドの搬送経路における幅方向全域を覆うように通過する形態の印刷を行う状況において、前記搬送経路における幅方向のサイズが異なる複数のペーパーガイドを用いることなく、前記後の印刷の定着過程で前記用紙へのトナーの転移を抑制または防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施形態1に係る画像形成装置の概略説明図である。
【
図7】
図5のペーパーガイドを右側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施の形態に係る定着装置および画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
(画像形成装置の全体構成)
図1は、本開示の実施形態1に係る画像形成装置1の概略説明図である。
【0022】
画像形成装置1は、スキャナ機能、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を有する複合機であって、光走査装置11、給紙装置17、画像読取装置18、画像転写部20、中間転写ベルト21、定着装置30、用紙搬送路41、排紙トレイ装置50等を備えている。
【0023】
この画像形成装置1は、画像読取装置18によって読み取られた原稿の画像を外部に送信し、また、読み取られた原稿の画像または外部から受信した画像をカラーもしくは単色で記録媒体としての用紙に画像形成する。
【0024】
画像形成装置1では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。
【0025】
画像読取装置18は、原稿載置台19の原稿または原稿搬送部(ADF)192から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。読み取った原稿は原稿排出トレイ193に排出される。
【0026】
画像転写部20には、4種類のトナー像を形成するための現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電器15が4つずつ設けられていて、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応するよう、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0027】
光走査装置11は、感光体ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置12は、感光体ドラム13の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13の表面にトナー像を形成する。各感光体ドラム13は、その表面に各色のトナー像が形成される。ドラムクリーニング装置14は、感光体ドラム13の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電器15は、感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させる。
【0028】
感光体ドラム13の上側には、中間転写ベルト21を介して中間転写ローラ16が配置されている。中間転写ベルト21は、トナー像が形成される像担持体であり、転写駆動ローラ22および転写従動ローラ23に張架されて矢符Eの方向へ回転(周回移動)する。各感光体ドラム13の表面に形成された各色のトナー像が転写(1次転写)されて重ね合わされることで、中間転写ベルト21の表面にはカラーのトナー像が形成される。
【0029】
2次転写部25の転写ローラ26は、中間転写ベルト21との間にニップ域(2次転写位置)を形成しており、用紙搬送路41を通じて搬送された用紙をニップ域に挟み込んで搬送する。用紙は、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト21の表面のトナー像が転写されて定着装置30に搬送される。中間転写ベルト21上に残ったトナー等はベルトクリーニング装置24によって回収される。
【0030】
給紙装置17は、画像形成に使用する用紙を収容しており、光走査装置11の下側に設けられている。用紙は、ピックアップローラ43によって給紙装置17から引き出されて、用紙搬送路41を通じて搬送され、2次転写部25や定着装置30を経由して、排紙ローラ46を介して排紙トレイ装置50の排紙トレイ51へと搬送される。用紙搬送路41には、用紙を一旦停止させて、用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ26との間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて用紙の搬送を開始するレジストローラ45、用紙の搬送を促す複数の搬送ローラ44、および排紙ローラ46等の種々のローラ対が配置されている。
【0031】
定着装置30は、定着ローラ31と、加圧ローラ32と、ペーパーガイド33と、を少なくとも備え、定着ローラ31および加圧ローラ32の間にトナー像が転写された用紙を挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を用紙に定着させるものである。
【0032】
ピックアップローラ43は、給紙装置17の端部近傍に備えられ、収容された用紙を1枚ずつ用紙搬送路41に供給する呼び込みローラである。レジストローラ45は、給紙装置17から搬送されている用紙を一旦保持し、感光体ドラム13上のトナー像の先端と用紙の先端とを合わせるタイミングで用紙を転写ローラ26に搬送する。
【0033】
用紙の表面だけでなく裏面にも画像形成を行う場合は、用紙を排紙ローラ46から用紙反転搬送路42へと逆方向に搬送して、用紙の表裏を反転させ、用紙をレジストローラ45へと再度導き、表面と同様にして裏面に画像形成を行い、用紙を排紙トレイ装置50の排紙トレイ51へと搬送する。排紙ローラ46は、用紙を副走査方向である排出方向(矢符A1方向)に排出するよう駆動されている。
【0034】
排紙トレイ装置50は、用紙搬送路41を経て排紙ローラ46により排出される用紙を受ける排紙トレイ51を備えている。
【0035】
排紙トレイ51は、用紙の排出方向に長く設けられている。この排紙トレイ51の上面であるトレイ上面は、用紙の排出方向の下流側に略水平面となる領域を含む。略水平面であるトレイ上面の上流側には、傾斜面となる領域が連続的に繋がって設けられている。これにより、排紙ローラ46の下方に空間が設けられ、排紙トレイ51上に複数の用紙を積載可能とされている。
【0036】
(実施形態1)
図2は定着装置30の斜視図、
図3はペーパーガイド33の斜視図、
図4はペーパーガイド33の背面の斜視図、
図5はペーパーガイド33の正面図、
図6はペーパーガイド33の背面図、
図7は
図5のペーパーガイド33を右側から見た側面図、
図8はペーパーガイド33の平面図である。
【0037】
定着装置30の定着ローラ31および加圧ローラ32は、表面にトナー像が転写された用紙(記録媒体)を挟み込んで加熱および加圧して回転する定着部材を構成している。
【0038】
定着装置30のペーパーガイド33は、2次転写部25を通過した用紙を定着装置30に導入するための導入部に配置されており、2次転写部25を通過した用紙を定着ローラ31と加圧ローラ32との間のニップ域へ向けて案内する。
【0039】
ペーパーガイド33は、
図5に示すように、正面視でほぼ帯板状に形成されており、前記用紙を前記導入部に導く搬送経路の幅方向に亘って配置されている。このペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の全長寸法は、この実施形態1において例えばA4の用紙の長辺やA3の用紙の短辺と同じ、あるいは若干小さく設定されている。
【0040】
ペーパーガイド33は、ブラケット34を介して定着装置30のフレーム(図示省略)に取り付けられる。
【0041】
ブラケット34は、
図4および
図8に示すように、ペーパーガイド33の裏面に取り付けられている。
【0042】
このブラケット34の搬送経路における幅方向の中間と一端部と他端部とには、取付片(符号省略)が設けられている。この取付片には、ブラケット34を定着装置30の前記フレームに取り付けるためのボルト(図示省略)が挿通される孔(符号省略)が設けられている。
【0043】
ペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の一端部および他端部には、段下がり面35が設けられている。
【0044】
段下がり面35は、ペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の中間部よりも後退されている。ここで、後退とは、用紙の搬送経路から遠ざかる側、言い換えれば搬送されてくる用紙から離間させて非接触になる側に向かうということを意味している。これにより、定着装置30の導入部に導入されてくる用紙は、ペーパーガイド33の中間部に摺接するようになるものの、段下がり面35には接触しないようになる。
【0045】
段下がり面35には、突起部36が設けられている。突起部36は、段下がり面35からペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の中間部へ向けて突出するように設けられていて、用紙を段下がり面35から離間させるとともに、用紙に接触して当該用紙を定着ローラ31と加圧ローラ32との間のニップ域へ向けて案内する。
【0046】
突起部36は、ペーパーガイド33において用紙の搬送方向の上流側から下流側に延びるようなリブ状体とされている。この実施形態1の突起部36は、ペーパーガイド33とは別体に形成されている。
【0047】
突起部36は、
図5に示すように、前記搬送方向の中間位置からペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の一端側および他端側へ向けて接触位置を変化するような斜め姿勢で段下がり面35に取り付けられている。
【0048】
言い換えれば、
図5の左側に位置している突起部36は、前記搬送方向の上流側(例えば
図5の下側)から下流側(例えば
図5の上側)へ向けて外側(左側)に傾くような姿勢になっている。一方、
図5の右側に位置している突起部36は、前記搬送方向の上流側(例えば
図5の下側)から下流側(例えば
図5の上側)へ向けて外側(右側)に傾くような姿勢になっている。
【0049】
突起部36は、段下がり面35それぞれに複数(例えば2個)ずつ設けられている。段下がり面35それぞれで複数の突起部36は平行に隣り合うように設けられている。
【0050】
突起部36は、
図7に示すように、段下がり面35からの突出量が前記搬送方向の上流側(例えば
図7の下側)で低く、下流側(例えば
図7の上側)で高くなるように形成されている。
【0051】
このような突起部36における最大突出部分は、
図7に示すように、ペーパーガイド33の側方から見たときに、ペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の中間部の前面と面一になるように設定されている。
【0052】
ペーパーガイド33および突起部36は、共に導電性部材で形成されているが、突起部36は、ペーパーガイド33とは異なる導電性部材とされている。
【0053】
具体的に、ペーパーガイド33は、例えば鉄系金属(ステンレス鋼など)で形成されている。突起部36は、例えば導電性PPS(ポリフェニレンサルファイド)で形成されている。
【0054】
次に、2次転写部25を通過した用紙が定着装置30に導入される際の動作や様子について説明する。
【0055】
画像形成装置1では、画像転写部20によりトナー像を用紙に転写させた後、定着装置30により加熱、加圧して定着させることにより前記用紙に画像を形成する。
【0056】
このような画像形成装置1において、例えばA4R用紙のフルブリード(縁無)印刷を行う場合、当該用紙が定着装置30の導入部に設置される帯板状のペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の中間部のみを覆ってペーパーガイド33の搬送経路における幅方向両端の段下がり面35を露呈するように通過する形態になるため、画像転写部20によりトナー像が転写された用紙が定着装置30の導入部に導入される過程で、前記用紙端部付近に転写されているトナーが飛散し、当該トナーがペーパーガイド33の段下がり面35に付着して堆積することがある。
【0057】
この印刷の後で例えばA3用紙やA4用紙の普通印刷を行う場合、当該用紙がペーパーガイド33の搬送経路における幅方向全域を覆うように通過する形態になるものの、ペーパーガイド33の搬送経路における幅方向両端の段下がり面35それぞれの突起部36に摺接しながら定着ローラ31と加圧ローラ32との間のニップ域に導かれるようになるために、用紙が段下がり面35に接触しなくなる。
【0058】
そのため、前記先の印刷に伴い段下がり面35に堆積しうるトナーが前記用紙に転移することが無くなるので、当該用紙が汚れずに済むようになる。
【0059】
これにより、従来例で説明したように、印刷の形態毎に印刷の対象となる用紙のサイズに適したペーパーガイド33に付け替える場合に比べて、複数のサイズ違いのペーパーガイド33を用意する必要がなくなるので、部品点数ならびに設備コストの低減が可能になる他、ペーパーガイド33の付け替え作業を無くすことが可能になる。
【0060】
特に、この実施形態1のように突起部36をリブ状体にして斜め姿勢に配置している場合、用紙がペーパーガイド33の両端の段下がり面35の突起部36に摺接しながら定着ローラ31と加圧ローラ32との間のニップ域に導かれる過程において、前記用紙の端部に発生し得る湾曲を是正する効果があり、前記用紙の直進性が向上する。
【0061】
また、この実施形態1のように段下がり面35それぞれで複数の突起部36を平行に隣り合うように設けている場合、用紙がペーパーガイド33の段下がり面35それぞれの突起部36に摺接しながら定着ローラ31と加圧ローラ32との間に導かれる過程において、段下がり面35それぞれの突起部36を1つとする場合に比べて前記用紙が段下がり面35に接触しにくくなる。
【0062】
また、この実施形態1のように突起部36において段下がり面35からの突出量が用紙の搬送方向の上流側で低く、下流側で高くなるように設定している場合、定着装置30の導入部に導入された用紙が搬送方向の下端側に通過しやすくなる。
【0063】
さらに、この実施形態1のように突起部36を導電性PPSで形成している場合、突起部36を非導電性の部材で形成する場合に比べて、用紙の通過などにより発生する静電気の影響がなく、突起部36が用紙に転写されている定着前のトナー像を筋状に損ねることを防止する効果が高くなる。
【0064】
以上説明したように、本開示の実施形態1に係る定着装置30によれば、例えばA4Rのフルブリード(縁無)印刷(用紙がペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の中間部のみを覆うように通過する形態の印刷)を行った後で例えばA3、A4の普通印刷(用紙がペーパーガイド33の搬送経路における幅方向全域を覆うように通過する形態の印刷)を行う状況において、前記搬送経路における幅方向のサイズが異なる複数のペーパーガイド33を用いることなく、前記後の印刷の定着過程で用紙へのトナーの転移を抑制または防止することが可能になる。
【0065】
なお、本開示は、上記実施形態1のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
【0066】
(実施形態2)
図示していないが、上記実施形態1の突起部36をペーパーガイド33に一体に形成することが可能である。この場合も上記実施形態1と同様の作用、効果が得られる。
【0067】
(実施形態3)
上記実施形態1の段下がり面35それぞれの突起部36の数は特に限定されるものではない。図示していないが、例えば突起部36を段下がり面35それぞれに1個、あるいは3個以上設けることが可能である。この場合も上記実施形態1と同様の作用、効果が得られる。
【0068】
(実施形態4)
図示していないが、上記実施形態1の突起部36をペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の中間部にも設けることが可能である。
【0069】
この構成では、段下がり面35それぞれの突起部36における最大突出部分を、ペーパーガイド33の側方から見たときに、前記中間部の突起部における最大突出部分と面一になるように設定することが好ましい。このように設定するには、段下がり面35からの突起部36の全長の突出高さを前記中間部からの突起部全域の突出高さよりも大きくすることが考えられる。この場合も上記実施形態1と同様の作用、効果が得られる。
【0070】
(実施形態5)
図示していないが、上記実施形態1の突起部36を無くした構成とすることが可能である。
【0071】
この構成では、例えばA4Rのフルブリード(縁無)印刷(用紙がペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の中間部のみを覆うように通過する形態の印刷)を行った後で例えばA3、A4の普通印刷(用紙がペーパーガイド33の搬送経路における幅方向全域を覆うように通過する形態の印刷)を行った場合、前記先の印刷に伴いペーパーガイド33の搬送経路における幅方向両端の段下がり面35にトナーが堆積したとしても、当該普通印刷での用紙がペーパーガイド33の搬送経路における幅方向全域を覆うように通過する形態になるものの、当該用紙がペーパーガイド33の搬送経路における幅方向の中間部に摺接しながら定着ローラ31と加圧ローラ32との間に導かれるようになって、ペーパーガイド33の搬送経路における幅方向両端の段下がり面35に接触しなくなる。これにより、前記先の印刷を行うことに伴い段下がり面35に堆積しうるトナーが前記用紙に転移することが無くなるので、当該用紙が汚れずに済むようになる。
【0072】
(実施形態6)
図示していないが、上記実施形態1の突起部36を例えば非導電性のPFA(パーフルオロアルコキシアルカンポリマー)などで形成することも可能である。
【0073】
この構成では、上記実施形態1のように突起部36をPPSで形成する場合に比べて、突起部36が用紙に転写されている定着前のトナー像を筋状に損ねることを防止する効果が低くなるものの、前記後の印刷の定着過程で用紙へのトナーの転移を抑制することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示は、定着装置および画像形成装置に好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
20 画像転写部
25 2次転写部
30 定着装置
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 ペーパーガイド
35 段下がり面
36 突起部