(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157464
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 2/16 20060101AFI20241030BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C08F2/16
C08F20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071852
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 友孝
【テーマコード(参考)】
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J011AA08
4J011KA06
4J011KA27
4J011KB08
4J011KB13
4J011KB19
4J011KB22
4J011KB29
4J100AB02R
4J100AJ02S
4J100AL03P
4J100AL03Q
4J100AL08T
4J100AL09T
4J100AM21T
4J100BA03T
4J100BA08T
4J100BA56T
4J100CA03
4J100DA39
4J100EA09
4J100FA03
4J100FA20
4J100FA34
4J100JA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粒子のサイズを小さくできる、粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】粒子の製造方法は、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、下記式(1)で示される第1重合性ビニルモノマーを重合させて第1シード粒子を生成する工程(1)と、前記水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、前記第1シード粒子をシードとして、第2重合性ビニルモノマーを重合させて第2シード粒子を生成する工程(2)と、前記水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、前記第2シード粒子をシードとして、第3重合性ビニルモノマーを重合させて、粒子を製造する工程(3)と、を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、下記式(1)で示される第1重合性ビニルモノマーを重合させて第1シード粒子を生成する工程(1)と、
前記水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、前記第1シード粒子をシードとして、第2重合性ビニルモノマーを重合させて第2シード粒子を生成する工程(2)と、
前記水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、前記第2シード粒子をシードとして、第3重合性ビニルモノマーを重合させて、粒子を製造する工程(3)と、を備える、粒子の製造方法。
【化1】
(式(1)中、T,U,V,WおよびXは、同一または相異なり、水素原子またはメチル基である。mは、0以上、3以下である。nは、0以上、10以下である。Zは、ヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩、または、スルホン酸基またはその塩である。Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩である場合には、Yは、-O-である。Zがスルホン酸基またはその塩である場合には、Yは、-O-または-NH-である。Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩であり、Yが-O-である場合には、nが0のとき、mが0であり、nが1以上のとき、mが0以上である。Zがスルホン酸基またはその塩であり、Yは、-O-または-NH-である場合には、nおよびmが0である。)
【請求項2】
前記第1重合性ビニルモノマーのポリマーの下記式(2)で表されるδphは、6.0MPa1/2以上であり、
前記第2重合性ビニルモノマーのポリマーの前記δphは、前記第1シード粒子の前記δphより低い、請求項1に記載の粒子の製造方法。
δph=[δp
2+δh
2]1/2 (2)
δp=ハンセンの溶解度パラメータの極性項
δh=ハンセンの溶解度パラメータの水素結合項
【請求項3】
前記Zは、ヒドロキシル基である、請求項1または請求項2に記載の粒子の製造方法。
【請求項4】
前記第1重合性ビニルモノマーは、ヒドロキシアルキル基を含む、請求項3に記載の粒子の製造方法。
【請求項5】
前記第1重合性ビニルモノマーは、ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)基を含む、請求項1または請求項2に記載の粒子の製造方法。
【請求項6】
前記Zは、硫酸エステル基またはその塩、または、スルホン酸基またはその塩である、請求項1または請求項2に記載の粒子の製造方法。
【請求項7】
前記水性媒体100質量部に対する前記第1重合性ビニルモノマーの配合割合が、0.05質量部以上、1.50質量部以下である、請求項1または請求項2に記載の粒子の製造方法。
【請求項8】
前記第2重合性ビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する、請求項1または請求項2に記載の粒子の製造方法。
【請求項9】
前記第3重合性ビニルモノマーは、重合性の炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ分子内に有する、請求項1または請求項2に記載の粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、親水性の第1重合性ビニルモノマーを重合させてシード粒子を生成する工程と、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、シード粒子をシードとして、第2重合性ビニルモノマーを重合させて粒子を製造する工程と、を備える、粒子の製造方法が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造される粒子の用途および目的に応じて、粒子のサイズを小さくしたいという要求がある。例えば、粒子を塗料に配合する場合において、上記した要求は、スプレー塗装において塗料をノズルで吐出するときに、ノズルの目詰まりを抑制するために、粒子のサイズを小さくすることを含む。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の製造方法では、上記した要求を満足できないという不具合がある。
【0006】
本発明は、粒子のサイズを小さくできる、粒子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、下記式(1)で示される第1重合性ビニルモノマーを重合させて第1シード粒子を生成する工程(1)と、前記水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、前記第1シード粒子をシードとして、第2重合性ビニルモノマーを重合させて第2シード粒子を生成する工程(2)と、前記水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、前記第2シード粒子をシードとして、第3重合性ビニルモノマーを重合させて、粒子を製造する工程(3)と、を備える、粒子の製造方法を含む。
【0008】
【0009】
(式(1)中、T,U,V,WおよびXは、同一または相異なり、水素原子またはメチル基である。mは、0以上、3以下である。nは、0以上、10以下である。Zは、ヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩、または、スルホン酸基またはその塩である。Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩である場合には、Yは、-O-である。Zがスルホン酸基またはその塩である場合には、Yは、-O-または-NH-である。Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩であり、Yが-O-である場合には、nが0のとき、mが0であり、nが1以上のとき、mが0以上である。Zがスルホン酸基またはその塩であり、Yは、-O-または-NH-である場合には、nおよびmが0である。)
【0010】
本発明(2)は、前記第1重合性ビニルモノマーのポリマーの下記式(2)で表されるδphは、6.0MPa1/2以上であり、前記第2重合性ビニルモノマーのポリマーの前記δphは、前記第1シード粒子の前記δphより低い、[1]に記載の粒子の製造方法を含む。
【0011】
δph=[δp
2+δh
2]1/2 (2)
【0012】
δp=ハンセンの溶解度パラメータの極性項
δh=ハンセンの溶解度パラメータの水素結合項
【0013】
本発明[3]は、前記Zは、ヒドロキシル基である、[1]または[2]に記載の粒子の製造方法を含む。
【0014】
本発明[4]は、前記第1重合性ビニルモノマーは、ヒドロキシアルキル基を含む、[3]に記載の粒子の製造方法を含む。
【0015】
本発明[5]は、前記第1重合性ビニルモノマーは、ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)基を含む、[3]に記載の粒子の製造方法を含む。
【0016】
本発明[6]は、前記Zは、硫酸エステル基またはその塩、または、スルホン酸基またはその塩である、[1]または[2]に記載の粒子の製造方法を含む。
【0017】
本発明[7]は、前記水性媒体100質量部に対する前記第1重合性ビニルモノマーの配合割合が、0.05質量部以上、1.50質量部以下である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の粒子の製造方法を含む。
【0018】
本発明[8]は、前記第2重合性ビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する、[1]から[7]のいずれか一項に記載の粒子の製造方法を含む。
【0019】
本発明[9]は、前記第3重合性ビニルモノマーは、重合性の炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ分子内に有する、[1]から[8]のいずれか一項に記載の粒子の製造方法を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の粒子の製造方法では、第1重合性ビニルモノマーは、所定の親水性を有し、工程(1)において、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、上記した親水性を有する特定の第1重合性ビニルモノマーを重合させ、さらに、工程(2)において、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、第1シード粒子をシードとして、第2重合性ビニルモノマーを重合させて第2シード粒子を生成し、工程(3)において、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、第2シード粒子をシードとして、第3重合性ビニルモノマーを重合させる。そのため、粒子のサイズを小さくできる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1. 粒子の製造方法
粒子の製造方法は、工程(1)と、工程(2)と、工程(3)と、を備える。工程(1)と、工程(2)と、工程(3)とは、この順で順に実施される。工程(1)では、第1重合性ビニルモノマーを重合させる。工程(2)では、第2重合性ビニルモノマーを重合させる。工程(3)では、第3重合性ビニルモノマーを重合させる。
【0022】
1.1 工程(1)
工程(1)では、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、下記式(1)で示される親水性の第1重合性ビニルモノマーを重合させて第1シード粒子を生成する。
【0023】
【0024】
(式(1)中、T,U,V,WおよびXは、同一または相異なり、水素原子またはメチル基である。mは、0以上、3以下である。nは、0以上、10以下である。Zは、ヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩、または、スルホン酸基またはその塩である。Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩である場合には、Yは、-O-である。Zがスルホン酸基またはその塩である場合には、Yは、-O-または-NH-である。Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩であり、Yが-O-である場合には、nが0のとき、mが0であり、nが1以上のとき、mが0以上である。Zがスルホン酸基またはその塩であり、Yは、-O-または-NH-である場合には、nおよびmが0である。)
【0025】
1.1.1 水性媒体
水性媒体としては、例えば、水、および、水と水溶性有機物との水混合溶媒が挙げられる。水溶性有機物としては、例えば、アルコールおよびケトンが挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノールおよびエタノールが挙げられる。ケトンとしては、例えば、アセトンが挙げられる。水性媒体として、好ましくは、水が挙げられる。
【0026】
1.1.2 界面活性剤
本発明では、工程(1)において、界面活性剤が存在しない。具体的には、水性媒体中に、界面活性剤が存在しない。後述する第1分散液は、界面活性剤を含有しない。界面活性剤は、乳化剤を含む。従って、工程(1)は、無乳化重合(またはソープフリー重合)と称呼される。
【0027】
なお、工程(1)において、第1重合性ビニルモノマーを化学的に乳化させない程度に、界面活性剤が水性媒体に意図せず混入することは許容される。その場合には、水性媒体100質量部に対する不純物としての界面活性剤の混入割合は、0.01質量部以下、さらには、0.001質量部以下である。
【0028】
1.1.3 第1重合性ビニルモノマー
式(1)中、Zは、ヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩、または、スルホン酸基またはその塩である。以下、式(1)中のZがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩である第1重合性ビニルモノマーと、式(1)中のZがスルホン酸基またはその塩である第1重合性ビニルモノマーとを、順に説明する
【0029】
1.1.4 Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩である第1重合性ビニルモノマー
式(1)中、Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩である場合には、式(1)中、Yは、-O-である。Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩であり、Yが-O-である場合には、nが0のとき、mが0であり、nが1以上のとき、mが0以上である。Zがヒドロキシル基、または、硫酸エステル基またはその塩である第1重合性ビニルモノマーは、nが0のときは、ヒドロキシアルキル基、または、アルキル硫酸エステル基またはその塩を含み、nが1以上のときは、ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)基、または、ポリオキシエチレン硫酸エステル基またはその塩を含む。
【0030】
1.1.4.1 ヒドロキシアルキル基、または、ポリオキシエチレン硫酸エステル基またはその塩
第1重合性ビニルモノマーがヒドロキシアルキル基、または、ポリオキシエチレン硫酸エステル基またはその塩を含有する場合には、nが0のとき、mが0である。T,U,V,WおよびXは、同一または相異なり、水素原子またはメチル基である。ヒドロキシル基を含有する第1重合性ビニルモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。硫酸エステル基を含有する第1重合性ビニルモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル硫酸エステルが挙げられる。ヒドロキシアルキル基、または、ポリオキシエチレン硫酸エステル基またはその塩の総炭素数は、例えば、2以上であり、また、例えば、6以下、好ましくは、5以下、より好ましくは、4以下、さらに好ましくは、3以下である。
【0031】
1.1.4.1.1 (メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1-メチルエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1,2-ジメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1,1,2-トリメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1,2,2-トリメチルエチル、および、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1,1,2,2-テトラメチルエチルが挙げられる。
【0032】
(メタ)アクリル酸アルキル硫酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-(スルホオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(スルホオキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-スルホオキシ-1-メチルエチル、(メタ)アクリル酸2-スルホオキシ-1,1-ジメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-スルホオキシ-2,2-ジメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-スルホオキシ-1,2-ジメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-スルホオキシ-1,1,2-トリメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-スルホオキシ-1,2,2-トリメチルエチル、および、(メタ)アクリル酸2-スルホオキシ-1,1,2,2-テトラメチルエチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキル硫酸エステルの塩としては、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、および、カリウム塩が挙げられる。塩として、好ましくは、ナトリウム塩が挙げられる。
【0033】
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキル硫酸エステルまたはその塩は、単独使用または併用できる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとして、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、および、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルが挙げられ、より好ましくは、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル(2HPMA)が挙げられる。
【0034】
1.1.4.2 ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)基、または、ポリオキシエチレン硫酸エステル基またはその塩
第1重合性ビニルモノマーがヒドロキシ(ポリオキシエチレン)基、または、ポリオキシエチレン硫酸エステル基またはその塩を含有する場合に、nが1以上のとき、mが0以上である。好ましくは、式(1)中、mが0であり、nが2以上である態様(1)、mが1以上であり、nが1以上である態様(2)がある。態様(1)および態様(2)のうち、態様(1)がより好ましい。
【0035】
1.1.4.3 態様(1)
態様(1)では、式(1)中、nは、好ましくは、5以下、より好ましくは、3以下である。式(1)中、T、U、VおよびWは、いずれも水素原子である。式(1)中、Xは、水素原子またはメチル基である。態様(1)では、第1重合性ビニルモノマーとしては、例えば、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートが挙げられる。つまり、態様(1)では、第1重合性ビニルモノマーは、ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)基、または、ポリオキシエチレン硫酸エステル基またはその塩を含有する。
【0036】
1.1.4.4 態様(2)
態様(2)では、式(1)中、nは、好ましくは、2以上であり、好ましくは、5以下、より好ましくは、4以下である。式(1)中、T、U、VおよびWは、好ましくは、いずれも水素原子である。式(1)中、Xは、水素原子またはメチル基である。つまり、態様(2)では、第1重合性ビニルモノマーは、ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)基、または、(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)硫酸エステル基またはその塩を含有する。
【0037】
1.1.5 Zがスルホン酸基またはその塩である第1重合性ビニルモノマー
式(1)中、Zがスルホン酸基またはその塩である場合には、式(1)中、Yは、-O-または-NH-である。Zがスルホン酸基またはその塩であり、Yは、-O-または-NH-である場合には、nおよびmが0である。
【0038】
式(1)中、Yが-O-である場合には、第1重合性ビニルモノマーとして、例えば、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸化合物またはその塩が挙げられる。この場合には、式(1)中、T,U,V,WおよびXは、同一または相異なり、水素原子またはメチル基である。T,U,VおよびWのそれぞれは、好ましくは、水素原子である。
【0039】
1.1.5.1 2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸化合物またはその塩
2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸化合物としては、例えば、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、2-((メタ)アクリロイルオキシ)1-メチルエタンスルホン酸、2-((メタ)アクリロイルオキシ)2-メチルエタンスルホン酸、2-((メタ)アクリロイルオキシ)1,1-ジメチルエタンスルホン酸、2-((メタ)アクリロイルオキシ)1,2-ジメチルエタンスルホン酸、2-((メタ)アクリロイルオキシ)2,2-ジメチルエタンスルホン酸、2-((メタ)アクリロイルオキシ)1,1,2-トリメチルエタンスルホン酸、2-((メタ)アクリロイルオキシ)1,2,2-トリメチルエタンスルホン酸、および、2-((メタ)アクリロイルオキシ)1,1,2,2-テトラメチルエタンスルホン酸が挙げられる。2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸化合物として、好ましくは、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸が挙げられる。
【0040】
2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸化合物の塩としては、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸のアンモニウム塩、および、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、および、カリウム塩が挙げられる。塩として、好ましくは、ナトリウム塩が挙げられる。具体的には、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸化合物の塩として、好ましくは、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム、より好ましくは、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム(MS-2N)が挙げられる。
【0041】
式(1)中、Yが-NH-である場合には、第1重合性ビニルモノマーとして、例えば、2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸化合物またはその塩が挙げられる。この場合には、式(1)中、T,U,V,WおよびXは、同一または相異なり、水素原子またはメチル基である。TおよびUのそれぞれは、好ましくは、メチル基であり、VおよびWのそれぞれは、好ましくは、水素原子である。
【0042】
2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸化合物としては、例えば、2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド1-メチルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド2-メチルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド1,1-ジメチルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド1,2-ジメチルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド2,2-ジメチルエタンスルホン酸(別名:(メタ)アクリルアミドtertブチルスルホン酸)、2-(メタ)アクリルアミド1,1,2-トリメチルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド1,2,2-トリメチルエタンスルホン酸、および、2-(メタ)アクリルアミド1,1,2,2-テトラメチルエタンスルホン酸が挙げられる。2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸化合物として、好ましくは、2-(メタ)アクリルアミド2,2-ジメチルエタンスルホン酸が挙げられ、より好ましくは、2-アクリルアミド2,2-ジメチルエタンスルホン酸(別名:アクリルアミドtertブチルスルホン酸)(ATBS)が挙げられる。
【0043】
2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸化合物の塩としては、2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸化合物のアンモニウム塩、および、2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸化合物のアルカリ金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、および、カリウム塩が挙げられる。塩として、好ましくは、ナトリウム塩が挙げられる。具体的には、2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸化合物の塩として、好ましくは、2-(メタ)アクリルアミド2,2-ジメチルエタンスルホン酸ナトリウムが挙げられ、より好ましくは、2-アクリルアミド2,2-ジメチルエタンスルホン酸ナトリウム(別名:アクリルアミドtertブチルスルホン酸ナトリウム)(ATBSNa)が挙げられる。
【0044】
1.1.6 第1重合性ビニルモノマーの配合割合
水性媒体100質量部に対する第1重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、2.50質量部以下、好ましくは、2.00質量部以下、より好ましくは、1.50質量部以下、さらに好ましくは、1.00質量部以下、とりわけ好ましくは、0.80質量部以下、最も好ましくは、0.50質量部以下であり、さらには、0.40質量部以下、さらには、0.30質量部以下が好適である。水性媒体100質量部に対する第1重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上、より好ましくは、0.10質量部以上、さらに好ましくは、0.20質量部以上である。水性媒体100質量部に対する第1重合性ビニルモノマーの配合割合が上記した下限以上であれば、工程(2)において、第2シード粒子を確実に生成でき、ひいては、工程(3)の重合をシード重合とできる量の第2シード粒子を工程(3)に確実に供することができる。第1重合性ビニルモノマーの配合割合が上記した上限以下であれば、第1シード粒子の粗大化を抑制し、第2シード粒子の粗大化を抑制し、ひいては、工程(3)で製造される粒子の粗大化を抑制できる。
【0045】
第1重合性ビニルモノマーと第2重合性ビニルモノマーと第3重合性ビニルモノマーとの合計に対する第1重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、9質量%以下、好ましくは、7質量%以下、より好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、3質量%以下、とりわけ好ましくは、1質量%以下である。第1重合性ビニルモノマーの配合割合が上記した上限以下であれば、第1シード粒子が粗大となることを抑制し、そうすると、第2シード粒子が粗大となることも抑制でき、ひいては、工程(3)で製造される粒子が粗大となることも抑制できる。
【0046】
第1重合性ビニルモノマーと第2重合性ビニルモノマーと第3重合性ビニルモノマーとの合計に対する第1重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは、0.25質量%以上、さらに好ましくは、0.5質量%以上である。第1重合性ビニルモノマーの配合割合が上記した下限以上であれば、工程(2)において、第2シード粒子を確実に生成でき、ひいては、工程(3)の重合をシード重合とできる量の第2シード粒子を工程(3)に確実に供することができる。
【0047】
1.1.7 第1重合性ビニルモノマーの重合
工程(1)では、例えば、重合開始剤の存在下、第1重合性ビニルモノマーを重合させる。
【0048】
重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、および、アゾ化合物が挙げられる。ラジカル重合開始剤として、好ましくは、過硫酸塩が挙げられる。過硫酸塩としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、および、過硫酸アンモニウムが挙げられる。過硫酸塩として、好ましくは、過硫酸カリウムが挙げられる。重合開始剤は、例えば、水溶性または油溶性であり、好ましくは、水溶性である。
【0049】
重合開始剤が水溶性であれば、重合開始剤は、水性媒体に配合されて、重合開始剤水溶液が調製される。つまり、重合開始剤水溶液は、水と、重合開始剤と、を含有する。重合開始剤水溶液における重合開始剤の配合割合は、例えば、0.1質量%以上、例えば、10質量%以下である。第1重合性ビニルモノマー100質量部に対する重合開始剤の配合割合は、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、より好ましくは、100質量部以上、であり、また、例えば、1,000質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
【0050】
工程(1)では、例えば、第1重合性ビニルモノマーを、加熱された水性媒体に配合して、第1重合性ビニルモノマーを水性媒体中に分散させる。水性媒体には、重合開始剤が配合されて、加熱された重合開始剤水溶液が調製される。具体的には、まず、水性媒体を加熱し、続いて、加熱された水性媒体に重合開始剤を配合する。水性媒体(重合開始剤水溶液)の加熱温度は、重合開始剤の熱分解が開始する温度およびその温度以上である。また、第1重合性ビニルモノマーの水性媒体中に分散させるには、水性媒体(重合開始剤水溶液)を予め攪拌し、続いて、第1重合性ビニルモノマーを水性媒体(重合開始剤水溶液)に投入する。この際、第1重合性ビニルモノマーの液滴が十分に小さくなるように、水性媒体(重合開始剤水溶液)に十分な剪断力を付与する。体積平均径は、体積基準の平均粒子径を意味する。液滴の体積平均径は、後述するシード粒子の体積平均径と同一である。この例示では、加熱された水性媒体(好ましくは、加熱された重合開始剤水溶液)に、第1重合性ビニルモノマーを一括添加する(一括添加法)。
【0051】
一方、重合開始剤水溶液を加熱しながら、第1重合性ビニルモノマーを連続的に添加することもできる(連続添加法)。
【0052】
また、まず、第1重合性ビニルモノマーを水性媒体(重合開始剤水溶液)中に分散させ、第1分散液を調製し、続いて、第1分散液を加熱することもできる。つまり、まず、第1分散液を調製し、次いで、第1分散液を加熱することもできる(事前水分散法)。
【0053】
さらに、第1重合性ビニルモノマーの一部を水性媒体(重合開始剤水溶液)中に分散させ、第1分散液を調製し、続いて、第1分散液を加熱し、その後、第1重合性ビニルモノマーの残部を第1分散液に投入することもできる(分割添加法)。
【0054】
一括添加法、連続添加法、事前水分散法および分割添加法のうち、一括添加法が好適である。
【0055】
工程(1)によって、第1シード粒子を生成する。第1シード粒子は、水性媒体中で分散している。つまり、水性媒体と、水性媒体に分散する第1シード粒子と、を含む第1シード分散液が調製される。
【0056】
1.1.8 第1シード粒子の物性
1.1.8.1 形状およびサイズ
第1シード粒子の形状としては、例えば、球形状が挙げられる。球形状は、真球形状および回転楕円形状を含む。
【0057】
第1シード粒子の体積平均径は、例えば、0.1nm以上、好ましくは、0.5nm以上であり、また、例えば、10nm以下、好ましくは、5nm以下である。第1シード粒子の体積平均径が上記した上限以下であれば、粒子の体積平均径を小さくできる。体積平均径が上記した下限以上であれば、微小の粒子核形成を促進できる。
【0058】
1.1.8.2 第1重合性ビニルモノマーのポリマーのδph
第1シード粒子は、δphを有してもよい。つまり、第1重合性ビニルモノマーのポリマーは、δphを有してもよい。好ましくは、第1重合性ビニルモノマーのポリマーは、δphを有する。δphは、下記式(2)で示される。
【0059】
δph=[δp
2+δh
2]1/2 (2)
δp=ハンセンの溶解度パラメータの極性項
δh=ハンセンの溶解度パラメータの水素結合項
【0060】
第1重合性ビニルモノマーのポリマーのδphは、例えば、6MPa1/2以上、好ましくは、7MPa1/2以上、より好ましくは、8MPa1/2以上、さらに好ましくは、9以上、とりわけ好ましくは、10MPa1/2以上であり、また、例えば、20MPa1/2以下である。第1重合性ビニルモノマーのポリマーのδphが上記した下限以上であれば、第1重合性ビニルモノマーのポリマーからなる第1粒子は、工程(2)において、第2重合性ビニルモノマーの重合のシードとして確実に奏功できる。
【0061】
第1重合性ビニルモノマーのポリマーのδphは、市販の計算ソフトを用いて求められる。第1重合性ビニルモノマーのポリマーのδphは、具体的には、後の実施例で記載される。
【0062】
1.1.9 第1シード粒子の割合(固形分濃度)
第1シード分散液における第1シード粒子の割合(固形分濃度)は、例えば、2.5質量%以下、好ましくは、2.0質量%以下、より好ましくは、1.5質量%以下、さらに好ましくは、1.0質量%以下、とりわけ好ましくは、0.8質量%以下、最も好ましくは、0.5質量%以下である。第1シード分散液における第1シード粒子の割合(固形分濃度)は、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.05質量%以上、より好ましくは、0.1質量%以上、さらに好ましくは、0.2質量%以上である。
【0063】
1.2 工程(2)
工程(2)では、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、第1シード粒子をシードとして、第2重合性ビニルモノマーを重合させて第2シード粒子を生成する。
【0064】
1.2.1 水性媒体
水性媒体は、上記した水性媒体が挙げられる。水性媒体は、工程(1)で生成された第1シード粒子を分散している。第1シード分散液における水性媒体(好ましくは、重合開始剤水溶液)がそのまま工程(2)で用いられる。
【0065】
工程(2)においても、上記した界面活性剤が存在しない。工程(2)において、第2重合性ビニルモノマーを化学的に乳化させない程度に、界面活性剤が第2シード分散液に意図せず混入することは許容される。その場合には、水性媒体100質量部に対する不純物としての界面活性剤の混入割合は、0.01質量部以下、さらには、0.001質量部以下である。
【0066】
1.2.2 第2重合性ビニルモノマー
第2重合性ビニルモノマーは、例えば、重合性の炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ分子内に有する。第2重合性ビニルモノマーは、好ましくは、炭素-炭素二重結合を1つ分子内に有する。第2重合性ビニルモノマーは、例えば、水性媒体に分散できる程度の疎水性を有する。具体的には、第2重合性ビニルモノマーは、第1重合性ビニルモノマーよりも高い疎水性を有する。例えば、第2重合性ビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマーとして含有し、芳香族ビニルモノマー、および/または、官能基含有ビニルモノマーを副モノマーとして含有する。
【0067】
1.2.2.1 (メタ)アクリル酸アルキルエステル
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、疎水性を有し、好ましくは、第1重合性ビニルモノマーよりも疎水性を有する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおいてエステルを形成するアルキル部分の炭素数は、例えば、1以上、好ましくは、2以上であり、また、例えば、18以下、好ましくは、10以下、より好ましくは、6以下、さらに好ましくは、4以下である。アルキル部分は、直鎖状または分岐状である。
【0068】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸iso-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸iso-ノニル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、および、(メタ)アクリル酸n-オクタデシルが挙げられる。これらは、単独使用または複数併用できる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、および、(メタ)アクリル酸n-ヘキシルが挙げられ、より好ましくは、アクリル酸エチル(EA)、および、アクリル酸n-ブチル(BA)が挙げられ、さらに好ましくは、EAが挙げられる。
【0069】
1.2.2.2 芳香族ビニルモノマー
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン(ST)、および、メチルスチレンが挙げられる。芳香族ビニルモノマーとして、好ましくは、STが挙げられる。
【0070】
1.2.2.3 官能基含有ビニルモノマー
官能基含有ビニルモノマーは、好ましくは、芳香族ビニルモノマーとともに、第2重合性ビニルモノマーに含有される。これによって、第2重合性ビニルモノマーは、適度な疎水性を有する。
【0071】
官能基含有ビニルモノマーとして、第1重合性ビニルモノマーで例示したモノマーも挙げられる。官能基含有ビニルモノマーとしては、好ましくは、カルボキシル基含有ビニルモノマーが挙げられる。カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸が挙げられる。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸(MAA)を含む。官能基含有モノマーとしては、好ましくは、MAAが挙げられる。
【0072】
第2重合性ビニルモノマーの好適な一例として、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニルモノマー、および、官能基含有ビニルモノマーの併用が挙げられ、さらには、EA、ST、および、MAAの併用が挙げられる。
【0073】
1.2.3 第2重合性ビニルモノマーの配合割合
水性媒体100質量部に対する第2重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、2質量部以下、好ましくは、1.5質量部以下、より好ましくは、1.0質量部以下であり、また、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上、より好ましくは、0.1質量部以上、さらに好ましくは、0.2質量部以上である。
【0074】
第1重合性ビニルモノマーと第2重合性ビニルモノマーと第3重合性ビニルモノマーとの合計に対する第2重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、3質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下である。第1重合性ビニルモノマーと第2重合性ビニルモノマーと第3重合性ビニルモノマーとの合計に対する第2重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは、0.3質量%以上、さらに好ましくは、0.5質量%以上である。第2重合性ビニルモノマーの配合割合が上記した上限以下であれば、第2シード粒子が粗大となることを抑制し、ひいては、工程(3)で製造される粒子が粗大となることを抑制できる。第2重合性ビニルモノマーの配合割合が上記した下限以上であれば、工程(3)において、第3重合性ビニルモノマーの重合をシード重合とするための第2シード粒子を確実に生成できる。
【0075】
第1重合性ビニルモノマー100質量部に対する第2重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上、より好ましくは、25質量部以上、さらに好ましくは、40質量部以上、とりわけ好ましくは、70質量部以上であり、また、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
【0076】
第2重合性ビニルモノマーにおける(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、例えば、50質量%以上、好ましくは、60質量%以上、より好ましくは、75質量%以上である。第2重合性ビニルモノマーにおける(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、例えば、100質量%以下、好ましくは、98質量%以下、より好ましくは、95質量%以下である。第2重合性ビニルモノマーの配合割合が上記した下限以上であれば、第2シード粒子の疎水性を高めて、微小の粒子核形成を促進できる。第2重合性ビニルモノマーの配合割合が上記した上限以下であれば、第2シード粒子の複数成分により分散安定性を高めることができる。
【0077】
第2重合性ビニルモノマーにおける芳香族ビニルモノマーの配合割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、8質量%以下である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル100質量部に対する芳香族ビニルモノマーの配合割合は、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、200質量部以下、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは、10質量部以下である。芳香族ビニルモノマーの配合割合が上記した下限以上であれば、第2シード粒子の疎水性を高めて、微小の粒子核形成を促進できる。芳香族ビニルモノマーの配合割合が上記した上限以下であれば、第2シード粒子の複数成分により分散安定性を高めることができる。
【0078】
第2重合性ビニルモノマーにおける官能基含有ビニルモノマーの配合割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、8質量%以下である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル100質量部に対する官能基含有ビニルモノマーの配合割合は、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、200質量部以下、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは、10質量部以下である。芳香族ビニルモノマー100質量部に対する官能基含有ビニルモノマーの配合割合は、例えば、10質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、1000質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。官能基含有ビニルモノマーの配合割合が上記した下限以上であれば、親水性および極性の向上により分散安定性を高めることができる。官能基含有ビニルモノマーの配合割合が上記した上限以下であれば、第2シード粒子の疎水性を高めて、微小の粒子核形成を促進できる。
【0079】
1.2.4 第2重合性ビニルモノマーの重合
工程(2)では、第1シード分散液に、第2重合性ビニルモノマーを配合する。
【0080】
例えば、加熱された状態の第1シード分散液に、第2重合性ビニルモノマーを配合する。この際、第2重合性ビニルモノマーを一括添加または連続添加できる。第2重合性ビニルモノマーの一括添加に代えて、複数回で分割添加もできる。第2重合性ビニルモノマーを連続添加する場合、添加時間は、例えば、1分間以上、12時間以下である。
【0081】
あるいは、まず、第1シード分散液を冷却し、その後、第2重合性ビニルモノマーを第1シード分散液に分散させて、第2分散液を調製し、その後、第2分散液を加熱する。具体的には、第1分散液の加熱と同じ温度に加熱する。好ましくは、加熱された状態の第1シード分散液に、第2重合性ビニルモノマーを配合する。
【0082】
第2重合性ビニルモノマーの配合として、好ましくは、一括添加である。
【0083】
必要により、重合開始剤を第1シード分散液または第2分散液に追加してもよい。好ましくは、重合開始剤を第1シード分散液または第2分散液に追加しない。
【0084】
第2重合性ビニルモノマーは、例えば、第1シード粒子に吸収される。
【0085】
上記によって、第1シード粒子をシードとして、第2重合性ビニルモノマーが重合する。これによって、第2シード粒子が製造される。第1シード粒子がわずかに成長して、第2シード粒子となる。例えば、第2シード粒子は、第1重合性ビニルモノマーのポリマー(第1シード粒子)からなるコアと、第2重合性ビニルモノマーのポリマーからなるシェルと、を含んでもよい。つまり、第2シード粒子は、コアシェル構造を有してもよい。
【0086】
第2シード粒子は、水性媒体中で分散する。つまり、水性媒体と、水性媒体に分散する第2シード粒子と、を含む第2シード分散液が調製される。
【0087】
1.2.5 第2シード粒子の物性
1.2.5.1 第2シード粒子の形状およびサイズ
第2シード粒子の形状は、例えば、第1シード粒子の形状と同一である。
【0088】
第2シード粒子の形状が球形状であれば、第2シード粒子の体積平均径は、例えば、0.2nm以上、好ましくは、1nm以上であり、また、例えば、80nm以下、好ましくは、20nm以下である。第1シード粒子の体積平均径に対する第2シード粒子の体積平均径の比は、例えば、1以上、好ましくは、2以上であり、また、例えば、100以下、好ましくは、40以下である。第2シード粒子の体積平均径および/または比が上記した上限以下であれば、第2シード粒子の体積平均径を小さくできる。第2シード粒子の体積平均径が上記した下限以上であれば、分散安定性を高めることができる。
【0089】
1.2.5.2 第2重合性ビニルモノマーのポリマーのδph
第2重合性ビニルモノマーのポリマーのδphは、例えば、第1シード粒子のδphより低い。具体的には、第2重合性ビニルモノマーのポリマーのδphは、例えば、6MPa1/2未満、好ましくは、5.8MPa1/2以下、より好ましくは、5.6MPa1/2以下であり、また、例えば、1MPa1/2以上、さらには、2MPa1/2以上である。第2重合性ビニルモノマーのポリマーのδphが第1シード粒子のδphより低ければ、工程(2)において、第2重合性ビニルモノマーのポリマーが第1シード粒子内に取り込まれて複合粒子となり、そのため、粒子の粗大化を抑制できる。
【0090】
第2重合性ビニルモノマーのポリマーのδphから第2重合性ビニルモノマーのポリマーのδphを差し引いた値(差)は、例えば、1MPa1/2以上、好ましくは、2MPa1/2以上、より好ましくは、3MPa1/2以上、さらに好ましくは、4MPa1/2以上、とりわけ好ましくは、5MPa1/2以上であり、また、例えば、10MPa1/2以下、さらには、9MPa1/2以下、8MPa1/2以下、7MPa1/2以下、6MPa1/2以下である。
【0091】
1.2.6 第2シード粒子の割合(固形分濃度)
第2シード分散液における第2シード粒子の割合(固形分濃度)は、例えば、5質量%以下、好ましくは、3質量%以下であり、また、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上である。
【0092】
1.3 工程(3)
工程(3)では、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、第2シード粒子をシードとして、第3重合性ビニルモノマーを重合させて、粒子を製造する。
【0093】
1.3.1 水性媒体
水性媒体は、上記した水性媒体が挙げられる。水性媒体は、工程(2)で生成された第2シード粒子を分散している。第2シード分散液における水性媒体(好ましくは、重合開始剤水溶液)がそのまま工程(3)で用いられる。
【0094】
工程(3)においても、上記した界面活性剤が存在しない。工程(3)において、第3重合性ビニルモノマーを化学的に乳化させない程度に、界面活性剤が第3シード分散液に意図せず混入することは許容される。その場合には、水性媒体100質量部に対する不純物としての界面活性剤の混入割合は、0.01質量部以下、さらには、0.001質量部以下である。
【0095】
1.3.2 第3重合性ビニルモノマー
第3重合性ビニルモノマーは、例えば、重合性の炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ分子内に有する。第3重合性ビニルモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および/または、芳香族ビニルモノマーを主モノマーとして含有する。第3重合性ビニルモノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族ビニルモノマーを含有する。また、第3重合性ビニルモノマーは、例えば、官能基含有ビニルモノマーを副モノマーとして含有する。
【0096】
1.3.3 第3重合性ビニルモノマーの配合割合
水性媒体100質量部に対する第3重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、
5質量部以上、好ましくは、15質量部以上であり、また、例えば、100質量部以下、好ましくは、50質量部以下である。
【0097】
第1重合性ビニルモノマーと第2重合性ビニルモノマーと第3重合性ビニルモノマーとの合計に対する第3重合性ビニルモノマーの配合割合は、例えば、80質量%以上、好ましくは、90質量%以上であり、また、例えば、99.5質量%以下、好ましくは、99質量%以下である。
【0098】
1.3.4 第3重合性ビニルモノマーの重合
工程(3)では、第2シード分散液に、第3重合性ビニルモノマーを配合する。
【0099】
例えば、加熱された状態の第2シード分散液に、第3重合性ビニルモノマーを配合する。この際、第3重合性ビニルモノマーを一括添加または連続添加できる。第3重合性ビニルモノマーの一括添加に代えて、複数回で分割添加もできる。第3重合性ビニルモノマーを連続添加する場合、添加時間は、例えば、1分間以上、12時間以下である。
【0100】
あるいは、まず、第2シード分散液を冷却し、その後、第3重合性ビニルモノマーを第2シード分散液に分散させて、第3分散液を調製し、その後、第3分散液を加熱する。具体的には、第3分散液の加熱と同じ温度に加熱する。好ましくは、加熱された状態の第2シード分散液に、第3重合性ビニルモノマーを配合する。
【0101】
第3重合性ビニルモノマーの配合として、好ましくは、連続添加である。
【0102】
必要により、重合開始剤を第2シード分散液または第3分散液に追加してもよい。好ましくは、重合開始剤を第2シード分散液または第3分散液に追加しない。
【0103】
第3重合性ビニルモノマーは、例えば、第2シード粒子に吸収される。
【0104】
これによって、シード粒子をシードとして、第3重合性ビニルモノマーが重合する。これによって、粒子が製造される。シード粒子が成長して、粒子となる。
【0105】
粒子は、水性媒体中で分散する。つまり、水性媒体と、水性媒体に分散する粒子と、を含む粒子分散液が製造される。
【0106】
粒子の形状としては、例えば、球形状が挙げられる。球形状は、真球形状および回転楕円形状を含む。
【0107】
粒子の形状が球形状であれば、粒子の体積平均径は、例えば、125nm以下、好ましくは、120nm以下、より好ましくは、115nm以下、さらに好ましくは、110nm以下、とりわけ好ましくは、105nm以下であり、さらには、100nm以下、さらには、95nm以下が好適である。粒子の体積平均径が上記した上限以下であれば、粒子を含む塗料をノズルで吐出するときに、ノズルの目詰まりを抑制できる。粒子の体積平均径は、例えば、1nm以上、さらには、10nm以上、20nm以上、30nm以上である。粒子の体積平均径の求め方は、後の実施例で記載される。
【0108】
その後、必要により、粒子分散液における水性媒体を除去することもできる。
【0109】
2. 粒子の用途
粒子は、例えば、塗料に含有される。具体的には、粒子分散液を塗料に配合する。塗料における粒子の配合割合は、例えば、1質量%以上、50質量%以下である。
【0110】
3. 作用効果
この粒子の製造方法では、第1重合性ビニルモノマーは、所定の親水性を有し、工程(1)において、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、上記した親水性を有する特定の第1重合性ビニルモノマーを重合させ、さらに、工程(2)において、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、第1シード粒子をシードとして、第2重合性ビニルモノマーを重合させて第2シード粒子を生成し、工程(3)において、水性媒体中、界面活性剤の不存在下で、第2シード粒子をシードとして、第3重合性ビニルモノマーを重合させる。そのため、粒子のサイズを小さくできる。
【0111】
そうすると、この粒子を含有する塗料から調製される塗膜は、表面を均一にでき、平滑にできる。塗膜は、塗料を塗布および乾燥して、形成される。
【実施例0112】
以下に、実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0113】
まず、実施例および比較例で使用する原料を説明する。
【0114】
HEMA メタクリル酸2-ヒドロキシエチル[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル]
HEA アクリル酸2-ヒドロキシエチル[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル]
2HPMA メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル]
PE-90 ポリオキシエチレン(2モル)モノメタクリレート[ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート]
PE-200 ポリオキシエチレン(4.5モル)モノメタクリレート[ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート]
PE-350 ポリオキシエチレン(8モル)モノメタクリレート[ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)(メタ)アクリレート]
50PEP-300 ポリオキシエチレン(3.5モル)ポリオキシプロピレン(2.5モル)モノメタクリレート[ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート]
MS-2N 2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム[2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸化合物の塩]
ATBSNa アクリルアミドtertブチルスルホン酸ナトリウム[2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸化合物の塩]
ATBS アクリルアミドtertブチルスルホン酸[2-(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸化合物]
【0115】
2HBMA メタクリル酸2-ヒドロキシブチル
4HBA アクリル酸4-ヒドロキシブチル
HEAAM N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド
PP-1000 ポリオキシプロピレン(4~6モル)モノメタクリレート
55PET-800 ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシテトラメチレン(5モル)モノメタクリレート
EOEOEA エトキシジエチレングリコールアクリレート
SMAS メタリルスルホン酸ナトリウム
MAA メタクリル酸(官能基含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー)
AM アクリルアミド
【0116】
EA アクリル酸エチル((メタ)アクリル酸アルキルエステル)
MMA メタクリル酸メチル((メタ)アクリル酸アルキルエステル)
BA アクリル酸n-ブチル((メタ)アクリル酸アルキルエステル)
ST スチレン(芳香族ビニルモノマー)
【0117】
実施例1
工程(1):水を80℃に加熱して攪拌した。続いて、重合開始剤として過硫酸カリウム0.50質量部を水100質量部に対して添加して、80℃の重合開始剤水溶液を調製した。重合開始剤水溶液における過硫酸カリウムの濃度は、0.50質量%であった。
【0118】
上記した重合開始剤水溶液に第1重合性ビニルモノマーとしてのHEMAを一括添加配合して、攪拌した。
【0119】
水100質量部に対する第1重合性ビニルモノマーの配合割合は、0.25質量部であった。第1重合性ビニルモノマー、第2重合性ビニルモノマーおよび第3重合性ビニルモノマーの合計に対する第1重合性ビニルモノマーの配合割合は、0.50質量%であった。第1重合性ビニルモノマー100質量部に対する重合開始剤の配合割合は、200質量部であった。
【0120】
界面活性剤の不存在下で、第1重合性ビニルモノマーが重合して、第1シード粒子を生成した。重合時間は、0.17時間であった。第1シード粒子は、第1シード分散液中で分散していた。
【0121】
工程(2):続いて、80℃の第1シード分散液に対して、第2重合性ビニルモノマーを一括添加して、攪拌した。
【0122】
第2分散液の水100質量部に対する第2重合性ビニルモノマーの配合割合は、0.25質量部であった。第2重合性ビニルモノマーは、EA、MMA、および、STを含有しており、第2重合性ビニルモノマーにおけるそれぞれの割合は、90質量%、5質量%、5質量%、および、5質量%であった。上記割合は、表1にも記載される。
【0123】
界面活性剤の存在下で、第1シード粒子をシードとして、第2重合性ビニルモノマーが重合した。重合時間は、0.17時間であった。これによって、第2シード粒子を製造した。
【0124】
工程(3):続いて、80℃の第2シード分散液に対して、第3重合性ビニルモノマーを連続添加して、攪拌した。添加時間は、4時間であった。
【0125】
第3分散液の水100質量部に対する第3重合性ビニルモノマーの配合割合は、33.3質量部であった。第3重合性ビニルモノマーは、MMA、BA、ST、および、MAAを含有しており、第3重合性ビニルモノマーにおけるそれぞれの割合は、79質量%、11質量%、8質量%、および、2質量%であった。上記割合は、表2にも記載される。
【0126】
第2シード粒子をシードとして、第3重合性ビニルモノマーが重合した。添加終了後の重合時間は、1時間であった。これによって、粒子を製造した。
【0127】
実施例2から実施例21、および、比較例2から比較例10
実施例1と同様に処理して、粒子を製造した。但し、第1重合性ビニルモノマー、第2重合性ビニルモノマーおよび第3重合性ビニルモノマーの処方を、表2および表3に記載の通りに、変更した。
【0128】
比較例1
実施例1と同様に処理して、粒子を製造した。但し、工程(1)を実施しなかった。具体的には、80℃の重合開始剤水溶液に、第2重合性ビニルモノマーを一括添加して、攪拌した。
【0129】
比較例11
実施例1と同様に処理して、粒子を製造した。但し、工程(2)を実施しなかった。
【0130】
[評価]
各実施例および各比較例について、以下の事項を評価した。その結果を表3から表5に記載する。
【0131】
<粒子の体積平均径>
粒子の体積平均径を、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて、測定した。粒度分布測定装置として、Nanotrac WAVE II(マイクロトラック・ベル社製)を用いた。粒子の体積平均径を以下の基準に適用して、粒子を評価した。
【0132】
○ 粒子の体積平均径が125nm以下であった。
× 粒子の体積平均径が125nm超過であった。
【0133】
<第1重合性ビニルモノマーおよび第2重合性ビニルモノマーポリマーのδph>
第1重合性ビニルモノマーのポリマーのδphと、第2重合性ビニルモノマーのポリマーのδphとを、ソフトウェアHSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)バージョン5.3.06を用いて、計算した。コポリマーの場合は、各モノマーのホモポリマーのSP値に、全ホモポリマーの総体積数に対する各モノマーのホモポリマーの体積比をかけて、SP値を加重平均した値を計算した。併せて、第2重合性ビニルモノマーのポリマーのδphから第2重合性ビニルモノマーのポリマーのδphを差し引いた値(差)も、求めた。
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】