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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157489
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】ゴルフフォームチェック器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/00 20150101AFI20241030BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20241030BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20241030BHJP
【FI】
A63B53/00 E
A63B69/36 501Z
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071903
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】323002598
【氏名又は名称】次森 治夫
(74)【代理人】
【識別番号】100101524
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】次森 治夫
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA09
2C002LL04
2C002ZZ01
(57)【要約】
【課題】ゴルフのフォームをチェックし、トウダウンが生じることを防止して、ゴルフの技能を向上させることに供する。
【解決手段】ゴルフクラブのシャフトSのグリップGに取り付けられる取付部20と、取付部20に設けられた発光体30と、発光体30の一部を遮蔽する筒状体40(遮蔽体)とを有する。筒状体40は、使用者を基準に筒状体40が所定の向きにある状態において使用者に受光部位45が視認されることを許容し、筒状体40が所定の向き以外にある状態において使用者に筒状体40によって受光部位45が視認されることを許容しない。取付部20に対する筒状体40の向きは、調整可能である。
【選択図】図5A2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフのフォームをチェックする器具であって、
シャフトとヘッドとを有するゴルフクラブの当該シャフトに取り付けられる取付部と、
前記取付部に設けられた発光体と、
前記発光体の一部を遮蔽する遮蔽体と
を有する、ゴルフフォームチェック器具。
【請求項2】
請求項1に記載のゴルフフォームチェック器具であって、
前記遮蔽体は、使用者を基準に当該遮蔽体が所定の向きにある状態において当該使用者に前記発光体が視認されることを許容し、当該遮蔽体が所定の向き以外にある状態において当該使用者に前記発光体が視認されることを許容しないものである、
ゴルフフォームチェック器具。
【請求項3】
請求項1に記載のゴルフフォームチェック器具であって、
前記遮蔽体は、前記発光体から発せられた光を受けて反射する受光部位を有し、使用者を基準に当該遮蔽体が所定の向きにある状態において当該使用者に前記受光部位が視認されることを許容し、当該遮蔽体が所定の向き以外にある状態において当該使用者に前記受光部位が視認されることを許容しないものである、
ゴルフフォームチェック器具。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のゴルフフォームチェック器具であって、
前記取付部に対する前記遮蔽体の向きが調整可能である、
ゴルフフォームチェック器具。
【請求項5】
請求項4に記載のゴルフフォームチェック器具であって、
前記遮蔽体が筒状体である、
ゴルフフォームチェック器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフのフォームをチェックする器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフは、老若男女が自然の中で各人のペースで楽しむことができるため、幅広い層において支持されている。
ゴルフは、地面(芝生)上又はその近傍に設置されたボールをクラブで打つことによってボールを飛ばしたり転がしたりして、そのボールを所定の各ホールに入れることを目的としている。そして、その打数が少ない方が優先的な地位を受けることとなる。すなわち、競技者は、打数の少なさを競うのである。
このため、打数を少なくするには、ボールを適切な方向に、適切な距離を飛ばしたり転がしたりすることが必要となる。
【0003】
ところで、特に初心者にとっては、ボールを適切な方向に飛ばすことがことが困難である。
その要因の1つとして、スイングの際にトウダウンが生じる、というものがある。
ここで、「トウダウン」とは、ゴルフクラブをスイングする際に、ヘッドのうちの先端部(シャフトと接続される基端部とは反対側の部分)であるトウが、そのスイングの際にヘッド(特にトウ)に作用する遠心力に基づいて、アドレス(ゴルフボールを打つ前にゴルフクラブを持って構える動作)の際よりも下がってしまうことである。
これによって、ボールは、所望の方向から外れた方向に飛んでしまうこととなるのである。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術として、特許文献1に記載されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-94640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ゴルフ(ゴルフクラブのスイング)を行う際のフォームをチェックすることによって、そのフォームを適切なものにして、いわゆるトウダウンが生じることを防止して、ゴルフの技能を向上させることに供することができる器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様のゴルフフォームチェック器具は、ゴルフのフォームをチェックする器具であって、シャフトとヘッドとを有するゴルフクラブの当該シャフトに取り付けられる取付部と、前記取付部に設けられた発光体と、前記発光体の一部を遮蔽する遮蔽体とを有する、ゴルフフォームチェック器具である。
【0008】
「当該シャフトに取り付けられる」の代表例として、「当該シャフトのうち基端部の側の部分であるグリップに取り付けられる」がある。
【0009】
この態様のゴルフフォームチェック器具では、発光体の一部が遮蔽体によって遮蔽されているため、シャフトの姿勢によっては、発光体から発せられる光(その直接光又は反射光)が、使用者によって視認されたり、視認されなかったりする、ということがあり得る。
その場合は、光が視認される場合は、シャフトが正しい姿勢にあり、スイングのフォームが正しく、光が視認されない場合は、シャフトが正しくない姿勢にあり、スイングのフォームが正しくないという関係にもなり得る。
逆に、光が視認されない場合は、シャフトが正しい姿勢にあり、スイングのフォームが正しく、光が視認される場合は、シャフトが正しくない姿勢にあり、スイングのフォームが正しくないという関係にもなり得る。
それらの場合には、光が視認されるか否かによって、使用者のスイングのフォームが正しいか否かを判定することが可能となる。
こうして、このゴルフフォームチェック器具では、使用者が自身のスイングのフォームが正しいか否かをチェックして、スイングのフォームを向上させることが可能となるのである。
【0010】
本発明の第2の態様のゴルフフォームチェック器具は、第1の態様のゴルフフォームチェック器具であって、前記遮蔽体は、使用者を基準に当該遮蔽体が所定の向きにある状態において当該使用者に前記発光体が視認されることを許容し、当該遮蔽体が所定の向き以外にある状態において当該使用者に前記発光体が視認されることを許容しないものである、ゴルフフォームチェック器具である。
【0011】
この態様のゴルフフォームチェック器具では、第1の態様のゴルフフォームチェック器具の作用効果がより具体的に得られる。
すなわち、このゴルフフォームチェック器具では、使用者を基準に遮蔽体が所定の向きにある状態において、発光体から発せられる光が遮蔽体によって遮蔽されず、使用者には、その光(直接光)が視認される。一方、遮蔽体が所定の向き以外にある状態において、発光体から発せられる光が遮蔽体によって遮蔽され、使用者には、その光(直接光)が視認されない。
こうして、発光体から発せられる光(直接光)が視認されるか否かによって、使用者のスイングのフォームが正しいか否かを判定することが可能となる。
このため、このゴルフフォームチェック器具では、使用者が自身のスイングのフォームが正しいか否かをチェックして、スイングのフォームを向上させることが可能となるのである。
【0012】
本発明の第3の態様のゴルフフォームチェック器具は、第1の態様のゴルフフォームチェック器具であって、前記遮蔽体は、前記発光体から発せられた光を受けて反射する受光部位を有し、使用者を基準に当該遮蔽体が所定の向きにある状態において当該使用者に前記受光部位が視認されることを許容し、当該遮蔽体が所定の向き以外にある状態において当該使用者に前記受光部位が視認されることを許容しないものである、ゴルフフォームチェック器具である。
【0013】
この態様のゴルフフォームチェック器具でも、第1の態様のゴルフフォームチェック器具の作用効果がより具体的に得られる。
すなわち、このゴルフフォームチェック器具では、使用者を基準に遮蔽体が所定の向きにある状態において、発光体から発せられ受光部位において反射される光が遮蔽体によって遮蔽されず、使用者には、その光(反射光)が視認される。一方、遮蔽体が所定の向き以外にある状態において、発光体から発せられ受光部位において反射される光が遮蔽体によって遮蔽され、使用者には、その光(反射光)が視認されない。
こうして、発光体から発せられ受光部位において反射される光が視認されるか否かによって、使用者のスイングのフォームが正しいか否かを判定することが可能となる。
このため、このゴルフフォームチェック器具でも、使用者が自身のスイングのフォームが正しいか否かをチェックして、スイングのフォームを向上させることが可能となるのである。
【0014】
本発明の第4の態様のゴルフフォームチェック器具は、第2又は第3の態様のゴルフフォームチェック器具であって、前記取付部に対する前記遮蔽体の向きが調整可能である、ゴルフフォームチェック器具である。
【0015】
この態様のゴルフフォームチェック器具は、第2又は第3の態様のゴルフフォームチェック器具の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
前述したように、第2又は第3の態様のゴルフフォームチェック器具では、発光体から発せられる光(直接光又は反射光)が使用者に視認されるか否かによって、シャフトの姿勢が正しいか否か、ひいては使用者のスイングのフォームが正しいか否かが判定されるのであるが、使用者の属性(その身長等)によって、その遮蔽体をどのような向きにしたらそのようになるかは異なるのが一般的である。
このゴルフフォームチェック器具では、遮蔽体の向き(取付部に対する向き、ひいてはシャフトに対する向き)が調整可能であるため、使用者の属性に応じて遮蔽体の向きを調整することによって、使用者が異なっても、発光体から発せられる光の視認の有無によって、シャフトの姿勢の正否、ひいては使用者のスイングのフォームの正否を判定することが可能となるのである。
【0016】
本発明の第5の態様のゴルフフォームチェック器具は、第1~第4のいずれかの態様のゴルフフォームチェック器具であって、前記遮蔽体が筒状体である、ゴルフフォームチェック器具である。
【0017】
この態様のゴルフフォームチェック器具は、第1~第4のいずれかの態様のゴルフフォームチェック器具の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
このゴルフフォームチェック器具では、遮蔽体が筒状体であるため、その周壁部において発光体が遮蔽され、その開口部において発光体又は受光部位(発光体から発せられた光を受けて反射する部位)が視認され得る。
こうして、第1~第4のいずれかの態様のゴルフフォームチェック器具の作用効果が具体的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本発明の実施例1のゴルフフォームチェック器具を示す斜視図である。
図1B】本発明の実施例1のゴルフフォームチェック器具を示す縦断面図である。(a)は取付部の長さ方向に延びる鉛直平面で仮想的に切断した際の断面図であり、(b)は取付部の長さ方向とは垂直に延びる鉛直平面で仮想的に切断した際の断面図である。
図2】本発明の実施例1のゴルフフォームチェック器具を示す分解斜視図である。
図3】本発明の実施例1のゴルフフォームチェック器具のゴルフクラブに対する取付状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施例1のゴルフフォームチェック器具のゴルフクラブに対する取付状態を示す要部拡大図である。(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図5A1】本発明の実施例1のゴルフフォームチェック器具の使用方法を示す側面図である。正しいフォームでスイングした場合の図である。
図5A2図5A1の要部の拡大図である。
図5B1】本発明の実施例1のゴルフフォームチェック器具の使用方法を示す側面図である。トウダウンしたフォームでスイングした場合の図である。
図5B2図5B1の要部の拡大図である。
図6A】本発明の実施例2のゴルフフォームチェック器具を示す斜視図である。
図6B】本発明の実施例2のゴルフフォームチェック器具を示す縦断面図である。(a)は取付部の長さ方向に延びる鉛直平面で仮想的に切断した際の断面図であり、(b)は取付部の長さ方向とは垂直に延びる鉛直平面で仮想的に切断した際の断面図である。
図7A】本発明の実施例2のゴルフフォームチェック器具の使用方法を示す要部拡大側面図である。正しいフォームでスイングした場合の図である。
図7B】本発明の実施例2のゴルフフォームチェック器具の使用方法を示す要部拡大側面図である。トウダウンしたフォームでスイングした場合の図である。
【0019】
[実施例1]
次に、本発明の実施例1について、図1図5B2に基づいて説明する。
図3に示すように、ゴルフクラブCは、周知のように、シャフトSとヘッドHからなっている。シャフトSの先端部にヘッドHの基端部が接続されている。シャフトSのうちの基端部の側の部分は、把持用の表皮材が被覆されて、グリップGとされている。
【0020】
図1A図2に示すように、このゴルフフォームチェック器具は、本体部10,取付部20,発光体30,筒状体40(遮蔽体)を有している。
そして、図3及び図4等に示すように、このゴルフフォームチェック器具は、取付部20においてゴルフクラブCに取り付けられて使用される。
【0021】
図1A図2に示すように、本体部10は、いわゆるボールジョイントの構造を有しており、以下のように角度調整が可能である(図4(b)も参照)。
本体部10は、ソケット11,枢動体15を有している。枢動体15は、球状部16,接続部17を有している。接続部17は、小さな円柱状をしている。
ソケット11は、枢動体15の球状部16に対応して、略半球状(半球よりもやや大きい)の空洞部12を有している。ソケット11の空洞部12に、枢動体15の球状部16が枢動可能に収容されている。
【0022】
枢動体15はソケット11に対して枢動可能ではあるが、その枢動には所定の抵抗が作用するようにされている。
すなわち、使用者が手で操作することによって、枢動体15はソケット11に対して枢動するが、使用者が操作をしない場合は、枢動体15はソケット11に対して枢動しない。さらには、図3及び図4等に示すように、ゴルフクラブCに取り付けられて使用される際(すなわち、ゴルフクラブCに取り付けられた状態でゴルフクラブCがスイングされた際)に作用する力によっても、枢動体15はソケット11に対して枢動しない。そのような抵抗が存在する。
【0023】
こうして、図4(b)に示すように、本体部10において、ソケット11に対する枢動体15の各種の角度が調整可能なのである。
そのうち、図1A及び図1Bに示すように、枢動体15の基本的な角度位置のことを基本角度位置ということとする。すなわち、枢動体15が基本角度位置にある状態において、枢動体15の接続部17は、ソケット11の円形の開口部(符号省略)の中心と同軸上にある。
【0024】
図1A図2に示すように、取付部20は、合成樹脂によって形成されたベルト状をしており、可撓性を有しているとともに、弾性的に伸縮可能である。
取付部20のほぼ中央部(長さ方向におけるほぼ中央部)には、ほぼ円形状に幅広にされた略円形幅広部21が形成され、その中央部には貫通孔22が形成されている。
そして、略円形幅広部21を挟んで、ネジ28が、取付部20の裏側から貫通孔22(図2等)を通して本体部10(そのソケット11)の底部に形成されたネジ穴(図示省略)に螺合されている。こうして、本体部10は、取付部20に結合されている。
【0025】
取付部20のうち、略円形幅広部21を基準に一方の部分の先端部には、係合片25が設けられている。同じく他方の部分には、その長さ方向に沿って複数の被係合孔26が形成されている。
そして、図3及び図4に示すように、取付部20がゴルフクラブCのシャフトS(グリップG)を一巡し、取付部20が弾性的に伸長された状態で、係合片25が所定の被係合孔26に係合されることによって、このゴルフフォームチェック器具がゴルフクラブCのシャフトS(グリップG)に取り付けられる。
【0026】
図1A図2に戻り、発光体30は、ほぼ円柱状をなし、その内部に発光ダイオード(図示省略)を有している、発光体30は、電池(図示省略)を伴っており、その電池から供給される電流によって発光する。
【0027】
筒状体40は円筒状をしており、その基端部において、本体部10の枢動体15の接続部17(その先端部)に対して同軸上に固定されている。
筒状体40は、合成樹脂によって形成されており、光透過率が低いとともに、特にその内側面において光反射率が高い材質・色彩等のものによって形成されている。
【0028】
発光体30の外径は筒状体40の内径に対応しており、発光体30は、筒状体40の内部に収容されている。
発光体30は、基本的に、筒状体40の内部において、所定の深さ位置に位置づけられている。その位置を基本位置ということとする。
すなわち、発光体30は、弾性体(スプリング)(図示省略)によって、筒状体40から突出する方向に付勢されているとともに、ストッパ(図示省略)によって、基本位置よりも筒状体40から突出することが阻止されている。
【0029】
そして、発光体30は、筒状体40の内部に没入する方向に押圧されることによって、基本位置よりも筒状体40の内部に没入し、その押圧が外されることによって、基本位置に戻るとともに、発光するようになる。
また、発光体30は、再度筒状体40の内部に没入する方向に押圧されることによって、基本位置よりも筒状体40の内部に没入し、その押圧が外されることによって、基本位置に戻るとともに、消灯するようになる。
このように、発光体30がオンオフされるように構成されている。
【0030】
そして、発光体30と筒状体40との間の関係は、次のとおりである。
前述したように、発光体30はほぼ円柱状をしており、発光体30(基本位置)の先端部は、平面状(筒状体40の長さ方向と垂直な平面状)をしている。そして、図1A及び図1Bに示すように、筒状体40の先端部よりも若干基端部の側(取付部20の側)に位置している。
こうして、図1A及び図1Bに示すように、発光体30が基本位置に位置する状態で、筒状体40の内側面のうちの先縁部(先端部の縁)の近傍は露出しており、その部位が受光部位45である。受光部位45は、発光体30から発せられる光によって明るくなり、その光(その大半)を反射する。
【0031】
次に、ゴルフフォームチェック器具の使用方法及び作用効果について説明する。
このゴルフフォームチェック器具は、図3及び図4に基づいて前述したように、ゴルフクラブCのシャフトSのうちのグリップGのうちの下部(ヘッドHの側の部分)に取り付けられて使用される。
【0032】
その際、図5A1及び図5B1に示すように、このゴルフフォームチェック器具は、シャフトSを基準として、使用者(その下半身)と反対側に位置する。そのようになるように、取り付けられる。
【0033】
図4等に示すように、取付部20(シャフトS)に対する枢動体15(ひいては筒状体40)の角度については、所定のものになるように調整される。図5A1及び図5B1に示すように、ゴルフクラブCのヘッドHがボールBに当接する瞬間の状態(姿勢)を基準に説明する。
図4等に示すように、筒状体40(枢動体15)は、左右方向(取付部20の長さ方向)においては、中立的な位置(基本角度位置(図1A等)と同一の角度位置)のままとされる。
一方、筒状体40(枢動体15)は、上下方向(取付部20の長さ方向とは垂直な方向であって、シャフトSを含む略鉛直仮想平面に沿った方向)においては、基本角度位置よりも、下方(ヘッドHの側)に傾斜させて、次のような状態とされる。
【0034】
図5A1及び図5A2に示すように、使用者が正しいフォームでゴルフクラブCをスイングする際における傾斜角度(ヘッドHがボールBに当接する瞬間における鉛直からの傾斜角度)にシャフトSがある状態において、使用者の視点から、筒状体40の受光部位45(正確には、その一部)が視認される。その際における視認をする経路について、視認線SLとして示す(以下同様である)。
【0035】
すなわち、図5A2に示すように、使用者の視認線SLは、筒状体40の周壁部(符号省略)のうち使用者に近い側の部分越しに、受光部位45(周壁部のうち使用者から遠い側の部分)に到達する。
こうして、使用者には、受光部位45(周壁部のうち使用者から遠い側の部分)が視認される。
なお、発光体30自体は、筒状体40(その周壁部)に遮られて、使用者に視認されない(図5B2においても同様である)。
【0036】
一方、図5B1及び図5B2に示すように、上述よりも所定以上小さい傾斜角度(鉛直からの傾斜角度)にシャフトSがある状態、すなわちシャフトSが上述よりも所定以上“下垂”して鉛直に近くなった状態においては、使用者の視点から、筒状体40の受光部位45は視認されない。
【0037】
すなわち、使用者の視認線SL1は、筒状体40の周壁部(符号省略)のうち使用者に近い側の部分に遮られて、それ以上進むことができない。一方、同じく視認線SL2は、同じく筒状体40の周壁部のうち使用者に近い側の部分越しに進むが、受光部位45(周壁部のうち使用者から遠い側の部分)に到達することなく、さらに前方に進む(いわゆる“空振り”となる)。
こうして、使用者には、受光部位45(筒状体40の周壁部のうち使用者から遠い側の部分)は、同じく周壁部のうち使用者に近い側の部分によって遮られ、視認されないのである。
【0038】
シャフトS(取付部20)に対する筒状体40(枢動体15)の角度は、上述のようにされる。
【0039】
このため、このゴルフフォームチェック器具では、次のような作用効果が得られる。
図5A1及び図5B1に示すように、使用者は、ボールBを打つべくゴルフクラブCをスイングする際には、ボールBを見ることとなる。すなわち、使用者は、ボールBに向けて視線VLを向けることとなる。その際、その視線VLを中心として、左右方向及び上下方向に広がる視野がある(上下方向の視野については、視野角VAが示されている)。
そして、少なくともヘッドH(そのフェース)がボールBに当接する姿勢にゴルフクラブCがある状態において、このゴルフフォームチェック器具も、その視野内に入っている。
【0040】
そして、図5A1及び図5A2に基づいて前述したように、使用者が正しいフォームでスイングした際には、少なくともボールBを打つ瞬間において、その使用者は、筒状体40の内側面の受光部位45を視認することが可能である(視認線SL参照)。
そして、発光体30から発せられる光が筒状体40の受光部位45において反射し(このことは前述)、使用者は、その反射光を視認することができる。
すなわち、発光体30から発せられた光によって筒状体40の受光部位45は明るくなっており(このことも前述)、その明るくなっている受光部位45を使用者が視認することができるのである。
【0041】
一方、図5B1及び図5B2に示すように、使用者がトウダウンした際には、シャフトSが下垂することになる。そして、それが所定以上の場合は、ボールBを打つ瞬間においても、使用者は、筒状体40の内側面の受光部位45を視認することが不可能である(視認線SL1,SL2参照)。
このため、発光体30から発せられ筒状体40の受光部位45において反射した光も、その使用者は視認することができない(発光体30から発せられる光を直接視認することができないことはもちろんである)。
すなわち、発光体30から発せられた光によって筒状体40の受光部位45は明るくなっているのであるが、その明るくなっている受光部位45を使用者は視認することができないのである。
【0042】
こうして、使用者は、正しいフォームでスイングする場合には、発光体30の反射光を視認することができ(図5A1及び図5A2)、トウダウンすることによって正しくないフォームでスイングする場合には、発光体30の反射光を視認することができない(図5B1及び図5B2)。
このようにして、使用者は、発光体30の反射光を視認できるかできないかによって、自身が正しいフォームでスイングしているか否かをチェックすることが可能となるのである。
【0043】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について、図6A図7Bに基づいて説明する。
実施例2は実施例1の変形例であって、実施例1と同一又は対応する要素については同一又は対応する符号を付して説明を適宜省略し、実施例1との相違点を中心に説明する。対応する要素については、「100」を加えた符号が付されている。
【0044】
図6A及び図6Bに示すように、実施例2においても、ゴルフフォームチェック器具は、本体部10,取付部20,発光体130,筒状体40を有している。
【0045】
発光体130は、ほぼ円柱状をなしているが、その先端部は、先端方向にに凸状に湾曲している。
そして、基本位置にある状態において、発光体130のほぼ全ての部分は筒状体40の内部に収容されているが、その先端面の一部は、筒状体40の先端部から露出している。すなわち、発光体130の先端面の一部(中央部)は、筒状体40の先端部よりもさらに先端側に若干突出している。
【0046】
次に、ゴルフフォームチェック器具の使用方法及び作用効果について説明する。
筒状体40(枢動体15)は、以下のように、所定の角度に調整される。
【0047】
図5A1に示すように、使用者が正しいフォームでゴルフクラブCをスイングする際における傾斜角度にシャフトSがある状態において、その使用者の視点から、図7Aに示すように、発光体130の上面の一部が視認される。
すなわち、筒状体40の収容袋うち使用者に近い部分越しに、発光体130の一部が視認される(視認線SL参照)。
【0048】
一方、図5B1に示すように、上述よりも所定以上小さい傾斜角度(鉛直からの傾斜角度)にシャフトSがある状態、すなわちシャフトSが上述よりも所定以上“下垂”して鉛直に近くなった状態においては、図7Bに示すように、その使用者の視点から、発光体130は視認されない(視認線SL1,SL2参照)。
すなわち、発光体130は、周壁部のうち使用者に近い側の部分によって遮られ、視認されないのである。
【0049】
このため、図5A1に示すように、使用者が正しいフォームでスイングした際には、少なくともボールBを打つ瞬間において、使用者は、図7Aに基づいて前述したように、発光体130の上面の一部を視認可能であり(視認線SL参照)、発光体130から発光される光(直接光)を視認することが可能である。
【0050】
一方、図5B1に示すように、使用者がトウダウンして所定以上シャフトSが下垂した場合は、使用者は、図7Bに基づいて前述したように、発光体130の上面を視認することが不可能であり(視認線SL1,SL2参照)、発光体130から発せられる光(直接光)も視認することができない(発光体130から発せられ筒状体40の内側面で反射された光も視認することができない)。
【0051】
こうして、使用者は、正しいフォームでスイングする場合には、発光体130の反射光を視認することができ(図7A)、トウダウンすることによって正しくないフォームでスイングする場合には、発光体130の反射光を視認することができない(図7B)。
このようにして、使用者は、発光体130から直接的に発せられる光を視認できるかできないかによって、自身が正しいフォームでスイングしているか否かをチェックすることが可能となるのである。
【0052】
なお、上記のものはあくまで本発明の数例の実施例にすぎず、当業者の知識に基づき種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【0053】
上記実施例において、本体部10は、上述のように枢動体15がソケット11に対して枢動可能である。すなわち、枢動体15は、取付部20の長さ方向及びそれに垂直な方向の双方に揺動可能である。
しかしながら、枢動体15ではなく、揺動体であってもよい。すなわち、揺動体が、ベース材(ソケット11に対応する)に対して、取付部20の長さ方向に延びる回動軸線を中心に、取付部20の長さ方向と垂直な方向にのみ揺動可能であってもよい。
その場合は、このゴルフフォームチェック器具がゴルフクラブCのシャフトS(グリップG)に取り付けられた際に、揺動体は、シャフトSの長さ方向とは垂直な回動軸線(使用者の幅方向)を中心にシャフトSの長さ方向に沿って揺動する。すなわち、その揺動の軌跡によって形成される仮想平面がシャフトSを含むこととなる。
【0054】
また、発光体30については、発光ダイオードによって発光するものに限らず、種々のものがあり得る。
【符号の説明】
【0055】
10 本体部
15 枢動体
20 取付部
30 発光体
40 筒状体(遮蔽体)
45 受光部位
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A1
図5A2
図5B1
図5B2
図6A
図6B
図7A
図7B