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  • 特開-治具 図1
  • 特開-治具 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157435
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】治具
(51)【国際特許分類】
   B25H 7/00 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B25H7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071804
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】山本 篤志
(72)【発明者】
【氏名】舛田 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 正彦
(57)【要約】
【課題】精密な穴の位置合わせに適した治具を提供する。
【解決手段】治具は、先端側に設けられたシノ部1と、基端側に設けられた打撃部5と、シノ部1と打撃部5との間に配置され、シノ部1の延在方向に軸心が沿う直胴部2と、直胴部2と打撃部5との間に配置され、直胴部2よりも拡径した段部3と、を備え、直胴部2は、シノ部1の基端部12と同一の径である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に設けられたシノ部と、
基端側に設けられた打撃部と、
前記シノ部と前記打撃部との間に配置され、前記シノ部の延在方向に軸心が沿う直胴部と、
前記直胴部と前記打撃部との間に配置され、前記直胴部よりも拡径した段部と、を備え、
前記直胴部は、前記シノ部の基端部と同一の径である治具。
【請求項2】
前記段部と前記打撃部との間に配置された棒状の把持部を更に備えた請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記段部の基端側に隣接して配置され、前記シノ部の延在方向に対して屈曲する屈曲部を更に備えた請求項1又は2に記載の治具。
【請求項4】
前記シノ部は、先端側が頂点となる円錐状形状であり、
前記直胴部は、円柱状形状であり、
前記段部は、前記直胴部よりも径が大きい円柱状形状であり、
前記打撃部は、前記段部よりも径が大きい柱状形状であり、基端側の端面が打撃面である請求項3に記載の治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治具に関する。
【背景技術】
【0002】
シノとは、先端が尖った治具である。シノは、尖った先端部を穴に挿通し、当該穴を介して相手方の部材にこじりを加えたり回転力を加えたりする用途に用いられる場合がある。例えば、2以上の部材のそれぞれに形成された貫通孔同士の位置合わせを行うために、これら貫通孔に挿通し、挿通した状態でこれら貫通孔にこじりを加える道具として用いる場合がある。また、例えば、クランプなどの別の部品や治具の穴(例えば、これらのねじ部材の頭部に形成された穴)に差し込んでハンドルとして回転力を加えたりするための道具として用いられる。
【0003】
特許文献1には、シノー付ラチェットレンチが開示されている。このシノー付ラチェットレンチは、ハンドルの一端部にラチェット頭部、他端部にシノーを設けたものである。このシノー付ラチェットレンチでは、シノーをハンドルに対して少し斜めに設けるとともにこのシノーの他端部をハンドル外周より少し突出させて打撃部として形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01-079567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来知られている形状の、シノとして用いられる治具では、穴の位置を精密に合わせることができない場合がった。そのため、精密な穴の位置合わせに適した治具の提供が望まれる。
【0006】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、精密な穴の位置合わせに適した治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る治具は、
先端側に設けられたシノ部と、
基端側に設けられた打撃部と、
前記シノ部と前記打撃部との間に配置され、前記シノ部の延在方向に軸心が沿う直胴部と、
前記直胴部と前記打撃部との間に配置され、前記直胴部よりも拡径した段部と、を備え、
前記直胴部は、前記シノ部の基端部と同一の径である。
【0008】
本発明に係る治具は、
前記段部と前記打撃部との間に配置された棒状の把持部を更に備えてもよい。
【0009】
本発明に係る治具は、
前記段部の基端側に隣接して配置され、前記シノ部の延在方向に対して屈曲する屈曲部を更に備えてもよい。
【0010】
本発明に係る治具は、更に、
前記シノ部は、先端側が頂点となる円錐状形状であり、
前記直胴部は、円柱状形状であり、
前記段部は、前記直胴部よりも径が大きい円柱状形状であり、
前記打撃部は、前記段部よりも径が大きい柱状形状であり、基端側の端面が打撃面であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、精密な穴の位置合わせに適した治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】治具の斜視図である。
図2】治具の使用状態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係る治具について説明する。
【0014】
図1には、本実施形態に係る治具100を示している。治具100は、先端側に設けられたシノ部1と、基端側に設けられた打撃部5と、シノ部1と打撃部5との間に配置され、シノ部1の延在方向に軸心が沿う直胴部2と、直胴部2と打撃部5との間に配置され、直胴部2よりも拡径した段部3と、を備えている。直胴部2は、シノ部1の基端部12と同一の径である。
【0015】
治具100は、精密な穴の位置合わせに適している。すなわち、治具100を用いれば、精密な穴の位置合わせを行える。
【0016】
以下、治具100について詳述する。図1に示す治具100は、上述のごとく、シノ部1、打撃部5、直胴部2及び段部3とに加えて、更に、段部3と打撃部5との間に配置された棒状の把持部4と、段部3の基端側に隣接して配置され、シノ部1の延在方向に対して屈曲する屈曲部34を更に備えている。
【0017】
治具100では、シノ部1、直胴部2、段部3、屈曲部34、把持部4及び打撃部5がこの順に配置されている。
【0018】
治具100は、例えば、鉄、ステンレスなどの鉄合金、アルミ合金、その他、工具や治具を形成する材料として一般に用いられている素材を用いて形成されてよい。
【0019】
シノ部1は、先端側が頂部11(頂点)となる錐体状形状をしている。シノ部1は、一例として図1に示すように円錐状形状としてよい。シノ部1の基端部12は、シノ部1の延在方向、すなわち、シノ部1の軸心G1に沿う方向視で見た場合、断面が円形状である。なお、シノ部1は、概ね錐体状形状をしていればよく、頂部11が鋭利に尖っている必要は無い。シノ部1は、いわゆる先細り形状であればよく、頂部11は、先端が面取りなどされて丸みを帯びていてもよい。
【0020】
直胴部2は、治具100において、シノ部1に隣接して配置された直胴状の部分である。直胴部2は、その柱状形状における延在方向が、シノ部1の延在方向、すなわち軸心G1に沿っている。直胴部2は、シノ部1の基端部12に隣接して配置されている。直胴部2の先端部21は、基端部12と連続している。直胴部2は、軸心G1に沿う先端側から基端側まで同一の形状をしている。直胴部2は、例えば円柱状などの柱状形状であってよい。図1では、直胴部2が円柱状をしている場合を示している。直胴部2の直径は、シノ部1の基端部12直径と同じである。
【0021】
段部3は、治具100において、直胴部2に隣接して配置され、直胴部2よりも直径が大きい部分である。段部3は、直胴状であってよい。段部3は、直胴部2よりも径が大きい柱状、例えば円柱状形状であってよい。段部3は、その柱状形状における延在方向が軸心G1に沿っている。図1では、段部3が円柱状をしている場合を示している。段部3の直径は、直胴部2の直径よりも大きい。
【0022】
段部3の径方向における中心と直胴部2の径方向における中心とは、それぞれ軸心G1と重複している。すなわち、段部3の先端部32の径方向における中心と直胴部2の基端部22の径方向における中心とは、それぞれ軸心G1と重複している。段部3の先端部32の直径は、直胴部2の基端部22の直径よりも大きい。先端部32には、シノ部1の先端側に向く端面32aが段差面として形成されている。端面32aは、軸心G1と直交してよい。もしくは、端面32aは、外側を向くように傾斜、すなわち、テーパー状に形成されてもよい。
【0023】
把持部4は、治具100において、段部3よりも基端側に配置される。把持部4は、治具100の使用者が把持するための部分である。把持部4は、直胴状又は棒状であってよい。把持部4は、一例として円柱状などの柱状であってよい。把持部4は、直胴状又は棒状における延在方向が軸心G1と交差している。図1では、把持部4が段部3の基端側に隣接して配置され、把持部4が段部3と同じ直径の円柱状であり、その軸心G2が軸心G1と交差している場合を示している。図1では、段部3と把持部4との接続部分が屈曲部34である。
【0024】
屈曲部34の屈曲の角度は用途に応じて調整してよい。屈曲部34の屈曲の角度は、例えば、10°以上45°以下、典型的には12°以上30°以下であってよい。
【0025】
打撃部5は、治具100の基端部に配置されている。打撃部5の基端面51は、使用者がハンマーなどで打撃しやすいように、打撃面として平面状に形成されてよい。打撃部5は、厚みの薄い柱状形状であってよい。図1では、打撃部5の軸方向は軸心G2と重複している場合を例示している。打撃部5の直径は、段部3や把持部4よりも大きいと打撃しやすいため好ましい。打撃部5の外周は、例えばボルトの頭部状としてよい。すなわち、打撃部5は、六角柱状などの角柱状とされてよい。
【0026】
図2には、治具100を2つ以上の穴の位置合わせに用いる場合の使用状態を説明する模式図を示している。
【0027】
図2に示す例では、治具100を用いて板部91から95に形成された貫通孔91aから95aの位置合わせをする場合を例示している。図2に示す例では、板部91から95が、板部93,92,91,94,95の順に積層されている。貫通孔91aから95aは、円形の貫通孔であり、それぞれ直径は同じである。この場合、治具100を用いた貫通孔91aから95aの位置合わせは、以下のようにして行う。
【0028】
まず、シノ部1を板部93の貫通孔93aから挿入して板部95の貫通孔95aまで貫通させる。これにより、貫通孔91aから95aがある程度の位置合わせをされる。その後、更に、直胴部2を貫通孔93aから貫通孔95aまで貫通させる。直胴部2は直胴状であるので、これにより、貫通孔91aから95aが精密に位置合わせされる。
【0029】
シノ部1や直胴部2を貫通孔93aから貫通孔95aまで貫通させる際に、板部93などの重量が重い場合や板部91から95の摩擦力が大きい場合であって、把持部4を把持した状態で人力でシノ部1や直胴部2を貫通孔93aから貫通孔95aまで貫通させることが困難である場合は、打撃部5の基端面51をハンマーなどで打撃してシノ部1や直胴部2を貫通孔93aから貫通孔95aまで押し込んでよい。このように直胴部2を貫通孔93aなどに押し込む際、直胴部2が十分に深く押し込まれると端面32aが貫通孔93aの外周の板面に当接する。これにより、これ以上直胴部2が押し込まれることが防止される。
【0030】
なお、直胴部2の直径は、貫通孔91aから95a(以下、貫通孔91aなど、と記載する場合がある)よりも若干小さい程度とするとよい。具体的には例えば、直胴部2の直径が、貫通孔91aなどの直径(開口径)よりも、100μm以上300μm以下の直径差とするとよい。直胴部2の側面と貫通孔91aなど内面との隙間でいうと、50μm以上150μm以下とするとよい。直胴部2の直径と貫通孔91aなどとの直径の差が小さいほど、精密な位置合わせが可能となる。直胴部2の直径と貫通孔91aなどとの直径の差が小さすぎると、貫通孔91aなどから直胴部2を引き抜く際に直胴部2の側面が貫通孔91aなどの内面に摩擦しやすくなって引き抜きにくくなる場合がある。
【0031】
貫通孔91aなどから直胴部2を引き抜く際には、把持部4をハンドルのようにして、屈曲部34、すなわち軸心G1を回転軸として直胴部2を回転又は回動させながら引き抜くとよい。治具100に屈曲部34が設けられていることで、把持部4をハンドルのようにして行う直胴部2の回転又は回動を行いやすくなる。
【0032】
以上のようにして、精密な穴の位置合わせに適した治具を提供することができる。
【0033】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、治具100が屈曲部34を備えている場合を説明したが、屈曲部34は必須ではない。
【0034】
(2)上記実施形態では、把持部4が円柱状である場合を例示して説明したが、把持部4の形状はこれに限られない。把持部4は、例えば、角柱状でもよい。また、把持部4は、延在方向における両端部に比べて中央部の径が大きな形状とされてもよい。
【0035】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、治具に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 :シノ部
100 :治具
11 :頂部
12 :基端部
2 :胴部
21 :先端部
22 :基端部
3 :段部
32 :先端部
32a :端面
34 :屈曲部
4 :把持部
5 :打撃部
51 :基端面
91 :板部
91a :貫通孔
92 :板部
92a :貫通孔
93 :板部
93a :貫通孔
94 :板部
94a :貫通孔
95 :板部
95a :貫通孔
図1
図2