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特開2024-157520接着テープ、接着された接合体、及び接着された接合体を電気的に剥離するための方法
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  • 特開-接着テープ、接着された接合体、及び接着された接合体を電気的に剥離するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157520
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】接着テープ、接着された接合体、及び接着された接合体を電気的に剥離するための方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/29 20180101AFI20241030BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20241030BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20241030BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241030BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C09J7/29
C09J7/35
C09J133/04
C09J11/06
C09J11/04
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024042074
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】23169916
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】トールステン・クラーヴィンケル
(72)【発明者】
【氏名】ワン・シュワン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ペーター・グレーフ
(72)【発明者】
【氏名】ムン・シスン
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB05
4J004AC03
4J004BA02
4J004CA01
4J004CB03
4J004CC03
4J004DB02
4J004FA05
4J004FA09
4J040DF021
4J040DM001
4J040HA096
4J040HA236
4J040HB24
4J040HC16
4J040HC23
4J040JA09
4J040LA06
4J040LA09
4J040NA02
4J040NA15
4J040NA19
4J040PA23
4J040PA42
4J040PB19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】少なくとも一つの基材から残渣なく再び剥がすことができかつ優れた耐衝撃性(衝撃靭性)を有する、接着テープを提供する。
【解決手段】本発明は、接着テープ、接着された接合体、接着された接合体を電気剥離する方法、及び電子デバイス、自動車、医療用デバイス及び歯科用デバイス中の部材を接着するための前記接着テープの使用に関する。該接着テープは、少なくとも次の層を含む:接着剤層D、但し、この接着剤層Dは少なくとも一種の電解質を含みかつ発泡されており、ここで、発泡はマイクロバルーンを用いてもたらされており、及び前記マイクロバルーンは、その表面上に、シリケートまたはアルモシリケートでできた層を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも次の層を含む接着テープ:
・接着剤層D、但し、この接着剤層Dは少なくとも一種の電解質を含みかつ発泡されており、ここで、発泡はマイクロバルーンを用いてもたらされており、及び前記マイクロバルーンは、その表面上に、シリケートまたはアルモシリケートでできた層を有する。
【請求項2】
接着剤層Dの電解質が、イオン液体及び金属塩からなる群から選択され、イオン液体が特に好ましいことを特徴とする、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
イオン液体のアニオンが、Br、AlCl 、AlCl 、NO 、BF 、PF 、CHCOO、CFCOO、CFCO 、CFSO 、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF 、CF(CFSO 、(CFCFSO、CFCFCFCOO、(FSOからなる群から選択され、特に好ましくは(CFSO及び(FSOから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の接着テープ。
【請求項4】
イオン液体のカチオンが、イミダゾリウムベースのカチオン、ピリジニウムベースのカチオン、ピロリジンベースのカチオン、及びアンモニウムベースのカチオンからなる群から選択され、特に好ましくは、イミダゾリウムベースのカチオンからなる群から選択され、及び前記カチオンは、特に好ましくは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、前記カチオンは非常に特に好ましくは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムであることを特徴とする、請求項2または3に記載の接着テープ。
【請求項5】
接着剤層Dの電解質が、イオン液体の1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM-TFSI)及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIM-FSI)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項6】
第一の接着剤層Dがポリ(メタ)アクリレートをベースとすることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項7】
第一の接着剤層Dが、含まれるポリマー100重量%を基準にして、2から10重量%までの、好ましくは4から6重量%までの電解質、好ましくはイオン液体を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項8】
転写式接着テープであり、接着剤層Dからなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項9】
追加的に、少なくとも次の層を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一つに記載の接着テープ:
・第二の接着剤層C; 及び
・層Dと層Cとの間に配置された、少なくとも一つの電気伝導性のキャリア層T。
【請求項10】
追加的に、少なくとも次の層を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一つに記載の接着テープ:
・第二の接着剤層C; 及び
・層Dと層Cとの間に配置されている、少なくとも一つの第一の電気伝導性キャリア層T; 及び
・第一の電気伝導性キャリア層Tとは反対側にある、接着剤層Dの表面上に配置された、少なくとも一つの第二の電気伝導性キャリア層T’; 及び
・第一の接着剤層Dとは反対側にある、第二のキャリア層T’の表面上に配置された、第三の接着剤層C’。
【請求項11】
電気伝導性キャリア層Tまたは電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’が少なくとも一種の金属を含み、前記金属は、銅、ニッケル、亜鉛、錫、銀、金、アルミニウム、鉄、クロム、及び前記のこれらの金属の合金からなる群から選択され、及び電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’は、互いに独立して、同じものであるかまたは互いに異なるものであることを特徴とする、請求項9または10に記載の接着テープ。
【請求項12】
電気伝導性キャリア層Tまたは電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’が、a)少なくとも一つの金属フィルム、好ましくはアルミニウムフィルム、及び/またはb)少なくとも一種の金属、好ましくは銅及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む、少なくとも一つの電気伝導性テクスタイル、及び/またはc)少なくとも一種の蒸着金属、好ましくは銅及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種の蒸着金属の一つ以上の層、及び/またはd)少なくとも一つの金属格子、及び/またはe)金属蒸着フィルムを含み、電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’は、互いに独立して、同じものであるかまたは互いに異なるものであることを特徴とする、請求項11に記載の接着テープ。
【請求項13】
少なくとも次の層を含む接着された接合体:
・第一の基材A; 及び
・第二の基材B; 及び
・基材Aと基材Bとの間に配置され、基材A及びBを互いに接着する、請求項1~12のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項14】
少なくとも次のプロセスステップを含む、請求項13に記載の接合体の電気的剥離方法:
i.)接合体の二つの異なる箇所に電圧を印加するステップであって、電圧は、好ましくは2から20Vまで、特に好ましくは3から15Vまでである。
【請求項15】
電子デバイス、自動車、医療用デバイス及び歯科用デバイス中の部材を接着するための、請求項1~12のいずれか一つに記載の接着テープの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着テープ、接着された接合体、接着された接合体を電気剥離する方法、及び電子デバイス、自動車、医療用デバイス及び歯科用デバイス中の部材を接着するための前記接着テープの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
殆どの接着テープ溶液は、剥がすことができないか、または基材を損傷することなく剥がすことはできない。最近は、持続性に関しての環境法や最終顧客の意識、並びに製造の際の高まるコスト圧の故に、「オンデマンド脱着」機能への関心が高まっている。脱着プロセスの使用シナリオは、リワーク、修理、リサイクル及び加工補助に分類される。
【0003】
脱着技術は、接着剤層の凝集破断をまたは基材からの接着剤層の接着剥離を達成することを目的とする。前者は、再接着の前に基材の清浄を必要とするのに対し、後者は、そのような清浄は無しで済む。
【0004】
しかし、要求される高くかつ恒久的に信頼できる接着強度を保証するような接着剥離技術は、一般的に実現が比較的困難であるか、または例えば浸透性溶剤を用いた剥離など、適用に非常に長くかかるものである。
【0005】
そのため、現在は、殊に、スマートフォンやタブレットコンピュータなどの電子デバイスのリワークまたは修理においては、主に凝集破断性の接着接合が使用されており、温度の上昇を介して、接着の凝集分離を手動で行い得る程度まで凝縮力が低下する感圧接着テープとして設計されることが多い。結果は、再接着のための準備としての、接着剤残渣で汚染された基材表面の膨大な後処理である。
【0006】
熱媒介分離法の他に、電気的分離法が議論されている。例えば、EP3363873B1(特許文献1)は、互いに接着された基材の電気的分離を可能にする、このような電気的分離法または然るべき接着テープを開示している。それにより、殊に、剛性の基材の分離を可能とすることを目的としている。この目的のために、EP3363873B1(特許文献1)に提案された接着テープは、二つの接着剤層によって囲まれた中央に配置された電気伝導性の層を有し、前記接着剤層のうちの一方の接着剤層は電解質を含み、それにより、前記伝導性層からまたは電気伝導性基材から電気的に剥離することができる。
【0007】
殊に電子デバイスにおける接着テープの使用では、しばしば耐衝撃性が重要である、というのも、接着された部材は、モバイルデバイスが落下した場合でも、剥がれてはならないからである。
【0008】
接着テープの耐衝撃性を高めるためには、殊に発泡可能なマイクロバルーンを添加して、接着剤を発泡させることが多い。
【0009】
しかしながら、発泡性マイクロバルーンなどのこのような添加剤を加えることで、殊に接着力などの、接着剤の特性が影響を受ける。発泡自体によっても、発泡していない接着剤とは異なる特性プロフィルが得られる。これは、殊に、密度、強度、及び接着剤中の比較的小さな分子の可動性に関連し、この際、殊に、最後に述べた観点は接着剤の電気剥離性に影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP3363873B1
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Carl H. Hamann,Wolf Vielstich:Elektrochemie I:Elektrolytische Leitfaehigkeit,Potentiale,Phasengrenzen.2.Auflage.VCH Verlagsgesellschaft mbH,Oldenburg/Bonn 1985,ISBN3-527-21100-4,S.4
【非特許文献2】P.E.Hinkamp、Polymer、1967、8、381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それ故、本発明は、少なくとも一つの基材から残渣なく再び剥がすことができかつ優れた耐衝撃性(衝撃靭性)を有する、接着テープを提供するという課題に基づくものである。また同時に、接着すべき基材に対する前記接着テープの接着力は、剥離の前は、負の影響を受けるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、本発明により、請求項1に従う接着テープによって解決される。
【0014】
本発明による接着テープは、少なくとも、以下の層を含む:
・接着剤層D、但し、この接着剤層Dは少なくとも一種の電解質を含みかつ発泡されており、ここで、発泡はマイクロバルーンを用いてもたらされており、及び前記マイクロバルーンは、その表面上に、シリケートまたはアルモシリケートでできた層を有する。
【0015】
含まれる電解質を用いることにより、前記接着剤層Dは電気的に剥離可能である。
【0016】
驚くべきことに、接着剤層Dは、それがマイクロバルーンで発泡されており、従ってマイクロバルーンを含む時にも、電気的に剥離可能であることが判明した。この目的のためには、マイクロバルーンが、その表面に、シリケートまたはアルモシリケートでできた層を有することが重要である。それによって、接着テープの高い耐衝撃性、並びにこの接着テープと、それを介して互いに接着された基材とを含む接着された接合体の高い耐衝撃性がもたらされる。また同時に、マイクロバルーンを含むにもかかわらず、前記接着テープは高い接着力を有する。
【0017】
それ故、本発明を用いることで、簡単にかつ迅速に再剥離することができ、それ故、持続可能性に寄与する接着テープであって、それを含む物品は、他方で、例えば落下して望ましくない力が作用した場合でも、長められた寿命を有する、接着テープが首尾よく提供される。
【0018】
本発明による接着テープは好ましくは両面接着テープである。簡潔さのために、本発明による接着テープは、本発明の枠内において、それが両面接着性の実施形態の場合でも、「接着テープ」と称する。
【0019】
本発明は、任意の既製形態で存在することができ、この際、接着テープロールが好ましい、接着テープに関する。該接着テープ、殊にウェブ状形態の接着テープは、ロールの形で、すなわちアルキメデス螺旋の形でそれ自体に巻回されて、製造できるか、または例えばダイカットの形で得られるような、接着ストリップとして製造することができる。
【0020】
本発明の接着テープは、殊にウェブ状の形で存在する。ウェブ状とは、長さ(x方向の延び)が、幅(y方向の延び)よりも数倍長く、かつ幅が、全長に沿ってほぼ一定であるか、就中、正確に一定であるように形成されている、物体のことと解される。
【0021】
同義語として「接着ストリップ」とも言う一般的な表現「接着テープ」は、本発明の意味では、全ての平坦な形成物、例えば二次元に延びたフィルムまたはフィルム断片、延びた長さ及び限られた幅を有するテープ、テープ断片などを、最後にダイカットまたはラベルなども包含する。
【0022】
この接着テープは、長手の延び(x方向)及び幅の延び(y方向)の他、両方の延びに対して垂直に延びる厚さ(z方向)も有し、ここで、幅の延び及び長手の延びは、厚さよりも何倍も長い。厚さは、長さ及び幅によって決定される接着テープの全表面範囲にわたって、できるだけ同じであり、就中、正確に同じである。
【0023】
この記述は、幾つかの好ましい実施形態では、接着テープの構成要素としてx及びy方向に層を形成するキャリア層(複数可)にも同様に当てはまる。
【0024】
個々の層はz方向に沿って積層されることが理解される。
【0025】
明細書の全ての記載は、本発明による接着テープ、該接着テープの製造のための本発明による方法、本発明に従う接着された接合体、並びに該接合体を電気的に剥離するための方法、及び本発明による接着テープの使用に当てはまる。
【0026】
加えて、各々の引用形式請求項に記載の技術事項である全ての特徴も本発明に含まれる。更に、個々の特徴の相互の組み合わせは、及びこの場合、異なるレベルの好ましい態様の組み合わせも、本発明に含まれる。それ故、例えば、「好ましい」ものとして示された第一の特徴と、「特に好ましい」ものとして示された第二の特徴との組み合わせは本発明に含まれる。この場合、同様に異なる好ましさのレベルの、「実施形態」の枠内で示される技術事項も包含される。
【0027】
接着剤層Dは、少なくとも一種の電解質を含む。
【0028】
ここで、「電解質」とは、2023年1月4日のウィキペディアの「Elektrolyt」の項目にまたは応じてCarl H.Hamann,Wolf Vielstich:Elektrochemie I:Elektrolytische Leitfaehigkeit,Potentiale,Phasengrenzen.2.Auflage.VCH Verlagsgesellschaft mbH,Oldenburg/Bonn 1985,ISBN3-527-21100-4,S.4(非特許文献1)に記載されているように、「固形、液状または溶解した状態でイオンに解離しており、かつ電場の影響下にある方向に移動する」化合物のことと理解される。
【0029】
好ましくは、接着剤層Dの電解質は、イオン液体及び金属塩からなる群から選択され、この際、イオン液体が特に好ましい。
【0030】
殊に、電解質としての一種以上のイオン液体によって、接着テープを簡単に再剥離することができ、しかも、接着テープの接着特性は負の影響を受けない。この際、イオン液体は、接着剤のポリマーマトリックス中に良好にかつ均一に分布でき、そしてこの再剥離は、他の電解質を用いた場合よりも迅速に機能する。
【0031】
更に、イオン液体の成分は、殊に室温では、非揮発性である。加えて、イオン液体は、比較的熱安定性でありかつ非燃焼性であり、並びに化学的に比較的安定している。
【0032】
イオン液体は、本発明の枠内では、室温、すなわち23℃で液状である塩である。応じて、イオン液体はアニオンとカチオンとを含む。
【0033】
それ故、イオン液体は、電気的剥離のための本発明による分離プロセスまたは方法の枠内で、電解質として特に良好に適している。電圧を印加すると、アニオンはアノード側にそしてカチオンはカソード側に移動する。それにより、イオン液体を含有する接着剤層、ここでは層Dの、隣接する層のうちの少なくとも一つの層に対する接着力が低下し、そうして、接着剤層Dと、隣接する層のうちの少なくとも一つの層との間の接着分離が達成される。
【0034】
本発明の枠内では、原則的に、全てのイオン液体が適している。
【0035】
本発明の枠内で使用されるイオン液体は、少なくとも一種のアニオンと少なくとも一種のカチオンとを含む。この場合、イオン液体が、二種以上のタイプのアニオン及び/または二種以上のタイプのカチオンを含むことも考慮できる。更に、二種以上の異なるイオン液体が接着剤層Dに加えられていること、または接着剤層Dが、二種以上の異なるイオン液体を含むことも考慮され得る。
【0036】
好ましくは、イオン液体のアニオンは、Br、AlCl 、AlCl 、NO 、BF 、PF 、CHCOO、CFCOO、CFCO 、CFSO 、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF 、CF(CFSO (CFCFSO、CFCFCFCOO、(FSOからなる群から選択される。これらのアニオンは、接着剤中に使用されるポリマー、例えば(メタ)アクリレート中に特に良好に可溶性であり、マトリックス中に迅速かつ十分に拡散でき、そうして比較的高速な分離プロセスを可能にする。同時に残渣は残らない。
【0037】
特に好ましくは、アニオンは、(CFSO及び(FSOからなる群から選択される。これらのアニオンが特に良好に適しており、というのも、それにより、最良の電気剥離性を達成されるからである。殊に、これらのアニオンを用いて(再)剥離が特に高速に首尾よくいき、そして残渣は残らない。
【0038】
好ましくは、該イオン液体のカチオンは、イミダゾリウムベースのカチオン、ピリジニウムベースのカチオン、ピロリジンベースのカチオン及びアンモニウムベースのカチオンからなる群から選択される。
【0039】
これらのカチオンは、接着剤中に使用されるポリマー、例えば(メタ)アクリレート中に特に良好に可溶性であり、そして迅速かつ十分にマトリックス中に拡散でき、そうして比較的高速な分離プロセスを可能にする。同時に残渣は残らない。
【0040】
特に好ましくは、カチオンは、イミダゾリウムベースのカチオンからなる群から選択される。これらのカチオンは特に良好に適している、というのも、それにより、最良の電気剥離性が達成されるからである。殊に、これらのカチオンを用いて(再)剥離が特に高速に首尾よくいき、そして残渣は残らない。
【0041】
非常に特に好ましくは、カチオンは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択される。またもや好ましくは、カチオンは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムである。
【0042】
特に好ましくは、接着剤層Dの電解質は、次のイオン液体、すなわち1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIN-TFSI)及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIM-FSI)からなる群から選択される。これらのイオン液体は、接着剤中に使用されるポリマー、例えば(メタ)アクリレート中に特に良好に可溶性であり、そしてマトリックス中に迅速かつ十分に拡散でき、そうして比較的高速な分離プロセスを可能とする。また同時に、残渣は残らない。
【0043】
接着剤層Dの接着剤は、好ましくは少なくとも一種のポリマーを含む。
【0044】
接着剤層Dが、ポリ(メタ)アクリレートをベースとすることが特に好ましい。「(メタ)アクリレートをベースとする」という表現は、本発明の枠内では、ポリ(メタ)アクリレートが、接着剤の主たるポリマーであり、応じて、90~100重量%の割合で接着剤層D中に含まれ、この際、100重量%を基準にし、すなわち接着剤層D中に含まれるポリマーの全量を基準にする。任意選択に接着剤層D中に含まれる粘着樹脂は、含まれるポリマーの100重量%には加算されない。
【0045】
接着剤層が、ポリ(メタ)アクリレートを、(含まれるポリマーの全量を基準にして)100重量%未満の割合で含む場合には、該接着剤層は、少なくとも一種のタイプの他のポリマーを含む。
【0046】
特に好ましくは、接着剤層D中に含まれるポリマーは、その100重量%がポリ(メタ)アクリレートである。
【0047】
全実施形態のポリ(メタ)アクリレートは、原則的に、接着剤中での使用に適した任意のポリ(メタ)アクリレートであることができる。
【0048】
「ポリ(メタ)アクリレート」とは、殊に、アクリル-及び/またはメタクリルモノマー、並びに場合により更に別の共重合可能なモノマーのラジカルまたはアニオン重合によって得ることができるポリマーのことと解される。殊に、「ポリ(メタ)アクリレート」とは、そのモノマーベースが、少なくとも50重量%の割合のアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルからなり、ここで、アクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルは、少なくとも案分で、好ましくは、そのポリマーの全モノマーベースを基準にして少なくとも30重量%の割合で、含まれている、ポリマーのことと解される。
【0049】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートは、少なくとも案分で重合導入された官能性モノマー、特に好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシ基、酸無水物基、エポキシド基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有する少なくとも一種のモノマーを含む。
【0050】
上記の基は、エポキシド基は除いて、エポキシド基との反応性を有し、それにより、前記ポリ(メタ)アクリレートは、導入されたエポキシドと有利に熱架橋することができる。
【0051】
非常に特に好ましくは、前記ポリ(メタ)アクリレートは、少なくとも案分に重合導入された官能性モノマー、特に好ましくは、カルボン酸基及びエポキシド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有する少なくとも一種のモノマーを含み; 殊に少なくとも一つのカルボン酸基を含む。
【0052】
特に有利な実施形態によれば、前記ポリ(メタ)アクリレートは、案分に重合導入されたアクリル酸及び/またはメタクリル酸を含む。それにより、前記ポリ(メタ)アクリレートは、そのカルボン酸基の故に、エポキシド基との反応性を有し、それにより、このポリ(メタ)アクリレートは、導入されたエポキシドと有利に熱架橋することができる。
【0053】
前記ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、以下のモノマー組成に帰することができる:
a)次式(1)の少なくとも一種のアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステル
(1) CH=C(R)(COORII
[式中、RはHまたはCHであり、そしてRIIは、炭素原子数4~18のアルキル基である]
B)カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシ基、酸無水物基、エポキシド基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を有する少なくとも一種のオレフィン性不飽和モノマー;
c)任意選択の、前記成分(a)と共重合可能な、更に別のアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステル及び/またはオレフィン性不飽和モノマー。
【0054】
特に有利な実施形態によれば、前記ポリ(メタ)アクリレートは、群a)のモノマーを93~99重量%の割合で及び群b)のモノマーを1~7重量%の割合で含むモノマー組成をベースとする。
【0055】
本発明による接着テープの接着剤層(D)中にこのようなポリ(メタ)アクリレートを用いることで、接着性、耐衝撃性並びに残渣を残さない剥離性を始めとした特に良好な特性プロフィルが達成される。
【0056】
成分a)のモノマーは一般的に軟化性で、むしろ非極性のモノマーである。特に好ましくは、モノマーa)中のRIIは、炭素原子数が4~10のアルキル基である。式(1)のモノマーは、殊に、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ペンチルメタクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、2-プロピルヘプチルアクリレート、及び2-プロピルヘプチルメタクリレートからなる群から選択される。
【0057】
特に好ましくは、式(1)のまたは群(a)のモノマーは、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート及び2-プロピルヘプチルアクリレートからなる群から選択される。
【0058】
上記のモノマーは特に良好に重合することができ、そして製造されたポリ(メタ)アクリレートのガラス転位温度は特に良好に調節することができる。それにより、この場合も、各々の場合に接着するべき基材または部材にも適合されている、流動性及び接着性に関してまたもや最適化された特性を達成することができる。
【0059】
この際、式(1)のまたは群(a)のモノマーは、またもや好ましくは、n-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートからなる群から選択される。
【0060】
非常に特に好ましくは、式(1)のまたは群a)のモノマーとして、n-ブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートが使用される。
【0061】
群b)のモノマーは、特に好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、ジメチルアクリル酸、β-アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、ビニル酢酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸無水物、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート、アリルアルコール、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートからなる群から選択される。
【0062】
好ましくは、群b)のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸及びヒドロキシエチルアクリレートから選択される。
【0063】
非常に特に好ましくは、群b)のモノマーとしては、アクリル酸が使用される。
【0064】
成分c)の例示的なモノマーは次のものである: メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、tert-ブチルフェニルアクリレート、tert-ブチルフェニルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n-ウンデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2-ブトキシエチルメタクリレート、2-ブトキシエチルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,5-ジメチルアダマンチルアクリレート、4-クミルフェニルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルメタクリレート、4-ビフェニルアクリレート、4-ビフェニルメタクリレート、2-ナフチルアクリレート、2-ナフチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、3-メトキシアクリル酸メチルエステル、3-メトキシブチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、エチレングリコールアクリレート、エチレングリコールモノメチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート350、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート500、プロピレングリコールモノメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート、ジメチル-アミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N-(1-メチルウンデシル)アクリルアミド、N-(n-ブトキシメチル)アクリルアミド、N-(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N-(エトキシメチル)アクリルアミド、N-(n-オクタデシル)アクリルアミド;N,N-ジアルキル-置換アミド、例えばN,N-ジメチルアクリルアミド及びN,N-ジメチルメタクリルアミド; N-ベンジルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-オクチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル;ビニルエーテル、例えばビニルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、ビニルイソブチルエーテル;ビニルエステル、例えばビニルアセテート;ビニルハロゲニド、ビニリデンハロゲニド、ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、N-ビニルフタルイミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルピロリドン、スチレン、α-及びp-メチルスチレン、α-ブチルスチレン、4-n-ブチルスチレン、4-n-デシルスチレン、3,4-ジメトキシスチレン;マクロモノマー、例えば2-ポリスチレンエチルメタクリレート(4000から13000g/モルの、GPCで決定された重量平均分子量Mw)、ポリ(メチルメタクリレート)エチルメタクリレート(2000から8000g/モルまでのMw)。
【0065】
成分c)のモノマーは、それが、後続の放射線化学的架橋(例えば電子線またはUV放射線による架橋)を援助する官能基を含むように、有利に選択することができる。適切な共重合可能な光開始剤は、例えばベンゾインアクリレート及びアクリレート官能化ベンゾフェノン誘導体である。電子線照射による架橋を援助するモノマーは、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、N-tert-ブチルアクリルアミド及びアリルアクリレートである。
【0066】
好ましくは、前記ポリ(メタ)アクリレートは、n-ブチルアクリレート及び/またはn-ヘキシルアクリレート及び/またはn-オクチルアクリレート及び/またはイソオクチルアクリレート及び/または2-エチルヘキシルアクリレート及び/または2-プロピルヘプチルアクリレート、及びアクリル酸を重合することによって製造されるポリアクリレートである。
【0067】
特に好ましくは、前記ポリ(メタ)アクリレートは、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート及びアクリル酸を重合することによって製造されるポリアクリレートである。
【0068】
それにより、接着剤層Dの特に高い接着力が生じる。それ故、本発明による接着テープは、殊に、該接着テープを、接着剤層Dの少なくとの一つの面で接着した場合にも、特に高い接着力を有する。
【0069】
該ポリ(メタ)アクリレートの製造は、好ましくは、慣用のラジカル重合または制御されたラジカル重合によって行われる。該ポリ(メタ)アクリレートは、通常の重合開始剤並びに場合により調節剤を使用して、モノマーを共重合することによって製造することができ、この際、通常の温度下に、塊状で、エマルション中で、例えば水または液状炭化水素中で、あるいは溶液中で重合される。
【0070】
好ましくは、該ポリ(メタ)アクリレートは、溶剤中で、特に好ましくは、50から150℃までの沸騰範囲、殊に60から120℃までの沸騰範囲を有する溶剤中で、それぞれモノマーの全重量を基準にして0.01から5重量%までの、殊に0.1から2重量%までの重合開始剤を使用して、製造される。
【0071】
原則的に、全ての通例の開始剤が適している。ラジカル源の例は、過酸化物、ヒドロペルオキシド及びアゾ化合物、例えばビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルペルカーボネート、t-ブチルペルオクトエート及びベンズピナコールである。好ましいラジカル開始剤は、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(DuPont社製のVazo(登録商標)67TM)または2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル;AIBN;DuPont社製のVazo(登録商標)64TM)である。
【0072】
好ましい実施形態によれば、ビス-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートが使用される。
【0073】
該ポリ(メタ)アクリレートの製造のための好ましい溶剤は、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-及びiso-プロパノール、n-及びiso-ブタノール、殊にイソプロパノール及び/またはイソブタノール;炭化水素、例えばトルエン及び殊に60から120℃までの沸騰範囲の石油スピリット;ケトン、殊にアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;エステル、例えば酢酸エチルエステル、並びに上記の溶剤の混合物である。特に好ましい溶剤は、それぞれ使用した溶剤混合物を基準にして、イソプロパノールを2から15重量%まで、殊に3から10重量%までの量で含む混合物である。
【0074】
該ポリ(メタ)アクリレートの製造後は、これを、溶液から更に加工することができるか、または濃縮を行うことができ、及びポリ(メタ)アクリレートの前記の更なる加工は、本質的に溶剤無しで行うことができる。重合体の濃縮は、架橋剤物質及び促進剤物質の不在下で行うことができる。但し、これらの化合物クラスの1つを濃縮前に既に重合体に添加してもよく、つまりその場合、濃縮はこの(これらの)物質の存在下で行われる。
【0075】
重合体は、濃縮ステップの後に、配合機に移すことができる。場合により、濃縮及び配合は同じ反応器中で行うこともできる。
【0076】
該一種または複数のポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量(分子量分布の重量平均)は、好ましくは20,000から2,000,000g/モルまでの範囲内、特に好ましくは100,000から1,500,000g/モルまでの範囲内、非常に特に好ましくは150,000から1,000,000g/モルまでの範囲内である。これに関し、所望の平均分子量を調整するため、適切な重合調節剤、例えばチオール、ハロゲン化合物、及び/またはアルコールの存在下で重合を実施することが有利であり得る。
【0077】
一種または複数の該ポリ(メタ)アクリレートの(全てのレベルの好ましい態様も含めて)このようなMwを有することで、接着剤の十分な凝集力が、それと同時に良好な流動性及び良好な接着性と共に達成される。ここで、該接着剤は、前記の特性の特性プロフィルに関して、より高次のレベルの好ましい態様ではより高い程度で最適化される。
【0078】
Mwの決定は、「試験方法」に記載するようにGPCにより行われる。
【0079】
該ポリ(メタ)アクリレートは、トルエン中で測定して(1重量%濃度溶液、21℃)、就中、30から90までのK値、特に好ましくは40から70までのK値を有する。フィケンチャー法に基づくK値は、重合体の分子量及び粘度に関する尺度である。
【0080】
この方法の原理は、相対的な溶液粘度を毛管粘度計によって決定することに基づいている。このために、試験物質をトルエン中に、30分振動することで溶解させ、これにより1%濃度溶液を得る。Vogel-Ossag粘度計において流出時間を25℃で測定し、それを基に、純粋な溶剤の粘度に対する試料溶液の相対粘度を決定する。フィケンチャー法[P.E.Hinkamp、Polymer、1967、8、381(非特許文献2)]に基づき、表からK値を読み取ることができる(K=1000k)。
【0081】
好ましくは、該ポリ(メタ)アクリレートは、<4の多分散性PD、それ故、比較的狭い分子量分布を有する。それをベースとする接着剤は、分子量が比較的小さいにもかかわらず、架橋後に特に良好なせん断強度を有する。加えて、比較的低い多分散性は、適用特性がほぼ同じであれば、より幅広く分布したポリ(メタ)アクリレートに比べて流動粘度が低いので、融体状での加工を比較的容易にすることができる。狭く分布したポリ(メタ)アクリレートは、アニオン重合または制御ラジカル重合法によって有利に製造でき、制御ラジカル重合法が特によく適している。N-オキシルを介しても、対応するポリ(メタ)アクリレートを製造することができる。狭く分布したポリ(メタ)アクリレートの合成に原子移動ラジカル重合(ATRP)も有利に用いることができ、その際、開始剤として、単官能性または二官能性の第二級または第三級のハロゲン化物を、及びハロゲン化物の引き抜きのためにはCu錯体、Ni錯体、Fe錯体、Pd錯体、Pt錯体、Ru錯体、Os錯体、Rh錯体、Co錯体、Ir錯体、Ag錯体、またはAu錯体を用いることが好ましい。RAFT重合も適している。
【0082】
該ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、それに含まれる官能基、例えば殊にカルボン酸基の(殊に、付加-または置換反応の意味での)連結反応によって、熱架橋剤により架橋される。それにより、該接着剤が、軟質過ぎず、かつ高すぎない常温流れを有するという利点が生じる。これは、該接着剤の凝集性、並びに該接着剤の貯蔵及び加工性に有利に作用する。
【0083】
熱架橋剤としは、
- 十分に長い加工時間を保証し、その結果、加工プロセス、殊に押出プロセスの間のゲル化を招かず、
- 加えて、加工温度より低い温度、殊に室温下で、所望の架橋度までのポリマーの迅速な後架橋をももたらす、
全ての熱架橋剤を使用することができる。
【0084】
例えば、カルボキシ-(カルボン酸-)、アミノ-及び/またはヒドロキシ基を含むポリマーと、イソシアネート、殊に脂肪族またはブロックドイソシアネート、例えばアミンで失活させた三量体型イソシアネートとの組み合わせが架橋剤として可能である。適当なイソシアネートは、殊に、MDI[4,4-メチレンジ(フェニルイソシアネート)]、HDI[ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキシレンジイソシアネート]、及びIPDI[イソホロンジイソシアネート、5-イソシアナト-1-イソシアナトメチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン]の三量体型誘導体である。
【0085】
熱架橋剤は、架橋すべきポリマーの総量に対して0.1~5重量%で、殊に0.2~1重量%で用いられるのが好ましい。
【0086】
キレートととも称される錯化剤を用いた架橋も可能である。好ましい錯化剤は、例えばアルミニウムアセチルアセトネートである。
【0087】
好ましくは、該ポリ(メタ)アクリレートは、エポキシド(複数種可)を用いてまたは一種以上のエポキシド基含有物質(複数種可)を用いて架橋される。それにより、持続性で非可逆性の架橋が保証される。
【0088】
エポキシド基含有物質は、殊に多官能性エポキシド、すなわち少なくとも二つのエポキシド基を有する多官能性エポキシドであり; 従って総括すると、該ポリ(メタ)アクリレートの官能基を有する構成要素の間接的な連結が生じる。エポキシド基含有物質は、芳香族化合物であっても脂肪族化合物であってもよい。
【0089】
ことさら適した多官能性エポキシドは、エピクロロヒドリンのオリゴマー、多価アルコール(殊にエチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコール、及びその類似物)のエポキシエーテル;多価フェノール[殊にレゾルシン、ヒドロキノン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-メタン、ビス-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-メタン、ビス-(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)-メタン、ビス-(4-ヒドロキシ-3,5-ジフルオロフェニル)-メタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)-プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)-プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)-プロパン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-フェニルメタン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-フェニルメタン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4’-メチルフェニルメタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2,2-トリクロロエタン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-(4-クロロフェニル)-メタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキシルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、2,2’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン]のエポキシエーテル及びそれらのヒドロキシエチルエーテル、フェノール-ホルムアルデヒド縮合生成物、例えばフェノールアルコール、及びフェノールアルデヒド樹脂; S含有及びN含有のエポキシド(例えばN,N-ジグリシジルアニリン、N,N’-ジメチルジグリシジル-4,4-ジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-メタ-キシレンジアミン)、並びに通常の方法に基づいて多価不飽和カルボン酸または不飽和アルコールの一価不飽和カルボン酸エステルから製造されたエポキシド; グリシジルエステル; 不飽和酸のグリシジルエステルの重合もしくは混合重合によって獲得し得るか、またはその他の酸性化合物(例えば、シアヌル酸、ジグリシジルスルフィド、もしくは環状トリメチレントリスルホン、またはそれらの誘導体など)から得られるポリグリシジルエステルである。
【0090】
非常に適したエーテルは、例えば1,4-ブタンジオールジグリシドエーテル、ポリグリセロール-3-ジグリシドエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシドエーテル、グリセリントリグリシドエーテル、ネオペンチルグリコール-ジグリシドエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシドエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシドエーテル、ポリプロピレン-グリコールジグリシドエーテル、トリメチロールプロパントリグリシドエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシドエーテル、ビスフェノール-A-ジグリシドエーテル、及びビスフェノール-F-ジグリシドエーテルである。
【0091】
更に別の好ましいエポキシドは、環状脂肪族エポキシド、例えば3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(UVACure1500)である。
【0092】
好ましい実施形態によれば、架橋剤として、テトラグリシジル-メタ-キシレンジアミンが使用される。
【0093】
好ましい実施形態によれば、該ポリ(メタ)アクリレートは、加工時間、架橋速度並びに架橋度に関してより良好な制御を得るために、架橋剤-促進剤系(「架橋剤系」)を用いて架橋される。この架橋剤-促進剤系は、好ましくは、架橋剤としての少なくとも一種のエポキシド基含有物質と、架橋するべきポリマーの溶融粘度より低い温度において、エポキシド基含有化合物を用いた架橋反応を促進する作用をする、促進剤としての少なくとも一種の物質とを含む。
【0094】
促進剤としては、本発明では、特に好ましくはアミン類が使用される。これらは、形式的には、アンモニアの置換生成物と解することができ; 置換基としては、殊に、アルキル基及び/またはアリール基などが挙げられる。特に好ましくは、架橋すべきポリマーと、反応しないか、僅かしか反応しないアミン類が使用される。
【0095】
原則的には、促進剤としては、第一級アミン類(NRH)、第二級アミン類(NRH)、並びに第三級アミン類(NR)を選択でき、また当然ながら、複数の第一級及び/または第二級及び/または第三級アミノ基を有するアミン類も選択できる。特に好ましい促進剤は、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6-トリス-(N,N-ジメチルアミノメチル)-フェノール、N,N’-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)尿素である。更に別の好ましい促進剤は、多官能性アミン類、例えばジアミン類、トリアミン類及び/またはテトラアミン類、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンである。
【0096】
更に別の好ましい促進剤は、アミノアルコール類、殊に、第二級及び/または第三級アミノアルコール類であり、この際、一分子あたり複数のアミノ官能基がある場合には、好ましくは少なくとも一つの、特に好ましくは全てのアミノ官能基は第二級及び/または第三級である。特に好ましいこのような促進剤は、トリエタノールアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)エタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、2-アミノシクロヘキサノール、ビス(2-ヒドロキシシクロヘキシル)メチルアミン、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール、N-ブチルジエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン及びN,N,N’-トリメチルアミノプロピルエタノールアミンである。
【0097】
更に別の適した促進剤は、ピリジン、イミダゾール類、例えば2-メチルイミダゾール及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンである。脂環式ポリアミンも促進剤として用いることができる。リンベースの促進剤、例えばホスフィン類及び/またはホスホニウム化合物、例えばトリフェニルホスフィンまたはテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートも適している。
【0098】
また、第四級アンモニウム化合物も促進剤として使用することができ; 例としては、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド及びベンズアルコニウムクロライドなどが挙げられる。
【0099】
第一の接着剤層Dは、含まれるポリマー100重量%に対して、好ましくは2~10重量%、特に好ましくは4~6重量%の電解質、好ましくはイオン液体を含み、この際、ポリマーは、好ましくは100重量%がポリ(メタ)アクリレートである。
【0100】
電解質、殊にイオン液体をこのような好ましいまたは特に好ましい量で使用することで、比較的迅速な電気的剥離が可能となり、この際、同時に、隣接する層、殊に少なくとも一つの基材に対する接着剤層の接着は、剥離前は、負の影響を受けない。
【0101】
本発明において、接着剤層Dは発泡され、この際、発泡はマイクロバルーンを用いてもたらされ、マイクロバルーンは、それらの表面上に、シリケートまたはアルモシリケートでできた層を有する。
【0102】
「マイクロバルーン」とは、弾性で、それ故それの根底状態において膨張可能であり、かつ熱可塑性のポリマーシェルを有するマイクロ中空球体と理解される。これらの球体には、低沸点の液体または液化したガスが充填される。シェル材料としては、殊に、ポリアクリロニトリル、PVDC、PVCまたはポリアクリレートが使用される。低沸点液体としてまたはガスとしては、殊に、低級アルカン、例えばイソブタンまたはイソペンタンの炭化水素が適しており、これらは、液化ガスとして加圧下にポリマーシェル中に封入され、ここで、イソペンタンが特に好ましい。
【0103】
殊に熱の作用によってマイクロバルーンに作用を及ぼすことにより、外側のポリマーシェルが柔らかくなる。同時に、シェル中に存在する液状発泡ガスは、それのガス状態に変化する。この際、マイクロバルーンが不可逆的に拡大し、三次元的に膨張する。内圧と外圧が等しくなった時に膨張が終了する。ポリマーシェルは維持されるため、独立気泡型の発泡体が得られる。
【0104】
数多くのタイプのマイクロバルーンを商業的に入手でき、これらは、本質的に、それらのサイズ(未膨張の状態で直径が6から45μmまで)及び膨張に必要な開始温度(75から220℃まで)が異なる。商業的に入手可能なマイクロバルーンの例は、Nuryon社製のExpancel(登録商標)DU-タイプ(DU=乾燥未膨張)または松本社製のMicrosphere(登録商標)FN-タイプである。
【0105】
マイクロバルーンは、安定化のために、それらの表面上に多くの場合に無機層を有する。これは、例えば、シリケートまたはアルモシリケートであることができる。しかし、炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、または様々な酸化物なども使用することができる。
【0106】
驚くべきことに、本発明の枠内において、シリケートまたはアルモシリケートでできた層をその表面に有するマイクロバルーンを使用するだけで、電気剥離可能で、そのために電解質を含みかつ同時に発泡された接着剤層Dを製造することができる。
【0107】
シリケートは、オルトケイ酸(Si(OH))の塩及びそれの縮合物である。塩は全て、SiO四面体で構成された化合物であり、但し、その四面体は、様々な方法で互いに結合されていることができる。四面体の結合されていない箇所は、金属カチオンの荷電平衡に寄与するか、または場合によりヒドロキシドイオン(OH)として存在する。アルモシリケートは、基本構成要素としてのSiO四面体及びAlO四面体から構成されるシリケートの群からの化合物の集合名である。
【0108】
更に、未膨張マイクロバルーンと予膨張マイクロバルーンとは区別され得る。本発明の枠内では、原則的に、未膨張マイクロバルーン及び/または予膨張マイクロバルーンの使用が考慮され得る。
【0109】
この際、未膨張マイクロバルーンは、通常は、未膨張状態で接着剤に加えられ、その後に初めて、殊に加熱することにより、膨張が行われる。
【0110】
未膨張タイプのマイクロバルーンは、約40から45重量%までの固形分含有率またはマイクロバルーン含有率を有する水性分散液として得ることができ、更に、約65重量%のマイクロバルーン濃度を有する(例えばエチルビニルアセテート中の)ポリマー結合型マイクロバルーン(マスターバッチ)としても得ることができる。前記のマイクロバルーン分散液及び前記のマスターバッチのいずれも、前記DUタイプと同様に、発泡接着剤の製造に適している。
【0111】
発泡接着剤層は、いわゆる、予膨張マイクロバルーンを用いても生成することができる。予膨張マイクロバルーンを用いた場合には、膨張は、ポリマーマトリックス中に混合する前に既に起こっている。予膨張マイクロバルーンは、例えばDualite(登録商標)の名称で商業的に入手できる。既に膨張しているタイプのマイクロバルーンの加工では、マイクロバルーンは、それらが配合されるべきポリマーマトリックス中でのそれらの小さい密度の故に、浮揚する傾向があり、すなわちポリマーマトリックス中で加工プロセスの間に「上方に」浮かび上がるということが起こり得る。これは、層中でのマイクロバルーンの不均一な分布を招く。層の上側領域(z-方向)では、層の下側領域中よりもより多くのマイクロバルーンが存在し、それによって層厚にわたって密度勾配が生じる。
【0112】
このような密度勾配を大幅に防止するためまたはほぼ完全に防止するためには、本発明では好ましくは、予膨張されていないかまたは僅かにしか予膨張されていない(それ故、膨張可能な)マイクロバルーンが、該接着剤層のポリマーマトリックス中に配合される。層中に配合してから始めて、マイクロバルーンを膨張させる。このようにして、マイクロバルーンのより均一な分布がポリマーマトリックス中に得られる。
【0113】
配合後に初めてまたは配合時に直接、膨張可能なマイクロバルーンの膨張が起こり、それによって発泡がもたらされる。溶媒含有接着剤の場合には、マイクロバルーンは、好ましくは配合、コーティング、乾燥(溶媒蒸発)後に始めて膨張させる。
【0114】
それ故、本発明の好ましい実施形態によれば、該接着剤層Dは発泡されており、この際、発泡は、膨張可能なマイクロバルーンの膨張によりもたらされており、この際、膨張可能なマイクロバルーンは、シリケートまたはアルモシリケートでできた層をその表面上に有する。
【0115】
発泡された接着剤層(複数可)中の、マイクロバルーンによって形成された中空空間の平均径は、好ましくは10から200μmまで、特に好ましくは15から200μmまで、非常に特に好ましくは15から150μmまで、更に好ましくは20から100μmまで、更に特に好ましくは25から70μmまでである。上記の好ましい及び特に好ましいサイズ範囲を用いることで、特に良好な耐衝撃性が達成される。また同時に、サイズは、接着剤層(複数可)の層厚に関して適合される。
【0116】
この際、発泡された接着剤層中の、マイクロバルーンによって形成された中空空間の直径が測定されるので、直径は、膨張されたマイクロバルーンによって形成された中空空間の直径である。この際、前記の平均径は、接着剤層中のマイクロバルーンによって形成された中空空間の直径の算術計算を意味する。接着剤層中の、マイクロバルーンによって形成された中空空間の平均径の決定は、500倍の倍率で、走査型電子顕微鏡(REM)において、接着テープの5つの異なる凍結切片エッジに基づいて行われる。写真に見えるマイクロバルーンの直径は、検査される接着剤層の個々の各マイクロバルーンのREM写真から、任意の(二次元の)方向のそれの最大の寸法を取り出し、そしてその直径と見なすことで、図的に求められる。
【0117】
マイクロバルーンは、バッチ、ペーストとしてまたは未希釈もしくは希釈粉末として調合物に供給することができる。更に、マイクロバルーンは溶媒中に懸濁した状態で存在し得る。
【0118】
接着剤層中のマイクロバルーンの割合は、本発明の実施形態によれば、相当する層の(混入されたマイクロバルーンも含めた)全組成物をそれぞれ基準にして、0重量%超と12重量%との間、特に好ましくは0.25重量%と5重量%との間、非常に特に好ましくは0.5重量%と3重量%との間である。
【0119】
上記の量によって、接着性、流動挙動及び発泡を始めとした特性の目的間の対立が特に良好に解消される。
【0120】
接着剤層Dの接着剤は、更に、他の通常の添加剤、例えば粘着樹脂、軟化剤、相溶化剤及びフィラーを含むことができる。相溶化剤としては、好ましくは、該接着剤と均一に混合することができる、低分子量ポリエーテル、ポリアミン、ポリビニルピロリドンまたは脂肪族ポリエステルが使用される。幾つかの軟化剤は、同時に相溶化剤であることもでき、例えばポリエチレングリコール(PEG)である。特に好ましい実施形態によれば、接着剤層Dの接着剤は、少なくとも一種のポリエーテル、好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラヒドロフランからなる群から選択される少なくとも一種の物質を含み、この際、PEG及びPPGが特に好ましい。それらを用いることにより、剥離性が特に良好に援助される。特定のセオリーに拘束されることを意図するものではないが、上記の物質、殊にPEGによって、接着剤層中を流れる電解質(複数可)のイオン流動が加速されると考え得る。
【0121】
この際、上記の物質の(GPCによる)分子量は、好ましくは100g/モルと5000g/モルとの間、特に好ましくは200g/モルと2000g/モルとの間である。様々な分子量Mwを有するPEG及びPPG、例えばPEG400またはPPG600(数値はMwを表す)が入手可能であることは当業者には既知である。
【0122】
本発明の更に別の対象の一つは、少なくとも次の層:
・第一の基材A; 及び
・第二の基材B; 及び
・基材Aと基材Bとの間に配置され、基材A及びBを互いに接着する、本発明による接着テープ;
を含む、接着された接合体である。
【0123】
本発明の更に別の対象の一つは、少なくとも次のプロセスステップ:
i.)接合体の二つの異なる箇所に電圧を印加するステップであって、電圧は、好ましくは2から20Vとの間、特に好ましくは3から15Vまでである、ステップ、
を含む、本発明による接合体の電気的剥離のための方法である。
【0124】
電圧の印加は、本発明の方法のステップi.)に従い、接合体の電気的剥離のために行われる。電圧は、殊に、直流電圧である。
【0125】
この際、ステップi.)における電圧の印加期間は、数秒間、殊に2秒間から、300秒間まで、好ましくは120秒間までであることができる。
【0126】
本発明による接合体の電気的剥離のための本発明の方法によって、基材A及びBを、迅速かつ簡単に互いに剥離することができ、しかもこの際、極端に大きな力の投入を必要とすることがない。
【0127】
電圧の印加の後に各層が、更に別の作用なしには、互いに剥離しない場合は、本発明による方法は、少なくとも以下のプロセスステップ:
ii.)接着剤層D及び/または基材A及び/または基材Bに力を作用させて、基材Aと基材Bとの間の距離を長くするステップ、
を含む。
【0128】
ステップii.)に従い場合により更に必要な力は、ステップi.)に従い電圧の印加の前の接着力よりも明らかに小さい。
【0129】
ステップi.)による電圧の印加は、本発明による接着された接合体の二つの異なる箇所で行われる。どこの箇所に電圧が有利に印加されるかは、接着テープの及び接着された接合体の構造に、それ故、個々の層及び互いに接着された基材A及びBの性質に依存する。
【0130】
以下には、幾つかの好ましい実施形態を記載する。
【0131】
好ましい実施形態では、接着テープは転写式接着テープであり、接着剤Dからなる。
【0132】
このような接着テープは、二つの基材A及びBを有する接着された接合体において、基材A及びBの両方が電気伝導性であることによって、有利に電気的に再剥離できる。この目的のためには、電圧を基材A及びBに印加する。そうすると、接着剤中において、アニオンがアノードに、カチオンをカソードに移動する。特定のセオリーに拘束されることを意図するものではないが、本発明者らは、次の機序を想定している;電圧の印加によって、接着剤層Dにおいて、電解質の移動、殊にイオン液体のアニオン及びカチオンの分離が起こる。それによって、基材A及び基材Bに対する接着剤層Dの接着が大きく弱まり、これらの層が互いから剥離する。
【0133】
それ故、本発明の好ましい実施形態によれば、接着された接合体は以下の層を含む:
・電気伝導性の第一の基材A; 及び
・電気伝導性の第二の基材B; 及び
・接着剤層Dからなり、基材Aと基材Bとの間に配置され、そして基材Aと基材Bとを互いに接着している、本発明による接着テープ。
【0134】
更に別の好ましい実施形態によれば、該接着テープは、第一の接着剤層Dに加えて、少なくとも次の層を含む:
・第二の接着剤層C; 及び
・層Dと層Cとの間に配置された、少なくとも一つの電気伝導性のキャリア層T。
【0135】
このような接着テープは、両面接着テープとして、第二の接着剤層Cを介して、多数の様々な基材に対して適合させることができる。この場合、これらは、原則的に、接着テープが転写式接着テープである先に記載の実施形態の場合と同じ基材であることができる。
【0136】
しかし、加えて、このような接着テープは、殊に及び有利に、一方の基材のみが、例えば基材Aのみが電気伝導性である基材A及びBを後で互いから剥離するためにも使用することができる。
【0137】
好ましい実施形態によれば、xi.)キャリア層Tのみが、またはxii.)キャリア層T及び第二の接着剤層Cが、電気伝導性に設計される。
【0138】
それにより、電圧は、xi)電気伝導性キャリア層またはxii)第二の接着剤層Cと、伝導性基材Aとに印加することができる。
【0139】
接着テープは、電気剥離可能な接着剤層Dが伝導性基材Aに接合され、かつ第二の接着剤層が、伝導性であってもよいが、伝導性である必要はない基材Bに接合されるようにして、予め、有利に両面接着テープとして貼付される。
【0140】
特定のセオリーに拘束されることを意図するものではないが、本発明者らは、次の機序を想定している;電圧を印加することによって、接着剤層Dにおいて、電解質の移動、殊にイオン液体のアニオン及びカチオンの分離が起こる。それにより、基材Aに対する接着剤層Dの接着が強く弱まって、これらの基材の互いからの剥離が起こる。
【0141】
本発明の好ましい実施形態によれば、xi.)キャリア層のみが電気伝導性である。殊に及び好ましくはキャリア層が、接着剤層の少なくとも一つから横側にはみ出している場合に、電圧をそれに特に良好に印加することができる。
【0142】
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、xii.)キャリア層及び第二の接着剤層Cが電気伝導性である。このような構造は、電圧を接着剤層Cに印加することができるという利点を有する。キャリア層の横側へのはみ出しは必要ではない。それ故、該接着テープは特に簡単に製造できる、というのも、殊に、層D、T及びCを一緒にダイカットできるからである。
【0143】
好ましくは、先に記載の実施形態による接着テープは、前記の三つの層D、T及びCから構成される。そのためには、本発明の枠内では、三層型接合体D-T-Cという用語も使用される。
【0144】
それ故、本発明の好ましい実施形態によれば、接着された接合体は以下の層を含む:
・電気伝導性の第一の基材A; 及び
・第二の基材B; 及び
・前記三層型接合体D-T-Cからなり、及び接着剤層Dが伝導性基材Aに接合されるように、基材A及び基材Bを互いに接着する、本発明による接着テープ。
【0145】
更に別の好ましい実施形態によれば、該接着テープは、第一の接着剤層Dに加えて、少なくとも次の層を含む:
・第二の接着剤層C; 及び
・層Dと層Cとの間に配置されている、少なくとも一つの第一の電気伝導性キャリア層T; 及び
・第一の電気伝導性キャリア層Tとは反対側にある、接着剤層Dの表面上に配置された、少なくとも一つの第二の電気伝導性キャリア層T’; 及び
・第一の接着剤層Dとは反対側にある、第二の電気伝導性キャリア層T’の表面上に配置された、第三の接着剤層C’。
【0146】
このような接着テープは、少なくとも層構造C-T-D-R’-C’を有し、そして両面接着テープとして、接着剤層C及びC’を介して、多数の様々な基材に対して適合させることができる。
【0147】
この場合、原則的に、これらは、接着テープが転写式接着テープであるかまたは三層型構造D-T-Cを有する前述の実施形態の場合と同じ基材であることができる。
【0148】
しかし、このような接着テープは、殊にかつ有利に、どちらも電気伝導性ではない基材A及びBを互いから後で剥離するためにも、使用することができる。
【0149】
好ましい実施形態によれば、xi.)キャリア層T及びT’のみが、あるいはxii.)キャリア層T及びT’並びに第二の接着剤層C及び/または第三の接着剤層C’が電気伝導性に設計されている。
【0150】
それにより、xi.)両方の電気伝導性キャリア層にまたはxii.)接着剤層C及びC’のうちの少なくとも一つに、及びキャリア層のうちの一つまたは他の接着剤層に、電圧を印加ことができる。
【0151】
上記の実施形態と同様に、電圧の印加によって、接着剤層Dにおいて、電解質の移動、殊にイオン液体のアニオン及びカチオンの分離が起こることが考えられる。それにより、電気伝導性キャリア層T及びT’に対する接着剤層Dの接着は大きく弱められ、そしてこれらの層の互いからの剥離が起こる。
【0152】
本発明の好ましい実施形態によれば、xi.)キャリア層T及びT’のみが電気伝導性である。殊にかつ好ましくは、キャリア層T及びT’が、それぞれに隣接する接着剤層のうちの少なくとも一つから横側にはみ出している場合に、特に良好に電圧をそれに印加ことができる。
【0153】
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、xii.)キャリア層T及びT’並びに第二及び第三接着剤層CまたはC’が電気伝導性である。このような構造は、電圧を、接着剤層C及びC’に印加できるという利点を有する。キャリア層T及びT’の横側のはみ出しは必要ではない。それ故、該接着剤は簡単に製造できる、というのも、殊に、層C、T、D、T’及びC’を一緒にダイカットすることができるからである。
【0154】
好ましくは、前述の実施形態による接着テープは、5つの層C、T、D、T’及びC’から構成される。このためには、本願の枠内では、五層型接合体C-T-D-T’-C’という用語も使用される。
【0155】
それ故、本発明の好ましい実施形態によれば、接着された接合体は以下の層を含む:
・第一の基材A; 及び
・第二の基材B; 及び
・五層型接合体C-T-D-T’-C’からなり、そして基材A及び基材Bを互いに接着する、本発明による接着テープ。
【0156】
全ての実施形態の電気伝導性基材は、例えば、モバイルテレフォンの金属製のハウジングであることができる。
【0157】
全ての実施形態の電気的に非伝導性の基材は、殊に、非伝導性材料、例えばプラスチック製のハウジング、またはバッテリーもしくは非電気伝導性に設計された部材、例えばスピーカーであることができる。
【0158】
本発明の更に別の対象は、電子デバイス、自動車、医療用デバイス及び歯科用デバイス中の部材を接着するための本発明による接着テープの使用である。
【0159】
前述した全ての実施形態のキャリア層T並びにT及びT’は、電気伝導性である。
【0160】
以下には、これらの層について更に説明する。簡潔さのために、「電気伝導性キャリア層」という用語、または単に「キャリア層」という用語が使用される。これは、上記の実施形態に依存して、キャリア層Tを、またはキャリア層T及びT’を指す。
【0161】
キャリア層T及びT’は、互いに依存して、同一にまたは互いに異なって設計されていることができる。
【0162】
好ましくは、電気伝導性キャリア層は、少なくとも一種の金属を含む。
【0163】
特に好ましくは、前記金属は、銅、ニッケル、亜鉛、錫、銀、金、アルミニウム、鉄、クロム、及びこれらの金属の合金からなる群から選択される。非常に特に好ましくは、前記金属は、アルミニウム、銅及びニッケルからなる群から選択される。
【0164】
好ましくは、電気伝導性キャリア層は、z方向で測定して、すなわち層配置の積層方向に対して平行に測定して、10nm(ナノメータ)から50μm(マイクロメータ)までの層厚を有する。
【0165】
該電気伝導性キャリア層は、本発明の好ましい実施形態によれば、a)少なくとも一つの金属フィルム、好ましくはアルミニウムフィルム、及び/またはb)少なくとも一種の金属、好ましくは銅及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む少なくとも一つの電気伝導性テクスタイル、及び/またはc)少なくとも一種の蒸着金属、好ましくは銅及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種の蒸着金属の一つ以上の層、及び/またはd)少なくとも一つの金属格子、及び/またはe)金属蒸着フィルムを有する。この際、原則的に、層Tが、上記の選択肢からの二つ以上の組み合わせを有することも考慮可能である。
【0166】
金属フィルム、例えば及び好ましくはアルミニウムフィルムは、当業者には既知である。
【0167】
好ましくは、金属フィルム、例えば及び好ましくは、アルミニウムフィルムは、z方向で、すなわち層配列の積層方向に対して平行な方向で、5から50μmまで、特に好ましくは10から30μmまでの層厚を有する。
【0168】
電気伝導性テクスタイルは、殊に英語名「conductive mesh(伝導性メッシュ)」として当業者には既知である。この場合、これらは、金属、例えば銅及び/またはニッケルで被覆され、そうして布の電気伝導性がもたらされている、テクスタイル布、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)製のテクスタイル布である。
【0169】
金属を単層または多層として直接、平面上に、例えばここでは、接着剤層の表面上に蒸着できることも、同様に当業者には既知である。本発明の枠内では、電気伝導性キャリア層は、金属を、接着剤層Dまたは接着剤層Cまたは接着剤層C’上に蒸着することによって提供することができる。
【0170】
更に、様々な寸法の金属製格子も当業者には既知である。適切な層厚を有する金属格子は、例えば、然るべき細い金属糸のノンクリンプ織成によってまたは然るべき層厚の少なくとも一つのフィルムのダイカットによって、製造されていることができる。
【0171】
金属蒸着フィルムでは、殊に、非伝導性フィルムを、これらを電気伝導性に構成するために、金属で蒸着する。前記フィルムの材料は、原則的に、金属を蒸着するのに適しておりかつ接着テープにキャリアフィルムとして使用するのに適している、全ての材料から選択し得る。この材料は、殊に、ポリエステル及びポリオレフィンから選択され、ここで、複数の材料の混合物も考慮され得る。ポリエステルとしては、殊に、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。ポリオレフィンとしては、殊に、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が好ましい。好ましい実施形態では、前記フィルムの材料は、PET、PEN、PE、PPからなる群から選択される。
【0172】
好ましくは、これらはPET(ポリエチレンテレフタレート)でできたフィルムである。このようなフィルムは寸法安定性であり、それ故、良好に加工可能であり、しかも、この際、著しく伸張及び引き裂きされることもない。それにより、均一で欠陥のない金属層を持続的に施与することができ、その結果、フィルム全体にわたっての(殊にz方向における)電気伝導性が持続的に保証される。
【0173】
少なくとも一つの電気伝導性キャリア層Tまたは少なくとも二つの電気伝導性キャリア層T及びT’が存在する実施形態では、これらが、少なくとも一つの隣接する接着剤層を、層平面の少なくとも一つの延び方向で横側にはみ出しており、従って、横側のはみ出し部を有することが好ましい。その際、この横側のはみ出し部には、電圧を簡単に印加することができる。
【0174】
五層型接合体の場合では、電気伝導性キャリア層T及びT’の横側のはみ出し部は、有利な実施形態では、空間的に互いに離れた状態で配置されている。これは、これらの両はみ出し部に電圧を印加することを容易にする。
【0175】
キャリア層としての蒸着金属の場合は、このキャリア層が、隣接する接着剤層のみを、層平面の少なくとも一つの延び方向で横側にはみ出しており、そして各々の他の接着剤層は、この金属層の機械的なサポートとして機能することが好ましい。この場合、前記金属層は、固有のキャリア機能を持たない。その代わりに、前記の他の接着剤層が、金属層のためのキャリアとして機能する。しかし、簡潔さのために、金属層のためのキャリア層という記載は、これらの実施形態においても維持される。好ましくは、この場合の層Tの層厚は、10nm(ナノメータ)以上、好ましくは50から200nmまでである。
【0176】
本発明の好ましい実施形態によれば、電気伝導性キャリア層TあるいはT及び/またはT’は、a)少なくとも一つの金属フィルム、好ましくはアルミニウムフィルム、及び/またはb)少なくとも一種の金属、好ましくは銅及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む少なくとも一つの電気伝導性テクスタイル、及び/またはd)少なくとも一つの金属製格子、及び/またはe)金属蒸着フィルムを有し、そして第一の接着剤層D及び第二の接着剤層C、または第一の接着剤層D及び第二の接着剤層C、及び/または第一の接着剤層D及び第三の接着剤層C’から少なくとも一つの延び方向にはみ出している。それにより、簡単にかつ確実に、キャリア層に電圧を印加することができる。また同時に、該接着テープを、比較的簡単に製造することができる。
【0177】
本発明の好ましい実施形態によれば、電気伝導性キャリア層TあるいはT及び/またはT’は、少なくとも一種の蒸着金属、好ましくは銅及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種の蒸着金属の一つ以上の層、好ましくは一つの層を有する。
【0178】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、電気伝導性キャリア層TあるいはT及び/またはT’は、e)金属蒸着フィルムを有し、そして第一の接着剤層Dから少なくとも一つの延び方向にはみ出している。この場合、このフィルムは、殊に一つの表面に金属が蒸着され、そして各々のキャリア層は、金属被覆されたフィルムを介して、第一の接着剤層Dに、それ故、電気的に剥離可能な層に接合されている。それにより、簡単にかつ確実に、キャリア層に電圧を印加することができる。
【0179】
「横側にはみ出す」という記載は、本発明の枠内では、該当する層(複数可)の任意のタイプの横側のはみ出しを意味し、各々の該当する層が、殊に「xy」平面で、それ故、基準となる層よりも横側に(積層方向に垂直に)更に延在することを意味する。「横側のはみ出し」という記載の代わりに、本発明の枠内では、「横側の延長」または「横側の延長部分」という記載も用いられる。
【0180】
ここで「横側」という記載は、層の積層方向「z」に対して垂直な層平面の任意の延び方向「xy」を指す。それ故、この記載は、殊に、例えば、接着テープにとって通常の(上記参照)矩形、または正方形もしくは円形であることができる、「xy」平面での接着テープの幾何学的形状に依存しない。
【0181】
ダイカットプロセスまたは類似の成形プロセスに基づいて生じる、「xy」平面の個々の層の寸法のわずかな変動はそれとは扱われない、というのも、殊に、このような僅かな材料のはみ出しは、それの寸法の故に、電圧をそれに計画的に印加するには適していないからである。
【0182】
接着剤層CまたはCとC’は、原則的に、接着剤層Dと同じ接着剤をベースとすることができ、この際、層CまたはCとC’の接着剤は電解質を含んでいる必要はないが、含んでいてもよい。好ましくは、層CまたはCとC’は電解質を含まない。
【0183】
三層型接合体D-T-Cの幾つかの上記の実施形態によれば、接着剤層Cは電気伝導性である。
【0184】
同様に、五層型接合体C-T-D-T’-C’の接着剤層C及び/または接着剤層C’も、電気伝導性に設計されていることができる。
【0185】
以下には、これらの層について更に説明する。簡潔さのために、適切な箇所で、「電気伝導性接着剤層」という用語が使用される。これは、上記の実施形態に依存して、接着剤層Cあるいは接着剤層C及び/またはC’を指す。更に、簡潔さのために、「接着剤層CあるいはC及び/またはC’」という表現が使用され、これは、少なくとも前記の三層型接合体または少なくとも前記の五層型接合体を含む接着テープの上記の実施形態における上記のそれぞれの層を意味する。接着剤層C及びC’は、互いに無関係であり、そして同じかまたは互いに異なっていることができる。
【0186】
加えて、好ましくは、前記電気伝導性接着剤層は、少なくとも一種の金属、例えば殊にニッケル、銅、銀を、好ましくは電気伝導性金属粒子及び/または金属被覆粒子の形、特に好ましくは金属粒子の形で含む。金属被覆粒子は、殊に及び好ましくは、少なくとも一種の金属で金属被覆されたガラスまたはポリマー粒子であり、その結果、元は電気的に非伝導性の粒子が、金属被覆によって電気伝導性となる。特に好ましくは、前記電気伝導性接着剤層は、電気伝導性粒子を含み、この電気伝導性粒子は、ニッケル粒子、銅粒子及び銀被覆した銅粒子からなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、前記電気伝導性接着剤層はニッケル粒子を含む。
【0187】
好ましくは、前記電気伝導性接着剤層は、含まれるポリマー及び粘着樹脂を100重量%として基準にして、5から40重量%まで、特に好ましくは20から40重量%まで、非常に特に好ましくは25から35重量%までの電気伝導性粒子、殊に金属粒子及び/または金属被覆粒子を含む。
【0188】
前記電気伝導性粒子は、好ましくは、光学顕微鏡で測定して、z方向での前記電気伝導性接着剤層の各々の厚さよりも、厚くないかまたは著しく厚くないことがよい。好ましくは、前記電気伝導性粒子は、1から10μmまで、特に好ましくは1から6μmまで、更に好ましくは3から5μmまで、例えば殊に4μmの平均粒径を有する。
【0189】
前記電気伝導性接着剤層は、殊に、少なくともz方向に電気伝導性である。しかし、これは、xy平面でも電気伝導性であることができる。前記電気伝導性接着剤層が、z方向にのみ電気伝導性であるが、xy方向には必ずしも電気伝導性に構成されない場合には、電気伝導性となるように金属、殊に金属粒子が加えられる好ましい実施形態では、これらの材料はより少なくて済む。それによって、該接着剤は、必要な伝導性、接着力、流動挙動及びコストに関して最適化される。
【0190】
本発明の枠内では、層は、殊に、MIL-DTL-83528C規格に従ってそれぞれの方向に、ここでは殊にz方向に測定して、抵抗が1ohm未満である場合に、「電気伝導性」であると見なされる。
【0191】
以下の説明は、接着剤層CあるいはC及び/またはC’が電気伝導性に構成されるか否かとは無関係に、当てはまる。
【0192】
接着剤層CあるいはC及び/またはC’は、本発明の好ましい実施形態では、接着剤層Dと同様に、ポリ(メタ)アクリレートをベースとする。この場合、ポリ(メタ)アクリレート系またはポリ(メタ)アクリレートの定義及び種類及び量についての上記の記載は全て当てはまる。
【0193】
本発明の好ましい実施形態によれば、接着剤層CあるいはC及び/またはC’中には、接着剤層Dにおけると同じポリ(メタ)アクリレートが使用される。それによって、殊に(ここではA及びBと称する)類似の基材が互いに接着されることができる。更に、それによって、接着テープの耐老化性及び耐熱性が向上される。
【0194】
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、接着剤層D中に使用されたポリ(メタ)アクリレートとは異なるポリマーが、接着剤層CあるいはC及び/またはC’中に使用される。それによって、伝導性層の特性を、接着剤層CあるいはC及び/またはC’を介して接着された基材(複数可)に特に良好に適合させることができる。接着剤層CあるいはC及び/またはC’が好ましくはイオン液体などの電解質を含まないかまたは含む必要がないことによって、成分をそれに調和させる必要がない。
【0195】
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、接着剤層D中に使用されたポリ(メタ)アクリレートとは異なるポリ(メタ)アクリレートが、接着剤層CあるいはC及び/またはC’中に使用される。
【0196】
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、接着剤層CあるいはC及び/またはC’中には、少なくとも一種のビニル芳香族ブロックコポリマーが含まれる。
【0197】
本発明の好ましい実施形態によれば、接着剤層CあるいはC及び/またはC’はビニル芳香族ブロックコポリマー(複数種可)をベースとする、すなわち、これらの実施形態によれば、ビニル芳香族ブロックコポリマーは、接着剤層中の主たるポリマーであり、この場合、層C中に含まれるポリマー100重量%を基準して70から100重量%までの割合で含まれる。場合によっては接着剤層中に含まれる粘着樹脂は、この計算の枠内では、含まれるポリマーの100重量%に算入されない。
【0198】
前記ビニル芳香族ブロックコポリマー(複数種可)は、原則的に、任意の当業者に既知のタイプのものであることができる。
【0199】
好ましくは、ビニル芳香族ブロックコポリマーは、A-B、A-B-A及び/または(A-B)Xの構造を有し、この際、Xは、カップリング剤または開始剤の残基を表し、そしてnは2以上である。
【0200】
特に好ましくは、ビニル芳香族ブロックコポリマー(複数種可)は、任意に或る割合のA-Bとの混合物として、A-B-Aの構造を有し、ここで、前者は、ジブロック成分を表す。
【0201】
非常に特に好ましくは、ビニル芳香族ブロックコポリマー(複数種可)は、構造A-B-Aを有するポリマーと、構造A-Bを有するポリマーとの混合物として存在する。
【0202】
ブロックAは、ビニル芳香族モノマーから形成されたブロックを表す。
【0203】
好ましいは、ブロックAは、少なくともスチレン及びα-メチルスチレンを含む重合混合物から形成されており、好ましくは少なくともスチレンを含む重合混合物から形成されている。非常に特に好ましくは、ブロックAは、スチレンから形成されたブロック、それ故、ポリスチレンブロックである。
【0204】
ブロックBは、該ブロックコポリマーの他のブロックを表す。好ましくは、ブロックBは、1,3-ジエン及びイソブチレンのモノマーを含む重合混合物から形成され、更に好ましくはブタジエン及び/またはイソプレンを含む重合混合物から形成される。非常に特に好ましくは、ブロックBは、ブタジエンから形成されたブロック、それ故、ポリブタジエンブロックである。
【0205】
特に好ましくは、前記ビニル芳香族ブロックコポリマー(複数種可)は、スチレンブロックコポリマー(複数種可)であり、同様に好ましくは、任意にA-Bを含む、構造A-B-Aのスチレン-ブタジエンブロックコポリマーである。
【0206】
それを用いて、本発明が基づく課題が特に良好に解決される。
【0207】
特に有利な実施形態では、該感圧接着剤層は、ビニル芳香族ブロックコポリマーとして、少なくとも二種のスチレンブタジエンブロックコポリマーの混合物を含み、この際、第一のブロックコポリマーは、50~85%のジブロックA-B割合を有し、第二のブロックコポリマーは、5~35%のジブロックA-B割合を有する。
【0208】
それを用いて、本発明が基づく課題が特に良好に解決される。
【0209】
ジブロック割合は、GPCにより決定され、当業者には既知のように、適切な製造方法を選択することによって的確に調節することができる。
【0210】
好ましくは、含まれるビニル芳香族ブロックコポリマー(複数種可)のA-B-Aポリマーストランドの分子量分布の重量平均Mw(GPC)は、50,000g/モルから300,000g/モルまで、特に好ましくは80,000から180,000g/モルまでである。
【0211】
先に記載したように、接着剤層C及びC’は、同一かまたは互いに異なることができる。例えば、接着剤層、例えばCは、アクリレートベースの接着剤から構成されていることができ、他方で、他の層は、同じ例C’において、ビニル芳香族ブロックコポリマー(複数種可)をベースとする接着剤に基づいて構成されている。
【0212】
本発明の好ましい実施形態では、接着剤層CあるいはC及び/またはC’は、殊にこれが主たるポリマーとしてビニル芳香族ブロックコポリマーをベースとする場合には、少なくとも一種の粘着樹脂を含む。
【0213】
それによって、接着剤の接着性が高められ、それでもなお接着剤層(複数可)CあるいはC及び/C’は更に電気伝導性であることができる。
【0214】
「粘着樹脂」とは、当業者の理解に従って、粘着樹脂は含まないものの他は同じ接着剤と比べてた場合に接着剤層の接着性(タック、固有接着性)を高めるオリゴマー性またはポリマー性樹脂のことと解される。
【0215】
好ましくは、前記の少なくとも一種の粘着樹脂は、400から15,000g/モルまで、特に好ましくは400から5,000g/モルまで、非常に特に好ましくは500から2,000g/モルまでの重量平均分子量Mを有する。
【0216】
好ましくは、前記の少なくとも一種の粘着樹脂は、ロジンまたはロジン誘導体をベースとする非水素化、部分水素化または完全水素化された樹脂、ジシクロペンタジエンの水素化重合体、C-5、C-5/C-9またはC-9モノマー混合物をベースとする非水素化、部分水素化、選択的水素化または完全水素化された炭化水素樹脂、及びα-ピネン及び/もしくはβ-ピネン及び/もしくはδ-リモネンをベースとするポリテルペン樹脂からなる群から選択される。
【0217】
殊にビニル芳香族ブロックコポリマー(複数種可)と均一に混合可能なこのような粘着樹脂を選択できることは当業者には明らかである。
【0218】
接着剤層CあるいはC及び/またはC’の接着剤は、更に別の通例の添加剤、例えば軟化剤及びフィラーを更に含むことができる。
【0219】
好ましい実施形態によれば、接着剤層CあるいはC及び/またはC’の接着剤も発泡されている。それよって、本発明による接着テープの、それ故、接着された接合体の耐衝撃性が更に改善される。それにより、殊に(例えば落下による)力が接着された接合体に作用した時に、時期尚早の基材間の望まれない剥離が起こらないことが保証される。好ましくは、接着剤層CあるいはC及び/またはC’の接着剤の発泡も、膨張可能なマイクロバルーンの膨張を用いてもたらされる。
【0220】
接着材層CあるいはC及び/またはC’は電解質を含む必要がないまたは電気的に剥離可能である必要はないため、当業者には既知の全てのタイプのマイクロバルーンを使用することができる。
【0221】
本発明の好ましい実施形態では、接着剤層CあるいはC及び/またはC’の接着剤も発泡され、この際、この発泡はマイクロバルーンを用いてもたらされ、及びこのマイクロバルーンは、シリケートまたはアルモシリケートできた層をその表面上に有し、そして好ましくは、膨張可能なマイクロバルーンとして接着剤中に混入される。
【0222】
好ましくは、接着剤層Dの接着剤は感圧接着剤であり、それ故、接着剤層Dは好ましくは感圧接着剤層Dである。それにより、接着テープを、それの側で簡単に接着することができる、というのも、殊に、熱活性化可能な接着剤系と比べて、熱の入力が必要ないからである。更に、電解質の成分、例えば殊にイオン液体のイオンは、比較的低い架橋密度の故に、感圧接着剤中でより迅速に移動する。
【0223】
接着剤成分CあるいはC及び/またはC’の接着剤は、好ましい実施形態によれば、感圧接着剤ではない。
【0224】
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、接着剤層CまたはC及びC’の接着剤は感圧接着剤であり、それ故、接着剤層CまたはC及びC’は感圧接着剤層である。
【0225】
全ての外側の接着剤層が感圧接着剤層である実施形態では、本発明の接着テープは感圧接着テープである。
【0226】
本発明では、感圧接着剤とは、一般の用法の通り、(殊に室温で)持続的にタックがあり並びに接着性である物質のことである。圧力によって基材上に施すことができ、そしてそこに付着し続けることが感圧接着剤の特徴であり、この際、使用される圧力及びこの圧力の作用時間は詳しくは定義されない。幾つか場合において、感圧接着剤の正確な種類、温度及び空気湿度並びに基材に依存して、一瞬の軽い接触を超えない短時間の最小の圧力の作用が付着効果を達成するのに十分であり、他の場合には、高い圧力の長期の作用時間が必要なこともある。
【0227】
感圧接着剤は、特に、持続的なタック及び接着性をもたらす特徴的な粘弾性特性を有する。感圧接着剤に特徴的なのは、機械的に変形されると、粘性流動プロセスも、弾性復元力の発生も起こることである。両方のプロセスは、それぞれの割合に関して、感圧接着剤の正確な組成、構造、及び架橋度にも、変形の速度及び時間にも、ならびに温度にも応じて、互いに特定の比率にある。
【0228】
割合に応じた粘性流動は、接着の達成のために必要である。比較的大きな可動性を持つ高分子によって引き起こされる粘性成分のみが、接着すべき基材上での良好な湿潤及び良好な流動を可能にする。粘性流動の高い割合は、強い感圧接着性(タックまたは表面接着性とも称される)をもたらし、それ故、多くの場合に高い接着力も与える。強く架橋した系、結晶性またはガラス様に硬化したポリマーは、流動可能な成分が欠けているので、一般的に感圧接着性ではないか、または少なくとも僅かにしか感圧接着性でない。
【0229】
割合に応じた弾性復元力は、凝集性を達成するために必要である。この復元力は、例えば非常に長鎖で強く絡んだ高分子及び物理的または化学的に架橋された高分子によってもたらされ、そして接着結合に作用する力の伝達を可能にする。復元力により、接着結合が、例えば持続的なせん断負荷の形で接着結合に作用する持続的負荷に対して十分に、比較的長時間にわたって持ちこたえ得るようになる。
【0230】
弾性部分及び粘性部分の尺度ならびにこれらの部分の互いの比率をより正確に表現しかつ定量化するためには、動的機械分析(DMA、DIN EN ISO6721準拠)によって確定可能な値である貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を引用することができる。G’は、物質の弾性部分のための尺度であり、G”は物質の粘性部分のための尺度である。両方の値は変形周波数及び温度に左右される。
【0231】
これらの値は、レオメータによって確定することができる。その際、調べるべき材料は、例えばプレート・プレート構成において、正弦波状に振動するせん断負荷に曝される。ずり応力制御された機器の場合、時間の関数としての変形及びずり応力の導入に対するこの変形の時間的ずれが測定される。この時間的ずれは位相角δと呼ばれる。
【0232】
貯蔵弾性率G’は次のように定義されている。
G’=(τ/γ)・cos(δ)(τ=ずり応力、γ=変形、δ=位相角=ずり応力ベクトルと変形ベクトルとの間の位相ずれ)。
【0233】
損失弾性率G’’は次のように定義される:
G’’=(τ/γ)・sin(δ)(τ=ずり応力、γ=変形、δ=位相角=ずり応力ベクトルと変形ベクトルとの間の位相ずれ)。
【0234】
材料が、一般的に感圧接着性とみなされ、また本明細書の意味において感圧接着性と定義されるのは、室温において、ここでは定義に基づき23℃で、変形周波数が10~10rad/secの範囲の際に、G’が少なくとも部分的に10~10Paの範囲内にある場合で、かつG”も同様に少なくとも部分的にこの範囲内にある場合である。「部分的」とは、10rad/sec以上10rad/sec以下の変形周波数(横座標)並びに10Pa以上10Pa以下でのG’値(縦座標)の範囲に広がるウィンドウ内に、G’曲線の少なくとも一区間があることである。G”についても同様である。
【0235】
好ましくは、該感圧接着剤は、23℃で10から10rad/secまでの変形周波数範囲において、DIN EN ISO6721に従い決定して、10から10Paまでの範囲の貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”を有する。
【0236】
粘弾性特性の達成のためには、感圧接着剤の基礎となるポリマーがベースとするモノマー、並びに場合により存在する感圧接着剤の更なる成分は、殊に、感圧接着剤が使用温度未満(すなわち通常は室温(23℃)未満)のガラス転移温度(DIN53765準拠)を有するように選択される。適切な凝集制御手段、例えば架橋反応(高分子間のブリッジ形成性結合の形成)によって、ポリマー組成物が感圧接着性特性を示すようになる温度範囲を拡大及び/またはシフトすることができる。それ故、該感圧接着剤の使用範囲は、接着剤の流動性と凝集力との間の調節によって最適化できる。
【0237】
好ましくは、該感圧接着剤は、DIN53765に従い決定して≦23℃のガラス転移温度を有する。
【0238】
ホットメルト接着剤、例えばポリアミド、ポリウレタンまたは変性ポリエチレンをベースとするホットメルト接着剤は、感圧接着剤とは異なり、ホットメルト接着剤組成物中でさえ、室温(23℃)で接着性を持たない。
【0239】
本発明の更に別の対象は、本発明による接着テープの製造のための方法である。該方法は、第一の好ましい実施形態では、少なくとも次のプロセスステップを含む:
A)第一の接着剤層Dを提供するステップ、但しこの際、接着剤層Dは、少なくとも一種の電解質及び膨張可能なマイクロバルーンを含み、ここで、前記膨張可能なマイクロバルーンは、シリケートまたはアルモシリケートでできた層をその表面上に有する; 及び
B)第一の接着剤層Dを発泡させるステップ、但しこの際、この発泡は、膨張可能なマイクロバルーンの膨張によって起こる。
【0240】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記方法は、少なくとも以下のプロセスステップを含む:
A)第一の接着剤層Dを提供するステップ、但しこの際、接着剤層Dは、少なくとも一種の電解質及び膨張可能なマイクロバルーンを含み、ここで、前記膨張可能なマイクロバルーンは、シリケートまたはアルモシリケートでできた層をその表面上に有する; 及び
B)第二の接着剤層Cを提供するステップ;及び
C)電気伝導性キャリア層Tを提供するステップ;及び
D)提供された前記の層D、T及びCを積層するステップ、但しこの際、これらの層は、電気伝導性層Tが層Dと層Cとの間に配置されて、層接合体DTCが両面接着テープとして得られるようにして、互いに接触させる; 及び
E)第一の接着剤層Dを発泡させるステップ、但しこの際、この発泡は、膨張可能なマイクロバルーンの膨張によって起こる。
【0241】
全ての実施形態のプロセスステップA)は、殊に及び好ましくは次の部分ステップを含む:
A1)接着剤を提供するステップ;及び
A2)少なくとも一種の電解質を提供するステップ;及び
A3)膨張可能なマイクロバルーンを提供するステップ、但しこの際、前記膨張可能なマイクロバルーンは、シリケートまたはアルモシリケートでできた層をそれの表面上に有する;及び
A4)前記マイクロバルーンを前記接着剤に加えるステップ;及び
A5)前記電解質を前記接着剤に加えるステップ。
【0242】
ステップA1)による第一の接着剤の提供は、殊に、任意に更に別の成分を含んでいてよい少なくとも一種のポリマーを提供することによって、行われる。前記接着剤、電解質及び膨張可能なマイクロバルーンについては、接着剤層Dに関する全ての上記の記載が当てはまる。ステップA2)からA5)のリストは、必ずしも時間的な順列を表すものではない。例えば、先ず、電解質、例えば殊に少なくとも一種のイオン液体を接着剤に加え、その後に初めて、膨張可能なマイクロバルーンを加えることもできる。
【0243】
本発明の更に別の実施形態によれば、本発明による接着テープの製造のための方法は、以下のプロセスステップを含む:
X1)接着剤を提供するステップ;及び
X2)少なくとも一種の電解質を提供するステップ;及び
X3)予膨張されたマイクロバルーンを提供するステップ、但しこの際、前記予膨張されたマイクロバルーンは、シリケートまたはアルモシリケートでできた層をそれの表面上に有する;及び
X3)前記マイクロバルーンを前記接着剤に加えるステップ;及び
X4)前記電解質を前記接着剤に加えるステップ。
【0244】
前記接着剤、電解質及び予膨張されたマイクロバルーンについては、接着剤層Dに関する全ての上記の記載が当てはまる。ステップX2)からX5)のリストは、必ずしも時間的な順列を表すものではない。例えば、先ず、電解質、例えば殊に少なくとも一種のイオン液体を接着剤に加え、その後に初めて、予膨張されたマイクロバルーンを加えることもできる。
【0245】
該接着剤は、既知の方法を用いて、殊に塗り広げることによって層の形態にされる。更に、場合により、一回以上の乾燥ステップを行うことができる。
【0246】
ステップB)による第二の接着剤層Cの提供は、殊に、少なくとも一種の更に別の接着剤を提供することによって行われる。該接着剤は、既知の方法を用いて、殊に塗り広げることによって層の形態にされる。更に、場合により、一回以上の乾燥ステップを行うことができる。
【0247】
ステップD)による積層は当業者には既知の方法で行われ、この際、これらの層は、層接合体DTCが両面接着テープとして得られるようにして積層され、TはDとCとの間に配置される。
【0248】
ステップC)によるキャリア層Tの提供は、既に先に記載したように様々な方法で行うことができる。
【0249】
例えば、a)金属フィルム、殊にアルミニウムフィルム、及び/またはb)電気伝導性ネット及び/またはd)少なくとも一つの金属製格子及び/またはe)金属蒸着PETフィルムを、層Dと層Cとの間に配置することが考えられ得る。
【0250】
更に、c)金属粒子を、接着剤層DまたはCの表面上に直接、蒸着することができる。
【0251】
プロセスステップA)からC)のリストは、必ずしも時間的な順列を表すものではない。
【0252】
プロセスステップE)による接着剤層Dの発泡は、時間的に、ステップD)の積層の前に行うことできるか、またはそれの後に行うことができる。
【0253】
好ましい実施形態では、接着剤層Cの接着剤には、ステップB)によるそれの提供に際して、膨張可能なマイクロバルーンが同様に加えられる。膨張は、殊に及び好ましくは、発泡するべき一つの層または発泡するべき複数の層を、使用されたマイクロバルーンの膨張に必要な然るべき温度に加熱することによって達成される。
【0254】
殊に層Cも膨張可能なマイクロバルーンを含む場合には、ステップE)による膨張を、時間的に、ステップD)による積層の後に行うことが好ましい、というのも、それにより、層D及びCを、時間及びエネルギーの節約の下に同時に加熱し、それにより、発泡することができるからである。
【0255】
五層型接合体の実施形態における接着テープの製造方法は、類似のステップを含み、但し、層T’及びC’が追加的に提供され、そして同様に接合体中に積層される。
【0256】
本発明による接着テープは殊に両面接着テープであり、この際、実施形態に依存して、接着剤層Dの二つの面(転写式接着テープ)、または第一の接着剤層Dの一つの面及び第二の接着剤層Cの一つの面(三層型接合体D-T-C)、または接着剤層C及びC’のそれぞれ一つの面(五層型接合体C-T-D-T’-C’)を、基材の接着にそれぞれ利用可能である。
【0257】
有利には、本発明による接着テープの接着剤層の外側の自由面には、抗付着性材料、例えば剥離紙または剥離フィルム(ライナーとも称される)を装備することができる。ライナーは、少なくとも片面が、就中、両面が抗付着性にコーティングされた材料、例えば両面がシリコーン被覆された材料であることもできる。ライナーまたはより一般的に言えば一時的なキャリアは、接着テープの一部ではなく、それの製造、保存のために及び/またはダイカットによる二次加工のための補助手段に過ぎない。更に、永続的なキャリアとは異なり、ライナーは、接着剤層としっかりとは接合されず、むしろ一時的なキャリアとして、すなわち接着剤層から剥がすことが可能なキャリアとして機能するものである。「永続的なキャリア」は、本願では、同義的に単に「キャリア」とも称される。
【0258】
個々の接着剤層(複数可)の(z方向の)厚さは、好ましくは15から150μmまで、特に好ましくは20から100μmまで、非常に特に好ましくは25から70μmまでである。
【0259】
三層型接合体D-T-C並びに五層型接合体C-T-D-T’-C’の実施形態では、接着剤層D及びC、またはD及びC並びにD及びC’は、好ましい実施形態によれば、異なる層厚を有し、この際、接着剤層Dの厚さは、例えば、接着剤層CまたはC及びC’の厚さよりも薄い。更に別の実施形態によれば、層D及びCまたはD、C及びC’は同じ層厚を有する。層Dの層厚が厚すぎる場合には、これは、含まれる電解質が原因で場合により不経済にコスト高になる。
【0260】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照してより詳しく説明、記載する。
【図面の簡単な説明】
【0261】
図1図1は、好ましい実施形態における本発明による両面接着テープの単純化した概略的横断面を示す。
図2図2は、好ましい実施形態における本発明による両面接着テープの単純化した概略的横断面を示す。
図3図3は、好ましい実施形態における本発明による両面接着テープの単純化した概略的横断面を示す。
図4図4は、好ましい実施形態の本発明に従い接着した接合体の単純化した概略的横断面を示す。
図5図5は、好ましい実施形態における、電圧が印加されている、本発明に従い接着された接合体の単純化した概略的横断面を示す。
図6図6は、電圧が印加され、その結果、接着分離が起こった後の、本発明に従い接着された接合体の単純化した概略的横断面を示す。
図7図7は、好ましい実施形態の本発明に従い接着した接合体の単純化した概略的横断面を示す。
図8図8は、好ましい実施形態の本発明に従い接着した接合体の単純化した概略的横断面を示す。
【0262】
図1から分かるように、接着剤層D1は、それの表面にわたってキャリア層T2と接合している。層Dとは反対側のキャリア層Tの面上には、接着材層3Cが配置されている。
【0263】
図1から同様に分かるように、層接合体は両面接着テープであり、ここで、接着剤層Dの一面及び第二の接着剤層Cの一面をそれぞれ接着のために利用可能である。
【0264】
図2には、本発明の好ましい実施形態を示す。この場合、電気伝導性キャリア層T2は、接着剤層D1及び第二の接着剤層C3から、層平面の少なくとも一つの延び方向に横側にはみ出しており、その結果、電気伝導性キャリア層T2は、少なくとも一つの自由面2aを持つはみ出し部を有する。
【0265】
図3には、本発明の更に別の好ましい実施形態を示す。この場合、電気伝導性キャリア層T2は、接着剤層D1から、層平面の少なくとも一つの延び方向に横側にはみ出しており、その結果、電気伝導性キャリア層T2は、一つの自由面2aを持つはみ出し部を有する。図3では、接着剤層C3は、それが同様に、層D1に対してはみ出し部を有するように形成されている。キャリア層T2は、殊に、片面がアルミニウムでコーティングされたPETフィルムであり、ここでは、アルミニウム被覆面が、層D1に接合されている。
【0266】
図4には、好ましい実施形態による、本発明に従い接着された接合体の概略図が示されている。図4に基づいて分かるように、該接着テープは、接着剤層D1を介して、第一の基材A4の一面上に配置されており、ここでは、この第一の基材は電気伝導性である。更に、該接着テープは、第二接着剤層C3を介して、第二の基材B5の一面上に配置されている。図4には、電気伝導性キャリア層T2が、接着剤層D1から、層平面の少なくとも一つの延び方向に横側にはみ出しており、その結果、電気伝導性キャリア層Tが、一つの自由面2aを持つはみ出し部を有することが同様に例示的に示されている。
【0267】
この場合、図5の概略図に示すように、この自由面2aを介して電圧を印加することができる。
【0268】
電圧を印加することによって、電解質の移動、殊にイオン液体のアニオン及びカチオンの分離が接着剤層D1中で起こる。それにより、基材A4に対する接着剤層D1の接着が大きく弱められ、そして図6の概略図から分かるように、これらの層が互いに離れる。
【0269】
図7では、好ましい実施形態における、本発明に従い接着された接合体の更に別の概略図が示されている。図7に基づいて分かるように、該接着テープは、接着剤層C3を介して、第一の基材A4の一面上に配置されている。更に、該接着テープは、第三の接着剤層C’7を介して、第二の基材B5の一面上に配置されている。層C3と層C’7との間には、電気的に剥離可能な接着剤層D1及び二つの電気伝導性のキャリア層T2及びT’6が存在し、この際、層D1はこれらのキャリア層の間に配置されている。図7には、電気伝導性キャリア層T2並びに電気伝導性キャリア層T’6が、接着剤層D1から、層平面の少なくとも一つの延び方向に横側にそれぞれはみ出しており、その結果、電気伝導性キャリア層Tが、一つの自由面2aを持つはみ出し部を有し、及び電気伝導性キャリア層T’が、自由面6aを持つはみ出し部を有することが同様に例示的に示されている。
【0270】
図8には、好ましい実施形態における本発明により接着された接合体の更に別の概略図が示されている。これは、図7と類似している。しかし、図7とは異なり、電気伝導性キャリア層T2及び電気伝導性キャリア層T’6のはみ出しは、異なる方向を向いており、その結果、これらの層の生じる自由面(2aまたは6a)は空間的に離れている。
【0271】
ここでは、図5と同様に、これらの自由面2a及び6aを介して電圧を印加することができる。図5の実施形態とは異なり、電圧は面2a及び6aに印加することができ、その結果、基材A及びBのいずれも電気伝導性である必要はない。
【0272】
電圧を印加することによって、電解質の移動、殊にイオン液体のアニオン及びカチオンの分離が接着剤層D1中で起こる。それにより、キャリア層T2及び/またはT’6に対する接着剤層D1の接着性が大きく弱まり、これらの層が互いに離れる。殊に、剥離は、負極が印加される層で起こる。
【0273】
電圧の印加は、図8による空間的に隔離した面2a及び6aの場合に簡素化される。
【0274】
図1~8の描写は、上述した通り、概略図である。殊に、個々の層D、T及びCの層厚は互いに異なっていることができる。更に、基材A及びBも、更に別の層として概略的に示されているに過ぎない。これらは、当然ながら、任意の他の三次元形状を有することができる。
【実施例0275】
以下には、本発明を更に説明するために幾つかの例を記載する。
【0276】
試験法
全ての測定は、(別の記載がない限り)23℃及び相対湿度50%で実施する。機械的及び接着技術的データは以下のように求めた:
分子量M、M
本明細書での数平均分子量Mまたは重量平均分子量Mのデータは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)による決定に関する。この決定は、清澄ろ過した試料100μl(試料濃度4g/l)について行われる。溶離液としては、トリフルオロ酢酸を0.1体積%含むテトラヒドロフランを用いる。測定は25℃で行う。プリカラムとして、カラムタイプPSS-SDV、5μm、10Å、8.0mm*50mm(ここでの記載及び以下において、タイプ、粒度、多孔度、内径*長さの順序;1Å=10-10m)を使用する。分離のためには、各々8.0mm*300mmのタイプPSS-SDV、5μm、10Å並びに10Å及び10Åのカラムの組み合わせを使用する(Polymer Standards Service社のカラム; 示差屈折率計Shodex RI71を用いて検出)。貫流量は1分当たり1.0mlである。キャリブレーションは、極性分子、例えば原料のポリウレタンの場合には、PMMA標準に対して(ポリメチルメタクリレート-キャリブレーション)、他の場合には、PS標準に対して(ポリスチレン-キャリブレーション)、行う。
【0277】
粘着樹脂軟化温度
粘着樹脂軟化温度は、環球法として知られておりASTM E28に基づいて標準化されている該当する方法論に基づいて決定される。
【0278】
厚さ
接着剤層の厚さは、ライナー上に施与されたこのような接着剤層のその長さ及び幅に関して定義された断片の決定された厚さから、使用したライナーの同じ寸法の断面の(既知のまたは別途求めた)厚さを差し引いて決定することができる。該接着剤層の厚さは、慣用の厚さ測定器(センサー試験装置)を用いて1μm未満の誤差の精度で求めることができる。厚さの変動が確認されたら、少なくとも三カ所の代表的な箇所での測定の平均値をとる。すなわち、殊に、ひだ、折り目、隆起部及び類似の部分では測定しない。
【0279】
接着剤層の厚さと同様に、接着テープ(接着ストリップ)またはキャリアの厚さも、慣用の厚さ測定装置(センサー試験装置)により1μm未満の誤差の精度で同様に求めることができる。厚さの変動が確認されたら、少なくとも三カ所の代表的な箇所での測定の平均値をとる。すなわち、殊に、ひだ、折り目、隆起部及び類似の部分では測定しない。
【0280】
接着力
180°接着力試験:
鋼に対する電気的に剥離可能な層Dの接着力を試験するために: 本発明による接着テープの20mm幅のストリップを、層Cの接着剤側で、接着剤が僅かにはみ出すようにして23μm厚のPETフィルムに貼付する。この接合体を、予めアセトンで二回、イソプロパノールで一回洗浄した鋼板上に、電気的に剥離可能な側(層D)で施与する。感圧接着ストリップは、2kgの重さに相当する押し圧力で二回基材上に押し付ける。次いで直ぐに、この接着テープを300mm/分の速度及び180°の角度で基材から引き剥がす。全ての測定は室温で行う。
【0281】
測定結果はN/cmで表示し、そして三回の測定から平均する。
【0282】
鋼に対する層Cの接着力を試験するために、測定は同様にして行い、この際、先ず、本発明の接着テープの20mm幅のストリップを、電気的に剥離可能な接着剤側(層D)で、接着剤が僅かにはみ出すようにして20μm厚のPETフィルム上に貼付し、次いで、この接合体を、他の側(層C)で鋼板に施用する等を行う。
【0283】
本発明による例1
接着剤層Dは以下のように用意する:
アクリレートをベースとするベースポリマーを以下のように製造する:ラジカル重合のために慣用の反応器に、2-エチルヘキシルアクリレート48kg、n-ブチルアクリレート48kg、アクリル酸4kg、及び石油スピリット/アセトン(70/30)66kgを充填する。撹拌しながら窒素ガスを45分間導通させた後に、反応器を58℃に加熱し、AIBN50gを添加する。次いで、外部の加熱浴を75℃に加温し、そして反応をこの外部温度で一定に行う。1時間後、再び50gのAIBNを加え、そして4時間後に、20gの石油スピリット/アセトン混合物で希釈する。5.5時間後及び7時間後にそれぞれ、150gのビス-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートで再開始させる。22時間の反応時間の後に、重合を中断し、室温まで冷却する。得られたポリアクリレートは、多分散性PD(Mw/Mn)=3.6で、Mw=386,000g/モルの平均分子量を有する。
【0284】
溶剤は除いてポリマーの量を基準に100重量%に対して、5.5重量%のイオン液体としての1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM-TFSI)及び4重量%のポリエチレングリコール400(Sigma Aldrich社)を混合する。
【0285】
加えて、溶剤は除いてアクリレートポリマーの量を基準に0.1重量%の架橋剤としてのErysis GA240を加える。
【0286】
追加的に、層Dの接着剤の総量を基準に1重量%のマイクロバルーンとしてのマツモトFN100SSDを加える。これは、シリケートコーティングを有し、及び膨張後に約20μmのサイズを有する。
【0287】
次いで、得られた混合物を、コーティングバーを用いて、110℃で乾燥後に45μmの層厚が生じるように、剥離性シリコーンを備えたPETライナー上に塗布する。
【0288】
接着剤層Cは以下のように用意する:
アクリレートベースポリマーは、接着剤層Dについて先に記載したように、製造する。溶剤は除いてアクリレートポリマーの量を基準に0.1重量%の架橋剤としてのErysis GA240を加える。
【0289】
追加的に、接着剤の総量を基準に1重量%のマイクロバルーンとしてのマツモトFN100SSDを加える。
【0290】
層厚25μmのアルミニウム被覆PETフィルムを、電気伝導性のキャリア層Tとして用意する。
【0291】
「アルミニウム被覆PETフィルム」とは、表面にアルミニウムが蒸着されているPETフィルムのことと理解される。z方向でのアルミニウム層の生じた層厚は約40nmである。
【0292】
次いで、第二の接着剤層Cを、コーティングバーを用いて、前記PETフィルムの金属被覆されていない面上に塗布する。この時、この接着剤層Cの生じた層厚は、再び45μmである。その裏側は、シリコーン被覆されたPETフィルムをベースとするライナーで覆う。
【0293】
次いで、電気的に剥離可能な接着剤層Dを、キャリア層T及び接着剤層Cからなる接合体のアルミニウム側に積層して、層配列DTCを有する接着テープを得る。
【0294】
この際、接着剤層Cは、電気伝導性キャリア層Tと一緒に、少なくとも一つの方向に、最良では約1cm、接着材層Dからはみ出す。この接着テープの総厚は115μmである。
【0295】
次いで、シリコーン被覆ライナーをなおも両面に備えたこの接着テープを、180℃で1分間加熱し、それにより、マイクロバルーンを膨張し、それ故、接着剤層C及びDを発泡する。この際、シリコーン被覆ライナーは除いたこの接着テープの総厚は145μmである。
【0296】
この接合体の鋼に対する接着力は、電気的に剥離可能な側で、すなわち接着剤層Dの自由な面側で、4.0N/cmであり、そして接着剤層C上では6.5N/cmである。
【0297】
剥離性の試験のために、接着テープを以下のように貼付する。この接着テープの剥離可能な側は、伝導性表面、この場合は、伝導性基材Aの代表としての鋼板上に貼付する(「接着力」についての方法の説明も参照されたい)。反対側には、23μm厚のPETフィルムを貼付する。貼付後に電圧を印加し、詳しくは、カソードを鋼板に印加し、アノードをキャリアフィルムTのはみ出し部に印加する。
【0298】
この際、電圧は12Vであり、1分間印加する。
【0299】
次いで、試料を直ぐに測定装置にセットし、再び、鋼板に対するこの接着テープの接着剤層Dの接着力を測定する。ここでは、接着力はわずか0.5N/cmである。
【0300】
電圧を印加することによって、接着力を顕著に弱めることができた。
【0301】
本発明による例2
第二の例では、接着剤層Dの電気的に剥離可能な接着剤は、使用したアクリレートの比率を変えることによって変化させる。
【0302】
30kgの2-エチルヘキシルアクリレート、64kgのn-ブチルアクリレート及び6kgのアクリル酸を使用する。
【0303】
イオン液体としては、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIM-FSI)を、溶剤は除いてポリマーの量を基準として100重量%に対して5重量%の量で加える。
【0304】
更に、4重量%のポリプロピレングリコール600(Sigma Aldrich社)を加える。
【0305】
加えて、溶剤は除いてアクリレートポリマーの量を基準に0.1重量%の架橋剤としてのErysis GA240を加える。
【0306】
再び、1重量%のマイクロバルーンとしてのマツモトFN100SSDを加える。
【0307】
この接着剤を、45μmの層厚で、シリコーン被覆ライナー上に塗布する。
【0308】
接着剤層Cの接着剤としては、スチレンブロックコポリマーをベースとする接着剤を使用する、詳しくは、接着剤として、33%のKraton D1118、17%のKraton D1102及び50%のPiccolyte A115からなる接着剤を使用する。
【0309】
この接着剤にも、1重量%のマイクロバルーンとしてのマツモトFN100SSDを加える。
【0310】
この接着剤を、例1と同様に、結果として層厚が45μmとなるように、キャリア層Tとしての25μmの厚さを有するアルミニウム被覆PETフィルム上に塗布する。再び、ライナーとしてのシリコーン被覆PETフィルムを、接着剤の自由面側に積層する。
【0311】
次いで、この場合も、電気的に剥離可能な層Dを、キャリア層Tのなおも自由な金属被覆側上に積層し、この際、キャリア層Tは、接着剤層Cと一緒に、少なくとも一つの方向に、剥離可能な接着剤層Dからはみ出している。
【0312】
この場合も、結果として得られた接着テープを180℃で1分間加熱して、接着剤層D及びC中のマイクロバルーンを発泡させる。この際、両ライナーは除いたこの接着テープの総厚は145μmである。
【0313】
結果として生じた接着テープは、電気的に剥離可能な側では、すなわち接着剤層Dの自由な面側では、鋼に対する接着力は3.8N/cmであり、他の側では、すなわち接着剤層Cの自由な面側では、8.4N/cmである。
【0314】
再剥離性の試験のための貼付は、先に記載のように行う。12Vの電圧を1分間印加した後、鋼に対する該接着テープの剥離可能な側、すなわち接着剤層Dの接着力を測定する:接着力は0.3N/cmに低下する。
【0315】
比較例1
電気的に剥離可能な層Dのためには、本発明による例1と同じ接着剤を使用し、但し、マイクロバルーンだけは、炭酸カルシウムコーティングを備えるNouryon社製のマイクロバルーンExpancel920DU20に置き換える。
【0316】
層T及び接着剤層Cは、本発明による例1から変えずにそのままである。
【0317】
個々の層を、先に記載したように一緒に積層し、次いで1分間、160℃に加熱する。この際、マイクロバルーンの均一な発泡は可能ではなく、発泡は著しく少ないことが分かる。顕微鏡では、マイクロバルーンは既にその大部分が破壊されていることを認識し得る。炭酸カルシウムコーティングを有するマイクロバルーンがイオン液体と適合しないようである。
【0318】
それ故、驚くべきことに、シリケート-またはアルモシリケートコーティングを有するマイクロバルーンを用いた場合にのみ、電気剥離可能で、そのために電解質を含み、かつ同時に発泡された接着剤層Dを首尾良く製造することができる。
【0319】
接着力及び再剥離性についての試験が本発明による例1及び2で示すように、鋼等の基材上での接着剤層Dの接着力は、電圧の印加前は強く、そして電圧を印加することによって初めて、基材を迅速にかつ多大な力を使うことなく互いから剥がし得る程に低い値まで弱くなる。
【0320】
使用した物質:
・Kraton D1102: A-B-A及びA-B構造を混合して含むスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン含有率30%、ジブロック含有率(A-B)15%、Kraton社製
・Kraton D1118: A-B-A及びA-B構造を混合して含むスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン含有率31%、ジブロック含有率(A-B)78%、Kraton社製
・粘着樹脂Piccolyte A 115:アルファ-ピネンからなるテルペン樹脂、軟化点115℃、DRT社製
・ポリエチレングリコール400、Sigma Aldrich社製
・ポリプロピレングリコール600、Sigma Aldrich社製
・Erysis(登録商標)240:テトラグリシジル-メタ-キシレンジアミン、Huntsman社製
・マイクロバルーン マツモトFN100SSD、松本社製
・マイクロバルーン Expancel920DU20、Nouryon社製
【符号の説明】
【0321】
1 接着剤層D
2 電気伝導性キャリア層T
2a 電気伝導性キャリア層Tの自由面
3 第二の接着剤層C
4 第一の基材A
5 第二の基材B
6 第二の電気伝導性キャリア層T’
6a 電気伝導性キャリア層T’の自由面
7 第三の接着剤層C’
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0320
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0320】
使用した物質:
・Kraton D1102: A-B-A及びA-B構造を混合して含むスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン含有率30%、ジブロック含有率(A-B)15%、Kraton社製
・Kraton D1118: A-B-A及びA-B構造を混合して含むスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン含有率31%、ジブロック含有率(A-B)78%、Kraton社製
・粘着樹脂Piccolyte A 115:アルファ-ピネンからなるテルペン樹脂、軟化点115℃、DRT社製
・ポリエチレングリコール400、Sigma Aldrich社製
・ポリプロピレングリコール600、Sigma Aldrich社製
・Erysis(登録商標)240:テトラグリシジル-メタ-キシレンジアミン、Huntsman社製
・マイクロバルーン マツモトFN100SSD、松本社製
・マイクロバルーン Expancel920DU20、Nouryon社製
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する。
1. 少なくとも次の層を含む接着テープ:
・接着剤層D、但し、この接着剤層Dは少なくとも一種の電解質を含みかつ発泡されており、ここで、発泡はマイクロバルーンを用いてもたらされており、及び前記マイクロバルーンは、その表面上に、シリケートまたはアルモシリケートでできた層を有する。
2. 接着剤層Dの電解質が、イオン液体及び金属塩からなる群から選択され、イオン液体が特に好ましいことを特徴とする、前記1.に記載の接着テープ。
3. イオン液体のアニオンが、Br 、AlCl 、Al Cl 、NO 、BF 、PF 、CH COO 、CF COO 、CF CO 、CF SO 、(CF SO 、(CF SO 、AsF 、SbF 、CF (CF SO 、(CF CF SO 、CF CF CF COO 、(FSO からなる群から選択され、特に好ましくは(CF SO 及び(FSO から選択されることを特徴とする、前記2.に記載の接着テープ。
4. イオン液体のカチオンが、イミダゾリウムベースのカチオン、ピリジニウムベースのカチオン、ピロリジンベースのカチオン、及びアンモニウムベースのカチオンからなる群から選択され、特に好ましくは、イミダゾリウムベースのカチオンからなる群から選択され、及び前記カチオンは、特に好ましくは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、前記カチオンは非常に特に好ましくは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムであることを特徴とする、前記2.または3.に記載の接着テープ。
5. 接着剤層Dの電解質が、イオン液体の1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM-TFSI)及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIM-FSI)からなる群から選択されることを特徴とする、前記1.~4.のいずれか一つに記載の接着テープ。
6. 第一の接着剤層Dがポリ(メタ)アクリレートをベースとすることを特徴とする、前記1.~5.のいずれか一つに記載の接着テープ。
7. 第一の接着剤層Dが、含まれるポリマー100重量%を基準にして、2から10重量%までの、好ましくは4から6重量%までの電解質、好ましくはイオン液体を含むことを特徴とする、前記1.~6.のいずれか一つに記載の接着テープ。
8. 転写式接着テープであり、接着剤層Dからなることを特徴とする、前記1.~7.のいずれか一つに記載の接着テープ。
9. 追加的に、少なくとも次の層を含むことを特徴とする、前記1.~7.のいずれか一つに記載の接着テープ:
・第二の接着剤層C; 及び
・層Dと層Cとの間に配置された、少なくとも一つの電気伝導性のキャリア層T。
10. 追加的に、少なくとも次の層を含むことを特徴とする、前記1.~7.のいずれか一つに記載の接着テープ:
・第二の接着剤層C; 及び
・層Dと層Cとの間に配置されている、少なくとも一つの第一の電気伝導性キャリア層T; 及び
・第一の電気伝導性キャリア層Tとは反対側にある、接着剤層Dの表面上に配置された、少なくとも一つの第二の電気伝導性キャリア層T’; 及び
・第一の接着剤層Dとは反対側にある、第二のキャリア層T’の表面上に配置された、第三の接着剤層C’。
11. 電気伝導性キャリア層Tまたは電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’が少なくとも一種の金属を含み、前記金属は、銅、ニッケル、亜鉛、錫、銀、金、アルミニウム、鉄、クロム、及び前記のこれらの金属の合金からなる群から選択され、及び電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’は、互いに独立して、同じものであるかまたは互いに異なるものであることを特徴とする、前記9.または10.に記載の接着テープ。
12. 電気伝導性キャリア層Tまたは電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’が、a)少なくとも一つの金属フィルム、好ましくはアルミニウムフィルム、及び/またはb)少なくとも一種の金属、好ましくは銅及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む、少なくとも一つの電気伝導性テクスタイル、及び/またはc)少なくとも一種の蒸着金属、好ましくは銅及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種の蒸着金属の一つ以上の層、及び/またはd)少なくとも一つの金属格子、及び/またはe)金属蒸着フィルムを含み、電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’は、互いに独立して、同じものであるかまたは互いに異なるものであることを特徴とする、前記11.に記載の接着テープ。
13. 少なくとも次の層を含む接着された接合体:
・第一の基材A; 及び
・第二の基材B; 及び
・基材Aと基材Bとの間に配置され、基材A及びBを互いに接着する、前記1.~12.のいずれか一つに記載の接着テープ。
14. 少なくとも次のプロセスステップを含む、前記13.に記載の接合体の電気的剥離方法:i.)接合体の二つの異なる箇所に電圧を印加するステップであって、電圧は、好ましくは2から20Vまで、特に好ましくは3から15Vまでである。
15. 電子デバイス、自動車、医療用デバイス及び歯科用デバイス中の部材を接着するための、前記1.~12.のいずれか一つに記載の接着テープの使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも次の層を含む接着テープ:
・接着剤層D、但し、この接着剤層Dは少なくとも一種の電解質を含みかつ発泡されており、ここで、発泡はマイクロバルーンを用いてもたらされており、及び前記マイクロバルーンは、その表面上に、シリケートまたはアルモシリケートでできた層を有する。
【請求項2】
接着剤層Dの電解質が、イオン液体及び金属塩からなる群から選択され、イオン液体が特に好ましいことを特徴とする、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
イオン液体のアニオンが、Br、AlCl 、AlCl 、NO 、BF 、PF 、CHCOO、CFCOO、CFCO 、CFSO 、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF 、CF(CFSO 、(CFCFSO、CFCFCFCOO、(FSOからなる群から選択され、特に好ましくは(CFSO及び(FSOから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の接着テープ。
【請求項4】
イオン液体のカチオンが、イミダゾリウムベースのカチオン、ピリジニウムベースのカチオン、ピロリジンベースのカチオン、及びアンモニウムベースのカチオンからなる群から選択され、特に好ましくは、イミダゾリウムベースのカチオンからなる群から選択され、及び前記カチオンは、特に好ましくは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、前記カチオンは非常に特に好ましくは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムであることを特徴とする、請求項2または3に記載の接着テープ。
【請求項5】
接着剤層Dの電解質が、イオン液体の1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM-TFSI)及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIM-FSI)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項6】
第一の接着剤層Dがポリ(メタ)アクリレートをベースとすることを特徴とする、請求項1~のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項7】
第一の接着剤層Dが、含まれるポリマー100重量%を基準にして、2から10重量%までの、好ましくは4から6重量%までの電解質、好ましくはイオン液体を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項8】
転写式接着テープであり、接着剤層Dからなることを特徴とする、請求項1~のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項9】
追加的に、少なくとも次の層を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一つに記載の接着テープ:
・第二の接着剤層C; 及び
・層Dと層Cとの間に配置された、少なくとも一つの電気伝導性のキャリア層T。
【請求項10】
電気伝導性キャリア層Tが少なくとも一種の金属を含み、前記金属は、銅、ニッケル、亜鉛、錫、銀、金、アルミニウム、鉄、クロム、及び前記のこれらの金属の合金からなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の接着テープ。
【請求項11】
電気伝導性キャリア層Tが、a)少なくとも一つの金属フィルム、好ましくはアルミニウムフィルム、及び/またはb)少なくとも一種の金属、好ましくは銅及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む、少なくとも一つの電気伝導性テクスタイル、及び/またはc)少なくとも一種の蒸着金属、好ましくは銅及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種の蒸着金属の一つ以上の層、及び/またはd)少なくとも一つの金属格子、及び/またはe)金属蒸着フィルムを含むことを特徴とする、請求項10に記載の接着テープ。
【請求項12】
追加的に、少なくとも次の層を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一つに記載の接着テープ:
・第二の接着剤層C; 及び
・層Dと層Cとの間に配置されている、少なくとも一つの第一の電気伝導性キャリア層T; 及び
・第一の電気伝導性キャリア層Tとは反対側にある、接着剤層Dの表面上に配置された、少なくとも一つの第二の電気伝導性キャリア層T’; 及び
・第一の接着剤層Dとは反対側にある、第二のキャリア層T’の表面上に配置された、第三の接着剤層C’。
【請求項13】
気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’が少なくとも一種の金属を含み、前記金属は、銅、ニッケル、亜鉛、錫、銀、金、アルミニウム、鉄、クロム、及び前記のこれらの金属の合金からなる群から選択され、及び電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’は、互いに独立して、同じものであるかまたは互いに異なるものであることを特徴とする、請求項12に記載の接着テープ。
【請求項14】
気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’が、a)少なくとも一つの金属フィルム、好ましくはアルミニウムフィルム、及び/またはb)少なくとも一種の金属、好ましくは銅及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む、少なくとも一つの電気伝導性テクスタイル、及び/またはc)少なくとも一種の蒸着金属、好ましくは銅及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種の蒸着金属の一つ以上の層、及び/またはd)少なくとも一つの金属格子、及び/またはe)金属蒸着フィルムを含み、電気伝導性の第一のキャリア層T及び電気伝導性の第二のキャリア層T’は、互いに独立して、同じものであるかまたは互いに異なるものであることを特徴とする、請求項13に記載の接着テープ。
【請求項15】
少なくとも次の層を含む接着された接合体:
・第一の基材A; 及び
・第二の基材B; 及び
・基材Aと基材Bとの間に配置され、基材A及びBを互いに接着する、請求項1~のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項16】
少なくとも次のプロセスステップを含む、請求項1に記載の接合体の電気的剥離方法:i.)接合体の二つの異なる箇所に電圧を印加するステップであって、電圧は、好ましくは2から20Vまで、特に好ましくは3から15Vまでである。
【請求項17】
電子デバイス、自動車、医療用デバイス及び歯科用デバイス中の部材を接着するための、請求項1~のいずれか一つに記載の接着テープの使用。
【外国語明細書】