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  • 特開-タケノコの多収栽培法 図1
  • 特開-タケノコの多収栽培法 図2
  • 特開-タケノコの多収栽培法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157481
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】タケノコの多収栽培法
(51)【国際特許分類】
   A01G 22/05 20180101AFI20241030BHJP
【FI】
A01G22/05 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071895
(22)【出願日】2023-04-25
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523023199
【氏名又は名称】川渕 良範
(74)【代理人】
【識別番号】100140110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵子
(72)【発明者】
【氏名】川渕 良範
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AB20
(57)【要約】
【課題】タケノコ園を高収益化でき、日射障害、高温障害及び連作障害を防ぐ、新たなタケノコ栽培法の提供。
【解決手段】タケノコの親竹の間隔を3m以上にし、前記親竹間に他の作物を混作する、タケノコの多収栽培法である。好ましくは、前記親竹の間隔を5mから10m未満にし、前記親竹の間に果樹や半日陰で育つ作物を混作してタケノコを多収化し、混作した作物も収益化する栽培法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タケノコの親竹の間隔を3m以上にし、前記親竹間に他の作物を混作する、タケノコの多収栽培法。
【請求項2】
前記親竹の間隔を5mから6mにする、請求項1に記載のタケノコの多収栽培法。
【請求項3】
前記親竹の間隔を10m未満にする、請求項1に記載のタケノコの多収栽培法。
【請求項4】
前記他の作物は、キウイ、カキ、ウメ、ビワ、モモ、ブドウ及び柑橘類から成る群から選択される果樹である、請求項1に記載のタケノコの多収栽培法。
【請求項5】
前記他の作物は、半日陰で育つ作物である、請求項1に記載のタケノコの多収栽培法。
【請求項6】
前記半日陰で育つ作物は、セロリ、シソ、ニラ、ネギ、ハスイモ、ヤマイモ、サトイモ、アスパラガス、フキ、ウド、ミツバ、セリ、イタドリ、ワラビ、ゼンマイ、ショウガ及びジャガイモから成る群から選択される作物である、請求項5に記載のタケノコの多収栽培法。
【請求項7】
前記他の作物は、連作障害がある、請求項1に記載のタケノコの多収栽培法。
【請求項8】
前記ショウガを前記親竹間で連作することを含む、請求項6に記載のタケノコの多収栽培法。
【請求項9】
前記サトイモを前記親竹間で連作することを含む、請求項6に記載のタケノコの多収栽培法。
【請求項10】
前記他の作物は、キウイ、カキ、ウメ、ビワ、モモ、ブドウ及び柑橘類から成る群から選択される果樹と、セロリ、シソ、ニラ、ネギ、ハスイモ、ヤマイモ、サトイモ、アスパラガス、フキ、ウド、ミツバ、セリ、イタドリ、ワラビ、ゼンマイ、ショウガ及びジャガイモから成る群から選択される作物とを組み合わせることを含む、請求項1に記載のタケノコの多収栽培法。
【請求項11】
前記親竹が生えているタケノコ園の周辺部に、キウイ、カキ、ウメ、ビワ、モモ、ブドウ及び柑橘類から成る群から選択される果樹を植えることを含む、請求項1に記載のタケノコの多収栽培法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タケノコの多収栽培法に関し、詳しくは、タケノコと他の作物との混作による、タケノコの多収栽培法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタケノコ栽培では、親竹の本数がタケノコの発生本数や大きさに影響を与えると言われている。例えば、親竹の本数が1000m当たり約100本(親竹間隔が約3.4m)から約150本(親竹間隔が約2.65m)であると、タケノコの発生本数が多く、早い時期から発生し、小さいタケノコが多くなる傾向にある。また、親竹の本数が1000m当たり約250本(親竹間隔が約2m)から約350本(親竹間隔が約1.7m)であると、タケノコの発生本数は少なくなるが、遅めに発生し大きなタケノコが収穫できる傾向にある。
【0003】
また、タケノコを多く収穫するには、親竹の葉に太陽光が十分に届くことが重要である。また、親竹の本数が多すぎて密度が高いと地下茎の水分や養分が不足する。よって、高品質のタケノコを多く生産するためには、親竹の本数や間隔、土の水分や養分が重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】熊本県林業研究指導所「林業普及資料第27号 タケノコ栽培の手引」1989年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、農業者の高齢化の問題が生じて久しいが、タケノコ農家も例外ではなく、タケノコ園の維持・管理に大きな労力がかかり、高齢の農家がタケノコ園を収益化し続けることは難しいという問題があった。また、竹林を有する農家の多くは、他の農作物を栽培しながら、タケノコ収穫時期になると、負担のかからない程度に少々のタケノコを収穫・販売してわずかな売上を得るのみで、充分な収益が得られないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、竹に侵食されて竹林になってしまった放置畑を所有していた。その放置畑では、人が通れないくらいに竹が密集しており、タケノコもあまり生えなかった。そこで、竹林になった放置畑を元の畑にするために開墾し、柑橘類を植えた。しかし、柑橘類の果実が収穫できるまで時間がかかる。そこで、本発明者は、柑橘類が収益化するまでタケノコを収穫できたらよいと考え、竹林を全部伐採せず、竹を5mから6m程度の間隔で残した。また、竹を残すことにより、近年の日射障害、高温障害の対策にもなる。更に、竹の間隔が5mから6m程度あるので、畑の水分量が多い場所、少ない場所などの状態・条件を考慮して、柑橘類だけでなく他の作物(例えばサトイモやショウガなど)も植えた。その結果、思いがけず大量のタケノコが発生するようになった。
【0007】
加えて、竹には、抗菌、防カビ、殺虫性、抗ウイルス効果や抗酸化効果があることが知られていることに鑑み、本発明者は、タケノコ園に他の作物を混作すると竹の持つ抗菌作用や殺虫作用などが前記他の作物に対して有効に作用する可能性がある、と考えた。この考えが正しければ、混作した作物の無農薬栽培の実現が期待できる。なお、本発明者が知る限り、タケノコ園に他の作物を意図的に植えることは、今まで行われていない。また、農家は従来の常識に捕らわれており、タケノコ園に竹以外の作物を植えようという発想が生まれることも無い、と思われた。
【0008】
本発明者は、放置畑の竹林を全部伐採せずに、親竹の間隔を従来よりも広く取り、他の作物を混作することにより、本発明者のタケノコ園では、一般的なタケノコ園で収穫できる数倍の量のタケノコを収穫することができた。また、タケノコの収穫時期以外に他の作物を収穫して収益を上げることができるので、タケノコの高収益と他の作物の収穫物による収益とを毎年得るに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、タケノコの親竹の間隔を3m以上にし、前記親竹間に他の作物を混作する、タケノコの多収栽培法である。好ましくは、前記親竹の間隔を5mから6m前後にする。また、混作する作物の種類によって、8mから10m未満にしてもよい。このように、親竹の間隔を従来のタケノコ園よりも広めにして3mから10m未満にすると、地下茎が地表下で1年に3mから5m程度、四方八方に伸長し、タケノコが至る所に生えるようになるので好ましい。
【0010】
タケノコ園の中で混作する作物は、親竹の間隔が広いので、例えば、キウイ、カキ、ウメ、ビワ、モモ、ブドウ、柑橘類から成る群から選択される果樹類を1種類又は2種類以上選択して混作することができる。また、タケノコ園の周辺部にもこれらの果樹を栽培してもよい。竹の葉は上部に集まっており日陰を作らないので、タケノコ園の周辺はより日当たりがよく、好ましい。なお、前記果樹類は特に限定されず、その地方の気候や土壌に合ったものを選択することができる。
【0011】
親竹と混作するその他の作物として、タケノコ園の中で栽培することを考慮すると、半日陰で育つ作物でもよい。竹林は風で動き、固定した日陰を作ることがなく、日射障害や高温障害を防ぐことができる。例えば、セロリ、シソ、ニラ、ネギ、ハスイモ、ヤマイモ、サトイモ、アスパラガス、フキ、ウド、ミツバ、イタドリ、ワラビ、ゼンマイ、セリ、ショウガ及びジャガイモなどが挙げられる。これらの作物のうち1種類又は2種類以上選択して混作することができる。
【0012】
また、親竹と混作する作物は、連作障害があってもよい。竹の抗菌、殺虫作用等が働いて、連作障害を防ぐことができる。例えば、連作障害があるサトイモやショウガなどをタケノコ園で混作すると、翌年以降も続けて栽培が可能である。
【0013】
更に、前記果樹類と前記半日陰で育つ作物とを適宜組み合わせてタケノコ園の中で混作してもよい。例えば、柑橘類とサトイモ、柑橘類とショウガ、または柑橘類とサトイモ及びショウガとを組み合せることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタケノコ多収栽培法によれば、タケノコの収穫量が増え、かつタケノコ収穫時期以外に混作した作物を収穫することにより、高い収益化を実現することができる。また、竹林に他の作物を混作することにより、竹の抗菌性や殺虫性効果が発揮され、農薬を使用することなく収穫物を得ることができる。更に、他の作物を混作するときに、竹林を耕すので、古い地下茎が除かれて竹林の新陳代謝を促すことができる。また更に、作物栽培では一般的に過剰な肥料を施す傾向にあるが、本発明によれば、他の作物を栽培するための肥料だけを与えても、当該他の作物と親竹とがそれぞれに必要な栄養分を吸収しあい、バランスがとれて、地下茎の根タケノコの収量が従来以上に増加する。収穫されたタケノコは、うまみが増し、刺身(生)で食べられるような、高品質のタケノコになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、タケノコ園で大量にタケノコが発生している様子(収穫予定時に2日間雨が降ったためタケノコが伸長した後)を示す図面代用写真である。
図2図2は、タケノコ園の中に柑橘類を混作し、その周囲に雑草が生えている様子を示す図面代用写真である。
図3図3は、タケノコ園の中に柑橘類とサトイモ及びショウガを植えた様子を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
タケノコ園の竹は、モウソウチク、ハチク、マダケのような太いものが挙げられるが、これらに限定されない。シホウチク、ネマガリタケ、カンザンチク、リョクチクなどの細い竹でもよく、この場合は親竹を集団配置(小島状)にすることなどが考えられる。前記太い竹、前記細い竹の集団配置は、少なくとも3m以上にして日当たりを確保する。また、混作する作物を考慮して親竹の間隔をさらに空けることができる。なお、竹林は、お互いの竹の枝や葉で支えあって強風や台風に耐えて維持しているので、特にモウソウチク、ハチク、マダケは、親竹の間隔を10m以上にすると、竹の基部が割れて根元から倒伏し、健康な竹林が保てないことがある。
【0017】
タケノコは、一般的に行われている方法で栽培すればよい。タケノコの栽培方法の概略は以下のとおりであるが、これに限定されない:
(1)栽培場所
タケノコは暖かく湿気の多い環境を好むため、タケノコ園は十分な日光を受け、排水の良い土壌を有する場所がよい。タケノコは様々な種類の土壌で育つが、有機物やケイ素が豊富な赤土が好ましい。
【0018】
(2)親竹の管理
タケノコは、2~6年の地下茎から多く発生し、3年生前後の地下茎から最も多く発生する。1年生地下茎や7~8年の地下茎になると、タケノコの発生が著しく少なくなる。そこで、親竹の年数を把握しておき、毎年古い親竹を伐採し、新しい親竹に更新する。伐採を怠ると、すぐに人が通れないほど密な竹林になる。伐採対象は5年~6年生以上の竹である。伐採の時期は、栽培者それぞれが工夫した独自の時期があるが、本発明者の場合、タケノコ収穫後の夏から秋は、竹林の草刈り時に、いわゆる養生竹を同時に刈り取る。1月から2月は適宜草刈りや間伐を行い、目安として、親竹同士の間隔が平均3m以上になるようにする。タケノコ収穫後の5月くらいになると、親竹の1m前後の周辺から将来良い親竹になりそうな大きな竹が生えていれば、その竹を新たな親竹とし、古い親竹を竹伐して交換する。
【0019】
例えば、通常ならば親竹が100m当たり30本~50本程度生えているところ、本発明では親竹が100m当たり5本から9本程度である。2年生から5年生又は6年生の親竹の地下茎にタケノコが多く発生するので、本発明では古い親竹から新たな親竹に変えていく場合、5年生又は6年生の古い親竹の周囲1m以内に新たな親竹候補を見つけて、毎年、前記古い親竹を順に、1本多く2本を伐採して新しい親竹に移行すれば、5年で親竹を全部入れ替えることができる。新たな親竹には、古い親竹の周囲に生えた将来良い親竹になりそうなものであって、かつ親竹同士の距離を維持できる配置になるような竹を選別する。これにより、毎年親竹を更新しつつ、均等な位置に親竹を配置できる。
【0020】
(3)施肥
タケノコのためだけの肥料を施すことは、特に要求されない。混作する作物に合わせて施肥をすればよく、それでも足りなければタケノコ用の肥料を追加してもよい。化学肥料は使わず、有機物又は天然由来のカルシウム、マグネシウム、窒素、リン酸、カリウム等を、作物に適宜与えればよい。タケノコ用の肥料を与える場合は、窒素、リン酸、カリウム、ケイ酸による肥料を施肥してもよい。
【0021】
(4)収穫
タケノコは若くて柔らかい時期に収穫することが好ましい。栽培地域の気候等により違いはあるが、1月から2月まで量は少ない。3月頃から本格的にタケノコが発生し始める。本発明によるタケノコ園は、親竹の間隔が広く、通常のタケノコ園よりも日当たりが良い。よって、近郊の一般的なタケノコ園よりも1週間から10日程度早くタケノコが発生し、高く取引することができる。
【0022】
本発明では、タケノコ園に他の作物を混作するので、例えば、サトイモやショウガ、柑橘を植えると、秋(10月~11月頃)にサトイモやショウガを収穫し、冬(12月~1月頃)に柑橘を収穫し、その後、春のタケノコ収穫時期に入ることができる。これにより、農家の収入が途切れず、効率的に売上を伸ばすことができる。
【0023】
(5)その他
タケノコ園では手入れを怠ると、地表に古い毛根が出て1cm程度の層を形成して地表を覆い、地面が硬くなってしまう。そのため、タケノコ園を耕して古い毛根を無くし、新しい毛根が出るように作業を行うことが必要となる。本発明では、他の作物をタケノコ園で混作するので、必然的にタケノコ園を耕すことになり、竹の古い毛根を除却できるので、タケノコの発生を促すことができる。そして他の作物の栽培のための肥料を施肥すれば、養分が作物だけでなく親竹にも無駄なくまわすことができ、タケノコの生育を促すことができる。よって、親竹のための施肥を行わなくてもよい。
【0024】
また、混作する作物に、病気や害虫が付くことが少なくなる。年を重ねるほど作物が病気等に対して強くなる。これは、作物の周囲に生えている親竹の抗菌、防カビ、殺虫性、抗ウイルス効果や抗酸化効果が効いていると考えられる。よって、農薬や殺虫剤を使わない無農薬栽培が実現できる。また、連作障害があるショウガやサトイモを毎年タケノコ園に混作しても問題なく栽培・収穫できる。
【実施例0025】
本発明者は、モウソウチクの竹藪になっていた放置畑の竹を3~5m間隔になるように間引き、竹の間や畑の周囲に柑橘類(「せとか」や「レモン」)を植えた。その結果、タケノコ収穫時期になって、収穫が追い付かないほどタケノコが発生した(図1)。4月中旬のタケノコ収穫最盛期の1週間に、タケノコ園8000mにおいて、多い日で20~30コンテナ(1コンテナ20kg、すなわち400~600kg/日)の量のタケノコが収穫できた。一般的なタケノコ園の収穫量と比較にならないくらいに収穫でき、高い収益につながった。また、収穫したタケノコは、えぐ味がなくて味がよく、白いものが多かった。
【0026】
なお、前記柑橘類には有機肥料を施肥したが、農薬や殺虫剤は使用しなかった。柑橘類を混植して1年目から2年目は、柑橘の葉に蝶や蛾の幼虫が付いて、葉を食い荒らして殆どの葉が無くなることがあった。しかし、農薬・殺虫剤不使用を続け、3年目から、葉を食い荒らす幼虫の天敵であるテントウムシ、カマキリ、ハチ、カエルなどが住み着いて、葉が食い荒らされることが無くなった。
【0027】
また、前記柑橘類は無農薬栽培にすると、ミカンサビダニやミカンハダニ等の害虫ダニ類が発生して、果実に斑点が付くなど、見た目や品質等が悪くなり商品価値が下がる。前述のように柑橘類をタケノコ園に混植して有機肥料を施肥し、無農薬栽培を行ったところ、1年から3年はそのような被害を受けた。しかし、柑橘類や親竹の根元に雑草を残し、有機肥料・無農薬栽培を続けることにより(図2)、前記害虫ダニの天敵であるカブリダニ等の益虫ダニが生息し、4年目から益虫ダニが害虫ダニを駆逐し、被害を防ぐことができた。
【実施例0028】
ハチクの場合、親竹を3mから6m程度の間隔にし、柑橘類を同様に有機肥料・無農薬栽培で混作したところ、タケノコの収穫期には、足の踏み場がなく、歩くと新しいタケノコの芽を潰してしまうほどのタケノコが発生した。
【実施例0029】
タケノコ園の親竹の間隔を5mから10m未満にし、柑橘類に加えてサトイモとショウガを混作し、親竹用の肥料は与えず、混作した作物に有機肥料を与える無農薬栽培を行った(図3)。なお、図3は、タケノコ収穫中の春先に撮影されたものであり、サトイモとショウガの芽は未だ出ていない。前述のように、秋にサトイモとショウガを収穫し、冬に柑橘類を収穫し、春にタケノコを収穫することができ、年間に渡って収益を上げることができた。
【実施例0030】
ショウガは連作障害があり、5年間は栽培できないと言われている。ショウガを連作すると、根底腐敗病やシラフシ病、線虫被害が生じやすい。
そこで竹の殺菌効果や殺虫効果を期待して、前記モウソウチクのタケノコ園にショウガを混作した。栽培中、ショウガに施肥を行ったが、親竹に対する施肥は行わなかった。また、農薬は使用しなかった。根底腐敗病やシラフシ病、線虫等の被害については、混作1年目にわずかに病気が出たが、2年目、3年目と連作するたびに、病気に強くなっていった。結果、無農薬の有機栽培であるにもかかわらず、本発明の出願時点で5年間ショウガの連作に成功した。
【実施例0031】
サトイモも連作障害があり、3年から4年、好ましくは5年以上間隔をあけて栽培することがよいと言われている。
そこで、前記モウソウチクのタケノコ園にサトイモを混作した。サトイモ栽培中は、肥料切れを起こさないように追肥を行った。親竹に対する肥料は使用しなかった。また、農薬も使用しなかった。サトイモを連作すると乾腐病が発生しやすくなるが、本発明者のタケノコ園に混作したサトイモは、1年目から病気になることもなく、連作にも何ら問題は生じなかった。結果、無農薬の有機栽培であるにもかかわらず、本発明の出願時点で5年間サトイモの連作に成功した。
【産業上の利用可能性】
【0032】
タケノコと他の作物との混作によるタケノコ多収栽培は、実施例の作物だけでなく、他の複数の作物を混作することもできる。また、無農薬栽培に応用できる。更に、適切な作物の様々な組み合せにより、年間を通して収入が得られるタケノコ園を作ることができる。
図1
図2
図3