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特開2024-157497長尺SiCチューブを製造するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157497
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】長尺SiCチューブを製造するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/26 20060101AFI20241030BHJP
   C04B 35/84 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B28B1/26 101
C04B35/84
B28B1/26 102
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023128424
(22)【出願日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】18/139,174
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・デネニー
(72)【発明者】
【氏名】アリン・マコーミック
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・サラモーネ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・クラーナー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・アガジャニアン
【テーマコード(参考)】
4G052
【Fターム(参考)】
4G052CA02
4G052CA03
4G052CA04
4G052CA05
4G052CA09
4G052CB01
4G052CB03
4G052CB21
4G052CC01
4G052CC09
4G052CC12
(57)【要約】
【課題】反応接合用のプリフォーム部品をキャスティングする方法であって、鋳型の内側表面およびマンドレルの表面を離型層でコーティングするステップを含む、方法を提供すること。
【解決手段】鋳型およびマンドレルから組立鋳型が形成され、鋳型キャビティにスラリーを流し込んで沈殿させることによりプリフォームケーキが形成される。離型層を熱的に除去することは、熱分解後のマンドレルの取外しおよびプリフォームケーキの取外しを助ける。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応接合のためのプリフォーム部品をキャスティングする方法であって、
鋳型の内側表面を第1の離型層でコーティングするステップ;
マンドレルの表面を第2の離型層でコーティングするステップ;
前記コーティングされたマンドレルを前記コーティングされた鋳型に挿入して組立鋳型を形成するステップであって、前記組立鋳型が鋳型キャビティを備える、ステップ;
前記鋳型キャビティにスラリーを流し込むステップ;
前記スラリーを前記鋳型キャビティ内で沈殿させることによりプリフォームケーキを形成するステップ;
前記第2の離型層を熱的に除去するステップ;
前記組立鋳型から前記マンドレルを取り出すステップ;
前記プリフォームケーキの有機含有物を炭素含有物に熱分解するステップ;および
前記第1の離型層を熱的に除去するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記組立鋳型内における、前記コーティングされたマンドレルと前記コーティングされた鋳型との間の空間が前記鋳型キャビティを形成している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の離型層を80℃超に加熱して、前記第2の離型層を溶融または焼失により熱的に除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プリフォームケーキおよび前記第1の離型層を500℃超に加熱して、前記熱分解を達成し、前記第1の離型層を前記熱的に除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
鋳型の前記内側表面をコーティングするステップが、複数の鋳型部品の内側表面をコーティングするステップを含み、前記複数の鋳型部品が前記鋳型を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数のクラムシェル鋳型から前記鋳型を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の鋳型部品がクラムシェル鋳型である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の離型層がアクリル層である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アクリル層を吹き付けるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の離型層がシートワックス層である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の離型層および/または前記第2の離型層が有機離型層である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記スラリーが、炭化ケイ素粒子および有機含有物を含む液体である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記有機含有物が有機バインダーを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プリフォーム部品がチューブである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記プリフォーム部品に溶融ケイ素を浸透させて反応接合炭化ケイ素部品を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記プリフォーム部品がチューブである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組立鋳型における前記マンドレルと前記鋳型との分離を、前記組立鋳型の異なる位置において前記分離が異なるように選択し、厚さが異なるプリフォームケーキをもたらすステップを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、長尺SiCチューブを製造するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]本開示の態様は、長尺SiCチューブを製造するための方法およびシステムに関する。長尺SiCチューブを製造するための従来の解決策には、さまざまな問題が存在する場合がある。この点に関して、長尺SiCチューブを製造するための従来のシステムおよび方法は、コストが高く、面倒であり、および/または非効率的である場合がある。
【0003】
[0003]従来のシステムおよび方法の限界および欠点は、そのような手法と、図面を参照して本開示の残りの部分に記載される本方法およびシステムの、いくつかの態様との比較を通じて、当業者には明らかになるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005]図面のうちの少なくとも1つに関連して示され、および/または説明され、特許請求の範囲においてより完全に記載されるのは、長尺SiCチューブを製造するための方法およびシステムである。
【0005】
[0006]本開示におけるこれらのおよび他の利点、態様、および新規な特徴、ならびにその図示された実施形態の詳細は、以下の説明および図面から、より完全に理解されるであろう。
【0006】
[0007]本開示のさまざまな特徴および利点は、添付の図面と併せて解釈される以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。図面において、同じ参照符号は、同じ構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0008]例示的なスリップキャスティングプロセスを示す図である。
図2】[0009]炭化ケイ素部品を得るための反応接合プロセスを示す図である。
図3】[0010]2つのクラムシェル鋳型とマンドレルとを備える例示的な鋳型アセンブリを示す図である。
図4】[0011]可動式リグに取り付けられ、垂直状態に保持された、組立鋳型を示す図である。
図5】[0012]可動式リグに取り付けられ、水平状態に保持された、組立鋳型を示す図である。
図6】[0013]水平状態にある鋳型からのマンドレルの取り出しを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0015]以下の議論は、長尺SiCチューブを製造するための方法およびシステムのさまざまな実施例を提供する。このような実施例は非限定的なものであり、添付の特許請求の範囲は開示された特定の実施例に限定されるべきではない。以下の議論において、「実施例」および「例えば」という用語は非限定的である。
【0009】
[0016]図面は、構成の一般的な様式を示すものであり、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の特徴および技術の説明および詳細は省略される場合がある。加えて、図面の要素は必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、図面中における一部の要素の寸法は、本開示において論じられる実施例の理解を向上させるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。異なる図面中の同じ参照符号は、同じ要素を示す。
【0010】
[0017]「または」という用語は、「または」によって結合されたリスト内における項目のうちの、任意の1つまたは複数を意味する。一例として、「xまたはy」は、3要素のセット{(x)、(y)、(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。別の例として、「x、y、またはz」は、7要素のセット{(x)、(y)、(z)、(x、y)、(x、z)、(y、z)、(x、y、z)}のうちの任意の要素を意味する。
【0011】
[0018]「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含む(including)」という用語は、「非限定的(open ended)」用語であり、記載された特徴の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴の存在または追加を排除するものではない。
【0012】
[0019]「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書においてさまざまな要素を説明するために使用される場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。したがって、例えば、本開示において論じられる第1の要素は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の要素と称され得る。
【0013】
[0020]別段の指定がない限り、「連結された」という用語は、互いに直接接触している2つの要素を説明するために使用されるか、または1つもしくは複数の他の要素によって間接的に接続されている2つの要素を説明するために使用され得る。例えば、要素Aが要素Bに連結される場合、要素Aは、要素Bに直接接触しているか、または介在要素Cによって要素Bに間接的に接続されていてもよい。同様に、「上に(over)」または「上に(on)」という用語は、互いに直接接触している2つの要素を説明するか、または1つもしくは複数の他の要素によって間接的に接続されている2つの要素を説明するために使用され得る。
【0014】
[0021]産業界において、セラミックチューブはその用途の多さから頻繁に使用され得る。例えば、セラミックチューブは、キルン備品、精密構造、バーナー、高温流体またはガス配管(例えば、石油化学産業)、高腐食および/または高摩耗スラリー流(例えば、採鉱またはオイルサンド用)、ローラー、熱電対保護、原子力産業、および熱処理に使用され得る。
【0015】
[0022]セラミックは、無機材料を成形し、高温で焼成することによって製造される、硬くて脆く、耐熱性および耐腐食性であるさまざまな材料のうちの任意の1つであり得る。このような材料は、クレイだけでなく、炭素やケイ素も含んでもよい。よく知られている例は、土器、磁器、レンガであり得る。産業において、セラミックは、他の材料が酸性または苛性環境にさらされた場合に起こる化学的エロージョンに耐える能力があるために使用される。セラミックはまた、高温に耐えることができる。
【0016】
[0023]セラミックチューブは、例えば、焼結SiC(炭化ケイ素)、ムライト、またはAl(IPSセラミック)でできていてもよい。製造方法は、セラミック粒子プリフォームをスリップキャスティングし、次いで焼結する方法であり得る。
【0017】
[0024]ここで図1を参照すると、図1は例示的なスリップキャスティングプロセスを示している。スリップキャスティングプロセス100、およびスリップキャスティングプロセスにおける例示的なステップを時間的に示すステップ1からステップ4が示されている。容器110および160b、懸濁液/スリップ120、120a、120b、第1の鋳型部品130、130a、130b、130c、第2の鋳型部品140、140a、140b、140c、ケーキ150a、150b、150cが示されている。付された文字のない参照符号はステップ1を、付された文字a~cのある参照符号はそれぞれステップ2~ステップ4を指す場合がある。同じ参照符号を有する要素は、同じ要素を指す場合がある。
【0018】
[0025]ステップ1において、微細セラミック粒子を含む水性懸濁液/スリップ120を容器110から鋳型に流し込んでもよい。鋳型は、好適には互いに連結された第1の鋳型部品130および第2の鋳型部品140を備えてもよい。鋳型部品130、140は、多孔質材料、例えば、石こうまたはポリマーでできていてもよい。懸濁液120は、液体中に均質に懸濁された微細なセラミック粒子を含む液体または半液体(ペースト/ゲル状)材料であってもよい。炭素または好適なpHバランスは、懸濁液120中で粒子を均質に懸濁させ続けるのに役立つ場合がある。懸濁液120は、スリップ、またはスラリーとも呼ばれる場合がある。
【0019】
[0026]鋳型は親水性に作用する多孔質材料でできているため、ステップ2において、懸濁液120a中の一部の水は、懸濁液120から第1の鋳型130aおよび第2の鋳型140aに吸収され得る。懸濁液120aから鋳型への水分の吸収は、鋳型壁面に「緻密化ケーキ」150aの形成を引き起こし得る。形成されたケーキ150aは、鋳型壁面におけるセラミック粒子の層を含み、含水量は比較的少ない。
【0020】
[0027]ステップ3では、残りの過剰な懸濁液120bが、鋳型からなんらかの容器160bに注ぎ出されてもよい。これにより、ケーキ150bが鋳型壁面に残り得る。ステップ4において、第1の鋳型部品130cと第2の鋳型部品140cとが分離され、スリップ鋳造部品150cが鋳型から取り外されてもよい。スリップ鋳造部品150cは、この段階で、成形ケーキ、またはプリフォームと呼ばれる場合がある。次いで、スリップ鋳造部品150cは焼結、すなわち焼成されてもよい。焼結プロセスにより、緻密なセラミック鋳造部品が得られる場合がある。
【0021】
[0028]スリップキャスティングプロセス100では、該プロセスに固有の多くの問題に悩まされる場合がある。例えば、焼結プロセスは、スリップ鋳造部品150cを約20%収縮させる場合がある。さらに、鋳型表面全体にわたって同様の水の吸収をもたらすほぼ均一な多孔質鋳型を想定すると、ケーキが鋳型壁面に沿って均一に成長するため、スリップキャスティングプロセス100は、一定の壁厚を有する形状にのみ好適である可能性がある。加えて、吸収作用以外に厚さを制御する鋳型要素がないため、ケーキ150cの厚さは正確に制御され得ない場合がある。ケーキ150cの厚さは、典型的には1mm以内の精度であり得る。もう1つの問題は、懸濁液120が、均質に懸濁した微細なセラミック粒子を好ましくは含むことであり得る。ある時間にわたって均質なままである、すなわち微細セラミック粒子が鋳型の底に沈殿しない懸濁液120を得るためには、わずかな有機添加剤を使用してのみ配合され得る。これはまた、有機添加剤が鋳型130、140を詰まらせてはならないという要求によるものである。鋳型130、140が詰まることは、水を抽出して、その結果ケーキ150aを形成する鋳型の吸収作用を制限する場合がある。
【0022】
[0029]図2は、反応接合炭化ケイ素を製造する例示的なプロセスを示す。第1のステップに対応する挿入図A、および第2のステップに対応する挿入図Bが示されている。反応接合炭化ケイ素(RB-SiCまたはSiSiC)部品は、以下で挿入図Aおよび挿入図Bを参照して説明されるように製造され得る。挿入図Aを参照すると、SiC粒子210と炭素粒子220とを含むプリフォーム200が示されている。反応接合用プリフォーム200は、典型的には、SiC粒子210、炭素粒子220および熱分解により炭素に変換し得る有機物(図示せず)、例えばフェノール類を含むスラリー/懸濁液をキャスティングすることにより製造され得る。当業者には明らかなように、スラリーの、他の多くの好適な組成および変形形態が存在し、本開示は上記開示されたスラリー組成に限定されるものではない。
【0023】
[0030]次いで、プリフォームケーキ200に溶融ケイ素を浸透させることができる。溶融ケイ素は、試薬および接合剤の両方として作用し得る。浸透すると、溶融ケイ素は炭素220と反応して、挿入図Bに示されるように、反応形成SiC240を形成し、構造体を接合する。挿入図Bに示されるように、最終的な複合材料は、元のSiC粒子210、反応形成SiC240、および残留ケイ素230を含む場合がある。複合材料RB-SiCは、このプロセス中に名目上収縮しないという利点を有する場合がある。さらなる利点は、粗いSiC粒子210の使用であり、その理由は、該プロセスにおいて、粒子が型の底に沈殿することが望ましい場合があるからである。均一に懸濁した粒子を含む懸濁液を必要とするスリップキャスティングとは対照的に、反応接合では、スラリーが型の中に入ると、粒子と水とが分離することが望ましい。
【0024】
[0031]上述されたように、焼結はスリップ鋳造部品を名目上20%収縮させる場合がある。これに対応して、スリップキャスティングチューブは、焼結プロセス中に名目上20%収縮し、それによって短くなる場合がある。このような収縮がなければ、所定の炉サイズでより長いチューブが生成され得る。上述されたように、反応接合(reaction bonding)は名目上収縮を示さないため、反応接合SiCチューブは焼結チューブのように収縮しない。反応接合は鋳造部品を著しく収縮させないため、クラックや内部応力などの収縮に起因する欠陥はあまり懸念されず、より複雑な形状の製造が可能になる。
【0025】
[0032]反応接合は、(ストークスの法則によって)スラリー中で素早く沈殿する比較的粗いセラミック粒子210を使用するため、スリップキャスティングは、したがって、反応接合プリフォームケーキ200を得るための好適な手法ではないかもしれない。上述されたように、素早く沈殿する粒子、したがって不安定な懸濁液は、スリップキャスティングには適さない。不安定な懸濁液の直接的な結果として、スリップ鋳造部品150cの厚さが不均一になる場合がある。また、反応接合は、熱分解時に炭素を生成するために使用され得る有機材料(例えば、フェノール類)をスラリー中に高濃度で含むことを必要とする場合がある。この有機物は、多孔質鋳型を詰まらせる場合があるため、スリップキャスティングには適さない場合がある。ここで、RB-SiCチューブを製造するための好適なプロセスが説明される。
【0026】
[0033]図3図6は、RB-SiCチューブに好適なプリフォーム製造プロセスを示す。図3を参照すると、第1のクラムシェル鋳型310、第2のクラムシェル鋳型320、およびマンドレル330が示されている。鋳型は、第1のクラムシェル鋳型310を第2のクラムシェル鋳型320に連結することによって形成され得る。この鋳型は、鋳造されるチューブの形および外径を規定することができる。クラムシェル鋳型310、320は、スリップキャスティング用の多孔質鋳型とは対照的に、非浸透性であってもよい。マンドレル330、すなわちコアは、連結されたクラムシェル鋳型310および320に取り囲まれて、組立鋳型を形成することができる。マンドレル330は、鋳造されるチューブの内形および直径を規定することができる。対照的に、図1に示されるようなスリップキャスティングは、マンドレルを備えない。
【0027】
[0034]クラムシェル鋳型310および320の内側表面ならびにマンドレル330は、いずれも有機離型層で覆われていてもよい。有機離型層は、鋳型から鋳造プリフォームが取り出されること、および鋳造プリフォームからマンドレル330から取り外されることを可能にするように作用可能であってもよい。
【0028】
[0035]本特許のさまざまな実施形態によれば、クラムシェル鋳型320および330の内部に、離型層用のアクリル類が吹き付けられてもよい。アクリル系離型層は、約160℃で取り付け/焼失させることができる。アクリル系離型層は、鋳造プリフォームチューブが鋳型から容易に取り外され得るように、プリフォームケーキが固まると焼失され得るように作用可能であってもよい。当業者に公知のように、アクリル類の代わりに、他の多くのポリカーボネートが離型層に好適であり得る。
【0029】
[0036]マンドレル330は、離型層のためのシートワックス層で覆われていてもよい。マンドレル330上のシートワックス離型層は、約80℃で溶融/焼失し得る。シートワックス離型層は、マンドレル330を鋳型から取り出す前に焼失するように作用可能であってもよい。
【0030】
[0037]シートワックスで覆われたマンドレル330は、連結された鋳型310、320に挿入されてもよく、鋳型はいずれも、吹き付けアクリル層で覆われていてもよい。この組立鋳型は、マンドレルと鋳型との間に鋳型キャビティを形成してもよい。
【0031】
[0038]図4を参照すると、組立鋳型410、充填開口部420、およびリグ430が示されている。組立鋳型410は、図3を参照して説明されたように、クラムシェル鋳型310、320、およびマンドレル330を備えてもよい。充填開口部420は、反応接合スラリーを組立鋳型410に受け入れるように作用可能であってもよい。リグ430は、組立鋳型410を望ましい位置に保持するように作用可能であってもよい。リグ430は、例えば、鋳型の組立てから炉、さらに鋳型の分解まで移動され得るように、車輪を備えてもよい。リグ430は、組立鋳型410をリグ430に固定するために作用可能な軸取付クランプ440をさらに備えてもよい。軸取付クランプ440は、組立鋳型410が回転して図5に示される水平状態にされることを可能にし得る。図5に示される、同じ参照符号を有する要素は、図4に示されるものと同一であり得る。
【0032】
[0039]これに対応して、組立鋳型410がリグ430に取り付けられ、回転して図4に示される望ましい垂直状態にされた後、RB-SiCスラリーが、充填開口部420を通して鋳型キャビティに流し込まれてもよい。次いで、スラリーが沈降して硬質プリフォームケーキとなってもよい。
【0033】
[0040]シートワックス層はアクリル系吹き付け離型層よりも厚い場合があるため、マンドレル330上の離型層にシートワックス層を使用することは有利であり得る。反応接合炭化ケイ素製造プロセスが名目上プリフォーム200を収縮させないとしても、スラリーが沈降して硬質プリフォームケーキになるとき、プリフォーム200がマンドレル330の周囲を締め付ける場合がある。これに対応して、マンドレル330をより容易に取り外し、プリフォーム200が沈殿プロセス中に破損しない/クラックを生じないことを確実にするために、マンドレル330の周囲にわずかに厚い離型層を使用することが有利である場合がある。シートワックス層を塗布することは、アクリル系吹き付け離型層を塗布するよりもコストと時間がかかる可能性があるため、一般に、クラムシェル鋳型310、320にアクリル類を使用することが好ましい場合がある。
【0034】
[0041]次いで、組立鋳型410を備えるリグ430が加熱室/炉(図示せず)に移動されてもよい。炉内では、鋳型アセンブリ410が約85℃に加熱され、マンドレル330上のシートワックス離型層を溶融させることができる。次いで、リグ430が炉から取り出され、組立鋳型410が回転して図5に示される水平状態にされてもよい。マンドレル330上のシートワックス層が溶融した可能性があるため、図6に示されるように、マンドレル330が組立鋳型410から取り出されてもよい。本特許のさまざまな実施形態によれば、マンドレル330は、次の段落に記載されるように、さらなる加熱の前に、またはさらなる加熱の後に、取り出されてもよい。さらなる加熱の前にマンドレル330を取り出すことは、乾燥時間に関して有利であり得る。
【0035】
[0042]次いで、鋳型アセンブリ410はリグ430から取り外され、炉に入れられてもよい。炉内において、鋳型アセンブリ410は、典型的には窒素ガス(N)中で500℃超に加熱されてもよい。不活性ガス中におけるこの加熱により、鋳型アセンブリ410の内側表面のアクリル系離型層が分解し、例えばフェノール類を含む有機スラリーが熱分解して炭素になることが可能になり得る。したがって、この加熱プロセスにより、図2に示されるような鋳造プリフォーム200が得られる場合がある。当業者に公知のように、任意の他の不活性ガスまたはガス混合物が使用され得るため、本特許開示は、窒素ガスの使用に限定されない。
【0036】
[0043]次いで、鋳型410が炉から取り出されてもよく、ここで、組立鋳型410が分解されてもよい。加熱中にアクリル系離型層が分解した可能性があるため、クラムシェル鋳型310、320を分解することにより、プリフォーム200が鋳型から容易に取り外され得る。当業者には明らかなように、組立鋳型410も同様に垂直状態で分解されてもよい。
【0037】
[0044]図2について上述されたように、炭素粒子220およびSiC粒子210を含む鋳造プリフォーム200は、次いで、完成した反応接合炭化ケイ素セラミックチューブを得るために、溶融ケイ素を浸透させてもよい。
【0038】
[0045]約±1mmの公差をもたらすスリップキャスティングおよび焼結と比較して、マンドレルを用いた成形プロセスを用いる例示的なプロセスは、約±0.25mmのより良好な公差を可能にし得る。前述されたように、これは主に、収縮が回避され得るためである。さらに、マンドレル330を使用することで、内径の正確な制御が可能になり、内径が変更可能な鋳造部品が可能になり得る。これは、一定の壁厚のみを生成することができるスリップキャスティングとは対照的である。
【0039】
[0046]反応接合炭化ケイ素プロセスは、より低い温度で作用可能であり得るため、記載されたプロセスはまた、スリップキャスティングおよび焼結プロセスよりも費用対効果が高い場合がある。例えば、焼結プロセスは最高温度約2000℃を必要とし得る一方、反応接合炭化ケイ素プロセスは、浸透プロセスのためにケイ素を溶融させる最高温度約1400℃を必要とし得る。反応接合炭化ケイ素プロセスはより低い温度を使用するため、プロセスで使用される原材料、機械、およびエネルギーのコストは、スリップキャスティングおよび焼結プロセスに必要なコストよりも低くなる場合がある。
【0040】
[0047]本開示は、特定の実施例の参照を含むが、当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更が行われてもよく、均等物で代用されてもよいことが理解されるであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、開示された実施例に修正が加えられてもよい。したがって、本開示は開示される実施例に限定されるものではなく、本開示は添付の特許請求の範囲に属するすべての実施例を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0041】
200 プリフォーム
210 SiC粒子
220 炭素、炭素粒子
230 Si、残留ケイ素
240 反応形成SiC
310 第1のクラムシェル鋳型、クラムシェル鋳型
320 第2のクラムシェル鋳型、クラムシェル鋳型
330 マンドレル
410 組立鋳型、鋳型アセンブリ、鋳型
420 充填開口部
430 リグ
440 軸取付クランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】