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特開2024-157446路面状態推定装置及び路面状態推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157446
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】路面状態推定装置及び路面状態推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/00 20060101AFI20241030BHJP
   G01W 1/10 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
G01W1/00 J
G01W1/10 B
G01W1/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071820
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 啓太
(72)【発明者】
【氏名】真砂 剛
(72)【発明者】
【氏名】石附 将武
(57)【要約】
【課題】路面温度について時空間構造を考慮することによって、路面状態を高精度に推定可能な路面状態推定装置及び路面状態推定方法が提供される。
【解決手段】路面状態推定装置(10)は、路面温度を目的変数とし、少なくとも日射量を含むパラメータを説明変数とする時空間統計モデルを取得する取得部(131)と、時空間統計モデルを用いて、路面状態の推定に用いられる路面温度を算出する推定部(133)と、を備え、時空間統計モデルは、路面温度の時空間構造を考慮した統計モデルである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面温度を目的変数とし、少なくとも日射量を含むパラメータを説明変数とする時空間統計モデルを取得する取得部と、
前記時空間統計モデルを用いて、路面状態の推定に用いられる前記路面温度を算出する推定部と、を備え、
前記時空間統計モデルは、前記路面温度の時空間構造を考慮した統計モデルである、路面状態推定装置。
【請求項2】
前記時空間統計モデルは、線形回帰を用いる平均構造を示す項と、誤差項と、を備えて構成される、請求項1に記載の路面状態推定装置。
【請求項3】
前記時空間統計モデルは、前記誤差項について空間と時間とを分離した共分散関数を用いる、請求項2に記載の路面状態推定装置。
【請求項4】
前記時空間統計モデルは、前記誤差項が変量効果を含むように構成される、請求項2に記載の路面状態推定装置。
【請求項5】
前記時空間統計モデルは、パラメータのセンタリングを行う、請求項4に記載の路面状態推定装置。
【請求項6】
前記時空間統計モデルは、明示的に時空間データに1次の時間依存性を考慮するように構成される、請求項5に記載の路面状態推定装置。
【請求項7】
前記時空間統計モデルは、GPP(Gaussian Predictive Process)を使用する、請求項2に記載の路面状態推定装置。
【請求項8】
前記時空間統計モデルは、回帰係数を空間に依存させる、請求項2に記載の路面状態推定装置。
【請求項9】
前記時空間統計モデルは、回帰係数を時間に依存させる、請求項2に記載の路面状態推定装置。
【請求項10】
前記時空間統計モデルは、回帰係数を空間及び時間に依存させる、請求項2に記載の路面状態推定装置。
【請求項11】
路面温度を目的変数とし、少なくとも日射量を含むパラメータを説明変数とする時空間統計モデルを取得することと、
前記時空間統計モデルを用いて、路面状態の推定に用いられる前記路面温度を算出することと、を含み、
前記時空間統計モデルは、前記路面温度の時空間構造を考慮した統計モデルである、路面状態推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、路面状態推定装置及び路面状態推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の走行快適性の向上、自動運転における走行の最適化などのために、路面温度及び路面状態を推定する技術が提案されている。一般に路面温度及び路面状態は主に1次元の解析モデルを解くことで推定されることが多い。例えば路面温度は、気温などの気象変数、路面の熱伝導率などの物理特性及び交通量などを考慮し、路面表面への熱フラックスの入力と出力のバランスに基づいて計算されることが多い。また、路面の湿潤又は凍結などといった路面状態は、降雨量、降雪量、道路の水分の排水能力などのバランスに基づいて路面における水分の存在を計算し、路面温度情報と組み合わせることによって予測されることが多い。例えば特許文献1に記載のシステムは、固定観測点における水・雪・氷貯留量を推定するものであって、最大凍結融解熱量を算出する熱収支モデルの式及び水・雪・氷貯留量の変化率をそれぞれ示す水・雪・氷収支の各式を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-243884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術で用いられる物理モデルは一般に複雑であり、必要なパラメータの数が多い。また、例えばアスファルトの熱伝導率分布及び反射率分布など、入手が難しいパラメータが含まれることがある。また、気象変数は重要なパラメータであるが、例えば一辺が5km以上のメッシュの大きさとなり、予測したい路面温度及び路面状態に対して粗いデータであることが多い。さらに、気象変数は一般に開けた場所に設置された気象観測装置によって測定され、建物又は樹木などによって日射が遮られることがある路面の実際の状態を反映するものでない。したがって、従来技術によって予測される路面温度及び路面状態は、見通しのよい建物の少ない地域を前提としており、例えば建物が多く、影になる部分の多い都市部などの路面についての予測が難しい。したがって、予測精度に改良の余地がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、路面温度について時空間構造を考慮することによって、路面状態を高精度に推定可能な路面状態推定装置及び路面状態推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一実施形態に係る路面状態推定装置は、
路面温度を目的変数とし、少なくとも日射量を含むパラメータを説明変数とする時空間統計モデルを取得する取得部と、
前記時空間統計モデルを用いて、路面状態の推定に用いられる前記路面温度を算出する推定部と、を備え、
前記時空間統計モデルは、前記路面温度の時空間構造を考慮した統計モデルである。
この構成により、路面状態を高精度に推定することができる。
【0007】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記時空間統計モデルは、線形回帰を用いる平均構造を示す項と、誤差項と、を備えて構成される。
この構成により、比較的簡単に時間と空間に依存する回帰係数を決定できる線形回帰を用いてモデル化することができる。
【0008】
(3)本開示の一実施形態として、(2)において、
前記時空間統計モデルは、前記誤差項について空間と時間とを分離した共分散関数を用いる。
この構成により、計算コストを軽減することができる。
【0009】
(4)本開示の一実施形態として、(2)において、
前記時空間統計モデルは、前記誤差項が変量効果を含むように構成される。
この構成により、効率的に時空間統計モデルのパラメータが推定される。
【0010】
(5)本開示の一実施形態として、(4)において、
前記時空間統計モデルは、パラメータのセンタリングを行う。
この構成により、MCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ法)の計算を効率化することができる。
【0011】
(6)本開示の一実施形態として、(5)において、
前記時空間統計モデルは、明示的に時空間データに1次の時間依存性を考慮するように構成される。
この構成により、時間依存性を考慮しながら、MCMCの計算を効率化することができる。
【0012】
(7)本開示の一実施形態として、(2)において、
前記時空間統計モデルは、GPP(Gaussian Predictive Process)を使用する。
この構成により、計算コストの増大を抑制することができる。
【0013】
(8)本開示の一実施形態として、(2)において、
前記時空間統計モデルは、回帰係数を空間に依存させる。
この構成により、誤差項の影響を小さくすることができる。
【0014】
(9)本開示の一実施形態として、(2)において、
前記時空間統計モデルは、回帰係数を時間に依存させる。
この構成により、誤差項の影響を小さくすることができる。
(10)本開示の一実施形態として、(2)において、
前記時空間統計モデルは、回帰係数を空間及び時間に依存させる。
この構成により、誤差項の影響を小さくすることができる。
【0015】
(11)本開示の一実施形態に係る路面状態推定方法は、
路面温度を目的変数とし、少なくとも日射量を含むパラメータを説明変数とする時空間統計モデルを取得することと、
前記時空間統計モデルを用いて、路面状態の推定に用いられる前記路面温度を算出することと、を含み、
前記時空間統計モデルは、前記路面温度の時空間構造を考慮した統計モデルである。
この構成により、路面状態を高精度に推定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、路面温度について時空間構造を考慮することによって、路面状態を高精度に推定可能な路面状態推定装置及び路面状態推定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る路面状態推定装置の構成例を示す図である。
図2図2は、図1の路面状態推定装置を備える路面状態推定システムの構成例を示す図である。
図3図3は、路面状態推定で使用されるモデルについて説明するための図である。
図4図4は、路面状態を推定する処理を例示するフローチャートである。
図5図5は、図4のモデル生成工程の詳細を示すフローチャートである。
図6図6は、図4の路面状態推定工程の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る路面状態推定装置及び路面状態推定方法が説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る路面状態推定装置10の構成例を示す。図2は、図1の路面状態推定装置10を備える路面状態推定システムの構成例を示す。路面状態推定装置10は、車両20が走行する道路の路面状態を推定(判定)する装置である。路面状態は、道路の表面の状態であって、例えば乾燥(Dry)、湿潤(Wet)、凍結(Ice)及び積雪(Snow)などの区分を含んでよい。路面状態は、これら4つの区分に限定されず、例えば一部の区分を省略してよいし、例えば冠水などをさらに含んでよい。また、車両20は例えば乗用自動車、トラック、バス又は建設車両などであってよく、特定種類の移動体に限定されない。
【0020】
本実施形態において、路面状態推定装置10は、モデルを生成し、生成したモデルを用いて車両20が走行する道路の路面状態を推定する。つまり、本実施形態に係る路面状態推定装置10は、モデルを生成する装置(モデル生成装置)と路面状態を推定する装置の両方の機能を備える装置であるとして説明される。別の例として、路面状態推定装置10は、予め生成されたモデルを利用し、路面状態を推定する機能のみを備える装置であってよい。
【0021】
図1のように、路面状態推定装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。制御部13は、取得部131と、モデル生成部132と、推定部133と、出力部134と、を備える。路面状態推定装置10は、ハードウェア構成として、例えばコンピュータであってよい。路面状態推定装置10の構成要素の詳細については後述する。
【0022】
図2のように、路面状態推定装置10は、ネットワーク40で接続される路面状態推定装置10以外の装置(以下、「外部装置」)とともに、路面状態推定システムを構成してよい。ネットワーク40は、例えばインターネットである。また、ネットワーク40は、例えば一部においてLAN(Local Area Network)を含んで構成されてよい。外部装置は、例えば端末装置50及び道路管理装置60の少なくとも1つを含んでよい。
【0023】
道路管理装置60は道路を管理するための装置であって、路面状態推定装置10によって推定された路面状態のデータを取得する。道路管理装置60は、例えば路面状態推定装置10とは別のコンピュータで構成される。道路管理者は、道路管理装置60によって示される道路の路面状態を示す地図などに基づいて、例えば除雪又は融雪の作業を計画してよい。ここで、同じ地域であっても、日射量の多い道路と建物の影などにある道路とでは積雪量が違うことがある。また、例えば除雪車は稼働台数に上限があり、過剰な量の融雪剤の散布が走行車両に錆などの悪影響を及ぼすことがある。路面状態推定装置10が高精度に路面状態を推定することによって、道路管理者は、積雪があると推定される道路に集中的に除雪車を配備し、推定される積雪量に応じた適切な量の融雪剤を散布するように作業計画を作成できる。また、道路管理者は例えば無線などによって、凍結又は積雪している道路を走行する車両20の運転者に対して警告してよい。
【0024】
また、道路管理装置60は、路面温度又は路面状態が測定された場合に、これらの測定値と測定時の気象変数、地図情報及び交通情報の少なくとも1つとを関連付けて、データベースとして蓄積して、アクセス可能な記憶装置に記憶してよい。気象変数は、場所及び時間によって変化する気象についての変数であって、例えば気温、湿度、日射時間(日照時間)、降水量などを含む。地図情報は、例えば道路の座標、地形、建物の情報などを含む。地形は、例えば標高などを含む。交通情報は、例えば交通量などを含む。気象変数、地図情報及び交通情報はネットワーク40経由で取得され得る。道路管理装置60は、路面状態推定装置10がモデルを生成する場合に、データベースに蓄積された測定値を含む実績データ(現在よりも過去のデータ)を路面状態推定装置10に提供してよい。本実施形態において、路面状態推定装置10は、提供された実績データを機械学習の学習データとして用いる。
【0025】
端末装置50は車両20の運転者又は同乗者に情報を提示する装置であって、路面状態推定装置10によって推定された路面状態のデータを取得する。端末装置50は、例えばカーナビゲーションシステムなどの車両20に搭載される車載装置であってよいし、例えばスマートフォン又はタブレット等の可搬の装置であってよい。端末装置50は、例えばカーナビゲーション機能を有し、車両20が凍結又は積雪している道路に進入する場合に、車両20の運転者に対して注意を促してよい。
【0026】
図3は、路面状態推定装置10が実行する路面状態推定方法で使用されるモデルについて説明するための図である。本実施形態において、機械学習モデル及び時空間統計モデルが使用される。機械学習モデルは、路面状態を目的変数とし、少なくとも道路の路面状態非均一性及び路面温度を含むパラメータを説明変数とする学習データを用いて生成される。路面状態非均一性とは、路面状態が場所によって違っていることを意味し、特に近い場所にある道路であっても道路毎に路面状態が異なることをいう。非均一性は異質性と称することもできる。時空間統計モデルは、路面温度を目的変数とし、少なくとも日射量を含むパラメータを説明変数とするモデルである。時空間統計モデルに対応するモデルは機械学習によって生成することも可能であるが、本実施形態において統計モデルが採用されている。時空間統計モデルは、例えば線形回帰の手法を含んで構成されるモデルであってよい。図3に示すように、本実施形態において、機械学習モデルに入力される路面温度は、時空間統計モデルを用いて算出された路面温度である。本明細書において、機械学習モデル及び時空間統計モデルを特に区別しない場合に、これらをまとめて、単にモデルと称することがある。
【0027】
ここで、従来技術では、路面温度及び路面状態を主に1次元の解析モデルを解くことで推定することが多い。従来技術で用いられる物理モデルは一般に複雑であり、必要なパラメータの数が多い。また、例えばアスファルトの熱伝導率分布及び反射率分布など、入手が難しいパラメータが含まれることがある。また、気象変数はこのような物理モデルにおいても重要なパラメータであるが、例えば一辺が5km以上のメッシュの大きさとなり、予測したい路面温度及び路面状態に対して粗いデータであることが多い。さらに、気象変数は一般に開けた場所に設置された気象観測装置によって測定され、建物又は樹木などによって日射が遮られることがある路面の実際の状態を反映するものでない。したがって、従来技術によって予測される路面温度及び路面状態は、見通しのよい建物の少ない地域を前提としており、予測精度に改良の余地がある。
【0028】
本発明者が鋭意究明したところ、上記のように、路面状態に強く影響する路面温度を時空間統計モデルによって算出し、算出された路面温度を入力して機械学習モデルによって推定することによって、路面状態を高精度に推定可能であることがわかった。本実施形態に係る路面状態推定装置10は、時空間統計モデルを用いて路面温度を算出する。そのため、路面状態推定において、5km以上の粗いメッシュでの画一的な気象変数(例えば気温及び湿度)だけに基づく路面温度でなく、日射量も考慮した実際の分布に近い路面温度を用いることができる。つまり、広域で画一的な路面温度でなく、日射量を考慮した詳細な路面温度に基づいて、路面状態を高精度に推定することができる。
【0029】
さらに、本実施形態において、機械学習モデルは、少なくとも道路の路面状態非均一性及び路面温度を含むパラメータを説明変数とする。そのため、例えばある場所について路面状態を推定した場合に、その場所から所定の距離の範囲内にある領域で画一的に同じ路面状態であるとするのでなく、道路の路面状態非均一性を考慮して同じ路面状態の範囲を高精度に判定することができる。一例として幹線道路と生活道路とが近接している場合に、これらの道路が接続されておらず車両20の往来がなければ、生活道路が積雪しており、交通量の多い幹線道路が乾燥している状態があり得る。同じ例で、これらの道路が接続されていて多くの車両20の往来があれば、生活道路と幹線道路の路面状態はどちらも同じく乾燥していることがあり得る。路面状態非均一性として、このような道路の間の接続状態(以下、「道路ネットワーク」)を機械学習モデルで考慮させることによって、所定の距離の範囲内を画一的に同じ道路状態を推定する従来技術に比べて、高精度な路面状態の推定が可能になる。
【0030】
図3のように、機械学習モデルは、説明変数としてのパラメータとして、日射量、地形、溜水エリア、交通量及び気象変数の少なくとも1つをさらに含んでよい。道路ネットワークに加えてこれらの情報を用いることによって、さらに詳細に道路の路面状態非均一性を考慮した機械学習モデルを生成し、その機械学習モデルを用いて路面状態をさらに高精度に推定することができる。日射量は、道路における日射量分布及び日射時間に基づいて算出されてよい。日射量分布は、例えばネットワーク40経由で取得可能な地図情報に含まれる地形、建物の情報などに基づいて算出されてよい。例えば同じ道路における近い範囲であっても、日射量の多少によって積雪量が異なるように推定されることがあり得る。溜水エリアは、例えばネットワーク40経由で取得可能なハザードマップなどから溜水が生じやすいエリアを抽出することによって特定されてよい。例えば同じ道路における近い範囲であっても、溜水エリアの外か中かによって推定結果が乾燥と湿潤とで異なることがあり得る。ここで、機械学習モデルの生成では、実績データに含まれる路面状態測定データ(路面状態の測定値)と測定時の説明変数の値が学習データとして用いられる。
【0031】
また、図3のように、時空間統計モデルは、説明変数であるパラメータとして気温、湿度などの気象変数をさらに含んでよい。日射量に加えて、さらに詳細に道路の表面の温度変化を考慮した時空間統計モデルを生成し、その時空間統計モデルを用いて路面温度をさらに高精度に推定することができる。
【0032】
再び図1を参照して、以下に路面状態推定装置10の構成要素の詳細が説明される。通信部11は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信モジュールを含んで構成される。通信部11は、例えば4G(4th Generation)、5G(5th Generation)などの移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよい。通信部11は、例えば有線又は無線のLAN規格に対応する通信モジュールを含んでよい。
【0033】
記憶部12は、1つ以上のメモリである。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ又は光メモリなどであるが、これらに限られず任意のメモリとすることができる。記憶部12は、例えば路面状態推定装置10に内蔵されるが、任意のインターフェースを介して路面状態推定装置10によって外部からアクセスされる構成も可能である。
【0034】
記憶部12は、制御部13が実行する各種の算出において使用される各種のデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部13が実行する各種の算出の結果及び中間データを記憶してよい。本実施形態において、記憶部12は、生成されたモデルを記憶する。
【0035】
制御部13は、1つ以上のプロセッサである。プロセッサは、例えば汎用のプロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られず任意のプロセッサとすることができる。制御部13は、路面状態推定装置10の全体の動作を制御する。
【0036】
ここで、路面状態推定装置10は、以下のようなソフトウェア構成を有してよい。路面状態推定装置10の動作の制御に用いられる1つ以上のプログラムが記憶部12に記憶される。記憶部12に記憶されたプログラムは、制御部13のプロセッサによって読み込まれると、制御部13を取得部131、モデル生成部132、推定部133及び出力部134として機能させる。
【0037】
取得部131は、モデルを生成する場合に、機械学習で用いられる学習データを生成するための実績データを取得する。学習データは、実績データから目的変数(例えば路面状態測定データ)及び説明変数(例えば路面状態の測定時の気象変数など)を抽出することによって生成されてよい。また、取得部131は、モデルを用いて路面状態を推定する場合に、記憶部12に記憶されたモデル(すなわち上記の機械学習モデル及び時空間統計モデル)を取得する。また、取得部131は、推定の対象である道路又は地域についての入力データを取得する。入力データは、モデルの説明変数に対応するパラメータの値を含んで構成される。
【0038】
モデル生成部132は、取得部131によって取得された実績データに基づいて機械学習モデル及び時空間統計モデルを生成する。モデル生成部132は、機械学習モデルの生成において、実績データに基づく学習データを用いて機械学習を実行する。機械学習の手法は、限定されないが、例えばニューラルネットワークなどであってよい。本実施形態において、モデル生成部132は、まず時空間統計モデルを生成する。そして、推定部133は、生成された時空間統計モデルによって算出される路面温度を学習データに含めて、機械学習モデルを生成する。
【0039】
ここで、時空間統計モデルは、路面温度の時空間構造を考慮した統計モデルである。本実施形態において、時空間統計モデルは、2次元空間において時間に応じて変化する路面温度を推定するモデルであって、路面温度データの時空間自己相関性を考慮した統計モデルである。時空間統計モデルの構造は、特定の構造に限定されないが、本実施形態において後述の階層構造を有している。また、時空間統計モデルのパラメータ推定の手法は特定の手法に限定されないが、例えばMCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ法)を用いたベイズ推定を用いることができる。以下、時空間統計モデルの構成例(第1~第9モデル)が示されるが、これらの構成例におけるパラメータ推定でMCMCが用いられるとして説明する。時空間統計モデルは、いずれかの構成例を採用してよく、いくつかを比較して最適な構成を採用することも可能である。いずれの構成例も、路面温度の時空間構造を考慮しながら具体的なモデル化を実現するものである。
【0040】
(第1モデル)
時空間統計モデルの構成例の一つである第1モデルは、以下の式(1)で示される。第1モデルは他の構成例のベースとなるモデルである。
【0041】
【数1】
【0042】
ここで、Y(s,t)は路面温度であって、本実施形態における時空間統計モデルに対応する。sは空間における位置(サイト)を示し、本実施形態において道路ネットワークにおける接続部分(リンク)の重心位置の緯度経度に設定されている。tは時間を示す。μ(s,t)は時空間プロセスでデータの平均構造を示している。換言すると、μ(s,t)は、路面温度の時空間における関係性を解析する場合に、主要な説明変数と係数などで算出可能な部分である。e(s,t)は誤差項で、平均がゼロの時空間プロセスである。x(s,t)は説明変数のベクトルであって、添え字のjがj番目の説明変数であることを示している。また、β(s,t)は回帰係数であって、添え字のjがj番目の回帰係数であることを示している。本実施形態において、上記の平均構造は、比較的簡単に時間と空間に依存する回帰係数を決定できる線形回帰を用いてモデル化される。つまり、第1モデルは、線形回帰を用いる平均構造を示す項と、誤差項と、を備えて構成される。
【0043】
ここで、時空間プロセスのモデル化において、誤差項であるe(s,t)を様々に解釈することができる。例えばe(s,t)を更にモデル化することによって、時空間統計モデルが階層構造を有する(モデル内の一部が更にモデル化される)ように構成されてよい。
【0044】
(第2モデル)
誤差項であるe(s,t)を平均がゼロの時空間ガウス過程(Gaussian process)と仮定すると、一般に柔軟性の高い時空間構造モデリングが可能になる。ただし、全てのサイト及び時間の相関関係を考慮すると、ガウス過程の共分散行列がnT×nTの行列の逆行列になる。サイトの数及び時間のステップが多い場合に、共分散行列が大きくなるため、計算コストが増大する。時空間統計モデルの構成例の一つである第2モデルは、以下の式(2)で示されるように、式(1)のe(s,t)をモデル化する。第2モデルでは、誤差項について空間と時間とを分離した共分散関数を用いることによって、計算コストを軽減することができる。
【0045】
【数2】
【0046】
ここで、Covは共分散を示す関数である。σは定数である。ρ(|s-s|;v)は、パラメータであるvに依存する等方的な空間相関関数である。ここで、|s-s|はsとsの間の距離である。同様にρ(|t-t|;v)は、パラメータであるvに依存する等方的な時間相関関数である。ここで、|t-t|はtとtの間の距離である。
【0047】
(第3モデル)
より複雑な時空間構造をモデル化するために、時空間変量効果を導入したモデルが使用されてよい。具体的に述べると、さらに誤差項であるe(s,t)が階層構造を有するように構成されてよい。例えばe(s,t)は以下の式(3)で表される。
【0048】
【数3】
【0049】
ここで、w(s,t)が変量効果を示す項である。ε(s,t)が測定誤差を示す項である。w(s,t)及びε(s,t)のそれぞれは平均がゼロである。変量効果は、時空間の依存性をモデリングするために使用される。すなわち、ランダムな値を与えることによって、効率的に時空間統計モデルのパラメータが推定されるようにする。測定誤差は、正規分布に従い、位置、時間及びw(s,t)に依存せずに、異なる時間で異なる分散になると仮定している。ただし、測定誤差は、異なる時間で同じ分散になる場合を含んでよい。
【0050】
時空間統計モデルの構成例の一つである第3モデルは、ガウス過程が時間に依存しない変量効果を含むように構成され、以下の式(4)で示される。
【0051】
【数4】
【0052】
ここで、βが空間にも依存しないモデルを考える。測定誤差については、ε(s,t)~N(0,σε )であるとする。時空間構造を変量効果の共分散行列として、変量効果を示す項が以下の式(5)で示されるようにモデル化される。
【0053】
【数5】
【0054】
ここで、σ は定数である。dijはsとsの間の距離である。ρ(dij;v)はMatern族の相関関数である。vはパラメータである。このモデル化は、路面温度データが変量効果で表現される距離に依存する時空間構造を持つことを仮定している。ここで、第3モデルの式は、ベクトル表記によって以下の式(6)のように表すことができる。
【0055】
【数6】
【0056】
ここで、lは単位行である。また、wに対して周辺化(marginalization)を行うと、以下の式(7)のように表記することができる。
【0057】
【数7】
【0058】
ベクトル表記された変量効果であるwについては積分消去(Integral out)できるため、パラメータ数を少なくすることができる。
【0059】
(第4モデル)
時空間統計モデルの構成例の一つである第4モデルは、第3モデルにおいてパラメータのセンタリング(centering)を行う。第4モデルは、以下の式(8)で示される。このようなセンタリングによって、MCMCの計算を効率化することができる。
【0060】
【数8】
【0061】
(第5モデル)
時空間統計モデルの構成例の一つである第5モデルは、第4モデルにおいて明示的に時空間データに1次の時間依存性を考慮する。第5モデルは、以下の式(9)で示される。このとき、時間依存性を考慮しながら、MCMCの計算を効率化することができる。
【0062】
【数9】
【0063】
ここで、ρは係数である。ρがゼロのときに、第5モデルは第4モデルと等価になる。ここで、Y(s,t)に直接的に1次の時間依存性を含めることも可能であるが、欠損値(missing value)を許容できる第5モデルの構成が好ましい。例えばY(s,t)=ρY(s,t-1)+ε(s,t)としてY(s,t)に時間依存性を含めると、欠損値が生じた場合に計算上の問題が生じるためである。ここで、第5モデルでは初期値であるO(s,0)が特定される必要がある。O(s,0)は、平均がμ、分散がσ であって、SをMatern族の相関関数から求めることができる。
【0064】
(第6モデル)
時空間統計モデルの構成例の一つである第6モデルは、GPP(Gaussian Predictive Process)を使用したモデルである。ガウス過程ではサイトの数が多いと計算コストが増大する。第6モデルでは、GPPで例えばm×mのknotsと呼ばれる、データのサイトの数より少ない位置数の変量効果を考慮する。また、クリギング(Kriging)を用いて、データの位置の変量効果が予測される。ここで、変量効果は第5モデルと同様に1次の時間依存性を含む。第6モデルは、以下の式(10)で示される。このとき、計算コストの増大を抑制することができる。
【0065】
【数10】
【0066】
ここで、変量効果は、w(s,t)~N(0,σε w*)と表せる。Sw*はm×mの行列である。行列であるAは、CS -1で計算されて、Cがn×mのcross-correlation行列である。mはnより十分に小さく、実際にデータとして観測されたサイトの数(n)よりknotsの位置の数(m)が少ないことで、共分散行列の計算を速く実行でき、計算コストの増大を抑制することができる。
【0067】
(第7モデル)
時空間統計モデルの構成例の一つである第7モデルは、第1モデルにおいて回帰係数を空間に依存させる。つまり、回帰係数が以下の式(11)で示される。空間依存性を考慮した回帰係数が用いられることによって、平均構造を示す項の精度向上が期待されるため、誤差項の影響を小さくすることができる。
【0068】
【数11】
【0069】
ここで、βがゼロの場合に、時空間統計モデルは固定回帰係数モデルになる。βj0はj番目の説明変数の全体の効果を表す。
【0070】
(第8モデル)
時空間統計モデルの構成例の一つである第8モデルは、第1モデルにおいて回帰係数を時間に依存させる。つまり、回帰係数が以下の式(12)で示される。時間依存性を考慮した回帰係数が用いられることによって、平均構造を示す項の精度向上が期待されるため、誤差項の影響を小さくすることができる。
【0071】
【数12】
【0072】
ここで、δ(t)は位置と時間に独立である。ρがゼロの場合に、時空間統計モデルは固定回帰モデルになる。初期条件は、β(0)~N(0,σ )であって、位置と時間に独立である。
【0073】
(第9モデル)
時空間統計モデルの構成例の一つである第9モデルは、第1モデルにおいて回帰係数を空間及び時間に依存させる。つまり、第9モデルは、第7モデル及び第8モデルを混合させたモデルである。時空間依存性を考慮した回帰係数が用いられることによって、平均構造を示す項の精度向上が期待されるため、誤差項の影響を小さくすることができる。
【0074】
推定部133は、モデル生成部132によって生成されたモデルを用いて、路面状態を推定する。本実施形態において、推定部133は、まず時空間統計モデルを用いて、路面状態の推定に用いられる路面温度を算出する。そして、推定部133は、算出された路面温度を機械学習モデルに入力して、路面状態を推定する。
【0075】
出力部134は、推定部133によって推定された結果を、表示装置などに対して出力する。例えば道路管理装置60に接続されているディスプレイ、端末装置50が有するディスプレイなどが、推定結果を表示する表示装置として機能し得る。
【0076】
図4は、路面状態推定装置10が実行する路面状態を推定する処理を例示するフローチャートである。取得部131及びモデル生成部132は、路面状態を推定するためのモデルを生成するモデル生成工程(ステップS1、モデル生成方法)を実行する。また、取得部131及び推定部133は、生成されたモデルを用いて、推定の対象である道路の路面状態を推定する路面状態推定工程(ステップS2、路面状態推定方法)を実行する。路面状態推定工程は、モデル生成工程と連続して実行されてよいが、モデル生成工程の後に一定の時間が経過してから実行されてよい。
【0077】
図5は、図4のモデル生成工程の詳細を示すフローチャートである。取得部131は、例えば道路管理装置60のデータベースに蓄積されている実績データを取得する(ステップS11)。取得部131は、ネットワーク40経由で地図情報、ハザードマップなども取得してよい。
【0078】
学習データは、取得部131によって取得された実績データから目的変数及び説明変数を抽出することによって生成される(ステップS12)。また、上記のように日射量が算出されてよい。このとき、学習データの生成及び日射量の算出は、モデル生成部132によって実行されてよい。
【0079】
そして、モデル生成部132はモデルを生成する(ステップS13)。本実施形態において、モデル生成部132はまず時空間統計モデルを生成し、次に機械学習モデルを生成する。モデル生成部132は、生成したモデルを記憶部12に記憶させる。
【0080】
図6は、図4の路面状態推定工程の詳細を示すフローチャートである。取得部131は、入力データを取得し(ステップS21)、記憶部12からモデルを取得する(ステップS22)。入力データは、上記のようにモデルの説明変数に対応するパラメータの値を含んで構成される。
【0081】
ここで、入力データに含まれる日射時間、地形、建物の情報などに基づいて日射量が算出される。このとき、日射量の算出は、推定部133によって実行されてよい。推定部133は、まず時空間統計モデルを用いて路面温度を算出する(ステップS23)。そして、推定部133は、算出された路面温度を機械学習モデルに入力して、路面状態を推定する(ステップS24)。出力部134は、推定部133によって推定された結果を出力してよい。出力された推定結果は、道路管理者又は車両20の運転者などが確認できるように、表示装置に表示されてよい。
【0082】
以上のように、本実施形態に係る路面状態推定装置10及び路面状態推定方法は、路面温度についての時空間構造を考慮した時空間統計モデルを用いて実際の分布に近い路面温度を算出し、このような路面温度に基づいて路面状態を高精度に推定することができる。
【0083】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラム及びプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0084】
例えば図1及び図2に示される路面状態推定装置10及び路面状態推定システムの構成は一例であって、図1及び図2の構成に限定されるものでない。例えば路面状態推定システムは、路面状態推定装置10と道路管理装置60とが一体化された構成であってよい。この場合に、路面状態推定装置10が道路管理装置60の機能(例えば除雪又は融雪の作業計画支援)も実行してよい。また、車両20が自動運転車である場合に、道路管理装置60とともに又は道路管理装置60に代えて、自動運転車の走行を管理する走行管理装置を含んで路面状態推定システムが構成されてよい。走行管理装置は、路面状態推定装置10から推定された路面状態の情報を取得し、走行予定の道路の路面状態に応じて自動運転の継続可否を決定してよい。路面状態が高精度に推定されることによって、適切に運転継続可否を決定することができ、車両20の走行安全性を向上させることができる。また、データベースは、道路管理装置60でなく、路面状態推定装置10によって管理及び記憶されてよい。
【0085】
また、モデル生成部132と、推定部133と、が異なるコンピュータに含まれる構成であってよい。例えば、モデル生成部132は、路面状態推定装置10と通信可能であって、記憶部12にもアクセス可能な別のコンピュータ(独立したモデル生成装置)に含まれてよい。この場合に、路面状態推定装置10は、別のコンピュータで生成されて記憶部12に記憶されたモデルを用いて、道路の路面状態を判定してよい。モデルは上記と同様に生成されてよい。つまり、別のコンピュータが、実績データを取得し、実績データに基づく学習データを用いてモデルを生成してよい。
【国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献】
【0086】
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本開示の一実施形態は「No.9 産業と技術革新の基盤をつくろう」等に貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0087】
10 路面状態推定装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20 車両
40 ネットワーク
50 端末装置
60 道路管理装置
131 取得部
132 モデル生成部
133 推定部
134 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6