(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157432
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】コンテンツ制作システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241030BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071798
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】516359115
【氏名又は名称】株式会社SPACEWA
(71)【出願人】
【識別番号】522328161
【氏名又は名称】エムワイケー インク
【氏名又は名称原語表記】MYK Inc.
【住所又は居所原語表記】B1 9-27ho 9, Dunnya-ro 33beon-gil, Uijeongbu-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】金田 勲
(72)【発明者】
【氏名】辻 貴大
(72)【発明者】
【氏名】與崎 風人
(72)【発明者】
【氏名】小沢 道成
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC60
5L050CC60
(57)【要約】
【課題】制作環境に影響されず独創的なコンテンツを制作すること。
【解決手段】コンテンツ制作システム10は、コンテンツ制作に携わるコンテンツ関係者が使用する複数の利用者端末90を備える。複数の利用者端末90は、閉鎖型のブロックチェーンネットワークBCNを構成する。利用者端末は、コンテンツ制作の各工程の担当者が担当する工程において作成した作業結果物と関連付けたNFTを作成し、NFTをブロックチェーンネットワークBCNに保存し、NFTの取引が成立すると、NFTの代金を受け取る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ制作に携わるコンテンツ関係者が使用する複数の利用者端末を備え、
前記複数の利用者端末は、閉鎖型のブロックチェーンネットワークを構成し、
前記利用者端末は、コンテンツ制作の各工程の担当者が作成した作業結果物と関連付けたNFTを作成し、前記NFTを前記ブロックチェーンネットワークに保存し、前記NFTの取引が成立すると、前記NFTの代金を受け取る、
コンテンツ制作システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ制作システムにおいて、
前記NFTは、前記ブロックチェーンネットワークの利用者間で取引が行われる内部NFT取引所、又は外部NFT取引所で取引される、
コンテンツ制作システム。
【請求項3】
請求項1に記載のコンテンツ制作システムにおいて、
前記NFTは、コンテンツ制作前の各工程、コンテンツ制作中の各工程、コンテンツ制作後の各工程の担当者が作成した前記作業結果物と関連付けて作成される、
コンテンツ制作システム。
【請求項4】
請求項1に記載のコンテンツ制作システムにおいて、
広告を表示する広告用端末を備え、
前記広告用端末は、前記ブロックチェーンネットワークを構成し、
広告担当者又はコンテンツ制作の管理者の前記利用者端末は、前記広告用端末の各広告表示枠に関連付けた広告用NFTを作成し、前記広告用NFTを前記ブロックチェーンネットワークに保存し、前記広告用NFTの取引が成立すると、前記広告用NFTの代金を広告料として受け取る、
コンテンツ制作システム。
【請求項5】
請求項4に記載に記載のコンテンツ制作システムにおいて、
前記広告用端末は、前記広告の出稿希望者から提供された広告データに基づき、前記広告表示枠に前記広告を表示する、
コンテンツ制作システム。
【請求項6】
請求項4に記載のコンテンツ制作システムにおいて、
前記広告用NFTは、前記ブロックチェーンネットワークの利用者間で取引が行われる内部NFT取引所で取引される、
コンテンツ制作システム。
【請求項7】
請求項に記載のコンテンツ制作システムにおいて、
前記広告用NFTは、複数の前記広告表示枠に関連付けられている、
コンテンツ制作システム。
【請求項8】
請求項1に記載のコンテンツ制作システムにおいて、
映画コンテンツ又は音楽コンテンツが制作される、
コンテンツ制作システム。
【請求項9】
コンテンツ制作に携わるコンテンツ関係者が使用する複数の利用者端末を備え、
前記複数の利用者端末は、閉鎖型のブロックチェーンネットワークを構成する、コンテンツ制作システムにおいて実行されるプログラムであって、
前記利用者端末が、コンテンツ制作の工程の担当者が前記工程において作成した作業結果物と関連付けたNFTを作成するステップと、
前記利用者端末が、前記NFTを前記ブロックチェーンネットワークに保存するステップと、
前記利用者端末が、前記NFTの取引が成立すると、前記NFTの代金を受け取るステップと、を、
前記利用者端末のプロセッサに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ制作システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツ制作現場では、コンテンツごとに、一次消費だけでなく二次消費を見込んだ制作チームが形成される。例えば映画コンテンツの場合、一次消費は、映画館におけるコンテンツの上映である。二次消費は、例えば、テレビ放送、ラジオ放送、ケーブルテレビ放送、ネットワーク配信、コンテンツを記録した記録媒体の販売、レンタル、関連グッズの販売等である。
【0003】
コンテンツ制作現場では、コンテンツを提供するためのインフラを持つ企業(例えば、映画館チェーン運営会社、放送局、ネットワーク配信会社等)や広告代理店等の特定企業が中心となってコンテンツ制作チームが構成される場合が多い。そうすると、コンテンツ制作は、これらの企業の意向に沿って進められる。このため、クリエイターによる独創的なコンテンツ制作が妨げられる可能性がある。
【0004】
一方、特許文献1には、コンテンツの制作、投資及び配給などのコンテンツ産業の全般的な過程で多様なアイデア共有及び協業環境を提供できるコミュニティを活性化し、透明性を担保するブロックチェーン技術をつなぎ併せて、コンテンツの製作者、投資者、消費者がすべて満足できる新しいコンテンツプラットホームを構築することによって既存のコンテンツ産業構造の問題を解決しようとするコンテンツ共有創作サーバー等が開示されている。
【0005】
具体的には、特許文献1には、一つのプラットホーム内でコンテンツ製作に必要な人的ネットワーク、装備、空間などの多様な要素が設けられた協力環境を提供し、製作者がコンテンツ著作権の保護を受けることができる範囲内で自由に自分たちのアイデアを共有してコンテンツを製作できる環境を提供し、各種分野の専門家らと疎通できるコミュニティを通じて合理的意思を決定できる環境を提供しようとする、旨記載されている。
【0006】
また、特許文献1には、ブロックチェーン技術を通じて製作者が自身のプロジェクト進行状況を投資者に公開し、投資者が自身の投資金がどのように使われているかを把握できるようにして、製作者が誠実にコンテンツを製作するように動機を誘発し、ひいては誠実に製作されているコンテンツに投資がさらに円滑になされるようにする好循環の環境を提供しようとする、旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、近年は、コンテンツの制作環境が大きく変化し、分業化、非対面化、国際化が進行している。このため、制作スタッフ間や、制作スタッフと出演者との間のコミュニケーション不足を引き起こしている。また、出演者や制作スタッフに対する報酬の支払遅延等を引き起こす可能性もある。このため、現在のコンテンツ制作環境は、コンテンツの制作に影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、制作環境に影響されず独創的なコンテンツを制作することが可能なコンテンツ制作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の代表的な実施の形態によるコンテンツ制作システムは、コンテンツ制作に携わるコンテンツ関係者が使用する複数の利用者端末を備える。複数の利用者端末は、閉鎖型のブロックチェーンネットワークを構成する。利用者端末は、コンテンツ制作の各工程の担当者が担当する工程において作成した作業結果物と関連付けたNFTを作成し、NFTをブロックチェーンネットワークに保存し、NFTの取引が成立すると、NFTの代金を受け取る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制作環境に影響されず独創的なコンテンツを制作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るコンテンツ提供システムの概要を例示する図である。
【
図2】コンテンツ制作ブロックの構成を例示する図である。
【
図4】映画コンテンツの制作フローを例示する図である。
【
図5】音楽コンテンツ制作の各工程における具体的なフローを例示する図である。
【
図6】音楽コンテンツの制作フローを例示する図である。
【
図7】音楽コンテンツ制作の各工程における具体的なフローを例示する図である。
【
図8】本発明の実施の形態3に係るコンテンツ制作ブロックの構成を例示する図である。
【
図11】本発明の実施の形態4に係るコンテンツ制作ブロックの構成を例示する図である。
【
図12】本発明の実施の形態4の変形例に係るチケット販売のフローを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は適宜省略する。
【0014】
<コンテンツ制作環境の概要>
図1は、本発明の実施の形態1に係るコンテンツ提供システムの概要を例示する図である。
図1に示すように、コンテンツ提供システム1は、コンテンツを制作するコンテンツ制作ブロック10、コンテンツを配給するコンテンツ配給ブロック30、コンテンツを視聴者へ提供する複数のコンテンツ提供ブロック50、コンテンツ制作に関わるNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)を取引するNFT取引所70等を備えている。これらのブロックは、ネットワークNETを介して互いに通信可能である。
【0015】
ネットワークNETは、例えば、インターネットに代表されるWAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)等である。また、利用者端末90は、携帯電話サービスの回線を介してネットワークNETと接続されてもよい。
【0016】
コンテンツ制作ブロック10は、例えば映画等の映像コンテンツや音楽コンテンツ等の各種コンテンツを製作するブロックである。コンテンツ制作ブロック10は、例えば、コンテンツ制作会社である。具体的には、コンテンツ制作会社の従業者や外部の担当者が参加してコンテンツ制作を行い、コンテンツ制作会社は、コンテンツ制作に参加するこれらの参加者を管理してもよい。あるいは、コンテンツ制作会社は、自社の従業者のみが参加してコンテンツ制作を行い、これらのコンテンツ制作の参加者を管理するようにしてもよい。
【0017】
コンテンツ制作ブロック10で制作されたコンテンツは、コンテンツ配給ブロック30へ供給される。なお、以下では、コンテンツ制作ブロック10をコンテンツ制作システムとも呼ぶ。コンテンツ制作ブロック10の詳細については、後で詳しく説明する。
【0018】
コンテンツ配給ブロック30は、コンテンツ配給会社により運営される。コンテンツ配給ブロック30は、コンテンツ制作ブロック10から供給されたコンテンツを各コンテンツ提供ブロック50へ配給する。コンテンツ提供ブロック50は、例えば、映画館、放送局、ネットワーク配信業者等であるが、これらに限定されない。コンテンツ提供ブロック50は、コンテンツ配給ブロック30から配給されたコンテンツをエンドユーザである視聴者へ提供する。コンテンツの提供方法は、例えば、映画館での上映、テレビ放送、ラジオ放送、ケーブルテレビ放送、ネットワーク配信等であるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
NFT取引所70は、コンテンツ制作に関するNFTの取引を行う。NFTの取引により、コンテンツの制作費(例えば、コンテンツ関係者の報酬、コンテンツ制作用の機材や資材等の購入費用)の全部又は一部の調達、出資者からの出資金の調達が行われる。NFT取引所70は、
図1に示すように、内部NFT取引所70a、外部NFT取引所70bを含む。内部NFT取引所70aは、ブロックチェーンネットワークBCNの利用者間で取引が行われるNFT取引所である。内部NFT取引所70aは、後述するブロックチェーンネットワークBCNと接続されてもよい(詳しくは後述する)。一方、外部NFT取引所70bは、コンテンツ関係者及びコンテンツ関係者以外の者を含めたすべての者の間で取引を行うNFT取引所である。内部NFT取引所70a及び外部NFT取引所70bは、それぞれ複数設けられてもよい。なお、以下では、これらを区別する場合を除き、NFT取引所70と総称する。
【0020】
<<コンテンツ制作ブロック>>
図2は、コンテンツ制作ブロックの構成を例示する図である。コンテンツ制作ブロック10(コンテンツ制作システム)は、
図1に示すように、コンテンツの制作スタッフ、コンテンツの出演者、管理者等のコンテンツ制作に携わるコンテンツ関係者がそれぞれ使用する複数の利用者端末90を備えている。なお、コンテンツ関係者には、コンテンツ制作ブロック10の運営者、コンテンツの制作スタッフが所属する組織(企業等)の従業者や、コンテンツの出演者のマネジメント業務の担当者等が含まれてもよい。また、管理者は、特に限定されず、コンテンツの制作スタッフやコンテンツの出演者等でもよい。
【0021】
コンテンツ関係者が使用する利用者端末90は、代表的な例としては、スマートフォン、タブレット端末、パソコン等の情報処理装置であるが、通信機能を備えたその他の情報処理装置でも構わない。また、利用者端末90は、ウォレット機能を備えていることが望ましい。ウォレット機能は、NFT取引成立時における販売代金(暗号資産等)の受け渡し等に使用される。なお、コンテンツ関係者は、利用者端末90として、コンテンツ制作用の端末、及びNFT取引用の端末を含む複数の端末を所有してもよく、複数の利用者端末90を用途に応じて適宜使い分けるようにしてもよい。
【0022】
コンテンツ制作ブロック10を構成する利用者端末90は、ネットワークNETを介して互いに通信可能になっている。そして、これらの利用者端末90は、コンテンツ制作ブロック10内において、閉鎖型のブロックチェーンネットワークBCNを構成する。
【0023】
ブロックチェーンネットワークBCNには、例えば、コンテンツのシナリオ、コンテ、キャスティングリスト等のコンテンツ制作前の各工程において作成される各種データ(作業結果物)、撮影、音響、編集等のコンテンツ制作中の各工程で生成される各種データ(作業結果物)、試写会の実施、予告編の作成・公開等のコンテンツ制作後の各工程において作成された各種データ(作業結果物)が保存される。また、ブロックチェーンネットワークBCNは、利用者端末90を用いてコンテンツ関係者間でやりとりされた(送受信された)コンテンツ制作に関する情報(例えばメールを含むメッセージ、会話を含む音声、映像)等、コンテンツ制作に関わるあらゆる情報が保存される。
【0024】
また、ブロックチェーンネットワークBCNには、コンテンツ制作の各工程の作業結果物に対応して作成されたNFTに関する情報(NFT作成情報)も保存される。
【0025】
また、ブロックチェーンネットワークBCNは、前述した内部NFT取引所70aを含んでもよい。これにより、内部NFT取引所70aにおけるNFTの出品情報、NFTの取引情報等の各種情報は、コンテンツ関係者間で共有することができる。
【0026】
複数の利用者端末90のうちの1つは、コンテンツ制作の管理者(例えば、コンテンツ制作ブロックの運営者)が使用するマスター端末90Mである。マスター端末90Mは、例えば、コンテンツ関係者のアカウント情報の管理や、コンテンツ制作に関わるNFTの作成(ミンティング)等を行う。なお、NFTのミンティングは、作業結果物を作成したコンテンツ関係者自身が所有する利用者端末90において行われてもよい。
【0027】
なお、
図2では、出演者、制作スタッフ、管理者等といった各利用者の利用者属性が示されているが、アカウント情報には、利用者の属性や利用者の担当工程等の情報が含まれてもよい。コンテンツ制作の具体的な例については後で説明する。
【0028】
マスター端末90Mは、例えば、コンテンツ関係者以外の者であって、コンテンツ制作に関わるNFTの購入を希望する者に対し、ブロックチェーンネットワークBCNのアカウントを発行してもよい。これにより、NFTの購入希望者(出資者、出資希望者)は、作業結果物等の内容を確認した上でNFTを購入することができ、NFT取引におけるトラブルを未然に回避することができる。NFTの取引により、各担当者はコンテンツ制作における自身の作業に対する報酬を得ることができる。
【0029】
なお、NFTの購入希望者に対しては、ブロックチェーンネットワークBCNの特定の領域以外の領域にはアクセスできないようアクセス制限を設けてもよい。これにより、コンテンツに関わる機密情報の漏洩を防ぐことができる。
【0030】
コンテンツ制作の管理者は、利用者端末90(例えばマスター端末90M)を用いて、例えば、コンテンツ配給会社からの代金の受け取り、コンテンツ関係者への報酬の支払い、NFT購入者(出資者)等に対する収益金の分配等の各処理を行ってもよい。
【0031】
<<利用者端末>>
次に、利用者端末90について説明する。前述の通り、利用者端末90は、コンテンツ関係者(コンテンツの制作スタッフ、コンテンツの出演者、管理者等)が使用する端末である。利用者端末90は、通信機能及びウォレット機能を備えた情報通信端末である。利用者端末90は、例えば、スマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレット端末等であるが、これらに限定されない。
【0032】
図3は、利用者端末の構成を例示する図である。
図3に示すように、利用者端末90は、プロセッサ91、メインメモリ93、ストレージ95、通信インタフェース97、表示部99を備えている。通信インタフェース97は、ネットワークNETを介して他のコンテンツ関係者が使用する利用者端末90やマスター端末90M等との間で通信を行う通信装置である。
【0033】
ストレージ95は、プログラム保存領域95a、アカウント情報保存領域95b、ウォレット95c、ブロックチェーン保存領域95d等の各保存領域を備えている。プログラム保存領域95aは、利用者端末90を動作させるOS(Operating System)等の基本プログラム、プロセッサ91にコンテンツ制作システム10、ブロックチェーンネットワークBCN、ひいてはコンテンツ提供システム1の機能ブロックを実現させるアプリケーション等の各種プログラムを保存する。このアプリケーションには、ブロックチェーンネットワークBCNを構成するためのアプリケーション、NFT作成用アプリケーション等の各アプリケーション、各アプリケーションの更新プログラム、各アプリケーションのパラメータ等を保存する。アプリケーション及び更新プログラムは、必要に応じてインストールを行って使用されてもよい。このように、ストレージ95は、プログラムの記録媒体としての機能を有する。
【0034】
アカウント情報保存領域95bは、この利用者端末90を使用する利用者(コンテンツ関係者)のアカウント情報を保存する。アカウント情報には、例えば、コンテンツ制作システム10における利用者の識別情報(例えばログインID、氏名、属性、担当工程等)、利用者履歴情報等の各種情報が含まれる。利用者履歴情報には、例えば、ログイン履歴、ログアウト履歴、NFT作成履歴、NFT出品履歴、NFT取引履歴等の各種情報が含まれてもよい。
【0035】
一方、マスター端末90Mのアカウント情報保存領域95bには、コンテンツ制作システム10の全ての利用者のアカウント情報、利用者履歴が保存されてもよい。
【0036】
ウォレット95cは、コンテンツ制作に関するNFT、暗号資産等を保存する。コンテンツ制作に関するNFTは、自身の使用者端末90又はマスター端末90Mで作成される。あるいは、コンテンツ制作に関するNFTは、外部のNFT作成装置(外部サーバ)において作成されてもよい。ウォレット95cに保存されたNFTは、NFT取引所70に出品される。出品されたNFTの取引が成立すると、利用者端末90は、NFTの販売代金を暗号資産で受け取り、受け取った代金をウォレット95cに保存する。なお、NFTの販売代金は、法廷通貨で支払われてもよい。この場合、NFTを販売した利用者の銀行等の口座情報が購入者に提供され、提供された口座情報に基づき、販売者の口座へ販売代金が振り込まれることとなる。
【0037】
また、ウォレット95cは、コンテンツ制作に関わる経費の決済にも用いられてもよい。このように、ウォレット95cは、NFTの取引やコンテンツ制作の経費の支払等に用いられる。
【0038】
ブロックチェーン保存領域95dは、ブロックチェーンネットワークBCN内のブロックチェーンを保存する。ブロックチェーンには、例えば、シナリオ、コンテ、キャスティング、撮影、音響、編集、試写会、予告編等、コンテンツ制作の各工程において作成された各種情報(作業結果物)、コンテンツ関係者間のコミュニケーションで送受信された情報(例えば、eメール、メッセージ等)を含むコンテンツ制作に関わる各種情報が保存される。
【0039】
ブロックチェーンは、ブロックチェーンネットワークBCNを構成する各利用者端末90において分散して保存される。このため、利用者端末90が何らかの理由で一時的にブロックチェーンネットワークBCNに接続できない状況が発生しても、いずれかの利用者端末90には最新のブロックチェーンが保存されている。このため、ブロックチェーンネットワークBCNに再接続した利用者端末90は、他の利用者端末90に保存されているブロックチェーンと比較することで、必要に応じて最新の情報に更新される。
【0040】
メインメモリ93は、プログラム保存領域95aから読み出したプログラム(アプリケーション)及びこれらのパラメータ等を保持する。また、メインメモリ93は、通信インタフェース97を介して受信した情報や、通信インタフェース97を介して送信する情報等を一時的に保持する。
【0041】
プロセッサ91は、メインメモリ93に保持されたプログラムやパラメータを読み出して実行することで、利用者端末90の各構成要素を駆動させる機能ブロック、コンテンツ制作システム10、ブロックチェーンネットワークBCN、ひいてはコンテンツ提供システム1を実現する機能ブロックを実現する機能ブロック等をソフトウェアで構成する。なお、一部の機能は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとを組み合わせて構成されてもよい。
【0042】
カメラ98は、例えばコンテンツ制作における作業結果物の撮像に使用される撮像装置である。作業結果物の撮像画像は、コンテンツに関するNFTの取引において、作業結果物を証明する情報(例えばサムネイル)として使用されてもよい。
【0043】
表示部99は、操作用のユーザインタフェース、コンテンツ制作システム10、コンテンツ制作に用いるアプリケーション、利用者間(コンテンツ関係者間)でコミュニケーションを取るためのアプリケーション、ブロックチェーンネットワークBCN等に関わる各種画像を表示する。なお、表示部99は、タッチ入力機能を備えてもよい。これにより、利用者は、表示された画像を見ながら表示部99をタッチすることで所望の入力操作を行うことができる。なお、入力装置は、表示部99と別体で設けられてもよい。
【0044】
<コンテンツ制作方法>
次に、コンテンツ制作方法について説明する。ここでは、映画コンテンツの制作方法について説明する。
図4は、映画コンテンツの制作フローを例示する図である。なお、
図4の制作フローは一例であって、状況に応じて各工程の順序は適宜変更可能であるし、同一工程が複数回実行されてもよい。また、各工程は、その他の工程と並行して実行されてもよい。
【0045】
例えば
図4に示すように、映画コンテンツの制作は、シナリオ作成工程S10、コンテ作成工程S20、キャスティング工程S30、ティザー作成工程S40、制作資金取得工程S50、撮影工程S60、音響(音入れ)工程S70、編集工程S80、予告編作成ステップS90、予告編公開ステップS100を備えている。これらのうち、ステップS10-S50は、コンテンツ制作前の準備段階の工程であり、ステップS60-S80は、コンテンツ制作中の工程であり、ステップS90-S100は、コンテンツ完成後の工程である。
【0046】
図5は、音楽コンテンツ制作の各工程における具体的なフローを例示する図である。なお、
図5のフローは、
図4の各ステップにおいて共通である。すなわち、
図4の各工程は、
図5のフローに沿って行われる。例えば
図5に示すように、
図4の各工程は、作業結果物を作成するステップS210、作業結果物をブロックチェーンネットワークに保存するステップS220、作業結果物に対応するNFTを作成、保存するステップS230、NFTを取引所に出品するステップS240、NFTの代金を受け取るステップS250を備えている。
【0047】
ステップS10では、映像コンテンツのシナリオの作成が行われる。シナリオ担当者は、映像コンテンツのシナリオ作成作業を行い、作業結果物であるシナリオを作成し(ステップS210)、利用者端末90を用いて、作成したシナリオをブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS220)。ブロックチェーンBCNに保存されたシナリオは、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧することができる。
【0048】
そして、シナリオ担当者は、作成したシナリオに対応するNFTを作成する(ステップS230)。NFTは、シナリオ担当者自身の利用者端末90で作成されてもよいし、マスター端末90Mで作成されてもよい。なお、後続の各工程においても、NFTの作成方法は、本ステップと同様である。作成されたNFTは、ブロックチェーンネットワークBCNに保存される。NFTはシナリオ(作業結果物)と関連づけられている。NFTには、NFTの所有者(作業結果物の作成者)、作業結果物等の保存場所(例えばネットワーク上のアドレス)、サムネイル画像等の情報が付加されている。
【0049】
作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS240)、取引が成立すると、シナリオ担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS250)。代金は暗号資産で受け取ることもできるし、法定通貨で受け取ることもできる。このようにして、シナリオ担当者は、シナリオ作成作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0050】
なお、NFTの購入希望者(出資希望者)が作業結果物(ここではシナリオ)の内容を確認するためには、ブロックチェーンネットワークBCNへアクセスする必要がある。この場合、管理者は出資希望者へブロックチェーンネットワークBCNのアカウントを発行することとなる。その場合、出資希望者のアカウントには、ブロックチェーンネットワークBCNの特定の領域にしかアクセスできないようにアクセス制限を設けることが望ましい。これにより、コンテンツ制作に関わる機密情報の漏洩を防ぐことができる。このようなアクセス制限は、後続の各工程においても同様に行われることが望ましい。
【0051】
なお、外部NFT取引所70bではなく、ブロックチェーンネットワークBCNと接続された内部NFT取引所70aでNFTの取引を行う場合には、例えばコンテンツ制作ブロック10の運営者がNFTを購入し、運営者が管理するコンテンツの制作費から代金(暗号資産又は法定通貨)が報酬として支払われることとなる。内部NFT取引所70aにおいてNFTの取引を行う場合の取り扱いは、後続の工程においても同様である。
【0052】
ステップS20では、コンテの作成が行われる。コンテ担当者は、シナリオに基づき映像コンテンツに関わるコンテを作業結果物として作成し(ステップS210)、利用者端末90を用いて、作成したコンテをブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS220)。ブロックチェーンBCNに保存されたコンテは、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧することができる。
【0053】
そして、コンテ担当者は、作成したコンテと関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS230)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS240)、取引が成立すると、コンテ担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、コンテ担当者は、コンテ作成作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0054】
ステップS30では、出演者のキャスティングが行われる。キャスティング担当者は、俳優との出演交渉を行い、映像コンテンツの出演者をキャスティングし、キャスティングの内容を一覧にしたキャスティング情報を作業結果物として作成し(ステップS210)、利用者端末90を用いて、作成したキャスティング情報をブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS220)。ブロックチェーンBCNに保存されたキャスティング情報は、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧することができる。
【0055】
そして、キャスティング担当者は、作成したキャスティング情報と関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS230)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS240)、取引が成立すると、キャスティング担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、キャスティング担当者は、キャスティング作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0056】
ステップS40では、プロモーション用ティザーの作成が行われる。ティザー担当者は、例えば、シナリオ、コンテ、キャスティング情報等に基づきティザーを作業結果物として作成し(ステップS210)、利用者端末90を用いて、ティザーをブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS220)。ブロックチェーンBCNに保存されたティザーは、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧することができる。
【0057】
そして、ティザー担当者は、作成したティザーと関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS230)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS240)、取引が成立すると、ティザー担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、ティザー担当者は、ティザー作成作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0058】
ステップS50では、例えばコンテンツ制作ブロック10の運営者は、ティザーと関連付けた制作資金取得用NFTを生成し(ステップS230)、作成した制作資金取得用NFTを、外部NFT取引所70bに出品する(ステップS240)。なお、ステップS50では、作業結果物を作成する工程が無いので、ステップS210-S220は省略される。
【0059】
制作資金取得用NFTは、コンテンツ制作のための資金を外部から調達することを主な目的としている。このため、ここで作成されるティザーは、コンテンツへの出資を検討している人に向けたものである。そして、ティザーに関わるNFTの取引は、原則として外部NFT取引所70bで行われる。また、ティザーに関わるNFTは、複数発行されてもよいし、NFTごとに販売価格が異なってもよい。これにより、多くの出資者からコンテンツ制作のための資金を集めることができるようになる。
【0060】
制作資金取得用NFTの取引が成立すると、コンテンツ制作ブロック10の運営者は、購入者(すなわち出資者)から制作資金取得用NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、コンテンツ制作ブロック10の運営者は、NFTを取引することで、コンテンツの制作資金を取得することができる。
【0061】
なお、ティザーの作成は、コンテンツの撮影の開始前だけでなく開始後にも行われてよい。これにより、コンテンツの一部を用いたティザーの作成が可能となり、コンテンツの内容を確認してから出資しようと考えている出資者の要請に応えることができる。
【0062】
ステップS60では、コンテンツの撮影が行われる。撮影担当者は、例えば、シナリオ、コンテ、キャスティング情報等に基づき撮影データを作業結果物として作成し(ステップS210)、利用者端末90を用いて、撮影データをブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS220)。ブロックチェーンBCNに保存された撮影データは、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧することができる。
【0063】
そして、撮影担当者は、作成した撮影データと関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS230)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS240)、取引が成立すると、撮影担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、撮影担当者は、撮影作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0064】
ところで、撮影には、例えば、カメラでの撮影だけでなく、撮影場所の確保、音声、照明、美術(撮影セット、大道具、小道具等)、出演者のメイクアップ、出演者が着用する衣装の用意等の作業が発生する。これらの作業の各担当者は、作業終了後、担当する作業の作業結果物に関連付けたNFTを取引することで、作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0065】
各作業における作業結果物を、以下で例示する。撮影場所の確保に関する作業結果物は、撮影場所の撮影した画像、交渉の経緯等を纏めた資料等である。音声に関する作業結果物は、撮影時に録音した音声の音声データ等である。照明に関する作業結果物は、撮影時に撮影場所(撮影現場)を撮影した画像等である。美術に関する作業結果物は、撮影に使用した撮影セット、大道具、小道具等を撮影した画像等である。
【0066】
出演者のメイクアップに関する作業結果物は、例えば、メイクアップされた出演者を撮影した画像等である。この画像は、撮影中の出演者を撮影したものでもよいし、撮影前後の出演者を撮影したものでもよい。出演者が着用する衣装に関する作業結果物は、衣装を着用した出演者を撮影した画像等である。この画像は、撮影中の出演者を撮影したものでもよいし、撮影前後の出演者を撮影したものでもよい。
【0067】
ステップS70では、音響(音入れ)作業が行われる。音響担当者は、例えば、撮影された映像に対し、撮影シーンに応じた音楽、効果音、テーマ曲の挿入等を行う。音響担当者は、例えば、音響作業に使用した音源を纏めた音響データを作業結果物として作成し(ステップS210)、利用者端末90を用いて、音響データをブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS220)。ブロックチェーンBCNに保存された音響データは、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧することができる。
【0068】
そして、音響担当者は、作成した音響データと関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS230)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS240)、取引が成立すると、音響担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、音響担当者は、音響作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0069】
ステップS80では、コンテンツ本編の編集作業が行われる。編集担当者は、例えば、撮影データ、音響データ等を用いて編集作業を行い、映画コンテンツを完成させる。その際、映像効果を演出するためのCG(コンピュータグラフィックス)画像が使用されてもよい。編集担当者は、例えば、編集済の映画コンテンツのデータ(コンテンツデータ)を作業結果物として作成し(ステップS210)、利用者端末90を用いて、コンテンツデータをブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS220)。ブロックチェーンBCNに保存されたコンテンツデータは、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧することができる。
【0070】
そして、編集担当者は、作成したコンテンツデータと関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS230)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS240)、取引が成立すると、編集担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、編集担当者は、編集作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0071】
ステップS90では、映画コンテンツの予告編の作成作業が行われる。予告編は、ティザー公開後にさらに出資を募るために提供されるもの出資用予告編である。予告編作成担当者は、例えばステップS80の編集者であるが、これに限定されない。予告編作成担当者は、例えば、完成した映画コンテンツ、映画コンテンツの本編では使用されなかった撮影データ、音響データ等を用いて予告編の作成作業を行い、映画コンテンツの予告編を完成させる。予行編作成担当者は、例えば、作成済の予告編のデータ(予告編データ)を作業結果物として作成し(ステップS210)、利用者端末90を用いて、予告編データをブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS220)。ブロックチェーンBCNに保存された予告編は、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧することができる。
【0072】
そして、予告編作成担当者は、作成した予告編データと関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS230)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS240)、取引が成立すると、予告編作成担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、予告編作成担当者は、予告編作成作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0073】
ステップS100では、例えばコンテンツ制作ブロック10の運営者は、予告編と関連付けた制作資金取得用NFTを生成し(ステップS230)、作成した制作資金取得用NFTを、外部NFT取引所70bに出品する(ステップS240)。なお、ステップS100では、作業結果物を作成する工程が無いので、ステップS210-S220は省略される。
【0074】
制作資金取得用NFTは、ステップS50と同様、コンテンツ制作のための資金を外部から調達することを主な目的としている。このため、ここで作成される予告編は、コンテンツへの出資を検討している人に向けたものである。このため、予告編に関わるNFTの取引は、原則として外部NFT取引所70bで行われる。また、予告編に関わるNFTは、複数発行されてもよいし、NFTごとに販売価格が異なってもよい。これにより、コンテンツの編集が完了した後でも、多くの出資者からコンテンツ制作のための資金を集めることができるようになる。
【0075】
制作資金取得用NFTの取引が成立すると、コンテンツ制作ブロック10の運営者は、購入者(すなわち出資者)から制作資金取得用NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、コンテンツ制作ブロック10の運営者は、予告編に関わるNFTを取引することで、コンテンツの制作資金を取得することができる。
【0076】
これらの工程により、映画コンテンツが制作される。なお、同一工程の担当者が複数いる場合には、担当者ごとにNFTの発行、取引等を行い、作業に対する報酬を個別に受け取るようにすればよい。
【0077】
なお、ステップS10-S40、S60-S90については、外部NFT取引所70bでのNFTの取引は行わず、内部NFT取引所70aのみでNFTの取引が行われるようにしてもよい。これにより、映画コンテンツ公開前におけるコンテンツの内容の外部への漏洩を抑えることができる。
【0078】
なお、映画コンテンツの制作は、これら以外の工程が含まれてもよい。例えば、映画コンテンツの原作の著作物が出版されている場合、原作の著作物に基づく映画コンテンツの製作発表をすることで出資者を募ることが可能である。このため、例えば、プレスリリースの資料等、映画コンテンツの制作発表に関する何らかのものと関連付けたNFTの発行、取引をすることで、制作開始前に制作資金を取得することができる。
【0079】
また、映画コンテンツでは、一般向けの予告編の作成、公開が行われることが多い。このため、これらに関連する工程も発生した場合も、前述の方法で報酬を受け取ることができる。
【0080】
各工程の担当者は、ブロックチェーンネットワークBCNに保存された作業結果物の内容を見て、内容の修正、変更等を希望する場合もあり得る。この場合、担当者間で直接やりとりすることで、各工程において追加作業が発生する可能性がある。この場合、作業担当者は、追加作業に関するNFTの発行、取引を行うことで、追加作業の報酬を受け取ることができる。
【0081】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、ブロックチェーンネットワークBCN内で映画コンテンツの制作が可能である。これにより、担当者が互いに離れた場所にいても、あるいは運営者や管理者から離れた場所にいても、コミュニケーションを取ることができるようになっている。また、ブロックチェーンネットワークBCNに保存された情報は、コンテンツ関係者の全員が閲覧(視聴)することができるようになっているので、各担当者への過度な干渉を制限されることができるようになっている。したがって、この構成によれば、制作環境に影響されず独創的なコンテンツ作りを行うことが可能となる。
【0082】
本実施の形態によれば、各担当者への報酬が明らかになっているので、担当者間における報酬の偏りが抑えられ、担当者もモチベーション向上を図ることができる。
【0083】
(実施の形態2)
実施の形態2では、音楽コンテンツの制作方法について説明する。
図6は、音楽コンテンツの制作フローを例示する図である。なお、ここでは、
【0084】
例えば
図6に示すように、音楽コンテンツの制作は、楽曲作成工程S310、各パートの音楽データ作成工程S320、編集工程S330、音楽コンテンツ販売工程S340を備えている。
【0085】
図7は、音楽コンテンツ制作の各工程における具体的なフローを例示する図である。なお、
図7のフローは、
図6の各ステップにおいて共通である。すなわち、
図6の各工程は、
図6のフローに沿って行われる。例えば
図6に示すように、
図4の各工程は、作業結果物を作成するステップS410、作業結果物をブロックチェーンネットワークに保存するステップS420、作業結果物に対応するNFTを作成、保存するステップS430、NFTを取引所に出品するステップS440、NFTの代金を受け取るステップS450を備えている。
【0086】
ステップS310では、作詞、作曲、アレンジ等を含む各パートの楽曲作成が行われる。楽曲作成担当者は、例えば、歌詞、楽譜等を作業結果物として作成し(ステップS410)、利用者端末90を用いて、作成した作業結果物(歌詞、楽譜等)をブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS420)。ブロックチェーンBCNに保存された歌詞、楽譜等は、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧することができる。なお、楽曲作成担当者は、例えば、作詞家、作曲家、アレンジャー等であるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
そして、楽曲作成担当者は、作成した歌詞、楽譜等と関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS430)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS440)、取引が成立すると、楽曲作成担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS450)。このようにして、楽曲作成担当者は、楽曲作成作業に対する報酬を受け取ることができる。なお、楽曲作成において、同一の者が複数のパートを作成した場合、パートごとにNFTを作成してもよいし、複数パート分を纏めたNFTを作成してもよい。
【0088】
なお、NFTの購入希望者(出資希望者でもよい)が作業結果物(ここでは楽曲の各パート)の内容を確認するためには、ブロックチェーンネットワークBCNへのアクセスが必要となる。その場合、出資希望者のアカウントには、ブロックチェーンネットワークBCNの特定の領域にしかアクセスできないようにアクセス制限を設けることが好ましい。これは、映画コンテンツの場合と同様である。
【0089】
ステップS320では、各パートのデータ作成が行われる。ここでの各パートは、例えば、ボーカル、各楽器の演奏のことをいう。各パートのデータ作成担当者は、例えば、ボーカルデータ、各楽器の演奏データ等を作業結果物として作成し(ステップS410)、利用者端末90を用いて、作成した作業結果物の音楽コンテンツデータ(ボーカルデータ、演奏データ等)をブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS420)。ブロックチェーンBCNに保存されたボーカルデータ、演奏データ等は、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧(視聴)することができる。
【0090】
また、ボーカルデータ、演奏データには、映像データを組み合わせることができる。例えば、ボーカル担当者が楽曲を歌唱しているシーンを録画したデータをボーカルデータとすることができ、演奏担当者が楽曲を演奏するシーンを録画したデータを演奏データとすることができる。また、映像データは、ボーカルデータ及び演奏データとは別で作成されてもよい。各パートのデータ作成担当者は、ボーカル担当者、演奏担当者、映像担当者、データ作成担当者等が含まれる。なお、1人で複数のパートを担当してもよい。
【0091】
そして、各パートのデータ作成担当者は、作成した音楽コンテンツデータと関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS430)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS440)、取引が成立すると、各パートのデータ作成担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS450)。このようにして、各パートのデータ作成担当者は、各パートのデータ作成作業に対する報酬を受け取ることができる。なお、各パートのデータ作成において、同一の者が複数パート(ボーカル、演奏)のデータを作成した場合、パートごとにNFTを作成してもよいし、複数パート分を纏めたNFTを作成してもよい。
【0092】
ステップS330では、編集作業が行われ、音楽コンテンツが作成される。編集担当者(音楽コンテンツ作成担当者)は、ボーカルデータ、各楽器の演奏データ等の各データを組み合わせて音楽コンテンツを作成する。その際、編集担当者は、例えば、各パート間のタイミング調整、レベル調整、ノイズ調整等の各処理を行う。また、映像データが作成されている場合、編集担当者は、映像データと組み合わせた音楽コンテンツを作成する。
【0093】
このように、編集担当者は、作成した音楽コンテンツ等を作業結果物として作成し(ステップS410)、利用者端末90を用いて、作成した作業結果物の音楽コンテンツデータ(ボーカルデータ、演奏データ等)をブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS420)。ブロックチェーンBCNに保存されたボーカルデータ、演奏データ等は、ブロックチェーンネットワークBCNにログインした利用者端末90を用いて閲覧(視聴)することができる。
【0094】
そして、編集担当者は、作成した音楽コンテンツと関連付けたNFTを作成し、ブロックチェーンネットワークBCNに保存する(ステップS430)。作成されたNFTは、NFT取引所70に出品され(ステップS440)、取引が成立すると、編集担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS450)。このようにして、編集担当者は、音楽コンテンツ作成作業に対する報酬を受け取ることができる。
【0095】
各工程の担当者は、ブロックチェーンネットワークBCNに保存された作業結果物の内容を見て、内容の修正、変更等を希望する場合もあり得る。この場合、担当者間で直接やりとりすることで、各工程において追加作業が発生する可能性がある。この場合、作業担当者は、追加作業に関するNFTの発行、取引を行うことで、追加作業の報酬を受け取ることができる。
【0096】
ステップS340では、例えばコンテンツ制作ブロック10の運営者は、音楽コンテンツと関連付けた音楽コンテンツ販売用NFTを生成し(ステップS230)、作成した音楽コンテンツ販売用NFTを、外部NFT取引所70bに出品する(ステップS240)。なお、ステップS340では、作業結果物を作成する工程が無いので、ステップS210-S220は省略される。
【0097】
音楽コンテンツ販売用NFTは、音楽コンテンツの購入を希望する一般視聴者への販売を目的としている。このため、音楽コンテンツに関わるNFTの取引は、原則として外部NFT取引所70bで行われる。したがって、音楽コンテンツ販売用NFTは、複数発行される。
【0098】
音楽コンテンツ販売用NFTの取引が成立すると、コンテンツ制作ブロック10の運営者は、購入者(一般視聴者)から音楽コンテンツ販売用NFTの代金を受け取る(ステップS250)。このようにして、コンテンツ制作ブロック10の運営者は、NFTを取引することで、音楽コンテンツの収益を上げることができる。音楽コンテンツの収益は、運営者、各工程の担当者に配分される。
【0099】
本実施の形態によれば、音楽コンテンツの制作においても、映画コンテンツと同様、制作環境に影響されず独創的な音楽コンテンツを制作することができる。
【0100】
ここまで、本発明の各実施形態を説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、テレビ用のドラマ、その他の芸能、アニメーション、ドキュメンタリー等のコンテンツの制作においても、上述の実施形態を適用することができる。また、当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。さらに、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【0101】
(実施の形態3)
実施の形態3では、広告機能を備えたコンテンツ制作システムについて説明する。
図8は、本発明の実施の形態3に係るコンテンツ制作ブロックの構成を例示する図である。
図8に示すように、本実施の形態のコンテンツ制作ブロック10は、
図2に広告用端末190が追加された構成となっている。このように、広告用端末190は、ネットワークNETと接続され、利用者端末90とともにブロックチェーンネットワークBCNを構成する。
【0102】
広告用端末190は、広告を表示する端末である。広告用端末190は、例えば、屋外や屋内に設置されてもよいし、自動車や鉄道等の移動体等に設置されてもよい。広告の出稿希望者は、外部NFT取引所70bで広告用NFTを購入することで、広告を表示するための広告表示枠を取得する。これにより、広告の出稿希望者の広告が、購入した広告用NFTに設定された所定のスケジュールで広告用端末190に表示される。
【0103】
広告用端末190は、ネットワークNETと通信可能な通信装置、広告を表示する表示装置を備えたものであれば、その形態は制限されない。広告用端末190は、例えば、表示装置とパソコン本体とが一体で構成された装置(例えばタブレット端末やノートパソコン)、表示装置とパソコン本体とが別体で構成された装置、パソコン本体とプロジェクタとスクリーンとで構成された装置等でもよい。
【0104】
<広告用端末>
次に、広告用端末190の構成について説明する。
図9は、広告用端末の構成を例示する図である。
図9に示すように、広告用端末190は、プロセッサ191、メインメモリ193、ストレージ195、通信インタフェース197、表示部199を備えている。また、広告用端末190は、カメラ198、スピーカ196、プロジェクタ199aを備えてもよい。
【0105】
通信インタフェース197は、ネットワークNETを介してブロックチェーンネットワークBCNを構成する利用者端末90等との間で通信を行う通信装置である。通信インタフェース197は、ネットワークNETを介して他のコンテンツ関係者が使用する利用者端末90やマスター端末90M等との間で通信を行う通信装置である。
【0106】
ストレージ195は、プログラム保存領域195a、アカウント情報保存領域195b、ウォレット195c、ブロックチェーン保存領域195d、広告情報保存領域195e等の各保存領域を備えている。プログラム保存領域195aは、広告用端末190を動作させるOS(Operating System)等の基本プログラム、プロセッサ191にコンテンツ制作システム10、ブロックチェーンネットワークBCN、ひいてはコンテンツ提供システム1の機能ブロックを実現させるアプリケーション等の各種プログラムを保存する。このアプリケーションには、ブロックチェーンネットワークBCNを構成するためのアプリケーション、広告表示に関わるアプリケーション等の各アプリケーション、各アプリケーションの更新プログラム、各アプリケーションのパラメータ等を保存する。アプリケーション及び更新プログラムは、必要に応じてインストールを行って使用されてもよい。このように、ストレージ195は、プログラムの記録媒体としての機能を有する。
【0107】
アカウント情報保存領域195bは、広告用端末190を使用する利用者のアカウント情報を保存する。広告用端末190のアカウント情報は、例えば、広告を担当するコンテンツ関係者がいる場合、その広告担当者のアカウント情報でよいし、広告担当者がいない場合、管理者のアカウント情報でもよい。
【0108】
ブロックチェーン保存領域195dは、ブロックチェーンネットワークBCN内のブロックチェーンを保存する。ブロックチェーンは、例えば、前述の実施の形態で述べたコンテンツ制作に関わる各種情報に加え、広告表示に関わる各種情報(以下では広告情報とも呼ぶ)を保存する。広告情報は、例えば、広告用端末190で広告を表示させる広告データ、広告用端末190で表示する広告のスケジュール情報等を含む。広告データは、画像を表示させる画像データだけでなく、音声データを含んでもよい。また、広告データは、音声データのみでも構わない。なお、ブロックチェーンに保存される広告情報には、ブロックチェーンネットワークBCN内の全ての広告用端末190の広告情報が含まれる。
【0109】
広告情報保存領域195eは、自身の広告用端末190に関する広告情報を保存する。広告用端末190は、ブロックチェーン保存領域195dに保存されたブロックチェーンから、自身の広告用端末190に関する広告情報を取り出し、広告情報保存領域195eに保存する。その際、広告用端末190は、ブロックチェーンから取り出した個別のスケジュール情報を纏めたスケジュール表を作成し、広告情報保存領域195eに保存してもよい。
【0110】
メインメモリ193は、プログラム保存領域195aから読み出したプログラム(アプリケーション)及びこれらのパラメータ等を保持する。また、メインメモリ193は、通信インタフェース197を介して受信した情報や、通信インタフェース197を介して送信する情報等を一時的に保持する。
【0111】
プロセッサ191は、メインメモリ193に保持されたプログラムやパラメータを読み出して実行することで、広告用端末190の各構成要素を駆動させる機能ブロック、広告表示を行う機能ブロック、コンテンツ制作システム10、ブロックチェーンネットワークBCN、ひいてはコンテンツ提供システム1を実現する機能ブロックを実現する機能ブロック等をソフトウェアで構成する。なお、一部の機能は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとを組み合わせて構成されてもよい。
【0112】
カメラ198は、例えば、広告用端末190の周辺の景色の撮像に使用される撮像装置である。カメラ198が生成した撮像画像は、例えば、広告用端末190の端末周辺情報(端末周辺の人数、広告を見ている人数、これらの男女比、天候等)の把握に用いることができる。端末周辺情報は、例えば広告ごと、曜日ごと、日ごと、時間ごと等の条件に応じて作成されてもよい。撮像画像及び端末周辺情報は、ブロックチェーンに保存される。ブロックチェーンネットワークBCNの利用者は、撮像画像及び端末周辺情報を閲覧することができる。
【0113】
端末周辺情報は、広告用端末190で作成されてもよいし、ブロックチェーンネットワークBCN内の利用者端末90で作成されてもよい。また、その際、画像処理により撮像画像から人物を抽出し、抽出した人物に基づいて端末周辺情報が作成されてもよい。
【0114】
スピーカ196は、広告情報の音声データを音声に変換する装置である。スピーカ196は、広告用端末190に表示された広告の画像と連携して音声データに基づく音声を発する。
【0115】
表示部199は、広告、表示部199は、操作用のユーザインタフェース、コンテンツ制作システム10、コンテンツ制作に用いるアプリケーション、利用者間(コンテンツ関係者間)でコミュニケーションを取るためのアプリケーション、ブロックチェーンネットワークBCN等に関わる各種画像を表示する表示装置である。
【0116】
なお、表示部199は、タッチ入力機能を備えてもよい。これにより、利用者は、表示された画像を見ながら表示部199をタッチすることで所望の入力操作を行うことができる。なお、入力装置は、表示部199と別体で設けられてもよい。
【0117】
プロジェクタ199aは、パソコン本体から受信した画像データに基づく画像をスクリーンに投影する装置である。表示部199にスクリーンが用いられる場合、プロジェクタ199aを用いてスクリーンに広告を表示することとなる。スクリーンを用いることで、費用を抑えつつ大きな画面で広告を表示することができる。
【0118】
<広告表示方法>
次に、広告表示方法について説明する。
図10は、広告表示のフローを例示する図である。ステップS510では、広告用NFTの作成及びブロックチェーンへの保存が行われる。管理者(又は広告担当者)は、マスター端末90M(又は担当者自身の利用者端末90)を用いて、各広告用端末190の各広告表示枠に関連付けた広告用NFTを作成する(ステップS510)。作成された広告用NFTは、ブロックチェーンネットワークBCNに保存される。
【0119】
広告用NFTには、取引価格(すなわち広告料)、端末情報、広告表示枠情報等が設定されている。端末情報は、例えば、使用する広告用端末190、画面サイズ、設置場所、音声利用の可否等の情報を含んでもよい。広告表示枠情報は、広告表示のスケジュール情報、具体的には、広告表示開始日時、広告表示時間等の情報を含んでもよい。
【0120】
なお、1つの広告用NFTに、複数の広告表示枠が関連付けられてもよい。例えば、1つの広告用NFTに、所定期間内における各週の所定曜日の所定開始時刻の所定時間が、複数の広告表示枠として設定されてもよい。また、所定期間内の所定日の所定開始時刻の所定時間が、複数の広告表示枠として設定されてもよい。また、1つの広告用NFTに、このような特定の規則性が無く、任意の複数の広告表示枠が設定されてもよい。
【0121】
さらに、特定の日時を設定せず、所定期間内で1回又は複数回ランダムに広告を表示するように設定されたランダム表示枠の広告用NFTが取引されてもよい。この場合、例えば、広告表示枠の取引が成立せず、空いてしまった広告表示枠に広告を表示することができるようになる。また、出稿者からの人気が低い広告表示枠については、ランダム表示枠のみ設定してもよい。
【0122】
作成された広告用NFTは、外部NFT取引所70bに出品され(ステップS520)、広告の出稿希望者が広告用NFTを購入して取引が成立すると、管理者(又は広告担当者)は、NFTの代金を広告料として受け取る(ステップS530)。
【0123】
広告の出稿希望者は、コンテンツ制作の管理者(ブロックチェーンネットワークBCNの運営者でもよい)又は広告担当者の端末へ広告データを提供する(ステップ540)。そして、管理者又は広告担当者は、出稿希望者から提供された広告データ及び対応するスケジュール情報をブロックチェーンネットワークBCNへ保存する(ステップS540)。そして、各広告用端末190は、広告データ及び対応するスケジュール情報に基づき、所定の広告を表示部199に表示する(ステップ550)。
【0124】
本実施の形態によれば、ブロックチェーンネットワークBCNに広告機能を備えることにより、広告料からもコンテンツの制作費を調達することができる。
【0125】
(実施の形態4)
実施の形態4では、例えば演劇、音楽、舞踊等(舞台とも呼ぶ)を上演する団体(芸能団体とも呼ぶ)におけるコンテンツ制作システムについて説明する。なお、本実施の形態では、「コンテンツ制作」が舞台の上演を含むものとする。本実施の形態に係るコンテンツ制作ブロックの構成は、
図8と同様である。
【0126】
ただし、本実施の形態において、「出演者」とは、例えば舞台を演ずる者も含む。また、「制作スタッフ」とは、例えば、芸能団体における、出演者以外の者が該当する。制作スタッフには、例えば、舞台の技術スタッフ、顧客対応業務(例えばチケット販売や受付を含む)や団体の管理業務を担当する者等が含まれる。
【0127】
本実施の形態においても、ブロックチェーンネットワークBCNの利用者は、NFTの取引により自身の作業に対する報酬を受け取ることができる。また、広告用端末190を備えることにより、広告収入により運営資金を確保することが可能である。
【0128】
[変形例]
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
図11は、本発明の実施の形態4に係るコンテンツ制作ブロックの構成を例示する図である。
図11に示すように、本実施の形態では、ブロックチェーンネットワークBCNに、芸能団体に会員登録した会員登録者の利用者端末90が追加されている。ブロックチェーンネットワークBCNを利用する会員登録者は、ブロックチェーンネットワークBCN内で、会員登録した芸能団体のチケットを購入することができる。ただし、会員登録者に対しては、ブロックチェーンネットワークBCNの特定の領域以外の領域にはアクセスできないようアクセス制限を設けてもよい。これにより、芸能団体に関わる機密情報の漏洩を防ぐことができる。
【0129】
図12は、本発明の実施の形態4の変形例に係るチケット販売のフローを例示する図である。まず、チケット販売の担当者が使用する利用者端末90又は管理者が使用するマスター端末90Mにおいて、各上演の各座席に対応するNFT(チケットNFT)を作成する(ステップS610)。チケットNFTには、上演のタイトル、取引価格、上演日時、上演会場、座席情報等が設定されている。作成されたチケットNFTは、ブロックチェーンネットワークBCNに保存される。
【0130】
作成された広告用NFTは、内部NFT取引所70aに出品され(ステップS620)、会員登録者がチケットNFTを購入して取引が成立すると、管理者又はチケット販売担当者は、NFTの代金を受け取る(ステップS630)。
【0131】
このようにして、各上演のチケットをブロックチェーンネットワークBCN内で販売することができる。この構成によれば、外部のチケット販売業者を介することなくチケットを販売することができる。これにより、チケット販売業者への手数料の支払いを抑えることができる。また、前述したように、広告機能を備えることで広告収入も得られるので、芸能団体における運営資金が確保しやすくなる。特に、資金力に乏しい小規模の芸能団体においては大きな効果を奏する。
【0132】
ここまで、本発明の各実施形態を説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0133】
1…コンテンツ制作システム、10…コンテンツ制作ブロック(コンテンツ制作システム)、30…コンテンツ配給ブロック、50…コンテンツ提供システム、70a…内部NFT取引所、70b…外部NFT取引所、90…利用者端末、90M…マスター端末、190…広告用端末、BCN…ブロックチェーンネットワーク、NET…ネットワーク。