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特開2024-157430情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157430
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20241030BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20241030BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071795
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 将人
(72)【発明者】
【氏名】森部 博貴
(72)【発明者】
【氏名】飯島 光一朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀典
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 征司
(72)【発明者】
【氏名】宮川 純一
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】設備の運用仕様および設備仕様に応じたサービス組合せを予め定義しておくこと無しに、設備の運用仕様および設備仕様に応じたアプリケーションの構築を可能にする。
【解決手段】運用仕様毎に、処理種別に属する処理を表す運用仕様データと、設備仕様毎に、設備と設備から出力される出力データとを表す設備仕様データが用意される。サービス仕様データが、サービス毎に、処理、設備、入力データおよび出力データを表す。情報処理装置は、対象設備群の運用仕様に対応の運用仕様データが表す処理と、対象設備群の制御仕様に対応の設備仕様データが表す設備および出力データとに対応のサービスをサービス仕様データから探す。見つかった各サービスの入力データが別サービスまたは設備の出力データから充足される場合、情報処理装置は、見つかったサービスをデータの入出力の関係から定まる実行順序で実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数の設備、または、当該一つまたは複数の設備を制御する装置である監視制御装置と通信可能に接続されるインターフェース装置と、
運用仕様毎の運用仕様データ、設備仕様毎の設備仕様データ、および、サービス仕様データを記憶する記憶装置と、
前記インターフェース装置および前記記憶装置に接続されたプロセッサと
を備え、
運用仕様毎に、前記運用仕様データは、一つまたは複数の処理種別の各々について当該処理種別に属する一つまたは複数の処理を表し、
設備仕様毎に、前記設備仕様データは、一つまたは二つ以上の設備である設備群と、当該設備群から出力される一つまたは複数の出力データとを表し、
前記サービス仕様データは、サービス毎に、当該サービスが行う処理と、当該サービスに対応の設備群と、当該サービスが行う処理のための入力データと、当該サービスが行う処理の結果となる出力データとを表し、
前記プロセッサは、
(A)運用対象の一つ以上の設備である対象設備群の運用仕様に対応の運用仕様データと、前記対象設備群の制御仕様に対応の設備仕様データとを取得し、
(B1)(A)で取得された運用仕様データが表す処理と、(A)で取得された設備仕様データが表す設備群および出力データとに対応の一つまたは二つ以上のサービスを前記サービス仕様データから探し、
(B2)(B1)で見つかった一つまたは二つ以上のサービスの各々について、当該サービスに必要な入力データが、前記一つまたは二つ以上のサービスのうち当該サービス以外のサービスの出力データと、(A)で取得された設備仕様データが表す出力データとのうちの少なくとも一部から充足されるか否かを判定し、
(B2)の判定結果が真の場合、(C)見つかったサービスをデータの入出力の関係から定まる実行順序で実行させることで、前記対象設備群を制御するための制御信号を前記インターフェース装置から前記対象設備群または前記監視制御装置に出力する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
(B2)の判定結果が偽の場合、(B3)入力データが充足されないサービス毎に当該サービスの入力データを充足する出力データに対応したサービスを前記サービス仕様データから探し、
(B4)(B3)で見つかったサービスを含む二つ以上のサービスの各々について、当該サービスに必要な入力データが、当該二つ以上のサービスのうち当該サービス以外のサービスの出力データと、(A)で取得された設備仕様データが表す出力データとのうちの少なくとも一部から充足されるか否かを判定し、
(B4)の判定結果が真の場合、(C)を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
(B4)の判定結果が偽の場合、(B5)入力データが充足されないサービス毎に、外部の装置から取得可能なデータである外部データのうち、当該サービスの入力データを充足可能な外部データを探し、
入力データが充足されない各サービスについて(B5)で外部データが見つかった場合、見つかった外部データの取得と(C)とを行う、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記インターフェース装置に、情報処理端末が通信可能に接続されており、
入力データの充足が不可のサービスがある場合、前記プロセッサは、当該サービスのIDと不足の入力データとを表す情報を、前記インターフェース装置から前記情報処理端末に出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記サービス仕様データは、サービス毎に、
前記サービス仕様データが表す入力データとして、入力データの標本データを含み、
前記サービス仕様データが表す出力データとして、出力データの標本データを含み、
前記設備仕様データは、出力データの標本データを含み、
(B2)において、前記プロセッサは、前記見つかった一つまたは二つ以上のサービスのうちの第1のサービスに対応の入力データの標本データと、前記見つかった一つまたは二つ以上のサービスのうちの第2のサービスに対応の出力データの標本データ、または、前記設備仕様データにおける標本データとの類似度が所定の条件を満たしている場合に、第1のサービスの入力データが充足されると判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記運用対象の一つまたは複数の設備の各々は、発電設備または蓄電設備であり、
前記一つまたは複数の処理種別は、予測処理を含み、
複数のサービスは、予測値を算出するための予測モデルを構築するサービスと、予測モデルを用いて予測値を算出するサービスと、予測値を算出するサービスとのうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記運用対象の一つまたは複数の設備の各々は、発電設備または蓄電設備であり、
前記一つまたは複数の処理種別は、計画処理を含み、
複数のサービスは、設備の運用計画の最適化モデルを構築するサービスと、最適化モデルを用いて最適化処理を行うサービスと、計画の作成を行うサービスとのうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
(A)コンピュータが、対象設備群の運用仕様に対応の運用仕様データと、前記対象設備群の制御仕様に対応の設備仕様データとを取得し、
前記対象設備群は、運用対象の一つまたは複数の設備であり、
運用仕様毎に、前記運用仕様データは、一つまたは複数の処理種別の各々について当該処理種別に属する一つまたは複数の処理を表し、
設備仕様毎に、前記設備仕様データは、一つまたは二つ以上の設備である設備群と、当該設備群から出力される一つまたは複数の出力データとを表し、
(B1)コンピュータが、(A)で取得された運用仕様データが表す処理と、(A)で取得された設備仕様データが表す設備群および出力データとに対応の一つまたは二つ以上のサービスをサービス仕様データから探し、
前記サービス仕様データは、サービス毎に、当該サービスが行う処理と、当該サービスに対応の設備群と、当該サービスが行う処理のための入力データと、当該サービスが行う処理の結果となる出力データとを表し、
(B2)コンピュータが、(B1)で見つかった一つまたは二つ以上のサービスの各々について、当該サービスに必要な入力データが、前記一つまたは二つ以上のサービスのうち当該サービス以外のサービスの出力データと、(A)で取得された設備仕様データが表す出力データとのうちの少なくとも一部から充足されるか否かを判定し、
(B2)の判定結果が真の場合、コンピュータが、(C)見つかったサービスをデータの入出力の関係から定まる実行順序で実行させることで、前記対象設備群を制御するための制御信号を出力する、
情報処理方法。
【請求項9】
一つまたは複数の設備と、
前記一つまたは複数の設備、または、当該一つまたは複数の設備を制御する装置である監視制御装置と通信可能に接続された情報処理装置と
を備え、
(A)前記情報処理装置は、運用対象の一つ以上の設備である対象設備群の運用仕様に対応の運用仕様データと、前記対象設備群の制御仕様に対応の設備仕様データとを取得し、
運用仕様毎に、前記運用仕様データは、一つまたは複数の処理種別の各々について当該処理種別に属する一つまたは複数の処理を表し、
設備仕様毎に、前記設備仕様データは、一つまたは二つ以上の設備である設備群と、当該設備群から出力される一つまたは複数の出力データとを表し、
(B1)前記情報処理装置は、(A)で取得された運用仕様データが表す処理と、(A)で取得された設備仕様データが表す設備群および出力データとに対応の一つまたは二つ以上のサービスをサービス仕様データから探し、
前記サービス仕様データは、サービス毎に、当該サービスが行う処理と、当該サービスに対応の設備群と、当該サービスが行う処理のための入力データと、当該サービスが行う処理の結果となる出力データとを表し、
(B2)前記情報処理装置は、(B1)で見つかった一つまたは二つ以上のサービスの各々について、当該サービスに必要な入力データが、前記一つまたは二つ以上のサービスのうち当該サービス以外のサービスの出力データと、(A)で取得された設備仕様データが表す出力データとのうちの少なくとも一部から充足されるか否かを判定し、
(B2)の判定結果が真の場合、前記情報処理装置は、(C)見つかったサービスをデータの入出力の関係から定まる実行順序で実行させることで、前記対象設備群を制御するための制御信号を前記対象設備群または前記監視制御装置に出力する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、情報処理に関し、例えば、設備の運用のためのアプリケーション構築に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や蓄電池などの電源は広く分散して設置されることから分散電源と呼ばれている。これらの分散電源を統括的に監視制御する技術として、分散電源管理システム(Distributed Energy Resource Management Systems:DERMS)が知られている。分散電源の運用仕様(例えば運用目的)および設備仕様は多岐にわたる。分散電源の運用仕様および設備仕様に合わせて、都度、運用のためのアプリケーション(サービス)を構築すると、合理性が損なわれることから、既存の機能を組み合わせながら運用仕様および設備仕様の違いを柔軟に吸収することが望ましい。
【0003】
既存の機能の組み合わせに関する技術として、例えば、特許文献1および2に開示の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-52510号公報
【特許文献2】特開2011-175482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に開示の技術を、分散電源の運用のためのアプリケーション(ソフトウェア)の構築に適用しても、運用仕様および設備仕様の違いを柔軟に吸収することはできない。なぜなら、特許文献1および2のいずれに開示の技術も、サービス組合せ(複数の機能(モジュール化されたサービス)の組み合わせ)を予め定義しておく必要があるからである。また、特許文献1および2のいずれにおいても、設備仕様に基づく機能組合せの開示も示唆も無い。
【0006】
このような課題は、分散電源以外の電源(例えば単一の電源)の運用や、電源以外の設備の運用についてもあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
情報処理装置は、一つまたは複数の設備、または、当該一つまたは複数の設備を制御する装置である監視制御装置と通信可能に接続される。運用仕様毎の運用仕様データと、設備仕様毎の設備仕様データと、サービス仕様データとが用意される。運用仕様毎に、運用仕様データは、一つまたは複数の処理種別の各々について当該処理種別に属する一つまたは複数の処理を表す。設備仕様毎に、設備仕様データは、一つまたは二つ以上の設備である設備群と、当該設備群から出力される一つまたは複数の出力データとを表す。サービス仕様データは、サービス毎に、当該サービスが行う処理と、当該サービスに対応の設備群と、当該サービスが行う処理のための入力データと、当該サービスが行う処理の結果となる出力データとを表す。情報処理装置は、下記を行う。
(A)運用対象の一つ以上の設備である対象設備群の運用仕様に対応の運用仕様データと、対象設備群の制御仕様に対応の設備仕様データとを取得する。
(B1)(A)で取得された運用仕様データが表す処理と、(A)で取得された設備仕様データが表す設備群および出力データとに対応の一つまたは二つ以上のサービスをサービス仕様データから探す。
(B2)(B1)で見つかった一つまたは二つ以上のサービスの各々について、当該サービスに必要な入力データが、一つまたは二つ以上のサービスのうち当該サービス以外のサービスの出力データと、(A)で取得された設備仕様データが表す出力データとのうちの少なくとも一部から充足されるか否かを判定する。
(B2)の判定結果が真の場合、(C)見つかったサービスをデータの入出力の関係から定まる実行順序で実行させることで、対象設備群を制御するための制御信号を対象設備群または監視制御装置に出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設備の運用仕様および設備仕様に応じたサービス組合せを予め定義しておくこと無しに、設備の運用仕様および設備仕様に応じたアプリケーションの構築を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施の形態による情報処理システムの構成を示す図である。
図2】第一の実施の形態による情報処理装置の構成を示す図である。
図3】第一の実施の形態による情報処理システムのデータフローを示す図である。
図4】第一の実施の形態による情報処理システムの処理フローを示す図である。
図5】第一の実施の形態によるサービス選択処理のデータフローを示す図である。
図6】第一の実施の形態による運用指定データのデータ内容を示す図である。
図7】第一の実施の形態による運用仕様データのデータ内容を示す図である。
図8】第一の実施の形態による設備仕様データのデータ内容を示す図である。
図9】第一の実施の形態によるサービス仕様データのデータ内容を示す図である。
図10】第一の実施の形態による外部仕様データのデータ内容を示す図である。
図11A】比較例によるサービスフロー構築の例を示す図である。
図11B】第一の実施の形態によるサービスフロー構築の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボードおよびポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0011】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0012】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の永続記憶デバイスである。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)であり、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。
【0013】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0014】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスである。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部または全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0015】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置および/またはインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0016】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第一の実施の形態
(1-1)本実施の形態による情報処理システムの構成
【0017】
図1は、本実施の形態による情報処理システムの構成を示す。
【0018】
情報処理システム11は、エネルギーに関する設備の監視制御運用に関わる複数のマイクロサービスを保持する。情報処理システム11は、監視制御運用の仕様に合わせて適合する二つ以上(または一つ)のマイクロサービスを選択し、選択された二つ以上(または一つ)のマイクロサービスを順次実行させる。
【0019】
情報処理システム11は、情報処理装置1、仕様登録装置4、サービス登録装置5、監視制御装置6、制御設備7、情報入出力端末8および外部情報配信装置9から構成される。情報処理装置1は、サービス制御装置2およびサービス管理装置3から構成される。これらの要素1~9が、通信経路10を介して通信する。通信経路10は、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)のような通信ネットワークであり、情報処理システム11を構成する各種要素を互いに通信可能に接続する。
【0020】
サービス制御装置2は、保有している設備仕様データおよび運用仕様データに適合するマイクロサービスを、サービス管理装置3に格納されているサービス仕様データ(マイクロサービス毎の仕様を表すデータ)を基に選択し、選択したマイクロサービスの順次実行を実行させるための制御データをサービス管理装置3に送信する。
【0021】
制御設備7は、エネルギーの生産や消費に関わる設備であり、例えば、エネルギー生産設備(例えば、発電機や蓄電池)、エネルギー消費設備(例えば、空調や照明)、もしくはデマンドレスポンス(エネルギー消費設備の消費量抑制)による見かけ上のエネルギー生産設備などである。
【0022】
「設備仕様」とは、本実施形態では、制御運用対象の一つまたは複数の制御設備7(例えば、分散電源)の仕様である。制御設備7毎に、設備仕様は、制御設備7に関する固定的な仕様(例えば、容量、最大出力または最小出力)、変動的な仕様(例えば、残容量や現在の出力)、および、制約としての仕様(例えば、稼働可能な時間帯)のうちの少なくとも一部がある。従って、制御設備7毎に、設備仕様データは、例えば、制御設備7が分散電源である場合、固定的な仕様(例えば、分散電源の出力の最大もしくは最小値、出力増減の速度、分散電源の燃料や蓄電量の容量など)、変動的な仕様(例えば、分散電源の現在の出力値、燃料や蓄電量の残量値などの時間変化する値)、および、運用制約の仕様(例えば、分散電源の連続稼働の上下限時間や、稼働可能時間帯など)の少なくとも一部を表す。
【0023】
また、「運用仕様」とは、制御設備7の運用に関わる仕様であり、例えば、設備運用を行うために必要となる予測計算や運転計画スケジュール最適化計算などの処理内容や処理順序の規定である。
【0024】
また、本実施形態において、「マイクロサービス」とは制御設備7の監視制御運用に関わる各種の処理単位、つまり、モジュール化されたサービス(機能)を意味する。マイクロサービスは、例えば、エネルギーの需要予測、太陽光発電量などのエネルギーの生産量予測、電力取引市場などのエネルギーに関わる市場の市況予測、分散電源の運転スケジュール計画を作成する計画最適化、エネルギーの取引市場に対して売買入札のデータを送信し市場からの約定結果を受信する市場連携、上記の予測処理などに用いる公開データ(例えば、気象データやエネルギー取引市場データ)や需要データ(例えば、エネルギーに関わる事業者のそれぞれが管理運用するシステムが保持する需要データ)を取得するデータ連携、電力市場の約定結果や分散電源の所有者との運用契約データなどを管理する契約管理、契約に基づいて料金の計算や精算を行う料金精算管理、または、分散電源の仕様データや計測データを取得する設備データ管理といった処理単位でよい。
【0025】
サービス管理装置3は、上記のマイクロサービスの実体オブジェクトを保持し、サービス制御装置2から受信したマイクロサービスの呼び出し実行の制御データに基づいて、マイクロサービスを起動し処理を行わせる。
【0026】
仕様登録装置4は、サービス制御装置2に格納されている運用仕様データ、設備仕様データ、およびサービス管理装置3に格納されているサービス仕様データを作成、登録、更新、または削除する。
【0027】
サービス登録装置5は、上述のマイクロサービスそれぞれのプログラム(実体オブジェクト)をサービス管理装置3が有するサービス記憶領域に作成、登録、更新、または削除する。
【0028】
監視制御装置6は、サービス管理装置3が保持する上述のマイクロサービスの処理によって作成されたデータを受信し、当該データに基づき制御設備7に対する制御信号を生成し、制御設備7に対して当該制御信号を送信する。
【0029】
制御設備7は、エネルギーの生産や消費に関わる設備であり、具体例は上述の通りである。制御設備7は、監視制御装置6からの制御信号に従い動作する。
【0030】
情報入出力端末8は、例えばパーソナルコンピュータやスマートフォンのような情報処理端末でよく、サービス制御装置2およびサービス管理装置3へのデータ入力や、これら装置2および3が記憶するデータまたは出力するデータの表示を行う。
【0031】
外部情報配信装置9は、サービス管理装置3が保持する上述のマイクロサービスの処理動作に必要なデータをサービス管理装置3に対して送信する。
【0032】
情報処理システム11において、要素1~6、8および9の少なくとも一つは、物理的な計算機システム(一つ以上の物理的な計算機)でもよいし、物理的な計算機システムに基づく論理的な計算機システム(例えば、仮想マシンやクラウド上のシステム)でもよい。また、サービス制御装置2とサービス管理装置3は一体でもよい。
(1-2)装置内部構成
【0033】
図2は、情報処理装置1の構成を示す。
【0034】
情報処理装置1は、サービス制御装置2とサービス管理装置3とから構成される。
【0035】
サービス制御装置2は、サービス制御装置2の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)21、入力装置22、出力装置23、通信装置24および記憶装置25から構成される。サービス制御装置2は、例えばパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータまたはハンドヘルドコンピュータなどの情報処理装置である。
【0036】
入力装置22は、キーボードまたはマウスから構成され、出力装置23は、ディスプレイまたはプリンタから構成される。また、通信装置24は、無線LANまたは有線LANに接続するためのNIC(Network Interface Card)を備えて構成される。また、記憶装置45は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶媒体を含んでよい。出力装置23を介して各処理部の出力結果や中間結果が適宜出力されてもよい。
【0037】
記憶装置25には、運用仕様記憶領域253および設備仕様記憶領域254などの記憶領域がある。運用仕様記憶領域253には、運用仕様データ253Aが保持されている。また、設備仕様記憶領域254には、設備仕様データ254Aが保持されている。
【0038】
運用仕様データ253Aは、エネルギーに関わる制御設備7の運用に関わる仕様を示すデータであり、例えば、設備運用を行うために必要となる予測計算や運転計画スケジュール最適化計算などの処理内容や処理順序の規定を表すデータである。
【0039】
設備仕様データ254Aは、制御運用対象の一つまたは複数の制御設備7の仕様を表すデータである。
【0040】
また、記憶装置25には、サービス選択部251およびサービス制御部252といった機能を実現するためのコンピュータプログラムが格納されている。コンピュータプログラムがCPU21に実行されることによりサービス選択部251およびサービス制御部252が実現される。
【0041】
サービス選択部251は、設備仕様データ254A、運用仕様データ253A、およびサービス管理装置3が保持するサービス仕様データ352Aを参照し、指定された運用仕様および設備仕様の運用を行うために必要なマイクロサービスを選択する。
【0042】
サービス制御部252は、サービス選択部251が選択した一つ以上のマイクロサービスの実行順序を設定し、実行するための制御データを生成し出力する。
【0043】
サービス管理装置3は、サービス管理装置3の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)31、入力装置32、出力装置33、通信装置34および記憶装置35から構成される。サービス制御装置2は、例えばパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータまたはハンドヘルドコンピュータなどの情報処理装置である。
【0044】
記憶装置35には、サービス仕様記憶領域352およびサービス記憶領域353などの記憶領域がある。
【0045】
サービス仕様記憶領域352には、サービス仕様データ352Aが保持されている。また、サービス記憶領域353には、それぞれ実体オブジェクトとしての複数のマイクロサービス353Aが保持されている。
【0046】
サービス仕様データ352Aは、マイクロサービス353A毎の仕様を示すデータである。マイクロサービス353Aの仕様は、例えば、処理種別(例えば、予測処理、計画生成処理または実行処理)、処理目的(例えば、エネルギーの需要予測のため、エネルギー市場での取引における収益最大化の計画処理のため)、制御設備(例えば、発電機や蓄電池)、入力(例えば、予測処理に用いる気温、計画作成処理に用いる設備仕様、または、設備の初期状態)、および、出力(例えば、処理の結果としてのデータ)から定義される。
【0047】
また、記憶装置35には、サービス実行部351といった機能を実現するためのコンピュータプログラムが格納されている。コンピュータプログラムがCPU31に実行されることによりサービス実行部351が実現される。サービス実行部351は、マイクロサービス353Aを実行する。
(1-3)本実施の形態による情報処理システムの全体の処理およびデータフロー
【0048】
図3および図4を参照して、本実施の形態における情報処理装置1の処理およびデータフローについて説明する。
【0049】
図3を参照して、本実施の形態における情報処理装置1の処理のデータフローを説明する。
【0050】
サービス管理装置3は、サービス登録装置5からマイクロサービス353A(実体オブジェクト)を受信しサービス記憶領域353に格納する。また、サービス管理装置3は、サービス登録装置5もしくは仕様登録装置4からサービス仕様データ352Aを受信し、サービス仕様記憶領域352に格納する。
【0051】
サービス制御装置2は、仕様登録装置4から運用仕様データ253Aと設備仕様データ254Aとを受信し、それぞれ運用仕様記憶領域253と設備仕様記憶領域254に格納する。
【0052】
次いで、サービス制御装置2において、サービス選択部251が、運用仕様記憶領域253から運用仕様データ253Aを、設備仕様記憶領域254から設備仕様データ254Aを、サービス管理装置3におけるサービス仕様記憶領域352からサービス仕様データ352Aをそれぞれ読み出す。そして、サービス選択部251は、設備仕様データ254Aに示される制御設備と運用仕様データ253Aに示される運用仕様とに適合するマイクロサービス353Aである二つ以上(または一つ)のマイクロサービス353Aをサービス仕様データ352Aから選択し、選択したマイクロサービス353AのサービスID(マイクロサービス353Aの識別子)を出力する。
【0053】
次いで、サービス制御装置2において、サービス制御部252が、サービス選択部251からサービスIDを受信し、マイクロサービス353Aの実行順序を制御する制御データを出力する。
【0054】
そして、サービス管理装置3において、サービス実行部351が、サービス制御装置2におけるサービス制御部252から制御データを受信し、受信した制御データに記されているマイクロサービス353Aを同じく制御データに記されている順序でサービス記憶領域353から呼び出し実行させ、結果データを出力する。
【0055】
次いで、監視制御装置6は、サービス管理装置3におけるサービス実行部351から結果データを受信し、結果データに基づき、制御設備7に対する制御データを生成し、制御設備7に対して制御データを出力する。
【0056】
最後に、制御設備7は、監視制御装置6からの制御データに基づいて動作する。
【0057】
次に、図4を参照して、本実施の形態における情報処理装置1の処理手順を説明する。この処理は、サービス制御装置2が利用者からの入力操作を受け付けたこと、または予め設定した実行時刻になったことを契機として始まる処理であり、サービス制御装置2およびサービス管理装置3によりS401からS413の処理が実行される。
【0058】
サービス選択部251は、後述の運用指定データ(図6参照)に対応する運用仕様データ253Aと設備仕様データ254Aを取得し、さらに、サービス管理装置3からサービス仕様データ352Aを取得する(S401)。
【0059】
そして、サービス選択部251は、取得した設備仕様データ254Aに示されている制御設備と運用仕様データ253Aに示されている運用仕様とに適合するマイクロサービスをサービス仕様データ352Aから選択する(S402)。
【0060】
そして、サービス選択部251は、選択したマイクロサービスのすべての入力が充足されているか否かを判定する(S403)。
【0061】
そして、サービス選択部251は、S403の判定結果が真の場合(S403:Yes)、選択したマイクロサービスの実行順序を設定し、それらのマイクロサービス353AのサービスIDと実行順序と表す制御データを出力する(S404)。
【0062】
そして、サービス制御部252は、サービス選択部251からの制御データに従い、サービス実行部351に、制御データが表す実行順序で制御データが表すマイクロサービス353Aを実行させるための実行信号を送信する(S405)。
【0063】
そして、サービス実行部351は、サービス制御部252からの実行信号に従い、マイクロサービス353Aをサービス記憶領域353から呼び出して実行させる(S406)。
【0064】
S403の判定結果が偽の場合(S403:No)、サービス選択部251は、S407を行う。S407では、サービス選択部251は、下記を行う。
(S407-1)サービス選択部251は、サービス仕様データ352Aを参照し、既に選択されているマイクロサービス353Aのうち、入力が充足されていないマイクロサービス353Aについて、当該マイクロサービス353Aの入力を充足する出力を有するマイクロサービス353Aがあるか否かを判定する。
(S407-2)S407-1の判定結果が真の場合、サービス選択部251は、そのようなマイクロサービス353Aを新たに選択する。サービス選択部251は、選択されたマイクロサービス353Aの入力が充足されているか否かを判定する。S407-2の判定結果が偽の場合、処理がS407-1に戻る。
【0065】
そして、サービス選択部251は、再度、選択したマイクロサービス353Aのすべての入力を充足しているか否かを判定する(S408)。S408の判定結果が真の場合(S408:Yes)、処理がS404に進む。具体的には、S407-2の判定結果が真の場合、S408の判定結果が真となる。また、S407-1の判定結果が偽の場合、S408の判定結果が偽となる。
【0066】
S408の判定結果が偽の場合(S408:No)、サービス選択部251は、外部情報配信装置9を参照し、既に選択されているマイクロサービス353Aのうち、入力が充足されていないマイクロサービス353Aについて、入力を充足する外部配信データを選択する。
【0067】
そして、サービス選択部251は、再度、選択したマイクロサービス353Aのすべての入力を充足しているか否かを判定する(S410)。S410の判定結果が真の場合(S410:Yes)、処理がS404に進む。
【0068】
S408の判定結果が偽の場合(S410:No)、サービス選択部251は、選択しているマイクロサービスの中で入力が充足されていないマイクロサービス353AのサービスIDを含んだ情報である不足情報を情報入出力端末8に出力する(S411)。
【0069】
以上の処理を以って、本実施の形態における処理が終了する。
【0070】
以降、図5から図10を用いて、各構成要素の詳細を説明する。
(1-4)各構成要素の詳細
(1-4―1)サービス選択部
【0071】
図5を参照して、本実施の形態におけるサービス選択部251のデータフローおよび処理動作を説明する。
【0072】
サービス選択部251は、主サービス選択部2511、連携サービス選択部2512、外部データ選択部2513およびサービスフロー構成部2514を有する。
【0073】
主サービス選択部2511は、運用指定データが表す運用仕様データ253Aおよび設備仕様データ254Aを取得し、さらに、サービス仕様データ352Aを取得する。運用指定データ、運用仕様データ253A、設備仕様データ254A、およびサービス仕様データ352Aの例は、図6から図9に示す通りである。
【0074】
すなわち、図6に示すように、運用指定データ600は、運用仕様と設備仕様とを指定したデータであり、例えば、運用ID601と、設備仕様ID602と、運用仕様ID603といった情報を有する。運用ID601運用のIDを表す。設備仕様ID602は、当該運用に属する設備仕様のIDを表す。運用仕様ID603は、当該運用に属する運用仕様のIDを表す。運用指定データ600は、利用者から入力されたデータ(または、利用者からの入力とは異なる方法で指定されたデータ)でよい。例えば、利用者が需要家またはその一員であり、制御設備7が分散電源である場合、利用者は、運用ID601「O1」と、一つまたは複数の分散電源の設備仕様ID602「E1」と、それらの分散電源の運用の仕様に対応の運用仕様ID603「P1」とを設定した運用指定データ600を、情報入出力端末8または仕様登録装置4からサービス制御装置2に入力してよい。
【0075】
図7に示すように、運用仕様データ253Aは、運用仕様毎に存在する。運用仕様データ253Aは、例えば、テーブルにおけるレコードでよい。運用仕様データ253Aは、運用における処理(例えば処理内容)を示したデータであり、例えば、運用仕様ID701と、予測処理702と、計画処理703と、実行処理704といった情報を有する。予測処理、計画処理および実行処理は、それぞれ処理種別の例である。図7における例では、運用仕様ID701は「P1」である。予測処理702は、処理種別「予測処理」に属する処理が「市場価格予測」であることを表す。計画処理703は、処理種別「計画処理」に属する処理が「市場取引収益最大化」であることを表す。実行処理704は、処理種別「実行処理」に属する処理が「入札」と「制御データ送信処理」であることを表す。なお、説明の簡単のため、以降の説明では「予測処理」と「計画処理」に関わる説明に絞り、「実行処理」に関わる説明は省略する。「実行処理」に関わる説明は、「予測処理」と「計画処理」に関わる説明から理解することができる。
【0076】
図8に示すように、設備仕様データ254Aは、設備仕様毎に存在する。設備仕様データ254Aは、例えば、テーブルにおけるレコードでよい。設備仕様データ254Aは、設備仕様を示したデータであり、例えば、設備仕様ID801と、対象設備802と、利用可能データ803といった情報を有する。設備仕様ID801は、設備仕様のIDを表す。対象設備802は、運用対象の一つまたは複数の制御設備7の各々の名称を表す。利用可能データ803は、それらの制御設備7を運用するにあたって利用可能なデータ内容を表す。図8における例では、設備仕様ID801は「E1」である。対象設備802は、太陽光発電併設の蓄電池および発電機を表す。利用可能データ803は、これら制御設備7それぞれの設備仕様を表すデータ(例えば、発電機や蓄電池の設備仕様を表すデータ)と、これら制御設備7それぞれの設備状態を表すデータとを表す。なお、「設備状態」とは、制御設備7の計測値(例えば、最新時刻での出力値)や、発電機の稼働停止状態もしくは稼働/点検状態などの状態を含んでよい。
【0077】
図9に示すように、サービス仕様データ252Aは、複数のマイクロサービス353Aそれぞれのサービス仕様を示すデータである。サービス仕様データ252Aは、例えば、マイクロサービス353A毎に、サービスID901、種別902、処理内容903、対象設備904、入力905および出力906といった情報を有する。サービスID901は、マイクロサービス353AのサービスIDを表す。種別902は、マイクロサービス353Aが行う処理の処理種別を表す。処理内容903は、マイクロサービス353Aが行う処理の内容を表す。対象設備904は、マイクロサービス353Aの処理において対象となる制御設備7を表す。入力905は、マイクロサービス353Aの処理に必要となる入力データの内容を表す。出力906は、マイクロサービス353Aの処理によって得られる出力データの内容を表す。
【0078】
以上の図6から図9に示した例を用いて、主サービス選択部2511の動作を説明する。
【0079】
主サービス選択部2511は、図4のS401において、運用ID601「O1」を有する運用指定データ600を参照し、設備仕様ID602「E1」と同じ設備仕様ID801「E1」を有する設備仕様データ254Aと、運用仕様ID603「P1」と同じ運用仕様ID701「P1」を有する運用仕様データ253Aとを取得する。
【0080】
ここで、運用仕様ID701「P1」の運用仕様データ253Aでは、予測処理702として「市場価格予測」が設定されている。従って、主サービス選択部2511は、S402において、サービス仕様データ352Aから、処理内容903「市場価格予測」に対応のサービスID901「S3」を特定する。サービスID901「S3」を有するレコードでは、対象設備904の指定が無く、故に、制御設備7についての制限は無い。このため、主サービス選択部2511は、S402において、マイクロサービス353Aを選択する。
【0081】
さらに、運用仕様ID701「P1」の運用仕様データ253Aでは、計画処理703として「市場取引収益最大化」が設定されているため、主サービス選択部2511は、S402において、サービス仕様データ352Aから、処理内容903「市余剰取引収益最大化」に対応のサービスID901「S5」「S6」および「S7」を特定する。ここでさらに、設備仕様ID801「E1」の設備仕様データ254Aでは、対象設備802が「発電機(PV)+蓄電池」であることから、主サービス選択部2511は、特定されたサービスID901「S5」「S6」および「S7」のうち、対象設備904が「発電機(PV)」および「蓄電池」であるサービスID901「S6」および「S7」を特定する。ここでさらに、当該設備仕様データ254Aでは、利用可能データ803が「設備仕様」および「設備状態」であることから、主サービス選択部2511は、特定されたサービスID901「S6」および「S7」のうち、入力905が「設備仕様」と「制御状態」の少なくとも一つであるサービスID901「S6」および「S7」を特定する。S402において、主サービス選択部2511は、サービスID901「S6」および「S7」に関連付いた二つのマイクロサービス353Aを選択する。
【0082】
以上の通り、図6から図9に示した例によれば、S402において、サービスID901「S3」、「S6」および「S7」に関連付いた三つのマイクロサービス353Aが選択される。
【0083】
S403において、主サービス選択部2511は、選択した三つのマイクロサービス353Aの入力905が全て充足されているかを判定する。
【0084】
ここで、サービスID901「S6」に対応の入力905は、「設備仕様」「設備状態」および「市場価格予測」であり、「設備仕様」と「設備状態」は、設備仕様データ254Aの利用可能データ803が「設備仕様」および「設備状態」とあることから充足されている(すなわち、発電機および蓄電池の各々から、設備仕様および設備状態のデータが出力され、それらのデータを入力とすることができる)。また、「市場価格予測」は、サービスID901「S3」に対応の出力906が「市場価格予測」であるため充足されている(すなわち、「S3」のマイクロサービス353Aから出力される市場価格予測データを「S6」のマイクロサービス353Aの入力とすることができる)。
【0085】
一方で、サービスID901「S7」に対応の入力905は、「設備仕様」「設備状態」「市場価格予測」および「小売設定価格」であり、「小売設定価格」は、設備仕様データ254Aの利用可能データ803、および、選択済みのマイクロサービス353Aの出力906のいずれからも充足されていない。また、サービスID901「S3」に対応の入力905は、「エリア需要予測」であるが、これも、設備仕様データ254Aの利用可能データ803、および、選択済みのマイクロサービス353Aの出力906のいずれからも充足されていない。
【0086】
従って、主サービス選択部2511は、S403において、入力905が未充足のマイクロサービスが存在すると判定する。つまり、S403の判定結果が偽となる。この場合、主サービス選択部2511は、入力905が未充足のマイクロサービス353AのサービスIDリスト2511B(具体的には、サービスID「S3」、「S6」および「S7」のうち「S3」および「S7」が記述されたリスト)を、連携サービス選択部2512に出力する。また、主サービス選択部2511は、入力905が充足されている選択済みのマイクロサービス353AのサービスIDリスト2511A(具体的には、サービスID「S3」、「S6」および「S7」のうち「S6」が記述されたリスト)をサービスフロー構成部2514に出力する。
【0087】
連携サービス選択部2512は、サービスIDリスト2511Bを受信した場合に動作する。連携サービス選択部2512は、S407において、サービスIDリスト2511Bに含まれているサービスIDに対応の入力905に対して、出力906が合致する他のマイクロサービスをサービス仕様データ352Aから探す。
【0088】
サービスIDリスト2511BにおけるサービスID「S3」については次の通りである。すなわち、サービスID901「S3」に対応の入力905「エリア需要予測」に合致する出力906として、サービスID901「S1」に対応の出力906「エリア需要予測」がある。このため、連携サービス選択部2512は、S407において、サービスID901「S1」に関連付いたマイクロサービス353Aを新たに選択する。そして、S408において、連携サービス選択部2512は、S407で選択したマイクロサービス353Aの入力905が充足されているか否かを判定する。S407で選択したマイクロサービス353AのサービスID901「S1」に対応の入力905は「気温」である。しかし、当該入力905は、設備仕様データ254Aの利用可能データ803、および、他の選択済のマイクロサービス353Aの出力906のいずれからも充足されていない。従って、連携サービス選択部2512は、入力905が未充足のマイクロサービス353AのサービスIDリスト2512A(具体的には、元の「S3」と、「S3」と連携する「S1」との組が記述されたリスト)を外部データ選択部2513に出力する。なお、サービスIDリスト2511Bに含まれる別のサービスID「S7」に対応の入力905は「小売設定価格」であるが、サービス仕様データ352Aには、出力906「小売設定価格」を持つレコードが無いことから、サービスID「S7」に対応の入力905も未充足である。このため、連携サービス選択部2512から出力されるサービスIDリスト2512Aには、さらに「S7」も含まれる。また、サービスIDリスト2512Aが外部データ選択部2513に出力される場合、S408の判定結果は偽である。
【0089】
外部データ選択部2513は、サービスIDリスト2512Aを受信した場合に動作する。外部データ選択部2513は、S409において、サービスIDリスト2512Aに含まれるサービスIDに対応の入力905に合致する外部仕様データを外部情報配信装置9から見つけて取得する。
【0090】
外部仕様データの例は図10に示す通りである。すなわち、外部仕様データ1000は、例えば外部配信データ毎に存在してよく、外部ID1001、名称1002および出力1003といった情報を有する。外部ID1001は、外部配信データのIDを表す。名称1002は、外部配信データの名称を表す。出力1003は、外部配信データが持つデータの内容を表す。図10が示す例によれば、「気温、湿度、日射量」の3種のデータを含む外部配信データがあることがわかる。サービスIDリスト2512Aに含まれるサービスID「S1」(「S3」と連携の「S1」)に対応の入力905が「気温」であり、この外部仕様データ1000における出力1003は「気温」を含み、故に、この出力1003はサービスID「S1」に対応の入力905と合致するため、外部データ選択部2513は、外部ID1001「D1」に対応を選択する。そして、外部データ選択部2513は、選択した外部ID「D1」と、それに対応の「S1」と、元の「S3」との組を含んだIDリスト2513Aをサービスフロー構成部2514に出力する。つまり、この例では、サービスIDリスト2512Aに含まれるサービスID「S1」に対応の入力905に合致する出力1003を持った外部仕様データ1000が見つかったので、「S1」については、S410の判定結果が真となる。なお、別のサービスID「S7」に対応の入力905に合致する出力1003を持った外部仕様データ1000が見つからなかった場合には、S410の判定結果が偽となってもよいし、あるいは、「S1」については外部仕様データ1000が見つかったので、S410の判定結果が真となり、主サービス選択部2511により選択された「S3」、「S6」および「S7」のうち、「S7」を除く「S3」および「S6」について処理が進んでもよい。本実施の形態では、「S3」および「S6」について処理が進むとする。
【0091】
サービスフロー構成部2514は、主サービス選択部2511、連携サービス選択部2512および外部データ選択部2513がそれぞれ出力したリストを受信し、それぞれのリストに基づいて、マイクロサービス353Aの実行順序を表す制御データを生成する。上述の例によれば、主サービス選択部2511からサービスフロー構成部2514へのリスト2511Aは、「S6」を含み、連携サービス選択部2512からサービスフロー構成部2514へのリストは無く(あるいは、当該リストはIDがブランクのリストであり)、外部データ選択部2513からサービスフロー構成部2514へのリスト2513Aは、「S3」、「S1」および「D1」を含む。サービスフロー構成部2514は、S404において、サービス仕様データ352Aを参照し、「S6」の入力905は「S3」の出力906「市場価格予測」を含むことから、「S6」の実行順番は「S3」の次の順番として制御設定(順序決定)する。さらに、「S3」の入力905は「S1」の出力906「エリア需要予測」を含むことから、サービスフロー構成部2514は、「S3」の実行順番は「S1」の次の順番として制御設定する。そして、「S1」の入力905が表すデータは外部ID「D1」に対応のデータであることから、サービスフロー構成部2514は、「S1」の実行順番は外部ID「D1」に対応のデータの取得の次として制御設定する。すなわち、実行順序は、「D1」の取得の後、「S1」→「S3」→「S6」の順である。サービスフロー構成部2514は、このような実行順序を規定した制御データ2514Aを生成し、制御データ2514Aをサービス制御部252に出力する。なお、S410の判定結果が偽の場合(例えば、制御データ生成の過程において、入力が充足していないマイクロサービスが存在している場合)、サービスフロー構成部2514は、充足していない入力とそのマイクロサービスのサービスIDとを含んだ不足情報2514Bを情報入出力端末8に出力する。
【0092】
以上をもってサービス選択部251の動作を終了する。
(1-4-2)サービス制御部252およびサービス実行部351
【0093】
サービス制御部252は、サービス選択部251からの制御データ2514Aを基に、サービス管理装置3に対してマイクロサービスの実行信号を送信する。そして、サービス実行部351は、受信した実行信号を基に、サービス記憶領域353に格納されているマイクロサービス353A(実体オブジェクト)を呼び出し実行させる。
【0094】
例えば、サービス制御部252は、受信した制御データ2514Aに設定されている順序(マイクロサービスの順序)を特定し、特定された順序で、マイクロサービスの実行信号を送信する。具体的には、例えば、サービス制御部252は、「D1」の外部配信データを外部情報配信装置9から取得した後、「S1」のマイクロサービス353Aの実行信号を送信し、次に、「S3」のマイクロサービス353Aの実行信号を送信し、最後に、「S6」のマイクロサービス353Aの実行信号を送信する。「実行信号の送信」は、例えば、マイクロサービス353AのURI(Uniform Resource Identifier)のデータを送信することでよい。実行信号を受信したサービス実行部351は、受信したマイクロサービスの識別子を基にサービス記憶領域353からマイクロサービス353Aを呼び出し、当該マイクロサービス353Aに処理を実行させる。より具体的には、例えば、サービス実行部351は、サービス制御部252から受信したマイクロサービスのURI(Uniform Resource Identifier)にアクセスすることで、サービス記憶領域353に格納されているマイクロサービス353Aを呼び出して実行する。そして、サービス実行部351は、マイクロサービス353Aから処理結果を表すデータ(マイクロサービス353Aの出力データ)を受信し、当該データを、次に実行するマイクロサービス353Aへの入力データとして設定する。制御データ2514Aが表すすべてのマイクロサービス353Aに対して実行され、最後に実行の(順番が最後の)マイクロサービス353Aの出力データを受信した場合、サービス実行部351は、当該出力データを監視制御装置6に送信する。
【0095】
以上をもってサービス制御部252およびサービス実行部351の動作を終了し、本実施形態における情報処理装置1の演算処理が終了する。
(1-5)本発明の効果の説明
【0096】
次に、本実施の形態における情報処理装置1の効果を説明する。
【0097】
一比較例では、図11Aに示すように、上述した実施の形態のようなマイクロサービスが用意されているか否かに関わらず、サービスフロー111および112(処理の実行順序)は、予め決められている。当然に、制御設備7の増減または入れ替え等の理由により新たな運用のためのサービスフローが必要になった場合には、実行対象の処理やその実行順序が予め決められなければならない。すなわち、運用のための処理として「エリア需要予測」、「市場予測」、「市場取引収益最大化」、「市場入札」、および「蓄電池および発電機の制御処理」を必要な処理として特定し、それらの処理の順序を決めておく必要がある。サービスフロー111~113それぞれについて、構成要素や実行順序を規定したデータが必要であり、当該サービスフローの実行が完了しても、当該サービスフローの構成要素や実行順序を予め規定したデータが残る。
【0098】
一方、本実施の形態によれば、図11Bに示すように、運用毎に必要な処理やその実行順序を予め決めておく必要はない。運用に属する運用仕様および設備仕様を基に情報処理装置1が動的にサービスフロー114を構築することができる。すなわち、サービスフロー114の構成要素および実行順序は、サービスフロー113と同じであるが、サービスフロー114は、サービスフロー113と異なり、動的に構築されたサービスフロー(アプリケーション)である。すなわち、サービスフロー114について、構成要素や実行順序を予め規定したデータは必要無く、故に、サービスフロー114の実行が完了した後に、サービスフロー114の構成要素(マイクロサービス353A)および実行順序を表す制御データを残しておく必要は無い。動的に構築されたサービスフロー114の構成要素および実行順序を表す制御データは、サービスフロー114を再度迅速に実行するために保存されてもよいが、そのような制御データの保存が無くても、同じサービスフロー114を動的に構築することができる。
【0099】
以上のように本実施において、エネルギーに関わる制御設備7の監視制御運用処理に関わるマイクロサービス353Aが混在する環境下において、監視制御運用対象の制御設備7に適合するようにマイクロサービスを組み合わせあるいは入れかえ可能とすることで、対象設備の構成が変更された場合でも(例えば、制御設備7の増減または入れ替えがあった場合でも)、効率的に監視制御運用を実現することが可能である。なお、マイクロサービス353Aの実行順序は、必ずしも図11Bに例示のようなシリアルな順序でなくてもよく、少なくとも一部のマイクロサービス353Aの順番は同じ(すなわち、少なくとも一部のマイクロサービス353Aの実行はパラレル)であってもよい。
(2)他の実施形態
(2-1)サービス選択部251の変形例
【0100】
上記の実施の形態におけるサービス選択部251は、主に入力905が充足されるか否かを基にマイクロサービス353Aを選択するが、本変形例では、マイクロサービス353Aの処理時間(処理の所要時間)および/または出力データの品質(例えば、予測精度や最適解のギャップ率)を基に、マイクロサービス353Aを選択してもよい。例えば、サービス仕様データ352Aにおいて、マイクロサービス毎のレコードが、マイクロサービスの処理時間を表す情報と、マイクロサービスの出力データの品質を表す情報とを含んでよい。サービス選択部251は、S402において、サービス仕様データ352Aを参照して、同一の処理内容903「市場価格予測」に対応のマイクロサービスを二つ以上選択したとする。このように同一の処理内容903(または対象設備904)について二つ以上のマイクロサービスがS402において選択された場合、サービス選択部251は、サービス仕様データ352Aを参照し、当該二つ以上のマイクロサービスから、処理時間が最も短いまたは品質(例えば予測精度)が最も優れたマイクロサービスを選択してよい。これにより、マイクロサービスの処理時間がより短いまたは出力データの品質がより優れていることが期待され、故に、制御設備7の運用制御の精度向上もしくは精度安定が期待される。
【0101】
また、上記の実施の形態において、運用仕様データ253A(および、サービス仕様データ352A)では、処理の種別として、予測処理、計画処理および実行処理の3種類があるが、処理の種別は、それより多くても少なくてもよい。例えば、より多くの処理種別が採用されることで、制御設備7の運用に関わる処理単位(マイクロサービス)の選択範囲を拡大することができ、制御設備7のより高度な運用が期待される。
【0102】
また、上記の実施の形態では、サービス選択部251は、処理内容903や入力905の完全一致の検索形態でマイクロサービスを選択するが、名寄せテーブルを用いるなどの方法により表記ゆれを吸収した検索と選択を行ってもよい。例えば、名寄せテーブルにおいて「気温」と「外気温」は同義と定義されていれば、「気温」と「外気温」は互いに合致すると判定されてよい。これにより、表記ゆれが原因でサービス選択ができないといったことを回避することができる。
【0103】
また、上記の実施の形態では、サービス選択部251は、処理内容903や入力905の名称検索で選択を行うが、これに限らず、データ間の類似度(例えば、入力905と出力906の類似度)に基づいてマイクロサービスを選択してもよい。例えば、サービス仕様データ352Aでは、「気温」などの名称のみが記されているが、入力905は、入力データそれ自体も含み、出力906は、出力データそれ自体を含んでよい。また、サービス仕様データ352Aに含められる入力データや出力データは、所定の期間のデータ(サンプルデータ)でよい。サービス選択部251は、入力データと出力データ間の類似度が所定の閾値を超えている場合にマイクロサービスを選択してよい。類似度の算出方法としては、相関係数、ユークリッド距離、内積、コサイン類似度などの公知の類似度計算方法が採用されてよい。また、類似度の閾値は、予め設定した値でよい。これにより、入力905と出力906における名称の表記ゆれがあっても、適切なマイクロサービスの選択が可能となる。
(2-2)サービス記憶領域353の変形例
【0104】
上記の実施の形態におけるサービス記憶領域353には、予測処理や計画処理などの単位でマイクロサービス353Aが登録されているが、本変形例では、より詳細な単位でマイクロサービス353Aが登録されていてもよい。例えば、予測処理については、予測モデルを構築するマイクロサービスと、構築した予測モデルを展開して予測を行うマイクロサービスとがそれぞれ独立したマイクロサービスとして記憶されていてもよい。また、計画処理については、計画モデルを定義するマイクロサービスと、定義した計画モデルの解を求めるマイクロサービスとがそれぞれ独立して記憶されていてもよい。これにより、より柔軟なマイクロサービスの選択が可能となり、従って、入力が充足しないためにマイクロサービスが選択されない事象の発生頻度を低減することが期待される。
【0105】
以上、幾つかの実施形態および変形例を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態および変形例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。
【0106】
以上の説明を、例えば下記のように総括することができる。下記の総括は、上述の説明の補足説明や変形例の説明を含んでよい。なお、以下の説明において、「サービス」は、上述のマイクロサービス353Aのような処理単位としてのサービス(例えばモジュール化されたプログラム)でよい。
【0107】
情報処理装置(例えば情報処理装置1)が、インターフェース装置(例えば通信装置24および/または34)、記憶装置(例えば記憶装置25および/または35)、および、それらに接続されたプロセッサ(例えばCPU21および/または31)を有する。インターフェース装置は、一つまたは複数の設備(例えば制御設備7)、または、当該一つまたは複数の設備を制御する装置である監視制御装置(例えば監視制御装置6)と通信可能に接続される。記憶装置が、運用仕様毎の運用仕様データ(例えば運用仕様データ253A)、設備仕様毎の設備仕様データ(例えば設備仕様データ254A)、および、サービス仕様データ(例えばサービス仕様データ352A)を記憶する。
【0108】
運用仕様毎に、運用仕様データは、一つまたは複数の処理種別の各々について当該処理種別に属する一つまたは複数の処理を表す(例えば、情報702~704のうちの少なくとも一つを有する)。設備仕様毎に、設備仕様データは、一つまたは二つ以上の設備である設備群と、当該設備群から出力される一つまたは複数の出力データとを表す(例えば、情報802および803を有する)。サービス仕様データは、サービス毎に、当該サービスが行う処理と、当該サービスに対応の設備群と、当該サービスが行う処理のための入力データと、当該サービスが行う処理の結果となる出力データとを表す(例えば、情報903~906を有する)。
【0109】
プロセッサは、下記(A)ないし(C)を行う。
(A)運用対象の一つ以上の設備である対象設備群の運用仕様に対応の運用仕様データと、対象設備群の制御仕様に対応の設備仕様データとを取得する(例えばS401)。
(B1)(A)で取得された運用仕様データが表す処理と、(A)で取得された設備仕様データが表す設備群および出力データとに対応の一つまたは二つ以上のサービスをサービス仕様データから探す(例えばS402)。
(B2)(B1)で見つかった一つまたは二つ以上のサービスの各々について、当該サービスに必要な入力データが、一つまたは二つ以上のサービスのうち当該サービス以外のサービスの出力データと、(A)で取得された設備仕様データが表す出力データとのうちの少なくとも一部から充足されるか否かを判定する(例えばS403)。
(B2)の判定結果が真の場合、(C)見つかったサービスをデータの入出力の関係から定まる実行順序で実行させることで、対象設備群を制御するための制御信号をインターフェース装置から対象設備群または監視制御装置に出力する(例えばS404~S406)。
【0110】
これにより、設備の運用仕様および設備仕様に応じたサービス組合せを予め定義しておくこと無しに、設備の運用仕様および設備仕様に応じたアプリケーションの構築が可能である。
【0111】
なお、「データの入出力の関係から定まる実行順序」とは、例えば、サービスAの出力データがサービスBの入力データを充足する場合、実行順序は、サービスA→サービスB、であることを意味する。サービスAの出力データがサービスBおよびCの入力データを充足する場合、実行順序において、サービスBとサービスCが同じ順番でもよい。
【0112】
また、「アプリケーションの構築」とは、一つまたは二つ以上のサービスの選択とそれらのサービスの実行順序の決定でよい。選択されたサービスが決定された実行順序で実行されることが、アプリケーションの実行に相当してよい。「アプリケーション」の例が、上記の実施の形態におけるサービスフローである。
【0113】
また、「データが入力データを充足する」とは、データを入力データとして使用可能であることを意味する。「データ」が「入力データ」を充足するか否かの判定は、データの名称と入力データの名称が一致するか否かの判定でもよいし、それらの名称の表記ゆれを吸収した場合(例えば名寄せテーブルを用いる等の方法により吸収した場合)に名称の一致が得られるか否かの判定でもよい。例えば、サービス仕様データは、サービス毎に、サービス仕様データが表す入力データとして、入力データの標本データ(例えば、サービスへの入力データのサンプル)を含み、サービス仕様データが表す出力データとして、出力データの標本データ(例えば、サービスからの出力データのサンプル)を含んでよい。設備仕様データは、出力データの標本データ(例えば、設備からの出力データのサンプル)を含んでよい。(B2)において、プロセッサは、見つかった一つまたは二つ以上のサービスのうちの第1のサービスに対応の入力データの標本データと、見つかった一つまたは二つ以上のサービスのうちの第2のサービスに対応の出力データの標本データ、または、設備仕様データにおける標本データとの類似度が所定の条件を満たしている場合に、第1のサービスの入力データが充足されると判定してよい。これにより、サービスのより適切な選択が期待される。「類似度が所定の条件を満たしている」とは、例えば、類似度を示す指標値が最大であること、もしくは、類似度が所定の閾値を超えることでよい。
【0114】
(B2)の判定結果が偽の場合、プロセッサは、下記(B3)および(B4)を行い、(B4)の判定結果が真の場合、(C)を行ってよい。
(B3)入力データが充足されないサービス毎に当該サービスの入力データを充足する出力データに対応したサービスをサービス仕様データから探す(例えばS407)。
(B4)(B3)で見つかったサービスを含む二つ以上のサービスの各々について、当該サービスに必要な入力データが、当該二つ以上のサービスのうち当該サービス以外のサービスの出力データと、(A)で取得された設備仕様データが表す出力データとのうちの少なくとも一部から充足されるか否かを判定する(例えばS408)。
【0115】
これにより、対象設備群の運用仕様および制御仕様に対応しているものの入力データが充足されないサービスについて、当該サービスの入力データを充足可能な出力データを出力する既存のサービスを特定し、その既存のサービスをアプリケーションの要素とすることができる。つまり、柔軟にアプリケーションの構築が可能である。
【0116】
(B4)の判定結果が偽の場合、プロセッサは、入力データが充足されないサービス毎に、外部の装置から取得可能なデータである外部データ(例えば外部配信データ)のうち、当該サービスの入力データを充足可能な外部データを探してよい(例えばS409)。入力データが充足されない各サービスについて外部データが見つかった場合(例えばS410:Yes)、プロセッサは、見つかった外部データの取得と(C)とを行ってよい。これにより、これまでに見つかった(選択された)サービスのうち入力データが充足されないサービスについて、当該サービスの入力データを充足可能な外部データを特定し、その外部データをサービスの入力とすることができる。つまり、柔軟にアプリケーションの構築が可能である。
【0117】
インターフェース装置に、情報処理端末(例えば情報入出力端末8)が通信可能に接続されていてよい。入力データの充足が不可のサービスがある場合、プロセッサは、当該サービスのID(例えばサービスID)と不足の入力データとを表す情報を、インターフェース装置から情報処理端末に出力してよい(例えばS411)。これにより、情報入出力端末の利用者が、どのようなデータが不足していてどのようなデータがあればアプリケーションの構築が可能であるかを特定することができる。なお、上記の実施の形態では、S411は、S410:Noの場合に行われるが、S403:Noの場合にS407に代えてまたは加えてS411が行われてもよいし、S408:Noの場合にS409に代えてまたは加えてS411が行われてもよい。
【0118】
運用対象の一つまたは複数の設備の各々は、発電設備または蓄電設備でよい。一つまたは複数の処理種別は、予測処理を含んでよい。複数のサービスは、予測値を算出するための予測モデルを構築するサービスと、予測モデルを用いて予測値を算出するサービスと、予測値を算出するサービスとのうちの少なくとも一つを含んでよい。これにより、電力の運用に関し需要電力や電力の市場価格などの予測のためのアプリケーションの構築が可能である。
【0119】
一つまたは複数の処理種別は、計画処理を含んでよい。複数のサービスは、設備の運用計画の最適化モデルを構築するサービスと、最適化モデルを用いて最適化処理を行うサービスと、計画の作成を行うサービスとのうちの少なくとも一つを含んでよい。これにより、電力の運用に関する計画(例えば、電力の供給の最適な計画)の作成のためのアプリケーションの構築が可能である。なお、「モデル」は、予測処理および計画処理のいずれについても、機械学習モデルでもよいし他種のモデルでもよい。
【0120】
上記の実施の形態では、制御設備7は、発電設備または蓄電設備であるが、制御設備7は、そのような設備に限らないでよい。例えば、電気自動車などの蓄電池を搭載した移動体は、蓄電池から外部への電力供給が可能であることが知られている。これら蓄電池を搭載した移動体も、制御設備7でよい。あるいは、例えば、照明や空調設備、あるいは工場における生産設備などの電力消費設備は、稼働停止や設定変更などの操作によって電力消費量を抑制することで余剰電力を生み出すことが出来るため、仮想的な発電機と見なされることが知られている。これら電力消費設備を実体とした仮想的な発電設備が制御設備7であってもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…情報処理装置、2…サービス制御装置、3…サービス管理装置、7…制御設備、11…情報処理システム
図1
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図11A
図11B