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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157476
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/31 20180101AFI20241030BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241030BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20241030BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20241030BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241030BHJP
【FI】
F21S43/31
F21S43/14
F21S43/20
F21W103:60
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071888
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100090228
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】望月 優介
(57)【要約】
【課題】車両外部の側部下部に設置されて可視光による画像光を車両側方の地面に投影する車両用灯具について、該車両用灯具から出射された光が車両周囲にいる人に視認されにくくする。
【解決手段】車両用灯具14Rは、ハウジング24と、ハウジング24に収容されて画像光16Rを生成する光学系53を有する。ハウジング24はその壁面の一部領域に窓36を有する。光学系53は画像光16Rを生成するレンズ群54と、該生成された画像光16Rの光路を折り曲げる光路折曲げミラー56と、該光路が折り曲げられた画像光16Rを反射して窓36から外側空間に出射させる凹面鏡58を有する。車両用灯具14Rが車両に設置された状態で、凹面鏡58は窓36よりも高い位置まで配置されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部の側部下部に設置されて可視光による画像光を車両側方の地面に投影する車両用灯具において、
ハウジングと、
前記ハウジングに収容されて可視光による画像光を生成する光学系と、
前記ハウジングの壁面の一部領域に配置されて前記生成された画像光を透過して該ハウジングの外側空間に出射する透明板を具える窓とを有し、
前記光学系は前記画像光を生成するレンズ群と、該生成された画像光の光路を折り曲げる光路折曲げミラーと、該光路が折り曲げられた画像光を反射して前記窓から外側空間に出射させる凹面鏡を有し、
前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、前記凹面鏡の高さ方向の少なくとも一部が前記窓の高さ方向の全部よりも高い位置に配置され、かつ前記窓の高さ方向の過半または全部が前記凹面鏡よりも低い位置に配置されるように該窓と該凹面鏡との位置関係が設定されている車両用灯具。
【請求項2】
前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、前記凹面鏡の高さ方向の過半または全部が前記窓の高さ方向の全部よりも高い位置に配置されるように該凹面鏡と該窓との位置関係が設定されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、前記窓の高さ方向の過半または全部が該窓が配置された位置の前記壁面の高さ方向の中央位置よりも低い位置に配置されるように該窓と該壁面との位置関係が設定されている請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記窓の面積は前記凹面鏡の鏡面の面積よりも小さく形成され、該窓は該凹面鏡で反射されてビーム径が縮小された前記画像光の光束の全体が該窓を透過できる位置に配置されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、平面視で見て、前記光学系の前記レンズ群、前記光路折曲げミラー、前記凹面鏡は車両前後方向に配列され、かつ前記凹面鏡は前記窓に向けて車両前後方向に対し車両側方へ傾斜した姿勢で配置されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、平面視で見て、前記ハウジングは車両後方または車両前方に向く出射側端面と、車両側方に向く側面と、前記出射側端面と前記側面の間に位置して車両側方斜め後方または車両側方斜め前方に向くコーナー面とを有し、前記窓は前記コーナー面に配置されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記ハウジングの前記出射側端面側から見て、
前記光路折曲げミラーおよび前記凹面鏡は前記出射側端面の背後に配置され、
前記凹面鏡は前記光路折曲げミラーの上方に配置され、
前記凹面鏡で反射された画像光の光軸は前記窓に向けて斜め下方に向けて配置されている
請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
車両外部の側部下部の下面に取り付けられるブラケットをさらに有し、
前記ブラケットは前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢で前記ハウジングを保持し、
前記ブラケットは前記ハウジングと車両の車輪との間に配置される衝立面を有し、
前記衝立面は前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて通過させる切欠または穴を有する請求項1から7のいずれか1つに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両外部の側部下部に設置されて可視光による画像光を車両側方の地面に投影する車両用灯具に関し、該車両用灯具から出射された光が車両周囲にいる人に視認されにくくしたものである。
【背景技術】
【0002】
車両外部(ドアを閉めた状態で車両の外側空間に露出する車両の部分)の側部下部〔車両の側部(左側または右側の部分)の下部(該側部の下面、側面、該下面と該側面の境界に位置する下側面〕に設置されて可視光による画像光を車両側方(左方または右方)の地面に投影する車両用灯具(以下「車両側方投影ランプ」という)としてWelcome Light Carpet(登録商標)と呼ばれるものが知られている(非特許文献1参照)。Welcome Light Carpetは、車両外部の側部下部の下側面に設置された投影ユニットから、可視光による画像光を車両側方の地面に向けて出射し、該地面に該画像を投影するものである。車両側方投影ランプは、車両への乗降時に乗降者の足元を照らすことにより、快適で安全な乗降動作を支援する機能を果たす。また、車両側方投影ランプではないが、車両前部のヘッドライト位置から車両前方の路面に画像を投影する車両用灯具が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-090191号公報
【非特許文献1】「2023 BMW 3 Series ? Owner's Manual ? Page #161」、[令和5年2月17日検索]、インターネット〈URL:https://ownersmanuals2.com/bmw-auto/3-series-2023-owners-manual-85302/page-161〉
【特許文献1】特開2018-090191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両側方投影ランプは車両外部に配置されて光線を外界に向けて出射する灯具ではあるが、該光を斜め下方の地面に向けて出射するので、本来は車両側方投影ランプから出射する光は車両周囲にいる人(歩行者、他車両の運転者等)には視認されにくい。しかし実際には車両側方投影ランプ内の散乱光や迷光等により、地面以外の方向に向けて出射される光も存在し、そのような光が車両周囲にいる人に視認される場合があることが本発明者によって確認された。車両側方投影ランプの光が車両周囲にいる人に視認されることは交通安全上好ましく、国によっては法規によって規制される場合もあるので、該光が視認されにくくなるように対策が講じられることが望ましい。
【0005】
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、車両側方投影ランプから出射された光が車両周囲にいる人に視認されにくくしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車両外部の側部下部に設置されて可視光による画像光を車両側方の地面に投影する車両用灯具において、ハウジングと、前記ハウジングに収容されて可視光による画像光を生成する光学系と、前記ハウジングの壁面の一部領域に配置されて前記生成された画像光を透過して該ハウジングの外側空間に出射する透明板を具える窓とを有し、前記光学系は前記画像光を生成するレンズ群と、該生成された画像光の光路を折り曲げる光路折曲げミラーと、該光路が折り曲げられた画像光を反射して前記窓から外側空間に出射させる凹面鏡を有し、前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、前記凹面鏡の高さ方向の少なくとも一部が前記窓の高さ方向の全部よりも高い位置に配置され、かつ前記窓の高さ方向の過半または全部が前記凹面鏡よりも低い位置に配置されるように該窓と該凹面鏡との位置関係が設定されているものである。これによれば、仮に窓が車両周囲にいる人から見える位置に配置されても、凹面鏡が窓よりも高い位置まで配置されているので、凹面鏡の高さ方向の一部または全部を車両周囲にいる人から見えなくすることができる。これにより、凹面鏡で反射された散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくすることができる。
【0007】
この発明は、前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、前記凹面鏡の高さ方向の過半または全部が前記窓の高さ方向の全部よりも高い位置に配置されるように該凹面鏡と該窓との位置関係が設定されているものとすることができる。これによれば、仮に窓が車両周囲にいる人から見える位置に配置されても、凹面鏡の高さ方向の過半または全部を車両周囲にいる人から見えなくすることができるので、凹面鏡で反射された散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくすることができる。
【0008】
この発明は、前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、前記窓の高さ方向の過半または全部が該窓が配置された位置の前記壁面の高さ方向の中央位置よりも低い位置に配置されるように該窓と該壁面との位置関係が設定されているものとすることができる。これによれば、窓がハウジングの壁面の高さ方向の中央位置よりも下側に偏った位置に配置されるので、凹面鏡を車両周囲にいる人から見えにくくすることができ、凹面鏡で反射された散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくすることができる。また、窓がハウジングの壁面の高さ方向の中央位置よりも下側に偏った位置に配置されるので、地面からの窓の高さが決められている場合に、相対的にハウジングを地面から離れた高さに配置でき、ハウジングを地面の凹凸に衝突しにくくすることができる。
【0009】
この発明は、前記窓の面積は前記凹面鏡の鏡面の面積よりも小さく形成され、該窓は該凹面鏡で反射されてビーム径が縮小された前記画像光の光束の全体が該窓を透過できる位置に配置されているものとすることができる。これによれば、窓を透過する位置でのビーム径が小さいので窓の面積を小さく設計でき、凹面鏡で反射された散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくすることができる。また、窓の面積を小さく設計できるので、外光が窓を通してハウジング内に入射されにくくなり、該外光によりハウジング内で別途発生する散乱光や迷光を低減することができる。
【0010】
この発明は、前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、平面視で見て、前記光学系の前記レンズ群、前記光路折曲げミラー、前記凹面鏡は車両前後方向に配列され、かつ前記凹面鏡は前記窓に向けて車両前後方向に対し車両側方へ傾斜した姿勢で配置されているものとすることができる。これによれば、光学系のレンズ群、光路折曲げミラー、凹面鏡を車両前後方向に配列し、凹面鏡を窓に向けて車両前後方向に対し車両側方へ傾斜した姿勢で配置することで車両側方への画像光の投影を実現しているので、ハウジングの車両幅方向(左右方向)の寸法を小さくできる。その結果、車輪からの飛び石や泥はねがハウジングに当たりにくくすることができる。
【0011】
この発明は、前記車両用灯具が前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢に前記車両外部の側部下部に設置された状態で、平面視で見て、前記ハウジングは車両後方または車両前方に向く出射側端面と、車両側方に向く側面と、前記出射側端面と前記側面の間に位置して車両側方斜め後方または車両側方斜め前方に向くコーナー面とを有し、前記窓は前記コーナー面に配置されているものとすることができる。これによれば、窓をハウジングの車両側方斜め後方または車両側方斜め前方に向くコーナー面に配置したので、窓がハウジングの側面に配置されている場合に比べて、窓が見える水平方向の角度範囲を狭くすることができる。これにより、凹面鏡で反射された散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくすることができる。また、窓がコーナー面に車両前後方向に対し斜めに向くように配置されているので、窓が車両前後方向に向くように配置されている場合に比べて、車輪からの飛び石や泥はねを窓が真正面から受けにくくなり、しかも車輪側から見て窓の幅が狭く見えるので車輪からの飛び石や泥はねが窓に当たりにくくなる。したがって、車輪からの飛び石や泥はねによる窓の破損や汚れを生じにくくすることができる。なお、窓をコーナー面に配置することによるこれらの効果は、上述した凹面鏡と窓との位置関係、窓と壁面との位置関係にかかわらず得られる。
【0012】
この発明は、前記ハウジングの前記出射側端面側から見て、前記光路折曲げミラーおよび前記凹面鏡は前記出射側端面の背後に配置され、前記凹面鏡は前記光路折曲げミラーの上方に配置され、前記凹面鏡で反射された画像光の光軸は前記窓に向けて斜め下方に向けて配置されているものとすることができる。これによれば、凹面鏡で反射された画像光が窓から出射されるのを光路折曲げミラーによって妨害される(遮られる)ことなく、ハウジングに光路折曲げミラー、凹面鏡、窓を効率よく配置することができる。
【0013】
この発明は、車両外部の側部下部の下面に取り付けられるブラケットをさらに有し、前記ブラケットは前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて照射可能な姿勢で前記ハウジングを保持し、前記ブラケットは前記ハウジングと車両の車輪との間に配置される衝立面を有し、前記衝立面は前記窓から出射される画像光を車両側方の地面に向けて通過させる切欠または穴を有するものとすることができる。これによれば、ブラケットがハウジングと車両の車輪との間に配置される衝立面を有するので、ブラケットの衝立面で車輪からの飛び石や泥はねを受けて、該飛び石や泥はねがハウジングに当たりにくくすることができる。また、ハウジングの窓から出射される画像光は衝立面の切欠または穴を通して車両側方の地面に向けて照射することができる。また、ハウジングの窓から出射される散乱光や迷光を衝立面で遮光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図6の投影ユニットを車両に搭載した姿勢で、該投影ユニットの内部構造を示す断面側面図で、光軸に沿って切断した断面を示し、光源から放射された光の光束をあわせて示す。
図1B図6の投影ユニットを車両に搭載した姿勢で、該投影ユニットの内部構造を示す断面平面図で、光軸に沿って切断した断面を示し、光源から放射された光の光束をあわせて示す。
図1C図1Aの投影ユニットを車両後方水平方向から見た図で、ハウジングの一部を切り欠いた状態で示す。
図2A】この発明の実施の形態による図3の車両側方投影ランプを搭載した車両の側面図であり、車両側方投影ランプから出射された画像光をあわせて示す。
図2B】同車両の平面図であり、車両側方投影ランプから出射された画像光をあわせて示す。
図3】この発明の実施の形態による車両側方投影ランプ(ブラケット付き、右側用)の外観を示す斜視図である。
図4A図3の車両側方投影ランプの平面図である。
図4B図3の車両側方投影ランプの側面図(車両右側方から見た図)である。
図4C図3の車両側方投影ランプの背面図(車両後方から見た図)である。
図4D図3の車両側方投影ランプの底面図である。
図4E図3の車両側方投影ランプの側面図(車両左側方から見た図)である。
図4F図3の車両側方投影ランプの正面図(車両前方から見た図)である。
図5A図3の車両側方投影ランプの平面図で、同車両側方投影ランプから出射される画像光の光束をあわせて示す。
図5B図3の車両側方投影ランプの側面図(車両右側方から見た図)で、同車両側方投影ランプから出射される画像光の光束をあわせて示す。
図5C図3の車両側方投影ランプの背面図(車両後方から見た図)で、同車両側方投影ランプから出射される画像光の光束をあわせて示す。
図5D図3の車両側方投影ランプが車両右側部下面に設置された状態で該車両側方投影ランプを車両右側斜め後方から見た斜視図(模式図)で、同車両側方投影ランプから出射される画像光の光束をあわせて示す。
図6図3の車両側方投影ランプからブラケットを外した投影ユニットの外観を示す斜視図である。
図7図6の投影ユニットの分解斜視図である。
図8A図2A図2Bの車両側方投影ランプの配置において、ハウジングのコーナー面に配置された窓が見える水平方向の角度範囲を示す模式平面図である。
図8B図2A図2Bの車両側方投影ランプの配置において、仮にハウジングの側面に窓を配置した場合に該窓が見える水平方向の角度範囲を示す模式平面図である。
図9】投影ユニットを車両外壁面の少し奥側の位置に配置することによる効果を説明するための模式図で、車両後方側から見た状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施の形態を以下説明する。図2A図2Bはこの発明の実施の形態による車両側方投影ランプを搭載した車両(ここではSUV)を示す。車両10の外部の左右側部下部〔この実施の形態では、ドア11の下のサイドステップ12(サイドシル)の少し奥側すなわち車両幅方向中央寄りの位置の車両底面13、図9参照〕には、車両側方投影ランプ14L,14Rが車両10に対し左右対称の姿勢で設置されている。路面等の地面18に対する車両側方投影ランプ14L,14Rの最下位置の高さは例えば250mmである。車両側方投影ランプ14L,14Rからは画像(文字、写真、イラスト、図、記号等の視覚要素)を投影する可視光による画像光16L,16Rが、それぞれ光軸16La,16Ra(画像光16L,16Rの光束の中心軸)を車両側方斜め後方の地面に向けて出射される。すなわち、画像光16Lは光軸16Laを車両左側斜め後方(左側方と後方の中間の方向)の地面に向けて出射され、画像光16Rは光軸16Raを車両右側斜め後方(右側方と後方の中間の方向)の地面18に向けて出射される。該出射された画像光16L,16Rは車両左右側方の地面18にそれぞれ照射され、地面18に画像がそれぞれ投影される。地面18に投影された画像全体の外形は例えば車両前後方向に縦長の概ね長方形であり、その寸法は例えば縦方向(車両10の前後方向)が1500mm、横方向(車両10の幅方向)が1000mmである。
【0016】
車両側方投影ランプ14L,14Rについて説明する。ここでは、右用の車両側方投影ランプ14Rについて説明する。左用の車両側方投影ランプ14Lは右用の車両側方投影ランプ14Rと左右対称の構成を有する。車両側方投影ランプ14Rの外観を図3に斜視図で示す。また、車両側方投影ランプ14Rの各面図を図4A図4Fに示す。図3に基づいて車両側方投影ランプ14Rの概要構成を説明する。図3において、車両側方投影ランプ14Rは右用の投影ユニット20(プロジェクター)をブラケット22に取り付けて構成されている。ブラケット22を車両の左右サイドステップ12の少し奥側の車両底面13にリベット止めすることにより、車両側方投影ランプ14Rは該位置の車両底面13に設置される。なお、ブラケット22を車両底面13に取り付ける方法としては、リベット止めのほか、ねじ止め、溶接、カシメ等の各種の取付け方法を用いることができる。ブラケット22は左用と右用で左右を反転して共用できるように構成されている。投影ユニット20はハウジング24内に光源、光学系等を収容して構成される。ハウジング24からは、車両電源と接続するためのワイヤーハーネス(図示せず)が引き出されている。
【0017】
ブラケット22は鉄等の金属板を金属加工し全体を黒色塗装して構成される。ブラケット22は車両底面13に水平の姿勢(車両底面13と平行な姿勢)で取り付けられる上板22aと、上板22aの車両前方側の位置で直角下向きに折り曲げられた前板22bと、上板22aの車両後方側の位置で直角下向きに折り曲げられた後板22cを有する。上板22aにはブラケット22を車両底面13にリベット止めするための複数個のリベット通し穴26、投影ユニット20を配置するための切欠き28等が形成されている。投影ユニット20は切欠き28に配置され、ハウジング24の上部周縁部が切欠き28の周縁部に固定されて、投影ユニット20は上板22aに吊り下げ状態に取り付けられている。後板22cは衝立面を構成する。後板22cには投影ユニット20から出射される画像光16Rを車両側方の地面に向けて通過させる切欠き30(図3図4C図5D等参照、切欠き30に代えて全周が閉じた穴とすることもできる)が形成されている。後板22cは投影ユニット20と車両の後輪との間に配置され、車両10の後進時に後輪からの飛び石や泥はねが後板22cに当たるようにする。これにより、飛び石や泥はねが投影ユニット20に当たりにくくして、投影ユニット20の破損や汚れを生じにくくする。また、後板22cは投影ユニット20から出射される散乱光や迷光を遮光する。前板22bは後板22cと左右対称形状に形成されている(図4F参照)。前板22bはブラケット22を左用に使用するときに同様に後輪からの飛び石や泥はねに対する衝立板として機能する。
【0018】
車両側方投影ランプ14Rが車両の所定位置(図2Aに示す車両10の右サイドステップ12の少し奥側の車両底面13)に搭載された状態で、車両側方投影ランプ14Rから出射される画像光16Rの光束を図5A(平面図)、図5B(車両右側方から見た側面図)、図5C(車両後方から見た背面図)、図5D(車両右側斜め後方から見た斜視図)に示す。図5A図5Cにおいて、線L1は右側サイドステップ12の外壁面の左右方向位置を示し、線L2は同サイドステップ12の下端面の高さ方向位置を示す(図9参照)。図5Aに示すように、投影ユニット20は長手方向を車両前後方向に沿わせて配置されている。また、図5Bに示すように、投影ユニット20は水平に対し後部をやや上向きに傾斜させて配置されている。このように投影ユニット20の後部を上向きに傾斜させるのは、画像を車両前後方向に拡げて地面に投影するためである。画像光16Rはその光軸16Ra(画像光16Rの光束の中心軸)を車両右側斜め後方の地面18に向けて照射される。画像光16Rの光束の光軸直交方向の断面積は地面に近づくにつれて拡大する。その結果、車両右側方の地面に画像光16Rによる画像が投影される(図2A図2B参照)。なお、この実施の形態では、車両側方投影ランプ14L,14Rを装着した車両10のサイドステップ12はその奥側の車両底面13に対して下方に突出する寸法が大きく、かつ車両側方投影ランプ14L,14Rはサイドステップ12の奥側の車両底面13に設置されているため、車両10の左右側方から見て投影ユニット20の窓36はサイドステップ12に隠れて概ね見えない(図5B図5C図9参照)。したがって、この配置では投影ユニット20の窓36から出射される散乱光や迷光が車両10の周囲にいる人に視認される可能性はさほど高くはない。ただし、車両によっては、車両底面に対するサイドステップの下方への突出量が小さく、車両側方投影ランプ14L,14Rをサイドステップの奥側の車両底面に設置した場合に、投影ユニット20の窓36が車両側方から見える場合もある。車両側方投影ランプ14L,14Rをそのような車両に搭載した場合には、特にこの発明による配置が大きな効果を発揮する。
【0019】
投影ユニット20について説明する。投影ユニット20の外観を図6に斜視図で示す。この実施の形態では、投影ユニット20は全体として概ね直方体形状に形成されている。投影ユニット20の長手方向の寸法は前後の取付け挟持片42,42を除き概ね11cm~12cmである。ただし、投影ユニットをより大型にまたはより小型に構成することもできる。投影ユニット20はハウジング24によりその内部空間25が密封されている。内部空間25には、光源、光学系等が収容されている。ハウジング24は地色が黒色で無塗装のまたは内外全面を黒色塗装したプラスチック成形品、金属等で構成される。ハウジング24の平面形状は長手方向を車両前後方向に配列した概ね長方形に形成されている。ハウジング24は、車両側方投影ランプ14Rが車両に搭載された状態で、車両上方に向く上面24a、車両下方に向く下面24b、車両前方に向く前面24c、車両後方に向く後面24d(出射側端面)、車両右側方に向く右側面24e、車両左側方に向く左側面24f、後面24dと右側面24eの間に位置して車両右側斜め後方に向くコーナー面24gを有する。コーナー面24gの下部にはコーナー面24gに形成された開口32を透明板34(透明プラスチック板、透明ガラス板等)で塞いで構成された窓36が配置されている。上面24aの長手方向の前部(車両前方側の部分)には突出部24a1が形成され、後部(車両後方側の部分)には突出部24a3が形成されている。図1Aに示すように、ハウジング24の突出部24a1の内部にプリント基板50が収容配置される。突出部24a3の内部に光学系53の光路折曲げミラー56(折返しミラー)および凹面鏡58が配置される。突出部24a1と突出部24a3の中間のくびれ部24a2の内部に光学系53のレンズ群54が配置される。突出部24a1とくびれ部24a2の間の立上り壁面24hにはワイヤーハーネス(図示せず)の端部のコネクタを差し込んでプリント基板のコネクタと接続するための開口38(図6)が形成されている。開口38はワイヤーハーネスが通されたコネクタシール40(防水ゴムシール)で塞がれる。ハウジング24の上部周縁部には、ハウジング24をブラケット22(図3)に取り付けるための複数の取付け挟持片42(爪係合片)が突出形成されている。取付け挟持片42にブラケット22の切欠き28(図3)の周縁部を差込み挟持する(爪嵌合する)ことにより、投影ユニット20はブラケット22に取り付けられる。
【0020】
投影ユニット20の構成を図7に分解斜視図で示す。ハウジング24は本体24-1と蓋24-2で構成されている。蓋24-2はハウジング24の左側面24fを構成する。本体24-1には左側面24fの位置に開口44が形成されている。本体24-1の開口32には透明板34が嵌められ溶着等で固定される。これにより開口32は透明板34で塞がれて窓36が構成される。ハウジング24の内部空間25には全体が一体に組み立てられた内部構造体48が開口44(図1B)を通して収容される。内部構造体48を内部空間25に収容後に開口44は蓋24-2で閉じられ、蓋24-2は本体24-1に溶着等で密閉固定される。このようにして投影ユニット20は一体に組み立てられる。投影ユニット20が組み立てられた状態では、内部構造体48は内部空間25にがたつきなく収容された状態となる。投影ユニット20が組み立てられた後にワイヤハーネス(図示せず)の端部のコネクタが開口38に差し込まれて、プリント基板50に搭載されたコネクタ52に接続されて、車両のバッテリからプリント基板50の回路に電源が供給される。
【0021】
内部構造体48について説明する。図7において、内部構造体48はプリント基板50および光学系53をフレーム60で一体に組み付けて構成される。フレーム60は地色が黒色で無塗装のまたは内外全面を黒色塗装したプラスチック成形品、金属等で構成される。光学系53は、レンズ群54、光路折曲げミラー56、凹面鏡58を有する。プリント基板50にはコネクタ52のほか、1灯の白色LED62(光源)並びに白色LED62の駆動回路を構成する回路素子51等が搭載される。プリント基板50の背面またはハウジング24の前面24cの内壁面には放熱用の熱伝導シート64が貼り付けられる。レンズ群54は初段のレンズ66から最終段のレンズ68まで複数のレンズを組み合わせて構成される。レンズ群54の途中位置には投影する画像が描かれた画像フィルム70が配置されている。光路折曲げミラー56は例えばプラスチック、ガラス、金属等の基板の表面に反射膜を形成して構成される。反射率が高く光沢を有する金属基板の表面をそのまま(反射膜を形成しないで)光路折曲げミラー56として用いることもできる。光路折曲げミラー56は平面鏡のほか曲率を有する曲面ミラーで構成することもできる。この実施の形態では光路折曲げミラー56は平面鏡で構成されている。凹面鏡58は例えばプラスチック、ガラス、金属等の基板の表面(凹面)に反射膜を形成して構成される。反射率が高く光沢を有する金属基板の表面(凹面)をそのまま(反射膜を形成しないで)凹面鏡58として用いることもできる。凹面鏡58は例えば曲率一定の球面ミラー、曲率が徐変する曲率徐変ミラー、自由曲ミラー等で構成することができる。この実施の形態では凹面鏡58は球面ミラーで構成されている。以上の構成により、白色LED62から放射された白色光はレンズ群54で集光され、レンズ群54の途中位置の画像フィルム70で画像光に変換され、光路折曲げミラー56で反射されて光路が折り曲げられ、凹面鏡58で反射されて窓36を透過してハウジング24の外部に出射され、光束の断面積が徐々に拡大(画像が拡大)されていく。窓36の面積は凹面鏡58の鏡面の面積よりも小さく形成されている。
【0022】
投影ユニット20を組み立てた状態での内部構造を図1A図1Bに断面図(端面図)で示す。図1A図1Bは投影ユニット20を車両に搭載された姿勢で示す。図1Aは車両右側方から見た図、図1Bは車両上方から見た図であり、いずれも光学系53は光軸に沿って切断した端面を示し、光束をあわせて示す。また、図1C図1Aの投影ユニット20をハウジング24の一部を切り欠いて車両後方水平方向から見た状態で示す。図1B図1Cから理解されるように、車両後方側から見て、光路折曲げミラー56および凹面鏡58はハウジング24の後面24dの背後に配置されている。また、図1A図1Cから理解されるように、凹面鏡58は光路折曲げミラー56の上方に配置されている。また、図1A図1Bから理解されるように、凹面鏡58で反射された画像光16Rの光軸16Raは窓36に向けて斜め下方に向けて配置されている。これによれば、ハウジング24に光路折曲げミラー56、凹面鏡58、窓36を効率よく配置することができる。また、図1Bの平面視で見て(ハウジング24の上面24a側から見て)、光学系53を構成するレンズ群54、光路折曲げミラー56、凹面鏡58を車両前後方向に配列し、最終段の凹面鏡58の向きを車両前後方向に対し斜めに傾けることで車両側方への画像光16Rの投影を実現しているので、ハウジング24の車両幅方向の寸法を小さくできる。その結果、車両10の後進時に後輪からの飛び石や泥はねをハウジング24に当たりにくくすることができる。
【0023】
図1A図1Bにおいて、白色LED62から放射された画像光16R0は、初段のレンズ66から最終段のレンズ68に至るレンズ群54を通過して集光され、その途中位置の画像フィルム70で画像光16Rに変換される。レンズ群54から出射された画像光16Rは光路折曲げミラー56の表面で反射されて光路が斜め上方に向けて折り曲げられ(折り返され)、凹面鏡58の表面で反射されて窓36から出射される。なお、レンズ群54から出射された画像光16Rの光束の周辺に漏れる光が直接窓36から出射されにくくするため、レンズ群54の最終段のレンズ68と窓36との間の位置(画像光16Rの光束を遮らず該光束の周辺に漏れる光を遮る位置)に、遮光壁60aが配置されている。遮光壁60aはフレーム60の一部に構成されている。
【0024】
ここで、図1A図1B図1Cに基づいて各部の位置関係を説明する。図1A図1Cに示すように、凹面鏡58は窓36よりも高い位置まで配置されている。具体的には、凹面鏡58の高さ方向の少なくとも一部(この実施の形態では概ね全部)が窓36の高さ方向の全部よりも高い位置に配置され、かつ窓36はその高さ方向の過半または全部(この実施の形態では概ね全部)が凹面鏡58よりも低い位置に配置されている。これにより、仮に窓36が車両周囲にいる人から見えたとしても、凹面鏡58の高さ方向の一部または全部を窓36を通して車両周囲にいる人から見えなくすることができる。したがって、投影ユニット20内の散乱光や迷光が凹面鏡58で反射されて窓36から出射されても、該散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくすることができる。
【0025】
図1A図1Cに示すように、凹面鏡58の高さ方向の過半または全部(この実施の形態では概ね全部)は窓36の高さ方向の全部よりも高い位置に配置されている。これにより、仮に窓36が車両周囲にいる人から見えたとしても、凹面鏡58の高さ方向の過半または全部を車両周囲にいる人から見えなくすることができる。したがって、投影ユニット20内の散乱光や迷光が凹面鏡58で反射されて窓36から出射されても、該散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくすることができる。
【0026】
図1A図1Cに示すように、窓36の高さ方向の過半または全部は窓36が配置された位置のコーナー面24gの高さ方向の中央位置よりも低い位置に配置されている。これにより、窓36はハウジング24の壁面の高さ方向の中央位置よりも下側に偏った位置に配置されるので、凹面鏡58を車両周囲にいる人から見えにくくすることができる。したがって、投影ユニット20内の散乱光や迷光が凹面鏡58で反射されて窓36から出射されても、該散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくすることができる。また、窓36がハウジング24の壁面の高さ方向の中央位置よりも下側に偏った位置に配置されるので、地面からの窓36の高さが決められている場合に、相対的にハウジング24を地面から離れた高さに配置でき、ハウジング24を地面の凹凸に衝突しにくくすることができる。窓36の下辺36aをコーナー面24gの最下位置(この実施の形態では概ね最下位置)に配置することもできる。
【0027】
図1A図1Bに示すように、窓36は凹面鏡58で反射された画像光16Rの集光点72の付近に配置されている。集光点とは、画像光16Rが集光する位置、すなわち画像光16Rの光軸方向における、画像光16Rの光束のビーム径が最も小さくなった位置である。窓36の面積は凹面鏡58の鏡面の面積よりも小さく形成されているが、窓36は凹面鏡58で反射されてビーム径が縮小された画像光16Rの光束の全体が窓36を透過できる集光点72付近の位置に配置されているので、画像光16Rの光束の全体を透過することができる。これにより、窓36の面積を小さく設計でき、凹面鏡58で反射された投影ユニット20内の散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくすることができる。集光点72と窓36の位置関係は様々に設定できる。すなわち、集光点72の位置に窓36を配置し、または集光点72の手前に窓36を配置し(集光点72はハウジング24の外側に配置される)、または集光点72よりも外側に窓36を配置する(集光点72はハウジング24の内側に配置される)ことができる。集光点72の手前に窓36を配置した場合には、ハウジング24の前後方向の寸法を小さくできる利点がある一方で、ハウジング24の外側のチリの影響を受けやすくなる。すなわち、集光点72がハウジング24の外側にあるので、集光点72にチリが入って投影画像が粗くなる可能性がある。これに対し、集光点72よりも外側に窓36を配置した場合には、集光点72がハウジング24の内側にあるので、ハウジング24の外側のチリの影響を受けにくくなる。すなわち、集光点72にチリは入らないので、チリによる投影画像への影響は小さくなる。
【0028】
次に、窓36をコーナー面24gに配置することによる効果を説明する。図8A図2A図2Bの車両側方投影ランプ14Rの配置において、窓36が見える水平方向の角度範囲を模式的に示す。この角度範囲は、投影ユニット20内の散乱光や迷光が窓36を通して車両周囲にいる人に視認される可能性がある範囲である。窓36の位置を角度の中心とし、該中心から車両右側方を0度とすると、車両前方向にはハウジング24で窓36が隠れるまで(コーナー面24gが見えなくなるまで)0度~40度の範囲で窓36を見ることができる。また、車両後方向には後輪タイヤに隠れるまで0度~77度の範囲で窓36を見ることができる。したがって、車両前方向と車両後方向の合計で117度の範囲で窓36を見ることができる。
【0029】
一方、図8Bは比較例として、窓36をハウジング24の右側面24eに配置した場合に窓36が見える水平方向の角度範囲を模式的に示す。この場合、車両前方向には前輪タイヤに隠れるまで0度~83度の範囲で窓36を見ることができる。また、車両後方向には後輪タイヤに隠れるまで0度~79度の範囲で窓36を見ることができる。したがって、車両前方向と車両後方向の合計で162度の範囲で窓36を見ることができる。
【0030】
結局、図8A図8Bによれば、窓36をコーナー面24gに配置した場合の方が、窓36を右側面24eに配置した場合に比べて、窓36が見える水平方向の角度範囲が狭くなるので、投影ユニット20内の散乱光や迷光を車両周囲にいる人に視認されにくくするることができる。
【0031】
また、例えば図5Aから理解されるように、窓36がコーナー面24gに車両右側斜め後方に向くように斜めに配置されているので、窓36がハウジング24の後面24dに配置されている場合に比べて、車両後進時に後輪からの飛び石を窓36が真正面(面直方向)から受けにくくなり(すなわち仮に飛び石が当たったとしてもその衝撃が緩和され)、窓36を後輪からの飛び石に対し破損しにくくすることができる。また、車両後進時に後輪からの泥はねによる窓36の汚れも生じにくくすることができる。また、窓36がコーナー面24gに車両右側斜め後方に向くように斜めに配置されているので、窓36がハウジング24の後面24dに配置されている場合に比べて、後輪側から見て窓36の幅が狭く見えて後輪からの飛び石や泥はねが窓36に当たりにくくなり、後輪からの飛び石や泥はねによる窓36の破損や汚れをより生じにくくすることができる。
【0032】
また、この実施の形態では、図5A図5Cから理解されるように、投影ユニット20の窓36は車両外部の側部下部の車両外壁面(線L1の位置)の直近位置でなく該車両外壁面の少し奥側の位置(車両幅方向中央寄りの位置)に配置されている。これは、窓36から出射される画像光16Rをサイドステップ12(図2A)に遮られずに、かつ車両外壁面から大きく離れずに車両側方の地面に投影できるようにするためである。すなわち、図9の模式図に示すように、窓36がサイドステップ12の直近位置(符号36’で示す位置)に配置されている場合には、窓36’から出射された画像光16R’はサイドステップ12で大きく遮られる。しかも、投影像の車両外壁面寄りの端部P’は該車両外壁面から大きく離れてしまう。これに対し、窓36がこの実施の形態のように車両外部の側部下部の車両外壁面から離れた位置(符号36で示す位置)に配置されている場合には、窓36から出射された画像光16Rはサイドステップ12で遮られずに地面18に照射される。しかも、投影像の車両外壁面寄りの端部Pを該車両外壁面から大きく離れずに配置することができる。
【0033】
前記実施の形態では車両側方投影ランプは光軸を車両側方斜め後方の地面に向けて画像光を出射するようにしたが、この発明による車両用灯具は光軸を車両側方斜め前方〔車両左側斜め前方(左側方と前方の中間の方向)または車両右側斜め前方(右側方と前方の中間の方向)〕に向けて画像光を出射するものとして構成することもできる。例えば、図2Bにおいて、左側用車両側方投影ランプ14Lを水平方向(垂直軸回り方向)に180度回転させて右側用として車両の右側に設置すれば、光軸を車両右側斜め前方の地面に向けて画像光を出射し、車両の右側に画像を投影することができる。同様に、図2Bにおいて、右側用車両側方投影ランプ14Rを水平方向(垂直軸回り方向)に180度回転させて左側用として車両の左側に設置すれば、光軸を車両左側斜め前方の地面に向けて画像光を出射し、車両の左側に画像を投影することができる。また、この発明による車両用灯具は光軸を車両側方(左側方または右側方)に向けて画像光を出射するものとして構成することもできる。
【0034】
前記実施の形態ではこの発明による車両用灯具を車両外部の側部下部の下面に設置したが、この発明による車両用灯具は該下部の側面(外壁面)または該下部の下側面(下面と側面の境界に位置する面)に設置することもできる。また、前記実施の形態ではハウジングの後面(出射側端面)とコーナー面どうしを不連続面としたが、連続面とする〔例えば後面(出射側端面)とコーナー面どうしを連続した曲面とする〕こともできる。また前記実施の形態では、光路折曲げミラーを板状のミラーで構成したが、プリズムで構成することもできる。
【符号の説明】
【0035】
10…車両、11…ドア、12…サイドステップ、13…車両底面、14L,14R…車両側方投影ランプ(車両用灯具)、16L,16R,16R’…画像光、16R0…白色LEDから放射された光、16La,16Ra…光軸、18…地面、20…投影ユニット、22…ブラケット、22a…上板、22b…前板(左用衝立面)、22c…後板(右用衝立面)、24…ハウジング、24a…上面、24a1…突出部、24a2…くびれ部、24a3…突出部、24b…下面、24c…前面、24d…後面(出射側端面)、24e…右側面、24f…左側面、24g…コーナー面、24h…立上り壁面、24-1…本体、24-2…蓋、25…内部空間、26…リベット通し穴、28…切欠き、30…切欠き、32…開口、34…透明板、36,36’…窓、38…開口、40…コネクタシール、42…取付け挟持片、44…開口、48…内部構造体、50…プリント基板、51…回路素子、52…コネクタ、53…光学系、54…レンズ群、56…光路折曲げミラー、58…凹面鏡、60…フレーム、60a…遮光壁、62…白色LED(光源)、64…熱伝導シート、66…レンズ、68…レンズ、70…画像フィルム、72…集光点、L1…右側サイドステップの外壁面の左右方向位置を示す線、L2…右側サイドステップの下端面の高さ方向位置を示す線、P,P’…投影像の車両外壁面寄りの端部。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図9