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特開2024-157500グリチルレチン酸を含有する水中油型乳化組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157500
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】グリチルレチン酸を含有する水中油型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/63 20060101AFI20241030BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20241030BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241030BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A61K8/63
A61K8/44
A61K8/06
A61K8/23
A61K8/24
A61Q19/00
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140040
(22)【出願日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2023071414
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510001582
【氏名又は名称】株式会社天真堂
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 眞人
(72)【発明者】
【氏名】荒河 純
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC092
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC582
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC852
4C083AC862
4C083AC901
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB04
4C083BB05
4C083CC02
4C083CC41
4C083DD33
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】グリチルレチン酸を含有し、保存安定性に優れた水中油型乳化組成物を提供すること。
【解決手段】下記の成分(A)、(B)及び(C):
(A)グリチルレチン酸、
(B)N-アシルアミノ酸ジエステル、及び
(C)陰イオン性界面活性剤
を含有する水中油型乳化組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)、(B)及び(C):
(A)グリチルレチン酸、
(B)N-アシルアミノ酸ジエステル、及び
(C)陰イオン性界面活性剤
を含有する水中油型乳化組成物。
【請求項2】
成分(B)が、下記式(I)で示される化合物である請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【化1】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
3及びR4はそれぞれ独立して炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素基を示し、
mは0~4の整数である。)
【請求項3】
成分(B)が、下記(I)で示される化合物である請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【化2】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
3及びR4はそれぞれ独立して炭素数12~20の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
mは0~4の整数である。)
【請求項4】
成分(B)が、下記式(V)で示される化合物である請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【化3】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
5及びR6のいずれか一方又は両方がアルコール基含有テルペノイドのアルコール残基を示し、R5及びR6のいずれか一方が前記アルコール基含有テルペノイドのアルコール残基の場合、他方はアルコール基を有する炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素のアルコール残基であり、
mは0~4の整数である。)
【請求項5】
前記アルコール基含有テルペノイドがアルコール基含有トリテルペノイドである請求項4に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項6】
前記アルコール基含有トリテルペノイドがアルコール基含有ステロイドである請求項5に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項7】
前記アルコール基含有ステロイドがコレステロール又はフィトステロールである請求項6に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項8】
成分(C)が、下記(II)~(IV)のいずれかで示される化合物である請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【化4】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
Xはスルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はそれらのいずれかの塩を示し、
nは1~10の整数である。)
【化5】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
Xはスルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はそれらのいずれかの塩を示し、
pは0、1、又は2であり、
qは0、1、又は2であり、かつ
p及びqが同時に0ではない。)
【化6】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
Xはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はそれらのいずれかの塩を示し、
Yはカルボキシル基又はその塩、-NHR5(R5は炭素数1~10の炭化水素基又は水素基)、-OH基、及び-SH基から成る群から選択される少なくとも一つの基を有する炭素数が1~20個の炭化水素基を示し、
Zは-NR6-(R6は炭素数1~10の炭化水素基又は水素基)、-O-基、又は-S-基を示し、
pは0、1、又は2であり、
qは0、1、又は2であり、かつ
p及びqが同時に0ではない。)
【請求項9】
トコフェロール及びトコフェロール誘導体から成る群より選択される少なくとも1種の化合物をさらに含有する請求項1に記載の水中油滴型乳化組成物。
【請求項10】
レシチンをさらに含有する請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項11】
非イオン界面活性剤をさらに含有する請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物を含有する皮膚外用組成物。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物を含有する口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリチルレチン酸を含有する水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グリチルレチン酸は化粧料組成物又は皮膚外用剤の抗炎症成分として広く使用されている。グリチルレチン酸は両親媒性物質であるが、水にほとんど溶解せず、通常、多量のエタノール等のアルコール類に溶かして添加するか、油性成分に溶かした上で乳化することによって化粧料組成物又は皮膚外用剤中に配合される。
【0003】
特許文献1は、水酸化リン脂質と、グリチルレチン酸からなる抗炎症成分とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤について開示している。併用成分として、コレステリル基又はフィトステリル基を有するN-アシルアミノ酸のエステルが使用されている。
【0004】
特許文献2は、(a)N-ラウロイルサルコシンイソプロピルと、(b)融点40℃以下であり、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ウレア基、オキソ基又はエーテル基である水素結合性基を分子内に一つ以上有し、且つ炭素数12~24の直鎖又は分岐の炭素鎖を有する水に難溶性の油性成分と、(c)油に難溶性の有効成分としてグリチルレチン酸と、を含む油性組成物について開示している。
【0005】
特許文献3は、パーソナルケア組成物であって、a)安全且つ有効な量のグリシルリチン酸及び/又はグリシルレチン酸と、b)N-アシルアミノ酸化合物類、ヘキサミジン、塩化セチルピリジニウム、エルゴチオネイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される安全且つ有効な量の第1活性物質と、c)皮膚科学的に許容可能なキャリアとを含むことを特徴とするパーソナルケア組成物について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-115109
【特許文献2】特許第5989139号
【特許文献3】特表2008-540670
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のグリチルレチン酸と特定のN-アシルアミノ酸エステルとを含有する乳化又は油性組成物では、組成物を保存すると経時的に乳化物のエマルション粒子が粗大化する、及び/又はグリチルレチン酸若しくは油剤が析出するなど、保存安定性が低い場合があった。
【0008】
本発明が解決すべき課題は、グリチルレチン酸を含有し、保存安定性に優れた水中油型乳化組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
項1.
下記の成分(A)、(B)及び(C):
(A)グリチルレチン酸、
(B)N-アシルアミノ酸ジエステル、及び
(C)陰イオン性界面活性剤
を含有する水中油型乳化組成物。
【0010】
項2.
成分(B)が、下記式(I)で示される化合物である項1に記載の水中油型乳化組成物。
【化1】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
3及びR4はそれぞれ独立して炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素基を示し、
mは0~4の整数である。)
【0011】
項3.
成分(B)が、下記(I)で示される化合物である項1に記載の水中油型乳化組成物。
【化2】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
3及びR4はそれぞれ独立して炭素数12~20の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
mは0~4の整数である。)
【0012】
項4.
成分(B)が、下記式(V)で示される化合物である項1に記載の水中油型乳化組成物。
【化3】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
5及びR6のいずれか一方又は両方がアルコール基含有テルペノイドのアルコール残基を示し、R5及びR6のいずれか一方が前記アルコール基含有テルペノイドのアルコール残基の場合、他方はアルコール基を有する炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素のアルコール残基であり、
mは0~4の整数である。)
【0013】
項5.
前記アルコール基含有テルペノイドがアルコール基含有トリテルペノイドである請求項4に記載の水中油型乳化組成物。
項6.
前記アルコール基含有トリテルペノイドがアルコール基含有ステロイドである請求項5に記載の水中油型乳化組成物。
項7.
前記アルコール基含有ステロイドがコレステロール又はフィトステロールである請求項6に記載の水中油型乳化組成物。
【0014】
項8.
成分(C)が、下記(II)~(IV)のいずれかで示される化合物である項1~7のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物。
【化4】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
Xはスルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はそれらのいずれかの塩を示し、
nは1~10の整数である。)
【化5】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
Xはスルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はそれらのいずれかの塩を示し、
pは0、1、又は2であり、
qは0、1、又は2であり、かつ
p及びqが同時に0ではない。)
【化6】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
Xはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はそれらのいずれかの塩を示し、
Yはカルボキシル基又はその塩、-NHR5(R5は炭素数1~10の炭化水素基又は水素基)、-OH基、及び-SH基から成る群から選択される少なくとも一つの基を有する炭素数が1~20個の炭化水素基を示し、
Zは-NR6-(R6は炭素数1~10の炭化水素基又は水素基)、-O-基、又は-S-基を示し、
pは0、1、又は2であり、
qは0、1、又は2であり、かつ
p及びqが同時に0ではない。)
【0015】
項9.
トコフェロール及びトコフェロール誘導体から成る群より選択される少なくとも1種の化合物をさらに含有する請求項1~8のいずれか一項に記載の水中油滴型乳化組成物。
項10.
レシチンをさらに含有する項1~9のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物。
項11.
非イオン界面活性剤をさらに含有する項1~10のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物。
項12.
項1~11のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物を含有する皮膚外用組成物。
項13.
項1~11のいずれか一項に記載の水中油型乳化組成物を含有する口腔用組成物。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、グリチルレチン酸を含有し、保存安定性に優れた水中油型乳化組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において、「含有する(comprise)」は、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」も包含する概念である。 本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値又は実施例から一義的に導き出せる値に置き換えてもよい。更に、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
【0018】
本明細書において、スルホン酸基は-SO3H又は-SO3―である。
【0019】
本明細書において、硫酸エステル基は-O-SO3H又は-O-SO3―である。
【0020】
本明細書において、リン酸エステル基は、下記式(a1)~(a3)のいずれかで表される基である。
【0021】
【化7】
【0022】
本明細書において、テルペノイドは炭素数5のイソプレン単位を有する化合物である。
【0023】
本発明の水中油型乳化組成物は、下記の成分(A)、(B)及び(C):
(A)グリチルレチン酸、
(B)N-アシルアミノ酸ジエステル、及び
(C)陰イオン性界面活性剤
を含有する。
【0024】
成分(A)のグリチルレチン酸(CAS No.471-53-4)は抗炎症作用を有する化合物であり、有効成分として本発明の水中油型乳化組成物に配合される。
【0025】
【化8】
【0026】
水中油型乳化組成物中の成分(A)の量は特に限定されないが、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、水中油型乳化組成物中の成分(A)の量は30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0027】
成分(B)のN-アシルアミノ酸ジエステルは、本発明のグリチルレチン酸を含有する水中油型乳化組成物の保存安定性を良好なものとするために用いられる油性成分である。
【0028】
一つの実施形態では、成分(B)は、下記式(I)で示される化合物である。
【0029】
【化9】
【0030】
式(I)中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
3及びR4はそれぞれ独立して炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素基を示し、
mは0~4の整数である。
【0031】
1は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよく、炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であってよい。アシルアミノ酸エステルのアシル基としては、例えば、2-エチルヘキサノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、オレオイル基、イソステアロイル基、リノレノイル基等が挙げられ、好ましくはラウロイル基である。またアシル基は混合脂肪酸を由来としてもよく、ココイル脂肪酸エステル、パーム油脂肪酸エステル、パーム核油脂肪酸エステル、ヒマワリ種子油脂肪酸エステル、マカデミアナッツ油脂肪酸エステルが好ましく、より好ましくはココイル脂肪酸エステル、パーム核油脂肪酸エステルである。
【0032】
2は好ましくはメチル基又は水素基であり、より好ましくは水素基である。
【0033】
3は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよく、炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基又はアルケニル基であってよい。一つの好ましい実施形態では、R3は、炭素数12~20の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す。別の好ましい実施形態では、R3は、炭素数12~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。
【0034】
4は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよく、炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基又はアルケニル基であってよい。一つの好ましい実施形態では、R4は、炭素数12~20の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す。別の好ましい実施形態では、R4は、炭素数12~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。
【0035】
一つの好ましい実施形態では、成分(B)が、下記(I)で示される化合物である。
【0036】
【化10】
【0037】
式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
3及びR4はそれぞれ独立して炭素数12~20の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
mは0~4の整数である。
【0038】
成分(B)のN-アシルアミノ酸ジエステルは、カルボキシ基を2つ有するアミノ酸とアシルクロリドをアルカリ存在下縮合させてN-アシルアミノ酸とし、しかる後、塩基又は酸の存在下、所望により溶剤を存在させ、対応するアルコールと脱水縮合させることにより製造することが出来る。カルボキシ基を2つ有するアミノ酸としては、グルタミン酸が入手しやすさの点で好ましい。
【0039】
別つの実施形態では、成分(B)が、下記式(V)で示される化合物である。
【0040】
【化11】
【0041】
式(V)中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
5及びR6のいずれか一方又は両方がアルコール基含有テルペノイドのアルコール残基を示し、R5及びR6のいずれか一方が前記アルコール基含有テルペノイドのアルコール残基の場合、他方はアルコール基を有する炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素のアルコール残基であり、
mは0~4の整数である。
【0042】
1は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよく、炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であってよい。アシルアミノ酸エステルのアシル基としては、例えば、2-エチルヘキサノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、オレオイル基、イソステアロイル基、リノレノイル基等が挙げられ、好ましくはラウロイル基である。またアシル基は混合脂肪酸を由来としてもよく、ココイル脂肪酸エステル、パーム油脂肪酸エステル、パーム核油脂肪酸エステル、ヒマワリ種子油脂肪酸エステル、マカデミアナッツ油脂肪酸エステルが好ましく、より好ましくはココイル脂肪酸エステル、パーム核油脂肪酸エステルである。
【0043】
2は好ましくはメチル基又は水素基であり、より好ましくは水素基である。
【0044】
テルペノイドはテルペンとも称され、ヘミテルペン、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペン、テトラテルペンが挙げられる。ヘミテルペンとしてはイソプレン、モノテルペンとしてはメントール、ゲラニオールなど、セスキテルペンとしてはアルテミシニン、α-ビサボロールなど、ジテルペンとしてはパクリタキセル、ジベレリンなど、トリテルペンとしてはラノステロール、コレステロール、フィトステロール類、サポニン類、スクワラン、スクワレン、グリチルレチン酸、オレアノール酸、ウルソール酸、ルペオールなど、テトラテルペンとしてはフィトエン、カロテノイド類、キサントフィル類などが挙げられる。
【0045】
これらのテルペンで、トリテルペンが好ましい。更にテルペンの中でもステロイドが好ましく、アルコール基含有ステロイドがより好ましい。ステロイドとしては、コレステロール、フィトステロール類、ストロファンチジン、コレスタノール、ステロイドホルモン類、(テストステロン、エストラジオールなど)、コルチゾール、アルドステロンなどが挙げられる。
【0046】
ステロイドの中ではアルコール基含有ステロイドが好ましく、ステロールがより好ましい。ステロールはステロイドのサブグループであり、C3位にヒドロキシ基を有するステロイド化合物である。ステロールとしてはコレステロールおよびフィトステロールが好ましい、ここでフィトステロールには、β-シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロールなどが含まれる。
【0047】
一つの実施形態において、R5及びR6の両方がアルコール基含有テルペノイドのアルコール残基である。この場合、R5及びR6は同一であっても異なっていてもよい。別の実施形態において、R5がアルコール基含有テルペノイドのアルコール残基であり、R6がアルコール基を有する炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素のアルコール残基である。また別の実施形態において、R5がアルコール基を有する炭素数12~30の直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素のアルコール残基であり、R6がアルコール基含有テルペノイドのアルコール残基である。R5及びR6はいずれもアルコール残基であり、隣接する-CO-と-O-で結合し、エステル結合を構成する。
【0048】
5及びR6のいずれか一方又は両方を構成するアルコール含有テルペノイドのアルコール残基の炭素数は、好ましくは12~40である。
【0049】
5及びR6のいずれか一方又は両方を構成するアルコール基含有テルペノイドのアルコール残基は、好ましくはアルコール基含有トリテルペノイドのアルコール残基である。アルコール基含有トリテルペノイドは、好ましくはアルコール基含有ステロイドである。アルコール基含有ステロイドは、好ましくはコレステロール又はフィトステロール基である。
【0050】
式(V)で表される成分(B)の例としては、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)(商品名「ELDEW CL202」、味の素株式会社製)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(商品名「ELDEW CL301」、味の素株式会社製 )、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(商品名「ELDEW PS304」、味の素株式会社製 )などが挙げられる。
【0051】
成分(B)は、1種類でもよいし、又は2種類以上を組み合わせてもよい。
【0052】
水中油型乳化組成物中の成分(A)と成分(B)の比は、水中油型乳化組成物の保存安定性の点から、質量比で成分(A):成分(B)=1:5~1:30であることが好ましく、1:10~1:20であることがより好ましい。
【0053】
水中油型乳化組成物中の成分(B)の量は特に限定されないが、乳化の促進と水中油型乳化組成物の保存安定性の点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
【0054】
成分(C)は、下記(II)~(IV)のいずれかで示される化合物である。
【0055】
【化12】
【0056】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
Xはスルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はそれらのいずれかの塩を示し、
nは1~10の整数である。)
【0057】
【化13】
【0058】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
Xはスルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はそれらのいずれかの塩を示し、
pは0、1、又は2であり、
qは0、1、又は2であり、
かつp及びqが同時に0ではない。)
【0059】
【化14】
【0060】
(式中、
1は炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、
2は炭素数1~3の炭化水素基又は水素基を示し、
Xはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はそれらのいずれかの塩を示し、
Yはカルボキシル基又はその塩、-NHR5(R5は炭素数1~10の炭化水素基又は水素基)、-OH基、及び-SH基から成る群から選択される基を有する炭素数が1~20個の炭化水素を示し、
Zは-NR6-(R6は炭素数1~10の炭化水素基又は水素基)、-O-基、又は-S-基を示し、
pは0、1、又は2であり、
qは0、1、又は2であり、かつ
p及びqが同時に0ではない。)
【0061】
式(II)中、R1は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよく、炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であってよい。R1は、好ましくは炭素数12~23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
2は好ましくはメチル基又は水素基であり、より好ましくはメチル基である。
【0062】
Xがスルホン酸基、硫酸エステル基、又はリン酸エステル基の塩である場合、そのような塩としては、アルカリ金属(ナトリウムなど)の塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)の塩が挙げられる。
【0063】
Xは好ましくはスルホン酸基の塩である。
【0064】
式(II)で示される好ましい化合物としては、炭素数が12個以上の長鎖脂肪酸とN-メチルタウリンとのアミドのナトリウム塩、例えばステアロイルメチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
式(III)中、R1は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよく、炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であってよい。R1は、好ましくは炭素数12~23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
【0066】
2は好ましくはメチル基又は水素基であり、より好ましくはメチル基である。
【0067】
Xがスルホン酸基、硫酸エステル基、又はリン酸エステル基の塩である場合、そのような塩としては、アルカリ金属(ナトリウムなど)の塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)の塩が挙げられる。Xは好ましくはスルホン酸基の塩である。
【0068】
式(IV)中、R1は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよく、炭素数5~23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であってよい。R1は、好ましくは炭素数12~23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
【0069】
2は好ましくはメチル基又は水素基であり、より好ましくは水素基である。
【0070】
Xがカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、又はリン酸エステル基の塩である場合、そのような塩としては、アルカリ金属(ナトリウムなど)の塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)の塩が挙げられる。Xは好ましくはカルボキシル基又はそのナトリウム塩である。
【0071】
Yは、少なくとも一つの置換基を有する炭素数が1~20個の炭化水素基である。炭素数が1~20個の炭化水素基の炭素に結合している水素の少なくとも一つが置換基により置換される。置換基としては、カルボキシル基又はその塩、-NHR5(R5は炭素数1~10の炭化水素基又は水素基)、-OH基、及び-SH基から成る群から選択される少なくとも一つの基である。カルボキシル基の塩としては、ナトリウム塩が挙げられる。 置換基の数は特に限定されないが、1つ又は2つであることが好ましい。
【0072】
炭化水素基の片端の炭素に結合している水素のみ、又は炭化水素基の両端の炭素に結合している水素のみが置換基により置換されていることが好ましい。
【0073】
Zは-NR6-(R6は炭素数1~10の炭化水素基又は水素基)であることが好ましく、-NH-であることがより好ましい。
【0074】
成分(C)は、1種類でもよいし、又は2種類以上を組み合わせてもよい。
【0075】
水中油型乳化組成物中の成分(C)の量は特に限定されないが、水中油型乳化組成物の作製及び保存中の粒子の粗大化の抑制の点から、0.1~10質量%が好ましく、0.3~8質量%がより好ましく 、0.5~ 5質量%がさらに好ましい。
【0076】
本発明の水中油型乳化組成物は、油性成分として、油脂類、炭化水素類、ロウ類、エステル類、脂肪酸類、高級アルコール類、ステロール類、油溶性高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質類、油溶性ビタミン類などを含有することが出来る。
【0077】
本発明の水中油型乳化組成物は、トコフェロール及びトコフェロール誘導体から成る群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましく、特に、トコフェロールまたはトコフェロール誘導体を併用することが好ましい。トコフェロール誘導体としては、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、アスコルビン酸トコフェロール、リン酸トコフェロールなどが挙げられるが、特に酢酸トコフェロールが好ましい。トコフェロール及びトコフェロール誘導体は市販品を用いることができる。
【0078】
本発明の水中油型乳化組成物がトコフェロール及びトコフェロール誘導体から成る群より選択される少なくとも1種の化合物を含む場合、水中油型乳化組成物における該化合物の含有量は、0.01質量%~5質量%であることが好ましく、0.1質量%~1質量%であることがより好ましい。
【0079】
本発明の水中油型乳化組成物は、リン脂質を含有してもよい。リン脂質としては、グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質等が挙げられる。
【0080】
グリセロリン脂質は、グリセロリン酸骨格と、親油基として脂肪酸エステル、長鎖アルキルエーテル、ビニルエーテルとを有する化合物であり、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファジイルイノシトール、ホスファチジルイノシトールポリリン酸、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール( カルジオリピン) 、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸などが挙げられる。
【0081】
スフィンゴリン脂質は、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシンなどの長鎖塩基又は長鎖脂肪酸と、リン酸又はホスホン酸とを有する化合物であり、例えば、セラミド1-リン酸誘導体(スフィンゴミエリンなど) 、セラミド1-ホスホン酸誘導体(セラミドアミノエチルホスホン酸など)が挙げられる。
【0082】
本発明の水中油型乳化組成物がリン脂質を含有する場合、リン脂質はレシチンであることが乳化の促進の点から好ましい。レシチンは、グリセロリン脂質の一種であり、工業的には、大豆と卵黄を原料として得られた大豆レシチン及び卵黄レシチンが製造及び市販されている。
【0083】
大豆レシチンは、大豆油精製工程で副生する油滓を乾燥、精製することにより製造される。通常、リン脂質含量が70質量%以下であるペースト状レシチンは、大豆粗油を30質量%程度含むが、安価なため、特に食品分野ではほとんどこのペースト状のレシチンが用いられる。また、近年では、リン脂質自体の生理活性や、より高度な乳化剤へのニーズから、高度精製、分別、酵素分解などの技術が加えられ、性能、機能の異なる種々のレシチン群が作られている。
【0084】
高度精製レシチンは、上記ペースト状レシチンから、アセトン等の溶媒を用いて脱油し、粉末化したもので、一般にレシチン含量が90質量%以上となっている。この高度精製レシチンの例としては、フォスフォリポン20(リポイド社)、レシオンP(理研ビタミン株式会社)、SLPホワイト(辻製油株式会社)、エマルメティック300(ルーカスマイヤーコスメティックス社)などが市販されている。
【0085】
分別レシチンは、上記高度精製レシチンに対して、各種溶媒への溶解度差を利用したり、蒸留等の操作を行なうことにより、特定のリン脂質の含有量を高めたものであり、一般には、フォスファチジルコリン含量を高めたものが市販されている。フォスファチジルコリン含量を高めた分別レシチンの例としては、フォスフォリポン85G(PC含量:80質量%)、フォスフォリポン90G(PC含量:94質量%)、Lipoid P75(PC含量68-73%)、Lipoid P100(PC含量90%以上)(以上、リポイド社)、エメルメティック900(PC含量:50質量%)、エメルメティック930(PC含量:95質量%)(以上、ルーカスマイヤーコスメティックス社)、SLP-PC70、SLP-PC90(以上、辻製油株式会社)などが市販されている。
【0086】
レシチンを含有することで、水中油型乳化組成物の透明性及び経時安定性がより向上する。本発明におけるレシチンは、水中油型乳化組成物の透明性及び経時安定性の観点から、分別レシチンが好ましい。
【0087】
本発明の水中油型乳化組成物におけるリン脂質又はレシチンの含有量は、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.2質量%~8質量%がより好ましく、1質量%~4質量%がさらに更に好ましい。リン脂質の含有量を0.1質量%以上とすることにより、水中油型乳化組成物の乳化安定性がより良好となる傾向がある。また、リン脂質の含有量を10質量%以下とすることにより、過剰なリン脂質が油性成分から離れて水中にリン脂質分散体を形成することなく、水中油型乳化組成物の乳化安定性が得られる。
【0088】
本発明の水中油型乳化組成物は、非イオン性界面活性剤をさらに含有してもよい。非イオン性界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのエステル系、POE(ポリオキシエチレン)セチルエーテル、POEオレイルエーテル、POEヒマシ油エーテル、POE硬化ヒマシ油エーテル、POEフィトステロールエーテルなどのエーテル系などが挙げられる。非イオン性界面活性剤は、1種類でもよいし、又は2種類以上を組み合わせてもよい。
【0089】
乳化性及び経時安定性の点から、非イオン性界面活性剤は、より好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、最も好ましくは、非イオン性界面活性剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0090】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均重合度が2以上(好ましくは6~15、より好ましくは8~10)のポリグリセリンと、炭素数8~18の脂肪酸(例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸から選択される脂肪酸)とのエステルであることが好ましい。
【0091】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、より好ましくは、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(HLB=13)、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB=14)、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=16)などである。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12~20のものがより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステルがより好ましい。本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。これらのソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0094】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。またポリオキシエチレンのエチレンオキサイドの長さ(付加モル数)としては、2~100が好ましく、4~50がより好ましい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ポリオキシエチレンモノカプリル酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセキステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0095】
本発明の水中油型乳化組成物に中の非イオン性界面活性剤の含有量は、0.5質量%~30質量%が好ましく、1質量%~20質量%がより好ましく、2質量%~15質量%が更に好ましい。非イオン性界面活性剤の量を0.5質量%以上含有することは、所定量のグリチルレチン酸誘導体の溶解性を向上させると共に、油相/水相間の界面張力を下げ易い点で好ましい。また、非イオン性界面活性剤の量を30質量%以下とすることは、非イオン性の界面活性剤を過剰量としない点で好ましい。
【0096】
本発明の水中油型乳化組成物は、好ましくは水を含有する。水の量は、保存中の防腐性の観点から、水中油型乳化組成物全量に対して20質量%~75質量%が好ましく、20質量~50質量%以下がより好ましい。
【0097】
本発明の乳化組成物は、上記成分の他、食品、化粧品等の分野において通常用いられる添加成分を、その形態に応じて適宜含有してもよい。
【0098】
例えば、その他の添加成分としては、グルコース、ショ糖、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タマリンド種子多糖、アラビアガム、トラガカントガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デキストリン等の単糖類又は多糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクトース、マルトトリイトール、キシリトールなどの糖アルコール;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩;カゼイン、アルブミン、メチル化コラーゲン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、ゼラチン等の分子量5000超のタンパク質;グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、メチオニン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸及びそれらの誘導体;カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酸化エチレン・酸化プロピレンブロック共重合体等の合成高分子;ヒドロキシエチルセルロース・メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、アスコルビン酸又はその誘導体(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸リン酸エステル、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、硫酸アスコルビル、硫酸アスコルビル2ナトリウム塩、及びアスコルビル-2-グルコシド等)、トコトリエノール及びその誘導体、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類、プテロスチルベン等を含むヒドロキシスチルベン、などを挙げることができる。これらの添加成分は、その機能に基づいて、例えば機能性成分、賦形剤、粘度調整剤、ラジカル捕捉剤などとして含まれてもよい。
【0099】
本発明の水中油型乳化組成物の水性成分として、多価アルコール、水溶性の塩類、多糖類、タンパク質、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、色素、香料等などを含有することもできる。
【0100】
また、本発明の水中油型乳化組成物の油性成分として油脂類、炭化水素類、ロウ類、エステル類、脂肪酸類、高級アルコール類、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質類などを含有することもできる。
【0101】
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法に従い製造することができる。例えば、a)水又は水性媒体に水性成分を溶解させて、水性組成物を得ること、b)油性成分を混合又は溶解して、油性組成物を得ること、c)攪拌下で水性組成物と油性組成物を混合して乳化分散を行い、水中油型乳化組成物を得ること、を含む製造方法が好ましい。
【0102】
乳化分散における油性組成物と水性組成物との質量比は、特に限定されるものではないが、油性組成物/水性組成物の比率(質量%)として0.1/99.9~50/50が好ましく、0.5/99.5~30/70がより好ましく、1/99~20/80が更に好ましい。油性組成物/水性組成物の比率を0.1/99.9以上とすることにより、有効成分が低くならないため水中油型乳化組成物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油性組成物/水性組成物の比率(質量%)を50/50以下とすることにより、分散相(油相)に対する界面活性剤濃度が薄くなることがなく、水中油型乳化組成物の経時安定性が保たれるため好ましい。
【0103】
乳化分散は、1ステップの乳化操作を行ってもよいが、2ステップ以上の乳化操作を行うことが均一で微細な乳化粒子を得る点から好ましい。具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化するという1ステップの乳化操作に加えて、高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を通して乳化する等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化物を更に均一な微粒子の液滴に揃えることが出来る。また、更に均一な粒子径の液滴とする目的で複数回行っても良い。乳化分散は、特許第5989139号などの公知技術を参照して当業者には通常の技能で行うことができる。
【0104】
本発明の水中油型乳化組成物に含有されるエマルション粒子は、平均粒子径が150nm以下であることが好ましい。これにより、エマルション組成物の外観の透明性のみならず安定性をより向上することができる。さらに、エマルション粒子の平均粒子径が150nm以下であれば、皮膚や頭皮等にエマルション組成物を付与した際のエマルション粒子の浸透性を向上させることができ、より効果的に有効成分を皮膚や頭皮等に浸透させることができる。
【0105】
エマルション粒子の平均粒子径とは、水中油型エマルション組成物中に存在するエマルション粒子の体積平均粒子径を意味する。
【0106】
本発明の水中油型乳化組成物に含有されるエマルション粒子の平均粒子径は、5nm~150nmであることが好ましく、10nm~100nmがより好ましい。
【0107】
本発明の水中油型乳化組成物中に含まれるエマルション粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡、遠心沈降法、液体排除クロマト法、レーザー散乱回折法、動的光散乱法などの公知の方法で求めることができるが、精度と測定の簡便さから、動的光散乱法を用いて測定することが好ましい。
【0108】
本発明の水中油型乳化組成物の用途は任意であるが、化粧料、医薬部外品、医薬品等に好適に用いることができる。具体的には、シャンプー、リンス、コンディショナーなどの毛髪化粧料; 洗顔料、クレンジング化粧料、ローション、乳液、美容クリーム、下地化粧料、日焼け止め化粧料、パック、マッサージ化粧料などの皮膚化粧料; 各種薬剤を含有する軟膏、クリーム等の外用医薬品として好適に利用できる。
【0109】
本発明の水中油型乳化組成物の剤形は任意であり、液状、エマルション、ジェル状、スプレー状、ムース状等のものとして調製される。
【0110】
化粧水、美容液については、一般的に透明性を有することが求められ、その経時変化後も安定していることが要求される。
【0111】
本明細書において、「経時安定性」は、時間経過前後の濁度の変化、平均粒子径の変化率、またはそれらの両方を測定することにより評価することができる。
【0112】
本発明は、上記の本発明の水中油型乳化組成物を含有する皮膚外用組成物も提供する。皮膚外用組成物は、化粧料、医薬部外品、又は医薬品であってよい。
【0113】
本発明の皮膚外用組成物は、前述したエマルション組成物の形態を採用してもよい。本発明の皮膚外用組成物は、水中油型乳化組成物に関して説明した成分以外にも、食品及び化粧品等の分野において通常用いられる、その他の添加成分を、その形態に応じて適宜含有してもよい。
かかる添加成分として、例えば水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーは、水相の分散安定性を高め、高温及び低温安定性を向上させるために添加される。
【0114】
水溶性ポリマーとしては、カチオン性水溶性ポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、及び両性水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーは、皮膚外用組成物とした場合の透明性や経時安定性の理由から、アニオン性水溶性ポリマーではないことが好ましく、非イオン性水溶性ポリマーが好ましい。アニオン性水溶性ポリマーは、レシチン等の共存する材料との相互作用により乳化組成物の安定性に影響がある可能性がある。
【0115】
非イオン性水溶性ポリマーの例としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、会合性ノニオンポリマー(疎水変性ポリエーテルウレタン、疎水変性セルロース誘導体等)、ポリサッカライド及びその誘導体(グアーガム、ローカストビーンガム、デキストラン等)等が挙げられる。好ましくは、水溶性ポリマーはセルロース誘導体及びポリエーテルウレタンから成る群より選択される少なくとも一つを含む。
【0116】
これらの水溶性ポリマーは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0117】
皮膚外用組成物中における水溶性ポリマーの含有量は、好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値は、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。具体的な含有量範囲は、好ましくは0.05~4質量%、より好ましくは0.1~2質量%である。
【0118】
その他の添加成分の例としては、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タマリンド種子多糖、アラビアガム、アカシアガム、アルカリゲネス産生多糖体(「アルカシーラン」とも称される。)、トラガカントガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デキストリン、イヌリン等の単糖類又は多糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクトース、マルトトリイトール、キシリトールなどの糖アルコール;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩;カゼイン、アルブミン、メチル化コラーゲン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、ゼラチン等の分子量5000超のタンパク質;グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、メチオニン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸及びそれらの誘導体;カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酸化エチレンと酸化プロピレンのブロック共重合体等の合成高分子;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチンなどのフラボノイド類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸リン酸エステル、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、硫酸アスコルビル、硫酸アスコルビル2ナトリウム塩、及びアスコルビル-2-グルコシド等のアスコルビン酸又はその誘導体;トコトリエノール及びその誘導体;クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル、リグナン類、クルクミン類、クマリン類、プテロスチルベン、ヒドロキシスチルベン等のフェノール類を挙げることができる。
【0119】
本発明の皮膚外用組成物はまた、例えば、pH調整剤、pH緩衝剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、着色剤、賦形剤、粘度調整剤、ラジカル捕捉剤など、通常その用途で使用される他の添加物を用いることができる。
【0120】
本発明の皮膚外用組成物はまた、その機能に基づいて各種成分を配合することができる。例えば、そのような成分として、エモリエント剤、トリートメント剤、潤滑剤、保湿剤、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗白髪剤、アンチエイジング剤、抗酸化剤、香料、色素剤、制汗剤、冷感剤、清涼剤、温感剤などを挙げることができる。
【0121】
本発明の皮膚外用組成物はまた、医薬品用成分として、さらに、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗生剤、殺菌剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤などを含むことができる。
【0122】
なお、本発明の皮膚外用組成物は、エタノールの含有量を、皮膚外用組成物の全質量に対して、10質量%以下にすることが好ましい。これにより、本発明の皮膚外用組成物は、皮膚への刺激性を緩和することができるようになる。また、皮膚への刺激性の緩和の観点より、本発明の皮膚外用組成物は、エタノールの含有量が皮膚外用組成物の全質量に対して0~1質量%にすることがより好ましく、0~0.5質量%にすることが更に好ましく、0~0.1質量%にすることが特に好ましい。
【0123】
本発明の皮膚外用組成物は、効果発現に十分な量の有効成分を含有しうるものであり、且つ冷蔵保存が可能であることから、化粧料、軟膏として使用することができる。中でも、顔用化粧料、頭皮用化粧料として用いることが好ましい。
【0124】
皮膚外用組成物としては、化粧水(ローション)、美容液(エッセンス)、乳液、クリーム、マスク、パック、洗髪用化粧品、フレグランス化粧品、液体ボディ洗浄料、UVケア化粧品、防臭化粧品、オーラルケア化粧品等(化粧品の場合)などが挙げられる。また、これらは必ずしもヒトが使用するものに限定されることは無く、ペット等の動物用の皮膚外用剤としても好適に使用される。
【0125】
また、本発明の乳化組成物は、透明性が要求される水性の化粧料に特に好適に適用される。化粧水、美容液については、一般的に透明性を有することが求められ、その経時変化後も透明で安定していることが要求される。
【0126】
なお、本発明の皮膚外用組成物は、公知の方法に従い製造することが可能である。例えば、上述の水中油型乳化組成物を、皮膚外用組成物の全質量に対して0.001質量%~50質量%等になるように精製水等を用いて希釈すること等で得ることができる。化粧料における濁度を抑える観点からは、化粧料に配合される水中油型乳化組成物の量を少なくすることが好ましい。かかる観点から、本発明の化粧料における水中油型乳化組成物の配合量が、化粧料の全質量に対して30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
【0127】
以下の実施例は、例示のみを意図したものであり、何ら本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。特に断らない限り、試薬は、市販されているか、又は当技術分野で慣用の手法、公知文献の手順に従って入手又は調製する。
【実施例0128】
試験例1
実施例1~18及び比較例1~4の水中油型乳化組成物の調製
1.水中油型乳化組成物の調製
β-グリチルレチン酸(丸善製薬株式会社製)1.00g、ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル(日本エマルジョン株式会社製:AMIER LG1600)20.00g、イソステアリルアルコール(高級アルコール工業株式会社製:リソノール18SP)10.00g、1,3-ブチレングリコール(株式会社ダイセル製)4.00gを混合し、90℃にて攪拌しながら溶解し、これを油相組成物-1とした。
一方、大豆レシチン(辻製油株式会社製:SLP-PC70)2.00g、オレイン酸ポリグリセリル(10)(日光ケミカルズ株式会社製:Decaglyn―1OV)8.00g、ステアロイルメチルタウリンナトリウム(日光ケミカルズ株式会社製:SMT)1.00g、濃グリセリン(花王株式会社製)22.00g、精製水32.00gを混合し、70℃にて攪拌しながら溶解(分散)し、これを水相組成物-1とした。
各々溶解した上記油相組成物-1と上記水相組成物-1をTKホモミキサー(プライミクス製)で60℃にて1000rpmで15分間粗乳化した。この粗乳化物-1を、超高圧分散装置(スギノマシン株式会社製スターバーストミニ機)で、60℃に保ちながら、圧力200MPaで3回通過させて微細乳化物である実施例1の水中油型乳化組成物を調製した。
実施例2~18及び比較例1~4の乳化組成物についても、表1に従って実施例1の乳化組成物と同様に調製した。但し、ここで使用した原材料は以下の物である。
・ラウロイルグルタミン酸ジオクチルデシル(日本エマルション株式会社製:AMITER LG1800)
・ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(味の素株式会社製:ELDEW PS203)
・ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル(日本エマルション株式会社製:AMITER MA-HD)
・ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素株式会社製:ELDEW SL205)
・ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル):(味の素株式会社製、ELDEW CL202)
・ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル):(味の素株式会社製、ELDEW CL301)
・ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル):味の素株式会社製、ELDEW PS304)
・ミリストイルサルコシンNa(日光ケミカルズ株式会社製:サルコシネートMN)
・ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(旭化成ファインケム株式会社製:ペリセアL30)(但し、表1には純品換算標記)
・酢酸DL-α-トコフェロール(三菱ケミカル株式会社製)
【0129】
2.水中油型乳化組成物の評価
実施例及び比較例の各水中油型乳化組成物を以下の項目について評価した。
(1)初期濁度(透明性)
特に化粧水等透明性を要求される製品に使用する場合、濁りが問題となる。それは希釈したときの濁度で評価される。
濁度は、上記方法で調製した水中油滴型乳化物を精製水で100倍に希釈して、分光光度計(日本分光株式会社製V-750)にて、波長600nmの吸光度(散乱強度)で評価した。なお、この時のサンプルは石英ガラス製セルに入れて光路長は10mmである。(2)保存安定性
上記乳化物をそれぞれ、6mlのガラスバイアル瓶に入れ、密閉状態で40℃で1ヶ月保存し、その後開封して上記の方法と同様に希釈して濁度を測定し、初期の濁度との差を求めた。
(3)保存乳化物の状態観察
上記保存乳化物の乳化分散状態を観察して、分離(沈殿又は浮上)の有無とその程度を評価した。分離が認められる場合には×とし、その保存温度条件を付記した。
(4)総合評価
初期濁度と、保存安定性と、保存乳化物の状態観察の結果から、各乳化組成物を以下の基準で評価した。
◎:保存中の分離現象は見られず、濁度変化が0.06以下であり、初期濁度が0.15以下である。
○:保存中の分離現象は見られず、濁度変化が0.1以下である。
△:保存中の分離現象は見られず、濁度変化が0.1よりも大きい。
×:保存中に析出又は油分離などの相分離が見られる。
【0130】
【表1】
【0131】
試験例2
試験例1で作製した実施例1、12、13、14、15および17の乳化組成物に対して、以下の組成で他の成分を攪拌混合して、それぞれ皮膚外用組成物1~6を作製した。
精製水 73.9 g
非イオンポリマー液(90SH15000) 1.1 g
プロパンジオール 4 g
グリセリン 10 g
ペンチレングリコール 2 g
フェノキシエタノール 0.5g
エチルヘキシルグリセリン 0.1g
水酸化レシチン(レシノールSH50) 0.1g
シクロヘキサン-1,4ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール
(Neosolute-Aqulio) 0.1g
PEG60水添ヒマシ油(エマノーンHC60)0.1g
1,3ブチレングリコール 5 g
セリン 0.01g
表1の乳化組成物 12 g
(実施例1、12、13、14、15および17のいずれか)
精製水でupto 120 g
本皮膚外用組成物1~6は、いずれも調製直後の濁度は低く(透明性大)、保存後の濁度変化も極めて小さく良好であった。
【0132】
試験例3
試験例1で作製した実施例1、12、13、14、15および17の乳化組成物に対して、以下の組成で他の成分を攪拌混合して、それぞれ口腔用組成物1~6を作製した。
ソルビトール 5 g
グリセリン 5 g
プロピレングリコール 4 g
クエン酸 0.1g
クエン酸ナトリウム 0.3g
ポリオキエシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3g
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 0.3g
パラオキシ安息香酸エチル 0.2g
塩化セチルピリジニウム 0.05g
サッカリンナトリウム 0.001g
香料(スペアミント油) 0.1g
表1の乳化組成物 5 g
(実施例1、12、13、14、15および17のいずれか)
精製水でupto 100 g
本口腔用組成物1~6は、いずれも調製直後の濁度は低く(透明性大)、密閉状態で50℃1ヶ月後の保存後の状態を目視で確認したところ、沈殿物や濁りは見られず良好であった。