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特開2024-157393洗浄液供給装置、液体吐出装置、洗浄液供給装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157393
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】洗浄液供給装置、液体吐出装置、洗浄液供給装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241030BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/01 451
B41J2/165 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071735
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】神山 信明
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB24
2C056EB34
2C056EC23
2C056EC40
2C056FA13
2C056FA14
2C056JB04
2C056JB15
(57)【要約】
【課題】第2貯留部内の液体を適切に排出できる洗浄液供給装置、液体吐出装置、洗浄液供給装置の制御方法を提供する。
【解決手段】第1貯留部63と、蓄圧式の第2貯留部64と、供給流路65と、ポンプ66と、帰還流路67と、流路バルブ68と、大気開放バルブ69と、制御部59と、複数の洗浄液吐出部55と、圧力検出部70と、判定部61と、を備え、第2貯留部64に対し第1貯留部63は、重力方向Zにおいて低い位置に設けられ、制御部59は、判定部61が空気量の異常と判定した場合、第2貯留部64に貯留された洗浄液を、帰還流路67から供給流路65を経由して循環させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を貯留する第1貯留部と、
洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、
前記供給流路に設けられたポンプと、
前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、
前記帰還流路に設けられた流路バルブと、
前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、
前記ポンプ、前記流路バルブ、及び前記大気開放バルブを制御し、前記第2貯留部への蓄圧および蓄圧開放を制御する制御部と、
前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、
前記第2貯留部の内部の圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定する判定部と、
を備え、
前記第2貯留部に対し前記第1貯留部は、重力方向において低い位置に設けられ、
前記制御部は、前記判定部が前記空気量の異常と判定した場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させることを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記蓄圧の際に、前記圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、前記空気量の異常として判定することを特徴とする請求項1に記載の洗浄液供給装置。
【請求項3】
前記供給流路において、前記ポンプと前記第1貯留部との間に設けられたフィルターを有し、
前記帰還流路は、前記フィルターと前記第1貯留部との間の前記供給流路に接続されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄液供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記流路バルブを開放させた後に前記ポンプを駆動させることで、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させることを特徴とする請求項1に記載の洗浄液供給装置。
【請求項5】
洗浄液を貯留する第1貯留部と、
洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、
前記供給流路に設けられたポンプと、
前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、
前記帰還流路に設けられた流路バルブと、
前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、
前記ポンプ、前記流路バルブ、及び前記大気開放バルブを制御し、前記第2貯留部への蓄圧および蓄圧開放を制御する制御部と、
前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、
前記第2貯留部の内部の圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定する判定部と、
前記第2貯留部に貯留された洗浄液の液面の高さを検出する液位検出部と、
を備え、
前記第2貯留部に対し前記第1貯留部は、重力方向において低い位置に設けられ、
前記制御部は、前記液位検出部が検出した液面の高さが液位閾値より高いと判定される場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させることを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のうち何れか一項に記載の洗浄液供給装置と、
それぞれが機能液を吐出すると共に、前記複数の洗浄液吐出部に対応して設けられた複数の液滴吐出ヘッドと、
前記各液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭する複数のワイピング装置と、
を備え、
前記各洗浄液吐出部は、前記各液滴吐出ヘッドに洗浄液を吹き付けることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
洗浄液を貯留する第1貯留部と、
洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、
前記供給流路に設けられたポンプと、
前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、
前記帰還流路に設けられた流路バルブと、
前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、
前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、
を備え、
前記第2貯留部に対し前記第1貯留部が重力方向において低い位置に設けられた洗浄液供給装置の制御方法であって、
前記第2貯留部の内部の圧力を検出することと、
前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定することと、
前記空気量の異常が判定された場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させることと、
を含むことを特徴とする洗浄液供給装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液供給装置、洗浄液供給装置を備える液体吐出装置、洗浄液供給装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、複数の液滴吐出ヘッドから機能液の一例であるUVインクを吐出して印刷する液体吐出装置の一例である液滴吐出装置がある。液滴吐出装置は、洗浄液供給装置を有する。洗浄液供給装置は、複数の洗浄液吐出部から洗浄液を吐出することで、複数の液滴吐出ヘッドに洗浄液を付着させる。
【0003】
洗浄液供給装置は、第1貯留部と、第2貯留部と、ポンプの一例である洗浄液ポンプと、帰還流路の一例であるリターン流路と、流路バルブの一例であるリターン開閉バルブと、を備える。洗浄液供給装置は、洗浄液ポンプを駆動して第1貯留部から第2貯留部に洗浄液を補給することで、第2貯留部内を加圧する。
【0004】
リターン開閉バルブは、リターン流路に設けられる。リターン開閉バルブを開放すると、第2貯留部内の洗浄液は、第2貯留部に蓄えられた圧力とサイフォンの原理により、第2貯留部から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-170700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第2貯留部内の空気量は、例えばリークなどによって減少することがある。第2貯留部内の空気量が減少すると、帰還流路に十分な送液を行うことができなくなる虞がある。帰還流路に空気が残ると、サイフォンの原理による送液が困難になる。そのため、第2貯留部内の洗浄液を正常に排出できない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する洗浄液供給装置は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、前記供給流路に設けられたポンプと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、前記帰還流路に設けられた流路バルブと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記ポンプ、前記流路バルブ、及び前記大気開放バルブを制御し、前記第2貯留部への蓄圧および蓄圧開放を制御する制御部と、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、前記第2貯留部の内部の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定する判定部と、を備え、前記第2貯留部に対し前記第1貯留部は、重力方向において低い位置に設けられ、前記制御部は、前記判定部が前記空気量の異常と判定した場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させる。
【0008】
上記課題を解決する洗浄液供給装置は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、前記供給流路に設けられたポンプと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、前記帰還流路に設けられた流路バルブと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記ポンプ、前記流路バルブ、及び前記大気開放バルブを制御し、前記第2貯留部への蓄圧および蓄圧開放を制御する制御部と、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、前記第2貯留部の内部の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定する判定部と、前記第2貯留部に貯留された洗浄液の液面の高さを検出する液位検出部と、を備え、前記第2貯留部に対し前記第1貯留部は、重力方向において低い位置に設けられ、前記制御部は、前記液位検出部が検出した液面の高さが液位閾値より高いと判定される場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させる。
【0009】
上記課題を解決する液体吐出装置は、上記構成の洗浄液供給装置と、それぞれが機能液を吐出すると共に、前記複数の洗浄液吐出部に対応して設けられた複数の液滴吐出ヘッドと、前記各液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭する複数のワイピング装置と、を備え、前記各洗浄液吐出部は、前記各液滴吐出ヘッドに洗浄液を吹き付ける。
【0010】
上記課題を解決する洗浄液供給装置の制御方法は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、前記供給流路に設けられたポンプと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、前記帰還流路に設けられた流路バルブと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、を備え、前記第2貯留部に対し前記第1貯留部が重力方向において低い位置に設けられた洗浄液供給装置の制御方法であって、前記第2貯留部の内部の圧力を検出することと、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定することと、前記空気量の異常が判定された場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、液体吐出装置の第1実施形態の模式図である。
図2図2は、ワイピング装置の模式図である。
図3図3は、洗浄液供給装置の模式図である。
図4図4は、洗浄液供給装置の第2実施形態の模式図である。
図5図5は、洗浄液供給装置の第3実施形態の模式図である。
図6図6は、洗浄液供給装置の第4実施形態の模式図である。
図7図7は、洗浄液供給装置の第5実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、洗浄液供給装置、液体吐出装置、及び洗浄液供給装置の制御方法の第1実施形態を、図面を参照して説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛、ビニール、プラスチック部品、金属部品などの媒体に機能液の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0013】
図面では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、X軸方向を水平方向X、Y軸方向を幅方向Y、Z軸方向を重力方向Zともいう。幅方向Yは、長尺状の媒体12の幅の方向でもある。
【0014】
図1に示すように、液体吐出装置11は、繰出部13と、搬送部14と、印刷部15と、巻取部16と、を備えてもよい。液体吐出装置11は、媒体12を搬送方向FDに搬送して印刷を行う。搬送方向FDは、媒体12の搬送経路に沿う方向である。搬送方向FDは、繰出部13から巻取部16に向かう方向である。
【0015】
繰出部13は、繰出軸18を備える。繰出軸18は、例えば幅方向Yに延びる。繰出軸18は、図示しない繰出モーターの駆動により回転可能に設けられる。繰出軸18には、長尺の媒体12が予めロール状に巻かれた状態で繰出軸18と一体回転可能に支持されている。媒体12は、印刷される面である印刷面を外側に向けて巻かれている。繰出軸18は、図1において時計回り方向に回転し、媒体12を繰り出す。
【0016】
搬送部14は、第1駆動ローラー19と、第2駆動ローラー20と、を備えてもよい。搬送部14は、第1従動ローラー21と、第2従動ローラー22と、第3従動ローラー23と、第4従動ローラー24と、を備えてもよい。搬送部14は、第1ニップローラー25と、第2ニップローラー26と、支持ドラム27と、回転軸28と、を備えてもよい。
【0017】
第1駆動ローラー19及び第2駆動ローラー20は、図示しないモーターの駆動により回転することで、媒体12を搬送する。第1駆動ローラー19及び第2駆動ローラー20の外周面には、複数の微小突起を設けてもよい。微小突起は、例えば溶融させた粒子を吹き付ける溶射により形成してもよい。第1従動ローラー21~第4従動ローラー24は、搬送される媒体12に対して従動回転する。
【0018】
第1ニップローラー25は、第1駆動ローラー19に対して媒体12を押し付ける。第1ニップローラー25を備えると、第1駆動ローラー19と媒体12との間の摩擦力を確保しやすくなる。同様に、第2ニップローラー26は、第2駆動ローラー20に対して媒体12を押し付ける。第2ニップローラー26を備えると、第2駆動ローラー20と媒体12との間の摩擦力を確保しやすくなる。
【0019】
支持ドラム27は、円筒形状をなす。支持ドラム27は、媒体12を支持する。具体的には、媒体12は、支持ドラム27にテンションが加えられた状態で巻き掛けられる。媒体12は、支持ドラム27の外周面に支持される。支持ドラム27は、幅方向Yに延びる回転軸28を中心として回転可能に設けてもよい。支持ドラム27は、従動回転してもよいし、図示しない搬送モーターの駆動に伴って回転することで、媒体12を搬送してもよい。
【0020】
繰出部13から繰り出された媒体12は、第1従動ローラー21、第1駆動ローラー19、第2従動ローラー22、支持ドラム27、第3従動ローラー23、第2駆動ローラー20、第4従動ローラー24の順に巻き掛けられて巻取部16に送られる。媒体12は、搬送方向FDにおいて支持ドラム27と隣り合う第2従動ローラー22及び第3従動ローラー23に折り返すように巻き掛けると、支持ドラム27により支持される領域が大きくなる。
【0021】
巻取部16は、巻取軸29を備える。巻取軸29は、例えば幅方向Yに延びる。巻取軸29は、図示しない巻取モーターの駆動により回転可能に設けられる。媒体12は、予め搬送経路を通され、搬送方向FDにおける下流の端が巻取軸29に巻き付けられている。巻取軸29は、図1において時計回り方向に回転し、媒体12を巻き取る。媒体12は、印刷された面が外側を向いて巻き取られる。
【0022】
印刷部15は、複数の液滴吐出ヘッド31を備える。複数の液滴吐出ヘッド31は、それぞれが機能液を吐出する。液滴吐出ヘッド31は、支持ドラム27に支持される媒体12に機能液を吐出する。複数の液滴吐出ヘッド31は、それぞれ構成が同じであるが、吐出する機能液の種類が異なる。液滴吐出ヘッド31は、媒体12の幅方向Yに亘って機能液を同時に吐出可能な所謂ラインヘッドである。1つの液滴吐出ヘッド31は、1種類の機能液を吐出してもよいし、複数種類の機能液を吐出してもよい。本実施形態の液滴吐出ヘッド31が吐出する機能液は、紫外線と反応して硬化する紫外線硬化インクである。
【0023】
液滴吐出ヘッド31は、複数のノズル33が開口するノズル面34を有する。液滴吐出ヘッド31は、ノズル33から液滴を吐出する。液滴吐出ヘッド31は、ノズル面34に対して垂直な方向に機能液を吐出する。
【0024】
印刷部15は、1以上のライト36を備えてもよい。ライト36は、媒体12に向かって紫外線を照射することで、媒体12に付着した機能液を硬化させる。ライト36は、機能液を媒体12の表面に定着させる。
【0025】
図2に示すように、液体吐出装置11は、印刷領域PAと、メンテナンス領域MAと、を有する。
印刷領域PAは、媒体12に印刷を行う領域である。メンテナンス領域MAは、液滴吐出ヘッド31のメンテナンスを行う領域である。メンテナンス領域MAは、幅方向Yにおいて印刷領域PAと隣り合う。
【0026】
液体吐出装置11は、1以上の遮蔽板38を備えてもよい。遮蔽板38は、紫外線を遮る。遮蔽板38は、印刷領域PAとメンテナンス領域MAとを分けてもよい。印刷領域PAは、幅方向Yにおいて遮蔽板38よりも支持ドラム27側の領域である。メンテナンス領域MAは、遮蔽板38に対して支持ドラム27とは反対の領域である。
【0027】
液体吐出装置11は、ヘッド移動機構40を備えてもよい。ヘッド移動機構40は、液滴吐出ヘッド31を移動させる。ヘッド移動機構40は、複数の液滴吐出ヘッド31をまとめて移動させてもよいし、個別に移動させてもよい。ヘッド移動機構40は、液滴吐出ヘッド31を幅方向Yに往復移動させる。液滴吐出ヘッド31は、印刷領域PA内の図3に実線で示す印刷位置PPから幅方向Yに移動し、メンテナンス領域MA内の図3に二点鎖線で示すメンテナンス位置MPに至る。ヘッド移動機構40は、液滴吐出ヘッド31をノズル面34に垂直な吐出方向JDに往復移動させてもよい。
【0028】
<ワイピング装置>
図2に示すように、液体吐出装置11は、複数のワイピング装置42を備える。ワイピング装置42は、複数の液滴吐出ヘッド31に個別に対応するように、液滴吐出ヘッド31と同数設けられる。複数のワイピング装置42は、それぞれ構成が同じである。そのため、図2には1つの液滴吐出ヘッド31と、対応する1つのワイピング装置42を示し、他の液滴吐出ヘッド31及びワイピング装置42の図示を省略する。
【0029】
複数のワイピング装置42は、メンテナンス領域MAに設けられる。複数のワイピング装置42は、各液滴吐出ヘッド31のノズル面34を払拭する。ワイピング装置42は、ケース44と、支持部45と、キャップ46と、第1清掃部47と、第2清掃部48と、を備えてもよい。
【0030】
支持部45は、キャップ46と、第1清掃部47と、を支持してもよい。
キャップ46は、メンテナンス位置MPから吐出方向JDに移動した液滴吐出ヘッド31に接触することで、液滴吐出ヘッド31をキャッピングしてもよい。
【0031】
第1清掃部47は、払拭部50と、払拭部移動機構51と、を有してもよい。払拭部50は、変形可能なゴムで形成されてもよい。払拭部移動機構51は、払拭部50を移動させる。本実施形態の払拭部移動機構51は、支持部45を移動させることにより、キャップ46及び払拭部50をワイピング方向WDに往復移動させる。ワイピング方向WDは、ノズル面34に沿う方向であってもよい。払拭部移動機構51は、液滴吐出ヘッド31がメンテナンス位置MPに位置する状態で、払拭部50をワイピング方向WDに移動させることにより、払拭部50にノズル面34を払拭させる。
【0032】
第2清掃部48は、洗浄液や機能液などの液体を吸収可能な吸収部材で形成されてもよい。第2清掃部48は、例えば液滴吐出ヘッド31がメンテナンス領域MAから印刷領域PAに移動する際に、液滴吐出ヘッド31の側面を払拭してもよい。
【0033】
<洗浄液供給装置>
図2に示すように、液体吐出装置11は、洗浄液供給装置53を備える。洗浄液供給装置53は、供給機構54と、複数の洗浄液吐出部55と、を備える。図2には、1つの洗浄液吐出部55を図示する。洗浄液供給装置53は、液滴吐出ヘッド31と同数の洗浄液吐出部55を備えてもよい。すなわち、複数の洗浄液吐出部55と複数の液滴吐出ヘッド31は、互いに対応して設けられる。
【0034】
各洗浄液吐出部55は、各液滴吐出ヘッド31に洗浄液を吹き付ける。洗浄液吐出部55は、メンテナンス位置MPに位置する液滴吐出ヘッド31の側面に洗浄液を吹き付けてもよい。洗浄液吐出部55は、例えば1以上の吐出口57が形成されたパイプである。洗浄液吐出部55は、吐出口57から洗浄液を吐出可能である。複数の吐出口57は、幅方向Yに並んでもよい。
【0035】
洗浄液は、純水を採用してもよいし、純水に添加剤を含ませた液体を採用してもよい。添加剤は、例えば、樹脂、防腐剤、消泡剤、保湿剤、浸透剤、界面活性剤、有機溶剤、及びpH調製剤などが挙げられる。上記の各成分は、1種単独で用いても2種以上の併用でもよく、含有量は特に制限されない。液滴吐出ヘッド31が吐出する機能液が紫外線硬化インクである場合は、硬化したインクを溶解可能な溶剤を洗浄液として採用してもよいし、透明の紫外線硬化インクを洗浄液として採用してもよい。紫外線硬化インクを溶解可能な溶剤は、例えばEDGAC(Ethyl Di Glycol Acetate)があり、溶剤に界面活性剤や重合抑止剤を添加してもよい。
【0036】
図3に示すように、洗浄液供給装置53は、制御部59を備える。制御部59は、洗浄液供給装置53における各機構の駆動を統括的に制御し、洗浄液供給装置53で実行される各種動作を制御する。洗浄液供給装置53は、液体吐出装置11における各機構の駆動を統括的に制御してもよい。
【0037】
制御部59は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0038】
制御部59は、メモリーに記憶されるプログラムを実行することによって、判定部61として機能してもよい。そのため、洗浄液供給装置53は、判定部61を備えるといえる。
【0039】
供給機構54は、複数の洗浄液吐出部55に洗浄液を供給する。供給機構54は、第1貯留部63と、第2貯留部64と、供給流路65と、ポンプ66と、帰還流路67と、流路バルブ68と、大気開放バルブ69と、圧力検出部70と、を備えてもよい。供給機構54は、フィルター71と、大気開放経路72と、複数の個別流路73と、複数の個別バルブ74と、を備えてもよい。
【0040】
第1貯留部63は、洗浄液を貯留する。第2貯留部64に対し第1貯留部63は、重力方向Zにおいて低い位置に設けられる。第1貯留部63は、例えばステンレスの開放タンクである。
【0041】
第2貯留部64は、第1貯留部63から供給された洗浄液を貯留する。第2貯留部64は、蓄圧式である。第2貯留部64は、例えばステンレスの密閉タンクである。第2貯留部64は、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまり76が形成される。本実施形態の第2貯留部64は、上部に空気だまり76が形成され、下部に液だまり77が形成される。第2貯留部64は、洗浄液が供給されて液面78が上昇して空気だまり76が圧縮されることにより、内部の圧力が高まる。
【0042】
供給流路65は、チューブで構成してもよい。供給流路65は、第1貯留部63と、第2貯留部64と、を接続する。供給方向SDにおいて、供給流路65の上流端は、第1貯留部63に差し込まれると共に、第1貯留部63の底面付近に位置してもよい。供給流路65の上流端は、第1貯留部63の底面もしくは側面に接続されてもよい。供給流路65の下流端は、第2貯留部64に差し込まれると共に、第2貯留部64の底面付近に位置してもよい。供給流路65の下流端は、第2貯留部64の底面もしくは側面に接続されてもよい。供給流路65は、第1貯留部63に貯留された洗浄液を、第2貯留部64に送液する。
【0043】
フィルター71とポンプ66は、供給流路65に設けられる。フィルター71は、供給流路65において、ポンプ66と第1貯留部63との間に設けられる。フィルター71は、ポンプ66より供給方向SDの上流に設けられる。フィルター71は、洗浄液に含まれる気泡や異物などを捕捉する。ポンプ66は、供給流路65内の流体を供給方向SDに送る。ポンプ66は、第1貯留部63から第2貯留部64に洗浄液を送る。
【0044】
帰還流路67は、チューブで構成してもよい。帰還流路67は、第1貯留部63と、第2貯留部64と、を接続する。排出方向DDにおいて、帰還流路67の上流端は、第2貯留部64に差し込まれると共に、第2貯留部64の底面付近に位置してもよい。帰還流路67の上流端は、第2貯留部64の底面もしくは側面に接続されてもよい。本実施形態では、帰還流路67の上流端の高さを、基準液位L1ともいう。基準液位L1は、供給流路65の下流端の位置より重力方向Zの高い位置であってもよい。
【0045】
帰還流路67の下流端は、供給流路65に接続されてもよい。帰還流路67は、フィルター71と第1貯留部63との間の供給流路65に接続されてもよい。帰還流路67は、第2貯留部64に貯留された洗浄液を、第1貯留部63に排出する。具体的には、第2貯留部64に貯留された洗浄液は、帰還流路67から供給流路65を通って第1貯留部63に排出される。帰還流路67の一部は、基準液位L1より重力方向Zの上方に位置する。本実施形態の帰還流路67は、一部が第2貯留部64より上方に位置する。
【0046】
流路バルブ68は、帰還流路67に設けられる。
大気開放経路72は、チューブで構成してもよい。大気開放経路72は、一端が第2貯留部64に接続されると共に、他端が大気に開放される。大気開放経路72の他端は、第1貯留部63に接続されてもよい。大気開放経路72の他端を第1貯留部63に接続する場合、大気開放経路72の他端は、第1貯留部63内の洗浄液より高い位置に位置して、第1貯留部63内の空気に開放される。
【0047】
大気開放バルブ69は、大気開放経路72に設けられてもよい。大気開放バルブ69は、第2貯留部64を大気開放可能である。大気開放バルブ69は、大気開放経路72を開放することにより第2貯留部64内を大気圧にする。
【0048】
圧力検出部70は、大気開放経路72に設けられてもよい。圧力検出部70は、大気開放バルブ69と第2貯留部64との間に設けられてもよい。圧力検出部70は、第2貯留部64の内部の圧力を検出する。
【0049】
複数の個別流路73は、それぞれチューブで構成してもよい。個別流路73は、第2貯留部64と洗浄液吐出部55とを接続する。個別流路73の上流端は、第2貯留部64に差し込まれてもよいし、第2貯留部64の底面もしくは側面に接続されてもよい。個別流路73の上流端は、基準液位L1より重力方向Zにおいて低い位置に位置してもよい。
【0050】
複数の個別バルブ74は、それぞれ個別流路73に設けられる。個別バルブ74が個別流路73を開放すると、第2貯留部64に蓄えられた圧力により、第2貯留部64内の洗浄液が個別流路73を介して洗浄液吐出部55に送られると共に、吐出口57から吐出される。複数の洗浄液吐出部55は、第2貯留部64に貯留された洗浄液を吐出する。
【0051】
<洗浄液供給装置の制御方法>
制御部59は、ポンプ66、流路バルブ68、及び大気開放バルブ69を制御し、第2貯留部64への蓄圧および蓄圧開放を制御する。液体吐出装置11の電源がオフされているとき、流路バルブ68と大気開放バルブ69は、開いていてもよい。液体吐出装置11の電源がオフされているとき、複数の個別バルブ74は、閉じていてもよい。
【0052】
液体吐出装置11の電源が投入されると、制御部59は、供給動作を行って第2貯留部64に蓄圧する。供給動作において、制御部59は、流路バルブ68と大気開放バルブ69を閉じる。制御部59は、流路バルブ68、大気開放バルブ69、及び全ての個別バルブ74が閉じた状態で、ポンプ66を駆動させる。ポンプ66は、第1貯留部63から第2貯留部64に洗浄液を送る。
【0053】
第2貯留部64に洗浄液が流入すると、液面78が上昇するのに伴って、空気だまり76が小さくなる。すなわち、第2貯留部64内は、空気が圧縮されることで圧力が上昇する。圧力検出部70が検出した第2貯留部64の内部の圧力が上限閾値になると、制御部59は、ポンプ66の駆動を停止する。
【0054】
洗浄液吐出部55が洗浄液を吐出すると、第2貯留部64内の圧力が低下する。圧力検出部70が検出した第2貯留部64の内部の圧力が下限閾値になると、制御部59は、再び供給動作を行う。具体的には、制御部59は、ポンプ66を駆動させる。下限閾値は、第2貯留部64内の洗浄液を洗浄液吐出部55に供給して液滴吐出ヘッド31に吹き付けることができる最低の圧力であってもよい。
【0055】
ポンプ66を駆動させるとき、流路バルブ68、大気開放バルブ69、及ぶ全ての個別バルブ74は閉じている。そのため、第2貯留部64は、供給される洗浄液によって内部の空気が圧縮されて圧力が上昇する。圧力検出部70が検出した第2貯留部64の内部の圧力が上限閾値になると、制御部59は、ポンプ66の駆動を停止する。したがって、第2貯留部64の内部の圧力は、下限閾値と上限閾値との間に維持される。
【0056】
例えば液体吐出装置11の電源がオフされると、制御部59は、排出動作を行う。制御部59は、第2貯留部64内の洗浄液を第1貯留部63に排出させる。具体的には、制御部59は、流路バルブ68を開放させた後、待機時間が経過してから大気開放バルブ69を開放させる。
【0057】
流路バルブ68が開放すると、第2貯留部64内の洗浄液は、第2貯留部64に蓄えられた圧力によって帰還流路67に押し出される。
第2貯留部64内の圧力は、第2貯留部64から洗浄液が排出されるのに伴って低下する。第2貯留部64内の圧力が低下すると、第2貯留部64から排出される洗浄液の流速が低下する。
【0058】
待機時間は、例えば帰還流路67の形状、長さ、配置などに応じて設定される時間である。待機時間は、少なくとも帰還流路67の上流端から、帰還流路67のうち重力方向Zの最も高い位置する部分までを洗浄液で満たすために必要な時間より長い時間に設定される。待機時間は、帰還流路67内を洗浄液で満たすために必要な時間より長い時間であってもよい。
【0059】
大気開放バルブ69を開放させると、第2貯留部64内は、大気圧になる。第2貯留部64内の洗浄液は、サイフォンの原理によって第1貯留部63に排出される。第2貯留部64内の洗浄液は、帰還流路67及び供給流路65を介して第1貯留部63に排出される。液面78は、基準液位L1まで低下する。具体的には、第2貯留部64内の液面78が帰還流路67の上流端の高さまで低下すると、帰還流路67に空気が流入する。そのため、第2貯留部64からの洗浄液の排出が停止する。
【0060】
<異常判定>
圧力検出部70は、第2貯留部64の内部の圧力を検出する。判定部61は、第2貯留部64内の圧力の単位時間当たりの変化量を基に、第2貯留部64の空気量の異常を判定する。本実施形態では、第2貯留部64の空気量の異常を判定することを、異常判定ともいう。本実施形態の判定部61は、第2貯留部64内の圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、空気量の異常として判定する。
【0061】
判定部61は、蓄圧の際に異常判定を行ってもよい。判定部61は、液体吐出装置11の電源が投入されたときに行う蓄圧と、第2貯留部64内の圧力が下限閾値になったときに行う蓄圧と、のうち、少なくとも1つで異常判定を行ってもよい。
【0062】
液体吐出装置11の電源が投入されたとき、液面78は基準液位L1にあると想定される。使用時に第2貯留部64内の圧力が下限閾値になったとき、液面78は、基準液位L1より高い下限液位L2にあると想定される。しかし、例えばリーク等が生じて第2貯留部64内の空気量が少なくなっている場合、それぞれ液面78は想定より高い位置に位置する。液面78が想定より高い位置に位置する状態でポンプ66が駆動されると、第2貯留部64の圧力は、想定より速いペースで上昇する。
【0063】
例えば、判定部61は、ポンプ66が駆動されている最中に、先圧力と後圧力を取得してもよい。すなわち、判定部61は、ポンプ66が駆動された後に、圧力検出部70が検出した圧力を先圧力として取得する。判定部61は、圧力検出部70が先圧力を検出してから単位時間後に検出した圧力を後圧力として取得する。判定部61は、後圧力と先圧力との差が、昇圧閾値より大きい場合に、空気量の異常と判定してもよい。
【0064】
例えば、判定部61は、ポンプ66が駆動する前の先圧力と、ポンプ66が停止した後の後圧力と、ポンプ66を駆動した時間と、に基づいて、第2貯留部64内の圧力の単位時間当たりの変化量を算出してもよい。判定部61は、算出した変化量が昇圧閾値より大きい場合に、空気量の異常と判定してもよい。本実施形態では、第2貯留部64内の圧力にポンプ66の駆動を連動させる。そのため、判定部61は、ポンプ66の駆動が開始されてから、ポンプ66の駆動が停止されるまでの時間が予め設定された昇圧時間より短い場合に、空気量の異常と判定してもよい。
【0065】
判定部61は、複数の洗浄液吐出部55のうちの少なくとも1つの洗浄液吐出部55が洗浄液を吐出した際に、異常判定を行ってもよい。第2貯留部64内の空気量が少なくなっている状態で洗浄液が吐出されると、第2貯留部64の圧力は、想定より速いペースで下降する。
【0066】
例えば、判定部61は、個別バルブ74が開放されている最中に、先圧力と後圧力を取得してもよい。すなわち、判定部61は、個別バルブ74が開放された後に、圧力検出部70が検出した圧力を先圧力として取得する。判定部61は、圧力検出部70が先圧力を検出してから単位時間後に検出した圧力を後圧力として取得する。判定部61は、先圧力と後圧力との差が、吐出時閾値より大きい場合に、空気量の異常と判定してもよい。吐出時閾値は、同時に開放させる個別バルブ74の数に応じて設定されていてもよい。
【0067】
例えば、判定部61は、個別バルブ74を開放させる前の先圧力と、個別バルブ74を閉じた後の後圧力と、個別バルブ74を開放させていた時間に基づいて、第2貯留部64内の圧力の単位時間当たりの変化量を算出してもよい。判定部61は、算出した変化量が吐出時閾値より大きい場合に、空気量の異常と判定してもよい。
【0068】
判定部61は、蓄圧開放の際に、異常判定を行ってもよい。例えば第2貯留部64内の空気量が少なくなっている場合、第2貯留部64内の洗浄液が排出されると、第2貯留部64の圧力は、想定より速いペースで下降する。
【0069】
例えば、判定部61は、流路バルブ68が開放されてから大気開放バルブ69が開放されるまでに先圧力と後圧力を取得してもよい。すなわち、判定部61は、流路バルブ68が開放された後に、圧力検出部70が検出した圧力を先圧力として取得する。判定部61は、圧力検出部70が先圧力を検出してから単位時間後に検出した圧力を後圧力として取得する。判定部61は、先圧力と後圧力との差が、降圧閾値より大きい場合に、空気量の異常と判定してもよい。
【0070】
判定部61は、液体吐出装置11が非常停止した場合に、空気量の異常と判定してもよい。具体的には、制御部59は、非常停止した後に電源が投入された際に、空気量の異常と判定してもよい。
【0071】
例えば、液体吐出装置11に供給される電源が遮断されることで液体吐出装置11が非常停止した場合、流路バルブ68と大気開放バルブ69が開く。そのため、第2貯留部64内は大気圧になるが、帰還流路67が洗浄液で満たされていない場合は、サイフォンの原理が機能せずに第2貯留部64に洗浄液が残ってしまう。すなわち、非常停止後の第2貯留部64は、液面78が基準液位L1より高い位置に位置する虞がある。
【0072】
<異常判定時の制御方法>
制御部59は、判定部61が空気量の異常と判定した場合、排出動作と供給動作を行ってもよい。制御部59は、排出動作を行うことで第2貯留部64内の洗浄液を排出させる。制御部59は、第2貯留部64に貯留された洗浄液の液面78が基準液位L1になるまで第2貯留部64に貯留される洗浄液を第1貯留部63に排出させる。制御部59は、液面78が基準液位L1になった後に、供給動作を行ってもよい。制御部59は、供給動作を行うことで、再び第1貯留部63から第2貯留部64に洗浄液を送液させる。
【0073】
制御部59は、排出動作を行う前に供給動作と循環動作を行ってもよい。例えば非常停止した後に液体吐出装置11の電源が投入されたとき、第2貯留部64は、大気に開放されている。制御部59は、供給動作を行うことで、第2貯留部64内の圧力を上限閾値まで上昇させてもよい。
【0074】
非常停止した後に液体吐出装置11の電源が投入されたとき、蓄圧したとき、及び洗浄液を吐出したときに異常と判定した場合、帰還流路67は洗浄液で満たされていない虞がある。制御部59は、第2貯留部64内の洗浄液を排出させる前に循環動作を行ってもよい。制御部59は、第2貯留部64に貯留された洗浄液を、帰還流路67から供給流路65を経由して循環させる。具体的には、制御部59は、流路バルブ68を開放させると共に、大気開放バルブ69を閉じた状態で、ポンプ66を駆動する。制御部59は、流路バルブ68を開放させた後に、ポンプ66を駆動させてもよい。ポンプ66は、第2貯留部64内の圧力によって帰還流路67から供給流路65に押し出された洗浄液を、第2貯留部64に戻す。洗浄液は、フィルター71を通って循環する。洗浄液を循環させることで、帰還流路67及び供給流路65内の空気は、第2貯留部64に移動し、帰還流路67が洗浄液で満たされる。
【0075】
制御部59は、循環動作の後に排出動作を行ってもよい。制御部59は、排出動作により第2貯留部64内の洗浄液を排出させる。すなわち、制御部59は、ポンプ66を停止させた後、大気開放バルブ69を開放させる。このとき流路バルブ68は、開放されている。そのため、ポンプ66が停止すると、第2貯留部64内の洗浄液は、第2貯留部64内の圧力によって帰還流路67に押し出されると共に、供給流路65を介して第1貯留部63に排出される。大気開放バルブ69が開弁されると、第2貯留部64内の洗浄液は、サイフォンの原理によって第1貯留部63に排出される。
【0076】
液面78が基準液位L1まで低下して帰還流路67内に空気が流入すると、第2貯留部64からの洗浄液の排出が停止する。制御部59は、液面78が基準液位L1になるまで待って、再び供給動作を実行する。
【0077】
すなわち、液面78が基準液位L1になると、制御部59は、再び供給動作を行って第1貯留部63から第2貯留部64に洗浄液を送液させる。制御部59は、流路バルブ68と大気開放バルブ69とを閉じた状態でポンプ66を駆動させる。
【0078】
排出動作中に洗浄液の吐出を指示された場合、制御部59は、排出動作を中断して供給動作を実行してもよい。第2貯留部64から洗浄液を排出している際において、複数の洗浄液吐出部55のうちの少なくとも1つの洗浄液吐出部55が洗浄液の吐出の指示を受けた場合、制御部59は、排出動作を中断させてもよい。制御部59は、第2貯留部64の洗浄液が基準液位L1まで排出されたか否かに関わらず、第2貯留部64からの洗浄液の排出を中断してもよい。制御部59は、供給動作を実行して、第2貯留部64に洗浄液を送液させてもよい。
【0079】
<第1実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
第2貯留部64内の圧力は、下限閾値と上限閾値との間で維持される。洗浄液の吐出が指示されると、制御部59は、吐出が指示された洗浄液吐出部55に対応する個別バルブ74を開放させる。複数の洗浄液吐出部55から洗浄液を吐出させる場合、制御部59は、複数の個別バルブ74をまとめて開放させてもよいし、順に開放させてもよい。洗浄液を吐出させた後、制御部59は、個別バルブ74を閉じる。
【0080】
<第1実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)判定部61が第2貯留部64の空気量を異常と判定した場合、制御部59は、第2貯留部64の洗浄液を排出する。第2貯留部64に貯留された洗浄液の液面78を基準液位L1にした後に第2貯留部64に洗浄液を送液することで、第2貯留部64を適切な空気量に調整できる。
【0081】
(1-2)判定部61は、蓄圧の際に、第2貯留部64の内部の圧力の変化量に応じて空気量の異常を判定する。圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、前回の蓄圧解放時に洗浄液の排出が正常にできていない可能性がある。そのため、空気量の異常と判定して第2貯留部64に洗浄液を入れ直すことで、第2貯留部64を適切な空気量に調整できる。
【0082】
(1-3)判定部61は、洗浄液吐出部55が洗浄液を吐出した際に、圧力の変化量に応じて空気量の異常を判定する。洗浄液吐出部55が洗浄液を吐出した際に、圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、第2貯留部64の空気量が減少している可能性がある。そのため、空気量の異常と判定して第2貯留部64に洗浄液を入れ直すことで、第2貯留部64を適切な空気量に調整できる。
【0083】
(1-4)第2貯留部64から洗浄液を排出している際に洗浄液の吐出の指示を受けた場合、排出を中断して第2貯留部64に洗浄液を送液させる。そのため、洗浄液を基準液位L1まで排出してから洗浄液を第2貯留部64に送液する場合に比べ、洗浄液の吐出を速やかに行うことができる。
【0084】
(1-5)判定部61は、蓄圧開放の際に、圧力の変化量に応じて空気量の異常を判定する。蓄圧開放の際に、圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、第2貯留部64の空気量が減少している可能性がある。そのため、空気量の異常と判定して第2貯留部64に洗浄液を入れ直すことで、第2貯留部64を適切な空気量に調整できる。
【0085】
(1-6)帰還流路67は、フィルター71と第1貯留部63との間の供給流路65に接続される。そのため、第2貯留部64から排出される洗浄液を、フィルター71を介さずに第1貯留部63に排出させることができる。
【0086】
(1-7)判定部61が第2貯留部64の空気量を異常と判定した場合、制御部59は、第2貯留部64に貯留された洗浄液を循環させる。洗浄液は、帰還流路67と供給流路65を経由するため、帰還流路67を洗浄液で満たすことができる。帰還流路67が洗浄液で満たされると、サイフォンの原理による送液が可能になるため、第2貯留部64内の洗浄液を適切に排出できる。
【0087】
(1-8)判定部61は、蓄圧の際に、第2貯留部64の内部の圧力の変化量に応じて空気量の異常を判定する。圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、前回の蓄圧解放時に洗浄液の排出が正常にできていない可能性がある。そのため、空気量の異常と判定して洗浄液を循環させることで、帰還流路67を洗浄液で満たすことができる。
【0088】
(1-9)帰還流路67は、フィルター71と第1貯留部63との間の供給流路65に接続される。洗浄液は、フィルター71を通って循環する。そのため、洗浄液に含まれる異物をフィルター71によって捕捉することができる。
【0089】
(1-10)循環動作において制御部59は、まず流路バルブ68を開放させる。流路バルブ68が開放されると、第2貯留部64に蓄えられた圧力によって第2貯留部64の洗浄液が帰還流路67を介して供給流路65に押し出される。続いて制御部59は、ポンプ66を駆動させる。ポンプ66は、供給流路65に押し出された洗浄液を第2貯留部64に送る。したがって、第2貯留部64の圧力を利用して洗浄液を容易に循環させることができる。
【0090】
[第2実施形態]
次に、洗浄液供給装置、液体吐出装置、及び洗浄液供給装置の制御方法の第2実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第2実施形態は、供給流路と帰還流路に代えて連通流路を設ける点で第1実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0091】
図4に示すように、洗浄液供給装置53は、連通流路80を備える。連通流路80は、第1貯留部63と第2貯留部64とを連通する。連通とは、液体および気体などの流体を流動可能な状態に接続することである。すなわち、連通流路80は、第1貯留部63と第2貯留部64とを、洗浄液の流動が可能な状態に接続する。連通流路80は、チューブで構成してもよい。連通流路80の配置は、第1実施形態における供給流路65と同じであってもよい。
【0092】
ポンプ66とフィルター71は、連通流路80に設けられる。ポンプ66は、供給流路65において、フィルター71と第2貯留部64との間に設けられてもよい。本実施形態のポンプ66は、可逆式ポンプである。ポンプ66は、正転と逆転が可能である。ポンプ66は、正転することで、第1貯留部63から第2貯留部64への送液が可能である。ポンプ66は、逆転することで、第2貯留部64から第1貯留部63への送液が可能である。
【0093】
洗浄液供給装置53は、液位検出部81を備えてもよい。液位検出部81は、第2貯留部64に貯留された洗浄液の液面78の高さを検出する。液位検出部81は、例えば電極により構成してもよい。液位検出部81は、電極に洗浄液が接触する場合と、接触しない場合と、で変化する抵抗を検出することで、液面78が基準液位L1まで低下したことを検出してもよい。
【0094】
<第2実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
制御部59は、ポンプ66を制御し、第2貯留部64への蓄圧および蓄圧開放を制御する。制御部59は、判定部61が空気量の異常と判定した場合、排出動作を行って第2貯留部64に貯留された洗浄液を第1貯留部63に排出する。制御部59は、大気開放バルブ69を開放して、ポンプ66を逆転駆動する。第2貯留部64から洗浄液が排出されるのに伴って、第2貯留部64内には大気開放経路72から空気が流入する。
【0095】
制御部59は、第2貯留部64の液面78が基準液位L1になるまで洗浄液を排出する。液面78が基準液位L1になったことを液位検出部81が検出すると、制御部59は、大気開放バルブ69を閉じて、ポンプ66を正転駆動する。制御部59は、第2貯留部64に貯留される洗浄液を第1貯留部63に排出した後に、再び第1貯留部63から第2貯留部64に洗浄液を送液する。
【0096】
洗浄液が供給されると、第2貯留部64の内部の圧力が上昇する。第2貯留部64内の圧力が上限閾値になったことを圧力検出部70が検出すると、制御部59は、ポンプ66の駆動を停止させる。
【0097】
<第2実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(2-1)判定部61が第2貯留部64の空気量を異常と判定した場合、制御部59は、第2貯留部64の洗浄液を排出する。第2貯留部64に貯留された洗浄液の液面78を基準液位L1にした後に第2貯留部64に洗浄液を送液することで、第2貯留部64を適切な空気量に調整できる。
【0098】
[第3実施形態]
次に、洗浄液供給装置、液体吐出装置、及び洗浄液供給装置の制御方法の第3実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第3実施形態は、ポンプの数が第1実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0099】
図5に示すように、洗浄液供給装置53は、第1ポンプ66fと、第2ポンプ66sと、を備える。
第1ポンプ66fは、供給流路65に設けられる。第1ポンプ66fは、供給流路65内の流体を供給方向SDに送る。第1ポンプ66fは、第1貯留部63から第2貯留部64に洗浄液を送る。
【0100】
第2ポンプ66sは、帰還流路67に設けられる。第2ポンプ66sは、帰還流路67内の流体を排出方向DDに送る。第2ポンプ66sは、第2貯留部64から第1貯留部63に洗浄液を送る。
【0101】
<第3実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
制御部59は、第1ポンプ66f、第2ポンプ66s、流路バルブ68、及び大気開放バルブ69を制御し、第2貯留部64への蓄圧および蓄圧開放を制御する。
【0102】
制御部59は、判定部61が空気量の異常と判定した場合、排出動作を行って第2貯留部64に貯留された洗浄液を第1貯留部63に排出する。制御部59は、流路バルブ68及び大気開放バルブ69を開放して、第2ポンプ66sを駆動させる。第2貯留部64から洗浄液が排出されるのに伴って、第2貯留部64内には大気開放経路72から空気が流入する。
【0103】
制御部59は、第2貯留部64の液面78が基準液位L1になるまで洗浄液を排出する。液面78が基準液位L1まで低下して帰還流路67内に空気が流入すると、液面78の下降が停止する。制御部59は、液面78が基準液位L1まで低下するのに必要な時間が経過すると、第2ポンプ66sの駆動を停止させると共に、流路バルブ68を閉じる。
【0104】
続いて制御部59は、供給動作を行う。制御部59は、大気開放バルブ69を閉じると共に、第1ポンプ66fを駆動させる。すなわち、制御部59は、第2貯留部64に貯留される洗浄液を第1貯留部63に排出した後に、再び第1貯留部63から第2貯留部64に洗浄液を送液する。
【0105】
洗浄液が供給されると、第2貯留部64の内部の圧力が上昇する。第2貯留部64内の圧力が上限閾値になったことを圧力検出部70が検出すると、制御部59は、第1ポンプ66fの駆動を停止させる。
【0106】
<第3実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(3-1)第2ポンプ66sは、帰還流路67に設けられている。第2ポンプ66sを駆動することで、第2貯留部64に貯留された洗浄液を排出することができる。
【0107】
[第4実施形態]
次に、洗浄液供給装置、液体吐出装置、及び洗浄液供給装置の制御方法の第4実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第4実施形態は、第2ポンプの配置が第3実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第3実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0108】
図6に示すように、第2ポンプ66sは、大気開放経路72に設けられる。第2ポンプ66sは、第2貯留部64に空気を送り込む。
<第4実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
【0109】
制御部59は、判定部61が空気量の異常と判定した場合、排出動作を行って第2貯留部64に貯留された洗浄液を第1貯留部63に排出する。制御部59は、流路バルブ68と大気開放バルブ69を開放して、第2ポンプ66sを駆動させる。第2ポンプ66sは、第2貯留部64に空気を送り込むことにより、第2貯留部64内の洗浄液を帰還流路67に押し出す。
【0110】
制御部59は、第2貯留部64の液面78が基準液位L1になるまで洗浄液を排出する。液面78が基準液位L1まで低下して帰還流路67内に空気が流入すると、液面78の低下が停止する。制御部59は、液面78が基準液位L1まで低下するのに必要な時間が経過すると、第2ポンプ66sの駆動を停止させると共に、流路バルブ68を閉じる。続いて制御部59は、第3実施形態と同様に供給動作を行う。
【0111】
<第4実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(4-1)第2ポンプ66sは、大気開放経路72に設けられている。第2ポンプ66sは、第2貯留部64に空気を送り込むことで第2貯留部64の圧力を高める。したがって、第2貯留部64から洗浄液を排出する速度を速めることができる。
【0112】
[第5実施形態]
次に、洗浄液供給装置、液体吐出装置、及び洗浄液供給装置の制御方法の第5実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第5実施形態は、液位検出部を備える点で第1実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0113】
図7に示すように、洗浄液供給装置53は、液位検出部81を備える。液位検出部81は、例えば電極により構成してもよい。液位検出部81は、電極に洗浄液が接触する場合と、接触しない場合と、で変化する抵抗を検出することで、液面78が液位閾値L3より高い位置にあるか否かを検出してもよい。
【0114】
<第5実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
制御部59は、例えば液体吐出装置11の電源が投入された際に、液面78の位置を検出してもよい。判定部61は、液面78の高さが液位閾値L3より高い場合、空気量の異常として判定してもよい。制御部59は、液位検出部81が検出した液面78の高さが液位閾値L3より高いと判定される場合、循環動作を行ってもよい。
【0115】
<第5実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(5-1)第2貯留部64に貯留された洗浄液の液面78の高さが液位閾値L3より高いと判定される場合、制御部59は、第2貯留部64に貯留された洗浄液を循環させる。洗浄液は、帰還流路67と供給流路65を経由するため、帰還流路67を洗浄液で満たすことができる。帰還流路67が洗浄液で満たされると、サイフォンの原理による送液が可能になるため、第2貯留部64内の洗浄液を適切に排出できる。
【0116】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0117】
・洗浄液供給装置53は、1もしくは複数の液位検出部81を備えてもよい。
・液位検出部81は、プリズムと、照射部と、受光部と、を含んでもよい。プリズムは、第2貯留部64内に設けられる。照射部は、プリズムに対して光を照射する。受光部は、プリズムで屈折した光を受光する。プリズムに洗浄液が接触する間は、洗浄液中に光が拡散する。液面78がプリズムより下に位置してプリズムが洗浄液から露出すると、プリズムで屈折した光が受光部に届く。液位検出部81は、受光部が受光する光量の変化から液面78の高さを検出してもよい。
【0118】
・液位検出部81は、第2貯留部64内に設けられて洗浄液に浮かぶフロートの位置を検出するフロートセンサーであってもよい。
・液位検出部81は、画像を検出するイメージセンサーであってもよい。液位検出部81は、イメージセンサーが検出した画像を解析することで、液面78の高さを検出してもよい。
【0119】
・液位検出部81は、光を照射する発光部と、光を受光する受光部と、を含む光電センサーであってもよい。発光部と受光部は、第2貯留部64を挟んで設けられてもよい。受光部は、第2貯留部64を透過した光を受光してもよい。例えば、液面78が光電センサーより上方にある場合、光は、発光部と受光部との間に存在する洗浄液より遮られる。液位検出部81は、受光部が受光する光量の変化から液面78の高さを検出してもよい。
【0120】
・第2実施形態において、洗浄液供給装置53は、液位検出部81を備えない構成としてもよい。第2実施形態では、第2貯留部64内に設けられる連通流路80の端の高さを基準液位L1としてもよい。制御部59は、ポンプ66を逆転駆動させて第2貯留部64から洗浄液を排出させると共に、連通流路80に空気が流入するまで洗浄液を排出させることで液面78の高さを基準液位L1にさせてもよい。
【0121】
・洗浄液供給装置53は、第2貯留部64内を仕切る仕切壁を有してもよい。仕切壁は、液だまり77と空気だまり76とを仕切る。仕切壁は、可動式のピストンであってもよいし、可撓性を有する膜であってもよい。液位検出部81は、仕切壁の位置や膨らみを検出してもよい。
【0122】
・洗浄液供給装置53は、大気開放経路72を備えない構成としてもよい。大気開放バルブ69は、第2貯留部64に直接設けられてもよい。圧力検出部70は、第2貯留部64に直接設けられてもよい。
【0123】
・帰還流路67の下流端は、第1貯留部63に接続されてもよい。洗浄液供給装置53は、第1貯留部63、供給流路65、第2貯留部64、及び帰還流路67において洗浄液を循環させてもよい。
【0124】
・帰還流路67の下流端は、フィルター71とポンプ66との間の供給流路65に接続されてもよい。帰還流路67の下流端は、フィルター71と第1ポンプ66fとの間の供給流路65に接続されてもよい。
【0125】
・フィルター71は、供給流路65においてポンプ66もしくは第1ポンプ66fと、第2貯留部64との間に設けられてもよい。フィルター71は、連通流路80において、ポンプ66と第2貯留部64との間に設けられてもよい。洗浄液供給装置53は、フィルター71を備えない構成としてもよい。帰還流路67は、供給流路65においてポンプ66と第1貯留部63の間に接続されてもよい。
【0126】
・排出動作中に洗浄液吐出部55が洗浄液の吐出の指示を受けた場合、制御部59は、洗浄液を基準液位L1まで排出させた後、第2貯留部64に洗浄液を送液させてもよい。
・循環動作において、制御部59は、ポンプ66を駆動させてから流路バルブ68を開放させることで、洗浄液を循環させてもよい。
【0127】
・第2実施形態~第4実施形態において、第1貯留部63は、第2貯留部64と同じ高さに設けられてもよい。第1貯留部63は、第2貯留部64より高い位置に設けられてもよい。
【0128】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0129】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0130】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0131】
(A)洗浄液供給装置は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、前記供給流路に設けられたポンプと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、前記帰還流路に設けられた流路バルブと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記ポンプ、前記流路バルブ、及び前記大気開放バルブを制御し、前記第2貯留部への蓄圧および蓄圧開放を制御する制御部と、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、前記第2貯留部の内部の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定する判定部と、を備え、前記第2貯留部に対し前記第1貯留部は、重力方向において低い位置に設けられ、前記制御部は、前記判定部が前記空気量の異常と判定した場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液の液面が基準液位になるまで前記第2貯留部に貯留される洗浄液を前記第1貯留部に排出させた後に、再び前記第1貯留部から前記第2貯留部に洗浄液を送液させる。
【0132】
この構成によれば、判定部が第2貯留部の空気量を異常と判定した場合、制御部は、第2貯留部の洗浄液を排出する。第2貯留部に貯留された洗浄液の液面を基準液位にした後に第2貯留部に洗浄液を送液することで、第2貯留部を適切な空気量に調整できる。
【0133】
(B)(A)に記載の洗浄液供給装置において、前記判定部は、前記蓄圧の際に、前記圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、前記空気量の異常として判定してもよい。
この構成によれば、判定部は、蓄圧の際に、第2貯留部の内部の圧力の変化量に応じて空気量の異常を判定する。圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、前回の蓄圧解放時に洗浄液の排出が正常にできていない可能性がある。そのため、空気量の異常と判定して第2貯留部に洗浄液を入れ直すことで、第2貯留部を適切な空気量に調整できる。
【0134】
(C)(A)又は(B)に記載の洗浄液供給装置において、前記判定部は、前記複数の洗浄液吐出部のうちの少なくとも1つの洗浄液吐出部が洗浄液を吐出した際に、前記圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、前記空気量の異常として判定してもよい。
【0135】
この構成によれば、判定部は、洗浄液吐出部が洗浄液を吐出した際に、圧力の変化量に応じて空気量の異常を判定する。洗浄液吐出部が洗浄液を吐出した際に、圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、第2貯留部の空気量が減少している可能性がある。そのため、空気量の異常と判定して第2貯留部に洗浄液を入れ直すことで、第2貯留部を適切な空気量に調整できる。
【0136】
(D)(C)に記載の洗浄液供給装置は、前記第2貯留部から洗浄液を排出している際において、前記複数の洗浄液吐出部のうちの少なくとも1つの洗浄液吐出部が洗浄液の吐出の指示を受けた場合、前記制御部は、前記第2貯留部の洗浄液が前記基準液位まで排出されたか否かに関わらず、前記第2貯留部からの洗浄液の排出を中断し、前記第2貯留部に洗浄液を送液させてもよい。
【0137】
この構成によれば、第2貯留部から洗浄液を排出している際に洗浄液の吐出の指示を受けた場合、排出を中断して第2貯留部に洗浄液を送液させる。そのため、洗浄液を基準液位まで排出してから洗浄液を第2貯留部に送液する場合に比べ、洗浄液の吐出を速やかに行うことができる。
【0138】
(E)(A)~(C)に記載の洗浄液供給装置において、前記判定部は、前記蓄圧開放の際に、前記圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、前記空気量の異常として判定してもよい。
【0139】
この構成によれば、判定部は、蓄圧開放の際に、圧力の変化量に応じて空気量の異常を判定する。蓄圧開放の際に、圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、第2貯留部の空気量が減少している可能性がある。そのため、空気量の異常と判定して第2貯留部に洗浄液を入れ直すことで、第2貯留部を適切な空気量に調整できる。
【0140】
(F)(E)に記載の洗浄液供給装置は、前記第2貯留部から洗浄液を排出している際において、前記複数の洗浄液吐出部のうちの少なくとも1つの洗浄液吐出部が洗浄液の吐出の指示を受けた場合、前記制御部は、前記第2貯留部の洗浄液が前記基準液位まで排出されたか否かに関わらず、前記第2貯留部からの洗浄液の排出を中断し、前記第2貯留部に洗浄液を送液させてもよい。この構成によれば、上記洗浄液供給装置と同様の効果を奏することができる。
【0141】
(G)(A)~(F)に記載の洗浄液供給装置は、前記供給流路において、前記ポンプと前記第1貯留部との間に設けられたフィルターを有し、前記帰還流路は、前記フィルターと前記第1貯留部との間の前記供給流路に接続されてもよい。
【0142】
この構成によれば、帰還流路は、フィルターと第1貯留部との間の供給流路に接続される。そのため、第2貯留部から排出される洗浄液を、フィルターを介さずに第1貯留部に排出させることができる。
【0143】
(H)洗浄液供給装置は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部と前記第2貯留部とを連通する連通流路と、前記連通流路に設けられ、前記第1貯留部から前記第2貯留部への送液および、前記第2貯留部から前記第1貯留部への送液が可能な可逆式ポンプと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記可逆式ポンプを制御し、前記第2貯留部への蓄圧および蓄圧開放を制御する制御部と、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、前記第2貯留部の内部の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定する判定部と、を備え、前記制御部は、前記判定部が前記空気量の異常と判定した場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液の液面が基準液位になるまで前記第2貯留部に貯留される洗浄液を前記第1貯留部に排出した後に、再び前記第1貯留部から前記第2貯留部に洗浄液を送液させる。この構成によれば、上記洗浄液供給装置と同様の効果を奏することができる。
【0144】
(I)洗浄液供給装置は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、前記供給流路に設けられた第1ポンプと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、第2ポンプと、前記帰還流路に設けられた流路バルブと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記第1ポンプ、前記第2ポンプ、前記流路バルブ、及び前記大気開放バルブを制御し、前記第2貯留部への蓄圧および蓄圧開放を制御する制御部と、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、前記第2貯留部の内部の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定する判定部と、を備え、前記制御部は、前記判定部が前記空気量の異常と判定した場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液の液面が基準液位になるまで前記第2貯留部に貯留される洗浄液を前記第1貯留部に排出した後に、再び前記第1貯留部から前記第2貯留部に洗浄液を送液させる。この構成によれば、上記洗浄液供給装置と同様の効果を奏することができる。
【0145】
(J)(I)に記載の洗浄液供給装置において、前記第2ポンプは、前記帰還流路に設けられていてもよい。
この構成によれば、第2ポンプは、帰還流路に設けられている。第2ポンプを駆動することで、第2貯留部に貯留された洗浄液を排出することができる。
【0146】
(K)(I)に記載の洗浄液供給装置は、前記大気開放バルブが設けられた大気開放経路を更に備え、前記第2ポンプは、前記大気開放経路に設けられていてもよい。
この構成によれば、第2ポンプは、大気開放経路に設けられている。第2ポンプは、第2貯留部に空気を送り込むことで第2貯留部の圧力を高める。したがって、第2貯留部から洗浄液を排出する速度を速めることができる。
【0147】
(L)液体吐出装置は、(A)~(K)に記載の洗浄液供給装置と、それぞれが機能液を吐出すると共に、前記複数の洗浄液吐出部に対応して設けられた複数の液滴吐出ヘッドと、前記各液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭する複数のワイピング装置と、を備え、前記各洗浄液吐出部は、前記各液滴吐出ヘッドに洗浄液を吹き付ける。この構成によれば、上記洗浄液供給装置と同様の効果を奏することができる。
【0148】
(M)洗浄液供給装置の制御方法は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、前記供給流路に設けられたポンプと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、前記帰還流路に設けられた流路バルブと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、を備え、前記第2貯留部に対し前記第1貯留部が重力方向において低い位置に設けられた洗浄液供給装置の制御方法であって、前記第2貯留部の内部の圧力を検出することと、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定することと、前記空気量の異常が判定された場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液の液面が基準液位になるまで前記第2貯留部に貯留される洗浄液を前記第1貯留部に排出した後に、再び前記第1貯留部から前記第2貯留部に洗浄液を送液することと、を含む。この方法によれば、上記洗浄液供給装置と同様の効果を奏することができる。
【0149】
(N)洗浄液供給装置は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、前記供給流路に設けられたポンプと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、前記帰還流路に設けられた流路バルブと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記ポンプ、前記流路バルブ、及び前記大気開放バルブを制御し、前記第2貯留部への蓄圧および蓄圧開放を制御する制御部と、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、前記第2貯留部の内部の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定する判定部と、を備え、前記第2貯留部に対し前記第1貯留部は、重力方向において低い位置に設けられ、前記制御部は、前記判定部が前記空気量の異常と判定した場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させる。
【0150】
この構成によれば、判定部が第2貯留部の空気量を異常と判定した場合、制御部は、第2貯留部に貯留された洗浄液を循環させる。洗浄液は、帰還流路と供給流路を経由するため、帰還流路を洗浄液で満たすことができる。帰還流路が洗浄液で満たされると、サイフォンの原理による送液が可能になるため、第2貯留部内の液体を適切に排出できる。
【0151】
(O)(N)に記載の洗浄液供給装置において、前記判定部は、前記蓄圧の際に、前記圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、前記空気量の異常として判定する。
この構成によれば、判定部は、蓄圧の際に、第2貯留部の内部の圧力の変化量に応じて空気量の異常を判定する。圧力の単位時間当たりの変化量が大きい場合、前回の蓄圧解放時に洗浄液の排出が正常にできていない可能性がある。そのため、空気量の異常と判定して洗浄液を循環させることで、帰還流路を洗浄液で満たすことができる。
【0152】
(P)(N)又は(O)に記載の洗浄液供給装置は、前記供給流路において、前記ポンプと前記第1貯留部との間に設けられたフィルターを有し、前記帰還流路は、前記フィルターと前記第1貯留部との間の前記供給流路に接続されてもよい。
【0153】
この構成によれば、帰還流路は、フィルターと第1貯留部との間の供給流路に接続される。洗浄液は、フィルターを通って循環する。そのため、洗浄液に含まれる異物をフィルターによって捕捉することができる。
【0154】
(Q)(N)~(P)に記載の洗浄液供給装置において、前記制御部は、前記流路バルブを開放させた後に前記ポンプを駆動させることで、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させてもよい。
【0155】
この構成によれば、制御部は、まず流路バルブを開放させる。流路バルブが開放されると、第2貯留部に蓄えられた圧力によって第2貯留部の洗浄液が帰還流路を介して供給流路に押し出される。続いて制御部は、ポンプを駆動させる。ポンプは、供給流路に押し出された洗浄液を第2貯留部に送る。したがって、第2貯留部の圧力を利用して洗浄液を容易に循環させることができる。
【0156】
(R)洗浄液供給装置は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、前記供給流路に設けられたポンプと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、前記帰還流路に設けられた流路バルブと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記ポンプ、前記流路バルブ、及び前記大気開放バルブを制御し、前記第2貯留部への蓄圧および蓄圧開放を制御する制御部と、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、前記第2貯留部の内部の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定する判定部と、前記第2貯留部に貯留された洗浄液の液面の高さを検出する液位検出部と、を備え、前記第2貯留部に対し前記第1貯留部は、重力方向において低い位置に設けられ、前記制御部は、前記液位検出部が検出した液面の高さが液位閾値より高いと判定される場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させる。
【0157】
この構成によれば、第2貯留部に貯留された洗浄液の液面の高さが液位閾値より高いと判定される場合、制御部は、第2貯留部に貯留された洗浄液を循環させる。洗浄液は、帰還流路と供給流路を経由するため、帰還流路を洗浄液で満たすことができる。帰還流路が洗浄液で満たされると、サイフォンの原理による送液が可能になるため、第2貯留部内の液体を適切に排出できる。
【0158】
(S)液体吐出装置は、(N)~(R)に記載の洗浄液供給装置と、それぞれが機能液を吐出すると共に、前記複数の洗浄液吐出部に対応して設けられた複数の液滴吐出ヘッドと、前記各液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭する複数のワイピング装置と、を備え、前記各洗浄液吐出部は、前記各液滴吐出ヘッドに洗浄液を吹き付ける。この構成によれば、上記洗浄液供給装置と同様の効果を奏することができる。
【0159】
(T)洗浄液供給装置の制御方法は、洗浄液を貯留する第1貯留部と、洗浄液を貯留しているときに、内部に空気だまりが形成される蓄圧式の第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された洗浄液を、前記第2貯留部に送液する供給流路と、前記供給流路に設けられたポンプと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記第1貯留部に排出する帰還流路と、前記帰還流路に設けられた流路バルブと、前記第2貯留部を大気開放可能な大気開放バルブと、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出部と、を備え、前記第2貯留部に対し前記第1貯留部が重力方向において低い位置に設けられた洗浄液供給装置の制御方法であって、前記第2貯留部の内部の圧力を検出することと、前記圧力の単位時間当たりの変化量を基に、前記第2貯留部の空気量の異常を判定することと、前記空気量の異常が判定された場合、前記第2貯留部に貯留された洗浄液を、前記帰還流路から前記供給流路を経由して循環させることと、を含む。この方法によれば、上記洗浄液供給装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0160】
11…液体吐出装置、12…媒体、13…繰出部、14…搬送部、15…印刷部、16…巻取部、18…繰出軸、19…第1駆動ローラー、20…第2駆動ローラー、21…第1従動ローラー、22…第2従動ローラー、23…第3従動ローラー、24…第4従動ローラー、25…第1ニップローラー、26…第2ニップローラー、27…支持ドラム、28…回転軸、29…巻取軸、31…液滴吐出ヘッド、33…ノズル、34…ノズル面、36…ライト、38…遮蔽板、40…ヘッド移動機構、42…ワイピング装置、44…ケース、45…支持部、46…キャップ、47…第1清掃部、48…第2清掃部、50…払拭部、51…払拭部移動機構、53…洗浄液供給装置、54…供給機構、55…洗浄液吐出部、57…吐出口、59…制御部、61…判定部、63…第1貯留部、64…第2貯留部、65…供給流路、66…ポンプ、66f…第1ポンプ、66s…第2ポンプ、67…帰還流路、68…流路バルブ、69…大気開放バルブ、70…圧力検出部、71…フィルター、72…大気開放経路、73…個別流路、74…個別バルブ、76…空気だまり、77…液だまり、78…液面、80…連通流路、81…液位検出部、DD…排出方向、FD…搬送方向、JD…吐出方向、L1…基準液位、L2…下限液位、L3…液位閾値、MA…メンテナンス領域、MP…メンテナンス位置、PA…印刷領域、PP…印刷位置、SD…供給方向、WD…ワイピング方向、X…水平方向、Y…幅方向、Z…重力方向。
図1
図2
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図5
図6
図7