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特開2024-157425火災警報システム及びそのための火災警報器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157425
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】火災警報システム及びそのための火災警報器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
G08B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071788
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 隆晴
(72)【発明者】
【氏名】小玉 隆広
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA08
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB05
5G405AD01
5G405CA25
(57)【要約】
【課題】連動して音声により発報を行う複数の火災警報器を備える火災警報システムにおいて、当該火災警報システムの監視領域内又は監視領域の近くにいる人等が、火元の場所を容易に特定できるようにする。
【解決手段】空間R1において火災F1が発生すると、火災警報器11はその火災を検知し、火災警報器12~14に火災を検知したことを示す指示信号を送信すると共に、男声で「火事です。」と発声し、周囲の人に火災の発生を通知する。火災警報器11から指示信号を受信した火災警報器12~14は、女声で「R1で火事です。」と発声し、周囲の人に火災の発生を通知する。建物2内、又は、建物2の近くにいる人は、火災警報器11が発音する男声の通知と、火災警報器12~14が発音する女声の通知とを容易に区別できるので、火元の場所を容易に認知できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を検知する検知手段と、
他の火災警報器に火災発生の通知を指示する指示信号を送信する送信手段と、
他の火災警報器から送信された前記指示信号を受信する受信手段と、
前記検知手段が火災を検知した場合に火災発生を通知するための第1の音高帯の音声を発音し、前記受信手段が前記指示信号を受信した場合前記第1の音高帯と異なる第2の音高帯の音声を発音する発音手段と
を備える火災警報器。
【請求項2】
前記第1の音高帯の上限は、前記第2の音高帯の下限よりも低い
請求項1に記載の火災警報器。
【請求項3】
前記第1の音高帯の音声の音色と、前記第2の音高帯の音声の音色とが異なる
請求項1に記載の火災警報器。
【請求項4】
前記第1の音高帯の音声による通知の内容を話す速度と、前記第2の音高帯の音声による通知の内容を話す速度とが異なる
請求項1に記載の火災警報器。
【請求項5】
前記発音手段は、他の火災警報器が前記第1の音高帯の音声を発音している間は前記第2の音高帯の音声を発音しない
請求項1に記載の火災警報器。
【請求項6】
前記受信手段が前記指示信号を受信した後に前記検知手段が火災を検知した場合、前記発音手段は前記第1の音高帯と前記第2の音高帯とのいずれとも異なる第3の音高帯の火災発生を通知するための音声を発音する
請求項1に記載の火災警報器。
【請求項7】
前記第3の音高帯の上限は、前記第2の音高帯の下限よりも低い
請求項6に記載の火災警報器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の火災警報器を複数、備える
火災警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災の発生を検知し発報する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
監視領域内に配置された複数の火災警報器を備え、いずれかの火災警報器が火災を検知した場合、火災を検知した火災警報器(以下、「火元の火災警報器」という)が自ら音を発して火災の発生を周囲の人等(人及び音認識が可能なロボット等の装置)に通知(以下、「発報」という)するとともに、他の火災警報器(以下、「火元以外の火災警報器」という)に信号を送信し、当該信号を受信した火元以外の火災警報器も発報する火災警報システムが知られている。
【0003】
上述した連動して発報する火災警報システムを記載している文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1においては、火災警報システムが備える複数の火災警報器の各々が、自装置の履歴情報に加え他の火災警報器の履歴情報を記憶することで、いずれかの火災警報器が火災等により破損し記憶していた履歴情報が失われても、その火災警報器の履歴情報を他の火災警報器から回収可能とする仕組みが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-61316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
連動して発報する複数の火災警報器を備える火災警報システムのあるものにおいては、例えば、火元の火災警報器が「火事です。」と発声する一方で、火元以外の火災警報器が「○○番で火事です。」と発声することで、周囲の人等に対し火元の場所を通知することが行われている。それらの音声を聞いた人等は、「火事です。」と発音している火災警報器の設置場所の近くが火元であること、また、火元以外の火災警報器が発音している音声の「○○番」が示す火災警報器の設置場所の近くが火元であることを知ることができる。
【0006】
しかしながら、火災警報器から発音された音声を聞いた人等が、複数の火災警報器の各々から発音される音声を聞き分けられない場合や、「○○番」等の音声が示す情報から火元の火災警報器の設置場所を特定できない場合がある。それらの場合、監視領域内又は監視領域の近くにいる人等は、火元の場所を特定することができない。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑み、連動して音声により発報を行う複数の火災警報器を備える火災警報システムにおいて、当該火災警報システムの監視領域内又は監視領域の近くにいる人等が、火元の場所を容易に特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、火災を検知する検知手段と、他の火災警報器に火災発生の通知を指示する指示信号を送信する送信手段と、他の火災警報器から送信された前記指示信号を受信する受信手段と、前記検知手段が火災を検知した場合に火災発生を通知するための第1の音高帯の音声を発音し、前記受信手段が前記指示信号を受信した場合に前記第1の音高帯と異なる第2の音高帯の音声を発音する発音手段とを備える火災警報器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る防災システムによれば、連動して音声により発報を行う複数の火災警報器を備える火災警報システムにおいて、当該火災警報システムの監視領域内又は監視領域の近くにいる人等が、火元の場所を容易に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る火災警報システムの構成の一例を示した図。
図2】一実施形態に係る火災警報器の構成の一例を示した図。
図3】一実施形態に係る火災警報システムの処理を示したシーケンス図。
図4】一変形例に係る火災警報器の構成の一例を示した図。
図5】一変形例に係る火災警報器の発声間隔を示した図。
図6】一変形例に係る火災警報器の構成の一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る火災警報システム1の構成の一例を示した図である。火災警報システム1は、火災警報器11~14で例示される複数の火災警報器を備える。以下、火災警報システム1が備える火災警報器の数は4つであるものとするが、火災警報システム1が備える火災警報器の数は2以上であればいずれの数であってもよい。また、以下、火災警報器11~14を互いに区別しない場合、それらを「火災警報器10」と総称する。
【0012】
火災警報器11~14は、互いに無線又は有線で接続され、通信できる。火災警報システム1は、建物2に設置される。建物とは、例えば、マンション等の集合住宅、ホテル、オフィスビル、商業施設である。火災警報器10の各々は、自装置が設置された空間における火災の発生を監視する。すなわち、火災警報器11~14の監視領域は、図1に示されるように、それぞれ、空間R1、空間R2、空間R3、及びR4である。
【0013】
図2は、火災警報器10の構成の一例を示した図である。火災警報器10は、検知手段101、送信手段102、受信手段103、発音手段104、及び記憶手段105を備える。
【0014】
検知手段101は、センサを備え、火災を検知する。検知手段101が備えるセンサとは、例えば、煙を検知する煙センサ、所定温度以上の熱を検知する熱センサ、撮影した画像から炎を検知する炎センサである。なお、検知手段101が備えるセンサの種類はこれらに限られない。また、検知手段101が2以上の異なる種類のセンサを備えてもよい。
【0015】
送信手段102は、火元の火災警報器(例えば、火災警報器11)の検知手段101が火災を検知した場合、他の火災警報器10(例えば、火災警報器12~14)に火災発生の通知を指示する指示信号を送信する。
【0016】
受信手段103は、火災を検知した他の火災警報器10が火災発生の通知を指示する指示信号を送信した場合、その指示信号を受信する。
【0017】
発音手段104は、スピーカを備え、火元の火災警報器(例えば、火災警報器11)の検知手段101が火災を検知した場合、第1の音高帯の音声を繰り返し発音し、監視領域内又は監視領域の近くにいる人等に火災の発生を通知(発報)する。また、火元以外の火災警報器(例えば、火災警報器12)の受信手段103が火元の火災警報器10(例えば、火災警報器11)から指示信号を受信した場合、第2の音高帯の音声を繰り返し発音し、監視領域内又は監視領域の近くにいる人等に火災の発生を通知(発報)する。
【0018】
また、火元以外の火災警報器10(例えば、火災警報器12)の受信手段103が火元の火災警報器10(例えば、火災警報器11)から指示信号を受信した後、火元以外の火災警報器10(この例では、火災警報器12)の検知手段101が新たな火災を検知した場合、それまで行っていた第2の音高帯の音声の発音を停止し、第3の音高帯の音声を繰り返し発音し、監視領域内又は監視領域の近くにいる人等に新たな火災の発生を通知(発報)する。
【0019】
記憶手段105は、発音手段104が発音する音声を表す音声データ(例えば、音波形データ)を記憶する。記憶手段105は、例えば、以下の3種類の音声データを記憶している。
・第1音声データV1:第1の音高帯(例えば、120~180Hz)の音声(低めの男声)で「火事です。」という文章を読み上げた音声データ。
・第2音声データV2:第2の音高帯(例えば、200~300Hz)の音声(女声)で「○○で火事です。」という文章を読み上げた音声データ。
・第3音声データV3:第3の音高帯(例えば、140~200Hz)の音声(高めの男声)で「火事です。」という文章を、第1音声データV1が表す音声と異なる速度で読み上げた音声データ。
【0020】
第2音声データV2が表す「○○で火事です。」の「○○」には、他の火災警報器10の監視領域を示す言葉が入る。従って、例えば、火災警報器11の記憶手段105は、第2音声データV2として、例えば、「R2で火事です。」、「R3で火事です。」、「R4で火事です。」という文章を読み上げた音声データを記憶している。また、火災警報器12の記憶手段105は、第2音声データV2として、例えば、「R1で火事です。」、「R3で火事です。」、「R4で火事です。」という文章を読み上げた音声データを記憶している。以下、それらの第2音声データV2を、以下のように枝番を付けて区別する。
・第2音声データV2-1:「R1で火事です。」
・第2音声データV2-2:「R2で火事です。」
・第2音声データV2―3:「R3で火事です。」
・第2音声データV2-4:「R4で火事です。」
【0021】
発音手段104は、記憶手段105から第1音声データV1、第2音声データV2、及び第3音声データV3を読み出して、それらの音声データが表す音声を再生する。第1音声データV1、第2音声データV2、及び第3音声データV3が表す音声は、人が発声した音を録音した音声であってもよいし、既知の音声合成技術により合成された音声であってもよい。
【0022】
第1音声データV1、第2音声データV2、及び第3音声データV3が表す音声は、互いに音色が異なる。音色とは、「聴覚に関する音の属性の一つで、物理的に異なる二つの音が、たとえ同じ音の大きさ及び高さであっても異なった感じに聞こえるとき、その相違に対応する属性」(JIS)である。例えば、音のスペクトルの分布の統計値が異なる音声は、音色が異なる音声である。
【0023】
発音手段104は、指示信号と共に送信元の火災警報器10の識別情報を受信し、識別情報に応じた第2音声データV2を記憶手段105から読み出して用いる。例えば、火元以外の火災警報器12は、火元の火災警報器11から指示信号を受信した場合、第2音声データV2-1が表す音声を発音する。
【0024】
[動作]
図3は、火災警報システム1の処理を示すシーケンス図である。以下、火災警報システム1の動作例として、例えば、空間R1において火災F1(図1参照)が発生し、その後、火災F1の延焼、又は火災F1の原因とは異なる原因により、空間R2において新たな火災F2が発生した場合を想定して説明する。
【0025】
空間R1において火災F1が発生すると、火災警報器11(検知手段101)は、火災F1の発生を検知する(ステップS1)。
【0026】
ステップS1において、火災警報器11が火災F1を検知すると、火災警報器11(発音手段104)は、記憶手段105に記憶された第1音声データV1が表す音声「火事です。」(低めの男声)を繰り返し発音する発報を開始する(ステップS2)。
【0027】
また、火災警報器11(送信手段102)は、火災警報器12~14に指示信号を送信する(ステップS3)。
【0028】
ステップS3において、火災警報器12~14(それぞれの受信手段103)が指示信号を受信すると、火災警報器12~14(それぞれの発音手段104)は、それぞれの記憶手段105に記憶している第2音声データV2-1が表す音声「R1で火事です。」(女声)を繰り返し発音する発報を開始する(ステップS4)。
【0029】
ステップS2及びステップS4における火災警報システム1の動作により、監視領域内又は監視領域の近くにいる人等は、火災F1が発生したこと、及び、火元が空間R1(火災警報器11の設置場所の近く)であることを認知することができる。
【0030】
この状況において、火災警報器11が発声する第1音声データV1が表す音声と、火災警報器12~14が発声する第2音声データV2(この例では、第2音声データV2-1)が表す音声とは、音高帯が異なるため、人等は、それらが同時に発音されても容易に聞き分けることができる。
【0031】
また、人は一般的に高めの音声よりも低めの音声に対し敏感に反応する傾向がある。そのため、火元である空間R1近くの火災警報器11が、火元以外の火災警報器12~14よりも低めの音声で発報することによって、周囲の人は火元の場所を認知しやすい。
【0032】
その後、火災F1の延焼又は新たな原因により、空間R2において火災F2が発生すると、火災警報器12が火災F2の発生を検知する(ステップS5)。なお、火災F2が発生しない場合、ステップS5以降の処理は行われない。
【0033】
ステップS5において、火災警報器12が火災F2の発生を検知すると、火災警報器12は、第3音声データV3が表す音声「火事です。」(高めの男声)を繰り返し発音する発報を開始する(ステップS6)。
【0034】
ステップS6の火災警報システム1の動作により、監視領域内又は監視領域の近くにいる人等は、新たな火災F2が空間R2(火災警報器12の設置場所の近く)において発生したことを認知することができる。
【0035】
この状況において、火災警報器11が発声する第1音声データV1が表す音声と、火災警報器12が発声する第3音声データV3が表す音声とは、共に男声であるが、音高帯が異なるため、人等は、それらが同時に発音されても容易に聞き分けることができる。また、火災警報器11が発声する第1音声データV1が表す音声と、火災警報器12が発声する第3音声データV3が表す音声とは、読み上げの速度が異なるため、人等は、それらをさらに容易に聞き分けることができる。
【0036】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の一実施形態であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形され得る。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0037】
[変形例1]
火元以外の火災警報器10(例えば、火災警報器12~14)の発音手段104は、火元の火災警報器10(例えば、火災警報器11)が音声を発音している間、音声を発音せず、火元の火災警報器10(例えば、火災警報器11)の発音手段104は、火元以外の火災警報器10(例えば、火災警報器12~14)が音声を発音している間、音声を発音しないように構成されてもよい。
【0038】
図4は、変形例1における火災警報器10の構成の一例を示した図である。変形例1において、火災警報器10は、計時手段106を備える。計時手段106は、所定の基準時刻からの経過時間を継続的に計測し、発音手段104に対し所定の時間間隔でクロック信号を出力する。
【0039】
図5は、変形例1における火災警報器10の発声間隔を示した図である。変形例1において、火元の火災警報器10(例えば、火災警報器11)の検知手段101が火災F1を検知すると、送信手段102が指示信号を他の火災警報器10(例えば、火災警報器12~14)に送信すると共に、発音手段104が第1音声データV1の表す音声の発音を開始する。その後、発音手段104は、指示信号を他の火災警報器10に送信した時刻を基準時刻tとして、基準時刻tから所定時間長Tの2倍、4倍、6倍、・・・(偶数倍)を加算した時刻、すなわち、時刻(t+2T)、時刻(t+4T)、時刻(t+6T)、・・・に、第1音声データV1が表す音声の発音を開始する。
【0040】
ここで、所定時間長Tは、例えば、第1音声データV1、第2音声データV2、及び第3音声データV3が表す音声の再生に要する時間のうち最長の時間に、所定の時間(例えば、3秒)を加えた時間である。従って、例えば、時刻tに発音が開始された第1音声データV1が表す音声は、時刻(t+T)より前にその発音が終了する。同様に、時刻(t+2T)、時刻(t+4T)、時刻(t+6T)、・・・に発音が開始された第1音声データV1が表す音声は、時刻(t+3T)、時刻(t+5T)、時刻(t+7T)、・・・より前にその発音が終了する。
【0041】
また、変形例1において、火元以外の火災警報器10(例えば、火災警報器12~14)の受信手段103が指示信号を受信すると、発音手段104は、受信手段103が指示信号を受信した時刻を基準時刻tとして、基準時刻tから所定時間長Tの1倍、3倍、5倍、・・・(奇数倍)を加算した時刻、すなわち、時刻(t+T)、時刻(t+3T)、時刻(t+5T)、・・・に、第2音声データV2が表す音声の発音を開始する。
【0042】
上述のように、所定時間長Tは、第2音声データV2が表す音声の再生に要する時間より長いので、時刻(t+T)、時刻(t+3T)、時刻(t+5T)、・・・に発音が開始された第2音声データV2が表す音声は、時刻(t+2T)、時刻(t+4T)、時刻(t+6T)、・・・より前にその発音が終了する。
【0043】
変形例1においては、上述したように各々の火災警報器10が、繰り返し再生する音声の各々の再生開始のタイミングを決定する結果、図5に示されるように、火元の火災警報器10が第1音声データV1の表す音声を発音する期間と、火元以外の火災警報器10が第2音声データV2の表す音声を発音する期間とが重なり合うことがない。従って、それらの音声の発音期間が重なり合う場合と比較し、監視領域内又は監視領域の近くにいる人等は、より容易に火元の場所を認知できる。
【0044】
また、火元以外の火災警報器10(例えば、火災警報器12)が新たな火災を検知した場合、その火災警報器10は、その後、図5の火元の火災警報器10(例えば、火災警報器11)が発音を行う期間に、第3音声データV3が表す音声を発音してもよい。
【0045】
この場合、新たな火元の火災警報器10(例えば、火災警報器12)は、火元以外の火災警報器10(火災警報器13、14)に指示信号を送信してもよい。そして、火元以外の火災警報器10は、新たな火元の火災警報器から指示信号を受信すると、所定時間長Tの発音期間内(時刻(t+T)、時刻(t+3T)、時刻(t+5T)、・・・に開始される期間内)に、第1の火元に応じた第2音声データV2が表す音声(例えば、第2音声データV2-1が表す「R1で火事です。」(女声))と、第2の火元に応じた第2音声データV2が表す音声(例えば、第2音声データV2-2が表す「R2で火事です。」(女声))のいずれかを交互に発音してもよい。
【0046】
また、上述のように、火元以外の火災警報器10が、所定時間長Tの発音期間内に第1の火元に応じた第2音声データV2が表す音声と、第2の火元に応じた第2音声データV2が表す音声を交互に発音する構成に代えて、例えば「R1とR2で火事です。」のように、第1の火元と第2の火元の組み合わせに応じた音声を発音してもよい。その場合、火災警報器10は、「R1とR2で火事です。」、「R1とR3で火事です。」・・・のように、様々な第1の火元と第2の火元の組み合わせに応じた第2音声データV2を記憶し、それらの第2音声データV2から火元の組み合わせに応じたものを選択して用いればよい。
【0047】
[変形例2]
火元の発音期間と、火元以外の発音期間をずらす変形例1とは異なる構成の例として、拾音手段により他の火災警報器が発音する音声を拾音し、その音声の発音が終了した後に自装置の発音を開始する構成が採用されてもよい。
【0048】
図6は、変形例2に係る火災警報器10の構成の一例を示した図である。変形例2において、火災警報器10は、拾音手段107を備える。拾音手段107は、マイクを備え、周囲の音を拾音して音データを生成する。
【0049】
変形例2において、火元の火災警報器10(例えば、火災警報器11)の検知手段101が火災を検知すると、送信手段102は指示信号を火元以外の火災警報器10(例えば、火災警報器12~14)に送信し、発音手段104は第1音声データV1が表す音声の発音を開始する。
【0050】
火元以外の火災警報器10(例えば、火災警報器12~14)の受信手段103が火元の火災警報器10(例えば、火災警報器11)から指示信号を受信すると、拾音手段107は、周囲の音を拾音し生成した音データを発音手段104に順次引き渡す。発音手段104は、拾音手段107から順次受け取る音データと、第1音声データV1とを照合することにより、火元の火災警報器10による音声の発音の終了タイミングを特定する。そして、発音手段104は、特定した終了タイミングから所定の時間(例えば、3秒)経過後に、第2音声データV2(例えば、第2音声データV2-1)が表す音声の発音を開始する。
【0051】
一方、火元の火災警報器10の発音手段104が、第1音声データV1が表す音声の発音を終了すると、拾音手段107は、周囲の音を拾音し生成した音データを発音手段104に順次引き渡す。発音手段104は、拾音手段107から順次受け取る音データと、第2音声データV2(例えば、第2音声データV2-1)とを照合することにより、火元以外の火災警報器10による音声の発音の終了タイミングを特定する。そして、発音手段104は、特定した終了タイミングから所定の時間(例えば、3秒)経過後に、第1音声データV1が表す音声の発音を開始する。
【0052】
変形例2においても、火元の火災警報器10の発音期間と、火元以外の火災警報器10の発音期間が重なり合うことがない。
【0053】
[その他]
上述した実施形態においては、火元の音声の音高帯は火元以外の音声の音高帯よりも低いものとしたが、火元の音声の音高帯が火元以外の音声の音高帯より高くてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態においては、火元の音高帯の音声の音色と、火元以外の音高帯の音声の音色とが異なるものとしたが、それらが同じでもよい。
【0055】
また、上述した実施形態においては、火元の音高帯の音声による通知の内容と、火元以外の音高帯の音声による通知の内容とが異なるものとしたが、それらが同じでもよい。
【0056】
また、上述した実施形態においては、第1音声データV1が表す音声の読み上げの速度と、第3音声データV3が表す音声の読み上げの速度が異なるものとしたが、それらが同じでもよい。また、第1音声データV1が表す音声の読み上げの速度と、第2音声データV2が表す音声の読み上げの速度を異ならせてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態においては、第2の火元の火災警報器10は第1の火元の火災警報器10と異なる音声を発音するものとしたが、第2の火元の火災警報器10が第1の火元の火災警報器10と同じ音声を発音してもよい。すなわち、第2の火元の火災警報器10が、第3音声データV3ではなく、第1音声データV1が表す音声を発音してもよい。
【0058】
また、上述した実施形態においては、第1音声データV1が表す音声の音高帯は例えば120~180Hzであり、第2音声データV2が表す音声の音高帯は例えば200~300Hzであり、それらの音高帯に重なり合う部分がないものとしたが、それらの音高帯の一部が重なり合ってもよい。例えば、第1音声データV1が表す音声の音高帯が120~200Hzであり、第2音声データV2が表す音声の音高帯は例えば180~300Hzであってもよい。
【0059】
また、上述した実施形態において、火災警報システム1は住宅用火災警報システムであるものとしたが、火災警報システム1の種類はこれに限られない。例えば、火災警報システム1が、自動火災報知設備等であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…火災警報システム、2…建物、10・11・12・13・14…火災警報器、101…検知手段、102…送信手段、103…受信手段、104…発音手段、105…記憶手段、106…計時手段、107…拾音手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6