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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015741
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】函体
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20240130BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240130BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240130BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240130BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20240130BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240130BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H05K5/02 E
H05K5/02 L
H05K5/03 B
H04N5/222 100
G03B15/00 S
G03B17/08
G03B17/56 H
H02G3/08 080
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118015
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】松田 翔平
【テーマコード(参考)】
2H101
2H105
4E360
5C122
5G361
【Fターム(参考)】
2H101CC01
2H101CC52
2H105DD07
2H105EE05
2H105EE35
4E360AB08
4E360AB33
4E360BA08
4E360BA11
4E360BB02
4E360BB12
4E360BB17
4E360BB23
4E360BC05
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA05
4E360EA12
4E360EA18
4E360EB02
4E360EC05
4E360EC12
4E360EC13
4E360EC14
4E360EC16
4E360ED02
4E360ED04
4E360ED28
4E360ED30
4E360EE02
4E360EE20
4E360GA08
4E360GA29
4E360GA51
4E360GA53
4E360GA60
4E360GB06
4E360GC08
5C122DA11
5C122EA02
5C122EA57
5C122GD01
5C122GE04
5C122GE11
5C122GE20
5G361AA02
5G361AB09
5G361AC02
5G361AC05
5G361AC09
5G361AC10
(57)【要約】
【課題】
カメラ取付装置、或いは配線函に用いられて、防水効果が高くて、取付工事の作業性のよい函体の提供である。
【解決手段】
環状に形成されて内部を囲む外郭壁1を備えた函本体Dと、当該函本体Dの前面開口の全体を覆う蓋体Eとを備えた函体であって、前記函本体Dにおける前記外郭壁1の内側の空間は区画壁2により区画されて、区画された少なくとも一つの空間は、前記函本体Dの底壁4とにより囲まれて、配線類71を収容する内側内部空間3が形成され、前記函本体Dを構造物Fに直接又は間接に固定する固定ねじ(止着部材)72が挿通される貫通孔5a,5bを有する固定部が、前記内側内部空間3の外側である前記外郭壁1と前記区画壁2との間に設けられた構成とする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成されて内部を囲む外郭壁を備えた函本体と、当該函本体の前面開口の全体を覆う蓋体と、を備えた函体であって、
前記函本体における前記外郭壁の内側の空間は区画壁により区画されて、区画された少なくとも一つの空間は、前記函本体の底壁とにより囲まれて、配線類を収容する内部空間が形成され、
前記函本体を構造物に直接又は間接に固定する止着部材が挿通される貫通孔を有する固定部が、前記内部空間の外側である前記外郭壁と前記区画壁との間に設けられていることを特徴とする函体。
【請求項2】
前記内部空間には、その内部を前記函本体の前面側に臨ませる開口部が形成され、
前記開口部には、当該開口部と前記函本体の前面側を覆った状態の前記蓋体との間を止水する止水部が設けられ、
前記底壁の前記内部空間に臨む箇所に、前記函本体を構造物に直接的に又は間接的に固定するための固定部材が挿通される固定孔が、除去可能な閉鎖部により水密を保持して閉鎖された状態で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の函体。
【請求項3】
前記蓋体の前面側にカメラが固定されるカメラ固定部が設けられ、
前記各カメラ固定部における前記止水部で囲まれた前記開口部の直上に位置する部分には、前記蓋体を貫通することなく表面に窪み形成され、ねじ込まれるタッピングビスにより貫通される複数の固定凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の函体。
【請求項4】
前記蓋体は、軸支部により前記函本体に、前記開口部を閉塞する位置と開放する位置との間を回動可能なように連結され、前記軸支部は、前記開口部を閉塞する前記蓋体によって、覆い隠されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の函体。
【請求項5】
前記底壁の裏側には、構造物を締め付けて前記函本体を固定するための固定バンドが挿通されるバンド挿通孔が、前記内部空間と連通することなく、かつ、前記外郭壁の背面側よりも突出しない状態に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の函体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、監視カメラの取付け等に使用されて、内部に配線を収容するのに使用される函体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記函体の用途と同一のカメラ取付装置が、特許文献1に開示されている。このカメラ取付装置は、監視カメラ等のカメラ設置場所に固定される第1取付台部材12と、当該第1取付台部材12に対してヒンジ部22を介して開閉可能に結合された第2取付台部材14とを備え、第1及び第2の各取付台部材12,14とにより、カメラ配線を通す内部配線室20が形成され、取付工事を容易にでき、しかも外観イメージを向上できる利点があるとされている。
【0003】
上記のカメラ取付装置では、第1取付台部材12の底板30は、当該第1取付台部材12を設置面16に取付けるための取付部として機能しており、ねじ36が底板30の穴34を通して設置面16に締め付けられる構造である。
【0004】
このように、カメラ取付装置は、第1取付台部材12の底板30の穴34を通したねじ36によって設置面16に固定される。底板30の穴34は、設置面16の状況に応じて複数箇所に設けられており、使用しない穴34は、雨水が浸入しないように養生する必要がある。複数の穴34の全てを打抜き可能なノックアウト構造にして、必要な箇所のみを打ち抜いて穴を形成することで養生の必要はなくなるか、少なくとも固定に使用する箇所は、打ち抜く作業が必要となる。
【0005】
また、第1及び第2の各取付台部材12,14を結合している両側のヒンジ部が露出する構造であるため、露出構造の各ヒンジ部を覆う化粧カバー80が必要となって、部品点数の増大を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-323037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、カメラ取付装置、或いは配線函に用いられて、防水効果が高くて、取付工事の作業性のよい函体の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、環状に形成されて内部を囲む外郭壁を備えた函本体と、当該函本体の前面開口の全体を覆う蓋体と、を備えた函体であって、
前記函本体における前記外郭壁の内側の空間は区画壁により区画されて、区画された少なくとも一つの空間は、前記函本体の底壁とにより囲まれて、配線類を収容する内部空間が形成され、
前記函本体を構造物に直接又は間接に固定する止着部材が挿通される貫通孔を有する固定部が、前記内部空間の外側である前記外郭壁と前記区画壁との間に設けられていることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、函本体を構造物に固定する止着部材が挿通される貫通孔と前記内部空間とは、区画壁により分離・遮断されていて、前記貫通孔を通して函本体内に浸入する雨水等が前記内部空間に浸入することはないため、当該内部空間に収容される配線類が雨水等から保護される。
【0010】
また、請求項1の発明によれば、前記止着部材が挿通される貫通孔は、外郭壁の内側に認識しづらい配置状態で設けられ、当該外郭壁により当該止着部材及び未使用の貫通孔の双方が隠され、しかも通常時に函本体の前面開口の全体は蓋体で覆われるので、外観が良好になるのに加えて、未使用の貫通孔の露出により、作業者以外の工事関係者又は函体のユーザーに対して、「作業者の固定忘れ」ではないかといった勘違い又は不安を生じさせない。また、函本体を構造物に固定する固定部が当該函本体の外郭壁の内側に配置される構造であって、当該固定部が函本体の外側に張り出す形態とならないので、全体がすっきりして見栄えがよい。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記内部空間には、その内部を前記函本体の前面側に臨ませる開口部が形成され、
前記開口部には、当該開口部と前記函本体の前面側を覆った状態の前記蓋体との間を止水する止水部が設けられ、
前記底壁の前記内部空間に臨む箇所に、前記函本体を構造物に直接的に又は間接的に固定するための固定部材が挿通される固定孔が、除去可能な閉鎖部により水密を保持して閉鎖された状態で設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、底壁における内部空間に臨む箇所に形成された固定孔のみが、除去可能な閉鎖部により水密を保持して閉鎖されていて、当該内部空間の外側に形成された前記挿通孔は、一般の貫通孔構造であって、前記固定孔と異なって閉鎖されていないため、使用時には、閉鎖部の除去作業を行うことなく、そのまま使用できる。また、底壁に設けられた固定孔の閉鎖部を除去して、当該固定孔を使用して、函本体を構造物に固定する際においても、内部空間の外側に配置された前記貫通孔は、そのままの状態で放置して、雨水等の浸入防止の養生を行う必要がない。このように、区画壁の内側の内部空間の底壁に形成された固定孔は、必要に応じて閉鎖部を除去して使用可能であり、不使用時には、閉鎖されたままであるので、上記した養生の必要がない。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記蓋体の前面側にカメラが固定されるカメラ固定部が設けられ、
前記各カメラ固定部における前記止水部で囲まれた前記開口部の直上に位置する部分には、前記蓋体を貫通することなく表面に窪み形成され、ねじ込まれるタッピングビスにより貫通される複数の固定凹部が形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項3の発明によれば、前記蓋体の前面側のカメラ固定部に設けられた複数の固定凹部は、タッピングビスのねじ込みにより、初めて貫通される構造であるため、不使用の固定凹部は、非貫通のままで養生の必要がないし、タッピングビスのねじ込みにより貫通された固定凹部の貫通部の内周部には、当該タッピングビスのねじの雄ねじ部が喰い込んでいるので、雨水等に対する水密が保持されるので、養生の必要がない。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記蓋体は、軸支部により前記函本体に、前記開口部を閉塞する位置と開放する位置との間を回動可能なように連結され、前記軸支部は、前記開口部を閉塞する前記蓋体によって、覆い隠されることを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明によれば、函本体に対して蓋体全体を取り外すことなく、蓋体の回動操作のみにより、前記開口部の閉塞と開放とを簡単に行えるのに加えて、函本体に対して蓋体を回動可能に軸支する軸支部は、前記開口部を閉塞する前記蓋体により覆い隠される構造であるため、当該軸支部が露出せず、見栄えがよい。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記底壁の裏側には、構造物を締め付けて前記函本体を固定するための固定バンドが挿通されるバンド挿通孔が、前記内部空間と連通することなく、かつ、前記外郭壁の背面側よりも突出しない状態に形成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明によれば、前記バンド挿通孔は、前記内部空間と連通することなく、かつ、前記外郭壁の背面側よりも突出しない状態に形成されているため、前記バンド挿通孔に挿通された固定バンドにより、構造物に対して函本体の外郭壁が干渉することなく、当該函本体を構造物に固定できると共に、バンド挿通孔の使用の有無にかかわらず、当該バンド挿通孔の養生の必要がない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、函本体を構造物に固定する止着部材が挿通される貫通孔と配線類が収容される内部空間とは、区画壁により分離・遮断されていて、前記貫通孔を通して函本体内に浸入する雨水等が前記内部空間に浸入することはないため、当該内部空間に収容される配線類が雨水等から保護される。
また、本発明によれば、前記止着部材が挿通される貫通孔は、外郭壁の内側に認識しづらい配置状態で設けられ、当該外郭壁により当該止着部材及び未使用の貫通孔の双方が隠され、しかも通常時には、函本体の前面開口の全体は蓋体で覆われるので、外観が良好になるのに加えて、未使用の貫通孔の露出により、作業者以外の工事関係者又は函体のユーザーに対して、「作業者の固定忘れ」ではないかといった勘違い又は不安を生じさせない。また、函本体を構造物に固定する固定部が当該函本体の外郭壁の内側に配置される構造であって、当該固定部が函本体の外側に張り出す形態とならないので、全体がすっきりして見栄えがよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】蓋体Eが閉じられた状態の本発明に係るカメラ取付函Bの斜視図である。
図2】同じく蓋体Eが開いた状態のカメラ取付函Bの斜視図である。
図3】(a),(b)は、それぞれ函本体Dを正面側及び背面側から見た斜視図である。
図4】函本体Dの正面図に近い状態の斜視図である。
図5図4のX1 -X1 線断面図である。
図6図4のX2 -X2 線断面図である。
図7図4のX3 -X3 線断面図である。
図8図4のX4 -X4 線断面図である。
図9】(a),(b)は、それぞれ蓋体Eを正面側及び背面側から見た斜視図である。
図10】蓋体Eと、函本体D及び蓋体Eの各区画壁2,33の各先端部の間に配置されるシールパッキンPとの関係を示す斜視図である。
図11】蓋体Eの外側内部空間35aに取付けられるヒンジ体Hの斜視図である。
図12】(a),(b)は、それぞれ函本体Dと蓋体Eとをピン連結する途中の異なる状態の斜視図である。
図13】(a),(b)は、それぞれ函本体Dと蓋体Eとがピン連結された状態で、スライド当接体Sをスライドさせて、函本体Dと蓋体Eとを分離不能にする前後の斜視図である。
図14】スライド当接体Sにより分離不可とされた函本体Dに対して蓋体Eを開いた状態の蓋体Eのヒンジピン挿通支持体52及び函本体Dの開き止め体8の部分を断面して下方を見た図〔図13(b)のY-Y線断面図〕である。
図15】同じく函本体Dに対して蓋体Eを閉じた状態の図である。
図16】蓋体Eの表面側にカメラ支持アーム部81が固定されて、カメラに接続された配線類が函本体Dの内側内部空間3を通って外部に引き出された状態を示すカメラ取付函Bの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。カメラ取付函Bは、図1及び図2に示されるように、方形函状をなしていて、方形枠状に形成されて、内部の空間を囲む外郭壁1を備えた函本体Dと、当該函本体Dの前面開口の全体を覆う方形状の蓋体Eとから成る。当該函本体Dと蓋体Eとは、いずれも樹脂製であって、互いに設けられた一対の縦辺の一方の部分においてヒンジ連結され、函本体Dに対して蓋体Eは、函本体Dの前面開口を閉塞する位置と、当該前面開口を開放する位置との間を回動可能となっている。
【0022】
函本体Dは、図1図7に示されるように、前記外郭壁1の内側の空間が変則方形枠状の区画壁2により区画されて、当該区画壁2の内側の内側内部空間3は、カメラ(図示せず)に接続された後述の配線類71(図16参照)を収容する収容空間として機能する。当該内側内部空間3の底部には、図5及び図6に示されるように、外郭壁1の裏面側端面1aに対して所定高さだけ内側に嵩上げされた状態で底壁4が設けられている。函本体Dに形成された方形枠状をした前記区画壁2は、当該函本体Dの内部空間を区画する機能に加えて、当該区画壁2の先端面2aと、蓋体Eに設けられた同一形状の区画壁33の先端部とがシールパッキンPを介して互いに当接することで、函本体Dの前面開口が蓋体Eで閉塞された状態で、当該函本体Dと蓋体Eとの各内側内部空間3,34をシールする機能を果たしている。区画壁2における函本体Dの上下端部に配置される部分は、平板状をなしていて、当該函本体Dの外郭壁1と一体化されて、所定長だけ外郭壁1の前端面から前方にリブ状に突出して形成されている。一方、区画壁2における函本体Dの両側部に配置される部分は、当該部分の函本体Dの構造に対応して、長手方向(配置状態で上下方向)の中央部が外方に大きく膨出した膨出壁部2bが設けられた形状となっている。即ち、方形状の函本体Dの四隅部には、当該函本体Dを構造物F(図16参照)に固定する固定ねじ72(止着部材)を挿通させる計4個の貫通孔5a,5bが形成されていると共に、当該函本体Dの一側部には、蓋体Eをヒンジ連結するためのヒンジ連結ブロック体6,7及び開き止め体8が設けられていて、計4個の貫通孔5a,5b、ヒンジ連結ブロック体6,7及び開き止め体8は、外部に対してシールされた内側内部空間3の外側、即ち、前記区画壁2の外側に配置させる必要があるため、当該区画壁2は、上記したように変則方形枠状をなしている。
【0023】
函本体Dの区画壁2の内側の配線類71を収容する内側内部空間3とは別に、函本体Dの区画壁2の外側には、底壁を有しない外側内部空間9a,9bが前記内側内部空間3を挟んで設けられている。函本体Dにおけるヒンジ連結される側の外側内部空間9aは、図3(b)に示されるように、上下方向のほぼ全長に亘って連続し、しかも表裏に貫通した状態で設けられているが、他方の外側内部空間9bは、表面側が閉塞されて裏面側が開口した状態で、各コーナー部のみに分離して設けられている。ヒンジ部が形成された側の2個の貫通孔5aは、前記外側内部空間9aの内部に、外郭壁1の側壁部1bから所定長だけ離間し、しかも上下の各壁部1c,1dに近接した部分に部分的に形成された挿通孔形成板部10〔図3(b)及び図7参照〕に貫通して形成されている。一方、反ヒンジ連結部側の2個の貫通孔5bは、前記内側内部空間3の底壁4の延長部における上下方向に分離して形成された前記各外側内部空間9bに臨む部分に貫通して形成されている。このため、反ヒンジ連結部側の2個の貫通孔5bは、外郭壁1の側壁部1bに近接し、上下の各壁部1c,1dからは離間した位置に形成されている。この結果、ヒンジ連結部側の2個の貫通孔5aの間隔K1 は、反ヒンジ連結部側の2個の貫通孔5bの間隔K2 よりも広くなっている(K1 >K2 )。なお、図2図4及び図6において、11は、函本体Dにおける区画壁2の外側に開口されて、各貫通孔5bに挿通される固定ねじ72を、当該函本体Dの外側から挿通可能にするための固定ねじ挿通空間部を示す。
【0024】
函本体Dにおける上下方向に分離して配置された外側内部空間9bの表面側を閉塞する表面側空間閉塞部12には、図2図4図6及び図7に示されるように、蓋体Eにおける反ヒンジ連結部側のフリー端部を当該函本体Dに固定するビス73をねじ込み可能な雌ねじ孔13が形成されている。当該雌ねじ孔13は、ブッシュ圧入孔14に圧入された雌ねじブッシュ15にて形成される。
【0025】
また、図2図8に示されるように、底壁4の中央部には、大径の配線類引出し孔16がノックアウト板部17で閉塞されており、当該ノックアウト板部17に衝撃力を加えることで、当該配線類引出し0 16の内周面に対して全周に亘って接続する薄肉の接続部18が破断されて、前記ノックアウト板部17が打ち抜かれて、配線類引出し孔16が形成される。前記配線類引出し孔16は、当該ノックアウト板部17が残存した状態では、前記接続部18により水密を保持される。
【0026】
前記配線類引出し孔16の上下には、それぞれノックアウト板部22aで閉塞された小径の固定孔21aが設けられ、当該ノックアウト板部22aは、固定孔21aの内周面に対して全周に亘って接続部23aで水密を保持して接続されている。上記した配線類引出し孔16及び各固定孔21aは、いずれも底壁4に形成されているため、外郭壁1の裏面側端面1aに対して表面側に所定高さだけ嵩上げされた位置に設けられている。
【0027】
これに対して、函本体Dの射出成形時において、底壁4の裏面側における固定孔21bの成形部には、当該底壁4の嵩上げ高に相当する分だけ肉厚が増した状態で成形された部分厚肉部24が部分的に形成され、図8に示されるように、残りの多数の固定孔21bは、各部分厚肉部24〔図3(b)参照〕に形成されている。固定孔21bは、裏面側に偏在した位置に配置されるノックアウト板部22bで水密を保持して閉塞されている。
【0028】
また、図3図4及び図7に示されるように、函本体Dの内側内部空間3を構成する底壁4の上下端部が、横断面視で等脚台形状となって内側に膨出した底壁膨出部4aが形成されると共に、当該底壁膨出部4aの内側開口が閉塞板19で閉塞されることで、当該底壁4の裏面側にバンド挿通孔25が、前記内側内部空間3と連通することなく、しかも外郭壁1の裏面側端面1aに対して裏面側に突出しない状態で形成されている。当該バンド挿通孔25における開口に近い部分の横方向の中央部には、縦方向に沿ってバンド引掛け板部26が形成されている。前記各バンド挿通孔25に固定バンド74を挿通して、バンド引掛け板部26に引っ掛けて、当該固定バンド74を柱状物に結束させることで、函本体Dを柱状物に固定できる。函本体Dの上下の各壁部1c,1dにおける前記バンド引掛け板部26が形成された部分は、断面円形の柱状物に安定して設置可能なように、緩やかなV字状に形成された安定設置部29となっている。なお、バンド挿通孔25は、内側内部空間3と連通することなく設けられているので、その使用時及び非使用時を問わず、水密保持のための養生を行う必要はない。
【0029】
方形函状の函本体Dと、当該函本体Dの開口を覆う蓋体Eとは、互いに分離可能であって、しかもヒンジ連結状態では、当該ヒンジ連結が解除不能なように、対向する各縦辺の一方の部分においてヒンジ連結されている。函本体Dの対向する各縦辺の一方の部分である外側内部空間9aに、区画壁2の膨出壁部2bを挟むようにして、上下方向に沿って所定間隔をおいて平面視でL字状をした同一形状のヒンジ連結ブロック体6,7が、前記区画壁2の先端面2aから大きく前方に突出した状態で設けられている。各ヒンジ連結ブロック体6,7の先端部のピン孔形成板部6a,7a〔図3(a)参照〕に、蓋体Eに設けられる後述のヒンジピンR1 ,R2 を挿通するためのピン挿通孔6bが形成されている。なお、ピン孔形成板部7aのピン挿通孔は図示されていない。上方に配置されたヒンジ連結ブロック体6の直上には、函本体Dに対してヒンジ連結された蓋体Eの最大開角(実施例では、90°)を定めるための平面視でL字状の開き止め体8が、当該ヒンジ連結ブロック体6と同様に、前記区画壁2の先端面2aから大きく前方に突出した状態で設けられている。
【0030】
なお、函本体Dの外郭壁1の上下の各壁部1c,1dには、内側内部空間3に引き込まれた配線類を外部に引き出すための2個の配線類引出し孔27がそれぞれ形成され、非使用時には、各配線類引出し孔27は、閉塞キャップ28がねじ込まれている。
【0031】
次に、図1図2及び図9図16を参照して、函本体Dの前面開口を覆う蓋体Eについて説明する。蓋体Eは、函本体Dの全体形状に対応した浅底方形函状であって、底壁31と、当該底壁31の一方の対向辺部に設けられた平板状の上下の各壁部32a,32bと、当該底壁31の他方の対向辺部に設けられたわん曲板状の一対の側壁部32cとから成る。蓋体Eの内部空間は、前記函本体Dに設けられた区画壁2と同一形状の区画壁33により区画された内側内部空間34と、当該内側内部空間34の両側の一対の側壁部32cの内側に設けられた外側内部空間35a,35bとから成る。後述の一対のビス挿通孔63が形成される外側内部空間35bは、上下方向に分離して形成されている。区画壁33の先端面は、蓋体Eの開口端面よりも僅かに内側に配置されている。図16に示されるように、区画壁33における一対の側壁部32cと対向する部分は、函本体Dの区画壁2に比較して厚肉に形成されて、その先端部には、当該区画壁33の全体形状と同一の全体形状を有し、横断面が方形状のシールパッキンPを嵌入させるパッキン嵌入溝33aが形成されている。区画壁33における上下の各壁部32a,32bと対向する部分は、図16に示されるように、当該各壁部32a,32bと一体に形成されて、その先端部における当該各壁部32a,32bとの間にパッキン嵌入溝33aが形成されている。
【0032】
蓋体Eの底壁31における内側内部空間34の中央の大部分を占める部分は、各角部が面取りされた方形状の厚肉部31aが内側に突出して形成されて、当該蓋体Eの中央部には、当該蓋体Eの前面のカメラ固定部36にカメラ支持アーム部81を介して固定されるカメラの配線類を挿通させる配線類挿通孔37が、裏面側の前記厚肉部31aを貫通して形成されている。当該配線類挿通孔37は、その非使用時には、閉塞キャップ38がねじ込まれて閉塞される。図1に示されるように、蓋体Eの表面には、その前面に亘って多数の突条41が横方向に一定間隔Mをおいて縦方向に形成されている。蓋体Eの表面側の前記カメラ固定部36は、当該蓋体Eの裏面側の前記厚肉部31aに対応する部分であって、当該カメラ固定部36には、図1及び図16に示されるように、隣接する前記突条41の間には、固定凹部形成板部42が、多数の前記突条41の間隔と同一間隔Mをおいて設けられる。この結果、前記カメラ固定部36には、前記突条41と前記固定凹部形成板部42とで囲まれる正方形状の多数の凹部は、タッピングビス75がねじ込まれる固定凹部43となっている。蓋体Eの底壁31の裏面側に形成された前記厚肉部31aにおける前面側の多数の固定凹部43に対応する位置には、当該固定凹部43にねじ込まれたタッピングビス75が、連続してねじ込まれるねじ下孔44が非貫通状態で形成されている(図16参照)。このため、固定凹部43にねじ込まれたタッピングビス76がねじ下孔44を貫通しても、当該タッピングビス76とねじ下孔44との間は水密が保たれる。
【0033】
次に、図9図15を参照して、函本体Dに対して蓋体Eがヒンジ連結される構造について説明する。蓋体Eの裏面側の一方の外側内部空間35aには、ヒンジ体Hが取付けられている。当該ヒンジ体Hは、図7に示されるように、長尺方形状の本体板部51の表面側に、函本体Dの各ヒンジ連結ブロック体6,7の直上に配置される一対のヒンジピン挿通支持体52,53が所定間隔をおいて設けられている。上方のヒンジピン挿通支持体52は、本来のヒンジピンR1 ,R2 を支持する機能に加えて、函本体Dの開き止め体8と協働して、蓋体Eの最大開位置を定めると共に、函本体Dと蓋体Eとの分離を規制する機能を有しているため、別のヒンジピン挿通支持体53とは、全体形状が異なる。各ヒンジピン挿通支持体52,53は、複数又は1の中間板部52a,53aが設けられ、各中間板部52a,53aに設けられたピン挿通孔(図示せず)にヒンジピンR1 ,R2 が挿通される。
【0034】
図2及び図14に示されるように、函本体Dの前記開き止め体8におけるヒンジ連結部の側の端部であって、しかも当該函本体Dの開口から最も離れた部分には、断面方形状の当接部8aが、ヒンジ連結部の側(函本体Dと蓋体Eとが組み付けられた状態では、当該蓋体EのヒンジピンR1 ,R2 の側)に突設されている。なお、図14及び図15においては、図13(b)のY-Y線断面図とした場合には、同一形状の一対のヒンジ連結ブロック体6,7のうち上方のヒンジ連結ブロック体6が視認されるが、後述のスライド当接体Sと当接(干渉)するものは、下方のヒンジ連結ブロック体7であるので、特殊図法として、当該下方のヒンジ連結ブロック体7を図示してある。図11及び図14に示されるように、上方のヒンジピン挿通支持体52の外周面は、ヒンジピンR1 ,R2 の各軸心Cを中心とする断面半円弧状に形成され、当該ヒンジピン挿通支持体52における函本体Dの開き止め体8と対向する部分には、函本体Dの開き止め体8の当接部8aが挿入されて、函本体Dに対する蓋体Eの最大開角が90°となるように、断面略4分円弧状の廻り止め規制凹部54が形成されている。当該廻り止め規制凹部54の円弧方向に沿って対向する一方の内端面は、函本体Dの前記当接部8aが当接することで、函本体Dに対する蓋体Eの最大開位置を定める蓋体Eの廻り止め規制面54aとなっていると共に、当該廻り止め規制凹部54における当該廻り止め規制面54aに接続する部分は、ヒンジピン挿通支持体52の全長に亘って貫通して、開き止め体8の当接部8aが非当接(非干渉)の状態で相対的に通過可能な当接部抜き孔54bが形成されている。廻り止め規制凹部54における前記当接部抜き孔54bを除く残りの部分の底面は、函本体Dに対する蓋体Eの開角が最大開角を除く範囲において、開き止め体8の当接部8aが当接して、函本体Dと蓋体Eの分離を規制する当接規制面54cとなっている。なお、図11において、55は、後述のスライド当接体Sをスライド可能に嵌着される嵌着孔を示し、56は、ヒンジ体Hを蓋体Eの底壁31に固定するビスを挿通するビス挿通孔を示す。
【0035】
スライド当接体Sは、蓋体Eの底壁31における外側内部空間35aの下端部に設けられて被係止部39〔図13(b)参照〕に、左右方向にスライド可能に係止される。当該外側内部空間35aにヒンジ体Hが取付けられた状態では、当該スライド当接体Sは、ヒンジ体Hの本体板部51の下端部の嵌着孔55に嵌着された状態で手前側に大きく突出している。
【0036】
そして、蓋体Eの外側内部空間35aに取付けられたヒンジ体Hを介して函本体Dと当該蓋体Eとをヒンジ連結するには、以下のようにして行う。蓋体Eの各ヒンジピン挿通支持体52,53には、それぞれヒンジピンR1 ,R2 が挿通支持されていると共に、ヒンジ体Hの嵌着孔55には、スライド当接体Sが嵌着され、当該スライド当接体Sは、組付け時における下方のヒンジ連結ブロック体7との干渉回避のために、嵌着孔55の右端に配置されている。図12(a)に示されるように、函本体Dに対する蓋体Eの開角を90°に配置し、しかも各ヒンジピンR1 ,R2 の軸心Cと、函本体Dの各ヒンジ連結ブロック体6,7のヒンジピン形成板部6a,7aに形成されたピン挿入孔(図示せず)の軸心とを合致させた状態で、蓋体Eのヒンジ体Hの上方のヒンジピン挿通支持体52の当接部抜き孔54bに、函本体Dの開き止め体8の当接部8aを挿入させ、このままの状態で、函本体Dに対して蓋体Eを下降させると、図12(b)に示されるように、蓋体Eの各ヒンジピンR1 ,R2 が、函本体Dの各ヒンジ連結ブロック体6,7のピン挿入孔(図示せず)に挿入され、函本体Dの各ヒンジ連結ブロック体6,7の上面に、蓋体Eの各ヒンジピン挿通支持体52,53の下端面が当接すると、図13(a)に示されるように、函本体Dと蓋体Eとが組み付けられる。また、上下のヒンジピンR1 ,R2 の長さに関しては、下方のヒンジピンR2 の方が長く、先に当該下方のヒンジピンR2 の先端を位置決めした状態で、上方のヒンジピンR1 の位置合せ、及び函本体Dの当接部8aと蓋体Eの当接部抜き孔54bの位置合せができるので、作業性がよい。
【0037】
その後に、スライド当接体Sを左方にスライドさせて、図13(b)及び図14に示されるように、下方のヒンジ連結ブロック体7の下方に配置させると、嵌着孔55の左方に配置されたスライド当接体Sと、その直上の下方のヒンジ連結ブロック体7とが当接(干渉)することで、蓋体Eの下方のヒンジピン挿通支持体53と、蓋体Eに装着されたスライド当接体Sとで、函本体Dの下方のヒンジ連結ブロック体7が挟持されて、函本体Dに対して蓋体Eを上方に移動させられないので、函本体Dと蓋体Eとは、分離不能に組み付けられる。この状態で、一対のヒンジピンR1 ,R2 を回動支点として、函本体Dに対して蓋体Eを90°回動させて、当該函本体Dの開口を閉塞させると、図15に示されるように、函本体Dの開き止め体8の当接部8aは、蓋体Eの上方のヒンジピン挿通支持体52の外周部に形成された廻り止め規制凹部54の当接規制面54cに当接するので、直上の函本体Dのヒンジ連結ブロック体7に当接するスライド当接体Sと協働して、函本体Dに対する蓋体Eの上動が規制されて、使用中における函本体Dと蓋体Eとの分離が防止される。これらの上動規制により、上下を反転させた状態としても蓋体Eが外れない状態で使用できるので、右開きと左開きを変更できる。また、函本体Dと蓋体Eとを分離させるには、上記と逆の順序で各操作を行えばよい。
【0038】
なお、函本体Dの上下の各壁部1c,1d及び蓋体Eの上下の各壁部32a,32bにおけるヒンジ連結部の部分は、互いに干渉することなく函本体Dに対して蓋体Eが回動可能であって、しかも函本体Dの前面開口が蓋体Eにより覆われた状態において大きな隙間が発生しないように、それぞれヒンジピンR1 ,R2 の軸心Cを中心とした円弧状の円弧凹部1c1 ,1d1 及び円弧板部32a1 ,32b1 が形成されている。
【0039】
また、フリー状態の蓋体Eの反ヒンジ連結部側は、一対のビス73を介して函本体Dに固定される。即ち、図1図2図9及び図10に示されるように、蓋体Eの反ヒンジ連結部側の側壁部32cは、わん曲板部で形成されて、当該側壁部32cの上下端部には、上下方向に沿って所定幅を有するビス配置凹部61が形成されて、当該ビス配置凹部61の底部に、底板部62が外側内部空間35b内に配置された状態で形成され、当該底板部62にビス挿通孔63が形成されている。よって、函本体Dの前面開口を蓋体Eで覆った状態で、当該蓋体Eの前面側から前記ビス配置凹部61を通して各ビス挿通孔63に挿通された各ビス73を、函本体Dの雌ねじ孔13にねじ込むと、函本体D及び蓋体Eの各内側内部空間3,34の外側において、2本のビス73を介して蓋体Eのフリー端側の端部が函本体Dに固定される。なお、蓋体Eの底板部62と、函本体Dにおける当該底板部62の対向面との間には、環状パッキン64が配置されて、当該ビス固定部の水密が図られている。また、蓋体Eのフリー側端部で函本体Dにビス固定された状態において、前記ビス配置凹部61には、外周面が蓋体Eの側壁部32cのわん曲外面に対応した形状の閉塞体65が嵌め込まれて閉塞されることで、ビス73が隠蔽されると共に、当該閉塞体65のわん曲外面が、蓋体Eの側壁部32cのわん曲外面と無段差で連続することで、見栄えが良好となる。
【0040】
そして、上記したように、函本体Dに対して蓋体Eをヒンジ体Hを介してヒンジ連結した状態にして、当該函本体Dの外側内部空間9a,9bの底部に設けられた計4個の貫通孔5a,5bの全部に、又は必要な貫通孔5a,5bのみに、固定ねじ72を挿通して、構造物Fに対して函本体Dを固定する。函本体Dの固定に使用しない貫通孔5a,5bは、閉塞等の養生を行うことなくそのまま放置しておけばよい。
【0041】
次に、函本体Dに対して蓋体Eをヒンジ体Hを介してヒンジ連結した状態で、ヒンジピンR1 ,R2 の軸心Cを中心に前記蓋体Eを閉塞位置まで回動させて、前記函本体Dの前面開口の全体を覆うと共に、当該蓋体Eのフリー側端部の一対のビス挿通孔63に挿通された各ビス73を、函本体Dの各雌ねじ孔13にねじ込むと、図16に示されるように、函本体Dの区画壁2の先端面2aが、蓋体Eの区画壁33の先端面のパッキン嵌入溝33aに嵌入されたシールパッキンPに弾接される。これにより、函本体D及び蓋体Eの各区画壁2,33の内側の各内側内部空間3,34は、外側内部空間9a,9b及び同35a,35bと水密を保持して遮断される。請求項2で定義される「止水部」は、先端面2aが弾接面となって、函本体Dの内部に配置された区画壁2と、先端部にパッキン嵌入溝33aが形成されて蓋体Eの内部に配置された区画壁33と、当該区画壁33のパッキン嵌入溝33aに嵌入されるシールパッキンPとで構成される。
【0042】
このため、函本体Dの外側内部空間9a,9bの各底部に形成された各貫通孔5a,5b又は蓋体Eの外側内部空間35bに設けられた各ビス挿通孔63を通して、更には、函本体Dと蓋体Eとの隙間を通して、函本体D又は蓋体Eの内部に雨水等が浸入しても、当該雨水等は、函本体Dの外側内部空間9a,9b又は蓋体Eの外側内部空間35a,35bに浸入するのみであって、水密を保持して前記外側内部空間9a,9b,35a,35bと遮断されて、内部に配線類71が収容されている函本体Dの内側内部空間3及び蓋体Eの内側内部空間34に浸入することはない。従って、当該配線類71は、雨水等から保護される。
【0043】
函本体Dの内側内部空間3の底壁4に形成された配線類引出し孔16及び各固定孔21a,21bに関しては、不使用の各孔16,21a,21bは、各ノックアウト板部17,22a,22bで閉塞されているため、閉塞のための養生を行う必要はない。
【0044】
また、図1に示されるように、函本体Dと蓋体Eとをヒンジ連結する全ての部材、函本体Dを構造物Fに固定するための固定ねじ72及び当該固定ねじ72を挿通させる各貫通孔5a,5bは、函本体Dの前面開口を蓋体Eで覆うのみで、露出することなく、函本体Dと蓋体Eの内部に全て収容される構造であるため、カメラ取付函Bとしての見栄えもよい。
【0045】
なお、上記実施例では、函本体Dに対して蓋体Eは、ヒンジ連結されていて、開閉に便利な利点があるが、当該函本体Dに対する蓋体Eの取付け構造は、ヒンジ連結に限定されず、各コーナー部をビス止めする構造、その他の構造であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
B:カメラ取付函(函体)
C:ヒンジピンの軸心
D:函本体
E:蓋体
F:構造物
P:シールパッキン
1:外郭壁
2:函本体の区画壁
2a:区画壁の先端面
3:函本体の内側内部空間
4:函本体の底壁
5a,5b :貫通孔
16:配線類引出し孔
17:ノックアウト板部(閉鎖部)
18:接続部(閉鎖部)
21a,21b:固定孔
22a,22b:ノックアウト板部(閉鎖部)
23a,23b:接続部
25:バンド挿通孔
31:蓋体の底壁
33:蓋体の区画壁
33a:パッキン嵌入溝
34:蓋体の内側内部空間
35a,35b:蓋体の外側内部空間
36:カメラ固定部
43:固定凹部
72:固定ねじ(止着部材)
図1
図2
図3
図4
図5
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図16