(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157525
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】フィルム状封止剤および回路装置
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20241030BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20241030BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241030BHJP
B32B 27/26 20060101ALI20241030BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241030BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20241030BHJP
C08F 287/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C08F2/44 C
H05K3/28 F
H05K3/28 C
C08L101/00
B32B27/26
B32B27/30 A
H01L23/30 R
C08F287/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063029
(22)【出願日】2024-04-09
(31)【優先権主張番号】P 2023071296
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】大津 渓杜
(72)【発明者】
【氏名】沼尾 敏和
(72)【発明者】
【氏名】森 康剛
(72)【発明者】
【氏名】菊池 将史
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J011
4J026
4M109
5E314
【Fターム(参考)】
4F100AK25A
4F100AK25B
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5E314AA32
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(57)【要約】
【課題】リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、基板上のチップなどの電子部品の実装と同時に電子部品全体を一括して封止可能なフィルム状封止剤の提供。
【解決手段】フィルム状封止剤4は、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sである。また、回路装置10は、フィルム状封止剤4の硬化物4Aで、回路基板1上に実装された実装用部品2が封止されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜形成成分と、
熱硬化性モノマーと、
硬化剤または重合開始剤とを含み、
220℃における溶融粘度が25~70Pa・sである、フィルム状封止剤。
【請求項2】
上記熱硬化性モノマーが、(メタ)アクリレート系モノマーである、請求項1に記載のフィルム状封止剤。
【請求項3】
上記重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤を含み、
上記熱ラジカル重合開始剤は、10時間半減期温度が140℃~170℃である、請求項1または2に記載のフィルム状封止剤。
【請求項4】
上記膜形成成分として、220℃における溶融粘度が30~50Pa・sである膜形成成分を含む、請求項1または2に記載のフィルム状封止剤。
【請求項5】
上記膜形成成分が、メチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-メチルメタクリレートブロックコポリマー、変性メチルメタクリレート-ポリブチルアクリレートブロックコポリマー、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン構造を有するエラストマー、および、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン構造を有するエラストマーからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1または2に記載のフィルム状封止剤。
【請求項6】
上記熱硬化性モノマーが、2官能の(メタ)アクリレート系モノマーまたは多官能の(メタ)アクリレート系モノマーである、請求項1または2に記載のフィルム状封止剤。
【請求項7】
界面活性剤をさらに含む、請求項1または2に記載のフィルム状封止剤。
【請求項8】
上記膜形成成分および上記熱硬化性モノマー以外の他の樹脂をさらに含む、請求項1または2に記載のフィルム状封止剤。
【請求項9】
請求項1または2に記載のフィルム状封止剤からなる第1の樹脂層に、第2の樹脂層が積層されている、フィルム状封止剤。
【請求項10】
上記第1の樹脂層と上記第2の樹脂層が下記式1を満たす、請求項9に記載のフィルム状封止剤。
式1:(上記第1の樹脂層の150℃におけるせん断弾性率G’(Pa))×(上記第1の樹脂層の膜厚(μm))×9<(上記第2の樹脂層の150℃における引張弾性率E’(Pa))×(上記第2の樹脂層の膜厚(μm))
【請求項11】
基板上に実装される電子部品を封止するためのフィルム状封止剤であって、
膜形成成分と、
熱硬化性モノマーと、
硬化剤または重合開始剤とを含み、
上記基板と上記電子部品とを接合する接合材料の融点における溶融粘度が25~70Pa・sである、フィルム状封止剤。
【請求項12】
請求項11に記載のフィルム状封止剤からなる第1の樹脂層と、上記第1の樹脂層の上記電子部品に接する面とは反対の面上に積層された第2の樹脂層とを有する、フィルム状封止剤。
【請求項13】
上記第1の樹脂層と上記第2の樹脂層が下記式1を満たす、請求項12に記載のフィルム状封止剤。
式1:(上記第1の樹脂層の150℃におけるせん断弾性率G’(Pa))×(上記第1の樹脂層の膜厚(μm))×9<(上記第2の樹脂層の150℃における引張弾性率E’(Pa))×(上記第2の樹脂層の膜厚(μm))
【請求項14】
上記接合材料がはんだペーストである、請求項11に記載のフィルム状封止剤。
【請求項15】
請求項1または11に記載のフィルム状封止剤の硬化物で、基板上に実装された電子部品が封止された、回路装置。
【請求項16】
請求項9に記載のフィルム状封止剤の硬化物で、基板上に実装された電子部品が封止された、回路装置。
【請求項17】
請求項12に記載のフィルム状封止剤の硬化物で、基板上に実装された電子部品が封止された、回路装置。
【請求項18】
上記基板と、電極バンプを有する上記電子部品とが、はんだ接合物で接合されており、上記はんだ接合部の周囲と、上記電極バンプの周囲と、上記電子部品の上面と、上記電子部品の側面と、上記電子部品の下面とが、上記フィルム状封止剤の硬化物で覆われている、請求項15に記載の回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、フィルム状封止剤および回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、はんだペースト(ソルダーペースト)などを用いたリフローでのチップの表面実装において、リフローでのはんだ接続後に、はんだの腐食防止や、はんだ付けの強度、耐振動性および耐熱衝撃性改善のため、チップ(例えば、半導体素子)に対して封止が行われる。例えば、フリップチップ実装等を行う場合、チップ下部を封止するとともに、チップ下部を含むチップ全体を封止することがある。
【0003】
一方、実装におけるタクトタイムの短縮の要求や、チップの小型化などの理由で、より短時間の実装条件が求められている。また、封止についても、特にチップ部品下部については、より狭い場所の封止が求められている。例えば、はんだ実装とチップ下部の封止を同時に行なう技術として、アンダーフィルフィルムを用いる方法が挙げられる(例えば、特許文献1,2を参照)。また、チップ下部を含むチップ全体を実装後に封止する技術として、特許文献3、4に記載された方法が挙げられる。
【0004】
特許文献1,2に記載された技術は、はんだ実装とチップ下部の封止とを同時に行なうものであるが、チップ全体の封止を行うものではないため、チップ全体を封止する場合には、別途、封止する工程がさらに必要となる。また、特許文献3、4に記載された技術は、チップ全体を封止可能ではあるが、はんだ実装後の封止であり、リフロー工程とは別に、封止する工程がさらに必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-184605号公報
【特許文献2】特開2020-065063号公報
【特許文献3】特開2012-054363号公報
【特許文献4】特開2015-216229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、基板上のチップなどの電子部品の実装と同時に電子部品全体を一括して封止可能なフィルム状封止剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、鋭意検討の結果、基板と電子部品とを接合する接合材料の融点におけるフィルム状封止剤の粘度に着目し、基板と電子部品とを接合する接合材料の融点(例えば、はんだの液相温度)における溶融粘度が所定範囲であるフィルム状封止剤を用いることにより、上述した課題を解決できることを見出した。
【0008】
本技術に係るフィルム状封止剤は、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sである。
【0009】
本技術に係るフィルム状封止剤は、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sであるフィルム状封止剤からなる第1の樹脂層に、第2の樹脂層が積層されている。
【0010】
本技術は、基板上に実装される電子部品を封止するためのフィルム状封止剤であって、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、上記基板と上記電子部品とを接合する接合材料の融点における溶融粘度が25~70Pa・sである。
【0011】
本技術は、基板上に実装される電子部品を封止するためのフィルム状封止剤であって、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、上記基板と上記電子部品とを接合する接合材料の融点における溶融粘度が25~70Pa・sであるフィルム状封止剤からなる第1の樹脂層と、上記第1の樹脂層の上記電子部品に接する面とは反対の面上に積層された第2の樹脂層とを有する。
【0012】
本技術に係る回路装置は、上述したフィルム状封止剤の硬化物で、基板上に実装された電子部品が封止されている。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、基板上のチップなどの電子部品の実装と同時に電子部品全体を一括して封止可能なフィルム状封止剤を提供できる。
【0014】
また、本技術によれば、第1の樹脂層と第2の樹脂層とが積層されたフィルム状封止剤とした場合においては、サイズが異なる複数の部品、例えば、チップ(半導体素子)と、チップよりも微細な電子部品(チップ抵抗等)とを混載した基板であっても、これらの部品を一括してリフロー時に実装と同時に封止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本技術に係るフィルム状封止剤の硬化物で、基板上に実装された電子部品が封止された回路装置の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、リフロー条件の一例を説明するための時間と温度の関係を示すグラフである。
【
図3】
図3は、第2の実施の形態であるフィルム状封止剤の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、回路装置の製造方法の一例において、回路基板に実装用部品を載置する方法を説明するための断面図である。
【
図5】
図5は、回路装置の製造方法の一例において、実装用部品の周縁にフィルム状封止剤を付与する方法を説明するための断面図である。
【
図6】
図6は、サイズの異なる実装用部品が回路基板に混載された回路装置の製造方法の一例において、実装用部品の周縁にフィルム状封止剤を付与する方法を説明するための断面図である。
【
図7】
図7は、サイズの異なる実装用部品が回路基板に混載された回路装置の製造方法の一例において、サイズが異なる実装用部品が載置された回路基板についてリフロー処理を行う方法を説明するための断面図である。
【
図8】
図8は、サイズが異なる実装用部品が載置された回路基板についてリフロー処理を行う方法を説明するための断面図である。
【
図9】
図9は、サイズが異なる実装用部品が載置された回路基板についてリフロー処理を行う方法を説明するための断面図である。
【
図10】
図10(A)は、サイズの異なる実装用部品が回路基板に混載された回路装置の製造方法の一例において、サイズの異なる複数の実装用部品の周縁に、第1の樹脂層に第2の樹脂層が積層されたフィルム状封止剤を付与する方法を説明するための断面図であり、
図10(B)は、サイズが異なる実装用部品が載置された回路基板についてリフロー処理を行う方法を説明するための断面図であり、
図10(C)は、回路基板上の複数の実装用部品の実装と同時に、実装用部品全体が一括して封止された状態を示す断面図である。
【
図11】
図11は、封止性評価(2)で使用した試験用実装用部品の構成例を示す平面図である。
【
図12】
図12は、封止性評価(2)で使用した試験用実装用部品にフィルム状封止剤を載置した状態の一例を示す断面図である。
【
図13】
図13(A)は、フィルム状封止剤(1)を用いて封止性評価(2)を行った後の試験用回路装置の一例を示す平面図であり、
図13(B)は
図13(A)のA-A’の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<フィルム状封止剤>
本技術に係るフィルム状封止剤は、第1の実施の形態として、基板上に実装される電子部品を封止するためのフィルム状封止剤であって、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、基板と電子部品とを接合する接合材料の融点における溶融粘度が25~70Pa・sである。このようなフィルム状封止剤を用いることにより、リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、基板上のチップなどの電子部品の実装と同時に電子部品全体を一括して封止できる。
【0017】
なお、後述するように、本技術に係るフィルム状封止剤は、第2の実施の形態として、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sであるフィルム状封止剤からなる第1の樹脂層に、第2の樹脂層が積層されていてもよい。例えば、第2の樹脂層は、第1の樹脂層において電子部品と接する面とは反対の面上に、積層することができる。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、本技術に係るフィルム状封止剤の硬化物で、基板上に実装された電子部品が封止された回路装置の一例を示す断面図である。回路装置10は、基板としての回路基板1と、電子部品としての実装用部品2とが、はんだペースト3に由来するはんだ接合部3Aで接合されている。はんだ接合部3Aは、回路基板1の電極パッド1aと、実装用部品2の電極バンプ2aとの間に設けられている。回路装置10は、実装用部品2の周囲が、本技術に係るフィルム状封止剤4が硬化した封止部4Aで封止されている。実装用部品2の周囲とは、はんだ接合部3Aの周囲(はんだ接合部3Aの側面と、はんだ接合部3A間と実装用部品2と回路基板1とで囲まれた空間Sとを含む)と、電極バンプ2aの周囲(側面)と、実装用部品2の周囲(上面2b、側面2c、下面2d)とを含む。このように、回路装置10は、回路基板1と実装用部品2との間に実質的に空隙がないように、実装用部品2の周囲が封止部4Aで覆われている。
【0019】
一般的に、接合材料ごとに推奨されるリフロー条件があり、例えば、接合材料の融点に合わせてリフロー条件を調整する方法や、接合材料の融点に関わらずリフロー条件を変更しない方法が考えられる。まず、接合材料の融点に合わせてリフロー条件を調整する場合、接合材料の融点が低すぎると、リフロー条件がより低温となるため、フィルム状封止剤4の溶融が進みにくく、封止を十分にできないおそれがある。一方、接合材料の融点が高すぎると、リフロー条件がより高温となり、より低粘度化したフィルム状封止剤4が接合材料(例えば、はんだペースト3のはんだ粒子)を押し流すことなどにより、接合の妨げになってしまったり、はんだ粒子の飛散を生じたりしてしまうおそれがある。次に、接合材料の融点に関わらずリフロー条件を変えない場合、接合材料の融点が低すぎると、必要以上の熱がかかることになり、接合材料の耐熱疲労特性が低下し、長期的な接合部の耐久性が低下するおそれがある。一方、接合材料の融点が高すぎると、接合が困難になる傾向にある。
【0020】
本技術では、フィルム状封止剤4の溶融粘度が25~70Pa・sを示すときの温度は、回路基板1と実装用部品2とを接合する接合材料(例えば、はんだペースト3中のはんだ)の融点と一致することが好ましい。本技術に係るフィルム状封止剤4を用いる場合、回路基板1と実装用部品2とを接合する接合材料として、例えば、融点(液相温度)が約220℃である接合材料を用いることが好ましく、具体例として、液相温度が220℃であるはんだ(例えば、SAC-305(Ag3.0%-Cu0.5%-Sn(残部))を用いたはんだペースト3を用いることが好ましい。このような接合材料を用いることを前提とした場合、本技術に係るフィルム状封止剤4としては、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sであるものを用いることが好ましい。
【0021】
以下、液相温度が220℃であるはんだを用いたはんだペースト3を用いる場合を前提として、本技術に係るフィルム状封止剤4の一例として、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sであるフィルム状封止剤について説明する。
【0022】
図2は、リフロー条件の一例を説明するための時間と温度の関係を示すグラフである。
図2中のPで示す枠内の領域は、プリヒート領域(以下、プリヒート領域Pをいう)を表す。はんだペースト3には、通常、揮発成分として溶剤とフラックスが含まれる。プリヒート領域Pとは、はんだペースト3中の溶剤を揮発させるとともに、フラックスがはんだ表面の酸化膜と被接合部材を洗浄化するための工程を意味する。
図2中のRで示す枠内の領域は、リフロー領域(以下、リフロー領域Rという)を表す。リフロー領域Rとは、フラックスによるはんだ粒子表面の酸化膜除去とともに、はんだペースト3が溶融し、回路基板1の電極パッド1aと実装用部品2の電極パッド2aとの間がセルフアライメントされて接合する工程を意味する。
図2中のAは、プリヒート開始点(例えば150~180℃)を表す。
図2中のBは、プリヒート終点(例えば170~200℃)を表す。
図2中のaの領域は、昇温速度2~4℃/秒で昇温することが好ましい。
図2中のAとBとの間は、90±30秒であることが好ましい。
図2中のbの領域は、昇温速度2~3℃/秒で昇温することが好ましい。
図2中のCは、ピーク温度(例えば230~250℃)を表す。
図2中のDは、220℃以上の保持時間を表し、この保持時間が30~60秒であることが好ましい。
図2中の220℃と250℃との間の横方向の破線は、一般的な基板や電子部品の耐熱温度を表す。
【0023】
図2中のプリヒート領域Pでは、はんだペースト3中の溶剤が揮発し始める。一方、フィルム状封止剤4は、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sであるため、プリヒート領域Pでは、フィルム状のまま、または、液状になるもののフィルム形状が保たれている。特に、プリヒート領域PのA付近の低温領域では、フィルム状封止剤4が溶融せずに、フィルム状のまま存在するため、揮発した溶剤の多くは、フィルム状封止剤4の隙間から抜けていくが、フィルム状封止剤4を介して抜けることもある。このように、プリヒート領域Pでは、はんだペースト3の溶剤が揮発し、揮発した溶剤が、回路基板1とフィルム状封止剤4の隙間を介して、または、フィルム状封止剤4を介してフィルム状封止剤4の内部から外部に排出される。
【0024】
続いて、
図2中のリフロー領域Rでは、はんだペースト3中のはんだの溶融が開始し、回路基板1と実装用部品2とがセルフアライメントされる。また、リフロー領域Rでは、はんだペースト3中のフラックスが揮発し始め、揮発したフラックスが、液状のフィルム状封止剤4の内部から外部に排出される。そして、リフロー領域Rでは、フィルム状封止剤4の溶融が開始し、
図1に示すように実装用部品2の周囲が封止部4Aで覆われる
【0025】
このように、フィルム状封止剤4は、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sであることにより、はんだペースト3の溶融と、回路基板1と実装用部品2とのアライメントが先に起こり、続いて、フィルム状封止剤4の溶融が起こるため、回路基板1と実装用部品2とのアライメントが、フィルム状封止剤4によって阻害されにくい。そのため、本技術に係るフィルム状封止剤4を用いることにより、リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、実装用部品2の実装と同時に実装用部品2全体を一括して封止できる。
【0026】
フィルム状封止剤4は、220℃における溶融粘度が70Pa・s以下であることにより、フィルム状封止剤4の粘度を十分に低下させ、フィルム状封止剤4が回路基板1や実装用部品2にまとわりついて実装用部品2の下部(
図1に示す空間S)に入り込みにくくなることを抑制でき、その結果、実装用部品2の実装と同時に、実装用部品2の周囲を封止することができる。
【0027】
また、フィルム状封止剤4は、220℃における溶融粘度が25Pa・s以上であることにより、例えば、はんだペースト3が溶融する前に、はんだペースト3を構成する粒子状のはんだが押し流されることを抑制でき、回路基板1と実装用部品2との接続に必要なはんだ粒子が不足しないようにすることができ、その結果、実装用部品2の実装と同時に、実装用部品2の周囲を封止することができる。
【0028】
フィルム状封止剤4は、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sであり、26Pa・s以上であってもよく、31Pa・s以上であってもよく、41Pa・s以上であってもよく、43Pa・s以上であってもよく、44Pa・s以上であってもよく、56Pa・s以上であってもよく、64Pa・s以上であってもよく、26~64Pa・sであってもよい。フィルム状封止剤の220℃における溶融粘度は、例えば、膜形成成分や熱硬化性モノマーの含有量により調整できる。
【0029】
<膜形成成分>
膜形成成分は、フィルム状封止剤4が220℃付近で溶融して液状になり、220℃において溶融粘度が25~70Pa・sを示すように適宜選択される。膜形成成分は、220℃における溶融粘度が、30Pa・s以上であってもよく、40Pa・s以上であってもよく、45Pa・s以上であってもよい。また、膜形成成分は、220℃における溶融粘度が、300Pa・s以下であってもよく、200Pa・s以下であってもよく、100Pa・s以下であってもよく、80Pa・s以下であってもよく、70Pa・s以下であってもよい。膜形成成分は、220℃における溶融粘度が、25~70Pa・sであってもよく、30~50Pa・sであってもよい。
【0030】
膜形成成分は、例えば、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン構造を有する熱可塑性エラストマー、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン構造を有する熱可塑性エラストマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン構造を有する熱可塑性エラストマー、アクリル系ポリマー、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の種々の樹脂を用いることができる。具体的には、クラリティLA2250、LA4285(メチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-メチルメタクリレートブロックコポリマー、クラレ社製)、ナノストレングスM51(メチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-メチルメタクリレートブロックコポリマー、アルケマ社製)、ナノストレングスD51N(変性メチルメタクリレート-ポリブチルアクリレートブロックコポリマー、アルケマ社製)、セプトン2000シリーズ(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン構造を有するエラストマー)、セプトン4000シリーズ(スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン構造を有するエラストマー、クラレ社製)などが挙げられる。
【0031】
フィルム状封止剤4中の膜形成成分の含有量は、フィルム状封止剤4の溶融粘度が220℃において25~70Pa・sを示す範囲で適宜選択することができ、例えば、40重量%以上とすることができ、50重量%以上であってもよく、60重量%以上であってもよく、70重量%以上であってもよく、75重量%以上であってもよい。また、フィルム状封止剤4中の膜形成成分の含有量は、90重量%以下とすることができ、85重量%以下とすることができ、80重量%以下とすることもできる。フィルム状封止剤4中の膜形成成分の含有量は、例えば65~85重量%の範囲とすることができ、70~80重量%の範囲とすることもできる。
【0032】
膜形成成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の膜形成成分を併用する場合、その合計量が上記範囲を満たすことが好ましい。2種以上の膜形成成分を併用する場合、220℃における溶融粘度が30~50Pa・sである膜形成成分を含むことが好ましい。例えば、フィルム状封止剤中の膜形成成分の総量に対する、220℃における溶融粘度が30~50Pa・sである膜形成成分の含有量が、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であってもよく、70重量%以上であってもよく、80重量%以上であってもよく、90重量%以上であってもよく、95重量%以上であってもよく、99重量%以上であってもよく、100重量%であってもよい。
【0033】
<熱硬化性モノマー>
熱硬化性モノマーは、フィルム状封止剤4が220℃付近で溶融して液状になり、220℃において溶融粘度が25~70Pa・sを示すように適宜選択される。熱硬化性モノマーとしては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂など種々の熱硬化性モノマーを用いることができる。熱硬化性モノマーとしては、少量添加での粘度低下効果が大きいことや、官能基数を多くすることで架橋密度を上げ、耐熱性を向上させることができる観点から、(メタ)アクリレート系モノマーが好ましい。また、上述のように、液相温度が220℃であるはんだを用いたはんだペースト3を接合材料として用いる場合、硬化温度が低すぎると、はんだペースト3溶融時の樹脂の粘度がより高くなることで実装用部品2がより動きにくくなり、回路基板1と実装用部品2とのアライメントが難しい傾向にあるため、エポキシ樹脂に比べて硬化温度がより高温であるアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、少量でも架橋がより密に進みやすい理由から、2官能の(メタ)アクリレート系モノマーおよび多官能の(メタ)アクリレート系モノマーの少なくとも1種を用いることが好ましい。(メタ)アクリレート系モノマーの具体例としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどが挙げられる。
【0035】
フィルム状封止剤4中の(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、フィルム状封止剤4の溶融粘度が220℃において25~70Pa・sを示す範囲で適宜選択することができ、例えば、1重量%以上とすることができ、2重量%以上であってもよく、3重量%以上であってもよく、4重量%以上であってもよく、5重量%以上であってもよい。また、フィルム状封止剤中の(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、例えば、10重量%以下とすることができ、8重量%以下とすることができ、7重量%以下とすることもでき、6重量%以下とすることもできる。フィルム状封止剤中の(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、例えば、1~10重量%の範囲とすることができ、3~6重量%の範囲とすることもできる。
【0036】
(メタ)アクリレート系モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の(メタ)アクリレート系モノマーを併用する場合、その合計量が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0037】
<硬化剤または重合開始剤>
フィルム状封止剤4は、熱硬化性モノマーの硬化剤、または、熱硬化性モノマー同士の反応を開始するための重合開始剤を含む。硬化剤または重合開始剤は、熱硬化性モノマーの種類に応じて適宜選択できる。例えば、熱硬化性モノマーとしてアクリル系樹脂を用いる場合、重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。また、熱硬化性モノマーとしてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤として、例えば、フェノール樹脂や酸無水物を用いることが好ましい。エポキシ樹脂用の硬化剤としては、例えば、主に硬化触媒として作用するイミダゾール系化合物や3級アミン化合物を用いることもできる。
【0038】
熱ラジカル重合開始剤は、加熱によりラジカルを発生し、(メタ)アクリレート系モノマーの重合を開始するためのものである。例えば、リフローによるはんだ実装プロセスにおいて、室温から2~3℃/minの速度で200~220℃程度まで昇温する間に、熱硬化性モノマーの硬化ができるだけ開始しないことが好ましく、また、その後、250~260℃で熱硬化性モノマーの硬化反応が開始することが好ましい。リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、例えば、
図2に示すプレヒート領域Pで熱硬化性モノマーが硬化を開始してしまうと、溶融したフィルム状封止剤4の粘性がより高くなってしまい、実装用部品2が動きにくくなることでセルフアライメントが出来ず、回路基板1と実装用部品2とのはんだ接続が妨げられてしまうおそれがある。
【0039】
そのため、熱ラジカル重合開始剤は、反応開始温度ができるだけ高いことが好ましく、例えば、10時間半減期温度が140℃~170℃であることが好ましい。熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、10時間半減期温度が140℃~170℃である過酸化物が挙げられる。具体的には、10時間半減期温度が140℃~170℃である芳香族ヒドロパーオキサイド、脂肪族ヒドロパーオキサイドなどが挙げられる。熱ラジカル重合開始剤の製品例としては、例えば、パーブチルH(10時間半減期温度:166.5℃)、パークミルH(10時間半減期温度:157.9℃)、パーオクタH(10時間半減期温度:152.9℃)、パークミルP(10時間半減期温度:145.1℃、以上、日油社製)が挙げられる。
【0040】
硬化剤または重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、フィルム状封止剤4が、熱硬化性モノマーとしてアクリル系樹脂を含む場合、重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、熱ラジカル重合開始剤と光重合開始剤を併用してもよく、熱ラジカル重合開始剤を単独で用いてもよい。
【0041】
フィルム状封止剤4中の硬化剤または重合開始剤の含有量は、例えば、フィルム状封止剤4中の膜形成成分と熱硬化性モノマーの総量に対して、0.01重量%以上とすることができる。また、フィルム状封止剤4中の硬化剤または重合開始剤の含有量は、例えば、フィルム状封止剤4中の膜形成成分と熱硬化性モノマーの総量に対して、2重量%以下とすることができる。例えば、フィルム状封止剤4が熱硬化性モノマーとしてアクリル系樹脂を含む場合、膜形成成分と熱硬化性モノマーの総量に対する重合開始剤の含有量は、0.1~1重量%の範囲とすることができる。2種以上の硬化剤または重合開始剤を併用する場合、その合計量が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0042】
<界面活性剤>
フィルム状封止剤4は、本技術の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分をさらに含んでもよい。例えば、リフロー時に、はんだペースト3中の溶剤に起因したアウトガスによって生じる泡をより効率的に破泡させる目的、実装用部品2の周囲、特に実装用部品2の下部(
図1に示す空間S)へのフィルム状封止剤4の浸透性を調整する目的、接着強度をより高める目的などの観点で、フィルム状封止剤4は、界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤は、耐熱性や熱硬化性モノマーとの反応性、脱泡性などを考慮して適宜選択できる。界面活性剤としては、例えば、BYK354、BYK322(以上、ビックケミー・ジャパン社製)を用いることができる。
【0043】
フィルム状封止剤4が界面活性剤を含む場合、フィルム状封止剤4中の界面活性剤の含有量は、例えば、1重量%以上とすることができ、10重量%以上であってもよい。また、フィルム状封止剤4中の界面活性剤の含有量は、例えば、30重量%以下とすることができ、20重量%以下であってもよい。界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の界面活性剤を併用する場合、その合計量が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0044】
<その他の樹脂>
フィルム状封止剤4は、膜形成成分の粘度の調整、フィルム状封止剤4の弾性率の調整、フィルム状封止剤4の接着強度をより高める目的などに応じて、膜形成成分および熱硬化性モノマーとは異なる樹脂(以下、その他の樹脂ともいう)をさらに含んでもよい。その他の樹脂は、フィルム状封止剤4が220℃付近で溶融して液状になり、フィルム状封止剤4の溶融粘度が220℃において25~70Pa・sを示す材料であれば、特に構造に限定されず用いることができる。例えば、フィルム状封止剤4の常温での弾性率をより高弾性化する観点では、スチレン系やテルペンフェノール系の樹脂を用いることができる。その他の樹脂の製品例としては、YSポリスターT160(テルペンフェノール樹脂、軟化点:160℃、ヤスハラケミカル社製)が挙げられる。
【0045】
フィルム状封止剤4がその他の樹脂を含む場合、フィルム状封止剤4中のその他の樹脂の含有量は、例えば、1重量%以上とすることができ、20重量%以上であってもよい。また、フィルム状封止剤4中のその他の樹脂の含有量は、例えば、50重量%以下とすることができ、40重量%以下であってもよい。その他の樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上のその他の樹脂を併用する場合、その合計量が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0046】
また、フィルム状封止剤4は、本技術の効果を損なわない範囲で、充填剤、滑剤、酸化防止剤などをさらに含んでもよい。
【0047】
フィルム状封止剤4の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50~200μmの範囲とすることができる。また、フィルム状封止剤4の厚みは、例えば、50~300μmの範囲とすることができ、200~300μmの範囲とすることもできる。
【0048】
上述した説明では、液相温度が220℃であるはんだを用いたはんだペースト3を用いた場合のフィルム状封止剤4の例について説明したが、この例に限定されるものではなく、はんだペースト3の液相温度に応じて種々の変形をすることができる。例えば、液相温度が220℃より低いはんだを用いたはんだペースト3を用いる場合は、熱硬化性モノマーとして、エポキシ樹脂を用いたり、反応開始温度が低い(例えば、10時間半減期温度が140℃~170℃よりも低い)熱ラジカル重合開始剤を用いてもよい。
【0049】
[第2の実施の形態]
図3は、第2の実施の形態であるフィルム状封止剤の一例を示す断面図である。第2の実施の形態に係るフィルム状封止剤20は、上述した第1の実施の形態に係るフィルム状封止剤からなる第1の樹脂層21に、第2の樹脂層22が積層されており、且つ、後に詳述するように、第1の樹脂層21の剛性と所定の係数との積が、第2の樹脂層22の剛性よりも小さいことが好ましい。このようなフィルム状封止剤20を用いることにより、後に詳述するように、相対的にサイズが大きいチップ(例えば、半導体素子)などの部品と、相対的にサイズが小さいチップ抵抗などの微小な部品とが混載された回路基板について、チップ抵抗などの微小な部品がリフロー時にフィルム状封止剤の形状変化によって位置ずれせずに、封止が必要な実装用部品を一括して封止することができる。
【0050】
第1の樹脂層21は、後述する150℃におけるせん断弾性率G’と膜厚を除いて、上述したフィルム状封止剤4と好ましい範囲は同様である。
【0051】
第2の樹脂層22を構成する樹脂は、任意の樹脂から選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。第2の樹脂層22を構成する樹脂として、エポキシ樹脂やアクリル系樹脂を用いる場合、各樹脂のモノマー等を含む樹脂組成物を、紫外線を照射して硬化させた硬化物や、熱硬化させた硬化物を用いることができる。
【0052】
エポキシ樹脂としては、例えば、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート)、シロキサン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
アクリル系樹脂としては、例えば、単官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレート樹脂を1種単独で用いてもよいし、これらを2種以上併用してもよい。単官能(メタ)アクリレートモノマーとは、(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリレートモノマーをいう。多官能(メタ)アクリレートモノマーとは、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーをいう。(メタ)アクリレート樹脂は、ポリマーであっても、オリゴマーであってもよい。単官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリレート樹脂の具体例としては、ポリウレタン骨格を有する(メタ)アクリレートや、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0054】
第2の樹脂層22は、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂およびポリイミド樹脂の他に、必要に応じて他の成分をさらに含有していてもよい。他の成分としては、例えば、可塑剤や反応には直接関与しないゴム類等が挙げられる。
【0055】
フィルム状封止剤20を構成する第1の樹脂層21と第2の樹脂層22は、下記式1を満たすことが好ましい。
式1:(第1の樹脂層21の150℃におけるせん断弾性率G’(Pa))×(第1の樹脂層21の膜厚(μm))×9<(第2の樹脂層22の150℃における引張弾性率E’(Pa))×(第2の樹脂層22の膜厚(μm))
【0056】
フィルム状封止剤20は、式1を満たす、換言すると、第1の樹脂層21の剛性と所定の係数との積が、第2の樹脂22の剛性よりも小さいことで、フィルム状封止剤20を用いた実装と封止において、相対的にサイズが大きいチップなどの部品と、相対的にサイズが小さいチップ抵抗などの微小な部品とが混載された回路基板であっても、チップ抵抗などの微小な部品がリフロー時にフィルム状封止剤の形状変化によって位置ずれせず、封止が必要な実装用部品を一括して封止することができる。
【0057】
式1において、特定の温度(150℃)における第1の樹脂層21のせん断弾性率G’と第2の樹脂層22の引張弾性率E’に着目した理由は、次の通りである。回路基板に混載された微小な部品(相対的にサイズが小さい実装用部品)が、リフロー時にフィルム状封止剤の流動によって位置ずれしてしまうのは、例えば、
図2中のプリヒート領域P、特に、プリヒート開始点A(例えば150~180℃)付近までのフィルム状封止剤の弾性率変化によって生じると考えられる。そのため、プリヒート開始点に相当する150℃に着目した。また、引張弾性率E’は、測定対象が低弾性(おおよそ1.0E+04Pa以下)であると測定が困難であるのに対して、せん断弾性率G’は、低弾性での測定が可能であるものの、高弾性での測定が困難である。そのため、150℃において測定が可能な第1の樹脂層21のせん断弾性率G’と、第2の樹脂層22の引張弾性率E’とを比較した。
【0058】
第1の樹脂層21の150℃におけるせん断弾性率G’は、第1の樹脂層21または第2の樹脂層22の厚みにもよるが、式1を満たす範囲で特に限定されず、例えば、3.8E+03Pa以上2.9+04Pa以下とすることができる。第1の樹脂層21の150℃におけるせん断弾性率G’は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。また、第1の樹脂層21の膜厚は、式1を満たす範囲で特に限定されず、例えば、200~300μmの範囲とすることができる。
【0059】
第2の樹脂層22の150℃における引張弾性率E’は、第1の樹脂層21または第2の樹脂層22の厚みにもよるが、式1を満たす範囲で特に限定されず、例えば、リフロー時における第1の樹脂層21の流動性をより効果的に抑制する観点では、例えば、6.0E+05Pa以上4.0E+09Pa以下とすることができる。第2の樹脂層22の引張弾性率E’は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。また、第2の樹脂層22の膜厚は、式1を満たす範囲で特に限定されず、例えば、50~100μmの範囲とすることができる。
【0060】
<フィルム状封止剤の製造方法>
[第1の実施の形態]
次に、本技術に係るフィルム状封止剤4の製造方法について説明する。フィルム状封止剤4の製造方法は、特に限定されず、例えば、所定の成分(例えば、上述した膜形成成分、熱硬化性モノマー、硬化剤または重合開始剤、有機溶媒)を秤量し、攪拌混合、混錬等により、溶解または分散させて、樹脂ワニスを調製し、離型処理を施した基材フィルム上に樹脂ワニスを付与し、加熱で有機溶媒を除去することで得られる。
【0061】
有機溶媒は、各成分を均一に溶解または分散し得る特性を有するものが好ましい。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチルなどが挙げられる。有機溶媒は、1種単独用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0062】
樹脂ワニス調製の際の攪拌混合または混錬は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミルまたはホモディスパーを用いて行うことができる。また、基材フィルム上への樹脂ワニスの付与は、例えば、ナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター等を用いて行うことができる。
【0063】
樹脂ワニスを付与する基材フィルムは、有機溶媒を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に限定されない。例えば、基材フィルムは、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルムなどが挙げられる。基材フィルムは、単層フィルムであってもよいし、多層フィルムであってもよい。基材フィルムが多層フィルムである場合、各層は、互いに異なる材質であってもよく、同じ材質であってもよい。
【0064】
基材フィルム上に付与した樹脂ワニスから有機溶媒を揮発させる際の乾燥条件は、有機溶媒が充分に揮発する条件が好ましく、例えば、50~200℃、0.1~90分間の条件で行うことができる。
【0065】
[第2の実施の形態]
次に、フィルム状封止剤20の製造方法について説明する。フィルム状封止剤20の製造方法は、例えば、第1の樹脂層21を準備するステップと、第2の樹脂層22を準備するステップと、第1の樹脂層21と第2の樹脂層22を貼り合わせてフィルム状封止剤20を得るステップとを有する。
【0066】
第1の樹脂層21を準備するステップでは、例えば、上述の第1の実施の形態と同様の方法で、フィルム状封止剤4(第1の樹脂層21)を得る。
【0067】
第2の樹脂層22を準備するステップでは、第2の樹脂層22用の樹脂組成物を調製し、離型処理を施した基材フィルム上に、調製した樹脂組成物を付与し、光(紫外線)で硬化させて第2の樹脂層22を得る。あるいは、第2の樹脂層22として、市販されている樹脂製フィルムをそのまま用いても良い。なお、市販の樹脂製フィルムを第2の樹脂層22として用いる場合、第2の樹脂層22を準備するステップは省略できる。
【0068】
第2の樹脂層22用の樹脂組成物は、例えば、上述したエポキシ樹脂やアクリル系樹脂の前駆体と、光重合開始剤と、可塑剤とを含む。第2の樹脂層22用の樹脂組成物がアクリル系樹脂を主成分とする場合の具体例としては、ポリウレタン骨格を有する(メタ)アクリレート樹脂と、イソボルニル(メタ)アクリレートと、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とを含む樹脂組成物や、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレート樹脂と、イソボルニル(メタ)アクリレートと、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とを含む樹脂組成物が挙げられる。また、第2の樹脂層22用の樹脂組成物がエポキシ樹脂を主成分とする場合の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、光酸発生剤とを含む樹脂組成物や、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、脂環式エポキシ樹脂と、光酸発生剤とを含む樹脂組成物が挙げられる。
【0069】
基材フィルム上への樹脂組成物の付与は、例えば、バーコーターを用いて行うことができる。基材フィルムは、上述の第1の実施の形態で挙げたものを用いることができる。
【0070】
第1の樹脂層21と第2の樹脂層22を貼り合わせてフィルム状封止剤20を得るステップでは、例えば、ラミネーターを用いて、第1の樹脂層21と第2の樹脂層22を貼り合わせることができる。なお、第1の樹脂層21を準備するステップと第2の樹脂層22を準備するステップは、どちらを先に行ってもよく、並行して行ってもよい。
【0071】
<回路装置>
本技術に係る回路装置10は、例えば
図1に示すように、基板としての回路基板1と、電子部品としての実装用部品2とが、はんだペーストに由来するはんだ接合部3Aで接合されている。実装用部品2の周囲は、フィルム状封止剤4が硬化した封止部4Aで覆われている。
【0072】
回路基板1としては、半導体基板、フレキシブル回路基板、リジッド配線基板、プリント配線基板等の公知の基板が挙げられる。回路基板1の電極パッド1aは、銅パッド、アルミパッド等の公知の電極パッドを採用できる。電極パッド1aは、他の形態の電極、例えば、電極バンプなどで代用することも可能である。
【0073】
実装用部品2は、表面実装用の公知の各種部品を適用でき、例えば、半導体チップ、発光ダイオード、コンデンサチップ、抵抗素子等が挙げられる。実装用部品2の電極バンプ2aは、金バンプやはんだバンプ等の公知の電極バンプを採用できる。電極バンプ2aは、他の形態の電極、例えば、電極パッドなどで代用することも可能である。
【0074】
はんだ接合部3Aは、はんだペースト3をリフロー処理することで形成され、実装用部品2の電極バンプ2aと回路基板1の電極パッド1aとの間を導通させるものである。
【0075】
封止部4Aは、フィルム状封止剤4が硬化したものである。封止部4Aは、上述のように、実装用部品2の周囲と、電極バンプ2aの周囲と、はんだ接合部3Aの周囲とを覆うとともに、回路基板1の表面の一部も覆っている。
【0076】
また、本技術に係る回路装置は、フィルム状封止剤20の硬化物で、基板上に実装された電子部品が封止されていてもよい。
【0077】
<回路装置の製造方法>
[第1の実施の形態]
次に、本技術に係る回路装置10の製造方法の一例について説明する。まず、回路基板1の電極パッド1aに、はんだペースト3を付与する。はんだペーストは、公知の方法により電極パッド1aに付与することができ、例えば、精密ディスペンサーやスクリーン印刷機を用いて塗布することができる。
【0078】
図4は、回路装置10の製造方法の一例において、回路基板1に実装用部品2を載置する方法を説明するための断面図である。回路基板1の電極パッド1aにはんだペースト3を付与した後、
図4に示すように、回路基板1に実装用部品2を載置する。具体的には、回路基板1の電極パッド1aに実装用部品2の電極バンプ2aを位置合わせし、必要に応じて軽くプレスしてもよい。これにより、実装用部品2の電極バンプ2aが、はんだペースト3と接触する。電極パッド1aと電極バンプ2aとの間のすき間の高さは、特に限定されず、例えば、10~100μm程度であってもよく、80μm程度であってもよい。
【0079】
図5は、回路装置10の製造方法の一例において、実装用部品2の周縁にフィルム状封止剤4を付与する方法を説明するための断面図である。例えば、回路基板1に実装用部品2を載置した後、
図5に示すように、実装用部品2が覆われるように、実装用部品2上にフィルム状封止剤4を載せる方法が挙げられる。実装用部品2上に載せられたフィルム状封止剤4は、
図5に示すように、実装用部品2などの形状に追従しないため、例えば、フィルム状封止剤4と実装用部品2の上面2bとの間、フィルム状封止剤4と側面2cとの間、フィルム状封止剤4と回路基板1の表面との間には空間が存在する。そのため、上述のように、プレヒート領域Pにおいて、揮発した溶剤が、フィルム状封止剤4の内部から外部に抜けやすい。
【0080】
次に、回路基板1の電極パッド1aと実装用部品2の電極バンプ2aとの間に挟持されたはんだペースト3に対してリフロー処理を行う。リフロー処理では、はんだ粒子の溶融温度よりも高い温度にはんだペースト3を加熱し、はんだ粒子表面の酸化被膜をフラックスにより除去して、電極パッド1aと電極バンプ2aとの間に濡れ拡がらせて、はんだ接合部3Aを形成するとともに、リフロー処理の際の加熱によりフィルム状封止剤4を硬化させて封止部4Aを形成する。はんだペースト3のリフロー処理の際、電極パッド1aの周縁を超えて広がらずに、電極パッド1aの表面に留まろうとするため、回路基板1に対して実装用部品2をセルフアライメントすることが可能となる。リフロー処理は、常圧で行うことができる。換言すると、リフロー処理では、上述のように、はんだペースト3中の溶剤を揮発させ、液状になったフィルム状封止剤4の内部から外部に揮発した溶剤を排出する工程と、はんだペースト3中のはんだを溶融させて回路基板1と実装用部品2とをセルフアライメントする工程と、はんだペースト3中のフラックスを揮発させ、液状になったフィルム状封止剤4の内部から外部に揮発したフラックスを排出する工程と、フィルム状封止剤4を溶融させ、実装用部品2の周囲を封止部4Aで封止する工程とを有する。
【0081】
このような製造方法により、リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、回路基板1上の実装用部品2の実装と同時に、実装用部品2全体を一括して封止できる。その結果、
図1に示すように、封止部4Aで実装用部品2が封止された回路装置10が得られる。このように、本技術に係る回路装置10の製造方法では、はんだペースト3のリフロー処理と、フィルム状封止剤4の硬化処理とを同時に行うことができる。
【0082】
また、本技術に係る回路装置10の製造方法では、リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、ツールでの加圧を必要とせずに、実装用部品2の実装と同時に実装用部品2全体を封止できる。また、本技術に係る回路装置10の製造方法では、リフローによるはんだ実装プロセスにおいて、はんだボールの飛散を抑えて、はんだペースト3の溶剤(揮発成分)を排出することができる。
【0083】
[第2の実施の形態]
図6は、サイズの異なる実装用部品が回路基板に混載された回路装置の製造方法の一例において、実装用部品の周縁にフィルム状封止剤を付与する方法を説明するための断面図である。
【0084】
図6に示すように、封止が必要な部品としてサイズの異なる部品、具体的には、相対的にサイズが大きい実装用部品30(以下、単に実装用部品30という)と、相対的にサイズが小さい実装用部品31(以下、単に実装用部品31という)とを回路基板32に混載させる場合、封止が必要な実装用部品全体を、フィルム状封止剤(例えばフィルム状封止剤4)で封止しようとすると、例えばサイズが1mm角以下である微小な部品(実装用部品31)がリフロー処理時にフィルム状封止剤4の流動によって位置ずれしてしまうおそれがある。
図6中、封止しない部品35、換言すると、フィルム状封止剤で封止するのが好ましくない部品は、封止してしまうと本来の機能や性能に影響を与えるおそれがある部品である。封止しない部品35としては、例えば、発熱によりエレメントを切断するタイプの保護素子、基板上に設けられた電極や発光素子などが挙げられる。
【0085】
図7は、サイズの異なる実装用部品が回路基板に混載された回路装置の製造方法の一例において、サイズが異なる実装用部品が載置された回路基板についてリフロー処理を行う方法を説明するための断面図である。
図7に示すように、フィルム状封止剤4を用いて、回路基板33の電極パッド32aと実装用部品30の電極バンプ30aの間に挟持されたはんだペースト34a、および、電極パッド32bと実装用部品31の電極バンプ31aの間に挟持されたはんだペースト34bに対してリフロー処理を行う場合、リフロー処理の昇温により、フィルム状封止剤4の弾性率が変化して、フィルム状封止剤4が湾曲し、湾曲したフィルム状封止剤4によって実装用部品31が動かされ、
図7中に示す矢印の方向に部品ずれ(実装用部品31のずれ)が発生してしまうおそれがある。このような部品ずれは、はんだペースト34bが溶融してもセルフアライメントで調整することは困難である。
【0086】
このような微小な部品の位置ずれは、特に、回路基板端部に微小な部品を実装する場合、回路基板端部ではなくとも、微小部品の実装部がフィルム状封止剤の端部にあたる場合や、フィルム状封止剤の端部に部品が実装されていない箇所がなく、非常に狭ピッチで部品が実装されている場合に、顕著になりやすい。
【0087】
図8及び
図9は、サイズが異なる実装用部品が載置された回路基板についてリフロー処理を行う方法を説明するための断面図である。
図8に示すように、フィルム状封止剤4の端部に部品が実装されない箇所がなく、狭ピッチで部品(実装用部品30,31)を実装させる場合、リフロー処理の昇温により、フィルム状封止剤4の弾性率が変化して、フィルム状封止剤4が湾曲し、湾曲したフィルム状封止剤4によって実装用部品31が動かされ、
図8中に示す矢印の方向に部品ずれ(実装用部品31のずれ)が発生してしまうおそれがある。
【0088】
一方、
図9に示すように、フィルム状封止剤4の端部に部品(実装用部品30,31)が実装されていない箇所がある場合、リフロー処理の昇温により、フィルム状封止剤4の弾性率が変化して、フィルム状封止剤4が湾曲するが、フィルム状封止剤4が実装用部品30,31と接する前に回路基板33に接触し、回路基板32と接触すると、フィルム状封止剤4がそれ以上動かなくなるため、部品ずれが発生しない。
【0089】
以上の観点から、封止が必要な部品として大きさの異なる部品(実装用部品30,31)を回路基板32に混載させる場合、フィルム状封止剤20を用いることが好ましい。
【0090】
図10(A)は、サイズの異なる実装用部品が回路基板に混載された回路装置の製造方法の一例において、サイズの異なる複数の実装用部品の周縁に、第1の樹脂層に第2の樹脂層が積層されたフィルム状封止剤を付与する方法を説明するための断面図である。
【0091】
まず、回路基板32の電極パッド32a,32bに、はんだペースト34a,34bを付与した後、回路基板32に実装用部品30,31を載置する。具体的には、回路基板32の電極パッド32aに、実装用部品30の電極バンプ30a(図示せず)を位置合わせするとともに、実装用部品31の電極バンプ31a(図示せず)を位置合わせし、必要に応じて軽くプレスしてもよい。続いて、例えば、回路基板32に実装用部品30,31を載置した後、
図10(A)に示すように、実装用部品30,31が覆われるように、実装用部品30,31上にフィルム状封止剤20を載せる。フィルム状封止剤20は、第1の樹脂層21が実装用部品30,31側となるように、実装用部品30,31上に載せる。
【0092】
図10(B)は、サイズの異なる実装用部品が回路基板に混載された回路装置の製造方法の一例において、サイズが異なる実装用部品が載置された回路基板についてリフロー処理を行う方法を説明するための断面図である。また、
図10(C)は、サイズの異なる実装用部品が回路基板に混載された回路装置の製造方法の一例において、回路基板上の複数の実装用部品の実装と同時に、実装用部品全体が一括して封止された状態を示す断面図である。
【0093】
回路基板32の電極パッド32aと実装用部品30,31の電極バンプ30a,31aとの間に挟持されたはんだペースト34a,34bに対してリフロー処理を行う。リフロー処理により、はんだ粒子の溶融温度よりも高い温度にはんだペースト34a,34bを加熱し、はんだ粒子表面の酸化被膜をフラックスにより除去して、電極パッド32a,32bと電極バンプ30a,31aとの間に濡れ拡がらせて、はんだ接合部34a,34bを形成するとともに、リフロー処理の際の加熱によりフィルム状封止剤20を硬化させて封止部を形成する。
【0094】
はんだペースト34a,34bのリフロー処理の際、
図10(B)に示すように、フィルム状封止剤20における第1の樹脂層21の動きが、第2の樹脂層22に抑え込まれ、リフロー処理の昇温によりフィルム状封止剤20における第1の樹脂層21の湾曲が抑制されるため、第1の樹脂層21の湾曲による実装用部品30,31(特に、実装用部品31)のずれの発生が抑制される。また、第1の樹脂層21が充分に低粘度となってから流動し、流動する第1の樹脂層21により実装用部品30,31全体が封止される。リフロー処理は、回路装置の製造方法の第1の実施の形態と同様に行うことができる。また、リフロー処理の際、
図2に示すプリヒート領域Pでは、はんだペースト34a,34bの溶剤が揮発し、揮発した溶剤が、回路基板32とフィルム状封止剤20の隙間を介して、または、フィルム状封止剤20を介してフィルム状封止剤20の内部から外部に排出される。
【0095】
このような製造方法により、リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、回路基板32上の実装用部品30,31の実装と同時に、実装用部品30,31全体を一括して封止できる。その結果、
図10(C)に示すように、封止部で実装用部品30,31が封止された回路装置33が得られる。このように、本製造方法では、回路装置の製造方法では、はんだペースト34のリフロー処理と、フィルム状封止剤20の硬化処理とを同時に行うことができる。また、本製造方法では、実装用部品30と実装用部品31のようにサイズの異なる複数の実装用部品が混載された回路基板32でも、微小部品(実装用部品31)が位置ずれすることなく、回路基板32全面の部品を封止することができる。
【実施例0096】
以下、本技術の実施例について説明する。なお、本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。実施例と比較例で使用したフィルム状封止剤の成分は、以下の通りである。
【0097】
[第1の樹脂層]
<膜形成成分>
クラリティLA2250:メチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-メチルメタクリレートブロックコポリマー、220℃における粘度:47Pa・s、クラレ社製
ナノストレングスM51:メチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-メチルメタクリレートブロックコポリマー、220℃における粘度:46Pa・s、アルケマ社製
ナノストレングスD51N:変性メチルメタクリレート-ポリブチルアクリレートブロックコポリマー、220℃における粘度:33Pa・s、アルケマ社製
クラリティLA4285:メチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-メチルメタクリレートブロックコポリマー、220℃における粘度:590Pa・s、クラレ社製
セプトン2002:スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン構造を有するエラストマー、220℃における粘度:350Pa・s、クラレ社製
【0098】
<熱硬化性モノマー>
NKエステル A-TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学工業社製
HDDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ダイセル・オルネクス社製
【0099】
<熱ラジカル重合開始剤>
パーオクタH:1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、日油社製
【0100】
<その他の樹脂>
YSポリスターT160:テルペンフェノール樹脂、軟化点:160℃、ヤスハラケミカル社製
【0101】
<界面活性剤>
BYK354:ポリアクリレート系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン社製
BYK322:シリコーン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン社製
【0102】
[第2の樹脂層]
CN9014NS:2官能ウレタンアクリレート、アルケマ社製
アクリエステルIBX:イソボルニルメタクリレート、三菱ケミカル社製
NKエステルDCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、新中村化学工業社製
UC-203M:イソプレンメタクリレート、クラレ社製
LBR-307:ポリブタジエン、クラレ社製
アルコンM-100:脂環族飽和炭化水素樹脂、荒川化学工業社製
PI-184:Aal Chem社製
EXA-850CRP:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC社製
セロキサイド2021P:3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、ダイセル社製
EPICLON HP7200L:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、DIC社製
CPI-200K:サンアプロ社製
カプトン200H:東レ・デュポン社製(ポリイミド樹脂製フィルム)
【0103】
<フィルム状封止剤用の組成物の調製>
表1に示す各成分を表1に示す配合割合(重量部)で均一に混合し、フィルム状封止剤(第1の樹脂層)用の組成物を調製した。
【0104】
<第2の樹脂層用の組成物の調整>
表2に示す各成分を表2に示す配合割合(重量部)で均一に混合し、フィルム状封止剤(第2の樹脂層)用の組成物を調製した。なお、実施例15においては、市販のフィルムをそのまま用いた。
【0105】
<フィルム状封止剤(1)の作製>
フィルム状封止剤(第1の樹脂層)用の組成物と有機溶剤(トルエン80%とメチルエチルケトン20%の混合溶剤)とを混合した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、離型処理を施した基材フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、バーコーターを用いて塗布し、100℃で5分間加熱して有機溶媒を除去することにより厚み50μmの一次フィルム状封止剤を得た後、その上から再度樹脂ワニスの塗布・乾燥を繰り返すことで厚さ100μmのフィルム状封止剤を得た。以下、このフィルム状封止剤をフィルム状封止剤(1)という。フィルム状封止剤(1)は、後述する封止性評価(1)で使用した。
【0106】
<フィルム状封止剤(2)の作製>
上述のフィルム状封止剤(1)の作製と同様の方法で、第1の樹脂層を得た。また、実施例8~18について、実施例15を除き、表2に示す各成分を含む第2の樹脂層用の樹脂組成物を、バーコーターを用いて剥離処理されたフィルム上に塗布して紫外線硬化させた。実施例15では、市販のポリイミド樹脂製フィルムをそのまま用いた。得られた第1の樹脂層と第2の樹脂層をラミネーターで貼り合せることで、第1の樹脂層に第2の樹脂層が積層されたフィルム状封止剤を得た。各層の厚みは表1に記載の通りである。以下、このフィルム状封止剤をフィルム状封止剤(2)という。フィルム状封止剤(2)は、後述する封止性評価(2)で使用した。なお、実施例1~7、比較例1~4では、フィルム状封止剤(1)を封止性評価(2)でも使用した。
【0107】
<膜形成成分およびフィルム状封止剤の溶融粘度>
膜形成成分およびフィルム状封止剤の220℃における溶融粘度は、レオメータ(AR-G2(TA instruments社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0108】
<第1の樹脂層のせん断弾性率G’>
第1の樹脂層の150℃におけるせん断弾性率G’は、レオメータ(AR-G2(TA instruments社製)を用いて、周波数1Hz、昇温速度10℃/minで測定して求めた。結果を表1に示す。
【0109】
<第2の樹脂層の引張弾性率E’>
第2の樹脂層の150℃における引張弾性率E’は、粘弾性測定装置(DMA7100、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、周波数1Hz、昇温速度10℃/minで測定して求めた。結果を表1に示す。
【0110】
<封止性評価(1)>
<回路装置の作製>
試験用回路基板として以下のFR-4グレードの回路基板を用い、また、試験用実装用部品として以下の半導体素子を用いて、試験用の回路装置を作製した。具体的には、試験用回路基板の電極パッドに、千住金属工業株式会社製のはんだペースト(「M705-GRN360-K2-V」(はんだ粒子:Ag3.0%-Cu0.5%-Sn(残部))を、150μm厚となるように精密ディスペンサーで塗布し、はんだペーストが塗布された試験用回路基板の電極パッドに対し、試験用実装用部品の電極バンプを位置合わせし、軽くプレスすることにより試験用回路基板に試験用実装用部品を載置した。次に、上述したフィルム状封止剤(1)を、試験用実装用部品が載置された試験用回路基板上に載せ、大気下で常温から170℃まで3℃/秒で昇温し、170℃で90秒間保持した。その後、2℃/秒で250℃まで昇温した後、2℃/秒で常温へ冷却するリフロー処理を常圧下で行った。これにより、試験用実装用部品と試験用回路基板とをはんだ付けするとともに、試験用実装用部品上部、側面および下部を封止した。その結果、
図1に示すようにフィルム状封止剤4の硬化物4Aで封止された回路装置10が得られた。リフロー炉は、UNI―5016A(アントム社製)を用いた。
【0111】
試験用回路基板としては、表面に金メッキ加工を施した銅配線(1.0×7.2(mm))を有するFR-4グレード回路基板(20×40×0.6(mm))を使用した。また、試験用実装用部品としては、電極バンプ(1.0×7.2(mm))を有する半導体素子(5×9.5×1(mm))を使用した。なお、フィルム状封止剤は、22mm×42mmに切り出して用いた。
【0112】
フィルム状封止剤によって、試験用実装用部品である半導体素子周辺(外周部および下部)が封止されているかを評価した。半導体素子上部並びに側面部は、外観を顕微鏡にて観察して目視にて評価した。半導体素子下部については封止された半導体素子を上部から、内部のはんだペースト部が現れるまで研磨を行なった後、顕微鏡で観察した。半導体素子周辺が封止されているものは○(OK)と評価し、半導体素子周辺に封止されていない部分があるものを×(NG)と評価した。結果を表1に示す。
【0113】
【0114】
【0115】
<封止性評価(2)>
図11は、封止性評価(2)で使用した試験用実装用部品と試験用回路基板の構成例を示す平面図である。
図12は、封止性評価(2)で使用した試験用実装用部品上にフィルム状封止剤を載置した状態の一例を示す断面図である。試験用回路基板41としては、表面に金メッキ加工を施した銅配線41a,41bを有するFR-4グレード回路基板(5mm×20mm×0.6mm)を使用した。試験用回路基板41上の部品の実装部は、2mm×1mmの銅配線(半導体素子43実装部)と、0.1mm×0.2mmの銅配線(チップ部品42実装部)とを有する。また、試験用実装用部品としては、電極バンプ(2mm×1mm)を有する半導体素子43(4mm×4mm×1mm)に加え、基板41の端部に0402(0.4mm×0.2mm×0.2mm)サイズのチップ抵抗42を、
図11に示すように配置した。試験用回路基板41の端部から、試験用回路基板41の端部側のチップ抵抗42までの距離は1mm、チップ抵抗42間の距離は0.5mm、半導体素子43側のチップ抵抗42と半導体素子43の端部までの距離は6.1mmである。試験用回路基板41に試験用実装用部品を載置する方法は、封止性評価(1)と同様に行った。はんだペーストとその塗布方法も封止性評価(1)と同様に行った。
【0116】
図12に示すように、フィルム状封止剤を、試験用実装用部品が載置された試験用回路基板41上に載せた。そののち、封止性評価(1)と同じリフロー条件にて、試験用実装用部品と試験用回路基板41とをはんだ付けするとともに、試験用実装用部品の上部、側面および下部を封止した。なお、フィルム状封止剤は、7mm×22mmに切り出して用いた。
【0117】
そして、フィルム状封止剤によって、試験用実装用部品の周辺、すなわち、チップ抵抗42と半導体素子43の周辺(外周部および下部)が封止されているかを封止性評価(1)と同様に評価した。具体的には、試験用実装用部品の周辺が封止されている場合を○(OK)と評価し、フィルム状封止剤が試験用回路基板41上と試験用実装用部品の周辺に広がるが、試験用実装用部品(特に、チップ抵抗42)のずれが発生した場合を△(NG)と評価し、フィルム状封止剤が広がらず、試験用回路基板41上や試験用実装用部品の周辺に封止されていない部分がある場合を×(NG)と評価した。結果を表1に示す。
【0118】
図13(A)は、フィルム状封止剤(1)を用いて封止性評価(2)を行った後の試験用回路装置の一例を示す平面図であり、
図13(B)は
図13(A)のA-A’の断面図である。例えば、第2の樹脂層を有しないフィルム状封止剤(フィルム状封止剤(1))を用いて封止性評価(2)を行った場合、
図8に示すように、リフロー処理の昇温により、フィルム状封止剤4の弾性率が変化して、フィルム状封止剤4が湾曲し、湾曲したフィルム状封止剤4によってチップ抵抗42のずれが発生する。その後、
図13(A),(B)に示すように、フィルム状封止剤4が試験用回路基板41上と試験用実装用部品の周辺に広がるが、チップ抵抗42のずれが発生する。このように、封止性評価(2)が△(NG)であるとは、例えば、チップ抵抗42のずれが発生し、チップ抵抗42が試験用回路基板41と接続されておらず、硬化後のフィルム状封止剤(封止部4B)が試験用実装用部品の周辺を覆っている状態をいう。この場合、試験用回路基板41と半導体素子43とは、はんだペースト44aに由来するはんだ接合部44Aで接合されているものの、チップ抵抗42が、位置42P(正しく接続できた場合のチップ抵抗42の位置)からずれており、試験用回路基板41とチップ抵抗42とが、はんだペースト44bに由来するはんだ接合部44Bで十分に接合されていないため、チップ抵抗42が試験用回路基板41上で機能を有しない。
【0119】
[封止性評価(1)の結果]
実施例1~18の結果から、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sであるフィルム状封止剤(1)を用いた場合、封止性評価が良好であることが分かった。すなわち、実施例1~18では、リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、基板上のチップ(半導体素子)などの電子部品の実装と同時に電子部品全体を一括して封止できることが分かった。
【0120】
また、比較例1~4の結果から、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含むフィルム状封止剤(1)であっても、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sを満たさない場合、封止性評価が良好でないことが分かった。すなわち、比較例1~4では、リフローによるはんだ実装プロセスのリフロー工程において、基板上のチップなどの電子部品の実装と同時に電子部品全体を一括して封止することが困難であることが分かった。
【0121】
例えば、比較例3では、220℃における溶融粘度が102Pa・sであるフィルム状封止剤(1)を用いたため、リフロー処理でフィルム状封止剤(1)が溶融するものの粘度が十分に低下せず、フィルム状封止剤(1)が部品(試験用回路基板および試験用実装用部品)にまとわりついて、試験用実装用部品の下部に入り込みにくいことが分かった。
【0122】
[封止性評価(2)の結果]
実施例8、10、12~15、17、18の結果から、上述した式1を満たすフィルム状封止剤(2)を用いることにより、複数のサイズの異なる部品が回路基板に載置されていても、リフローと同時に一括して封止できることに加えて、リフロー時に微小な部品がフィルム状封止剤(2)の形状変化によって位置ずれすることがないことが分かった。
【0123】
実施例9は、実施例8の第1の樹脂層の厚みをより大きくしたことにより式1を満たさず、チップ抵抗42の位置ずれは発生したが、半導体素子43の実装は可能であった。
【0124】
実施例11は、第2の樹脂層の引張弾性率E’を低下させたことにより式1を満たさず、チップ抵抗42の位置ずれは発生したが、半導体素子43の実装は可能であった。
【0125】
実施例16は、第1の樹脂層のせん断弾性率G’を大きくしたことにより式1を満たさず、チップ抵抗42の位置ずれは発生したが、半導体素子43の実装は可能であった。
【0126】
実施例1~7では、膜形成成分と、熱硬化性モノマーと、硬化剤または重合開始剤とを含み、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sであるフィルム状封止剤(1)を用いて封止性評価(2)を行ったため、チップ抵抗42の位置ずれは発生したが、半導体素子43の実装は可能であった。また、比較例1~4では、220℃における溶融粘度が25~70Pa・sを満たさないフィルム状封止剤(1)を用いて封止性評価(2)を行ったため、フィルム状封止剤が広がらず、試験用回路基板41上や試験用実装用部品の周辺に封止されていない部分があった。