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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157445
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】セルトレー用孔開きプレート具
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20241030BHJP
【FI】
A01G9/02 610Z
A01G9/02 603B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071819
(22)【出願日】2023-04-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年1月23日 本発明品をウェブサイトhttps://youtu.be/zizF1TFyqRAに掲載
(71)【出願人】
【識別番号】523156534
【氏名又は名称】株式会社種兵
(74)【代理人】
【識別番号】100101627
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 宜延
(72)【発明者】
【氏名】田中 優策
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327ND03
2B327NE02
2B327SA08
2B327SA12
2B327SA25
2B327SB01
2B327SC08
2B327VA12
(57)【要約】
【課題】セルトレーを用いて、簡単にスペーシング作業ができるセルトレー用孔開きプレート具を提供する。
【解決手段】平板状の上板部7に平面視で縦横方向に複数設けた開口を上面開口70として、この各開口縁701から下方へ延在する有底筒状で且つ底部分82に通孔820を設けた鉢部8が、平面視で縦横方向に並設されたセルトレー6に対し、別体の板状体であって、前記セルトレー6の前記上板部7に該板状体の平板主部21を載置することにより、前記各上面開口70との該平板主部21の対向面にその上面開口70の面積よりも小さい孔面積の透孔22が有り又は無しに選択形成されて、前記鉢部8の個数よりも少ない個数の該透孔22が配設されてなる孔開きプレート部2を具備する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の上板部に平面視で縦横方向に複数設けた開口を上面開口として、この各開口縁から下方へ延在する有底筒状で且つ底部分に通孔を設けた鉢部が、平面視で縦横方向に並設されたセルトレーに対し、
別体の板状体であって、前記セルトレーの前記上板部に該板状体の平板主部を載置することにより、前記各上面開口との該平板主部の対向面にその上面開口の面積よりも小さい孔面積の透孔が有り又は無しに選択形成されて、前記鉢部の個数よりも少ない個数の該透孔が配設されてなる孔開きプレート部を具備することを特徴とするセルトレー用孔開きプレート具。
【請求項2】
前記各上面開口との前記平板主部の対向面に前記透孔が有りと無しに交互に選択形成されて、縦横方向に並設する前記各鉢部の一つ置きに該透孔が配設される請求項1に記載のセルトレー用孔開きプレート具。
【請求項3】
前記孔開きプレート部の平面視外形を前記セルトレーの平面視矩形に合わせた矩形状の板部にして、その長辺部分又は/及び短辺部分の周縁から該孔開きプレート部の表面に対し、それぞれ裏面側へ折曲して延在するように設けられる鍔部を、さらに具備し、
前記セルトレーの前記上板部に前記孔開きプレート部を載置することにより、対向する一対の前記鍔部が該セルトレーの上部を挟むように配設される請求項2記載のセルトレー用孔開きプレート具。
【請求項4】
前記矩形状の板部の長辺部分及び短辺部分に係る四カ所の周縁の夫々から前記鍔部が延在して、前記セルトレーの前記上板部に前記孔開きプレート部を載置することにより、前記鍔部が該セルトレーの上部に嵌り込むよう配設され、且つ前記鉢部に係る前記上面開口の穴数が、32穴,50穴,72穴,128穴,162穴,200穴,288穴,406穴,又は512穴である請求項3記載のセルトレー用孔開きプレート具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルトレーの縦横方向に多数並ぶ鉢部の全てに培土を注入せずに、植物のスペース確保のために、多数ある鉢部のうち必要箇所に限定して培土注入するセルトレー用孔開きプレート具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図4図9(ハ)のような汎用セルトレー6がある。種を露地植えすれば発芽,生育が自然環境に直接影響を受けるが、セルトレー6を用いることによって、発芽,育苗の扱いが難しい時期を管理し易い場所で効率的に育てることができる。こうしたことから、セルトレー6による栽培が普及している。
ただ、セルトレー6を用いると、生育して隣の葉と触れるようになっても、間隔を広げることができない。隣の葉と触れるようになると、夫々の苗は太陽の光を求めて、茎が細い状態で必要以上に上へ延びる徒長と呼ばれる不具合を招く。採光確保や通風を良くすることが困難になり、本来、茎を太く葉を厚くしなければならないところ、いちど徒長してしまうと、くせがついて生育不良に陥る。よって、育苗では温度管理や水やりに勝るとも劣らず、スペーシングが重要になっている。
こうしたことから、スペーシングが可能な植物苗用トレーが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-70229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1はその請求項1に記載のごとく「縦または横、もしくは縦横方向に、一定間隔毎に同径の開口部を設けて開設するとともに、各開口部のうち、間欠箇所にある開口部には有底のポット受けを形成したトレーを複数用意し、一方のトレーにおける各有底ポット受けが他方のトレーにおける、有底ポット受けを有しない開口部内に入り込ませて相互に重ね合されるようにしたことを特徴とする植物用トレー。」であり、二つのトレーを要するだけでなく、有底ポット受けを有しない開口部が多数設けられるので、トレーの機械的強度が弱まり壊れ易くなる虞がある。そして、二つのトレーを引き離す際に加えられる外力等によって一層壊れ易くなっている。
さらに、段落0013の「一定期間の育成後、…上方のトレー21を下方のトレー11から引き離してスペーシング作業を実施し」とあるように、上方のトレー21を下方のトレー11から引き離す労力負担大の作業が必要になっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するもので、セルトレーを用いて、簡単にスペーシング作業ができるセルトレー用孔開きプレート具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明の第一態様は、平板状の上板部に平面視で縦横方向に複数設けた開口を上面開口として、この各開口縁から下方へ延在する有底筒状で且つ底部分に通孔を設けた鉢部が、平面視で縦横方向に並設されたセルトレーに対し、別体の板状体であって、前記セルトレーの前記上板部に該板状体の平板主部を載置することにより、前記各上面開口との該平板主部の対向面にその上面開口の面積よりも小さい孔面積の透孔が有り又は無しに選択形成されて、前記鉢部の個数よりも少ない個数の該透孔が配設されてなる孔開きプレート部を具備することを特徴とするセルトレー用孔開きプレート具にある。
本発明の第二態様は、第一態様で、各上面開口との前記平板主部の対向面に前記透孔が有りと無しに交互に選択形成されて、縦横方向に並設する前記各鉢部の一つ置きに該透孔が配設されることを特徴とする。本発明の第三態様は、第二態様で、孔開きプレート部の平面視外形を前記セルトレーの平面視矩形に合わせた矩形状の板部にして、その長辺部分又は/及び短辺部分の周縁から該孔開きプレート部の表面に対し、それぞれ裏面側へ折曲して延在するように設けられる鍔部を、さらに具備し、 前記セルトレーの前記上板部に前記孔開きプレート部を載置することにより、対向する一対の前記鍔部が該セルトレーの上部を挟むように配設されることを特徴とする。本発明の第四態様は、第三態様で、矩形状の板部の長辺部分及び短辺部分に係る四カ所の周縁の夫々から前記鍔部が延在して、前記セルトレーの前記上板部に前記孔開きプレート部を載置することにより、前記鍔部が該セルトレーの上部に嵌り込むよう配設され、且つ前記鉢部に係る前記上面開口の穴数が、32穴,50穴,72穴,128穴,162穴,200穴,288穴,406穴,又は512穴であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のセルトレー用孔開きプレート具は、構造が比較的シンプルにして低コスト化を実現でき、それでいて、一定期間の育成後にスペース確保のために、上方のトレーを下方のトレーから引き離す等の労力負担作業はいらず、さらに汎用セルトレーを用いて簡単にスペーシング作業ができるなど多大な効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1のセルトレー用孔開きプレート具の平面図である。
図2図1のセルトレー用孔開きプレート具の右側面図である。
図3図1のセルトレー用孔開きプレート具の正面図である。
図4】セルトレーに図1の孔開きプレート具を載置しようとする様子の拡大斜視図である。
図5】セルトレーに孔開きプレートを載置し終えた正面図である。
図6図1のVI-VI線矢視図にセルトレーを付加した説明断面図である。
図7図6のセルトレーに孔開きプレート具を載置して土入れした説明断面図である。
図8】実施形態2の説明斜視図である。
図9】実施形態3で、(イ),(ロ)が孔開きプレートの平面図、(ハ)がセルトレーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るグレーチングについて詳述する。
図1は実施形態1のセルトレー用孔開きプレート具(以下、単に「孔開きプレート具」ともいう。)の平面図、図2図1の右側面図、図3図1の正面図、図4はセルトレーに孔開きプレート具を載置しようとする拡大斜視図、図5はセルトレーに孔開きプレートを載置した正面図、図6図1のVI-VI線矢視図にセルトレーを付加した説明断面図、図7はセルトレーに孔開きプレート具を載置して土入れした断面図、図8は実施形態2の説明斜視図、図9は(イ),(ロ)が孔開きプレートの平面図、(ハ)がセルトレーの平面図を示す。尚、各図は判り易くするため、要部を強調図示し、図6,図7では断面表示のハッチングを省く。また本発明と直接関係しない部分を省略する。
【0010】
(1)実施形態1
セルトレー用孔開きプレート具1は、孔開きプレート部2と鍔部3とを具備する(図1図7)。図4図7のようなセルトレー6に適用する孔開きプレート具1になっている。
【0011】
セルトレー6は、上板部7を縦横方向に方形セルに区分けし、各セルに設ける開口を上面開口70として、この各開口縁701から下方へ延在する有底筒状の鉢部8が、上板部7と成形一体化された汎用樹脂成形品である(図8)。詳しくは、平板状の上板部7が平面視で縦横方向に複数の方形セルに区分けされ、各方形セルに開口が設けられる。この開口を上面開口70として、各開口縁701から下方へ延在する有底筒状で且つ底部分82に通孔820を設けた鉢部8が、平面視で縦横方向に多数並設されて上板部7と一体成形されたセルトレー製品になる。本発明でいう「上面」、「下方」とは、セルトレー6が通常の使用状態にある図7でいえば、紙面上方側にある面、紙面下方を指す。
ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いて、真空成形などで造られる図5ごとくの薄板厚の樹脂製セルトレー6は公知で、その平面視大きさは28cm×55cm程である。鉢部8を真空成形し易いように、鉢部8の側壁部分81は底部分82に向けてテーパ状の先細りに成形する。セルトレー6に設けられる鉢部8の上面開口70の穴個数は、32穴,50穴,72穴,128穴,162穴,200穴,288穴,406穴,又は512穴等の各種のものが存在する。穴数が多くなるほど鉢部8,セルサイズは小さくなる。
【0012】
本実施形態のセルトレー6は、鉢部8の上面開口70の穴個数を128穴(8×16)とする(図4図7)。鉢部8と一体成形される上板部7の四方外周縁から下方へ向けて立壁部分72が延在して皿状とし、さらに立壁部分72の下縁で水平外方向にフランジ部73が延在する。立壁部分72は、成形し易くするために、図6のように上板部7に対し内角が鈍角で下方へ延設する。平面視矩形の上板部7は、四方四ヶ所の角部分を図示ごとく切り欠いており、これに合わせて立壁部分72に図示ごとくの窪み721をつくる。
【0013】
孔開きプレート具1はセルトレー6と別体の板状体であって、孔開きプレート部2と鍔部3とを備える(図1図3)。
孔開きプレート部2は、平面視外形をセルトレー6の平面視矩形に合わせた矩形状の平板主部21に複数の透孔22が形成された孔開きプレート具1の主要部である。平板主部21は、平面視大きさをセルトレー6とほぼ同じか若干大きめとする。該平板主部21をセルトレー上板部7に載置することにより、セルトレー6の各上面開口70との該平板主部21の対向面に、その上面開口70の面積よりも小さい孔面積の透孔22が有り又は無しに選択形成されて、鉢部8の個数よりも少ない個数の透孔22が配設された孔開きプレート部2になっている。
【0014】
本実施形態の透孔22は、ほぼ四角形の上面開口70と中心を一致させて上面開口70内に収まる円孔である。各鉢部8の上面開口70との対向面に透孔22が有りと無しに交互に選択形成されて、縦横方向に並設する各鉢部8の一つ置きに該透孔22が配設される。セルトレー6が縦横方向に碁盤目のように区分けされるが、各セルに設けた鉢部8の上面開口70と対向させる平板主部21に透孔22を千鳥配列させて形成する。図1で説明すれば、縦横に並ぶ上面開口70に対し、平板主部21の上下左右に透孔22を交互にずらしながら配置形成する。互い違いに透孔22が平板主部21に穿設され、市松模様のごとく各上面開口70に対し、縦横方向に一つ置きに透孔22が形成されている。
また、平板主部21は、平面視外形をセルトレー6の平面視矩形に合わせた矩形状の板部であるが、ここでは前記窪み721に合わせてその部分211を切り欠く矩形状にする。この切り欠いた部分211を除外した矩形状板部21Aの長辺部分21m又は/及び短辺部分21nの周縁から鍔部3が延在する。
【0015】
鍔部3は、平板主部21の矩形状板部21Aの周縁から孔開きプレート部2の表面2aに対し、裏面2b側に折曲して庇のように延在する突出部である。鍔部3は平板主部21の板面に対し鈍角の角度(ここでは約105°)でその外周縁から下方へ延在するように設けられる(図5,図6)。そして、矩形状板部21Aの長辺部分21m又は/及び短辺部分21nの周縁から延びる鍔部3は、セルトレー上板部7に孔開きプレート部2を載置すると、対向する一対の鍔部3とでセルトレー6の上部61を挟むように配される。矩形状板部21Aの長辺部分21m又は/及び短辺部分21nの対向する一対の鍔部3でセルトレー6の上部61を挟むことによって、セルトレー6に載置した孔開きプレート具1が横ズレしなくなり、必要箇所の鉢部8への培土9注入作業を円滑実施できる。
【0016】
本実施形態は、矩形状板部21Aの長辺部分21m及び短辺部分21nに係る四カ所の周縁の夫々から鍔部3が延在して、セルトレー6の上板部7に孔開きプレート部2を載置することにより、鍔部3がセルトレー6の上部61へ嵌り込むように配設される(図5)。セルトレー上板部7の四方を鍔部3が取囲むので、横ズレだけでなく縦ズレも発生せず、培土注入作業をより円滑に進めることができる。上記「セルトレー6の上部61」とは、セルトレー6に図4図7のように立壁部分72を備えれば、上板部7と立壁部分72の上部61を含み、図示しない立壁部分72のないセルトレー6では上板部7のみをいう。
ここでの鍔部3は、平板主部21の矩形状板部21Aの周縁で、その長辺部分21mと短辺部分21nの夫々の長さ全域から裏面側に折曲して一定長さが延在する庇状に形成したが、長辺部分21mや短辺部分21nの長さ全域でなく一部域に限定して裏面2b側に折曲してもよい。また、平板主部21の裏面2b側に折曲して一定突出し幅が裏面側の下方へ延在する細長矩形の鍔部3としたが、一定突出し幅で鍔部3を設けなくてもよい。
【0017】
本孔開きプレート具1は、製造し易いため、孔開きプレート部2の平板主部21に対し曲げ加工によって裏面2b側へ鍔部3を折曲して延在形成したが、本発明は延在するように設ければ足りる。具体的には、孔開きプレート部2の平板主部21(孔開きプレート部2の表面2a)に対し、それぞれ裏面2b側へ折曲して延在するように後付け加工によって鍔部3を取付けてもよい。手間がかかるが、鍔部3が同様の効果を発揮するからである。本孔開きプレート具1はアルミ製であるが、これ以外の金属製品や樹脂成形品等でも充足する。材質は問わない。孔開きプレート部2の本体と、この裏面側へ折曲して延在するように後付けで設けられる鍔部3とを、異種材料で形成することもできる。
【0018】
次に、本孔開きプレート具1を用いたスペーシング作業を行う一例を述べる。予め、用意した図4のセルトレー6に対し、図1のような平板主部21に透孔22を千鳥配列した孔開きプレート部2に、鍔部3が備わる孔開きプレート具1を準備する(図1図3)。孔開きプレート具1は、選定したセルトレー6の上板部7に孔開きプレート具1の平板主部21を載置すれば、上面開口70との平板主部21の対向面に上面開口70の面積よりも小さい透孔22が形成されている。該透孔22は、各鉢部8に対し千鳥配設された孔開きプレート具1になっている。
【0019】
まず、上面開口70を上にして各鉢部8内が空のセルトレー6の上面に、孔開きプレート部2を重ね合わせるように載置する(図5)。すると、鍔部3がセルトレー6の外周上部61(上板部7及び立壁部分72の上部)に嵌り込むよう配設され、孔開きプレート具1が図5の紙面上方向には外れるものの、鍔部3によって紙面上下左右方向には動かず一体化された状態になる。そして、透孔22が千鳥配設された孔開きプレート具1によって、セルトレー6の平面視で縦横方向に並設された各鉢部8の上面開口70は、一つ置きに平板主部21によって閉ざされる。任意の鉢部8の上面開口70と透孔22が導通状態にあれば、その隣にある鉢部8の上面開口70には透孔22がなく、平板主部21で遮られた状態になる(図7)。
前述した図4のセルトレー6に孔開きプレート具1を載置してから(図5)、次に、孔開きプレート部2上に培土9を供給する。すると、図6のごとく透孔22のある箇所にしか培土9が通過し落下しないので、千鳥配設された透孔22の下方にある鉢部8のみに図7のように培土9が注入、充填される。培土9の必要量を充填した後、孔開きプレート部2上に残る余剰の培土9を刷毛又は手で孔開きプレート部2の横へ払い落す。
後は、孔開きプレート具1を取り外せば、セルトレー6に所望のスペーシングが確保された培土9入りセルトレー6が出来上がっている。
【0020】
(2)実施形態2
本実施形態は、図8ごとくのセルトレー6に用いる孔開きプレート具1である。上板部7に鉢部8に係る上面開口70の穴数が72穴のセルトレー用孔開きプレート具1になっている。セルトレー6は、図示のように縦横に6個×12個の鉢部8が並設し、各鉢部8が上面開口70を共有する上板部7に連結一体化する。矩形状の上板部7は、実施形態1のように角部分を切り欠かずに丸みをつけて、切り欠きがないことから立壁部分72に窪み721は存在しない。その他は実施形態1のセルトレー6と同様で、説明を省く。
【0021】
孔開きプレート具1の平板主部21は、平面視外形をセルトレー6の平面視矩形に合わせた矩形板部21Aを用い、さらにその四隅の角を切り欠いた矩形状の板部とする。セルトレー6に載置し重ね合わせた平板主部21には各上面開口70との対向面に透孔22が有りと無しに交互に選択形成されて、縦横方向に並設する各鉢部8の一つ置きに該透孔22が配設される。セルトレー6の各鉢部8に対し、平板主部21に透孔22を千鳥配列して形成された図8のような孔開きプレート部2にする。
そして、矩形状板部21Aの長辺部分21m及び短辺部分21nに係る四カ所の周縁の夫々から鍔部3が延在して、セルトレー6の上板部7に孔開きプレート部2を載置することにより、各鍔部3がセルトレー上部61の外側面に当接するように配設される。四カ所在る鍔部3は長辺部分21m又は短辺部分21nの全辺から裏面側の下方へ延在するのではなく、長辺部分21m又は短辺部分21nの一部から下方へ延在するにとどめる。長辺部分21m又は短辺部分21nの一部から延在する鍔部3であっても、セルトレー上板部7に載置した孔開きプレート部2の横ズレや縦ズレを防止できるからである。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0022】
(3)実施形態3
本実施形態は、図9ごとくのセルトレー6に用いる孔開きプレート具1である。72穴のセルトレー用孔開きプレート具1になっている。セルトレー6は、実施形態2に存在したフランジ部73がない以外はほぼ同じで、その説明を省く。
【0023】
孔開きプレート具1の平板主部21は、平面視外形を図9(ハ)のセルトレー上板部7の平面視矩形に合わせた矩形板部21Aを用いる。セルトレー6に載置し重ね合わせた平板主部21に、図9(イ)のように、各上面開口70との対向面で、該上面開口70に対し透孔22が有りと無しに交互に選択形成されて、横方向に並設する各鉢部8の一列置きに該透孔22が配設される孔開きプレート部2とする。
また、図9(ロ)では、図9(ハ)のセルトレー6に載置し重ね合わせた平板主部21に、各上面開口70との対向面で、該上面開口70に対し透孔22が有りと無しに交互に選択形成されて、縦横方向に並設する各鉢部8の一つ置きに透孔22が配設される。且つ斜め方向に並設している各鉢部8に対しても一つ置きに透孔22が配設される別態様の孔開きプレート部2にしている。
実施形態1,2では、孔開きプレート部2に鍔部3を設けて孔開きプレート具1としたが、本実施形態は鍔部3なしの孔開きプレート部2のみで孔開きプレート具1を構成する。鍔部3がないことで、セルトレー6に載せた孔開きプレート具1が横ズレ,縦ズレする虞があるが、スペーシング作業ができる課題の解決を図る孔開きプレート具1にはなっている。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0024】
(4)効果
このように構成したセルトレー用孔開きプレート具1は、セルトレー6で育苗する場合に苗と苗との間のスペース確保が難しかった問題を一挙に解決する。
セルトレー6に係る鉢部8の上面開口70との対向面に在る平板主部21に、縦横に並ぶ鉢部8に対し透孔22を有り又は無しに選択形成して、鉢部8の個数よりも少ない個数の透孔22を配した本孔開きプレート具1をセルトレー上板部7に載置後、孔開きプレート部2上に培土9を供給すれば、いたって簡単に透孔22下の鉢部8のみに土入れできる。透孔22が無しに選択された鉢部8は平板主部21に遮られて土入れができなくなり、土入れなしになった鉢部8の隣にある鉢部8の苗にはゆったりとしたスペースが確保される。
さらに、各上面開口70との平板主部21の対向面に透孔22が有りと無しに交互に選択形成されて、縦横方向に並設する各鉢部8の一つ置きに透孔22が配設されると、セルトレー6の平面視で縦横に並設された各鉢部8に対し、透孔22が千鳥配列で設けられるので、土入れしたどの鉢部8も偏りなく十分なスペースをとることができる。例えば、種まきは勿論、キュウリやスイカ等の断根接木した挿し床として、各鉢部8に培土9を千鳥配列で規則正しく充填した実施形態1のものを採用すれば、労力負担が少ない作業ながら全ての培土9入り鉢部8に良好なスペーが確保できる。千鳥配列で培土9が供給された各鉢部8で育つ苗は隣の苗と触れずにのびのびとした空間が与えられる。
【0025】
特許文献1の植物苗用トレーでは、段落0013の「上方のトレー21を下方のトレー11から引き離してスペーシング作業を実施し」とあるように、上方のトレー21を下方のトレー11から引き離す労力負担大の作業がある。重なり合ったトレーで、しかも各ポット受けに土詰めして苗が植えられた重量のある二つの上下に重なるトレーを引き離すのは、労力負担の問題だけでなくトレーが壊れる虞もある。
また、特許文献1の植物苗用トレーは「一定期間の育成後、植物同士が互いに隣接する植物と接触するようになる直前において」、上記作業を実施しなければならずその管理も難しい。少しでも遅れ、葉が触れ合ってからだと、採光や通風の確保が難しくなって徒長原因になる。
【0026】
一方、本発明は千鳥配設された培土9入り鉢部8に種まき又は挿し床として使用するので、当初からスペースが確保されており、植物同士が互いに隣接する植物と接触する直前にスペーシング作業を行う必要もない。セルトレー上板部7に孔開きプレート部2を載置し、該孔開きプレート部2上に培土9を供給するだけで済み、例えば実施形態1においてはセルトレー6の縦横に配された各鉢部8のうち、透孔22に対向する鉢部8のみに培土9を千鳥配列状態で簡単に充填できる。スペース確保に特許文献1のような上下に重なるトレーを引き離す作業も要しない。
【0027】
また、孔開きプレート部2の平面視外形をセルトレー6の平面視矩形に合わせた矩形状の板部21Aにして、その長辺部分21m又は/及び短辺部分21nの周縁から孔開きプレート部2の表面2aに対し、それぞれ裏面2b側へ折曲して延在するように鍔部3を設けている。セルトレー上板部7に孔開きプレート部2を載置することにより、対向する一対の鍔部3がセルトレー6の上部61を挟むように配設されると、セルトレー上板部7に載置した孔開きプレート部2は横ズレしなくなる。透孔22と対向する鉢部8へ安定した土入れ作業ができる。
さらに、矩形状の板部の長辺部分21m及び短辺部分21nに係る四カ所の周縁の夫々から鍔部3が延在して、セルトレー上板部7に孔開きプレート部2を載置することにより、鍔部3がセルトレー6の上部61に嵌り込むよう配設されると、セルトレー上板部7に載置した孔開きプレート部2が横ズレだけでなく縦ズレも起こさなくなる。透孔22と対向する鉢部8へより円滑且つ安定した土入れ作業ができるようになる。
【0028】
さらにいえば、特許文献1の植物用トレーは特注品の専用資材であり、それ用の在庫を要する。一方、本発明はセルトレー6の汎用品を用いるため、特許文献1のような専用資材の在庫を必要としない。しかも、特許文献1の図1図5の植物用トレーを特注すれば、本実施形態1の千鳥配列形成するものに限定される。
一方、本発明は実施形態1,2で述べたセルトレー6の各鉢部8へ千鳥配列形成して培土9を充填するものに限らない。実施形態3で述べたように透孔22の配置構成を変えるだけで、図9(イ)のごとく横方向に並設する各鉢部8の一列置きに培土9を充填できる透孔22が配設される孔開きプレート部2にも難なく対応できる。また、図9(ロ)のごとく、縦横方向に並設する各鉢部8の一つ置きに培土9を充填し、さらに斜め方向に並設している各鉢部8に対しても一つ置きに培土9を充填する透孔22が配設される孔開きプレート部2にも楽に対応できる。
【0029】
加えて、千鳥配列以外の配列にして培土9を鉢部8へ供給する図9のような孔開きプレート具1は、透孔22の配置構成を変えるだけで済むので円滑対応できる。さらに、本発明の孔開きプレート具1は特許文献1の植物用トレーに比べ構造が単純で低コスト対応できる。
従来の特許文献1や特開2007-166973号公報等は、千鳥配列や列配列等に創意工夫したトレー側の発明であるのに対し、本発明はトレーを汎用品そのままで用いて、千鳥配列や列配列等が簡単にできる発想転換したプレート具を提供するものであり、画期的な発明になっている。
さらに付け加えるなら、孔開きプレート具1を使わなければ、一枚のセルトレー6の全鉢部8に培土9を入れて育苗できることを温存する効果も発揮する。
このように本発明の孔開きプレート具1は、上述した数々の優れた効果を発揮し、極めて有益である。
【0030】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。孔開きプレート具1,孔開きプレート部2,鍔部3,セルトレー6等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、各実施形態は立壁部分72のあるセルトレー6を用いたが、立壁部分72なしのセルトレー6に対しても勿論適用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 セルトレー用孔開きプレート具
2 孔開きプレート部
2a 表面(孔開きプレート部の表面)
2b 裏面(孔開きプレート部の裏面)
21 平板主部
21m 長辺部分
21n 短辺部分
22 透孔
3 鍔部
6 セルトレー
7 上板部
70 上面開口(開口)
701 開口縁
8 鉢部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9