IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電動式作業機械 図1
  • 特開-電動式作業機械 図2
  • 特開-電動式作業機械 図3
  • 特開-電動式作業機械 図4
  • 特開-電動式作業機械 図5
  • 特開-電動式作業機械 図6
  • 特開-電動式作業機械 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157474
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電動式作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20241030BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20241030BHJP
   F01P 5/04 20060101ALI20241030BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20241030BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
E02F9/00 M
F01P11/10 K
F01P5/04 A
F01P5/06 510
B60K11/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071886
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】迫 利浩
(72)【発明者】
【氏名】平原 篤
(72)【発明者】
【氏名】谷口 了一
(72)【発明者】
【氏名】中村 啓宏
【テーマコード(参考)】
2D015
3D038
【Fターム(参考)】
2D015CA02
3D038AA05
3D038AA09
3D038AB09
3D038AC03
3D038AC14
3D038AC22
(57)【要約】
【課題】冷却ファンが生成する空気流で電動モータを効率よく冷却することができる電動式作業機械を提供する。
【解決手段】電動式作業機械(100)は、ファン回転軸(31A)の回りに回転して空気流を生成する第1冷却ファン(31)と、第1冷却ファン(31)よりも前記空気流の下流に配置される電動モータ(25)であってファン回転軸(31A)よりも下方に位置するモータ回転軸(25A)の回りに回転する電動モータ(25)と、電動モータ(25)よりも上方に配置される案内面であって第1冷却ファン(31)により生成されて電動モータ25よりも上方を流れる空気流を電動モータ(25)に案内する案内面(41S)を有する案内部材(40)と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン回転軸の回りに回転して空気流を生成する第1冷却ファンと、
前記第1冷却ファンよりも前記空気流の下流に配置される電動モータであって前記ファン回転軸よりも下方に位置するモータ回転軸の回りに回転する電動モータと、
前記電動モータよりも上方に配置される案内面であって前記第1冷却ファンにより生成されて前記電動モータよりも上方を流れる空気流を前記電動モータに案内する案内面を有する案内部材と、を備える電動式作業機械。
【請求項2】
前記電動モータよりも発熱が少ない電気機器であって前記電動モータよりも上方に配置される少発熱機器をさらに備え、
前記案内部材は、前記電動モータが配置される第1空間と、前記少発熱機器が配置される第2空間と、を仕切るように配置される、請求項1に記載の電動式作業機械。
【請求項3】
前記第2空間において空気流を生成して前記少発熱機器の周囲に供給するための第2冷却ファンをさらに備える、請求項2に記載の電動式作業機械。
【請求項4】
前記第1空間及び前記第2空間を含む機械室を囲む外装カバーをさらに備え、
前記外装カバーは、前記外装カバーの外の空気が前記第1冷却ファンの回転によって前記第1空間に流入する第1流入口と、前記外装カバーの外の空気が前記第2冷却ファンの回転によって前記第2空間に流入する第2流入口と、を有する、請求項3に記載の電動式作業機械。
【請求項5】
前記案内部材は、ドレン口を有する、請求項4に記載の電動式作業機械。
【請求項6】
前記第1空間及び前記第2空間を含む機械室を囲む外装カバーをさらに備え、
前記外装カバーは、前記外装カバーの外の空気が前記第1冷却ファンの回転によって前記第1空間に流入する第1流入口を有し、
前記案内部材は、前記第1空間に流入した前記空気の一部が前記第2空間に分流する分流口を有する、請求項2に記載の電動式作業機械。
【請求項7】
前記第1流入口は、前記外装カバーの後部に形成され、
前記外装カバーは、前記第1空間から前記外装カバーの外部に空気を排出する排出口をさらに有し、当該排出口は、前記外装カバーの前部に形成されている、請求項4に記載の電動式作業機械。
【請求項8】
前記第1空間及び前記第2空間を含む機械室を囲む外装カバーをさらに備え、
前記案内部材は、前記外装カバーの天板から下方に凹む凹形状を有し、前記天板とともに前記第2空間を画定する、請求項2に記載の電動式作業機械。
【請求項9】
前記電動モータにより駆動され、前記電動モータよりも前記空気流の下流に配置される油圧ポンプをさらに備える、請求項1に記載の電動式作業機械。
【請求項10】
前記第1冷却ファンよりも前記空気流の下流に配置され、作動油を貯留する作動油タンクをさらに備え、
前記作動油タンクは、前記電動モータの側方において前記空気流の下流に向かって延びる側面を有する、請求項1に記載の電動式作業機械。
【請求項11】
前記第1冷却ファンよりも前記空気流の下流に配置され、作動油を貯留する作動油タンクをさらに備え、
前記作動油タンクは、前記電動モータの側方に配置され、前記電動モータよりも上下方向の寸法が大きく、
前記ファン回転軸の方向に見たときに、前記案内部材は、前記作動油タンクに対して前記側方とは反対の方向にずれた位置で、かつ、前記電動モータの真上の位置に配置される、請求項1に記載の電動式作業機械。
【請求項12】
前記ファン回転軸の方向に見たときに、前記第1冷却ファンは、前記電動モータの少なくとも一部及び前記作動油タンクの少なくとも一部と重なるような大きさを有する、請求項11に記載の電動式作業機械。
【請求項13】
前記案内面は、下流側部分が上流側部分よりも下方に位置するように構成される、請求項1~12の何れか1項に記載の電動式作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動モータとこの電動モータを冷却する冷却ファンとを備える電動式作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業機械は、エンジンなどの駆動源と、この駆動源により駆動される油圧モータと、を備え、掘削作業などの種々の作業を行う。作業機械による作業中には、駆動源としてのエンジンの温度が上昇するので、作業機械は、エンジンを冷却するためのラジエータなどの熱交換器を備える。
【0003】
特許文献1-5は、エンジンに代えて電動モータを駆動源として備える電動式作業機械を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-266272号公報
【特許文献2】特許第7182748号公報
【特許文献3】特開2022-77853号公報
【特許文献4】国際公開第2021/100663号
【特許文献5】特開2020-45709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動式作業機械による作業中においても、駆動源としての電動モータが高温になりやすいため、電動モータを効率よく冷却することが望まれる。
【0006】
本開示は、冷却ファンが生成する空気流で電動モータを効率よく冷却することができる電動式作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
提供される電動式作業機械は、ファン回転軸の回りに回転して空気流を生成する第1冷却ファンと、前記第1冷却ファンよりも前記空気流の下流に配置される電動モータであって前記ファン回転軸よりも下方に位置するモータ回転軸の回りに回転する電動モータと、前記電動モータよりも上方に配置される案内面であって前記第1冷却ファンにより生成されて前記電動モータよりも上方を流れる空気流を前記電動モータに案内する案内面を有する案内部材と、を備える。
【0008】
この電動式作業機械では、重量物である電動モータはモータ回転軸がファン回転軸よりも下方に位置するように低い位置に配置され、これにより、電動モータを簡素な支持構造で安定して支持することができ、その一方で、ファン回転軸がモータ回転軸よりも上方に位置することで、第1冷却ファンの径を大きくして風量を確保することが可能になり、しかも、上記のようにモータ回転軸の高さ位置がファン回転軸の高さ位置に対して下方にずれていても、電動モータよりも上方に配置される案内面が、第1冷却ファンにより生成されて電動モータよりも上方を流れる空気流を電動モータに案内することができる。従って、この電動式作業機械では、第1冷却ファンが生成する空気流で電動モータを効率よく冷却することができる。
【0009】
前記電動式作業機械は、前記電動モータよりも発熱が少ない電気機器であって前記電動モータよりも上方に配置される少発熱機器をさらに備え、前記案内部材は、前記電動モータが配置される第1空間と、前記少発熱機器が配置される第2空間と、を仕切るように配置されることが好ましい。この構成では、電動モータに前記空気流を案内する案内面を有する案内部材を用いて前記第1空間と前記第2空間とを仕切ることができる。すなわち、前記案内部材は、電動モータに前記空気流を案内する機能と、電動モータに比べて発熱しにくい少発熱機器と電動モータとを互いに仕切られる別々の空間に配置する機能と、を併せ持つ。従って、この構成では、部品点数の増加を抑制しながら、第2空間の空気の温度が電動モータの温度の影響を受けにくくして電動モータの発熱に起因する少発熱機器の温度上昇を抑制できる。
【0010】
前記電動式作業機械は、前記第2空間において空気流を生成して前記少発熱機器の周囲に供給するための第2冷却ファンをさらに備えることが好ましい。この構成では、電動モータの発熱特性に応じて第1冷却ファンの仕様と電動モータを冷却するための条件とを設定し、少発熱機器の発熱特性に応じて第2冷却ファンの仕様と少発熱機器を冷却するための条件とを設定することができる。これにより、互いに発熱特性の異なる電動モータと少発熱機器をそれぞれに適した条件で効率よく冷却することができる。
【0011】
前記電動式作業機械は、前記第1空間及び前記第2空間を含む機械室を囲む外装カバーをさらに備え、前記外装カバーは、前記外装カバーの外の空気が前記第1冷却ファンの回転によって前記第1空間に流入する第1流入口と、前記外装カバーの外の空気が前記第2冷却ファンの回転によって前記第2空間に流入する第2流入口と、を有することが好ましい。この構成では、外装カバーは、第1空間に外気を流入させる第1流入口とは別に、第2空間に外気を流入させる第2流入口を有するので、第2空間の空気の温度が電動モータの温度の影響をさらに受けにくくなる。これにより、電動モータの発熱に起因して少発熱機器の温度が上昇することをさらに抑制できる。
【0012】
前記案内部材は、ドレン口を有することが好ましい。この構成では、第2流入口を通じて第2空間に雨水などの水が浸入した場合であっても、浸入した水は、ドレン口を通じて第2空間から排出される。これにより、少電動機器に対して水の影響が及ぶことを抑制できる。
【0013】
前記電動式作業機械は、前記第1空間及び前記第2空間を含む機械室を囲む外装カバーをさらに備え、前記外装カバーは、前記外装カバーの外の空気が前記第1冷却ファンの回転によって前記第1空間に流入する第1流入口を有し、前記案内部材は、前記第1空間に流入した前記空気の一部が前記第2空間に分流する分流口を有していてもよい。この構成では、第1空間及び第2空間に空気を流入させるための流入口を一つにまとめることができ、これにより、外装カバーが第1流入口と第2流入口を有する場合に比べて、ファン稼働時に生じる風切り音などの音が流入口から外に漏れる度合いを低減できる。
【0014】
前記電動式作業機械は、前記第1空間及び前記第2空間を含む機械室を囲む外装カバーをさらに備え、前記案内部材は、前記外装カバーの天板から下方に凹む凹形状を有し、前記天板とともに前記第2空間を画定することが好ましい。この場合、前記案内面は、前記凹形状の前記案内部材の外側面の一部によって構成されることがより好ましい。すなわち、前記案内面は、前記外装カバーの天板から前記案内部材が下方へ出っ張るように配置されることで形成され、これにより、第1冷却ファンが生成する空気流が案内面に沿って下方に向かって電動モータに供給される。
【0015】
前記第1流入口は、前記外装カバーの後部に形成され、前記外装カバーは、前記第1空間から前記外装カバーの外部に空気を排出する排出口をさらに有し、当該排出口は、前記外装カバーの前部に形成されていることが好ましい。この構成では、第1冷却ファンにより生成される空気流が、外装カバーの後部にある第1流入口から外装カバーの前部にある排出口まで直線的に流れるので、空気が流れるときの抵抗が大きくなることを抑制でき、風量の低下を抑制できる。
【0016】
前記電動式作業機械は、前記電動モータにより駆動され、前記電動モータよりも前記空気流の下流に配置される油圧ポンプをさらに備えることが好ましい。この構成では、第1冷却ファンにより生成される空気流は、油圧ポンプよりも前に電動モータに到達するので、油圧ポンプよりも電動モータを優先して冷却することができる。
【0017】
前記電動式作業機械は、前記第1冷却ファンよりも前記空気流の下流に配置され、作動油を貯留する作動油タンクをさらに備え、前記作動油タンクは、前記電動モータの側方において前記空気流の下流に向かって延びる側面を有することが好ましい。この構成では、第1冷却ファンにより生成されて前記案内面によって電動モータに案内される空気流が作動油タンクの側面に沿って下流に流れることができるので、空気の流れがより円滑になる。
【0018】
前記電動式作業機械は、前記第1冷却ファンよりも前記空気流の下流に配置され、作動油を貯留する作動油タンクをさらに備え、前記作動油タンクは、前記電動モータの側方に配置され、前記電動モータよりも上下方向の寸法が大きく、前記ファン回転軸の方向に見たときに、前記案内部材は、前記作動油タンクに対して前記側方とは反対の方向にずれた位置で、かつ、前記電動モータの真上の位置に配置されることが好ましい。この構成では、作動油タンクの上下方向の寸法と電動モータの上下方向の寸法の差を利用して案内部材を電動モータの真上に配置することができるので、機械室内のスペースを有効利用することができる。
【0019】
前記ファン回転軸の方向に見たときに、前記第1冷却ファンは、前記電動モータの少なくとも一部及び前記作動油タンクの少なくとも一部と重なるような大きさを有することが好ましい。この構成では、前記ファン回転軸の方向に見たときに互いに側方に並ぶ電動モータと作動油タンクに対して、第1冷却ファンは、空気流を効率よく供給するすることができる。
【0020】
前記案内面は、下流側部分が上流側部分よりも下方に位置するように構成されることが好ましい。また、前記案内面は、前記電動モータに近づくにつれて高さ位置が低くなるように水平面に対して傾斜する傾斜面であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、冷却ファンが生成する空気流で電動モータを効率よく冷却することができる電動式作業機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の実施形態に係る電動式作業機械を示す側面図である。
図2】前記電動式作業機械を示す背面図である。
図3】前記電動式作業機械の旋回フレームに支持される種々の機器の配置を示す平面図である。
図4】前記電動式作業機械の上部旋回体における機械室の内部を示す側面図である。
図5】前記電動式作業機械の上部旋回体における機械室の内部を示す背面図である。
図6】前記実施形態の変形例1に係る電動式作業機械の旋回フレームに支持される種々の機器の配置を示す平面図である。
図7】前記実施形態の変形例2に係る電動式作業機械の上部旋回体における機械室の内部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電動式作業機械100を示す側面図であり、図2は、電動式作業機械100を示す背面図である。
【0024】
電動式作業機械100は、走行装置を含む下部走行体1と、上下に延びる旋回軸Zの回りに下部走行体1に対して旋回可能となるように下部走行体1に支持される上部旋回体2と、上部旋回体2に支持される作業装置3と、を備える。電動式作業機械100は、油圧ポンプを駆動する駆動源として電動モータを備える作業機械である。
【0025】
上部旋回体2は、旋回フレーム12と、旋回フレーム12に支持されるキャブ13と、旋回フレーム12に支持される外装カバー14と、を有する。旋回フレーム12は、下部走行体1に旋回可能に支持される部材であり、キャブ13及び外装カバー14を支持することが可能な大きさの上面を有する。旋回フレーム12は、ブーム4の基端部が回動可能に支持されるブーム支持部12A(図3参照)を有する。キャブ13は、例えば、旋回フレーム12の前部に配置されている。
【0026】
図3は、電動式作業機械100の旋回フレーム12に支持される種々の機器の配置を示す平面図であり、図4は、上部旋回体2における機械室15の内部を示す側面図であり、図5は、機械室15の内部を示す背面図である。
【0027】
外装カバー14は、機械室15を画定する。言い換えると、機械室15は、外装カバー14により囲まれる領域である。機械室15には、電動式作業機械100を動作させるための種々の機器が配置される。
【0028】
外装カバー14は、例えば、旋回フレーム12の後部及び右部を含む領域に配置されている。図3図4及び図5において具体例として示す外装カバー14は、機械室15の上に配置される天板14Aと、機械室15の前に配置される前板14Bと、機械室15の後に配置される後板14Cと、機械室15の右に配置される右板14Dと、機械室15の左に配置される左板14Eと、を含む。前板14B、後板14C、右板14D及び左板14Eは、旋回フレーム12から上方に起立するように配置され、天板14Aは、前板14B、後板14C、右板14D及び左板14Eの上縁をつなぐように配置されている。
【0029】
作業装置3は、上部旋回体2に対して起伏可能に取り付けられるブーム4と、ブーム4に対して回動可能に取り付けられるアーム5と、アーム5に対して回動可能に取り付けられる先端アタッチメント6と、を含む。本実施形態における先端アタッチメント6はバケットであるが、先端アタッチメントは、例えば、グラップル、フォーク、破砕機などの他の先端アタッチメントであってもよい。
【0030】
電動式作業機械100は、複数のアクチュエータと、作動油タンク21と、油圧ポンプ22と、コントロールバルブユニット23と、熱交換器24と、電動モータ25と、バッテリ26と、パワーコントロールユニット27(PCU)と、DC-DCコンバータ28と、車載充電器29と、第1冷却ファン31と、第2冷却ファン32と、を備える。
【0031】
複数のアクチュエータのそれぞれは、油圧ポンプ22から吐出される作動油の供給を受けて作動する。複数のアクチュエータは、ブーム4を起伏させるためのブームシリンダ7と、アーム5を回動させるためのアームシリンダ8と、先端アタッチメント6を回動させるための先端アタッチメントシリンダ9と、上部旋回体2を下部走行体1に対して旋回させるための旋回モータ11と、下部走行体1の走行装置に含まれる図略の走行モータと、を含む。
【0032】
作動油タンク21は、作動油を貯留する。油圧ポンプ22は、作動油を吐出する。コントロールバルブユニット23は、油圧ポンプ22と複数のアクチュエータとの間に介在し、複数のアクチュエータのそれぞれに供給する作動油の方向及び流量を調節する。
【0033】
熱交換器24は、電動モータ25、バッテリ26及びDC-DCコンバータ28を冷却するための冷却水などのクーラントを冷却するラジエータ24Aと、作動油を冷却するオイルクーラ24Bと、を含む。
【0034】
電動モータ25は、油圧ポンプ22を駆動する駆動源である。電動モータ25は、バッテリ26から電力の供給を受けて作動する。バッテリ26は、電動モータ25のための動力源であり、例えばリチウムイオンバッテリなどの二次電池である。パワーコントロールユニット27は、バッテリ26からの直流電流を交流電流に変換して電動モータ25に入力することで電動モータ25の出力を制御する。DC-DCコンバータ28は、バッテリ26から出力される高電圧を降圧して後述する第1ファン電動機33及び図略の第2ファン電動機に供給する。車載充電器29は、給電ケーブルを介して接続される外部電源から供給される電力をバッテリ26に供給することでバッテリ26の充電を行う。
【0035】
第1冷却ファン31は、第1ファン電動機33の回転エネルギーによって回転する羽根車である。第1ファン電動機33は、例えばバッテリ26から電力の供給を受けて作動する。同様に、第2冷却ファン32は、図略の第2ファン電動機の回転エネルギーによって回転する羽根車である。当該第2ファン電動機は、例えばバッテリ26から電力の供給を受けて作動する。
【0036】
以下、本実施形態に係る電動式作業機械100の特徴について具体的に説明する。
【0037】
第1冷却ファン31は、ファン回転軸31Aの回りに回転して空気流を生成する。言い換えると、第1冷却ファン31は、ファン回転軸31Aを中心に回転して空気流を生成する。熱交換器24は、第1冷却ファン31よりも前記空気流の上流において第1冷却ファン31と対面するように配置され、前記空気流により冷却される。電動モータ25は、第1冷却ファン31よりも前記空気流の下流に配置され、前記空気流により冷却される。電動モータ25は、モータ回転軸25Aの回りに回転する。言い換えると、電動モータ25は、モータ回転軸25Aを中心に回転する。モータ回転軸25Aは、ファン回転軸31Aよりも下方に位置する。コントロールバルブユニット23は、電動モータ25よりも前記空気流の下流に配置され、前記空気流により冷却される。作動油は、オイルクーラ24Bにより冷却される。また、コントロールバルブユニット23が冷却されることは、作動油の温度上昇を抑制することにもつながる。
【0038】
本実施形態に係る電動式作業機械100は、電動モータ25よりも上方に配置される案内面であって第1冷却ファン31により生成されて電動モータ25よりも上方を流れる空気流を電動モータ25に案内する第1案内面41Sを有する案内部材40をさらに備える。第1案内面41Sは、下流側高さが上流側高さよりも低い。第1案内面41Sは、下流側部分が上流側部分よりも下方に位置するように構成される。また、第1案内面41Sは、電動モータ25に近づくにつれて高さ位置が低くなるように水平面に対して傾斜する傾斜面であることがより好ましい。第1案内面41Sは、第1冷却ファン31により生成される空気流のうち、電動モータ25よりも上方を流れる空気流を斜め下方に案内する。第1案内面41Sは、平面視において、第1冷却ファン31と電動モータ25との間に位置する面である。第1案内面41Sは、本開示における案内面の一例である。
【0039】
この電動式作業機械100では、重量物である電動モータ25はモータ回転軸25Aがファン回転軸31Aよりも下方に位置するように低い位置に配置され、これにより、電動モータ25を簡素な支持構造91で安定して支持することができ、その一方で、ファン回転軸31Aがモータ回転軸25Aよりも上方に位置することで、第1冷却ファン31の径を大きくして風量を確保することが可能になり、しかも、上記のようにモータ回転軸25Aの高さ位置がファン回転軸31Aの高さ位置に対して下方にずれていても、下流側高さが上流側高さよりも低い第1案内面41Sは、第1冷却ファン31により生成される空気流を電動モータ25に効率よく案内することができる。従って、この電動式作業機械100では、第1冷却ファン31が生成する空気流で電動モータ25を効率よく冷却することができる。
【0040】
図3に示す本実施形態では、第1冷却ファン31は、ファン回転軸31Aが前後に向くような姿勢で配置され、電動モータ25は、モータ回転軸25Aが前後に向くような姿勢で配置されている。
【0041】
図4に示す本実施形態では、第1案内面41Sの下端41Eの高さは、第1案内面41Sにおける下端41Eよりも上流側部分(図4では左側部分)の高さよりも低い。より具体的には、第1案内面41Sは、電動モータ25に近づくにつれて高さ位置が低くなるように水平面に対して傾斜する傾斜面であるので、前記空気流を電動モータ25に円滑に案内することができる。
【0042】
本実施形態に係る電動式作業機械100は、電動モータ25よりも発熱が少ない電気機器であって電動モータ25よりも上方に配置される少発熱機器を備える。パワーコントロールユニット27、DC-DCコンバータ28、及び車載充電器29のそれぞれは、少発熱機器の一例である。
【0043】
案内部材40は、電動モータ25が配置される第1空間S1と、パワーコントロールユニット27が配置される第2空間S2と、を仕切るように配置される。従って、電動モータ25に前記空気流を案内する第1案内面41Sを有する案内部材40を用いて第1空間S1と第2空間S2とを仕切ることができる。すなわち、案内部材40は、電動モータ25に前記空気流を案内する機能と、電動モータ25に比べて発熱しにくいパワーコントロールユニット27と電動モータ25とを互いに仕切られる別々の空間に配置する機能と、を併せ持つ。これにより、部品点数の増加を抑制しながら、第2空間S2の空気の温度が電動モータ25の温度の影響を受けにくくして電動モータ25の発熱に起因するパワーコントロールユニット27の温度上昇を抑制できる。
【0044】
本実施形態では、第1空間S1は、旋回フレーム12の一部と、外装カバー14の一部と、仕切り部材16と、を含む複数の壁により画定されている。より具体的には、第1空間S1は、旋回フレーム12の右側部分と、外装カバー14の後板14Cの一部と、外装カバー14の右板14Dと、外装カバー14の前板14Bと、仕切り部材16と、を含む複数の壁により画定されている。仕切り部材16は、第1空間S1と、バッテリ26が配置される空間と、を仕切るように配置されている。仕切り部材16は、旋回フレーム12から上方に起立するように配置されている。
【0045】
図4及び図5に示す本実施形態では、案内部材40は、電動モータ25の上方に配置されている。案内部材40は、上流板41と、中間板42と、下流板43と、側板44と、を含む。上流板41の一部又は全部は、電動モータ25よりも前記空気流の上流に配置されている。本実施形態では、上流板41は、中間板42の後方に位置し、下流板43は、中間板42の前方に位置し、中間板42は、上流板41の下縁と下流板43の下縁とをつなぐように配置されている。側板44は、上流板41の側縁(図5では左縁)と下流板43の側縁(図5では左縁)とをつなぐように配置されている。
【0046】
案内部材40は、外装カバー14の天板14Aから下方に凹む凹形状を有し、天板14Aとともに第2空間S2を画定する。本実施形態では、第1案内面41Sは、前記凹形状の案内部材40の外側面の一部によって構成され、具体的には、上流板41の外側面の一部又は全部によって構成される。すなわち、第1案内面41Sは、外装カバー14の天板14Aから案内部材40が下方へ出っ張るように配置されることで形成され、これにより、第1冷却ファン31が生成する空気流が第1案内面41Sに沿って下方に向かって電動モータ25に供給される。
【0047】
図4に示すように、上流板41は、外装カバー14の天板14Aから下方に向かうにつれて前方に位置するように配置された板状の部材であり、下流板43は、外装カバー14の天板14Aから下方に向かうにつれて後方に位置するように配置された板状の部材である。図5に示すように、側板44は、外装カバー14の天板14Aから下方に延びる板状の部材である。中間板42は、水平又は略水平に延びる板状の部材である。
【0048】
中間板42は、第1案内面41Sの下縁から前記空気流の下流に向かって延びる第2案内面42Sを有する。第2案内面42Sは、中間板42の下面であり、電動モータ25の上方(具体的には例えば電動モータ25の真上)に配置されている。これにより、図3及び図4において第1空間S1内に描かれた複数の矢印で示すように、第1冷却ファン31が生成する空気流は、第1案内面41Sに沿って電動モータ25に案内され、さらに第2案内面42Sに沿って前記空気流の下流に位置するコントロールバルブユニット23に案内され、後述する第1排出口61に至る。
【0049】
本実施形態では、第2空間S2は、外装カバー14の天板14Aの一部(天板14Aの右側部分)と、上流板41と、中間板42と、下流板43と、側板44と、を含む複数の壁により画定されている。
【0050】
本実施形態に係る電動式作業機械100では、上述したように、第2空間S2において空気流を生成してパワーコントロールユニット27の周囲に供給するための第2冷却ファン32を備える。従って、電動モータ25の発熱特性に応じて第1冷却ファン31の仕様と電動モータ25を冷却するための条件とを設定し、パワーコントロールユニット27の発熱特性に応じて第2冷却ファン32の仕様とパワーコントロールユニット27を冷却するための条件とを設定することができる。これにより、互いに発熱特性の異なる電動モータ25とパワーコントロールユニット27をそれぞれに適した条件で効率よく冷却することができる。
【0051】
第2空間S2において、上流板41の内側面(前側面)、中間板42の上面、下流板43の内側面(後側面)、及び、側板44の内側面(右側面)は、第2冷却ファン32が生成する空気流(第2空気流)を案内する案内面として機能する。これにより、図4において第2空間S2内に描かれた複数の矢印で示すように、第2冷却ファン32が生成する空気流は、これらの案内面に沿って、第2冷却ファン32の冷却対象であるパワーコントロールユニット27、DC-DCコンバータ28及び車載充電器29に案内され、さらに、当該空気流の下流に位置する後述の第2排出口62に至る。
【0052】
本実施形態では、電動式作業機械100は、第2空間S2において、外装カバー14の天板14Aから下方に突出する第2案内部材47をさらに備える。この第2案内部材47は、天板14Aのうち、第2流入口52と第2排出口62との間の部分から下方に突出するように形成され、第2空間S2において、第2冷却ファン32が生成する空気流の流路の断面積をある程度均一にするような機能を有する。ただし、第2案内部材47は省略可能である。
【0053】
外装カバー14は、第1空間S1及び第2空間S2を含む機械室15を囲む。この外装カバー14は、外装カバー14の外の空気が第1冷却ファン31の回転によって第1空間S1に流入する第1流入口51と、外装カバー14の外の空気が第2冷却ファン32の回転によって第2空間S2に流入する第2流入口52と、を有する。このように外装カバー14は、第1空間S1に外気を流入させる第1流入口51とは別に、第2空間S2に外気を流入させる第2流入口52を有するので、第2空間S2の空気の温度が電動モータ25の温度の影響をさらに受けにくくなる。これにより、電動モータ25の発熱に起因してパワーコントロールユニット27の温度が上昇することをさらに抑制できる。
【0054】
具体的に、アクチュエータが動作して電動式作業機械100が種々の作業を行う際には、アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプ22を駆動するためにバッテリ26から電動モータ25に電力が供給され、電動モータ25、バッテリ26、パワーコントロールユニット27、及びDC-DCコンバータ28がそれぞれ発熱する。このとき、電動式作業機械100のコントローラは、電動モータ25、バッテリ26及びDC-DCコンバータ28を冷却する熱交換器24の温度上昇に応じた第1冷却ファン31の制御、すなわち、熱交換器24の発熱に合わせて第1ファン電動機33を駆動して第1冷却ファン31を回転させる制御を行う。このように熱交換器24の温度上昇に応じた第1冷却ファン31の制御が行われることで、第1冷却ファン31の回転により生成される空気流は、熱交換器24の温度上昇を抑制することができる。これにより、電動モータ25、バッテリ26及びDC-DCコンバータ28は、熱交換器24によって効率よく冷却され、しかも、第1冷却ファン31の回転により生成される空気流によっても冷却される。このように熱交換器24を通過した空気流が電動モータ25及びコントロールバルブユニット23を通過するように構成された本実施形態では、電動モータ25及びコントロールバルブユニット23を冷却する冷却効率が向上する。
【0055】
また、第1空間S1と第2空間とは案内部材40によって仕切られているので、第2空間S2には第1空間S1の熱が伝達されにくい。これにより、第2空間S2にあるパワーコントロールユニット27等の少発熱機器の温度が第1空間S1にある電動モータ25の発熱に起因して上昇することが抑制される。従って、本実施形態では、前記コントローラは、パワーコントロールユニット27及びDC-DCコンバータ28の発熱に応じた第2冷却ファン32の制御、すなわち、パワーコントロールユニット27及びDC-DCコンバータ28の発熱に合わせて第2電動機を駆動して第2冷却ファン32を回転させる制御を行うことができる。
【0056】
また、バッテリ26の充電時には、バッテリ26及び車載充電器29が発熱する。上述したように第1空間S1内の熱と第2空間S2内の熱が一方から他方に伝達されるのが抑制されるので、バッテリ26の充電時には、前記コントローラは、バッテリ26を冷却する熱交換器24の温度上昇に応じた第1冷却ファン31の制御と、車載充電器29の発熱に応じた第2冷却ファン32の制御と、を行う。すなわち、前記コントローラは、バッテリ26を冷却する熱交換器24の発熱に合わせて第1ファン電動機33を駆動して第1冷却ファン31を回転させる制御と、車載充電器29の発熱に合わせて第2電動機を駆動して第2冷却ファン32を回転させる制御と、を行う。
【0057】
第1流入口51は、外装カバー14の後部に形成され、外装カバー14は、第1空間S1から外装カバー14の外部に空気を排出する第1排出口61をさらに有し、当該第1排出口61は、外装カバー14の前部に形成されている。従って、第1冷却ファン31により生成される空気流が、外装カバー14の後部にある第1流入口51から外装カバー14の前部にある第1排出口61まで直線的に流れるので、空気が流れるときの抵抗が大きくなることを抑制でき、風量の低下を抑制できる。
【0058】
具体的には、第1流入口51は、外装カバー14の後板14C(図2に示す具体例では後板14Cの右側部分)に形成され、第1排出口61は、外装カバー14の前板14Bに形成されている。第1流入口51は、第1排出口61よりも高い位置に形成されている。より具体的には、第1流入口51は、外装カバー14の上部に形成され、第1排出口61は、外装カバー14の下部に形成されている。
【0059】
第1空間S1において、第1流入口51、熱交換器24、第1冷却ファン31、電動モータ25、油圧ポンプ22、コントロールバルブユニット23、及び、第1排出口61は、この順に、前記空気流の下流に向かって配列されている。第1空間S1において、作動油タンク21は、電動モータ25の側方(図3では左方)に配置され、第1冷却ファン31よりも空気流の下流でコントロールバルブユニット23よりも前記空気流の上流に配置されている。
【0060】
図4に示す本実施形態では、第2流入口52は、外装カバー14の天板14Aに形成されている。外装カバー14は、第2空間S2から外装カバー14の外部に空気を排出する第2排出口62をさらに有する。第2排出口62は、外装カバー14の天板14Aに形成されている。具体的には、第2排出口62は、外装カバー14の天板14Aにおける第2流入口52よりも前側部分に形成されている。
【0061】
第2冷却ファン32は、第2流入口52又はその近傍に配置されているので、第2空間S2において空気流を効率よく生成することができる。
【0062】
第2空間S2において、第2流入口52、第2冷却ファン32、パワーコントロールユニット27、及び、第2排出口62は、この順に、第2冷却ファン32が生成する空気流の下流に向かって配置されている。第2空間S2において、DC-DCコンバータ28及び車載充電器29は、第2冷却ファン32と第2排出口62との間に配置されている。
【0063】
油圧ポンプ22は、第1空間S1において電動モータ25よりも前記空気流の下流に配置される。この場合、第1冷却ファン31により生成される空気流は、油圧ポンプ22よりも前に電動モータ25に到達するので、油圧ポンプ22よりも電動モータ25を優先して冷却することができる。
【0064】
本実施形態では、作動油タンク21は、第1冷却ファン31よりも前記空気流の下流に配置される。作動油タンク21は、電動モータ25よりも旋回軸Zに近い位置に配置されている。作動油タンク21は、電動モータ25の側方(図3及び図5では左方)において前記空気流の下流に向かって延びる側面21S(図3及び図5では右側面21S)を有する。従って、第1冷却ファン31により生成されて第1案内面41Sによって電動モータ25に案内される空気流が作動油タンク21の側面21Sに沿って下流に流れることができるので、空気の流れがより円滑になる。
【0065】
図5に示すように、作動油タンク21は、電動モータ25の側方(図5では左方)に配置され、電動モータ25よりも上下方向の寸法が大きく、ファン回転軸31Aの方向(図5では前後方向)に見たときに、案内部材40は、作動油タンク21に対して前記側方とは反対の方向(図5では右方)にずれた位置で、かつ、電動モータ25の真上の位置に配置される。この場合、作動油タンク21の上下方向の寸法と電動モータ25の上下方向の寸法の差を利用して案内部材40を電動モータ25の真上に配置することができるので、機械室15内のスペースを有効利用することができる。
【0066】
また、ファン回転軸31Aの方向(図5では前後方向)に見たときに、第1冷却ファン31は、電動モータ25の一部及び作動油タンク21の一部と重なるような大きさを有する。この場合、ファン回転軸31Aの方向に見たときに互いに左右に並ぶ電動モータ25と作動油タンク21に対して、第1冷却ファン31は、空気流を効率よく供給することができる。また、ファン回転軸31Aの方向(図5では前後方向)に見たときに、第1冷却ファン31は、電動モータ25の一部、作動油タンク21の一部及び案内部材40の一部と重なるような大きさを有する。このように大きな径の第1冷却ファン31では、風量をさらに確保しやすくなる。
【0067】
本実施形態では、案内部材40は、少なくとも一つのドレン口81(図4では複数のドレン口81)を有する。従って、第2流入口52を通じて第2空間S2に雨水などの水が浸入した場合であっても、浸入した水は、ドレン口81を通じて第2空間S2から排出される。これにより、パワーコントロールユニット27に対して水の影響が及ぶことを抑制できる。
【0068】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
【0069】
(A)変形例1
図6は、前記実施形態の変形例1に係る電動式作業機械100の旋回フレーム12に支持される種々の機器の配置を示す平面図である。この変形例1は、第1流入口51が外装カバー14の後部の側面(後部の右側面)に形成され、外装カバー14の側面に沿うような姿勢で熱交換器24が当該側面に近接する位置に配置され、ファン回転軸31Aが左右方向に沿った向きとなる姿勢で熱交換器24に対面するように第1冷却ファン31が配置されている点で、図3に示す前記実施形態と相違しており、これ以外の構成は、図3に示す前記実施形態と同様である。この変形例1では、図6に示すように、熱交換器24は、外装カバー14の側面に近接する位置であって、第1流入口51から第1空間S1に流入した空気が他の機器よりも先に(最初に)通過するような位置に配置されているので、空気が第1流入口51から熱交換器24に至るまでの風路の周囲には、通風抵抗を生じさせるもの(例えば、他の機器、外装カバー14の側面など)がほとんど存在しない。これにより、第1流入口51から第1空間S1に流入した空気は、あまり抵抗を受けずに熱交換器24まで導かれる。これにより、外装カバー14の外の空気が第1流入口51から第1空間S1に流入しやすくなる。また、熱交換器24は、平面視における熱交換器24の長手方向が外装カバー14の側面に沿うような向きとなるような姿勢で配置されることが好ましい。また、熱交換器24は、熱交換器24内を空気が通過する方向が第1流入口51から第1空間S1に流入する空気の流入方向に沿うような姿勢で配置されることがより好ましい。これにより、熱交換器24内を空気が通過するときの通風抵抗が低減されるので、外装カバー14の外の空気が第1流入口51から第1空間S1にさらに流入しやすくなる。
【0070】
(B)変形例2
図7は、前記実施形態の変形例2に係る電動式作業機械100の上部旋回体2における機械室15の内部を示す側面図である。この変形例2に係る電動式作業機械では、外装カバー14は、外装カバー14の外の空気が第1冷却ファン31の回転によって第1空間S1に流入する第1流入口51を有するが、図4に示す前記実施形態における第2流入口52を有していない。図7の変形例2では、案内部材40は、第1空間S1に流入した空気の一部が第2空間S2に分流する分流口71を有する。この変形例2では、第1空間S1及び第2空間S2に空気を流入させるための流入口を一つの第1流入口51にまとめることができ、これにより、外装カバー14が第1流入口51と第2流入口52を有する場合に比べて、ファン稼働時に生じる風切り音などの音が流入口から外に漏れる度合いを低減できる。図7に示す具体例では、分流口71は、案内部材40の上流板41に形成されている。
【0071】
(C)電動式作業機械について
本実施形態に係る電動式作業機械100は油圧ショベルであるが、本開示における電動式作業機械は、油圧ショベルに限られず、クレーン、ブルドーザなどの他の電動式作業機械であってもよい。
【0072】
(D)案内部材について
前記実施形態では、案内部材40の第1案内面41Sは、電動モータ25に近づくにつれて高さ位置が低くなるように水平面に対して滑らかに傾斜する平面状の傾斜面であるが、本開示における案内面は、電動モータよりも上方に配置されること、第1冷却ファンが生成する空気流を電動モータに案内すること、を特徴として含むものであればよく、前記実施形態において例示した具体例に限られない。具体的には例えば、本開示における案内面は、電動モータ25に近づくにつれて高さ位置が低くなるように湾曲する湾曲面であってもよい。また、本開示における案内面は、鉛直面と水平面とが交互につながることで下流に向かうにつれて(電動モータに近づくにつれて)高さ位置が低くなるような面であってもよい。
【0073】
前記実施形態では、案内部材40は、上流板41と、中間板42と、下流板43と、側板44と、を含むが、本開示における案内部材では、中間板、下流板及び側板の少なくとも一つを省略可能である。
【0074】
前記実施形態では、案内部材40は、電動モータ25が配置される第1空間S1と、少発熱機器としてのパワーコントロールユニット27が配置される第2空間S2と、を仕切るように配置されるが、本開示における案内部材は、少なくとも電動モータに前記空気流を案内する機能を備えていればよく、第1空間S1と第2空間S2とを仕切る機能を備えていなくてもよい。
【0075】
前記実施形態では、案内部材40は、外装カバー14の天板14Aから下方に凹む凹形状を有し、天板14Aとともに第2空間S2を画定するが、本開示における案内部材は、前記外装カバーの天板から下方に凹む凹形状に限られず、他の形状を有していてもよい。
【0076】
(E)流入口及び排出口について
前記実施形態では、第1流入口51は、外装カバー14の後部に形成され、第1排出口61は、外装カバー14の前部に形成されているが、本開示における第1流入口及び排出口の配置は、前記実施形態に限られない。具体的には例えば、第1流入口が外装カバーの前部に形成され、第1排出口が外装カバーの後部に形成されていてもよく、また、第1流入口及び排出口は、これら以外の位置に形成されていてもよい。
【0077】
(F)第1冷却ファンについて
前記実施形態では、ファン回転軸31Aの方向(図5では前後方向)に見たときに、第1冷却ファン31は、電動モータ25の一部及び作動油タンク21の一部と重なるような大きさを有するが、第1冷却ファン31の大きさは、前記実施形態に限られない。具体的には例えば、前記ファン回転軸の方向に見たときに、前記第1冷却ファンは、前記電動モータの少なくとも一部と重なる一方で前記作動油タンクとは重ならないような大きさを有していてもよい。また、前記ファン回転軸の方向に見たときに、前記第1冷却ファンは、前記電動モータ及び前記作動油タンクの両方に重ならないような位置に配置されていてもよい。
【0078】
(G)回転軸について
前記実施形態では、第1冷却ファン31は、ファン回転軸31Aが前後に向くような姿勢で配置され、電動モータ25は、モータ回転軸25Aが前後に向くような姿勢で配置されているが、ファン回転軸31Aの向き及びモータ回転軸25Aの向きは、前記実施形態の態様に限られない。
【0079】
(H)配列について
前記実施形態では、第1空間S1において、第1流入口51、熱交換器24、第1冷却ファン31、電動モータ25、油圧ポンプ22、コントロールバルブユニット23、及び、第1排出口61は、この順に、前記空気流の下流に向かって配列されているが、これらの配列は、前記実施形態に限られない。本開示における電動式作業機械では、電動モータが第1冷却ファンよりも前記空気流の下流に配置されていればよく、その他の機器(例えば、熱交換器24、油圧ポンプ22、コントロールバルブユニット23など)の配列は、前記実施形態に限られない。
【0080】
(I)天板について
前記実施形態では、天板14Aの高さ位置は、天板14Aのほぼ全域にわたって一律であるが、天板14Aの高さ位置は、必ずしも天板14Aのほぼ全域にわたって一律でなくてもよい。具体的には例えば、天板14Aは、前方に向かうにつれて下方に位置するように配置されてもよい。このような構成によれば、前記空気流が第1排出口61により円滑に流れやすくなる。
【符号の説明】
【0081】
12 :旋回フレーム
13 :キャブ
14 :外装カバー
21 :作動油タンク
22 :油圧ポンプ
23 :コントロールバルブユニット
24 :熱交換器
24A :ラジエータ
24B :オイルクーラ
25 :電動モータ
25A :モータ回転軸
26 :バッテリ
27 :パワーコントロールユニット
28 :DC-DCコンバータ
29 :車載充電器
31 :第1冷却ファン
31A :ファン回転軸
32 :第2冷却ファン
33 :第1ファン電動機
40 :案内部材
41 :上流板
41S :第1案内面(本開示における案内面の一例)
42 :中間板
42S :第2案内面
43 :下流板
51 :第1流入口
52 :第2流入口
61 :第1排出口
62 :第2排出口
71 :分流口
81 :ドレン口
100 :電動式作業機械
Z :旋回軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7