(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157426
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】コンセント装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/713 20060101AFI20241030BHJP
H01R 25/00 20060101ALN20241030BHJP
【FI】
H01R13/713
H01R25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071789
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明義
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA16
5E021FC29
5E021MA21
5E021MB01
(57)【要約】
【課題】リセットスイッチのみの操作によって、遮断状態から復帰するとともに、報知動作が停止するコンセント装置を提供する。
【解決手段】コンセント装置1は、リセットスイッチ18と、リセット回路19とを有する。コンセント装置1において、電路L2が遮断状態及び警報機構が報知状態である場合、リセットスイッチ18が操作されると、リセット回路19へ信号が送られる。信号を受けたリセット回路19は、コイル用接点12を閉動作させるとともに、警報保持回路17へと停止信号を送る。コイル用接点12が閉状態になると、コイル11への電源供給が再開される。そして、電流が流れているコイル11は、電路用接点7を閉動作させて電路L2を導通させる。また、リセット回路19からの停止信号を受けた警報保持回路17は、LED点灯回路15及びブザー動作回路16の動作を停止して、報知動作を停止させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセント装置の異常を検出する検出回路と、コンセント装置の電路に設けられている電路用接点の開閉を操作する開閉操作部を介して前記電路を遮断する遮断機構と、コンセント装置の異常が発生したことを報知する警報機構とを備えたコンセント装置であって、
前記コンセント装置の動作をリセットするリセット機構として、操作可能なリセットスイッチと、リセット回路とを有し、
前記電路が遮断状態であり、且つ、前記警報機構が報知状態である場合において、前記リセットスイッチが操作されると、前記リセット回路は、前記開閉操作部を介して前記電路用接点を閉状態とすることによって、遮断された前記電路を復帰させるとともに、前記警報機構へ停止信号を送ることによって、前記警報機構の報知動作を停止させることを特徴とするコンセント装置。
【請求項2】
前記開閉操作部は、電流が流れると前記電路用接点を開動作させて前記電路の遮断を行うセットコイルと、電流が流れると前記電路用接点を閉動作させて前記電路の導通を行うリセットコイルとを有し、
前記検出回路が異常を検出したら、前記遮断機構は、前記セットコイルへ電流を流して前記電路の遮断を行い、
前記リセットスイッチが操作されると、前記リセット回路は、前記リセットコイルへ電流を流して前記電路の導通を行うことを特徴とする請求項1に記載のコンセント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は差し込まれたプラグを介して電気機器に電源を供給するコンセント装置に関し、漏電やトラッキング等の異常が発生したら電路を遮断する遮断機構を備えたコンセント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、漏電やトラッキング等の異常が発生したら電路を遮断するとともに異常を報知するコンセント装置であって、レバー操作によって電路を復帰するコンセント装置がある。例えば、特許文献1に記載のコンセント装置では、トラッキングが発生したら電路を遮断すると共にLEDをオンする。そして、レバーを操作することによって電路を復帰させ、報知停止スイッチを操作することによって報知動作が停止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記コンセント装置では、遮断状態から復帰するためにはレバー操作、報知動作を停止させるためには報知停止スイッチの操作と別々の作業を行う必要があり、復帰作業が複雑化してしまう問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題に鑑み、リセットスイッチのみの操作によって、遮断状態から復帰するとともに、報知動作が停止するコンセント装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コンセント装置の異常を検出する検出回路と、コンセント装置の電路に設けられている電路用接点の開閉を操作する開閉操作部を介して電路を遮断する遮断機構と、コンセント装置の異常が発生したことを報知する警報機構とを備えたコンセント装置であって、コンセント装置の動作をリセットするリセット機構として、操作可能なリセットスイッチと、リセット回路とを有し、電路が遮断状態であり、且つ、警報機構が報知状態である場合において、リセットスイッチが操作されると、リセット回路は、開閉操作部を介して電路用接点を閉状態とすることによって、遮断された電路を復帰させるとともに、警報機構へ停止信号を送ることによって、警報機構の報知動作を停止させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、開閉操作部は、電流が流れると電路用接点を開動作させて電路の遮断を行うセットコイルと、電流が流れると電路用接点を閉動作させて電路の導通を行うリセットコイルとを有し、検出回路が異常を検出したら、遮断機構は、セットコイルへ電流を流して電路の遮断を行い、リセットスイッチが操作されると、リセット回路は、リセットコイルへ電流を流して電路の導通を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検出回路によって異常を検知し電路の遮断、及び報知動作がなされた後、リセットスイッチが操作されると、リセット回路が、開閉操作部を介して電路用接点を閉状態にして電路を導通するとともに、警報機構へ停止信号を送ることで警報機構の報知動作を停止する構成である。したがって、リセットスイッチを操作するのみの簡易な作業によって、電路の復帰と、報知動作の停止とを同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るコンセント装置の実施形態を示す概略回路図である。
【
図2】本発明に係るコンセント装置の変形例を示す概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るコンセント装置1を示す概略回路図である。
コンセント装置1は、漏電やトラッキング等の異常を検出したら、電路の遮断及び警報動作を行う構成である。コンセント装置1において、2はコンセントの栓刃が挿入される刃受け部、3は一次側電源回路、4は二次側電源回路、5はコンセント装置1の漏電やトラッキング等の異常を検出する検出回路、6は検出回路5からの信号を増幅させる増幅回路、7は開閉する電路用接点である。
また、L1は図示されない電源から一次側電源回路3に繋がる電路、L2は図示されない電源から刃受け部2及び二次側電源回路4に繋がる電路を表している。
【0010】
コンセント装置1において、図示されない電源から供給される電流は、電路L1、L2夫々に供給される。電路L1を流れる電流は、一次側電源回路3に供給される。また電路L2を流れる電流は、刃受け部2及び二次側電源回路4に供給される。一次側電源回路3は、コンセント装置1の異常検出動作及び報知動作に用いられる電源回路である。二次側電源回路4は、コンセント装置1の動作テスト時に用いられる電源回路である。
【0011】
検出回路5は漏電やトラッキング等の異常を検知するための回路であって、漏電を検出するための回路や、トラッキングを検知するためのセンサ等の従来周知の機構部を備えた回路である。電路用接点7は、電路L2上に図示されない電源と、刃受け部2及び二次側電源回路4との間に設けられる開閉接点であって、閉状態において電路L2を導通し、開状態において電路L2を遮断する。
【0012】
また、コンセント装置1は、電路用接点7の開閉を操作する開閉操作部として、コイル11と、開閉するコイル用接点12とを有する。ここで、電路用接点7は、外部からの力が働いていない場合、開状態である。また、電路用接点7は、コイル11に電流が流れることによって発生する電磁力によって閉動作する。したがって、コイル11に電流が流れている間、電路用接点7は閉状態が維持される一方、コイル11に電流が流れなくなると、電路用接点7は開状態となる。コイル用接点12は、後述する電路遮断回路14及びリセット回路19によって開閉動作する接点である。コイル用接点12が開状態である場合、コイル11は電源供給されず電流が流れない。また、コイル用接点12が閉状態である場合、コイル11は電源供給されて電流が流れる。
【0013】
また、コンセント装置1は、開閉操作部を介して電路L2を遮断する遮断機構として、絶縁回路13と、電路遮断回路14とを有する。絶縁回路13は、検出回路5からの信号を増幅回路6を介して受け取った際に、電路遮断回路14へと信号を送る。電路遮断回路14は信号を受け取るとコイル用接点12を開動作させてコイル11への電源供給を停止する。そして、コイル11への電源供給が停止されることによって、コイル11には電流が流れなくなり電路用接点7が開状態となって、電路L2が遮断される。
【0014】
また、コンセント装置1は、検出回路5によって漏電やトラッキング等の異常が検出された際に報知動作を行う警報機構として、図示されないLEDを点灯させるLED点灯回路15と、図示されないブザーを鳴動させるブザー動作回路16と、LED点灯回路15及びブザー動作回路16の動作を制御するための警報保持回路17とを有する。
【0015】
また、コンセント装置1は、電路L2の復帰、及び警報動作の停止を行うためのリセット機構として、リセットスイッチ18と、リセット回路19とを有する。リセットスイッチ18は使用者によって物理的に押されるスイッチであって、例えば押しボタン式のスイッチや、切り替え式のスイッチである。コンセント装置1において、電路L2が遮断状態であり、且つ、警報機構が報知状態である場合、リセットスイッチ18が操作されると、リセット回路19へ信号が送られる。信号を受けたリセット回路19は、コイル用接点12を閉動作させるとともに、警報保持回路17へと停止信号を送る。コイル用接点12が閉状態となると、コイル11への電源供給が再開される。そして、電流が流れているコイル11は、電路用接点7を閉動作させて電路L2を導通させる。また、リセット回路19からの停止信号を受けた警報保持回路17は、LED点灯回路15及びブザー動作回路16の動作を停止して、報知動作を停止させる。
【0016】
また、コンセント装置1は、動作のテストを行うためのテスト機構として、テストスイッチ20と、テスト回路21とを有する。テストスイッチ20は、操作可能なスイッチであって、操作されることによって二次側電源回路4とテスト回路21とを接続して、テスト回路21へ電源供給する。電源供給されたテスト回路21は、検出回路5及び電路遮断回路14へと信号を送る。そして、テスト回路21からの信号を受けた検出回路5及び電路遮断回路14が、漏電やトラッキング等の異常が発生した際と同様の動作を行う。
【0017】
以下、コンセント装置1の動作手順について説明する。
コンセント装置1において、検出回路5が、漏電やトラッキング等の異常を検出したら、増幅回路6を介して絶縁回路13及び警報保持回路17へと信号を送る。検出回路5からの信号を受けた絶縁回路13は、電路遮断回路14によってコイル用接点12を開動作させてコイル11への電源供給を停止する。そして、コイル11に電流が流れなくなると電路用接点7が開状態となって電路L2が遮断される。また、検出回路5からの信号を受けた警報保持回路17は、LED点灯回路15及びブザー動作回路16を動作させて、LEDの点灯とブザーの鳴動とによる報知動作を行う。尚、コンセント装置1は、リセットスイッチ18が押されるまで電路L2の遮断状態、及び報知動作を維持する。
【0018】
続いて、コンセント装置1の漏電やトラッキング等の異常の原因が取り除かれた後、リセットスイッチ18が操作されると、リセット回路19へ信号が送られる。信号を受けたリセット回路19は、コイル用接点12を閉動作させるとともに、警報保持回路17へと停止信号を送る。そして、コイル用接点12が閉状態となることで、コイル11への電源供給が再開され、電流が流れているコイル11は、電路用接点7を閉動作させて電路L2を導通させる。また、停止信号を受けた警報保持回路17は、LED点灯回路15及びブザー動作回路16の動作を停止して、報知動作を停止させる。
【0019】
上述したような実施形態のコンセント装置1によれば、検出回路5によって漏電やトラッキング等の異常を検知し電路L2の遮断、及び報知動作がなされた後、リセットスイッチ18が操作されると、リセット回路19が、コイル用接点12を閉動作させることによって電路用接点7を閉状態にして電路L2を導通させるとともに、警報保持回路17へ停止信号を送ることで報知動作を停止させる構成である。したがって、リセットスイッチ18を操作するのみの簡易な作業によって、電路L2の復帰と、報知動作の停止とを同時に行うことができる。
【0020】
図2は、コンセント装置1の変形例であるラッチングリレー形式の開閉操作部を採用したコンセント装置1aを示す概略回路図である。尚、
図1に示したコンセント装置1と同様の効果を示す構成については、
図1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0021】
コンセント装置1aは、電路用接点7の開閉を操作するラッチングリレー形式の開閉操作部として、セットコイル22と、リセットコイル23とを有する。セットコイル22は、検出回路5が漏電やトラッキング等の異常を検出した際、電路遮断回路14によって電流が流れるコイルである。また、セットコイル22は、電流が流れると電路用接点7を開動作させる。リセットコイル23は、リセットスイッチ18が操作された際、リセット回路19によって電流が流れるコイルである。また、リセットコイル23は、電流が流れると電路用接点7を閉動作させる。また、ラッチングリレー形式であるため、セットコイル22及びリセットコイル23に電流が流れていない場合、電路用接点7は、最後にセットコイル22又はリセットコイル23に電流が流れた時の開閉状態を維持する。
【0022】
以下、コンセント装置1aの動作手順について説明する。
コンセント装置1aにおいて、検出回路5が、漏電やトラッキング等の異常を検出したら、増幅回路6を介して絶縁回路13及び警報保持回路17へと信号を送る。検出回路5からの信号を受けた絶縁回路13は、電路遮断回路14によってセットコイル22へ電流を流す。電流が流れたセットコイル22は、電路用接点7を開動作させて電路L2を遮断する。また、検出回路5からの信号を受けた警報保持回路17は、LED点灯回路15及びブザー動作回路16を動作させて、LEDの点灯とブザーの鳴動とによる報知動作を行う。尚、コンセント装置1aは、リセットスイッチ18が押されるまで電路L2の遮断状態、及び報知動作を維持する。
【0023】
続いて、コンセント装置1aの漏電やトラッキング等の異常の原因が取り除かれた後リセットスイッチ18が操作されると、リセット回路19へ信号が送られる。信号を受けたリセット回路19は、リセットコイル23へと電流を流すとともに、警報保持回路17へと停止信号を送る。そして、電流が流れたリセットコイル23は、電路用接点7を閉動作させて、電路L2を導通させる。また、停止信号を受けた警報保持回路17は、LED点灯回路15及びブザー動作回路16の動作を停止して、報知動作を停止させる。
【0024】
上述したような実施形態のコンセント装置1aによれば、ラッチングリレー形式の開閉操作部を採用しているため、電路L1側への電源供給が途切れたとしても、電路L2側への電源供給は妨げられずに安定した動作が可能となる。また、停電によって一時的にコンセント装置1aへの電源供給が途絶えたとしても、電路用接点7は閉状態を維持するため、導通状態が変化しない。
【0025】
なお、本発明に係るコンセント装置は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、コンセント装置の全体的な構成は勿論、電路を遮断する構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0026】
1,1a・・コンセント装置、2・・刃受け部、3・・一次側電源回路、4・・二次側電源回路、5・・検出回路、6・・増幅回路、7・・電路用接点、11・・コイル(開閉操作部)、12・・コイル用接点(開閉操作部)、13・・絶縁回路(遮断機構)、14・・電路遮断回路(遮断機構)、15・・LED点灯回路(警報機構)、16・・ブザー動作回路(警報機構)、17・・警報保持回路(警報機構)、18・・リセットスイッチ(リセット機構)、19・・リセット回路(リセット機構)、20・・テストスイッチ(テスト機構)、21・・テスト回路(テスト機構)、22・・セットコイル(開閉操作部)、23・・リセットコイル(開閉操作部)、L1,L2・・電路。